(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122136
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】アクチュエータ制御システム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
A61G 7/00 20060101AFI20240902BHJP
A61G 7/057 20060101ALI20240902BHJP
A47C 21/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61G7/00
A61G7/057
A47C21/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029504
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 昌太郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 雄人
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA01
4C040AA03
4C040BB01
4C040CC03
4C040DD06
4C040DD07
4C040EE05
(57)【要約】
【課題】ベッドの利用者の転落や床ずれを、より確実に防止することを目的とする。
【解決手段】本アクチュエータ制御システムは、ベッドに備わるマットレスを変形させる複数のアクチュエータと、マットレスが受ける力を検出する複数のセンサと、前記各アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のセンサにより検出された前記マットレスが受ける力が最大となる基準位置と、前記各アクチュエータとの距離に基づき、前記各アクチュエータの駆動を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドに備わるマットレスを変形させる複数のアクチュエータと、
マットレスが受ける力を検出する複数のセンサと、
前記各アクチュエータを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数のセンサにより検出された前記マットレスが受ける力が最大となる基準位置と、前記各アクチュエータとの距離に基づき、前記各アクチュエータの駆動を制御する、アクチュエータ制御システム。
【請求項2】
前記各アクチュエータは、前記制御装置で算出された駆動量に基づき、前記各アクチュエータに向き合う前記マットレスの領域を昇降させる、請求項1に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項3】
前記複数のセンサは、前記マットレス上の利用者から受ける荷重を検出し、
前記制御装置は、
前記複数のセンサでそれぞれ検出された複数の荷重情報と、前記複数のセンサそれぞれの位置情報に基づき、前記基準位置を推定する、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項4】
前記複数のセンサは、前記ベッドに備わる複数の脚部にそれぞれ配置される、
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項5】
前記複数のアクチュエータは、前記複数のセンサで囲まれる領域より内側に配置される、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記基準位置と、前記ベッドにおける幅方向の中央位置と、の距離が所定の閾値以上である場合、前記基準位置に対応する前記マットレスの領域を窪ませるよう、前記各アクチュエータを制御する、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記基準位置と、前記ベッドにおける幅方向の中央位置と、の距離が所定の閾値以下である場合、前記マットレスが平坦になるよう、前記各アクチュエータを制御する、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記マットレスにおける、前記基準位置から所定の閾値以下の距離内の領域を窪ませるよう、前記各アクチュエータを制御する、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ制御システム。
【請求項9】
ベッドに備わるマットレスを変形させる複数のアクチュエータを制御する制御装置であって、
前記マットレスが受ける力を検出する複数のセンサと電気的に接続され、
前記複数のセンサにより検出された前記マットレスが受ける力が最大となる基準位置と、前記各アクチュエータとの距離に基づき、前記各アクチュエータを制御する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ制御システム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッドの利用者がベッドから転落することを防止する転落防止ベッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の転落防止ベッドは、ベッドの床部と、床部を傾斜する傾動手段と、床部に配設された体動検出手段と、体動検出手段の出力に基づき床部上の被介護者がベッドから転落のおそれがあるか否か判定する判定手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転落防止ベッドにおいて、利用者がベッドから転落することを確実に防止することが求められる。また、利用者が、例えば、高齢者や、病院や施設などに入院している被介護者である場合、床ずれを防止することが求められる。
【0005】
