(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012216
(43)【公開日】2024-01-26
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B41J2/17 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113220
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩徳
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056EA27
2C056FA10
2C056JA01
2C056JB04
2C056JB09
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】廃液流路から廃液タンクに廃液が排出されるときに廃液が漏れだしにくいインクジェットプリンタを提供すること。
【解決手段】プリンタ10は、廃液をクリーニング機構70から導く廃液流路80と、廃液を回収する廃液タンク110と、廃液流路80の突出部83Bから廃液流路80の外部に排出された液体を受ける本体部122と、本体部122で受けた液体を廃液タンク110の流入口112Hに導く出口部125と、を有する漏斗121と、取り付け板14の下面14Bとの間に間隙17が形成された状態で漏斗121を支持するアダプタ126と、突出部83Bが挿通可能な貫通穴130Hが設けられ、かつ、弾性変形可能な材料から形成され、かつ、間隙17を閉塞する緩衝部材130と、を備えている。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、液体を吐出するノズルを有するインクヘッドと、
前記装置本体に設けられ、前記ノズルから液体を排出させる動作を行うクリーニング機構と、
前記装置本体の下面から下方に向けて突出する突出部を有し、前記クリーニング機構により排出された前記液体を前記クリーニング機構から導く廃液流路と、
前記突出部から前記廃液流路の外部に排出された前記液体が流れ込む流入口を有し、前記流入口から流れ込んだ前記液体を回収する廃液タンクと、
前記突出部から前記廃液流路の外部に排出された前記液体を受ける本体部と、前記本体部で受けた前記液体を前記廃液タンクの前記流入口に導く出口部と、を有する廃液受け部材と、
前記装置本体の前記下面との間に間隙が形成された状態で前記廃液受け部材を支持するアダプタと、
前記突出部が挿通可能な貫通穴が設けられ、かつ、弾性変形可能な材料から形成され、かつ、前記間隙を閉塞する緩衝部材と、を備えている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記緩衝部材は、半独立発泡構造を有する樹脂材料から形成されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記緩衝部材は、前記アダプタの上面に固定されている、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記装置本体に設けられ、かつ、前記アダプタを支持し、前記廃液タンクが着脱可能に載置されるタンク載置部材を備え、
前記緩衝部材は、矩形状に形成され、かつ、第1の方向の長さが平面視で前記第1の方向と直交する第2の方向の長さより長く、
前記装置本体の前記下面には、前記第1の方向に延びかつ前記タンク載置部材が取り付けられる取り付け穴が形成され、
前記タンク載置部材は、前記取り付け穴に挿入される係止片を有し、前記係止片を前記取り付け穴に挿入させると共に前記緩衝部材を前記装置本体の前記下面に押し当てた状態で、前記係止片を前記取り付け穴内で前記第1の方向にスライド移動させることによって前記装置本体の前記下面に固定されるように構成されている、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記装置本体に設けられたコネクタと、
前記緩衝部材よりも前記第2の方向の一方側に位置するように前記タンク載置部材に設けられ、前記コネクタに接続されるケーブルと、を備え、
前記コネクタおよび前記ケーブルは、前記タンク載置部材が前記装置本体に取り付けられた状態において、前記タンク載置部材に覆われている、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記取り付け穴は、前記第1の方向に延びる第1取り付け穴と、前記第1取り付け穴よりも前記第2の方向の他方側に位置する第2取り付け穴と、を含み、
前記係止片は、前記第1取り付け穴に挿入される第1係止片と、前記第2取り付け穴に挿入される第2係止片と、を有し、
前記第1取り付け穴に挿入された前記第1係止片が前記第2の方向の一方側にスライド移動することにより前記第2係止片が前記装置本体の前記下面に当接するときには、前記緩衝部材は、前記装置本体の前記下面および前記アダプタに接触し、
前記第1取り付け穴に挿入された前記第1係止片が前記第2の方向の他方側にスライド移動することにより前記第2係止片が前記第2取り付け穴に挿入されて前記第2取り付け穴に係止するときには、前記緩衝部材は、前記装置本体の前記下面から離反している、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクヘッドのクリーニング動作が可能なインクジェットプリンタが知られている。特許文献1には、クリーニング動作として、例えばインクヘッドのノズル内のインクを吸引ポンプで強制的に吸引するインク吸引動作を行うインクジェットプリンタが開示されている。
【0003】
