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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122152
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】室外機
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20240902BHJP
   F24F 1/46 20110101ALI20240902BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240902BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240902BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24F1/46
F24F13/22 222
F24F13/22 221
F24H4/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029531
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 慶三
(72)【発明者】
【氏名】森部 洋
【テーマコード(参考)】
3L036
3L054
3L122
【Fターム(参考)】
3L036AA32
3L036AA42
3L036AA46
3L054BB01
3L054BB03
3L054BG08
3L122AA23
3L122AA62
3L122AC42
3L122AC44
3L122GA02
(57)【要約】
【課題】本開示は、水冷媒熱交換器に落ちた液滴が流れる方向を制限することができる室外機を提供する。
【解決手段】本開示の室外機は、冷媒の気液を分離する気液分離器と、冷媒と熱媒との間で熱交換させる水冷媒熱交換器と、水冷媒熱交換器を覆う主断熱材と、主断熱材の外側を覆う保持板と、を備え、水冷媒熱交換器は、気液分離器の下方に設けられ、主断熱材は、水冷媒熱交換器の天面に接する天面保護部と、水冷媒熱交換器の第1側面に接する第1側面保護部と、を有し、天面保護部は、第1側面保護部に向かって下がる方向に傾斜し、第1側面保護部は、保持板に向けて外側に突出する庇を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の気液を分離する気液分離器と、
前記冷媒と熱媒との間で熱交換させる水冷媒熱交換器と、
前記水冷媒熱交換器を覆う主断熱材と、
前記主断熱材の外側を覆う保持板と、を備え、
前記水冷媒熱交換器は、前記気液分離器の下方に設けられ、
前記主断熱材は、前記水冷媒熱交換器の天面に接する天面保護部と、前記水冷媒熱交換器の第1側面に接する第1側面保護部と、を有し、
前記天面保護部は、前記第1側面保護部に向かって下がる方向に傾斜し、
前記第1側面保護部は、前記保持板に向けて外側に突出する庇を有する、
室外機。
【請求項2】
前記第1側面保護部の下部には、前記保持板に向けて外側に突出する凸部が形成され、
前記庇は、前記第1側面保護部の上部に設けられ、
前記凸部と前記庇とは、前記第1側面保護部からそれぞれ同等の距離だけ突出する、
請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記凸部には、上下に貫通する水抜き用の溝が形成される、
請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記凸部は、前記保持板側から前記第1側面保護部側に向けて、前記凸部の外側に傾斜する傾斜面部を有する、
請求項2または3に記載の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水冷媒熱交換器を備えたヒートポンプ温水暖房装置を開示する。