(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122166
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A63B69/36 531E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029551
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】523071145
【氏名又は名称】株式会社オーリス
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】小寺 史将
(57)【要約】
【課題】煩雑な準備動作を要することなく、適正な軌道でゴルフクラブをスイングすることが可能なゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラムの提供。
【解決手段】本発明に係るゴルフ支援装置1は、ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型のディスプレイ40と、ボールの打球ラインを入力可能な入力部50と、ゴルファーの視野の変移を検知する検知部と、記憶手段と、中央制御部とを備えている。中央制御部は、打球ラインの入力時における前記視野を基準位置として設定する基準位置設定部と、前記打球ライン及び前記基準位置を記憶部に記憶させる打球ライン情報登録部と、検知部による検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした視野の変移量を算出する視野変移量算出部と、前記視野の変移量に応じてディスプレイ40に前記打球ラインを示す打球ライン画像BLを移動して表示させる表示制御部とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型の表示手段と、
ゴルファーが操作可能な入力手段と、
ゴルファーの視野の変移を検知する検知手段と、
各種情報を記憶する記憶手段と、
前記表示手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記入力手段は、ボールを打撃する打撃方向を示す打球ラインを入力することが可能であり、
前記制御手段は、
前記入力手段の操作によって前記打球ラインが入力されると、該入力時における前記視野の位置を基準位置として設定する基準位置設定部と、
前記入力手段の操作により入力された前記打球ラインを前記基準位置と共に前記記憶手段に記憶させる打球ライン情報登録部と、
前記検知手段により検出される検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした前記視野の変移量を算出する視野変移量算出部と、
前記視野変移量算出部により算出される前記視野の変移量に応じて前記表示手段に前記打球ラインを示す打球ライン画像を移動して表示させる表示制御部と、
を有する、ゴルフ支援装置。
【請求項2】
前記打球ラインは、前記入力手段の操作によって前記ボールの前記打撃方向とは反対の方向から入力され、前記ボールから前記打撃方向に向けて延びるラインを含む、請求項1に記載のゴルフ支援装置。
【請求項3】
前記打球ライン画像は、前記ボールから前記打撃方向に延びるライン画像を含む、請求項1に記載のゴルフ支援装置。
【請求項4】
前記打球ライン画像は、前記ボールから前記打撃方向とは反対の方向に延びる第2ライン画像を更に含む、請求項3に記載のゴルフ支援装置。
【請求項5】
前記ゴルフ支援装置は、ゴルファーが装着するスマートグラスである、請求項1~4の何れか1項に記載のゴルフ支援装置。
【請求項6】
ゴルフ支援装置を用いたゴルフ支援方法であって、
前記ゴルフ支援装置は、
ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型の表示手段と、
ゴルファーによる操作によってボールを打撃する打撃方向を示す打球ラインを入力可能な入力手段と、
ゴルファーの視野の変移を検知する検知手段と、
各種情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記入力手段の操作によって前記打球ラインが入力されると、該入力時における前記視野の位置を基準位置として設定する基準位置設定工程と、
前記入力手段の操作により入力された前記打球ラインを前記基準位置と共に前記記憶手段に記憶させる打球ライン情報登録工程と、
前記検知手段により検出される検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした前記視野の変移量を算出する視野変移量算出工程と、