上記インクジェットプリンタは、クリーニング動作で排出されたインクを導く廃液流路と、廃液を回収する廃液タンクと、廃液タンクを支持する支持台とを備える。クリーニング動作を繰り返すことで、廃液タンクには徐々に廃液が溜まっていく。廃液タンクが満杯になると廃液を外部に捨てられるように、廃液タンクは支持台に対して着脱可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、廃液流路から排出された廃液を廃液タンクに確実に流し込むために、廃液流路から排出された廃液を受けて廃液タンクに流し込む部材、例えば漏斗等の受け部材が用いられることがある。廃液流路の出口部の下方に受け部材が配置され、受け部材の下方に廃液タンクが配置される。この受け部材は、廃液流路の出口部が設けられる取り付け部材に取り付けられる。廃液流路の出口部を構成する部品や受け部材を取り付けるための部品等の組付誤差や部品公差等を調整するために、受け部材と取り付け部材との間には間隙が設けられている。一方、上記間隙が存在すると、廃液流路の出口部から受け部材の表面に落下した廃液が跳ね返って、間隙から廃液が漏れ出す虞がある。さらに、上記間隙は上記組付誤差や部品公差等によってばらつきが生じるため、受け部材の取り付け部材に対する取り付け位置を調整しながら取り付け作業を行うが、上記調整等の負担が大きく取り付け作業が煩雑となる虞がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃液流路から廃液タンクに液体が排出されるときに液体が漏れだすことを抑制しつつ、廃液流路から排出された液体を受ける受け部材を装置本体に取り付ける取り付け作業の作業性を向上することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタは、装置本体と、前記装置本体に設けられ、液体を吐出するノズルを有するインクヘッドと、前記装置本体に設けられ、前記ノズルから液体を排出させる動作を行うクリーニング機構と、前記装置本体の下面から下方に向けて突出する突出部を有し、前記クリーニング機構により排出された前記液体を前記クリーニング機構から導く廃液流路と、前記突出部から前記廃液流路の外部に排出された前記液体が流れ込む流入口を有し、前記流入口から流れ込んだ前記液体を回収する廃液タンクと、前記突出部から前記廃液流路の外部に排出された前記液体を受ける本体部と、前記本体部で受けた前記液体を前記廃液タンクの前記流入口に導く出口部と、を有する廃液受け部材と、前記装置本体の前記下面との間に間隙が形成された状態で前記廃液受け部材を支持するアダプタと、前記突出部が挿通可能な貫通穴が設けられ、かつ、弾性変形可能な材料から形成され、かつ、前記間隙を閉塞する緩衝部材と、を備えている。
【0008】
本発明に係るインクジェットプリンタによると、廃液流路の突出部から排出された廃液を廃液タンクの流入口に導く廃液受け部材は、アダプタに支持されている。アダプタの上端と装置本体の下面との間には組付誤差等を考慮して間隙が必要となる。一方、アダプタの上端には緩衝部材が接触しており、この緩衝部材は装置本体の下面にも接触している。また、緩衝部材の貫通穴には、廃液流路の突出部が挿通される。緩衝部材により上記間隙が閉塞され、突出部は、装置本体の下面、アダプタ、廃液受け部材および緩衝部材によって囲われた閉鎖空間に位置することになる。このため、突出部から廃液受け部材に導かれた廃液が廃液受け部材の本体部の表面で跳ね返っても間隙から外部に漏れ出すことなく、廃液タンクに導かれる。また、組付誤差等が一定でないため、上記間隙も一定ではないが、緩衝部材は弾性変形可能な材料から形成されているため、アダプタの上端と装置本体の下面との間隙(即ち距離)を適宜調整することができ、アダプタの上端と装置本体の下面との間に間隙が生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、廃液流路から廃液タンクに液体が導かれるときに液体が漏れだすことを抑制しつつ、廃液流路から排出された液体を受ける受け部材を装置本体に取り付ける取り付け作業の作業性を向上することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るプリンタの正面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る廃液流路および廃液ユニットを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、廃液ユニットを右方から見た断面図である。
【
図7】
図7は、揺動板が初期位置にあるときの廃液ユニットの一部の拡大図である。
【
図8】
図8は、ベース部材の下面に形成された取り付け穴を示す底面図である。
【
図9】
図9は、タンク載置部材が装置本体に仮保持されている状態を右方から見た一部断面図である。
【
図10】
図10は、タンク載置部材が装置本体に仮保持されている状態を上方から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、タンク載置部材が装置本体に仮保持されている状態を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下プリンタ10とする)の正面図である。プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。以下の説明では、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。符号Zは上下方向を示している。上下方向Zは、正面視において主走査方向Yと直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板等の比較的厚みを有するものが含まれる。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、装置本体12と、プラテン18と、脚19とを備えている。装置本体12は、ベース部材13と、ベース部材13に取り付けられた本体ケース15とを備えている。脚19はベース部材13の下部に取り付けられている。脚19は、ベース部材13を支持する。ベース部材13は、主走査方向Yに延びる。
【0015】
プラテン18は、記録媒体5への印刷の際、記録媒体5を支持する部材である。プラテン18には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン18上で行われる。プラテン18は、主走査方向Yに延びている。プラテン18は、ベース部材13に設けられている。プラテン18は、ベース部材13の主走査方向Yの中央部に位置する。