このヒートポンプ温水暖房装置は、内部に設けた水冷媒熱交換器を主断熱材によって覆い、さらに主断熱材を保持板によって外側から覆う構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-20585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、水冷媒熱交換器に落ちた液滴が流れる方向を制限することができる室外機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の室外機は、冷媒の気液を分離する気液分離器と、前記冷媒と熱媒との間で熱交換させる水冷媒熱交換器と、前記水冷媒熱交換器を覆う主断熱材と、前記主断熱材の外側を覆う保持板と、を備え、前記水冷媒熱交換器は、前記気液分離器の下方に設けられ、前記主断熱材は、前記水冷媒熱交換器の天面に接する天面保護部と、前記水冷媒熱交換器の第1側面に接する第1側面保護部と、を有し、前記天面保護部は、前記第1側面保護部に向かって下がる方向に傾斜し、前記第1側面保護部は、前記保持板に向けて外側に突出する庇を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の室外機は、気液分離器から水冷媒熱交換器に落ちる液滴を主断熱材の天面保護部で受け、第1側面保護部と保持板との間に流すことができる。このため、水冷媒熱交換器に落ちた液滴が流れる方向を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る室外機の斜視図
図2】機械室を右後方から見た斜視図
図3】圧縮機および水冷媒熱交換器ユニットを右後方から見た斜視図
図4】水冷媒熱交換器ユニットの斜視図
図5】水冷媒熱交換器ユニットの右側面図
図6】凸部の斜視図
図7】室外機の落下時における主断熱材の変形を示す図
図8】実施の形態1の室外機の落下時における主断熱材の応力分布を示す図
図9】室外機の落下時における比較例の主断熱材での応力分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、水冷媒熱交換器を有する室外機において、発泡材の主断熱材によって水冷媒熱交換器を保護し、保持板によってそれらを保持する技術があった。この室外機は、主断熱材に開口を設け、保持板の凸部を開口に挿入し、凸部と水冷媒熱交換器の突出部と固定することにより、主断熱材、水冷媒熱交換器、および、保持板を固定して一体の構造体としていた。これにより、主断熱材に過度な荷重がかかることを抑制している。
しかしながら、従来の技術では、上方から水冷媒熱交換器に落ちる液滴は、略水平に形成された保持板および主断熱材の天面によって受けられていた。このため、天面に垂れた液滴が水平方向のいずれの方向も流れ得るという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、水冷媒熱交換器に落ちた液滴が流れる方向を制限することができる室外機を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る室外機1の斜視図であり、左前方から見た室外機1を示す。図1に示す室外機1は、所謂ヒートポンプ温水暖房機に利用可能な室外機である。室外機1は、箱状の筐体10を備えている。本実施の形態では、筐体10の各部は、いずれも鋼板によって形成される。
【0011】
筐体10の内部には、上下方向に延在する仕切板11が設けられている。仕切板11によって、筐体10の内部空間は、送風機室12と、機械室13とに仕切られている。仕切板11の上部には、切欠きが形成されており、この切欠きには、電装箱26が設置されている。
筐体10は、筐体10の底面を形成する底板14と、筐体10の機械室13を前後から覆う一対の側面パネル15と、送風機室12の前面を覆う前面パネル16と、筐体10の上面を覆う天板17と、を備えている。
前面パネル16には、空気が通る通風部18が設けられている。通風部18は、メッシュ状のカバーによって覆われる。
【0012】
送風機室12には、熱交換器20と、送風装置21とが設けられている。
本実施形態の熱交換器20は、筐体10の高さ方向に沿ってほぼ目一杯に延在しており、筐体10の背面10Aと、側面10Bと、に対向するように、筐体10の平面視で略L字状に形成されている。
熱交換器20は、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。
送風装置21は、例えば、プロペラ状の羽根車を備える軸流ファンが用いられる。送風装置21は、軸流方向が通風部18に向かうように配置される。
【0013】
機械室13の内部には、圧縮機22、水冷媒熱交換器31を有する水冷媒熱交換器ユニット30、膨張装置、四方弁、後述する気液分離器29等の各種の機器や、これらを互いに接続する冷媒配管25が収容されている。機械室13内の各機器は、冷媒配管25を介して送風機室12の熱交換器20に接続されて、冷凍サイクル回路を形成している。