前記視野位置変移量算出工程を行うことにより算出される前記視野の変移量に応じて前記表示手段に前記打球ラインを示す打球ライン画像を移動して表示させる表示制御工程と、
を含む、ゴルフ支援方法。
【請求項7】
ゴルフ支援装置に用いられるゴルフ支援プログラムであって、
前記ゴルフ支援装置は、
ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型の表示手段と、
ゴルファーによる操作によってボールを打撃する打撃方向を示す打球ラインを入力可能な入力手段と、
ゴルファーの視野の変移を検知する検知手段と、
各種情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記入力手段の操作によって前記打球ラインが入力されると、該入力時における前記視野の位置を基準位置として設定する基準位置設定ステップと、
前記入力手段の操作により入力された前記打球ラインを前記基準位置と共に前記記憶手段に記憶させる打球ライン情報登録ステップと、
前記検知手段により検出される検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした前記視野の変移量を算出する視野変移量算出ステップと、
前記視野位置変移量算出ステップを行うことにより算出される前記視野の変移量に応じて前記表示手段に前記打球ラインを示す打球ライン画像を移動して表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる、ゴルフ支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラムに関し、特に、ゴルフスイングの改善を支援するゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフボール(以下、単に「ボール」という)の打撃は、カップ等の目標地点とボールとを結んだ打球ラインと、ゴルフクラブのフェース面とが垂直となるように、当該打球ラインに沿ってゴルフクラブをスイングする(移動させる)ことにより行われる。
しかしながら、特に、ゴルフ経験が少ない初心者のゴルファーであると、このような適正なゴルフスイングをすることができない場合が少なくなく、斯かる場合、ボールを目標地点に向けて打つことができないという問題があった。
【0003】
このような問題を解消するべく、ゴルフスイングの改善を支援する技術が各種提案されている。例えば、この種の技術として、特許文献1のゴルフ用の眼鏡がある。
【0004】
特許文献1のゴルフ用の眼鏡は、眼鏡レンズの面に、打球ラインを予測する細い直線を水平方向に描いたものである。
このような技術によれば、眼鏡レンズに描かれた直線がボールと目標地点(例えば、カップ)上に重なって視えるように立つことで、適正なアドレスを得ることができるうえ、当該直線に沿ってゴルフクラブをスイングすることで、ボールを目標地点に向けて打撃することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のゴルフ用の眼鏡では、ゴルフクラブをスイングする際に、眼鏡レンズに描かれた直線を、ボールと目標地点が重なるように位置合わせしなければならないため、ゴルフスイングをする前の準備動作が極めて煩雑であるという問題があった。
【0007】
しかも、このような準備動作をゴルファーが行った後、例えば、首部を回転中心として頭部を移動させた場合、眼鏡レンズに描かれた直線が、ボールと目標地点からずれてしまうため、再度、同じような準備動作を繰り返し行わなければならず、すぐさま、適正な軌道でゴルフクラブをスイングすることができないといった問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、煩雑な準備動作を要することなく、適正な軌道でゴルフクラブをスイングすることが可能なゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、本発明に係るゴルフ支援装置によれば、ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型の表示手段と、ゴルファーが操作可能な入力手段と、ゴルファーの視野の変移を検知する検知手段と、各種情報を記憶する記憶手段と、前記表示手段を制御する制御手段と、を備え、前記入力手段は、ボールを打撃する打撃方向を示す打球ラインを入力することが可能であり、前記制御手段は、前記入力手段の操作によって前記打球ラインが入力されると、該入力時における前記視野の位置を基準位置として設定する基準位置設定部と、前記入力手段の操作により入力された前記打球ラインを前記基準位置と共に前記記憶手段に記憶させる打球ライン情報登録部と、前記検知手段により検出される検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした前記視野の変移量を算出する視野変移量算出部と、前記視野変移量算出部により算出される前記視野の変移量に応じて前記表示手段に前記打球ラインを示す打球ライン画像を移動して表示させる表示制御部と、を有する、ことにより解決される。