【0016】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ40と、ヘッド移動機構20とを備えている。キャリッジ40およびヘッド移動機構20は、本体ケース15に収容されている。ヘッド移動機構20は、キャリッジ40を主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構20は、ガイドレール21と、左側のプーリ22と、右側のプーリ23と、無端状のベルト24と、キャリッジモータ25とを備えている。ガイドレール21は、キャリッジ40の主走査方向Yへの移動をガイドする。ガイドレール21は、プラテン18の上方に配置されている。ガイドレール21は、ベース部材13に設けられている。ガイドレール21は主走査方向Yに延びている。左側のプーリ22は、ガイドレール21の左端より左方に設けられている。右側のプーリ23は、ガイドレール21の右端より右方に設けられている。ベルト24は、左側のプーリ22と右側のプーリ23とに巻き掛けられている。左側のプーリ22には、キャリッジモータ25が接続されている。ただし、キャリッジモータ25は、右側のプーリ23に接続されていてもよい。キャリッジモータ25が駆動して、左側のプーリ22が回転することで、左側のプーリ22と右側のプーリ23との間においてベルト24が走行する。キャリッジ40は、ベルト24に取り付けられている。キャリッジ40は、ガイドレール21に係合しており、ガイドレール21に摺動自在に設けられている。キャリッジモータ25の駆動によってベルト24が走行して、キャリッジ40が主走査方向Yに移動する。
【0017】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ40に搭載された複数のインクヘッド45を備えている。インクヘッド45は、キャリッジ40の移動に伴って主走査方向Yに移動する。複数のインクヘッド45は、主走査方向Yに並んでいる。複数のインクヘッド45は、ここでは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド45は、副走査方向Xに並びかつ液体(ここではインク)を吐出する複数のノズル(図示せず)を有する。複数のインクヘッド45は、それぞれ、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、およびブラックインクを記録媒体5に吐出する。ただし、複数のインクヘッド45から吐出されるインクは、上記のものに限定されない。複数のインクヘッド45から記録媒体5にそれぞれインクが吐出されることによって、記録媒体5に画像が形成される。
【0018】
図1に示すように、プリンタ10は、媒体搬送機構30を備えている。媒体搬送機構30は、ベース部材13に設けられている。媒体搬送機構30は、プラテン18に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる機構である。媒体搬送機構30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33とを備えている。グリットローラ31は、プラテン18に設けられている。ここでは、グリットローラ31の一部はプラテン18に埋設されている。ピンチローラ32は、グリットローラ31と上下方向で対向するように、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、記録媒体5を上から押え付ける部材である。フィードモータ33は、グリットローラ31に接続されている。グリットローラ31とピンチローラ32との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ33が駆動してグリットローラ31が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ10は、クリーニング機構70を備えている。クリーニング機構70は、インクヘッド45のノズルから液体(ここではインク)を排出させる動作を行う。クリーニング機構70は、ベース部材13に設けられている。クリーニング機構70は、キャッピング装置50と、ワイピング装置60とを有する。キャッピング装置50は、プラテン18より右方に位置し、キャリッジ40が印刷時以外のときに待機するホームポジションの下方に設けられている。キャッピング装置50は、複数のキャップ51と、キャップ移動機構52と、複数の吸引ポンプ53とを備えている。
【0020】
複数のキャップ51は、ホームポジションにおけるインクヘッド45の下方に配置されている。複数のキャップ51は、それぞれ1つのインクヘッド45の下方に設けられている。キャップ51の数とインクヘッド45の数は同じである。複数のキャップ51は、キャップ移動機構52に下方から支持されている。キャップ移動機構52は、複数のキャップ51を上下方向Zに移動させ、複数のキャップ51をそれぞれインクヘッド45に着脱させる。複数の吸引ポンプ53は、それぞれ1つのキャップ51に接続されている。なお、吸引ポンプ53は、複数のキャップ51に接続されていてもよい。吸引ポンプ53は、キャップ51がインクヘッド45に装着されているときに駆動し、インクヘッド45のノズルから強制的にインクを排出させる。吸引ポンプ53は、ノズルから排出されたインクを吸引する。
【0021】
図1に示すように、ワイピング装置60は、キャッピング装置50の左方に設けられている。ワイピング装置60は、ワイパー61と、ワイパー移動機構62と、ワイパー洗浄槽63(
図2参照)とを備えている。
【0022】
ワイパー61は、例えば、板状のゴムで形成されている。ワイパー61は、主走査方向Yに所定の幅を有している。ワイパー61の上端は、インクヘッド45の下面よりもわずかに高い位置に配置されている。ワイパー移動機構62は、ワイパー61を副走査方向Xに移動させる。ワイパー移動機構62は、ガイドレール21よりも前方からガイドレール21よりも後方までワイパー61を移動させるように構成されている。キャリッジ40がワイパー61の移動経路上に移動され、ワイパー61が副走査方向Xに移動すると、ワイパー61によってインクヘッド45の下面(即ちノズル面)がワイピングされる。ワイパー洗浄槽63には、ワイパー61を洗浄する洗浄液が収容されている。ワイパー洗浄槽63は、ワイパー61の可動範囲の後端に設けられている。ワイパー61は、ワイパー洗浄槽63の洗浄液に浸漬されることによって付着したインクを洗い落とす。