本発明は、ベッドの利用者の転落や床ずれを、より確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るアクチュエータ制御システムは、ベッドに備わるマットレスを変形させる複数のアクチュエータと、マットレスが受ける力を検出する複数のセンサと、前記各アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のセンサにより検出された前記マットレスが受ける力が最大となる基準位置と、前記各アクチュエータとの距離に基づき、前記各アクチュエータの駆動を制御する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、ベッドの利用者の転落や床ずれを、より確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るアクチュエータ制御システムの平面図である。
【
図2】
図1におけるA-A切断線に沿うベッドの断面図である。
【
図3】第1実施形態のアクチュエータの構成を示す模式図である。
【
図4】第1実施形態に係るアクチュエータ制御システムの接続構成を示す模式図である。
【
図5】第1実施形態における制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態における制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】第1実施形態の情報取得部を説明するためのベッドの平面図である。
【
図8】第1実施形態の転落予測部の一例を説明するためのベッドの平面図である。
【
図9】第1実施形態の転落予測部の一例を説明するためのベッドの平面図である。
【
図10】第1実施形態の駆動量算出部の一例を説明するためのベッドの縦断面図である。
【
図11】第1実施形態の駆動量算出部の一例を説明するためのベッドの縦断面図である。
【
図12】第1実施形態に係るアクチュエータ制御システムの転落防止動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】第1実施形態の変形例に係るアクチュエータ制御システムの平面図である。
【
図15】第1実施形態の変形例に係るアクチュエータ制御システムの他の構成を示す断面図である。
【
図16】第2実施形態における制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図17】第2実施形態の特定部及び駆動量算出部の一例を説明するためのベッドの平面図である。
【
図18】
図17におけるC-C切断線に沿うベッドの断面図である。
【
図19】第2実施形態に係るアクチュエータ制御システムの床ずれ防止動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明の実施形態について説明する。各図面において、同一の部材には同一の符号を付す場合がある。また、各図面の説明において、既に説明した部材と同一の構成部についての説明は省略する場合がある。
【0010】
[第1実施形態]
<アクチュエータ制御システムの構成>
図1~
図3を参照して、第1実施形態に係るアクチュエータ制御システム1の全体構成を説明する。
図1は、アクチュエータ制御システム1の平面図である。
図2は、
図1におけるA-A切断線に沿うベッド2の断面図である。
図3は、アクチュエータ制御システム1に備わるアクチュエータの構成を示す模式図である。
【0011】
図1及び
図2に示されるように、第1実施形態に係るアクチュエータ制御システム1は、ベッド2に組み込まれる複数のアクチュエータ3と、複数のセンサ4と、を有する。また、アクチュエータ制御システム1は、複数のアクチュエータ3のそれぞれを制御する制御装置100をさらに有する。
【0012】
ここで、図示されるX方向は、ベッド2の幅方向に対応する。Y方向は、ベッドの奥行き方向に対応する。Z方向は、ベッドの高さ方向に対応する。X方向、Y方向、及びZ方向は、相互に直交する。
【0013】
<ベッド>
【0014】
アクチュエータ制御システム1を説明する前提として、複数のアクチュエータ3及び複数のセンサ4を組み込むベッド2の構成を説明する。ベッド2は、
図1及び
図2に示されるように、マットレス21と、ベースプレート22と、フレーム23と、脚部24と、を有する。ベッド2は、利用者一人の就寝を想定した、いわゆるシングルベッドである。すなわち、ベッド2の短手方向が、X方向に対応し、ベッド2の長手方向が、Y方向に対応する。ただし、ベッド2の形態は、これに限られず、いわゆるダブルベッドのような幅広の形態を呈するものであってもよい。この場合、ベッド2の長手方向がX方向に対応し、ベッド2の短手方向がY方向に対応する。
【0015】
マットレス21は、クッション性を有し、利用者60Pを支持する部材である。
図2では、マットレス21と利用者60Pとの間に、何らの部材が介在していない状態が示されている。ただし、これに限定されず、マットレス21上に、ベッドパットやシーツ等の他の部材が敷かれていてもよい。
【0016】
マットレス21の形状は、特に限定されないが、
図1及び
図2に示されるように、Z方向に厚みを有すると共に、X方向及びY方向に延びる一連のシート形状を呈する。ただし、マットレス21の形状は、これに限られない。例えば、マットレス21は、複数の小領域に分割された形態を備えていてもよい。
【0017】
マットレス21の種類として、例えば、スプリングマットレス、ウレタンマットレス、パームマットレス、ファイバーマットレス等が挙げられる。この中で、少ない力で変形可能なウレタンマットレス、パームマットレス、ファイバーマットレスが好ましい。ただし、これに限定されない。
【0018】
ベースプレート22は、マットレス21の下方側に位置し、マットレス21と略平行に設置される。また、ベースプレート22は、
図2に示されるように、マットレス21とベースプレート22との間に配される複数のアクチュエータ3を支持する。
【0019】
ベースプレート22の形状は、マットレス21と同様、Z方向に厚みを有すると共に、X方向及びY方向に延びる一連のシート形状を呈する。ただし、ベースプレート22の形状は、これに限れられない。例えば、ベースプレート22は、複数の小領域に分割された形態を備えていてもよい。
【0020】