水冷媒熱交換器31は、内部において水(熱媒)と冷媒とを熱交換させる熱交換器であり、本実施の形態においては、プレート式熱交換器である。室外機1は、入口側の給水配管を介して水冷媒熱交換器31に導入される水を、冷媒配管25から水冷媒熱交換器31に導入される冷媒と熱交換させる。室外機1は、熱交換後の水を水冷媒熱交換器31の出口側の給水配管から室内機に供給することにより、室内の空気調和をおこなう。
【0014】
図2は、機械室13を右後方から見た斜視図である。図3は、圧縮機22および水冷媒熱交換器ユニット30を右後方から見た斜視図である。
【0015】
機械室13には、気液分離器29が配置されている。気液分離器29は、内部に流入する気液混合冷媒を気液に分離し、液体冷媒と気体冷媒とをそれぞれ別々に吐出する。気液分離器29は、機械室13内において水冷媒熱交換器ユニット30の上方に配置されている。すなわち、気液分離器29は、水冷媒熱交換器ユニット30よりも上方において、平面視で水冷媒熱交換器ユニット30と重なる位置に配置される。
【0016】
図2に示すように、機械室13には、機械室13を2つに仕切る機械室用仕切板13aが設けられる。機械室用仕切板13aは、圧縮機22と気液分離器29との間に配置され、後方側の気液分離器29と前方側の圧縮機22との間を仕切る。また、水冷媒熱交換器ユニット30は、機械室用仕切板13aに仕切られる2つの空間に対して、前後に跨って配置される。
【0017】
[1-1-2.水冷媒熱交換器ユニットの構成]
図4は、水冷媒熱交換器ユニット30の斜視図であり、左後方から見た水冷媒熱交換器ユニット30を示す。図5は、水冷媒熱交換器ユニット30の右側面図である。図6は、凸部44bの斜視図であり、右後方から見た凸部44bを示す。なお、図5には、仮想線の矢印により、後述する液滴の流れが記載されている。
【0018】
図4に示すように、水冷媒熱交換器ユニット30は、底板14および固定板13bに対して固定されている。固定板13bは、機械室13内に配置される板状部材であり、底板14に対して固定される。水冷媒熱交換器ユニット30は、水冷媒熱交換器31に接続される気液分離器29および給水配管を介して固定板13bに固定されている。また、水冷媒熱交換器ユニット30の下端は、底板14に対して固定されている。
【0019】
図5に示すように、水冷媒熱交換器ユニット30は、水冷媒熱交換器31と、水冷媒熱交換器31を外側から覆う主断熱材40と、主断熱材40を外側から覆う保持板50と、を有する。保持板50は、上述した固定板13bおよび底板14に対して締結によって固定される。
【0020】
水冷媒熱交換器31は、上下に長い略直方体の形状である。水冷媒熱交換器31は、右側に面する右側面33において、2つの給水配管接続口33aと、2つの冷媒配管接続口33bと、を有している。2つの給水配管接続口33aは、水冷媒熱交換器31における水の流路の両端であり、それぞれ入口側および出口側の給水配管に接続される。2つの冷媒配管接続口33bは、水冷媒熱交換器31における冷媒の流路の両端であり、それぞれ冷媒配管25に接続される。
【0021】
主断熱材40は、水冷媒熱交換器31を覆うことで保護する部材である。主断熱材40は樹脂を発泡成形した発泡樹脂であり、本実施の形態においては、発泡スチロールである。主断熱材40は左方向に向けて窪んだ凹部41を有し、凹部41に右側から挿入された水冷媒熱交換器31を保持する。
【0022】
凹部41は、主断熱材40における板状部分である天面保護部42、前面保護部43、後面保護部(第1側面保護部)44、下面保護部45、および、左側面保護部46に囲まれて形成される。天面保護部42は、水冷媒熱交換器31の天面32に上方から接し、天面32を保護する。前面保護部43は、水冷媒熱交換器31の前面34に前方から接し、前面34を保護する。後面保護部44は、水冷媒熱交換器31の後面(第1側面)35に後方から接し、後面35を保護する。下面保護部45は、水冷媒熱交換器31の下面36に下方から接し、下面36を保護する。左側面保護部46は、水冷媒熱交換器31の左側面37に左方から接し、左側面37を保護する。
【0023】
図5に示すように、主断熱材40の天面保護部42の上面42aは、保持板50に覆われずに露出しており、全体が後ろ下がりに傾斜している。すなわち、天面保護部42の上面42aは、後面保護部44に向かって下がる方向に傾斜している。上面42aの傾斜角度は、後述するように液滴の流れを良くするため、水平方向に対して3度以上とされる。また、上面42aには、左右方向に延びて機械室用仕切板13aが配置される仕切溝42a1が形成されている。