【0010】
なお、前記ゴルフ支援装置に係る発明においては、前記打球ラインは、前記入力手段の操作によって前記ボールの前記打撃方向とは反対の方向から入力され、前記ボールから前記打撃方向に向けて延びるラインを含む、と好適である。
【0011】
また、前記ゴルフ支援装置に係る発明においては、前記ボールから前記打撃方向に延びるライン画像を含む、と好適である。
この場合、前記打球ライン画像は、前記ボールから前記打撃方向とは反対の方向に延びる第2ライン画像を更に含む、とより好適である。
【0012】
さらに、前記ゴルフ支援装置に係る発明においては、前記ゴルフ支援装置は、ゴルファーが装着するスマートグラスである、と好適である。
【0013】
上記課題は、本発明に係るゴルフ支援方法によれば、ゴルフ支援装置を用いたゴルフ支援方法であって、前記ゴルフ支援装置は、ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型の表示手段と、ゴルファーによる操作によってボールを打撃する打撃方向を示す打球ラインを入力可能な入力手段と、ゴルファーの視野の変移を検知する検知手段と、各種情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記入力手段の操作によって前記打球ラインが入力されると、該入力時における前記視野の位置を基準位置として設定する基準位置設定工程と、前記入力手段の操作により入力された前記打球ラインを前記基準位置と共に前記記憶手段に記憶させる打球ライン情報登録工程と、前記検知手段により検出される検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした前記視野の変移量を算出する視野変移量算出工程と、前記視野位置変移量算出工程を行うことにより算出される前記視野の変移量に応じて前記表示手段に前記打球ラインを示す打球ライン画像を移動して表示させる表示制御工程と、を含む、ことによっても解決することができる。
【0014】
また、上記課題は、本発明に係るゴルフ支援プログラムによれば、ゴルフ支援装置に用いられるゴルフ支援プログラムであって、前記ゴルフ支援装置は、ゴルファーの視野に重ねて表示情報を表示可能な透過型の表示手段と、ゴルファーによる操作によってボールを打撃する打撃方向を示す打球ラインを入力可能な入力手段と、ゴルファーの視野の変移を検知する検知手段と、各種情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記入力手段の操作によって前記打球ラインが入力されると、該入力時における前記視野の位置を基準位置として設定する基準位置設定ステップと、前記入力手段の操作により入力された前記打球ラインを前記基準位置と共に前記記憶手段に記憶させる打球ライン情報登録ステップと、前記検知手段により検出される検出結果に基づいて前記基準位置を基準とした前記視野の変移量を算出する視野変移量算出ステップと、前記視野位置変移量算出ステップを行うことにより算出される前記視野の変移量に応じて前記表示手段に前記打球ラインを示す打球ライン画像を移動して表示させる表示制御ステップと、をコンピュータに実行させる、ことによっても解決することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラムによれば、比較的簡易な構成でありながらも、ゴルフ経験が少ない初心者であっても、すぐさま、適正な軌道でゴルフクラブをスイングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係るゴルフ支援装置の一実施形態を示す概要図である。
【
図2】
図2は、
図1のゴルフ支援装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、ゴルファーの視野の変移を検知するための原理を説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、
図1のゴルフ支援装置における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、打球ラインの入力手順を説明するための説明図である。
【
図6】