ベースプレート22の材料は、金属、樹脂、及び木材等、特に限定されない。この中で、複数のアクチュエータ3等を支持できる観点から、強度に優れた鉄等の金属や、FRP(Fiber Reinforced Plastics)等の樹脂が好ましい。
【0021】
フレーム23は、ベッド2の枠体をなす部材である。フレーム23の内側には、マットレス21及びベースプレート22が嵌め込まれる。これにより、フレーム23は、マットレス21及びベースプレート22を支持する。フレーム23の形状は、
図1に示されるように、平面視において、矩形を呈するが、これに限定されない。
【0022】
脚部24は、必要に応じてフレーム23の下方側に設けられる部材であって、マットレス21及びベースプレート22を嵌め込んだフレーム23を支持する。脚部24は、例えば、フレーム23の4隅に取り付けられることが好ましい。なお、第1実施形態において、脚部24の数は4つであるが、これに限られない。
【0023】
<アクチュエータ>
次に、アクチュエータ制御システム1の構成を説明する。アクチュエータ制御システム1における複数のアクチュエータ3は、
図1に示されるように、X方向及びY方向に沿って、マトリクス状に配置される。また、複数のアクチュエータ3のそれぞれは、隣に位置する他のアクチュエータ3と等間隔に配置されている。寝返り等によって、利用者60Pがマットレス21の別の位置に移動しても、いずれかのアクチュエータ3が、利用者60Pの下方に位置することが好ましい。この場合、隣り合うアクチュエータ3は、例えば、利用者の胸部の幅(胸板の寸法)に合わせた間隔で配置されることが好ましい。具体的には、隣り合うアクチュエータ3の間隔は、160mm~260mmであることが好ましい。ただし、この間隔に限定されない。
【0024】
複数のアクチュエータ3の配置は、これに限られない。例えば、複数のアクチュエータ3のうち、ベッド2の中央側の領域に位置するアクチュエータ3の数が、それ以外の領域に位置するアクチュエータ3の数より多くなる(又は少なくなる)ように、アクチュエータ3を偏在させてもよい。また、複数のアクチュエータ3が不規則に配置されていてもよい。
【0025】
すべてのアクチュエータ3は、
図2に示されるように、マットレス21とベースプレート22の間に設けられる。すなわち、各アクチュエータ3の上端がマットレス21と向き合うと共に、各アクチュエータ3の下端がベースプレート22と向き合う。
【0026】
アクチュエータ3の上端とマットレス21とは、接触していてもよいし、他の部材を介して、繋げられていてもよい。また、アクチュエータ3の下端とベースプレート22とは、接触していてもよいし、他の部材を介して、繋げられていてもよい。
【0027】
各アクチュエータ3は、Z方向に沿って伸縮する。アクチュエータ3が伸びることで、アクチュエータ3の上端がマットレス21を押し上げる。これにより、アクチュエータ3の上端と向き合うマットレス21の領域が上昇する。これに対して、アクチュエータ3が縮むことで、アクチュエータ3の上端と向き合うマットレス21の領域が下降する。
【0028】
アクチュエータ3の具体例として、
図3に示されるように、ボールねじ301と、ナット部302と、電動モータ303と、ギヤ部304と、伸縮ロッド305等を備える電動アクチュエータが挙げられる。
【0029】
ボールねじ301は、Z方向に沿って延びる。また、ボールねじ301は、ギヤ部304を介して、電動モータ303に接続される。ナット部302は、ボールねじ301に螺合する。伸縮ロッド305は、ナット部302に接続される。
【0030】
電動モータ303が駆動することで、ギヤ部304及びボールねじ301が回動する。これにより、ボールねじ301に螺合するナット部302が、Z方向一方側(図の上方側)又は他方側(図の下方側)に移動する。その結果、ナット部302に接続された伸縮ロッド305が伸縮する。なお、伸縮ロッド305の上端305Tが、アクチュエータ3の「上端」に対応する。また、ボールねじ301の下端301Bが、アクチュエータ3の「下端」に対応する。
【0031】
アクチュエータ3として、
図3に示されるような電動アクチュエータを用いることで、マットレス21の重量及び利用者60Pの体重を含む大きな荷重がアクチュエータ3に加わっても、各アクチュエータ3の上端と向き合うマットレス21の領域を適切に昇降させることができる。また、各アクチュエータ3は、伸縮ロッド305の長手方向がZ方向に沿う姿勢で設置されるため、X方向及びY方向の占有面積を小さくすることができる。そのため、マットレス21とベースプレート22との間に、より多くのアクチュエータ3を配置することができる。ただし、アクチュエータ3の種類は、これに限定されない。他の種類のアクチュエータ3として、エア駆動式のアクチュエータ、ソレノイド式のアクチュエータ等が挙げられる。
【0032】
なお、複数のアクチュエータ3は、マットレス21の内部に配置されていてもよい。この場合、ベッド2にベースプレート22を設けてもよいし、設けなくてもよい。ベースプレート22を設けず、複数のアクチュエータ3がマットレス21の内部に配置される場合、複数のアクチュエータ3の下端は、マットレス21内の底方側で支持される。
【0033】
<センサ>
複数のセンサ4(センサ41,42,43,44)は、マットレス21が受ける力を検出する。ここで、「マットレス21が受ける力」の一例として、マットレス21上の利用者60Pから受ける荷重が挙げられる。この場合、複数のセンサ4は、マットレス21上の利用者60Pから受ける荷重をそれぞれ検出する。以下、センサ4を、「圧力センサ4」と称する場合がある。
【0034】
複数の圧力センサ4のそれぞれは、検出した荷重値に係る情報(以下、「荷重情報」という場合がある)等を、例えば制御装置100に出力するための通信機能を備える。なお、制御装置100に出力された荷重情報は、マットレス21が受ける力が最大となる基準位置を算出するために用いられる。ここで、「基準位置」の一例として、マットレス21上における利用者60Pの重心位置に対応する位置が挙げられる。また、「重心位置に対応する位置」とは、ベッド2の平面視において、利用者60Pの重心位置と重なる、マットレス21の位置をいう。
【0035】
複数の圧力センサ4は、
図1及び