【0024】
主断熱材40の後面保護部44には、それぞれ後方、すなわち、後述する保持板50の後面保持部51bに向けて突出する庇44a、凸部44bが形成されている。庇44aは、後面保護部44の上端に形成されている。庇44aの外面44a1は、天面保護部42の上面42aと滑らかにつながっており、上面42aの後端から湾曲して下方が後方側に向かう方向に傾斜している。本実施の形態において、庇44aが後面保護部44から後方に突出する距離、すなわち、庇44aの高さは、8.5mmである。なお、庇44aの高さは、後述するように液滴が流れ落ち易い隙間Gを形成するため、3mm以上であることが望ましいとされる。
【0025】
図5および図6に示すように、凸部44bは後面保護部44の下部に形成され、右方向からの側面視において略台形である。また、本実施の形態において、凸部44bが後面保護部44から後方に突出する距離、すなわち、凸部44bの高さは、8.5mmであり、庇44aの高さと略同等である。凸部44bは、保持板50に接することにより、主断熱材40を保持板50に対して位置決めし易くする。
【0026】
凸部44bは、先端に位置する前後方向に垂直な平坦部44b1と、平坦部44b1から後面保護部44まで外側に向けて上下に傾斜して延びる傾斜面部44b2と、を有している。換言すれば、傾斜面部44b2は、保持板50の後面保持部51b側から後面保護部44側に向けて、凸部44bの外側に傾斜する面である。傾斜面部44b2が形成されることにより、保持板50に対して主断熱材40を挿入する際に、凸部44bが保持板本体51に引っ掛かりにくくなる。このため、主断熱材40の保持板50に対する挿入が容易になる。また、平坦部44b1は保持板50に面的に接する。このため、主断熱材40を保持板50に対して位置決めし易くなる。
【0027】
図6に示すように、凸部44bには、上下方向における平坦部44b1の全体に亘って延びる溝44b3が形成されている。溝44b3は、左右方向に並べて3つ形成されており、それぞれが凸部44bを上下に貫通している。
【0028】
保持板50は、板金を折り曲げて形成されている。図4および図5に示すように、保持板50は、主断熱材40を覆う保持板本体51と、保持板本体51に取り付けられた保持帯53および支持板55と、を有する。
【0029】
保持板本体51は、前面保護部43を前方から覆う前面保持部51aと、後面保護部44を後方から覆う後面保持部51bと、左側面保護部46を左方から覆う左側面保持部51cと、を有する。前面保持部51aおよび左側面保持部51cは、前面保護部43および左側面保護部46に対して接している。
【0030】
後面保持部51bは、庇44aの先端よりも上方まで延びる平板状の部分である。後面保持部51bは、後面保護部44から後方に向けて突出する庇44aおよび凸部44bにより、後面保護部44から後方に離間した位置に配置される。すなわち、後面保持部51bと後面保護部44との間には、隙間Gが形成される。後面保持部51bは、凸部44bの平坦部44b1に接触しており、庇44aの先端からは僅かに離間している。
【0031】
保持帯53は、保持板本体51の上部において、両端を前面保持部51aの右端および後面保持部51bの右端にそれぞれ取り付けられる帯状の金属部材である。保持帯53は、保持板本体51の内側に配置された水冷媒熱交換器31および主断熱材40に右方向から接し、水冷媒熱交換器31および主断熱材40を保持板本体51内に保持する。
【0032】
支持板55は、保持板本体51の左側面保持部51cに取り付けられ、主断熱材40および水冷媒熱交換器31を下方から支持する板材である。支持板55は、主断熱材40の下面保護部45に対して下方から接する。また、支持板55は、前面保持部51aおよび後面保持部51bから前後方向に離間して配置されている。
【0033】
[1-2.作用]
以上のように構成された室外機1について、その作用を以下説明する。
[1-2-1.液滴の滴下時の作用]
室外機1の運転時には、気液分離器29の内部を冷媒が流れる。このため、気液分離器29が冷却されて結露水を生じる場合や、気液分離器29から液体冷媒が漏洩する場合がある。このような場合は、気液分離器29から水冷媒熱交換器ユニット30に対して水や冷媒の液滴が滴下される。
【0034】
