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特開2024-122132液体供給システム、制御方法、制御プログラム、および液体供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122132
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】液体供給システム、制御方法、制御プログラム、および液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240902BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B41J2/175 301
B41J2/175 121
B41J2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029499
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英修
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056EA29
2C056EB20
2C056EB21
2C056EB50
2C056EC17
2C056EC18
2C056EC20
2C056EC36
2C056EC46
2C056EE18
2C056KB16
2C056KB26
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する液体供給システム、制御方法、制御プログラム、および液体供給装置を提供する。
【解決手段】液体供給システムは、プリンタタンクとサーバタンクを接続する管と、プリンタタンクとサーバタンクの間で管を介して液体を送る送液機構と、制御部を備える。制御部は、プリンタタンクまたはサーバタンク内の液体の残量を検出する残量センサから残量を取得する(S21)。制御部は送液機構を制御し、プリンタタンクおよびサーバタンクの一方の第一タンクから他方の第二タンクに液体を送る(S23)。制御部は残量センサから残量を取得する(S31)。制御部は、S21とS31で取得された残量に基づいて算出時間を算出する(S33)。制御部は、算出時間に基づいて送液機構を制御し、第二タンクから第一タンクに液体を送る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給システムであって、
前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、
前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、
前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、
前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、
前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理と
を行うことを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第二送液処理において、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送って、前記残量センサからの信号が示す前記残量が前記第一残量になった後、前記算出時間に基づく加算時間の間、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ることを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第二送液処理において、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送って、前記残量センサからの信号が示す前記残量が前記第一残量になった時点から、前記送液機構を停止することなく、前記算出時間に基づく前記加算時間の間、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る
ことを特徴とする請求項2に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記プリンタタンク内の前記液体の前記残量を検出するプリンタセンサと、
前記サーバタンク内の前記液体の前記残量を検出するサーバセンサと
を備え、
前記残量センサは、前記プリンタセンサおよび前記サーバセンサのうち外部環境の変化による影響を受けにくい方である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、
前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理であるかを判断し、または前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理であるかを判断する判断処理を行い、
前記判断処理によって前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理であると判断された場合、または前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理であると判断された場合、前記第二送液処理において、今回の前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、
前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理であるかを判断し、または前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理であるかを判断する判断処理を行い、
前記判断処理によって前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理でないと判断された場合、または前記判断処理によって前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理でないと判断された場合、前記第二送液処理において、前回の前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づく特定時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、
前回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第一算出時間に基づく特定時間と今回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第二算出時間との差が所定値以上かを判断する判断処理を行い、
前記判断処理によって前記差が前記所定値以上と判断された場合、前記第二送液処理において、前記第二算出時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、
前回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第一算出時間に基づく特定時間と今回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第二算出時間との差が所定値以上かを判断する判断処理を行い、
前記判断処理によって前記差が前記所定値以上でないと判断された場合、前記第二送液処理において、前記特定時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項9】
プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給システムによる制御方法であって、
前記液体供給システムは、
前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、
前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構と
を備え、
前記制御方法は、
前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、
前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、
前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、
前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理と
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給システムのコンピュータに以下の処理を実行させる制御プログラムであって、
前記液体供給システムは、
前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、
前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構と
を備え、
前記制御プログラムは、前記コンピュータに、
前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、
前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、
前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、
前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理と
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項11】
プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給装置であって、
前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、
前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、
前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、
前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、
前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理と