【0023】
図2に示すように、プリンタ10は、廃液流路80を備えている。廃液流路80は、クリーニング機構70により排出された液体(ここではインクおよび洗浄液)をクリーニング機構70から導く経路である。廃液流路80は、複数の吸引ポンプ53に吸引されたインクおよびワイパー洗浄槽63に収容された洗浄液を後述する漏斗121を介して廃液タンク110に導く経路である。廃液流路80は、主としてチューブ81とチューブジョイント83とで構成されている。なお、
図2を除きチューブ81の図示を省略している。複数の吸引ポンプ53およびワイパー洗浄槽63には、それぞれ1つのチューブ81が接続されている。複数の吸引ポンプ53に接続されたチューブ81は、漏斗121に到達する前に集約されている。詳しくは、2つのチューブ81は、集約部材82によって1つに集約されている。集約部材82は、例えば三方継手である。チューブ81の端部のうち吸引ポンプ53およびワイパー洗浄槽63とは逆側の端部には、チューブジョイント83が接続されている。チューブジョイント83は、ベース部材13の前部に取り付けられた取り付け板14に固定されている。取り付け板14は、ベース部材13の一部である。チューブジョイント83は、略L字状に形成されている。チューブジョイント83は、取り付け板14の上方に位置する本体部83Aと、装置本体12の下面(ここではベース部材13に取り付けられた取り付け板14の下面14B)から下方に向けて突出する突出部83Bとを有する。本体部83Aは、水平方向に延びる。本体部83Aには、チューブ81が接続されている。本体部83Aには、廃液流入口83AHが形成されている。突出部83Bは、上下方向Zに延びる。突出部83Bには、廃液流入口83AHと連通する廃液流出口83BHが形成されている。廃液流出口83BHは、下方に向けて開口しているが、水平方向や斜め下方に向けて開口していてもよい。
図3Aに示すように、突出部83Bは、正面視で漏斗121と重なる。なお、
図3Aでは、後述するタンク載置部材150の一部の図示を省略している。
【0024】
図3Aに示すように、装置本体12は、ベース部材13の前部13Fに取り付けられた取り付け板14を備えている。
図4に示すように、取り付け板14は、側面視でL字状に形成されている。取り付け板14は、上下方向に延びかつベース部材13に取り付けられる縦壁14Zと、縦壁14Zの下端から前方に向けて延びる横壁14Yとを有する。横壁14Yには、チューブジョイント83が貫通する貫通穴14YH(
図3Bも参照)が形成されている。チューブジョイント83の突出部83Bは、横壁14Yの下面14Bから下方に向けて突出する。なお、取り付け板14は、後述するタンク載置部材150に覆われている。本実施形態では、取り付け板14の下面14Bとベース部材13の下面13Bとは同一面である。
【0025】
図4に示すように、プリンタ10は、廃液ユニット100を備えている。廃液ユニット100は、クリーニング動作等で生じた廃液を回収する機構である。廃液ユニット100は、廃液を回収する廃液タンク110と、廃液を廃液タンク110に導く漏斗121と、漏斗121を支持するアダプタ126と、廃液タンク110が着脱可能に載置されるタンク載置部材150を備えている。漏斗121は、廃液受け部材の一例である。
【0026】
図3Aおよび
図5に示すように、廃液タンク110は、主走査方向Yの厚みが薄い薄型に形成されている。すなわち、廃液タンク110は、主走査方向Yの寸法が副走査方向Xおよび上下方向Zの寸法よりも小さな形状に形成されている。また、廃液タンク110は縦型に形成されている。すなわち、廃液タンク110は、上下方向Zの寸法が主走査方向Yおよび副走査方向Xの寸法よりも大きな形状に形成されている。本実施形態では、廃液タンク110は略直方体形状に形成されている。ただし、廃液タンク110の上記の形状および寸法は一例であり、特に限定される訳ではない。廃液タンク110の形状は、円筒形、立方体等の他の形状であってもよい。
【0027】
図4に示すように、廃液タンク110は、タンク本体110Aと筒部112とを有している。タンク本体110Aは、前壁110Fと、後壁110Rrと、左壁110L(
図3A参照)と、右壁110R(
図3Aも参照)と、上壁110Uと、下壁110Dとを有している。上壁110Uは、前側の水平壁110UAと、後側の水平壁110UBと、水平壁110UAおよび水平壁110UBの間に位置する傾斜壁110UCとを含んでいる。傾斜壁110UCは、前方に行くに従って下方に向かうように延びている。傾斜壁110UCは筒部112よりも後方に設けられている。筒部112は前側の水平壁110UAに設けられている。筒部112は上向きに延びている。なお、「上向きに延びる」には、鉛直方向に沿って上向きに延びる場合と、鉛直方向から傾いた方向に沿って上向きに延びる場合との両方が含まれる。本実施形態では、筒部112は鉛直方向に沿って上向きに延びている。筒部112の上端には、上向きに開口する流入口112Hが形成されている。流入口112Hは、チューブジョイント83の突出部83Bより下方に位置する。流入口112Hには、突出部83Bから廃液流路80の外部に排出された廃液が流れ込む。廃液タンク110は、流入口112Hから流れ込んだ廃液を回収する。なお、「上向きに開口する」には、鉛直方向に上向きに開口する場合と、鉛直方向から傾いた方向に上向きに開口する場合との両方が含まれる。本実施形態では、流入口112Hは鉛直方向に上向きに開口している。筒部112は、廃液タンク110の副走査方向Xの中間位置よりも前方に形成されている。
【0028】
タンク載置部材150は、廃液タンク110を着脱可能に支持する部材である。タンク載置部材150には、廃液タンク110が着脱可能に載置される。
図1に示すように、タンク載置部材150は、クリーニング機構70より下方に設けられている。