水冷媒熱交換器ユニット30に滴下された液滴の多くは、主断熱材40の天面保護部42の上面42aによって受けられる。上面42aは後ろ下がりに傾斜しているため、上面42aに受けられた液滴は、図5に仮想線の矢印で示すように、重力に従って上面42a上を後方側に流れる。すなわち、上面42aが後ろ下がりに傾斜していることにより、水冷媒熱交換器ユニット30に落ちた液滴の流れる方向を、後方側に制限することができる。
【0035】
上面42aから後方側に流れた液滴は、後面保護部44の上端に位置する庇44aの外面44a1上を流れる。外面44a1は上面42aに滑らかにつながっているため、上面42aを流れた液滴は滞りなく外面44a1に流れやすい。外面44a1を流れた液滴は、庇44aの先端まで流れた後、後面保持部51bの内面に接触する。
【0036】
ここで、庇44aにより、後面保護部44の上部と後面保持部51bの上部との間には隙間Gが生じている。また、本実施の形態では、凸部44bにより、隙間Gは後面保護部44の下部と後面保持部51bの下部との間まで下方に延びている。このため、後面保持部51bの内面に接触した液滴は、後面保持部51bの内面を伝って、後面保護部44と後面保持部51bとの隙間を下方に流れ落ちる。
【0037】
後面保持部51bを伝って下方に流れる液滴は、凸部44bに上方から接触する。本実施の形態では、凸部44bには水抜き用の溝44b3が形成されているため、液滴は溝44b3を介して凸部44bの下方に流れることができる。
【0038】
その後、後面保持部51bを伝う液滴は、後面保持部51bと支持板55との間の隙間を抜けて更に下方に流れ、底板14に流れる。底板14に流れた液滴は、底板14に形成された排水用の孔から外部に排水される。
【0039】
[1-2-2.室外機が衝撃を受けたときの作用]
図7は、本実施の形態の室外機1の落下時における主断熱材40の変形を示す図である。なお、図7において、主断熱材40の変形量は、実際の5倍に拡大して記載されている。
【0040】
室外機1の設置時などにおいて、室外機1が落下するなどして衝撃を受ける場合がある。このような場合、室外機1の機械室13内に設けられた圧縮機22が傾き、水冷媒熱交換器ユニット30に寄りかかることがある。このとき、水冷媒熱交換器ユニット30には、圧縮機22の重量の60パーセント程度の荷重がかかるとされている。このような場合、図7のように主断熱材40は下方側が後方側に回転して変形し、変形による応力が発生する。
【0041】
図8は、本実施の形態の室外機1の落下時における主断熱材40の応力分布を示す図である。図9は、室外機1の落下時における比較例の主断熱材140の応力分布を示す図である。図8の本実施の形態の応力分布、および、図9の比較例における応力分布は、圧縮機22が傾き、水冷媒熱交換器ユニット30に寄りかかった場合のシミュレーションによって得られたものである。なお、比較例の主断熱材140は、本実施の形態の主断熱材40と異なり、凸部44bを有していない。また、図8および図9においては、特に応力が集中する応力集中部Sにおける応力の分布が示されており、発生している応力が大きい部分ほど、黒く表示されている。
【0042】
本実施の形態においては、主断熱材40の後面保護部44の上端には庇44aが形成され、下部には凸部44bが形成されている。凸部44bは保持板50に接し、庇44aは保持板50から僅かに離間しているため、後面保護部44と保持板50との間に液滴が流れる隙間Gを確保しつつ、保持板50に対する主断熱材40のがたつきが抑制されている。これにより、例えば水冷媒熱交換器31、または、主断熱材40に対して圧縮機22が寄りかかったり、傾いたりした場合であっても、水冷媒熱交換器31および主断熱材40は保持板50に対して相対移動しにくくなる。従って、主断熱材40の変形を抑制できる。
【0043】
このため、図8示す、室外機1の落下時に本実施の形態の主断熱材40の応力集中部Sにかかる応力は、図9に示す、同様の場合に比較例の主断熱材140の応力集中部Sにかかる応力よりも小さい。本実施の形態の主断熱材40は、庇44aおよび凸部44bによって保持板本体51に対するがたつきが抑制され、主断熱材40の変形が抑制されることにより、変形に伴う応力の発生が抑制される。一方、凸部44bを有さない比較例の主断熱材140は、本実施の形態の主断熱材40よりも下方側が後方側に回転して変形し易いため、本実施の形態の主断熱材40よりも応力集中部Sにおける応力が大きくなり易い。
【0044】