を行うことを特徴とする液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給システム、制御方法、制御プログラム、および液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタに液体を供給する液体供給システムが知られている。特許文献1に記載の液体供給システムはメインタンクとプリンタとを備える。メインタンクには液体の一種としてインクが収容される。プリンタはサブタンクを備える。サブタンクはメインタンクチューブを介してメインタンクに接続される。液体供給システムはメインタンクからサブタンクにメインタンクチューブを介してインクを供給する。サブタンクにはサブタンク内のインク残量を検出するためのサブタンク残量センサが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-314392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記液体供給システムでは、インクの温度分布、濃度分布等の状態が不均一となる可能性を抑制するため、メインタンクとサブタンクとの間でメインタンクチューブを介してインクを循環させることが考えられる。この場合、サブタンク残量センサの検出誤差等に起因して、循環後のメインタンクの実際のインク残量が、循環前のメインタンクの実際のインク残量から変化し、循環後のサブタンクの実際のインク残量が、循環前のサブタンクの実際のインク残量から変化する可能性がある。メインタンクに残量センサが設けられる場合にも同様に、メインタンクおよびサブタンク内の実際のインク残量が循環前後で変化する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する液体供給システム、制御方法、制御プログラム、および液体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る液体供給システムは、プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給システムであって、前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構と、制御部とを備え、前記制御部は、前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理とを行うことを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、第一送液処理と第二送液処理とが行われることで、プリンタタンクとサーバタンクとの間で管を介して液体が循環する。第二送液処理において、算出時間に基づいて送液機構が制御される。よって、液体供給システムは、算出時間に基づかずに第二タンクから第一タンクに管を介して液体が送られる場合に比べて、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する。
【0008】
前記制御部は、前記第二送液処理において、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送って、前記残量センサからの信号が示す前記残量が前記第一残量になった後、前記算出時間に基づく加算時間の間、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ってもよい。
【0009】
例えば残量センサからの信号が示す残量が第一残量になった時点で、残量センサからの信号が示す残量と実際の残量との間に特定量の差があったとする。第二送液処理では、残量センサからの信号が示す残量が第一残量になった時点から、算出時間に基づく加算時間の間、第二タンクから第一タンクに管を介して液体が送られる。これにより、循環後のタンクの実際の液体残量と循環前のタンクの液体残量と間の差が特定量よりも小さくなる。よって、液体供給システムは、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることにさらに貢献する。
【0010】
前記制御部は、前記第二送液処理において、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送って、前記残量センサからの信号が示す前記残量が前記第一残量になった時点から、前記送液機構を停止することなく、前記算出時間に基づく前記加算時間の間、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ってもよい。
【0011】
この場合、残量センサからの信号が示す残量が第一残量になった時点で、送液機構が停止しない。よって、液体供給システムは、第二送液処理にかかる時間が長くなることを抑制することに貢献する。
【0012】
前記プリンタタンク内の前記液体の前記残量を検出するプリンタセンサと、前記サーバタンク内の前記液体の前記残量を検出するサーバセンサとを備え、前記残量センサは、前記プリンタセンサおよび前記サーバセンサのうち外部環境の変化による影響を受けにくい方であってもよい。
【0013】
この場合、液体供給システムは外部環境が変化しても、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する。
【0014】
前記制御部は、前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理であるかを判断し、または前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理であるかを判断する判断処理を行い、前記判断処理によって前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理であると判断された場合、または前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理であると判断された場合、前記第二送液処理において、今回の前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ってもよい。
【0015】
液体供給システムの電源投入後1回目の循環処理、またはサーバタンクの交換後1回目の循環処理での算出時間は、前回の循環処理での算出時間から大きく変化する可能性が比較的高い。液体供給システムでは、算出時間が前回から大きく変化する可能性が比較的高い場合に、今回の算出時間に基づいて送液機構が制御される。よって、液体供給システムは、算出時間が前回から大きく変化する可能性が比較的高い場合、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量により確実に近付けることに貢献する。
【0016】
前記制御部は、前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理であるかを判断し、または前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理であるかを判断する判断処理を行い、前記判断処理によって前記液体供給システムの電源投入後1回目の前記循環処理でないと判断された場合、または前記判断処理によって前記サーバタンクの交換後1回目の前記循環処理でないと判断された場合、前記第二送液処理において、前回の前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づく特定時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ってもよい。
【0017】
液体供給システムの電源投入後2回目以降の循環処理、またはサーバタンクの交換後2回目以降の循環処理での算出時間は、前回の循環処理での算出時間から大きく変化する可能性が比較的低い。この場合、特定時間に基づいて送液機構が制御される。特定時間は、既に実績のある前回の算出時間に基づく時間である。よって、液体供給システムは、算出時間が前回から大きく変化する可能性が比較的低い場合、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量により確実に近付けることに貢献する。
【0018】
前記制御部は、前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、前回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第一算出時間に基づく特定時間と今回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第二算出時間との差が所定値以上かを判断する判断処理を行い、前記判断処理によって前記差が前記所定値以上と判断された場合、前記第二送液処理において、前記第二算出時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ってもよい。
【0019】
管の構成が変更された場合等、特定時間と第二算出時間との差が所定値以上になる場合がある。この場合、現時点の管の構成等に応じた第二算出時間に基づいて送液機構が制御される。よって、液体供給システムは、特定時間と第二算出時間との差が所定値以上の場合、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量により確実に近付けることに貢献する。
【0020】
前記制御部は、前記第一送液処理と前記第二送液処理とを含む循環処理を行うたびに前記算出処理を行い、前回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第一算出時間に基づく特定時間と今回の前記算出処理によって算出された前記算出時間である第二算出時間との差が所定値以上かを判断する判断処理を行い、前記判断処理によって前記差が前記所定値以上でないと判断された場合、前記第二送液処理において、前記特定時間に基づいて前記送液機構を制御して、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送ってもよい。
【0021】
管の構成が変更されていない場合等、特定時間と第二算出時間との差が所定値未満の場合がある。この場合、特定時間に基づいて送液機構が制御される。特定時間は、既に実績のある時間である。よって、液体供給システムは、特定時間と第二算出時間との差が所定値以上の場合、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量により確実に近付けることに貢献する。
【0022】
本発明の第二態様に係る制御方法は、プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給システムによる制御方法であって、前記液体供給システムは、前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構とを備え、前記制御方法は、前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理とを備えたことを特徴とする。
【0023】
第二態様は第一態様と同様に、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する。
【0024】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給システムのコンピュータに以下の処理を実行させる制御プログラムであって、前記液体供給システムは、前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構とを備え、前記制御プログラムは、前記コンピュータに、前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理とを実行させることを特徴とする。
【0025】
第三態様は第一態様と同様に、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する。
【0026】