図4に示すように、タンク載置部材150は、装置本体12のベース部材13に取り付けられている。タンク載置部材150は、ベース部材13の下方に設けられている。タンク載置部材150は、廃液タンク110を支持する支持台153と、支持台153を傾動可能に支持する支持部材155と、支持部材155を覆うカバー部材168(
図5参照)と、を備えている。タンク載置部材150は、後述するアダプタ126を支持する。
【0029】
図4および
図5に示すように、支持部材155は、前壁155Aと、底壁155Bと、前側の左壁155LAと、後側の左壁155LBと、前側の右壁155RAと、後側の右壁155RBと、ベース部材13に取り付けられる左側係止板157Lおよび右側係止板157Rと、を備えている。前壁155Aは、上下方向Zに延びる。底壁155Bは、前壁155Aの下端から後方に延びる。前側の左壁155LAは、前壁155Aの左端から後方に延びる。前側の左壁155LAは、上下方向Zに延びる。後側の左壁155LBは、前側の左壁155LBの下端から後方に延びる。後側の左壁155LBは、副走査方向Xに延びる。前側の左壁155LBおよび後側の左壁155LBは、側面視で略L字状に形成されている。前側の右壁155RAは、前壁155Aの右端から後方に延びる。前側の右壁155RAは、上下方向Zに延びる。後側の右壁155RBは、前側の右壁155RBの下端から後方に延びる。後側の右壁155RBは、副走査方向Xに延びる。前側の右壁155RBおよび後側の右壁155RBは、側面視で略L字状に形成されている。
【0030】
図5に示すように、左側係止板157Lは、前側の左壁155LAの上部から後方に向けて延びている。右側係止板157Rは、前側の右壁155RAの上部から後方に向けて延びている。左側係止板157Lおよび右側係止板157Rは、第1係止片158Aと、第2係止片158Bとを有する。第1係止片158Aは、ベース部材13の下面13Bに形成された後述する第1取り付け穴13HA(
図8参照)に挿入されて第1取り付け穴13HAに係止する。第2係止片158Bは、ベース部材13の下面13Bに形成された後述する第2取り付け穴13HB(
図8参照)に挿入されて第2取り付け穴13HBに係止する。第2係止片158Bは、ベース部材13の下面13Bに当接する。第1係止片158Aは、第2係止片158Bより前方に位置する。第1係止片158Aは、後方に向けて延びている。第2係止片158Bは、上方に向けて延びている。第1係止片158Aと第2係止片158Bとの間には凹部158Cが形成されている。
【0031】
図4に示すように、支持台153は、横板部153aと、横板部153aの前端から上方に延びる縦板部153bと、縦板部153bから前方に延びる延出板部153cとを有している。横板部153aは、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びており、支持部材155に傾動可能に支持されている。横板部153aを傾動可能に支持する構造は特に限定されないが、本実施形態では、支持部材155の後側の右壁155RBおよび後側の左壁155LBに支持軸159が設けられ、横板部153aは支持軸159に揺動可能に支持されている。支持台153は、支持軸159を支点として傾動可能である。
【0032】
図4に示すように、支持部材155の前壁155Aには、上下に延びるスリット孔155Hが形成され、延出板部153cはスリット孔155Hに挿入されている。延出板部153cは支持部材155の前壁155Aを貫通している。前壁155Aには前方に延びるブラケット160が取り付けられ、ブラケット160には、ばね161の上端部が係止されている。延出板部153cには、ばね161の下端部が係止されている。ばね161は延出板部153cを上方に付勢している。これにより、支持台153は、ばね161により上方に付勢されている。
【0033】
支持部材155の前壁155Aの下部には、廃液タンク110の廃液量を検出する第1センサ162が設けられている。支持台153は傾動可能であるので、廃液タンク110の廃液量が増えるに従って、支持台153の傾きは大きくなり、延出板部153cは下方に移動する。延出板部153cの上下方向の位置は、廃液タンク110の廃液量と一義的に対応する。第1センサ162は、延出板部153cの位置を検出することにより、廃液タンク110の廃液量を間接的に検出する。本実施形態では、第1センサ162は光透過型または光反射型のフォトセンサにより構成されている。第1センサ162は2つ設けられている。ただし、第1センサ162の種類および個数は特に限定される訳ではない。
【0034】
支持部材155の前壁155Aの上部には、支持台153上に廃液タンク110が載置されたか否かを検出する第2センサ163が設けられている。支持部材155の前側の左壁155LAおよび前側の右壁155RAには、揺動板164が揺動自在に支持されている。ここでは、揺動板164は、支持軸165を介して前側の左壁155LAおよび前側の右壁155RAに支持されている。廃液タンク110が載置されていない場合、
図7に示すように、揺動板164は水平な初期位置にある。なお、揺動板164には廃液受け166が設けられており、揺動板164が初期位置にあるときに、廃液受け166は後述する漏斗121の筒状部123の真下に配置される。一方、
図4に示すように、廃液タンク110が支持台153上に載置された場合、揺動板164は廃液タンク110によって前方に押され、傾いた状態となる。第2センサ163は、揺動板164の傾きを検出することにより、廃液タンク110の載置の有無を検出する。第2センサ163は、廃液タンク110の一部が筒状部123を超えて左側に移動した移動量に基づいて廃液タンク110が支持台153に支持されていることを検出するセンサの一例である。本実施形態では、第2センサ163は光透過型または光反射型のフォトセンサにより構成されている。第2センサ163の光が揺動板164によって遮蔽または反射されることにより、第2センサ163のON/OFFが切り替えられる。ただし、第2センサ163の種類は特に限定される訳ではない。
【0035】