図2に示されるように、例えば、ベースプレート22の四隅に1つずつ配置される。ただし、圧力センサ4の配置は、これに限定されない。ベースプレート22の四隅に配置される4つの圧力センサ4に加え、ベースプレート22の中央側に、別の圧力センサ4を配置してもよい。圧力センサ4の数を増やすことで、制御装置100が利用者60Pの重心位置をより正確に求めることができる。
【0036】
ベースプレート22の四隅にそれぞれ配置される4つの圧力センサ4に囲まれる領域に、すべてのアクチュエータ3が配置されることが好ましい。圧力センサ4に囲まれる領域に、すべてのアクチュエータ3を配置することで、ベッド2の省スペース化を図ることができる。なお、圧力センサ4を5つ以上設ける場合、X方向やY方向の最外位置に配置される複数の圧力センサ4で囲まれる領域に、すべてのアクチュエータ3を配置することが好ましい。
【0037】
圧力センサ4の種類は、特に限定されない。圧力センサ4の種類の例として、半導体ゲージ式圧力センサ、ひずみゲージ式圧力センサ、金属薄膜式圧力センサ等が挙げられる。
【0038】
ただし、センサ4の種類は、これに限定されない。例えば、他のセンサ4の例として、ロードセル等の荷重センサ等が挙げられる。また、圧力センサや荷重センサ等のセンサに加え、画像センサ、距離センサ、磁気センサ等の他のセンサを組み合わせて用いてもよい。
【0039】
<制御装置>
制御装置100は、各アクチュエータ3の動作を制御する。また、制御装置100は、ベッド2から物理的に離れて配置されていてもよいし、ベッド2の適宜位置に取り付けられていてもよい。以下、制御装置100を詳細に説明する。
【0040】
<<アクチュエータ制御システムの接続構成>>
制御装置100の構成を詳細に説明する前提として、
図4を参照して、アクチュエータ制御システム1の接続構成を説明する。
図4は、アクチュエータ制御システム1の接続構成を示す模式図である。
【0041】
制御装置100は、
図4に示されるように、第1ジャンクションボックス71等の中継装置を介して、複数のアクチュエータ3のそれぞれと電気的に接続される。ただし、制御装置100とアクチュエータ3とは、第1ジャンクションボックス71等の中継装置を介さず、電気的に接続されていてもよい。
【0042】
ここで、第1ジャンクションボックス71は、例えば、複数のアクチュエータ3から延びる通信線とそれぞれ接続する箱状の通信装置である。なお、第1実施形態では、1つの第1ジャンクションボックス71が、2つのアクチュエータ3と電気的に接続されているが、これに限られない。例えば、第1ジャンクションボックス71は、3つ以上のアクチュエータ3と電気的に接続されていてもよいし、すべてのアクチュエータ3と電気的に接続されていてもよい。
【0043】
制御装置100と第1ジャンクションボックス71との通信は、有線又は無線で行われる。第1ジャンクションボックス71とアクチュエータ3との通信も、有線又は無線で行われる。
【0044】
制御装置100は、第2ジャンクションボックス72等の中継装置を介して、複数の圧力センサ4のそれぞれと電気的に接続される。ただし、制御装置100と圧力センサ4とは、第2ジャンクションボックス72を介さず、電気的に接続されていてもよい。ここで、第2ジャンクションボックス72は、例えば、複数の圧力センサ4から延びる通信線とそれぞれ接続する箱状の通信装置である。なお、第1実施形態では、1つの第2ジャンクションボックスが、4つの圧力センサ4と電気的に接続されているが、これに限れられない。
【0045】
制御装置100と第2ジャンクションボックス72との通信は、有線又は無線で行われる。第2ジャンクションボックス72と複数の圧力センサ4のそれぞれとの通信も、有線又は無線で行われる。
【0046】
<<制御装置のハードウェア構成>>
図5を参照して、制御装置100のハードウェア構成を説明する。
図5は、制御装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0047】
制御装置100は、
図5に示されるように、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、HDD(Hard Disk Drive)140と、入出力I/F(Interface)151,152と、を有する。これらのハードウェアは、バスを介して相互に接続される。
【0048】
CPU110は、ROM120やHDD140等に格納されたプログラム、および、プログラムの実行に必要なデータを適宜RAM130上に読み出す。CPU110は、読みだしたプログラムを実行することで、制御装置100としての種々の機能を実現する。なお、ROM120やHDD140等を、以下、「記憶部」という場合がある。
【0049】
制御装置100の記憶部には、例えば、複数のアクチュエータ3のそれぞれを識別するための第1識別情報と、第1識別情報によって識別される各アクチュエータ3の位置情報とが、関連付けて記憶されていてもよい。なお、第1識別情報を、以下、「アクチュエータ識別情報」という場合がある。また、記憶部には、例えば、複数の圧力センサ4のそれぞれを識別するための第2識別情報と、第2識別情報によって識別される各圧力センサ4の位置情報とが、関連付けて記憶されていてもよい。なお、第2識別情報を、以下、「センサ識別情報」という場合がある。
【0050】
ここで、アクチュエータ3及び圧力センサ4の位置情報を規定する座標系の例として、例えば、ベッド2の所定の位置を原点とし、原点からX方向に延びるX軸、及びY方向に延びるY軸で規定される直交座標系が挙げられる。この場合、アクチュエータ3及び圧力センサ4の位置情報は、X座標成分及びY座標成分の2つの座標成分で規定される。ただし、位置情報を規定するための座標系は、これに限定されない。例えば、原点からの距離と、原点から延びる所定の軸(例えば、X軸又はY軸)に対する角度で対象物の位置情報を規定する極座標系が挙げられる。
【0051】
入出力I/F151は、各アクチュエータ3とCPU110とを通信可能に接続するためのインターフェースである。入出力I/F151は、各アクチュエータ3の伸縮量(例えば、伸縮ロッド305の伸縮量)を指定する制御信号をCPU110から取得する。それに応じて、入出力I/F151は、各アクチュエータ3に接続される第1ジャンクションボックス71に、制御信号を出力する。なお、伸縮量は、「駆動量」の一例である。