本発明の第四態様に係る液体供給装置は、プリンタが備えるタンクであるプリンタタンクに液体を供給する液体供給装置であって、前記プリンタタンクと、前記液体を収容するサーバタンクとを接続する管と、前記プリンタタンクと前記サーバタンクとの間で前記管を介して前記液体を送る送液機構と、制御部とを備え、前記制御部は、前記プリンタタンクまたは前記サーバタンク内の前記液体の残量を検出する残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第一取得処理と、前記第一取得処理が行われた後に、前記送液機構を制御し、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクの一方である第一タンクから、前記プリンタタンクおよび前記サーバタンクのうち前記第一タンクとは異なる第二タンクに前記管を介して前記液体を送る第一送液処理と、前記第一送液処理が行われた後に、前記残量センサからの信号に基づいて前記残量を取得する第二取得処理と、前記第一取得処理によって取得された前記残量である第一残量および前記第二取得処理によって取得された前記残量である第二残量に基づいて、算出時間を算出する算出処理と、前記算出処理によって算出された前記算出時間に基づいて前記送液機構を制御し、前記第二タンクから前記第一タンクに前記管を介して前記液体を送る第二送液処理とを行うことを特徴とする。
【0027】
第四態様は第一態様と同様に、循環後のタンクの実際の液体残量を循環前のタンクの実際の液体残量に近付けることに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】液体供給システム100の流路構成図である。
図2】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】液体供給装置2の電気的構成を示すブロック図である。
図4】駆動時間tに対するサーバ残量Vの変化を示すグラフである。
図5】メイン処理のフローチャートである。
図6】循環処理のフローチャートである。
図7】循環処理のフローチャートである。
図8】駆動時間tに対するサーバセンサ71の読み値mの変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<液体供給システム100の概略構成>
【0030】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液体供給システム100を説明する。図1に示すように、液体供給システム100は複数のプリンタ1と、液体供給装置2とを含む。液体供給システム100は、液体供給装置2から複数のプリンタ1のそれぞれに、液体として例えばインクを供給する。
【0031】
複数のプリンタ1の個数は特定の個数に限定されないが、例えば一つの液体供給装置2に対してプリンタ1A、1B、1C、1Dの四つが接続される。プリンタ1は例えばインクジェットプリンタであり、印刷媒体(図示略)にインクを吐出し、印刷を行う。印刷媒体は布、紙等であり、例えばTシャツである。
【0032】
インクは例えば白(W)、黒(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、またはマゼンタ(M)である。以下では、5色のインクのうち白色のインクを「白インク」といい、黒、シアン、イエロー、およびマゼンタの4色のインクを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「カラーインク」という。
【0033】
白インクは画像の白色を表す部分として、またはカラーインクの下地として印刷に用いられる。カラーインクは、印刷媒体上に直接、または白インクによる下地の上に吐出され、カラー画像の印刷に用いられる。
【0034】
<プリンタ1の機械的構成>
【0035】
プリンタ1は図2に示すプラテン15、キャリッジ13、およびヘッド14を備える。プラテン15は、副走査方向に移動可能に設けられる。プラテン15上には印刷媒体が載置される。キャリッジ13は、主走査方向に移動可能に設けられる。主走査方向は副走査方向と直交する。
【0036】
ヘッド14はキャリッジ13に装着され、キャリッジ13とともに主走査方向に移動する。ヘッド14は、ノズルを含み、ノズルからプラテン15上の印刷媒体に白インクを吐出する。プリンタ1は、ヘッド14の他に、一または複数のヘッド(以下、「他のヘッド」という。)を備える。本実施形態では、他のヘッドの図示を省略し、その説明を簡略化する。他のヘッドは、白インクに代えてカラーインクを、ノズルからプラテン15上の印刷媒体に吐出する点がヘッド14と異なる。
【0037】
プリンタ1はプリンタタンク17Wを備える。プリンタタンク17Wは、液体供給装置2から白インクの供給を受け、供給された白インクを収容する。プリンタタンク17Wは、管(図示略)を介して図2に示すヘッド14に接続する。
【0038】
プリンタ1は、プリンタタンク17Wの他に、複数のプリンタタンク(以下、「他のプリンタタンク」という。)を備える。本実施形態では、他のプリンタタンクの図示を省略し、その説明を簡略化する。他のプリンタタンクは、液体供給装置2から、白インクに代えてカラーインクの供給を受ける点がプリンタタンク17Wと異なる。他のプリンタタンクは、管(図示略)を介して他のヘッドに接続する。
【0039】
図2に示す供給機構184の駆動によってプリンタタンク17Wから図2に示すヘッド14に管(図示略)を介して白インクが供給される。同様に、他のプリンタタンクから他のヘッドにカラーインクが供給される。図2に示す主走査モータ181の駆動によってキャリッジ13が主走査方向に移動する。図2に示す副走査モータ182の駆動によってプラテン15が副走査方向に移動する。これにより、ヘッド14がプラテン15上の印刷媒体に対して主走査方向および副走査方向に相対的に移動する。
【0040】
ヘッド14がプラテン15上の印刷媒体に対して主走査方向および副走査方向に相対的に移動しながら、図2に示すヘッドドライバ183の駆動によってヘッド14がノズルからプラテン15上の印刷媒体に白インクを吐出する。同様に、他のヘッドがノズルからプラテン15上の印刷媒体にカラーインクを吐出する。以上により、プリンタ1は印刷媒体への印刷を行う印刷処理を行う。
【0041】
<液体供給装置2の機械的構成>
【0042】
液体供給装置2はサーバタンク6Wと管8と撹拌機構96とを備える。サーバタンク6Wは複数のプリンタ1外に位置し、白インクを収容する。サーバタンク6Wが白インクを収容可能な容量は一つのプリンタタンク17Wが白インクを収容可能な容量よりも多く、プリンタ1A、1B、1C、1Dのそれぞれのプリンタタンク17Wが収容可能な容量の合計よりも多い。管8はサーバタンク6Wと複数のプリンタ1のそれぞれのプリンタタンク17Wとの間の白インクの流路を構成する。
【0043】
撹拌機構96は例えばプロペラスターラであり、図3に示す撹拌モータ963の駆動によって、サーバタンク6W内の白インクを撹拌する撹拌動作を行う。本実施形態では、白インクは顔料粒子等の固形成分として、カラーインクに含まれる成分よりも沈降性の高い成分を含む。沈降性の高い成分は例えば酸化チタンである。酸化チタンは比較的比重の高い無機顔料の一種である。白インクは比較的沈降性の高い成分を含むので、白インク内の顔料粒子等の固形成分は沈降しやすい。以下では、白インク内の固形成分が沈降することを、「白インクが沈降する」ともいう。撹拌機構96は撹拌動作を行うことで、サーバタンク6W内において白インクが沈降することを抑制する。
【0044】
液体供給装置2は、サーバタンク6Wの他に、複数のサーバタンク(以下、「他のサーバタンク」という。)を備え、管8の他に、複数の管(以下、「他の管」という。)を備える。本実施形態では、他のサーバタンクおよび他の管の図示を省略し、その説明を簡略化する。
【0045】
他のサーバタンクは、白インクに代えてカラーインクを収容する点がサーバタンク6Wと異なる。他の管は、他のサーバタンクと複数のプリンタ1のそれぞれの他のプリンタタンクとの間のカラーインクの流路を構成する。他の管は、後述の管84、85、86を備えていない点が管8と異なる。なお、本実施形態では、他のサーバタンクには撹拌機構96が設けられていない。
【0046】
<白インクの流路構成>
【0047】
白インクの流路は第一白流路W1と第二白流路W2を含む。なお、図1は、第一白流路W1を実線で示し、第二白流路W2を破線で示す。第一白流路W1はサーバタンク6Wとプリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wとを互いに接続する。第二白流路W2はサーバタンク6Wとプリンタ1C、1Dのそれぞれのプリンタタンク17Wとを互いに接続する。
【0048】
第一白流路W1と第二白流路W2では、液体供給装置2からの接続先がプリンタ1A、1Bとプリンタ1C、1Dのいずれであるかが異なる。したがって、以下では、第一白流路W1を説明し、第二白流路W2については第一白流路W1と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0049】
第一白流路W1は、管8として管81、82、83、84、85、86によって構成される。管81はサーバタンク6Wに接続する。管81はサーバタンク6Wから点P1まで延びる。管81は点P1において管82と管83に接続する。
【0050】
管82は点P1から点P2を介してプリンタ1Aのプリンタタンク17Wに向かって延び、プリンタ1Aのプリンタタンク17Wに接続する。管83は点P1から点P3を介してプリンタ1Bのプリンタタンク17Wに向かって延び、プリンタ1Bのプリンタタンク17Wに接続する。
【0051】
管84は点P2において管82に接続する。管84は点P2から点P4まで延び、点P4において管86に接続する。管85は点P3において管83に接続する。管85は点P3から点P4まで延び、点P4において管86に接続する。管86は点P4からサーバタンク6Wに向かって延び、サーバタンク6Wに接続する。
【0052】
以下では、サーバタンク6Wから管81、管82を介してプリンタ1Aのプリンタタンク17Wまでの流路と、サーバタンク6Wから管81、管83を介してプリンタ1Bのプリンタタンク17Wまでの流路を、それぞれ、「供給流路」という。供給流路においてサーバタンク6W側を「供給流路上流」といい、プリンタ1Aまたはプリンタ1Bのプリンタタンク17W側を「供給流路下流」という。例えば、供給流路の中間地点において、サーバタンク6W側が供給流路上流であり、プリンタ1Aまたはプリンタ1Bのプリンタタンク17W側が供給流路下流である。
【0053】
プリンタ1Aのプリンタタンク17Wから管84、管86を介してサーバタンク6Wまでの流路と、プリンタ1Bのプリンタタンク17Wから管85、管86を介してサーバタンク6Wまでの流路を、それぞれ、「循環流路」という。循環流路においてプリンタ1Aまたはプリンタ1Bのプリンタタンク17W側を「循環流路上流」といい、サーバタンク6W側を「供給流路下流」という。例えば、循環流路の中間地点において、プリンタ1Aまたはプリンタ1Bのプリンタタンク17W側が循環流路上流であり、サーバタンク6W側が循環流路下流である。
【0054】
管82には供給ポンプ20と供給バルブ22とフィルタ24が設けられる。管83には供給ポンプ21と供給バルブ23とフィルタ25が設けられる。供給ポンプ20は点P2よりも供給流路上流に位置する。供給ポンプ21は点P3よりも供給流路上流に位置する。
【0055】
供給ポンプ20、21は、それぞれ、図3に示すポンプモータ201、211の駆動によって、サーバタンク6Wから管81を介して白インクを吸引する。供給ポンプ20は、図3に示すポンプモータ201の駆動によって、吸引した白インクを、管82を介してプリンタ1Aのプリンタタンク17Wに向かって送る。供給ポンプ21は、図3に示すポンプモータ211の駆動によって、吸引した白インクを、管83を介してプリンタ1Bのプリンタタンク17Wに向かって送る。