図5に示すように、カバー部材168は、支持部材155を覆う。カバー部材168は、支持部材155の前壁155Aを覆う第1部分168Aと、前側の右壁155RAの一部を覆う第2部分168Bと、前側の左壁155LAの一部を覆う第3部分168Cと、第2部分168Bの後部に設けられかつベース部材13に固定される第1固定壁168Dと、第3部分168Cの後部に設けられかつベース部材13に固定される第2固定壁168Eを備えている。第1部分168Aは、上下方向Zおよび主走査方向Yに延びている。第2部分168Bおよび第3部分168Cは、上下方向Zおよび副走査方向Xに延びている。第1固定壁168Dおよび第2固定壁168Eは、上下方向Zおよび主走査方向Yに延びている。第1固定壁168Dおよび第2固定壁168Eには、締結部材170が挿入される貫通穴168Hが形成されている。カバー部材168によって、第1センサ162および第2センサ163等が外部に露出しないように構成されている。
図3に示すように、カバー部材168は、締結部材170によってベース部材13に固定されている。これにより、タンク載置部材150がベース部材13に取り付けられる。
【0036】
図2に示すように、漏斗121は、廃液流路80と廃液タンク110とを連通させる部材である。漏斗121には、クリーニング機構70(
図1参照)からの廃液が導かれる。
図3Bに示すように、漏斗121は、上方に向かって広がった形状を有する本体部122と、本体部122から下方に向けて延びている筒状部123とをしている。本体部122は、チューブジョイント83の突出部83Bから廃液流路80の外部に排出された廃液を受ける。漏斗121は、本体部122に形成された開口部124と、筒状部123に形成された出口部125とを有する。開口部124は、チューブジョイント83の突出部83Bに対して開口する。開口部124は、上方に向けて開口する。出口部125は、開口部124に連通する。出口部125は、下方に向けて開口する。廃液流路80の廃液は出口部125から排出される。出口部125は、廃液タンク110の流入口112Hに挿通されるように構成されている。出口部125は、本体部122で受けた廃液を廃液タンク110の流入口112Hに導く。
【0037】
図3Aに示すように、アダプタ126は、タンク載置部材150に支持されている。アダプタ126は、タンク載置部材150の上部に設けられている。アダプタ126は、廃液流路80と廃液タンク110との間に位置する。アダプタ126は、チューブジョイント83の本体部83Aより下方に位置する。アダプタ126は、取り付け板14の下面14Bより下方に位置する。アダプタ126は、廃液タンク110より上方に位置する。アダプタ126は、漏斗121を支持する。アダプタ126は、取り付け板14の下面14Bとの間に間隙17(
図3Bも参照)が形成された状態で漏斗121を支持する。アダプタ126は、漏斗121を支持する支持板127と、支持板127をタンク載置部材150に取り付ける取り付け片128と、を有する。
図6に示すように、支持板127は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びる。支持板127は、平面視で矩形状に形成されている。支持板127は、取り付け片128に接続されている。支持板127には、円形状の開口127H(
図3Bも参照)が形成されている。開口127Hは、漏斗121によって塞がれている。平面視で開口127Hと漏斗121の開口部124とは重なる。
図3Bに示すように、支持板127は、漏斗121を上方から支持する。支持板127の上面127Tと取り付け板14の下面14Bとの間には間隙17が形成されている。取り付け片128は、上下方向Zおよび主走査方向Yに延びる。
図4に示すように、取り付け片128は、漏斗121より後方に位置する。取り付け片128は、支持部材155に連結されている。より詳細には、取り付け片128は、支持部材155の前側の左壁155LA(
図6参照)および前側の右壁155RAに連結されている。
【0038】
図3Bに示すように、廃液ユニット100は、緩衝部材130を備えている。緩衝部材130は、弾性変形可能な材料から形成されている。緩衝部材130は、例えば、独立発泡構造を有する樹脂材料(例えばポリオレフィン樹脂)から形成されている。なお、緩衝部材130は、例えば、連続発泡構造を有する樹脂材料(例えばポリオレフィン樹脂)から形成されていてもよいし、ゴム材料等から形成されていてもよい。緩衝部材130は、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)を主成分として成形され、半独立半連続気泡構造(半独立発泡構造)を有していてもよい。エチレンプロピレンゴム(EPDM)を主成分として成形され、半独立半連続気泡構造を有する緩衝部材130は、低密度かつ柔軟性に優れた発泡体であるため、防水性に優れている。緩衝部材130は、例えば、エプトシーラー(登録商標)である。緩衝部材130は、半独立半連続気泡構造を有するため、低応力で圧縮でき組付け作業性が良好である。また、緩衝部材130は、圧縮後には独立気泡化するため空気や水の侵入を抑制することができる。取り付け板14とアダプタ126との間に配置されている。緩衝部材130は、アダプタ126の開口部124を覆う。緩衝部材130は、取り付け板14の下面14Bと接触する。緩衝部材130は、アダプタ126の支持板127の上面127Tに接触する。緩衝部材130は、間隙17を閉塞する。緩衝部材130は、支持板127の上面127Tに固定されている。緩衝部材130は、例えば、両面テープ等によって支持板127の上面127Tに貼り付けられている。緩衝部材130は、取り付け板14の下面14Bとアダプタ126の支持板127とで挟まれて押しつぶされている。これにより、取り付け板14の下面14Bと、緩衝部材130と、アダプタ126および漏斗121とで囲われた閉鎖空間132が形成されている。また、緩衝部材130の押しつぶし量を適宜調整することで、取り付け板14の下面14Bとアダプタ126の支持板127との距離を調整することができる。緩衝部材130は、矩形状に形成されている。緩衝部材130は、平面視で主走査方向Yの長さが副走査方向Xの長さより長い。
図3Bに示すように、緩衝部材130には、チューブジョイント83の突出部83Bとアダプタ126の開口部124とを連通させる貫通穴130Hが形成されている。貫通穴130Hは、突出部83Bが挿通可能に形成されている。