図6は、打球ライン画像の一例を示す画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のゴルフ支援装置、ゴルフ支援方法及びゴルフ支援プログラムを、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係るゴルフ支援装置の概要を示す概要図、
図2はゴルフ支援装置の一例を示すブロック図、
図3はゴルファーの視野の変移を検知するための原理を説明するための説明図、
図4はゴルフ支援装置における制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明における左右方向は、ゴルフ支援装置1を装着したゴルファーが前方を向いた状態での左右方向、上下方向はその状態での上下方向を意味する。
【0018】
<ゴルフ支援装置1の全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフ支援装置1は、ゴルフスイングの改善を支援する装置であり、ゴルファー(
図6参照、以下、「ゴルファーGr」という)が装着することが可能なスマートグラスにより構成されている。なお、上記ゴルフ支援装置1が特許請求の範囲に記載の「ゴルフ支援装置」に該当する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ゴルフ支援装置1は、メガネフレーム1A及び透過性を有する一対のレンズ1B,1Bといった公知のスマートグラスと同様な構成を備えるほか、中央制御部10(CPU:Central Processing Unit)と、記憶部20と、検知部30と、ディスプレイ40と、入力部50とを含んで構成されている。
ゴルフ支援装置1には、メガネフレーム1Aを構成する一対のつる部の一方(本実施形態では、左側のつる部)に、電子機器を収納するための収納スペース1Cが形成されており、その内部に、上記中央制御部10、記憶部20、検知部30の他、充電池等の電子機器類が収容されている。なお、上記中央制御部10と、記憶部20と、検知部30と、ディスプレイ40と、入力部50とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「制御手段」と、「記憶手段」と、「検知手段」と、「表示手段」と、「入力手段」とに該当する。
【0020】
(中央制御部10)
図2に示すように、中央制御部10は、記憶部20に記憶される各種プログラムを読み込み、所定の演算処理を行って、ディスプレイ40に所定の画像を表示等させる制御を実行する。
本実施形態に係る中央制御部10は、基準位置設定部10Aと、打球ライン情報登録部10Bと、視野変移量算出部10Cと、表示制御部10Dとを備えている。なお、上記基準位置設定部10Aと、打球ライン情報登録部10Bと、視野変移量算出部10Cと、表示制御部10Dとが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「基準位置設定部」と、「打球ライン情報登録部」と、「視野変移量算出部」と、「表示制御部」とに該当する。
【0021】
詳しくは後述するが、本実施形態では、ゴルファーGrが入力部50を操作することによって、これから打撃しようとするボールBの打撃方向としての打球ラインを入力することできるように構成されている(
図5(a)~(c)参照)。打球ラインの入力についての詳細な説明は後述する。
【0022】
また、中央制御部10は、打球ラインが入力されると、
・打球ラインと、当該打球ライン入力時のゴルファーGrの視野の位置(基準位置)とを記憶部20に記憶するとともに、打球ラインを示す打球ライン画像BLをディスプレイ40に表示する(
図5(d)参照)、
・その後、ゴルファーGrの視野が変移したときに、その変移量を算出して、ディスプレイ40に、打球ラインを示す打球ライン画像BLを移動させて表示する(
図6及び
図7参照)、
等の制御を実行するように構成されている。上記中央制御部10が行う制御についての詳細な説明は後述する。
【0023】
(基準位置設定部10A)
基準位置設置部10Aは、入力部50の操作によって打球ライン(
図5(c)参照)が入力された際、そのタイミングにおけるゴルファーGrの視野を基準位置として設定する制御を行う部分である。
詳しくは後述するが、本実施形態では、ゴルファーGrの視野の変移(ゴルフ支援装置1の移動)が、6DOFセンサ(前後方向X、左右方向Y、上下方向Z、前後方向X、ロール方向r、ピッチ方向p及びヨー方向yの6方向の動作を検知するセンサ、
図3参照)からなる検知部30より検知され、基準位置(座標原点「座標:0」)を基準としたその変移量がリアルタイムで算出されるように構成されている。
【0024】
(打球ライン情報登録部10B)
打球ライン情報登録部10Bは、入力部50の操作により入力された打球ラインを、基準位置設定部10Aにより設定された基準位置に紐づけて記憶部20に記憶させる制御を行う部分である。