特に、本実施の形態においては、凸部44bは、保持板50の後面保持部51bに向けて圧縮機22の重量の60パーセントの荷重がかかった場合にも、ほぼ変形しない形状に形成されている。すなわち、後面保持部51bに接触する平坦部44b1の面積は、圧縮機22の重量の60パーセントの荷重が主断熱材40にかかった場合にも、凸部44bがほぼ変形しない程に大きい。具体的には、平坦部44b1の面積は、主断熱材40に対して後面保持部51bに向けた圧縮機22の重量の60パーセントの荷重がかかった場合において、凸部44bが前後方向に0.2mm以上圧縮されない面積である。このため、本実施の形態の主断熱材40は比較例よりも変形しにくく、応力集中部Sに生じる応力が小さくなり、主断熱材40は破損しにくい。なお、上記のように凸部44bの圧縮を抑制するために必要な平坦部44b1の面積は、主断熱材40の材質によっても影響され、主断熱材40を構成する発泡材料が変形しやすいほど、大きな面積が必要になる。
【0045】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、室外機1は、冷媒の気液を分離する気液分離器29と、冷媒と熱媒としての水との間で熱交換させる水冷媒熱交換器31と、水冷媒熱交換器31を覆う主断熱材40と、主断熱材40の外側を覆う保持板50と、を備え、水冷媒熱交換器31は、気液分離器29の下方に設けられ、主断熱材40は、水冷媒熱交換器31の天面32に接する天面保護部42と、水冷媒熱交換器31の後面35に接する後面保護部44と、を有し、天面保護部42は、後面保護部44に向かって下がる方向に傾斜し、後面保護部44は、保持板50に向けて外側に突出する庇44aを有する。
これにより、気液分離器29から水冷媒熱交換器31に落ちた液滴の流れる方向が、傾斜した天面保護部42によって後方に制限される。また、後面保護部44と保持板50とには、庇44aによって隙間Gが形成され易い。従って、水冷媒熱交換器31に落ちた液滴の流れる方向を制限して隙間Gに流し、隙間Gから液滴を下方に流すことができる。
【0046】
本実施の形態のように、後面保護部44の下部には、保持板50に向けて外側に突出する凸部44bが形成され、庇44aは、後面保護部44の上部に設けられ、凸部44bと庇44aとは、後面保護部44からそれぞれ同等の距離だけ突出する、構成としてもよい。
これにより、後面保護部44と保持板50との隙間Gが、後面保護部44の上下方向全体に亘って形成され易くなり、液滴が隙間Gを流れ落ち易くなる。また、後面保護部44と保持板50との間に隙間Gを設けつつ、庇44aと凸部44bによって、保持板50に対する主断熱材40のがたつきを抑制できる。このため、主断熱材40を保持板50に配置し易くなる。また、主断熱材40は外部から荷重を受けた場合であっても保持板50に対して相対移動しにくくなるため、主断熱材40の変形および応力が抑制される。
【0047】
本実施の形態のように、凸部44bには、上下に貫通する水抜き用の溝44b3が形成される、構成としてもよい。
これにより、後面保護部44と保持板50との隙間Gを流れ落ちる液滴は、溝44b3を介して凸部44bを通り抜け易くなる。
【0048】
本実施の形態のように、凸部44bは、保持板50側から後面保護部44側に向けて、凸部44bの外側に傾斜する傾斜面部44b2を有する、構成としてもよい。
これにより、凸部44bが保持板50に引っ掛かりにくくなるので、主断熱材40を保持板50に挿入し易くなる。
【0049】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0050】
実施の形態1では、室外機1は、所謂ヒートポンプ温水暖房機に利用可能であると説明したが、これは一例である。例えば、室外機1は、ヒートポンプ式の給湯器の室外機であってもよい。
【0051】
実施の形態1では、庇44aは後面保護部44の上端に形成されると説明したが、これは一例である。たとえば、庇44aは、後面保護部44の上下方向における中央に設けられていてもよい。
【0052】
実施の形態1では、天面保護部42の上面42aは、全体が後ろ下がりに傾斜していると説明したが、これは一例である。たとえば、天面保護部42の上面42aは、気液分離器29から落ちる液滴を受ける一部のみが後ろ下がりに傾斜する構成であってもよい。上述したように、実施の形態1では、気液分離器29と圧縮機22との間には、天面保護部42の上面42aに形成された仕切溝42a1に嵌る機械室用仕切板13aが配置される。このため、気液分離器29から落ちる液滴は、上面42aのうち仕切溝42a1よりも後方側の一部によって受けられる。このため、上面42aにおいて、仕切溝42a1よりも後方側の部分のみが後ろ下がりに傾斜するように形成されていてもよい。
【0053】