【0056】
以下では、バルブが閉じた状態を「閉状態」といい、バルブが開いた状態を「開状態」という。バルブは、閉状態において、流路を遮断状態にする。バルブは、開状態において、流路を連通状態にする。
【0057】
供給バルブ22は供給ポンプ20よりも供給流路上流に位置する。供給バルブ23は供給ポンプ21よりも供給流路上流に位置する。供給バルブ22、23は、それぞれ、図3に示すソレノイド221、231の駆動によって、閉状態と開状態に切り替わる。供給バルブ22は、閉状態において管82を遮断状態にし、開状態において管82を連通状態にする。供給バルブ23は、閉状態において管83を遮断状態にし、開状態において管83を連通状態にする。
【0058】
フィルタ24は供給バルブ22よりも供給流路上流に位置する。フィルタ25は供給バルブ23よりも供給流路上流に位置する。フィルタ24、25は、それぞれ、例えば不織布、織布、樹脂フィルム、または多孔質金属片で構成され、白インクをろ過する。
【0059】
管84には循環ポンプ26と循環バルブ28が設けられる。管85には循環ポンプ27と循環バルブ29が設けられる。循環ポンプ26は、図3に示すポンプモータ261の駆動によって、プリンタ1Aのプリンタタンク17Wから、管82のうち点P2よりも供給流路下流の部位を介して白インクを吸引する。循環ポンプ27は、図3に示すポンプモータ271の駆動によって、プリンタ1Bのプリンタタンク17Wから、管83のうち点P3よりも供給流路下流の部位を介して白インクを吸引する。循環ポンプ26、27は、それぞれ、図3に示すポンプモータ261、271の駆動によって、吸引した白インクを、管86を介してサーバタンク6Wに向かって送る。
【0060】
循環バルブ28は循環ポンプ26よりも循環流路下流に位置する。循環バルブ29は循環ポンプ27よりも循環流路下流に位置する。循環バルブ28、29は、それぞれ、図3に示すソレノイド281、291の駆動によって、閉状態と開状態に切り替わる。循環バルブ28は、閉状態において管84を遮断状態にし、開状態において管84を連通状態にする。循環バルブ29は、閉状態において管85を遮断状態にし、開状態において管85を連通状態にする。
【0061】
上記構成において、液体供給システム100は、供給バルブ22および供給バルブ23の一方または両方を開状態にした状態で、供給ポンプ20および供給ポンプ21のうち、開状態にしたバルブに対応する供給ポンプを駆動することで、サーバタンク6Wから管8を介してプリンタタンク17Wに白インクを供給する。
【0062】
以下では、液体供給システム100がサーバタンク6Wから管8を介してプリンタタンク17Wに向けて白インクを供給する動作を「供給動作」という。本実施形態の供給動作では、液体供給システム100は、サーバタンク6Wから管8を介して複数のプリンタ1のそれぞれのプリンタタンク17Wに白インクを、並行してまたは複数のプリンタ1の1台ずつ供給できる。つまり、複数のサーバタンク6Wは、それぞれ、複数のプリンタ1のそれぞれへの供給流路において、複数のプリンタ1のそれぞれよりも上流に位置する。
【0063】
供給動作が行われた場合の白インクの流れの例として、第一白流路W1において、サーバタンク6Wから管8を介してプリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wに向かう白インクの流れを説明する。サーバタンク6Wからプリンタ1Aのプリンタタンク17Wに白インクが供給される場合、白インクはサーバタンク6W内から管81、管82を介してプリンタ1Aのプリンタタンク17Wに向かって流れる(矢印A1参照)。サーバタンク6Wからプリンタ1Bのプリンタタンク17Wに白インクが供給される場合、白インクはサーバタンク6W内から管81、管83を介してプリンタ1Bのプリンタタンク17Wに向かって流れる(矢印A2参照)。
【0064】
液体供給システム100は、循環バルブ28および循環バルブ29の一方または両方を開状態にした状態で、循環ポンプ26および循環ポンプ27のうち、開状態にしたバルブに対応する循環ポンプを駆動することで、プリンタタンク17Wから管8を介してサーバタンク6Wに白インクを戻す。
【0065】
以下では、液体供給システム100がプリンタタンク17Wから管8を介してサーバタンク6Wに白インクを戻す動作を「戻し動作」という。本実施形態の戻し動作では、液体供給システム100は、複数のプリンタ1のそれぞれのプリンタタンク17Wから管8を介してサーバタンク6Wに向けて白インクを、並行してまたは複数のプリンタ1の1台ずつ戻すことができる。
【0066】
戻し動作が行われた場合の白インクの流れの例として、第一白流路W1において、プリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wから管8を介してサーバタンク6Wに向かう白インクの流れを説明する。プリンタ1Aのプリンタタンク17Wからサーバタンク6Wに白インクが戻される場合、白インクはプリンタ1Aのプリンタタンク17W内から管82、点P2、管84、管86を介してサーバタンク6Wに向かって流れる(矢印B1参照)。プリンタ1Bのプリンタタンク17Wからサーバタンク6Wに白インクが戻される場合、白インクはプリンタ1Bのプリンタタンク17W内から管83、点P3、管85、管86を介してサーバタンク6Wに向かって流れる(矢印B2参照)。
【0067】
管82のうち点P2よりも供給流路下流の部位は、サーバタンク6Wからプリンタ1Aのプリンタタンク17Wに白インクが供給される場合と、プリンタ1Aのプリンタタンク17Wからサーバタンク6Wに白インクが戻される場合との両方の場合に、白インクが流れる。管83のうち点P3よりも供給流路下流の部位は、サーバタンク6Wからプリンタ1Bのプリンタタンク17Wに白インクが供給される場合と、プリンタ1Bのプリンタタンク17Wからサーバタンク6Wに白インクが戻される場合との両方の場合に、白インクが流れる。
【0068】
液体供給システム100は、供給動作と戻し動作の一方の実行後に他方を実行することで、サーバタンク6Wと複数のプリンタ1のそれぞれのプリンタタンク17Wとの間で管8を介して白インクを循環させることができる。液体供給システム100は、供給動作と戻し動作とを交互に繰り返すことで、サーバタンク6Wと複数のプリンタ1のそれぞれのプリンタタンク17Wとの間で管8を介して白インクを循環させてもよい。
【0069】
以下では、液体供給システム100がサーバタンク6Wとプリンタタンク17Wとの間で管8を介して白インクを循環させる動作を「循環動作」という。液体供給システム100は、例えば第一白流路W1において、循環動作を行う。これにより、液体供給システム100は、サーバタンク6W内と第一白流路W1とプリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17W内において白インクが沈降することを抑制する。
【0070】
<プリンタ1の電気的構成>
【0071】
図2に示すように、プリンタ1は制御装置40を備える。制御装置40は、CPU41、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ44、および通信部45を備える。CPU41はプリンタ1の制御を司り、プロセッサとして機能する。CPU41は例えば印刷処理を制御する。CPU41はROM42、RAM43、フラッシュメモリ44、および通信部45と電気的に接続する。
【0072】
ROM42は、CPU41がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU41が必要な情報等を記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は、不揮発性であり、後述のプリンタセンサ185の校正データ等を記憶する。通信部45は外部機器と有線または無線で通信するためのコントローラである。CPU41は通信部45によって例えば液体供給装置2と通信する。
【0073】
CPU41には主走査モータ181、副走査モータ182、ヘッドドライバ183、供給機構184、プリンタセンサ185、および操作部186が電気的に接続される。主走査モータ181、副走査モータ182、ヘッドドライバ183、および供給機構184はCPU41による制御によって駆動する。
【0074】
プリンタセンサ185は図1に示すプリンタタンク17Wに設けられる。プリンタセンサ185は、例えば圧力センサである。プリンタセンサ185は、プリンタタンク17W内の圧力を検出することで、プリンタ残量を検出する。プリンタ残量は、プリンタタンク17W内の白インクの残量である。プリンタセンサ185は検出したプリンタ残量を示す信号をCPU41に出力する。
【0075】
操作部186はタッチパネルディスプレイ等であり、各種情報を表示し、且つユーザによる操作に応じた情報をCPU41に出力する。ユーザは操作部186を操作することで、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示等をプリンタ1に入力できる。
【0076】
<液体供給装置2の電気的構成>
【0077】
図3に示すように、液体供給装置2は制御装置50を備える。制御装置50は、CPU51、ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54、および通信部55を備える。CPU51は液体供給装置2の制御を司り、プロセッサとして機能する。CPU51はROM52、RAM53、フラッシュメモリ54、および通信部55と電気的に接続する。
【0078】
ROM52は、CPU51が液体供給装置2の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU51が必要な情報等を記憶する。RAM53は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ54は、不揮発性であり、サーバセンサ71の校正データ等を記憶する。通信部55は外部機器と有線または無線で通信するためのコントローラである。CPU51は通信部55を介して例えばプリンタ1A、1B、1C、1Dのそれぞれと通信する。
【0079】
CPU51には撹拌モータ963、ポンプモータ201、211、261、271、ソレノイド221、231、281、291、サーバセンサ71、ディスプレイ56、および操作部57が電気的に接続される。
【0080】
撹拌モータ963、ポンプモータ201、211、261、271、ソレノイド221、231、281、291、およびディスプレイ56はCPU51による制御によって駆動する。サーバセンサ71は、例えばロードセルが使用された重量センサであり、サーバ残量を重量によって検出する。サーバ残量はサーバタンク6W内の白インクの残量である。サーバセンサ71は検出したサーバ残量を示す信号をCPU51に出力する。
【0081】
<外部環境の変化>
【0082】
サーバセンサ71およびプリンタセンサ185がそれぞれ出力する信号が示す値は、外部環境の変化がサーバセンサ71およびプリンタセンサ185に与える影響によって変動する可能性がある。例えば外部環境の変化がサーバセンサ71およびプリンタセンサ185に与える影響が小さいほど、サーバセンサ71およびプリンタセンサ185がそれぞれ出力する信号が示す値の変動量は小さくなる。サーバセンサ71およびプリンタセンサ185が受ける外部環境の変化には、例えば気圧の変化、気温の変化、または白インクの残量の変化がある。