【0025】
(視野変移量算出部10C)
視野変移量算出部10Cは、記憶部20に記憶された基準位置からのゴルファーGrの視野の変移量(ゴルフ支援装置1の移動量)をリアルタイムに算出する制御を行う部分である。
このような変移量は、例えば、ゴルファーGrの視野(ゴルフ支援装置1)が、左右方向Xに変位しつつ、上下方向Zに延びる軸を中心として回転したとすると、基準位置(座標原点「座標:0」)を基準とした左右方向Xへの変移量及びヨー方向yへの回転変移量をそれぞれ数値化(例えば、「左右方向X:0→+10,ヨー方向y:0→+5」)することにより求めることが可能になっている(
図3参照)。
【0026】
(表示制御部10D)
表示制御部10Dは、ディスプレイ40(
図1参照)に、
・入力部50の操作により入力された打球ラインを示す打球ライン画像BLを表示するとともに(
図5(d)参照)、
・ゴルファーGrの視野(ゴルフ支援装置1)が変移した際に、視野変移量算出部10Cにより算出された変移量に応じて、打球ライン画像BLを移動させて表示する制御を行う部分である(
図6及び
図7参照)。
詳しくは後述するが、本実施形態では、上記した打球ライン画像BLの他、ゴルファーGrが打球ラインを入力する際に用いられるカーソル画像C(
図5(a)~(c)参照)も、表示制御部10Dの制御により表示されるように構成されている。
【0027】
(記憶部20)
記憶部20は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリからなり、
・基準位置設定部10A、打球ライン情報登録部10B、視野変移量算出部10C及び表示制御部10Dの各部分の動作を司るプログラムが記憶される記憶領域や、
・入力部50の操作により入力された打球ライン、基準位置設定部10Aにより設定された基準位置等の各種情報を記憶する記憶領域などを有している。なお、上記基準位置設定部10A、打球ライン情報登録部10B、視野変移量算出部10C及び表示制御部10Dの各部分の動作を司るプログラムが、特許請求の範囲に記載の「ゴルフ支援プログラム」に該当する。
【0028】
(検知部30)
検知部30は、ゴルファーGrの視野が変移した際の変移量をリアルタイムに検知可能な装置である。
本実施形態では、このような装置として、加速度センサ及びジャイロセンサ等の複数のセンサからなる、いわゆる6DOF(Six Degrees Of Freedom)センサ(以下、「6DOFセンサ」という)が採用されている。
6DOFセンサそれ自体は、今や公知であるため、詳しい説明を省略するが、本実施形態においても、
図3に示すように、前後方向X、左右方向Y、上下方向Z、前後方向Xに延びる軸を回転中心とするロール方向r、左右方向Yに延びる軸を回転中心とするピッチ方向p、上下方向Zに延びる軸を回転中心とするヨー方向yの6方向の動作を検知することが可能になっている。すなわち、本実施形態では、ゴルファーGrがゴルフ支援装置1を目元に装着することで(
図1参照)、視野の変移量が6方向に亘って3次元的に検知されるように構成されている。
【0029】
(ディスプレイ40)
図1及び
図2に示すように、ディスプレイ40は、透過型のディスプレイからなり、表示制御部10Dからの指令に基づいて所定のAR(Augmented Reality)画像(本実施形態では、「打球ライン画像」及び「カーソル画像C」)を表示する装置である(
図5~
図7参照)。
このような透過型のディスプレイとしては、公知の透過ディスプレイ、例えば、透過液晶(LCD:Liquid Crystal DISPLAY)ディスプレイを用いることが可能である。
ディスプレイ40は、レンズ1B内または当該レンズ1Bの表面上に配置される。これにより、ゴルフ支援装置1を装着したゴルファーGrは、ディスプレイ40に映し出された画像(本実施形態では、「打球ライン画像BL」及び「カーソル画像C」)を、ゴルファーGrの視野(現実像)に重ねて視ることが可能になっている(
図5~
図7参照)。
【0030】
(入力部50)
入力部50は、ゴルフ支援装置1の電源のON・OFFを行ったり、各種情報を入力するための装置である。
このような入力部50としては、機械式(押しボタン式)のスイッチやタッチパネル等の公知の入力装置を用いることができる。押しボタン式のスイッチを採用した場合、
図1に示すように、メガネフレーム1Bの所定位置に複数設けることも可能である(
図1の「スイッチ50a~50c」参照)。
【0031】
入力部50として、複数のスイッチ50a~50cを設けた場合、
図1に示すように、例えば、
・スイッチ50aを、電源をON・OFFするためのスイッチ、
・スイッチ50bを、打球ラインを入力するためのスイッチ(打球ラインの始点及び終点位置を指定するためのスイッチ)(