【0052】
入出力I/F152は、各圧力センサ4とCPU110とを通信可能に接続するためのインターフェースである。入出力I/F152は、各圧力センサ4から出力された荷重情報及びセンサ識別情報を取得する。それに応じて、入出力I/F152は、各圧力センサ4から取得した荷重情報と識別情報とを、CPU110に出力する。
【0053】
ただし、制御装置100のハードウェア構成は、これに限定されない。例えば、制御装置100は、複数の圧力センサ4のうち、互いに異なる圧力センサ4にそれぞれ接続される複数の入出力I/F152を備えてもよい。この場合、各入出力I/F152は、接続される1つの圧力センサ4からの荷重情報を取得すると共に、取得した荷重情報をCPU110に出力する。これにより、CPU110は、いずれの入出力I/F152から出力された荷重情報であるかを特定することで、荷重情報を検出した圧力センサ4を特定することができる。
【0054】
<<制御装置の機能構成>>
次に、制御装置100の機能構成を説明する。まず、
図6を参照して、制御装置100の機能を実現するための構成部の一例を示す。
図6は、制御装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0055】
制御装置100は、
図6に示されるように、情報取得部161と、重心位置推定部162と、転落予測部163と、駆動量算出部164と、出力部165と、を有する。
【0056】
次に、
図7を参照して、情報取得部161を詳細に説明する。
図7は、情報取得部161を説明するためのベッド2の平面図である。
【0057】
情報取得部161は、例えば、複数の圧力センサ4のそれぞれから出力された荷重情報及び識別情報を取得する。圧力センサ4から出力される荷重情報は、マットレス21上の利用者60Pから受ける荷重に対応する。
【0058】
例えば、
図7に示されるように、利用者60Pが、ベッド2の右上方に寄って位置する場合、ベッド2の右上に配置される圧力センサ42で検出される荷重値W2が、4つの圧力センサ41~44で検出される荷重値の中で最も大きい。また、ベッド2の右下に配置される圧力センサ44で検出される荷重値W4が次に大きい。また、ベッド2の左上に配置される圧力センサ41で検出される荷重値W1が次に大きい。これに対して、ベッド2の左下に配置される圧力センサ43で検出される荷重値W3が、4つの圧力センサ41~44で検出される荷重値の中で最も小さい。
【0059】
また、情報取得部161は、取得した圧力センサ4のセンサ識別情報に基づき、各圧力センサ4の位置情報を特定する。例えば、情報取得部161は、HDD140等の記憶部を参照し、圧力センサ41のセンサ識別情報から、圧力センサ41の位置情報に係るX座標及びY座標を(x1,y1)と特定する。なお、この直交座標系の原点Oの位置は、ベッド2の左下の位置としているが、これに限られない。
【0060】
情報取得部161は、さらに記憶部を参照し、圧力センサ42のセンサ識別情報から、圧力センサ42の位置情報を(x2,y1)と特定する。また、情報取得部161は、記憶部を参照し、圧力センサ43のセンサ識別情報から、圧力センサ43の位置情報を(x1,y2)と特定する。また、情報取得部161は、記憶部を参照し、圧力センサ44のセンサ識別情報から、圧力センサ44の位置情報を(x2,y2)と特定する。
【0061】
情報取得部161は、すべての圧力センサ4における荷重情報及び位置情報を取得した後、取得した各荷重情報及び各位置情報を重心位置推定部162に出力する。なお、情報取得部161は、CPU110及び入出力I/F152等により実現される。
【0062】
次に、重心位置推定部162は、情報取得部161から出力された、各圧力センサ4の荷重情報及び位置情報に基づき、マットレス21上における利用者60Pの重心位置Gを推定する。すなわち、重心位置推定部162は、利用者60Pの重心位置Gを介して、マットレス21が受ける力が最大となる基準位置を推定する。また、重心位置推定部162以外の構成部(例えば、転落予測部163、駆動量算出部164、出力部165)での処理における重心位置Gは、「基準位置」といいかえられる。
【0063】
重心位置Gを推定する方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。重心位置推定部162は、情報取得部161から出力された、各圧力センサ4の位置情報及び荷重情報から、下式(1)を用いて重心位置GのX座標(xg)を推定すると共に、下式(2)を用いて重心位置GのY座標(yg)を推定する。
【0064】
【0065】
【0066】
重心位置推定部162は、式(1)及び式(2)を用いた計算をそれぞれ1回ずつ行い、得られた値から重心位置Gを推定してもよいし、式(1)及び式(2)を用いた計算をそれぞれ複数回行い、得られた複数の値の平均値等から重心位置Gを推定してもよい。ただし、重心位置Gの推定方法は、これに限定されない。
【0067】
重心位置推定部162は、推定した利用者60Pの重心位置Gの情報を、転落予測部163に出力する。なお、重心位置推定部162は、例えば、CPU110によって実現される。
【0068】
次に、転落予測部163は、重心位置推定部162で推定された利用者60Pの重心位置Gに基づき、利用者60Pがベッド2から転落するか否かを予測する。ベッド2からの転落を予測する方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0069】
図8及び
図9を参照して、ベッド2からの転落を予測する方法の一例を説明する。
図8及び
図9は、転落予測部163の一例を説明するためのベッド2の平面図である。
【0070】
図8は、利用者60Pの重心位置GのX座標(xg)と、ベッド2の幅方向の中央位置C(破線Cで示される位置)のX座標(xc)との差が、第1閾値Th1(破線Th1で示される位置)より小さい場合を示す。この場合、利用者60Pは、ベッド2の中央位置Cに近い位置で横たわっている。そのため、転落予測部163は、利用者60Pがベッド2から転落しないと予測する。