【0083】
例えば気圧または気温が変化した場合に、サーバセンサ71から出力される信号が示す値の変動量と、プリンタセンサ185から出力される信号が示す値の変動量とのうち、変動量が小さい方が、外部環境の変化によって受ける影響が小さいといえる。プリンタセンサ185は圧力センサであり、サーバセンサ71は重量センサなので、サーバセンサ71の方がプリンタセンサ185よりも気圧変化の影響を受けにくい。
【0084】
プリンタセンサ185は詳細には、一端が開口し、他端が検出素子に接続する検出管を含み、開口から侵入したインク液面でふさがれた検出管内の気圧を検知する。このため、プリンタセンサ185は、温度変化による気体の収縮または膨張の影響を受けやすい。よって、サーバセンサ71の方がプリンタセンサ185よりも気温変化の影響を受けにくい。
【0085】
プリンタ残量は、白インクが使用される印刷処理が行われることによって減少する。プリンタ残量は、プリンタタンク17Wとヘッド14との間の白インクの循環によって変化する。一方で、サーバ残量は、循環動作または供給動作によって変化する。この場合、プリンタ残量もサーバ残量の変化と同様に変化する。このため、白インクの残量が変化する頻度は、プリンタ残量よりもサーバ残量の方が低い。よって、サーバセンサ71の方がプリンタセンサ185よりも白インクの残量の変化の影響を受けにくい。
【0086】
以上により、サーバセンサ71が外部環境の変化によって受ける影響は、プリンタセンサ185が外部環境の変化によって受ける影響よりも小さい。したがって、CPU51はサーバセンサ71からの信号に基づいてサーバ残量を取得し、取得したサーバ残量に基づいて循環動作を制御する。
【0087】
<循環動作による残量変化>
【0088】
以下では、図4を参照し、循環動作におけるサーバ残量の変化を説明するが、プリンタ残量の変化についても、サーバ残量とプリンタ残量の合計量が循環動作中に変化しなければ、残量の増減が逆転するだけで、サーバ残量の変化と同様のことがいえる。図4は、横軸が供給ポンプ20または供給ポンプ21の駆動時間tを示し、縦軸がサーバ残量Vを示す。循環動作の開始時のサーバ残量を「循環前残量」といい、循環動作の終了時のサーバ残量を「循環後残量」という。図3に示すサーバセンサ71からの信号が示すサーバ残量を「サーバセンサ71に基づくサーバ残量」ともいう。
【0089】
本実施形態では、CPU41とプリンタセンサ185との間に設けられたA/Dコンバータ(図示略)と、CPU51とサーバセンサ71との間に設けられたA/Dコンバータ(図示略)との分解能は互いに同じである。さらに、上述したように、サーバタンク6Wの容量の方がプリンタタンク17Wの容量よりも大きいので、サーバタンク6Wの方がプリンタセンサ185よりも広い残量範囲を検出する。このため、本実施形態では、サーバセンサ71の分解能はプリンタセンサ185の分解能よりも低くなる。例えばサーバセンサ71の分解能が低いほど、サーバセンサ71に基づくサーバ残量が実際のサーバ残量からずれる量が大きくなりやすい。特に、循環動作の開始時に、サーバセンサ71に基づく循環前残量が、実際の循環前残量からずれる可能性がある。サーバセンサ71に基づく循環前残量が実際の循環前残量からずれていると、循環後残量が、サーバセンサ71に基づく循環前残量になるように循環動作が制御されても、循環後残量が実際の循環前残量から変化する可能性がある。
【0090】
例えば循環後残量が実際の循環前残量から減少する場合、循環動作が繰り返し行われることによって、その都度減少する分だけプリンタ残量が増加する。この場合、プリンタタンク17Wから白インクが溢れる可能性がある。
【0091】
本実施形態の循環動作では、供給動作が行われた後、戻し動作が行われる。このため、時点T0において循環動作が開始されると、サーバ残量Vは供給動作によって実際の循環前残量Vsから減少する。供給動作は、駆動時間tが時点T3に達するまで供給時間Tsの間行われる。循環動作の開始(時点T0)から供給時間Tsが経過し、駆動時間tが時点T3に達すると、供給動作が停止され、戻し動作が行われる。
【0092】
以下では、供給動作終了時のサーバ残量Vを「供給後残量Vb」という。サーバ残量Vは戻し動作によって供給後残量Vbから増加する。例えばサーバセンサ71の分解能に起因して、サーバセンサ71に基づく循環前残量Vaが実際の循環前残量Vsよりも少なかった場合、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vがサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaに達した時点T4では、実際のサーバ残量Vは実際の循環前残量Vsよりも少ない可能性がある。
【0093】
本実施形態では、詳細は後述するが、サーバセンサ71に基づく循環前残量Vaとサーバセンサ71に基づく供給後残量Vbとに基づいて加算時間Tcが算出される。さらに、戻し動作において、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vがサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaになった後、時点T4から時点T5まで、追加で加算時間Tc分の戻し動作が行われる。時点T4から加算時間Tcが経過し、駆動時間tが時点T5に達すると、戻し動作が停止され、循環動作が終了する。これにより、実際のサーバ残量Vがサーバ残量Vaから、加算時間Tcに応じたサーバ残量Veまで増加する。よって、液体供給システム100は、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsに近付けることに貢献する。
【0094】
<メイン処理>
【0095】
例えば液体供給装置2に電源が投入された場合、または図1に示すサーバタンク6Wが交換された場合、CPU51は、ROM52から制御プログラムを読み出して動作することで、図5に示すメイン処理を実行する。例えば、CPU51は、図2に示す操作部186を介して、電源ボタン(図示略)がユーザによって操作されたことを検出した場合、液体供給装置2に電源が投入されたと判断する。
【0096】
本実施形態において、サーバタンク6Wの交換は、サーバタンク6Wに白インクを補充する場合と、交換前のサーバタンク6Wを新たなサーバタンク6Wに交換する場合とを含む。ユーザは、例えばサーバタンク6Wを交換すると、図2に示す操作部186を操作し、サーバタンク6Wを交換したことを示す情報を液体供給装置2に入力する。CPU51は、例えばサーバタンク6Wを交換したことを示す情報を、操作部186を介して検出した場合、サーバタンク6Wが交換されたと判断する。
【0097】
メイン処理では、CPU51は、供給動作および戻し動作に関する制御を行う。メイン処理では、第二白流路W2について第一白流路W1と同様に供給動作および戻し動作に関する制御が行われる。本実施形態では、メイン処理について、第一白流路W1に関する制御を説明し、第二白流路W2に関する制御の説明を省略する。
【0098】
メイン処理では、循環フラグが使用される。循環フラグは、RAM53に記憶され、液体供給装置2への電源投入後、またはサーバタンク6Wの交換後1回目の循環動作が行われたか否かを示す。本実施形態では、液体供給装置2への電源投入後、またはサーバタンク6Wの交換後1回目の循環動作が行われていない場合、循環フラグには「0」が設定される。液体供給装置2への電源投入後、またはサーバタンク6Wの交換後1回目の循環動作が行われた場合、循環フラグには「1」が設定される。
【0099】
図5に示すように、メイン処理が開始されると、CPU51は初期処理を行う(S11)。初期処理では、CPU51は図3に示すソレノイド221、231、281、291を制御し、図1に示す供給バルブ22、23、循環バルブ28、29のすべてを閉状態にする。CPU51は循環フラグに「0」を設定する。
【0100】
CPU51は、プリンタ1Aまたはプリンタ1Bから、後述の供給処理(S13)を行うための供給要求を取得したか否かを判断する(S12)。例えば、プリンタ1Aが白インクを用いた印刷処理を行うと、プリンタ1Aのプリンタタンク17W内の白インクが消費され、プリンタ1Aのプリンタ残量が減少する。例えばプリンタ1Aにおいて、プリンタ残量が所定の供給開始残量以下になった場合、CPU41は、供給要求を液体供給装置2に送信する。供給開始残量は、例えばフラッシュメモリ44にあらかじめ記憶される。
【0101】
プリンタ1A、1Bのいずれからも、供給要求を取得していない場合(S12:NO)、CPU51は処理をS14の処理に移行する。プリンタ1Aまたはプリンタ1Bから、供給要求を取得した場合(S12:YES)、CPU51は供給処理を行う(S13)。
【0102】
供給処理(S13)では、CPU51は、供給要求を取得したプリンタ1のプリンタタンク17Wについて、供給動作を制御する。例えばプリンタ1Aから供給要求を取得した場合、CPU51は、供給動作において、図3に示すソレノイド221を制御し、図1に示す供給バルブ22を開状態にする。この状態で、CPU51は図3に示すポンプモータ201を制御し、図1に示す供給ポンプ20の駆動を開始する。これにより、白インクがサーバタンク6Wから管8を介してプリンタ1Aのプリンタタンク17Wに供給される。
【0103】
例えば、供給動作によってプリンタ残量が所定の供給停止残量に達した場合、CPU41は、供給停止要求を液体供給装置2に送信する。供給停止残量は例えばフラッシュメモリ44にあらかじめ記憶される。供給停止残量は例えば供給開始残量よりも多い。例えばプリンタ1Aから供給停止要求を取得した場合、CPU51は、図3に示すポンプモータ201の駆動を停止し、図1に示す供給ポンプ20の駆動を停止する。CPU51は、図3に示すソレノイド221を制御し、図1に示す供給バルブ22を閉状態にする。これにより、CPU51は、供給動作を停止し、供給処理を終了する。
【0104】
CPU51は、CPU51はRAM53のタイマカウンタを参照し、プリンタ1A、1Bのそれぞれについて、循環インターバルが経過したか否かを判断する(S14)。本実施形態では、プリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wについて、後述の循環処理(S15)が周期的に行われる。第一循環処理と第二循環処理を定義する。第一循環処理は、周期的に行われる循環処理のうちの一つである。第二循環処理は、周期的に行われる循環処理のうち第一循環処理の次の循環処理である。循環インターバルは、第一循環処理と第二循環処理との間の時間であり、例えばフラッシュメモリ54にあらかじめ記憶される。循環インターバルは、特定の長さに限定されないが、例えば4時間である。
【0105】
プリンタ1A、1Bのいずれについても、循環インターバルが経過していない場合(S14:NO)、CPU51は処理をS12の処理に戻す。以下では、循環インターバルが経過したプリンタ1を「対象プリンタ」という。プリンタ1Aまたはプリンタ1Bについて、循環インターバルが経過した場合(S14:YES)、CPU51は対象プリンタについて循環処理を行う(S15)。循環処理では、CPU51は対象プリンタのプリンタタンク17Wについて循環動作を制御する。CPU51は処理をS12の処理に戻す。
【0106】
図6図7を参照し、循環処理(S15)の詳細を説明する。図6に示すように、循環処理が開始されると、CPU51は図3に示すサーバセンサ71からサーバ残量Vを取得する(S21)。CPU51はS21の処理で取得されたサーバ残量Vを循環前残量Va(図4参照)としてRAM53に記憶する(S22)。