図6に示すように、貫通穴130Hは、平面視で開口部124と重なる。貫通穴130Hは、円形状に形成されている。貫通穴130Hと開口部124とは、ほぼ同じ大きさである。上述の閉鎖空間132が形成されることにより、廃液流路80の突出部83Bから排出された廃液は間隙17から漏斗121の外部に漏れだすことなく、漏斗121を介して廃液タンク110に導かれることになる。
【0039】
図4および
図10に示すように、プリンタ10は、装置本体12に設けられたコネクタ180と、コネクタ180に接続されるケーブル182とを備えている。コネクタ180は、ベース部材13に設けられている。コネクタ180は、緩衝部材130より前方に配置されている。コネクタ180は、取り付け板14より前方に配置されている。コネクタ180は、取り付け板14の下面14Bより上方に配置されている。コネクタ180は、タンク載置部材150が装置本体12に取り付けられた状態において、タンク載置部材150に覆われている。ケーブル182は、タンク載置部材150に設けられている。ケーブル182は、第1センサ162および第2センサ163に接続されている。ケーブル182は、タンク載置部材150に覆われている。より詳細には、ケーブル182は、カバー部材168に覆われている。ケーブル182は、緩衝部材130の外方に位置する。ケーブル182は、緩衝部材130より前方に配置されている。
【0040】
図8に示すように、装置本体12の下面(ここではベース部材13の下面13B)には、主走査方向Yに並ぶ2組の取り付け穴13Hが形成されている。取り付け穴13Hは、第1取り付け穴13HAと、第1取り付け穴13HAより後方に位置する第2取り付け穴13HBとを含む。第1取り付け穴13HAは、幅広の矩形状の開口と幅狭の矩形状の開口とが連続する2つの開口から構成されており、第2取り付け穴13HBより副走査方向Xの長さが長い。第1取り付け穴13HAは、第1係止片158Aが挿入されかつ副走査方向Xに延びる第1部分13HAAと、第1部分13HAAの右方に位置しかつ第1部分13HAAと連続しかつ第1部分13HAAより副走査方向Xの長さが短い第2部分13HABと、第1部分13HAAの左方に位置しかつ第1部分13HAAと連続しかつ第1部分13HAAより副走査方向Xの長さが短い第3部分13HACと、を含む。第1部分13HAAは、第2部分13HABおよび第3部分13HACより後方に突出するように形成されている。第2取り付け穴13HBは、第1取り付け穴13HAの第2部分13HABの後方において、副走査方向Xに延びる同一直線上に配置される。取り付け穴13Hには、タンク載置部材150が取り付けられる。タンク載置部材150は、第1係止片158Aを取り付け穴13Hに挿入し、緩衝部材130を取り付け板14の下面14Bに押し当てた状態で、主走査方向Yにスライド移動させて固定されるように構成されている。
【0041】
図9に示すように、第1係止片158Aを第1取り付け穴13HA(より詳細には第1部分13HAA。
図8参照。)に挿入した後、第1係止片158Aを第2部分13HABにスライド移動させることで、
図11に示すように、第2係止片158Bが第2取り付け穴13HBに挿入可能となり、第1係止片158Aが第1取り付け穴13HAの第2部分13HABに係止すると共に第2係止片158Bが第2取り付け穴13HBに係止して、タンク載置部材150が傾斜した状態でベース部材13の下面13Bに係止する。即ち、タンク載置部材150は、ベース部材13に仮保持された状態である。この仮保持された状態では、緩衝部材130は、取り付け板14の下面14Bから離反している(
図10も参照)。また、タンク載置部材150がベース部材13の下面13Bから離反するため、タンク載置部材150とコネクタ180との間に作業スペースが出現する。上記作業スペースによりコネクタ180が外部に露出しているため、コネクタ180とケーブル182との接続を行うことができる。
【0042】
また、第2係止片158Bを第2取り付け穴13HBから取り出した後に、緩衝部材130を取り付け板14の下面14Bに押し当てた状態で、第1係止片158Aを第3部分13HACにスライド移動させることで、第1係止片158Aが第3部分13HACに係止すると共に第2係止片158Bがベース部材13の下面13Bに当接し、タンク載置部材150をベース部材13の下面13Bに固定することができる(
図4参照)。この状態では、緩衝部材130は取り付け板14の下面14Bおよびアダプタ126の支持板127の上面127Tに接触する。
【0043】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、廃液流路80のチューブジョイント83の突出部83Bから排出された廃液を廃液タンク110の流入口112Hに導く漏斗121は、アダプタ126に支持されている。アダプタ126の上端(ここでは支持板127)と取り付け板14の下面14Bとの間には組付誤差等を考慮して間隙17が必要となる。一方、アダプタ126の上端(ここでは支持板127)には緩衝部材130が接触しており、この緩衝部材130は取り付け板14の下面14Bにも接触している。また、緩衝部材130の貫通穴130Hには、廃液流路80のチューブジョイント83の突出部83Bが挿通される。緩衝部材130により上記間隙17が閉塞され、突出部83Bは、取り付け板14の下面14B、アダプタ126、漏斗121および緩衝部材130によって囲われた閉鎖空間132に位置することになる。このため、突出部83Bから漏斗121に導かれた廃液が漏斗121の本体部122の表面で跳ね返っても間隙17から外部に漏れ出すことなく、廃液タンク110に導かれる。また、組付誤差等が一定でないため、上記間隙17も一定ではないが、緩衝部材130は弾性変形可能な材料から形成されているため、アダプタ126の上端(ここでは支持板127)と取り付け板14の下面14Bとの間隙(即ち距離)を適宜調整することができ、アダプタ126の上端(ここでは支持板127)と取り付け板14の下面14Bとの間に間隙が生じることを抑制することができる。
【0044】