【0071】
これに対して、
図9は、利用者60Pの重心位置GのX座標(xg)と、ベッド2の幅方向の中央位置CのX座標(xc)との差が、第1閾値Th1以上である場合を示す。この場合、利用者60Pは、ベッド2の端に近い位置で横たわっている。そのため、転落予測部163は、利用者60Pがベッド2から転落すると予測する。
【0072】
ただし、利用者60Pがベッド2から転落するか否かを予測する際に用いられる、第1閾値Th1等の境界は、ベッド2の中央位置CのX座標成分のみで定められる場合に限られず、中央位置CのY座標成分を含めて定められていてもよい。また、これ以外の要素によって規定される境界を用いてよい。
【0073】
第1閾値Th1は、ベッド2の広さ等によって適宜設定可能であるが、一例として、1/2xc~xcの範囲内の値が挙げられる。ただし、第1閾値Th1は、これに限定されない。なお、第1閾値Th1は、「所定の閾値」の一例である。
【0074】
ただし、利用者60Pのベッド2からの転落を予想する方法は、これに限られない。例えば、利用者60Pの重心位置Gに応じて、ベッド2からの転落可能性(例えば、「転落可能性70%」のような数値情報)を出力するようにしてもよい。また、例えば、各圧力センサ4で検出された荷重情報を所定期間モニターして得られる利用者60Pの動きの傾向等、他の情報を含めて、利用者60Pの転落を予測してもよい。
【0075】
転落予測部163は、利用者60Pがベッド2から転落するか否かの予測情報を、駆動量算出部164に出力する。なお、転落予測部163は、例えば、CPU110等によって実現される。
【0076】
次に、駆動量算出部164は、ベッド2から利用者60Pが転落するか否かの予測情報に基づき、複数のアクチュエータ3の駆動量を算出する。
図10及び
図11を参照して、複数のアクチュエータ3それぞれの駆動量を算出する方法の一例を説明する。
図10及び
図11は、駆動量算出部164の一例を説明するためのベッド2の縦断面図である。
【0077】
ここで、「複数のアクチュエータ」とは、マットレス21の下方(又は内部)に配置されるすべてのアクチュエータ3を必ずしも意味しない。すなわち、「複数のアクチュエータ」とは、駆動量の算出対象等の制御対象とされる、少なくとも2つのアクチュエータ3を指す。一方、すべてのアクチュエータ3が、駆動量の算出対象とされる場合、「複数のアクチュエータ」は、すべてのアクチュエータ3に対応する。また、駆動量算出部164によって算出される駆動量には、計算の結果、駆動量が「0」の場合を含む。
【0078】
まず、転落予測部163が、ベッド2から利用者60Pが転落しないと予測する場合、駆動量算出部164は、
図10に示されるように、マットレス21が平坦になるように、複数のアクチュエータ3の駆動量をそれぞれ算出する。
【0079】
アクチュエータ3の駆動量の算出方法は、特に限定されないが、例えば、各アクチュエータ3の上端が所定のZ方向の位置(Z座標)に揃うよう、各アクチュエータ3の駆動量を算出してもよい。このとき、駆動量算出部164は、記憶部に記憶される、各アクチュエータ3の位置情報を参照して、各アクチュエータ3の駆動量を算出してもよい。
【0080】
これに対して、転落予測部163が、ベッド2から利用者60Pが転落すると予測する場合、駆動量算出部164は、利用者60Pの重心位置Gに対応するマットレス21の領域が窪むよう、各アクチュエータ3の駆動量をそれぞれ算出する。より詳しくは、
図11に示されるように、駆動量算出部164は、マットレス21の形状が、利用者60Pの重心位置Gに対応する(重心位置Gの直下に位置する)領域を底とする谷状に変形するよう、各アクチュエータ3の駆動量を算出する。このとき、駆動量算出部164は、各アクチュエータ3の位置情報から、各アクチュエータ3と重心位置Gとの距離を求め、求めた距離に応じて、各アクチュエータ3の駆動量を算出することが好ましい。
【0081】
ただし、各アクチュエータ3の駆動によって形成されるマットレス21の形状は、これに限られない。例えば、マットレス21の傾斜領域を、重心位置Gの直下に位置する領域から、ベッド2における幅方向の片側の端のみに向けて形成するようにしてもよい。この場合、ベッド2における幅方向の両端のうち、重心位置Gの直下に位置する領域に近い側の端に向けて傾斜領域が形成されることが好ましい。
【0082】
ただし、マットレス21が
図11に示されるような形状に変形する方が、利用者60Pの移動を、ベッド2の両側から規制できる点で好ましい。なお、例えば、マットレス21を最も高く上昇させるアクチュエータ3の駆動量(例えば、重心位置Gから最も遠くに位置するアクチュエータ3の駆動量)や、X方向又はY方向に隣り合うアクチュエータ3の駆動量の差等に関しては、適宜調整可能である。また、駆動量算出部164は、マットレス21の傾斜面が湾曲するよう、各アクチュエータ3の駆動量を算出してもよい。
【0083】
第1実施形態の駆動量算出部164は、複数のアクチュエータ3のうち、共通のX座標成分を有するアクチュエータ3のグループ毎に、駆動量を算出しているが、個々のアクチュエータ3の位置情報を参照して駆動量を個別に算出するようにしてもよい。ただし、利用者60Pは、ベッド2における幅方向の端から転落することを考慮すれば、共通のX座標成分を有するアクチュエータ3毎に駆動量を一括して算出することで、効果的に転落防止を図ることができ、かつ、駆動量算出部164での処理負荷を低減させることができる。
【0084】
駆動量算出部164は、複数のアクチュエータ3それぞれの駆動量の情報を出力部165に出力する。なお、駆動量算出部164は、例えば、CPU110等によって実現される。
【0085】
次に、出力部165は、複数のアクチュエータ3それぞれの駆動量を指定する制御信号を、対応するアクチュエータ3に出力する。第1実施形態では、出力部165からの制御信号は、第1ジャンクションボックス71を介して、各アクチュエータ3に送信される。なお、出力部165は、例えば、CPU110及び入出力I/F151等によって実現される。
【0086】
<転落防止動作>
次に、