【0107】
CPU51は、対象プリンタのプリンタタンク17Wについて供給動作を開始する(S23、図4に示す時点T0)。例えば対象プリンタがプリンタ1Aの場合、S23の処理では、CPU51は、図3に示すソレノイド221を制御し、図1に示す供給バルブ22を開状態にする。この状態で、CPU51は図3に示すポンプモータ201を制御し、図1に示す供給ポンプ20の駆動を開始する。これにより、白インクがサーバタンク6Wから管8を介してプリンタ1A(対象プリンタ)のプリンタタンク17Wに供給される。
【0108】
CPU51はRAM53のタイマカウンタを参照し、図4に示す供給時間Tsが経過したか否かを判断する(S24)。供給時間Tsは、供給動作の開始から終了までの時間であり、例えばフラッシュメモリ54にあらかじめ記憶される。
【0109】
供給時間Tsが経過していない場合(S24:NO)、CPU51は、供給時間Tsが経過するまでS24の処理を繰り返す。供給時間Tsが経過した場合(S24:YES、図4に示す時点T3)、CPU51は対象プリンタのプリンタタンク17Wについて供給動作を停止する(S25)。S25の処理では、CPU51は、例えば図3に示すポンプモータ201の駆動を停止し、図1に示す供給ポンプ20の駆動を停止する。CPU51は、図3に示すソレノイド221を制御し、図1に示す供給バルブ22を閉状態にする。これにより、サーバタンク6Wから管8を介してプリンタ1A(対象プリンタ)のプリンタタンク17Wに白インクが供給されることが停止される。
【0110】
CPU51は図3に示すサーバセンサ71からサーバ残量Vを取得する(S31)。CPU51はS31の処理で取得されたサーバ残量Vを供給後残量VbとしてRAM53に記憶する(S32)。CPU51はS22の処理で記憶された循環前残量VaとS32の処理で記憶された供給後残量Vbとに基づいて、所定の算出式によって、図8に示す算出時間Tbを算出する(S33)。算出式は例えばフラッシュメモリ54にあらかじめ記憶される。算出時間Tbは、図4に示す加算時間Tcを算出するための時間である。CPU51は算出した算出時間TbをRAM53に記憶する。以下では、RAM53に記憶された最新の算出時間Tbを「今回の算出時間Tb」ともいう。
【0111】
図8を参照し、S33の処理で使用される算出式を説明する。図8では、横軸が供給ポンプ20または供給ポンプ21の駆動時間tを示し、縦軸がサーバセンサ71の読み値mを示す。読み値mは、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vに対応する。このため、異なる2点間の読み値mの差(例えばM1-M2)は、供給ポンプ20または供給ポンプ21によってサーバタンク6Wから管8を介して対象プリンタのプリンタタンク17Wに供給される白インクの量に対応する。読み値mは、詳細には、サーバセンサ71からCPU51に出力される信号からCPU51が読み取る値である。読み値mは、M1、M1-1、・・・、M2+1、M2の順に1ずつ小さくなる。
【0112】
時点T0は、供給動作(S23の処理)の開始点である。読み値M1は、時点T0の読み値mであり、サーバセンサ71に基づく循環前残量Va(図4参照)に対応する。読み値M2は、時点T3の読み値mであり、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vb(図4参照)に対応する。図8は、供給動作によって供給時間Ts内に読み値mが読み値M1から読み値M2に変化した場合を示す。
【0113】
本実施形態では、S23の処理で供給動作が開始されてからS25の処理で供給動作が停止されるまで、あらかじめ規定された供給時間Tsの間、一定速度で供給ポンプ20または供給ポンプ21が回転する。供給ポンプ20または供給ポンプ21が一定速度で回転する場合、供給ポンプ20または供給ポンプ21によってサーバタンク6Wから管8を介して対象プリンタのプリンタタンク17Wに供給される白インクの量は、供給ポンプ20または供給ポンプ21の駆動時間tに比例する。このため、サーバセンサ71の読み値mが「1」変化するのにかかる時間Taは、以下の式(1)または式(2)によって示される。CPU51はS23の処理において、式(1)および式(2)のいずれを用いてもよい。
Ta=Ts/(M1-M2)・・・式(1)
Ta=(T2-T1)/[(M1-1)-(M2+1)]・・・式(2)
【0114】
例えば読み値M1は、時点T0の読み値mなので、読み値M1に対応するサーバ残量Vと実際のサーバ残量Vとの間のずれ量が定まりにくい。これに対し、読み値(M1-1)は、駆動時間tによらず、読み値mが読み値M1から読み値(M1-1)に切り替わった時点のサーバ残量Vに対応する。このため、読み値(M1-1)に対応するサーバ残量Vと実際のサーバ残量Vとの間のずれ量は、一定値に定まりやすい。よって、読み値(M1-1)の方が読み値M1よりも、実際のサーバ残量Vとの間のずれ量のばらつきが小さい。
【0115】
例えば読み値M2は、供給時間Tsが経過した時点T3の読み値mなので、読み値M2に対応するサーバ残量Vと実際のサーバ残量Vとの間のずれ量が定まりにくい。これに対し、読み値(M2+1)は、駆動時間tによらず、読み値mが読み値(M2+2)から読み値(M2+1)に切り替わった時点のサーバ残量Vに対応する。このため、読み値(M2+1)に対応するサーバ残量Vと実際のサーバ残量Vとの間のずれ量は、一定値に定まりやすい。よって、読み値(M2+1)の方が読み値M2よりも、実際のサーバ残量Vとの間のずれ量のばらつきが小さい。
【0116】
式(1)では、読み値M1、M2が使用される。式(2)では、読み値M1、M2に代えて読み値(M1-1)、(M2+1)が使用される。上述したように読み値M1、M2よりも読み値(M1-1)、(M2+1)の方が実際のサーバ残量Vとの間のずれ量のばらつきが小さいので、式(2)の方が式(1)よりも時間Taのばらつきが小さい。一方で、式(1)では読み値M1、M2がそのまま使用される。さらに、式(2)では、CPU51は、読み値mが読み値(M1-1)となるときの駆動時間tを時間T1とし、読み値mが読み値(M2+1)となるときの駆動時間tを時間T2とし、時間T1、T2を特定する必要がある。このため、CPU51は、式(1)の方が式(2)よりも簡易に時間Taを算出できる。
【0117】
S33の処理では、CPU51は、式(1)または式(2)で算出された時間Taに基づいて、以下の式(3)によって算出時間Tbを算出する。
Tb=α×Ta・・・式(3)
係数αは特定の値に限定されないが、例えば1未満であり、本実施形態では、1/2である。つまり、本実施形態では、時間Taの半分の時間が算出時間Tbとなる。上述したように、時間Taは、サーバセンサ71の読み値mが「1」変化するのにかかる時間である。よって、算出時間Tbは、サーバセンサ71の読み値mが係数α分変化するのにかかる時間である。
【0118】
図6の説明に戻る。CPU51は循環フラグの状態に基づいて、実行中の循環動作が液体供給装置2の電源投入後の1回目の循環動作またはサーバタンク6Wの交換後の1回目の循環動作であるかを判断する(S41)。循環フラグに「0」が設定されている場合、CPU51は実行中の循環動作が液体供給装置2の電源投入後の1回目の循環動作またはサーバタンク6Wの交換後の1回目の循環動作であると判断する(S41:YES)。この場合、今回の算出時間Tbは、前回の加算時間Tcから大きく変化している可能性が比較的高い。このため、CPU51は、今回の算出時間Tbを加算時間TcとしてRAM53に記憶する(S44)。前回の加算時間Tcは、前回のS33の処理で算出された算出時間Tbに基づく時間であり、S44およびS46の処理が行われる前の時点でRAM53に記憶されている最新の加算時間Tcである。CPU51は、処理を図7に示すS51の処理に移行する。
【0119】
循環フラグに「1」が設定されている場合、CPU51は実行中の循環動作が液体供給装置2の電源投入後の1回目の循環動作およびサーバタンク6Wの交換後の1回目の循環動作のいずれでもないと判断する(S41:NO)。この場合、今回の算出時間Tbは、前回の加算時間Tcから大きく変化している可能性が比較的低い。CPU51は今回の算出時間Tbと前回の加算時間Tcとの差を算出する(S42)。加算時間Tcは、S44の処理または後述のS46の処理でRAM53に記憶される。
【0120】
例えば管8の構成(長さ、径)が変更された場合、供給ポンプ20、21が変更された場合、プリンタタンク17Wとサーバタンク6Wの上下方向の位置関係が変更された場合等、プリンタタンク17Wとサーバタンク6W間の流路に関する構成(以下、単に「流路構成」という。)が変更された場合には、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が大きくなる可能性がある。一方で、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が小さい場合、流路構成が変更されていない可能性が高い。このため、CPU51は、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が所定値以上であるかを判断する(S43)。所定値は、流路構成が変更された可能性を判断するための値であり、フラッシュメモリ54にあらかじめ記憶される。
【0121】
前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が所定値以上の場合(S43:YES)、流路構成が変更された可能性が比較的高い。この場合、加算時間Tcには、変更後の流路構成に応じた時間が設定されるのが好ましい。つまり、流路構成が変更された状態においてS33の処理で算出された算出時間Tbが加算時間Tcに設定されるのが好ましい。このため、CPU51は、今回の算出時間Tbを加算時間TcとしてRAM53に記憶する(S44)。CPU51は、処理を図7に示すS51の処理に移行する。
【0122】
前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が所定値未満の場合(S43:NO)、流路構成が変更された可能性は比較的低い。この場合、加算時間Tcとして前回の加算時間Tcが加味されることで、加算時間Tcの精度がより高くなる。このため、CPU51は、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとに基づく時間を、加算時間TcとしてRAM53に記憶する(S46)。前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとに基づく時間は、例えば、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの平均である。前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとに基づく時間は、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとに重みづけがされて算出されてもよい。CPU51は処理を図7に示すS51の処理に移行する。
【0123】
図7に示すように、CPU51は、対象プリンタのプリンタタンク17Wについて戻し動作を開始する(S51、図4に示す時点T3)。例えば対象プリンタがプリンタ1Aの場合、S51の処理では、CPU51は、図3に示すソレノイド281を制御し、図1に示す循環バルブ28を開状態にする。この状態で、CPU51は図3に示すポンプモータ261を制御し、図1に示す循環ポンプ26の駆動を開始する。これにより、白インクがプリンタ1A(対象プリンタ)のプリンタタンク17Wから管8を介してサーバタンク6Wに戻される。