図5(a)~(c)参照)、
・スイッチ50cを、打球ラインの「決定」又は「キャンセル」をするためのスイッチ、
とすることができる。以下においては、入力部50として、複数のスイッチ50a~50cを設けた場合を前提として説明する。なお、上記したスイッチ50cのように、1つのスイッチで、打球ラインの「決定」又は「キャンセル」といった2つの情報を入力できるように構成した場合、例えば、1回押圧した場合は「決定」、2回連続して押圧した場合は「キャンセル」とすることが可能である。
【0032】
<ゴルフ支援装置1における制御処理>
次に、ゴルフ支援装置1における制御処理について
図4~
図7を参照しつつ説明する。
以下においては、説明の便宜上、
(1)ゴルファーGrの目元にゴルフ支援装置1が適正に装着されていること(
図1参照)、
(2)ゴルフ支援装置1の電源をOFFにすると、記憶部20に記憶される打球ライン及び基準位置に関する打球ライン情報が記憶部30から消去されること(
図4の「ステップS900」参照)、
(3)ゴルフ支援装置1の電源をONにすると、ディスプレイ40に、カーソル画像C(打球ラインを入力するための画像)が表示されること(
図5(a)参照)、
を前提として説明する。なお、上記(2)及び(3)の各制御は、一例に過ぎず、適宜変更してもよいことはもちろんである。
【0033】
(ステップS100)
図4に示すように、ゴルフ支援装置1における制御処理は、主に、中央制御部10(
図2参照)において実行され、ステップS100の処理を行うことから始まる。
中央制御部10は、ステップS100において、打球ラインの入力が完了したか否かを判定する処理を行う。
【0034】
ここで、中央制御部10によるステップS100の処理を説明する前に、打球ラインの入力を行うための手順について
図5を参照しつつ説明する。
図5は、目標地点Tpであるカップが設置されたグリーンに、ボールBが乗っている(オンしている)状態を示したものである。
【0035】
本実施形態では、ゴルフ支援装置1の電源をONにすると、ディスプレイ40の所定位置(例えば、中央部)に、カーソル画像Cが表示されるように構成されている(
図5(a)参照)。
カーソル画像Cは、打球ラインの始点位置及び終点位置をそれぞれ設定するためのアイコンである。なお、本実施形態では、上記したように、スイッチ50a(
図1参照)を押圧操作することによって、ゴルフ支援装置1の電源をONにすることが可能になっている。
【0036】
ゴルファーGrによる打球ラインの入力は、例えば、ボールBを打撃しようとする方向(以下、「打撃方向」という)とは反対の方向(以下、「反打撃方向」という)の位置、すなわち、ボールBと目標地点Tp(
図5に示す例では、「カップ」)とを結んだ線の反打撃方向の延長線上で行うことが可能である(
図5(a)参照)。
【0037】
この場合、ゴルファーGrは、ボールBと目標地点Tpとを結んだ線の反打撃方向の延長線上に移動した後、
(1)先ず、ボールBと重なる位置にカーソル画像Cを移動させた後、スイッチ50b(
図1参照)を押圧操作して、打球ラインの始点位置を入力する(
図5(b)参照)、
(2)次に、目標地点Tpと重なる位置にカーソル画像Cを移動させた後、スイッチ50b(
図1参照)を押圧操作して、打球ラインの終点位置を入力する(
図5(c)参照)、
(3)その後、スイッチ50c(
図1参照)を押圧操作して、打球ラインを確定する、
といった手順で打球ラインの入力を行うことが可能である。これにより、本実施形態では、ディスプレイ40に打球ライン画像BLを、ゴルファーGrの視野に重ねて表示することが可能になっている(
図5(d)参照)。
【0038】
このようなカーソル画像Cの移動は、検知部30により検知されるゴルファーGrの視野の変移(ゴルフ支援措置1の移動)に応じて自動的に行われるように構成することが可能である。例えば、カーソル画像Cを、
図5(a)に示す位置から
図5(b)に示す位置に移動(下方に移動)させる場合、ゴルファーGrは、後述する打球ライン画像BLと同様に(「ステップS500」~「ステップS700」参照)、首部を回転中心として頭部を後方に移動等させることにより行うことが可能である(
図3の「ピッチ方向p」参照)。
【0039】
また、カーソル画像Cは、上記したような検知部30を用いて移動させる場合に限られず、例えば、スイッチ操作により移動させることもできる。この場合、スイッチ50a~50c(
図1参照)に加え、カーソル画像Cを移動させるためのスイッチ(例えば、十字キー)を別途設ければよい。
【0040】
なお、上記(2)の操作を行う状態、すなわち、打球ラインの終点位置を入力することが可能な状態では、始点位置とカーソル画像Cとの間に、仮の打球ライン画像が表示されるように構成することが好ましい(