図12を参照して、第1実施形態に係るアクチュエータ制御システム1の転落防止動作を説明する。
図12は、アクチュエータ制御システム1における転落防止動作を説明するためのフローチャートである。
【0087】
まず、ステップS11において、制御装置100の情報取得部161は、各圧力センサ4から出力される荷重情報及び識別情報を取得する。また、情報取得部161は、制御装置100の記憶部を参照して、各圧力センサ4の識別情報に対応する位置情報を取得する。また、情報取得部161は、各圧力センサ4の荷重情報及び位置情報を、制御装置100の重心位置推定部162に出力する。
【0088】
続いて、ステップS12において、重心位置推定部162は、情報取得部161から出力された各圧力センサ4の荷重情報及び位置情報から、マットレス21上における利用者60Pの重心位置Gを推定する。また、重心位置推定部162は、推定した重心位置Gの位置情報を、制御装置100の転落予測部163に出力する。
【0089】
続いて、ステップS13において、転落予測部163は、重心位置推定部162から出力された利用者60Pの重心位置Gの位置情報に基づき、利用者60Pがベッド2から転落するか否かを予測する。具体的には、転落予測部163は、重心位置Gと、ベッド2の幅方向の中央位置Cとの距離が、第1閾値Th1を超えるか否かを判定する。また、転落予測部163は、判定結果に係る予測情報を、制御装置100の駆動量算出部164に出力する。
【0090】
転落予測部163が、重心位置Gと、ベッド2の幅方向の中央位置Cとの距離が、第1閾値Th1を超えると判定する場合、ステップS14に進む。ステップS14において、駆動量算出部164は、各アクチュエータ3の位置情報を参照して、重心位置Gから離れるマットレス21の領域ほど高くなるよう、各アクチュエータ3の駆動量を算出する。また、駆動量算出部164は、算出した各アクチュエータ3の駆動量に係る情報を、制御装置100の出力部165に出力する。
【0091】
これに対して、転落予測部163が、重心位置Gと、ベッド2の幅方向の中央位置Cとの距離が、第1閾値Th1を超えないと判定する場合、ステップS15に進む。ステップS15において、駆動量算出部164は、マットレス21が平坦になるよう、各アクチュエータ3の駆動量を算出する。また、駆動量算出部164は、算出した各アクチュエータ3の駆動量に係る情報を、制御装置100の出力部165に出力する。
【0092】
続いて、ステップS16において、出力部165は、駆動量算出部164から出力された、各アクチュエータ3の駆動量に係る情報に基づき、各アクチュエータ3を制御する制御信号を、第1ジャンクションボックス71に出力する。また、制御信号は、第1ジャンクションボックス71から、対応するアクチュエータ3に出力される。
【0093】
これにより、各アクチュエータ3は、アクチュエータ3のそれぞれが向き合うマットレス21の領域を昇降させる。すなわち、複数のアクチュエータ3は、マットレス21を所望の形状に変形させる。具体的には、ステップS13における予測情報が、利用者60Pがベッド2から転落することに対応する場合、複数のアクチュエータ3の幾つかは、例えば、重心位置Gの直下に位置するマットレス21の領域(例えば、基準位置を含むマットレス21の領域)を窪ませる。また、複数のアクチュエータ3の他の幾つかは、重心位置Gから離れるマットレス21の領域ほど高くするよう、マットレス21を変形させる。これに対して、ステップS13における予測情報が、利用者60Pがベッド2から転落しないことに対応する場合、複数のアクチュエータ3は、マットレス21を平坦にする。
【0094】
<作用効果>
第1実施形態に係るアクチュエータ制御システム1は、マットレス21上における利用者60Pの重心位置Gを推定し、推定された重心位置Gの情報に基づき複数のアクチュエータ3を制御する。また、複数のアクチュエータ3は、利用者60Pの転落を防止するために、マットレス21を変形させる。これにより、利用者60Pの位置情報からベッド2からの転落を予測できる結果、例えば、利用者60Pがしばらく静止している等、それまでの動作量が少なくても、ベッド2からの転落を適正に予測できる。
【0095】
また、複数のアクチュエータ3をマットレス21の下方側や内部の領域に並べて配置するため、マットレス21を適宜の形状に変形させることができる。その結果、利用者60Pのベッド2からの転落を効果的に防止することができる。
【0096】
また、複数のアクチュエータ3が、複数の圧力センサ4で囲まれる領域に配置されているため、ベッド2の省スペース化を図ることができる。
【0097】
[第1実施形態の変形例]
次に、
図13~
図15を参照して、第1実施形態に係るアクチュエータ制御システム1の変形例を説明する。
図13は、変形例に係るアクチュエータ制御システム1Aの平面図である。
図14は、
図13におけるB-B切断線に沿う断面図である。
図15は、変形例におけるアクチュエータ制御システム1Aの他の構成を示す断面図である。なお、変形例において、第1実施形態と同一の構成部分についての説明を省略する場合がある。
【0098】
図13に示されるように、アクチュエータ制御システム1Aを組み込むベッド2Aは、4つのベースプレート22A(22A1~22A4)を有する。ベースプレート22A1~22A4のそれぞれは、ベッド2のY方向一方側からY方向他方側に亘り延在し、平面視において、長手方向がY方向に沿う矩形の形状を呈する。また、ベースプレート22A1~22A4は、X方向に並ぶ。ただし、ベースプレート22Aの数は、4つに限られない。
【0099】
アクチュエータ制御システム1Aにおいて、複数の圧力センサ4Aのそれぞれは、
図14に示されるように、各アクチュエータ3の下端とベースプレート22Aとの間に配置される。すなわち、複数の圧力センサ4Aが、第1実施形態よりも密に配置される。これにより、マットレス21上の利用者60Pの荷重を様々な位置から検出することができる。その結果、重心位置Gをより高精度に推定することができる。なお、複数の圧力センサ4Aのそれぞれは、
図15に示されるように、各アクチュエータ3の上端とマットレス21との間に配置されてもよい。