【0124】
CPU51は図3に示すサーバセンサ71からサーバ残量Vを取得する(S52)。CPU51は、S52の処理で取得されたサーバ残量VがS22の処理で記憶された循環前残量Va(図4参照)に達したか否かを判断する(S53)。サーバ残量Vが循環前残量Vaよりも少ない場合(S53:NO)、CPU51は処理をS52の処理に戻す。
【0125】
サーバ残量Vが循環前残量Vaに達した場合(S53:YES、図4に示す時点T4)、CPU51は、今回の加算時間Tc(図4参照)の計時を開始する(S54)。今回の加算時間Tcは、S44またはS46の処理でRAM53に記憶された時間であり、S54の処理の時点でRAM53に記憶されている最新の加算時間Tcである。CPU51はS53の処理の後、対象プリンタのプリンタタンク17Wについて戻し動作を停止することなくS53の処理を行う。つまり、S51の処理で開始された戻し動作においてサーバ残量Vが循環前残量Vaに達した後、継続して、今回の加算時間Tc分の戻し動作が行われる。
【0126】
CPU51は今回の加算時間Tcが経過したかを判断する(S55)。今回の加算時間Tcが経過していない場合(S55:NO)、CPU51はS55の処理を繰り返す。今回の加算時間Tcが経過した場合(S55:YES、図4に示す時点T5)、CPU51は、対象プリンタのプリンタタンク17Wについて戻し動作を停止する(S56)。これにより、実際のサーバ残量Vがサーバ残量Vaから、今回の加算時間Tcに応じたサーバ残量Veまで増加する(図4参照)。
【0127】
S56の処理では、例えば、CPU51は、図3に示すポンプモータ261の駆動を停止し、図1に示す循環ポンプ26の駆動を停止する。CPU51は図3に示すソレノイド281を制御し、図1に示す循環バルブ28を閉状態にする。これにより、プリンタ1A(対象プリンタ)のプリンタタンク17Wから管8を介してサーバタンク6Wに白インクが戻されることが停止される。CPU51は循環フラグに「1」を設定する(S57)。CPU51は処理を図5に示すメイン処理に戻す。
【0128】
<実施形態の効果>
【0129】
CPU51は、サーバセンサ71に基づく循環前残量Vaを取得する(S21)。CPU51は、S21の処理の後に、供給動作を行う(S23~S25)。CPU51はS23の処理の後に、サーバセンサ71に基づく供給後残量Vbを取得する(S31)。CPU51はサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaおよびサーバセンサ71に基づく供給後残量Vbに基づいて、算出時間Tbを算出する(S33)。CPU51は算出時間Tbに基づいて戻し動作を行う(S51~S56)。これによれば、S23~S25の処理とS51~S56の処理とが行われることで、プリンタタンク17Wとサーバタンク6Wとの間で管8を介して白インクが循環する。S51~S56の処理において、算出時間Tbに基づいて戻し動作が行われる。よって、液体供給システム100は、算出時間Tbに基づかずに戻し動作が行われる場合に比べて、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsに近付けることに貢献する。
【0130】
なお、上記実施形態では、加算時間Tcに基づいて戻し動作が行われる。加算時間Tcは、今回の算出時間Tb、または前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとに基づく時間である。いずれにしても、加算時間Tcは算出時間Tbに基づく時間である。したがって、加算時間Tcに基づいて戻し動作を行うことは、算出時間Tbに基づいて戻し動作を行うといえる。
【0131】
例えばサーバセンサ71に基づくサーバ残量Vがサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaになった時点T4で、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vと実際の循環前残量Vsとの間に特定量(Vs-Va)の差があったとする。上記実施形態では、CPU51は、S51の処理で戻し動作を行って、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vがサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaになった後、算出時間Tbに基づく加算時間Tcの間、戻し動作を行う。これにより、実際の循環後残量Veと実際の循環前残量Vsと間の差が特定量(Vs-Va)よりも小さくなる。よって、液体供給システム100は、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsに近付けることにさらに貢献する。
【0132】
仮に、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vがサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaになった時点T4で実行中の戻し動作が停止した場合、S51の処理からS56の処理までにかかる時間が長くなる可能性がある。上記実施形態では、CPU51は、S51の処理で戻し動作を行って、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vがサーバセンサ71に基づく循環前残量Vaになった時点T4から、実行中の戻し動作を停止することなく、算出時間Tbに基づく加算時間Tcの間、戻し動作を行う。よって、液体供給システム100は、S51の処理からS56の処理までにかかる時間が長くなることを抑制することに貢献する。
【0133】
上記実施形態では、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vが取得される。サーバセンサ71が受ける外部環境の変化による影響は、プリンタセンサ185が受ける外部環境の変化による影響よりも小さい。よって、液体供給システム100は、プリンタセンサ185からプリンタ残量が取得される場合に比べて、外部環境が変化しても、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsに近付けることに貢献する。
【0134】
上記実施形態では、CPU51は、液体供給装置2の電源投入後1回目の循環動作の場合、またはサーバタンク6Wの交換後1回目の循環動作の場合(S41:YES)、前回の加算時間Tcに基づかず、今回の算出時間Tbに基づいて戻し動作を行う。すなわち、算出時間Tbが前回から大きく変化する可能性が比較的高い場合に、今回の算出時間Tbに基づいて戻し動作が行われる。よって、液体供給システム100は、算出時間Tbが前回から大きく変化する可能性が比較的高い場合、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsにより確実に近付けることに貢献する。
【0135】
上記実施形態では、CPU51は、液体供給装置2の電源投入後2回目以降の循環動作の場合、またはサーバタンク6Wの交換後2回目以降の循環動作の場合(S41:NO)、前回の加算時間Tcに基づいて戻し動作を行う。前回の加算時間Tcは、前回の戻し動作で使用されて既に実績のある時間である。よって、液体供給システム100は、算出時間Tbが前回から大きく変化する可能性が比較的低い場合、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsにより確実に近付けることに貢献する。
【0136】
上記実施形態では、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が所定値以上の場合(S43:YES)、CPU51は、前回の加算時間Tcに基づかず、今回の算出時間Tbに基づいて戻し動作を制御する(S44、S51、S56)。よって、液体供給システム100は、流路構成が変更された可能性が比較的高い場合に、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsにより確実に近付けることに貢献する。
【0137】
上記実施形態では、前回の加算時間Tcと今回の算出時間Tbとの差が所定値以上でない場合(S43:NO)、CPU51は、前回の加算時間Tcに基づいて戻し動作を制御する(S46、S51、S56)。前回の加算時間Tcは、変更されていない流路構成において、前回の戻し動作で使用されて既に実績のある時間である。よって、液体供給システム100は、流路構成が変更されていない可能性が比較的高い場合に、実際の循環後残量Veを実際の循環前残量Vsにより確実に近付けることに貢献する。
【0138】
<対応関係>
【0139】
上記実施形態において、プリンタ1が本発明の「プリンタ」に相当する。プリンタタンク17Wが本発明の「プリンタタンク」および「第二タンク」に相当する。白インクが本発明の「液体」に相当する。液体供給システム100が本発明の「液体供給システム」に相当する。サーバタンク6Wが本発明の「サーバタンク」および「第一タンク」に相当する。管8が本発明の「管」に相当する。供給ポンプ20、21、供給バルブ22、23、循環ポンプ26、27、および循環バルブ28、29が本発明の「送液機構」に相当する。CPU51が本発明の「制御部」および「コンピュータ」に相当する。サーバセンサ71が本発明の「サーバセンサ」に相当する。プリンタセンサ185が本発明の「プリンタセンサ」に相当する。サーバセンサ71が本発明の「残量センサ」に相当する。液体供給装置2が本発明の「液体供給装置」に相当する。
【0140】
図6に示すS21の処理が本発明の「第一取得処理」に相当する。図6に示すS23の処理が本発明の「第一送液処理」に相当する。図6に示すS31の処理が本発明の「第二取得処理」に相当する。循環前残量Vaが本発明の「第一残量」に相当する。供給後残量Vbが本発明の「第二残量」に相当する。算出時間Tbが本発明の「算出時間」に相当する。図6に示すS33の処理が本発明の「算出処理」に相当する。図7に示すS51の処理が本発明の「第二送液処理」に相当する。
【0141】
図5に示すS15の処理が本発明の「循環処理」に相当する。図6に示すS41の処理または図6に示すS43の処理が本発明の「判断処理」に相当する。前回の加算時間Tcが本発明の「特定時間」に相当する。前回のS33の処理で算出された算出時間Tbが本発明の「第一算出時間」に相当する。今回の算出時間Tbが本発明の「第二算出時間」に相当する。
【0142】
<変形例>
【0143】
本発明は上記実施形態から変更されてもよい。以下説明する変形例は、矛盾が生じない範囲において、互いに適宜組み合わされてもよい。
【0144】
循環処理において、CPU51は、供給動作と戻し動作の実行順序を変更してもよい。例えば、CPU51は、S23の処理で戻し動作を開始し、S25の処理で戻し動作を停止し、S51の処理で供給動作を開始し、S56の処理で供給動作を停止してもよい。
【0145】
上記実施形態では、供給時間Tsが経過した場合(S24:YES)、CPU51は供給動作を停止する(S25)。これに対し、CPU51は、S23の処理で供給動作が開始されてからの供給ポンプ20、21の積算回転数が所定の積算回数に達した場合、S23の処理で供給動作が開始されてからのサーバ残量Vの変化量が所定の変化量に達した場合等に、供給動作を停止してもよい。