実施の形態1では、庇44aおよび凸部44bは、それぞれ後面保護部44形成されると説明したが、これは一例である。庇44aおよび凸部44bは、主断熱材40のうち、保持板50に向かい合う別の後面保護部44以外の部分に形成されていてもよい。例えば、庇44aおよび凸部44bは、前面保持部51aに向かいあう前面保護部43や、左側面保持部51cに向かい合う左側面保護部46に形成されていてもよい。
【0054】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0055】
(付記)
(技術1)冷媒の気液を分離する気液分離器と、前記冷媒と熱媒との間で熱交換させる水冷媒熱交換器と、前記水冷媒熱交換器を覆う主断熱材と、前記主断熱材の外側を覆う保持板と、を備え、前記水冷媒熱交換器は、前記気液分離器の下方に設けられ、前記主断熱材は、前記水冷媒熱交換器の天面に接する天面保護部と、前記水冷媒熱交換器の第1側面に接する第1側面保護部と、を有し、前記天面保護部は、前記第1側面保護部に向かって下がる方向に傾斜し、前記第1側面保護部は、前記保持板に向けて外側に突出する庇を有する、室外機。
これにより、気液分離器からから水冷媒熱交換器に落ちた液滴の流れる方向が、傾斜した天面保護部によって第1側面保護部に向けた方向に制限される。また、第1側面保護部と保持板とには、庇によって隙間が形成され易い。従って、水冷媒熱交換器に落ちた液滴の流れる方向を制限して隙間に流し、第1側面保護部と保持板との隙間から液滴を下方に流すことができる。
【0056】
(技術2)前記第1側面保護部の下部には、前記保持板に向けて外側に突出する凸部が形成され、前記庇は、前記第1側面保護部の上部に設けられ、前記凸部と前記庇とは、前記第1側面保護部からそれぞれ同等の距離だけ突出する、技術1に記載の室外機。
これにより、第1側面保護部と保持板との隙間が、第1側面保護部の上下方向全体に亘って形成され易くなり、液滴が隙間を流れ落ち易くなる。また、第1側面保護部と保持板との間に隙間を設けつつ、庇と凸部によって、保持板に対する主断熱材のがたつきを抑制できる。このため、主断熱材を保持板に配置し易くなる。また、主断熱材は外部から荷重を受けた場合であっても保持板に対して相対移動しにくくなるため、主断熱材の変形および応力が抑制される。
【0057】
(技術3)前記凸部には、上下に貫通する水抜き用の溝が形成される、技術2に記載の室外機。
これにより、第1側面保護部と保持板との隙間を流れ落ちる液滴は、溝を介して凸部を通り抜け易くなる。
【0058】
(技術4)前記凸部は、前記保持板側から前記第1側面保護部側に向けて、前記凸部の外側に傾斜する傾斜面部を有する、技術2または3に記載の室外機。
これにより、凸部が保持板に引っ掛かりにくくなるので、主断熱材を保持板に配置し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示は、水と冷媒とを熱交換させる水冷媒熱交換器を有する室外機に適用可能である。具体的には、ヒートポンプ温水暖房機やヒートポンプ式の給湯器の室外機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 室外機
10 筐体
10A 背面
10B 側面
11 仕切板
12 送風機室
13 機械室
13a 機械室用仕切板
13b 固定板
14 底板
15 側面パネル
16 前面パネル
17 天板
18 通風部
20 熱交換器
21 送風装置
22 圧縮機
25 冷媒配管
26 電装箱
29 気液分離器
30 水冷媒熱交換器ユニット
31 水冷媒熱交換器
32 天面
33 右側面
33a 給水配管接続口
33b 冷媒配管接続口
34 前面
35 後面(第1側面)
36 下面
37 左側面
40 主断熱材
41 凹部
42 天面保護部
42a 上面
42a1 仕切溝
43 前面保護部
44 後面保護部(第1側面保護部)
44a 庇
44a1 外面
44b 凸部
44b1 平坦部
44b2 傾斜面部
44b3 溝
45 下面保護部
46 左側面保護部
50 保持板
51 保持板本体
51a 前面保持部
51b 後面保持部
51c 左側面保持部
53 保持帯
55 支持板
140 主断熱材
G 隙間
S 応力集中部
図1
図2
図3
図4
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図7
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図9