【0100】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るアクチュエータ制御システム1Bを説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態及びその変形例と同一の構成部分についての説明を省略する場合がある。
【0101】
<制御装置の構成>
まず、
図16を参照して、第2実施形態に係るアクチュエータ制御システム1Bの制御装置100Bについて説明する。
図16は、制御装置100Bの機能構成を示すブロック図である。
【0102】
制御装置100Bは、
図16に示されるように、情報取得部161と、重心位置推定部162と、特定部166と、駆動量算出部164Bと、出力部165と、を有する。なお、情報取得部161、重心位置推定部162、出力部165に関しては、第1実施形態の制御装置100Aに備わるものと同様であってよいため、説明を省略する。
【0103】
図17及び
図18を参照して、特定部166及び駆動量算出部164Bを説明する。
図17は、特定部166及び駆動量算出部164Bの一例を説明するためのベッド2の平面図である。
図18は、
図17におけるC-C切断線に沿うベッド2の断面図である。
【0104】
特定部166は、重心位置推定部162から出力された、利用者60Pの重心位置Gから第2閾値Th2の距離範囲に配置されるアクチュエータ3を特定する。また、特定部166は、例えば、記憶部を参照して、特定したアクチュエータ3のアクチュエータ識別情報を取得する。また、特定部166は、取得したアクチュエータ識別情報を、駆動量算出部164Bに出力する。なお、第2閾値Th2は、「所定の閾値」の一例である。
【0105】
駆動量算出部164Bは、特定部166で特定された複数のアクチュエータ3の駆動量を算出する。具体的には、駆動量算出部164Bは、例えば、
図18に示されるように、重心位置Gの直下の位置から第2閾値Th2までの距離範囲に含まれるマットレス21の領域を、マットレス21のそれ以外の領域より低くするよう、特定されたアクチュエータ3の駆動量を算出する。
【0106】
第2実施形態に係るアクチュエータ制御システム1Bは、重心位置Gの直下の位置から第2閾値Th2までの距離範囲に含まれるマットレス21の領域を、マットレス21のそれ以外の領域より低くするよう、特定のアクチュエータ3を制御する。これにより、重心位置Gを中心に、第2閾値Th2までのマットレス21の領域と、利用者60Pとを離すことができる。その結果、利用者60Pの床ずれを防止することができる。
【0107】
<床ずれ防止動作>
次に、
図19を参照して、第2実施形態に係るアクチュエータ制御システム1Bの床ずれ防止動作を説明する。
図19は、アクチュエータ制御システム1Bにおける床ずれ防止動作を説明するためのフローチャートである。
【0108】
まず、ステップS21において、制御装置100Bの情報取得部161は、各圧力センサ4から出力される荷重情報及び識別情報を取得する。また、情報取得部161は、制御装置100Bの記憶部を参照して、各圧力センサ4の識別情報に対応する位置情報を取得する。また、情報取得部161は、各圧力センサ4の荷重情報及び位置情報を、制御装置100Bの重心位置推定部162に出力する。
【0109】
続いて、ステップS22において、重心位置推定部162は、情報取得部161から出力された各圧力センサ4の荷重情報及び位置情報から、マットレス21上における利用者60Pの重心位置Gを推定する。また、重心位置推定部162は、推定した重心位置Gの位置情報を、制御装置100Bの特定部166に出力する。
【0110】
続いて、ステップS23において、特定部166は、重心位置推定部162から出力された利用者60Pの重心位置Gの位置情報に基づき、重心位置Gから第2閾値Th2の距離範囲にある複数のアクチュエータ3を特定する。また、特定部166は、記憶部を参照して、特定したアクチュエータ3のアクチュエータ識別情報を取得し、取得したアクチュエータ識別情報を制御装置100Bの駆動量算出部164Bに出力する。
【0111】
駆動量算出部164Bは、重心位置Gから第2閾値Th2以下の距離範囲にあるマットレス21の領域を、マットレス21のそれ以外の領域より低くするよう、特定部166が特定したアクチュエータ3の駆動量を算出する。また、駆動量算出部164Bは、算出した各アクチュエータ3の駆動量に係る情報を、制御装置100Bの出力部165に出力する。
【0112】
続いて、ステップS24において、出力部165は、駆動量算出部164Bから出力された、アクチュエータ3の駆動量に係る情報に基づき、特定部166が特定したアクチュエータ3のそれぞれを制御する制御信号を、第1ジャンクションボックス71に出力する。また、制御信号は、第1ジャンクションボックス71から、対応するアクチュエータ3に出力される。
【0113】
これにより、特定部166が特定した各アクチュエータ3は、アクチュエータ3のそれぞれが向き合うマットレス21の領域を昇降させる。すなわち、特定部166が特定したアクチュエータ3は、マットレス21を所望の形状に変形させる。
【0114】
以上、好ましい実施形態等について詳説した。しかしながら、本開示に係るアクチュエータ制御システムは、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態について、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0115】
1,1A,1B アクチュエータ制御システム、2,2A ベッド、21 マットレス、22,22A1~22A4 ベースプレート、23 フレーム、24 脚部、3 アクチュエータ、301 ボールねじ、302 ナット部、303 電動モータ、304 ギヤ部、305 伸縮ロッド、4 センサ、71 第1ジャンクションボックス、72 第2ジャンクションボックス、100,100B 制御装置、110 CPU、120 ROM、130 RAM、140 HDD、151,152 入出力I/F、161 情報取得部、162 重心位置推定部、163 転落予測部、164,164B 駆動量算出部、165 出力部、166 特定部