【0146】
上記実施形態では、サーバ残量Vが循環前残量Vaに達した場合(S53:YES)、CPU51は加算時間Tcの計時を開始する(S54)。これに対し、CPU51は、S51の処理で戻し動作が開始されてからの循環ポンプ26、27の積算回転数が所定の積算回数に達した場合、S51の処理で戻し動作が開始されてからのサーバ残量Vの変化量が所定の変化量に達した場合等に、加算時間Tcの計時を開始してもよい。CPU51は、供給動作および循環動作をプリンタ残量に基づいて制御してもよい。
【0147】
上記実施形態では、戻し動作において、サーバ残量Vが循環前残量Vaに達した場合に(S53:YES)、CPU51は実行中の戻し動作を停止することなく、加算時間Tcの計時を開始する。これに対し、戻し動作において、サーバ残量Vが循環前残量Vaに達した場合に(S53:YES)、CPU51は実行中の戻し動作を一旦停止してもよい。その後、CPU51は戻し動作を再開するとともに、加算時間Tcの計時を開始してもよい。
【0148】
上記実施形態では、CPU51は、サーバセンサ71に基づくサーバ残量Vを取得し、取得したサーバ残量Vに基づいて供給動作および戻し動作を制御する。これに対し、CPU51は、例えばS21、S31、およびS52の処理でプリンタセンサ185からの信号に基づいてプリンタ残量を取得し、取得したプリンタ残量に基づいて供給動作および戻し動作を制御してもよい。
【0149】
サーバセンサ71の分解能はプリンタセンサ185の分解能と同じでもよいし、プリンタセンサ185の分解能よりも高くてもよい。サーバセンサ71が外部環境の変化によって受ける影響は、プリンタセンサ185が外部環境の変化によって受ける影響と同じでもよいし、プリンタセンサ185が外部環境の変化によって受ける影響よりも大きくてもよい。
【0150】
CPU51は、S41の処理を省略してもよい。この場合、CPU51はS33の処理の後、S42の処理を行うとよい。CPU51は、S42およびS43の処理を省略してもよい。この場合、実行中の循環動作が液体供給装置2の電源投入後の1回目の循環動作およびサーバタンク6Wの交換後の1回目の循環動作のいずれでもなければ(S41:NO)。CPU51は、S46の処理を行うとよい。
【0151】
CPU51はS41、S42、およびS43の処理を省略してもよい。この場合、CPU41は、S33の処理の後、S44の処理を行ってもよい。CPU51は、S33の処理の後、S46の処理を行ってもよい。CPU51はS44またはS46の処理において、加算時間Tcをフラッシュメモリ44に記憶してもよい。この場合、液体供給装置2の電源が切られても、フラッシュメモリ44は前回の加算時間Tcを保持する。
【0152】
上記実施形態において、CPU51はS46の処理で、今回の算出時間Tbに基づくことなく、前回の加算時間Tcをそのまま加算時間Tcとして記憶してもよい。算出時間Tbを算出するための算出式は、上記実施形態に限定されない。算出式は、例えば、供給ポンプ20、21、循環ポンプ26、27のそれぞれの回転速度の変位、それぞれの回転速度の関係等に基づいて適宜変更されてもよい。CPU51は、算出時間Tbに基づいて時点T3から時点T5までの時間を加算時間Tcとして算出してもよい。
【0153】
上記実施形態において、S41の処理では、CPU51は、実行中の循環動作が、液体供給装置2の電源投入後1回目の循環動作であるかを判断し、サーバタンク6Wの交換後1回目の循環動作であるかを判断しなくてもよい。CPU51は、実行中の循環動作が、サーバタンク6Wの交換後1回目の循環動作であるかを判断し、液体供給装置2の電源投入後1回目の循環動作であるかを判断しなくてもよい。CPU51は、実行中の循環動作が、プリンタ1の電源投入後1回目の循環動作であるかを判断してもよい。
【0154】
例えば第一白流路W1において、液体供給装置2は供給ポンプ20、21の一方または両方を省略してもよい。例えば供給ポンプ20、21の両方が省略される場合、CPU51は供給バルブ22、23の一方または両方を開状態と閉状態とに制御する。これにより、CPU51は、サーバタンク6Wとプリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wとの間の水頭差を利用して、サーバタンク6Wからプリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wへの白インクの供給を制御してもよい。
【0155】
例えば第一白流路W1において、液体供給装置2は循環ポンプ26、27の一方または両方を省略してもよい。例えば循環ポンプ26、27の両方が省略される場合、CPU51は循環バルブ28、29の一方または両方を開状態と閉状態とに制御する。これにより、CPU51は、サーバタンク6Wとプリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wとの間の水頭差を利用して、プリンタ1A、1Bのそれぞれのプリンタタンク17Wからサーバタンク6Wへの白インクの戻しを制御してもよい。
【0156】
例えば第一白流路W1において、液体供給装置2は供給バルブ22、23の一方または両方を省略してもよい。第一白流路W1において、液体供給装置2は循環バルブ28、29の一方または両方を省略してもよい。第一白流路W1において、液体供給装置2はフィルタ24、25の一方または両方を省略してもよい。
【0157】
液体供給装置2は例えば管82において、供給ポンプ20、供給バルブ22、およびフィルタ24の供給流路上流または下流の位置関係を適宜変更してもよい。同様に、液体供給装置2は例えば管83において、供給ポンプ21、供給バルブ23、およびフィルタ25の供給流路上流または下流の位置関係を適宜変更してもよい。
【0158】
液体供給装置2は例えば管84において、循環ポンプ26と循環バルブ28の循環流路上流または下流の位置関係を適宜変更してもよい。同様に、液体供給装置2は例えば管85において、循環ポンプ27と循環バルブ29の循環流路上流または下流の位置関係を適宜変更してもよい。
【0159】
一つの液体供給装置2に対して一つのプリンタ1が管8によって接続されてもよいし、2つまたは3つのプリンタ1が接続されてもよいし、5つ以上のプリンタ1が接続されてもよい。液体供給装置2は複数のサーバタンクのうち例えばサーバタンク6Wのみを備え、他のサーバタンクを省略してもよい。この場合、プリンタ1は複数のプリンタタンクのうち例えばプリンタタンク17Wのみを備え、他のプリンタタンクを省略してもよい。プリンタ1は他のヘッドを省略してもよい。
【0160】
液体供給システム100は、液体供給装置2から複数のプリンタ1のそれぞれに、液体として例えば前処理剤、後処理剤、または水を供給してもよい。例えば水はプリンタ1内の雰囲気を加湿するために使用されてもよい。この場合、複数のプリンタ1は、それぞれ、加湿器を備えてもよい。加湿器はプリンタ1内に設けられ、プリンタ1内の雰囲気を加湿する。管8は水を収容するサーバタンクと加湿器のタンクとを互いに接続するとよい。メイン処理は、第一白流路W1および第二白流路W2に代えて、または加えて水の流路に適用されてもよい。同様に、メイン処理は、例えばカラーインク、前処理剤、または後処理剤の流路に適用されてもよい。
【0161】
プリンタ1の構成は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態において、プリンタ1はインクジェットプリンタとは異なるタイプでもよく、レーザプリンタ、テーププリンタ等でもよい。複数のヘッド14はインクジェットヘッドに限らず、サーマルヘッド等でもよい。ヘッド14および他のヘッドはラインヘッドであってもよい。例えばプリンタ1は液体のインクを使用しなくても、加湿器を備えるとよい。この場合、液体供給システム100は液体供給装置2から管8を介してプリンタ1の加湿器に水を供給する。
【0162】
サーバセンサ71は光学センサまたは電極式レベルセンサであってもよい。この場合、サーバセンサ71はサーバタンク6W内の液面の高さを検出することで、サーバ残量を検出してもよい。サーバセンサ71は圧力センサであってもよい。この場合、サーバセンサ71はサーバタンク6W内の圧力を検出することで、サーバ残量を検出してもよい。
【0163】
プリンタセンサ185は重量センサであってもよい。この場合、プリンタセンサ185はプリンタ残量の重量を検出することで、プリンタ残量を検出してもよい。プリンタセンサ185は光学センサまたは電極式レベルセンサであってもよい。この場合、プリンタセンサ185はプリンタタンク17W内の液面の高さを検出することで、プリンタ残量を検出してもよい。
【0164】
管8の本数、枝分かれ態様等の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、サーバタンク6Wと、1つのプリンタ1のプリンタタンク17Wとが複数本(例えば2本)の枝分かれしない管8によって接続されてもよい。この場合、供給動作と戻り動作において、それぞれ異なる管8を白インクが流れる。例えば管84は、点P2において管82に接続することなく、プリンタ1Aのサーバタンク6Wに直接接続してもよい。管85は、点P4において管84に接続することなく、サーバタンク6Wに直接接続してもよい。サーバタンク6Wと、1つのプリンタ1のプリンタタンク17Wとが1本の枝分かれしない管8によって接続されてもよい。この場合、供給動作と戻り動作において、それぞれ同じ1本の管8を白インクが流れる。
【0165】
上記実施形態において、液体供給システム100は、供給処理の実行条件および循環処理の実行条件をそれぞれ変更してもよい。例えば、ユーザが操作部186または操作部57を操作し、供給処理または循環処理を実行するための指示をプリンタ1または液体供給装置2に入力した場合に、CPU51は供給処理または循環処理を実行してもよい。あらかじめ決められた時刻になった場合に、CPU51は循環処理を行ってもよい。
【0166】
CPU41がメイン処理を実行してもよい。この場合、液体供給システム100はCPU51を省略してもよい。CPU51がメイン処理の一部を実行し、CPU41がメイン処理の他の一部を実行してもよい。外部機器のCPUがメイン処理を実行してもよい。外部機器はプリンタ1および液体供給装置2以外の機器であり、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン等である。
【0167】
CPU41、51の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM42、52、フラッシュメモリ44、54等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM42、52またはフラッシュメモリ44、54に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0168】
1、1A、1B、1C、1D プリンタ
2 液体供給装置
6W サーバタンク
17W プリンタタンク
8、81、82、83、84、85、86 管
20、21 供給ポンプ
22、23 供給バルブ
26、27 循環ポンプ
28、29 循環バルブ
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 フラッシュメモリ
100 液体供給システム
図1
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図8