本実施形態のプリンタ10では、緩衝部材130は、半独立発泡構造を有する樹脂材料から形成されている。かかる構成によると、組み立て作業性を確保しつつ廃液が外部に漏れだすことをより確実に抑制することができる。
【0045】
本実施形態のプリンタ10では、緩衝部材130は、アダプタ126の支持板127の上面127Tに固定されている。これにより、プリンタ10を組み立てる際、即ち、アダプタ126をベース部材13に取り付ける際に、支持板127の上面127Tと取り付け板14の下面14Bとの距離の調整を容易に行うことができる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10は、ベース部材13に設けられ、かつ、アダプタ126を支持し、廃液タンク110が着脱可能に載置されるタンク載置部材150を備え、緩衝部材130は、矩形状に形成され、かつ、主走査方向Yの長さが副走査方向Xの長さより長く、ベース部材13の下面13Bには、主走査方向Yに延びかつタンク載置部材150が取り付けられる取り付け穴13Hが形成され、タンク載置部材150は、取り付け穴13Hに挿入される係止片158を有し、係止片158を取り付け穴13Hに挿入させると共に緩衝部材130を取り付け板14の下面14Bに押し当てた状態で、係止片158を取り付け穴13H内で主走査方向Yにスライド移動させることによってベース部材13の下面13Bに固定されるように構成されている。かかる構成によると、緩衝部材130を取り付け板14の下面14Bに押し当てた状態で、タンク載置部材150を主走査方向Yにスライド移動させるため緩衝部材130が主走査方向Yにわずかにずれる虞がある。しかしながら、緩衝部材130は主走査方向Yの長さが副走査方向Xの長さより長い矩形状を有しているため、緩衝部材130が多少ずれても、アダプタ126の支持板127の上面127Tと取り付け板14の下面14Bとの間に間隙が生じることを抑制することができる。
【0047】
本実施形態のプリンタ10では、ベース部材13に設けられたコネクタ180と、緩衝部材130よりも前方に位置するようにタンク載置部材150に設けられ、コネクタ180に接続されるケーブル182と、を備え、コネクタ180およびケーブル182は、タンク載置部材150がベース部材13に取り付けられた状態において、タンク載置部材150に覆われている。かかる構成によると、ケーブル182とコネクタ180との接続を容易にすると共に、ケーブル182およびコネクタ180が外部に露出することおよびケーブル182およびコネクタ180に廃液が付着することを抑制することができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10では、取り付け穴13Hは、主走査方向Yに延びる第1取り付け穴13HAと、第1取り付け穴13HAよりも後方に位置する第2取り付け穴13HBと、を含み、係止片は、第1取り付け穴13HAに挿入される第1係止片158Aと、第2取り付け穴13HBに挿入される第2係止片158Bと、を有し、第1取り付け穴13HAに挿入された第1係止片158Aが主走査方向Yの右方から左方にスライド移動することにより第2係止片158Bがベース部材13の下面13Bに当接するときには、緩衝部材130は、取り付け板14の下面14Bおよびアダプタ126の支持板127の上面127Tに接触し、第1取り付け穴13HAに挿入された第1係止片158Aが主走査方向Yの左方から右方にスライド移動することにより第2係止片158Bが第2取り付け13HB穴に挿入されて第2取り付け穴13HBに係止するときには、緩衝部材130は、取り付け板14の下面14Bから離反している。かかる構成によると、タンク載置部材150をベース部材13の下面13Bに対して2つの態様で取り付けることができる。第1係止片158Aを第1取り付け穴13HAに挿入しベース部材13の下面13Bに係止するときには、緩衝部材130は、取り付け板14の下面14Bおよびアダプタ126の支持板127の上面127Tに接触した状態で取り付けられる。一方、第2係止片158Bを第2取り付け穴13HBに挿入し第2取り付け穴13HBの縁に第2係止片158Bが係止するときには、緩衝部材130は取り付け板14の下面14Bから離反した状態で取り付けらえる。緩衝部材130が取り付け板14の下面14Bから離反した状態の場合には、タンク載置部材150の取り付け作業、例えば、ケーブル182とコネクタ180との接続を容易に行うことができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0050】
上述した実施形態では、緩衝部材130は平面視で長方形状に形成されていたが、正方形、円形等に形成されていてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、緩衝部材130は、アダプタ126の支持板127に接触していたが、例えば、漏斗121の上端に接触するように構成されていてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、チューブジョイント83が取り付け板14の下面14Bから下方に突出するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、チューブジョイント83がベース部材13の下面13Bから下方に突出してもよい。この場合、緩衝部材130は、ベース部材13の下面13Bと接触する。
【符号の説明】
【0053】
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
12 装置本体
13 ベース部材
13B 下面
13H 取り付け穴
13HA 第1取り付け穴
13HB 第2取り付け穴
14 取り付け板
14B 下面
70 クリーニング機構
80 廃液流路
83 チューブジョイント
83B 突出部
100 廃液ユニット
110 廃液タンク
112H 流入口
121 漏斗(廃液受け部材)
124 開口部
125 出口部
126 アダプタ
127 支持板
127T 上面
130 緩衝部材
130H 貫通穴
150 タンク載置部材
158 係止片
158A 第1係止片
158B 第2係止片
180 コネクタ
182 ケーブル