図5(c)参照)。このように構成すれば、ゴルファーGrに、打球ラインの方向を視覚的に容易に把握させることが可能になる。
【0041】
上記したような(1)~(3)の操作を、本実施形態のように、ボールBと目標地点Tpとを結んだ線の反打撃方向の延長線上で行うことにより、ゴルファーGrが望むボールBの打球ラインをより正確に引く(入力)することが可能である。
なお、このような打球ラインの入力は、目標地点Tp(カップ)を視認することが困難又は不能なケース(例えば、ロングホールのティーグランド)においても、上記(1)~(3)と同様な手順で行うことが可能である。この場合、上記(2)の操作において、ゴルファーGrが望む、打撃後の予定ボール位置(例えば、フェアウェイの中央地点)を、打球ラインの終点位置として入力すればよい。
【0042】
図4に示すように、中央制御部10は、上記(3)の操作が完了したと判定すると、ステップS200に処理を移し、上記(3)の操作が完了していないと判定すると、ステップS100の処理を繰り返し実行する。
【0043】
(ステップS200)
中央制御部10は、ステップS200において、基準位置設定処理を行う。この処理は、主に、中央制御部10の基準位置設定部10A(
図2参照)により行われる。なお、上記基準位置設定処理が特許請求の範囲に記載の「基準位置設定工程」及び「基準位置設定ステップ」に該当する。
【0044】
具体的に、中央制御部10は、打球ラインが入力されたタイミング(上記ステップS100の処理で「YES」と判定したタイミング)におけるゴルフ支援位置1の位置(ゴルファーGrの視野の位置)を、基準位置(座標原点「座標:0」(「前後方向X、左右方向Y、上下方向Z、ロール方向r、ピッチ方向p及びヨー方向yの各座標:0」))として設定する処理を行う。
中央制御部10は、基準位置設定処理を行った後、ステップS300に処理を移す。
【0045】
(ステップS300)
中央制御部10は、ステップS300において、打球ライン情報登録処理を行う。この処理は、主に、中央制御部10の打球ライン情報登録部10B(
図2参照)により行われる。なお、上記打球ライン情報登録処理が特許請求の範囲に記載の「打球ライン情報登録工程」及び「打球ライン情報登録ステップ」に該当する。
【0046】
具体的に、中央制御部10は、ステップS100の処理で入力された打球ラインを、ステップS200の処理で設定された基準位置とともに、記憶部20(
図2参照)に記憶する処理を行う。
中央制御部10は、打球ライン情報登録処理を行った後、ステップS400に処理を移す。
【0047】
(ステップS400)
中央制御部10は、ステップS400において、打球ライン画像表示処理を行う。この処理は、主に、中央制御部10の表示制御部10D(
図2参照)において行われる。
具体的に、中央制御部10は、ステップS400において、ステップS100の処理で入力された打球ラインに沿って、当該打球ラインを示す打球ライン画像BLをディスプレイ40に表示する処理を行う(
図5(d)参照)。
【0048】
本実施形態に係る打球ライン画像BLは、
図5(d)に示すように、打球ラインの始点位置(
図5の「ボールB」)と目標地点Tpとを結ぶライン画像(ボールBから打撃方向に延びるライン画像、以下、「第1ライン画像BL1」という)と、ボールBから反打撃方向に延びるライン画像(以下、「第2ライン画像BL2」という)とを有したものとなっている。なお、上記第1ライン画像BL1と、第2ライン画像BL2とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「ライン画像」と、「第2ライン画像」とに該当する。
中央制御部10は、打球ライン画像表示処理を行った後、ステップS500に処理を移す。
【0049】
(ステップS500)
図4に示すように、中央制御部10は、ステップS500において、ゴルファーGrの視野が変移されたか否かを判定する処理を行う。
具体的に、中央制御部10は、ゴルフ支援装置1が移動されたか否かを判定する。
【0050】
上記したように、本実施形態では、ゴルファーGrの視野(ゴルフ支援装置1)の移動を、検知部30(6DOFセンサ、
図2及び
図3参照)を用いて検知するように構成されている。すなわち、中央制御部10は、検知部30によってゴルフ支援装置1の移動が検知された場合、例えば、基準位置(「座標:0」)から「前後方向X:+10」への移動が検知された場合や、「前後方向X:+10,ピッチ方向p:0」から「前後方向X:+15,ピッチ方向p:+5」への移動が検知された場合、ゴルファーGrの視野が変移されたと判定する処理を行う。一方、中央制御部10は、検知部30によってゴルフ支援装置1の移動が検知されない場合、ゴルファーGrの視野が変移されていないと判定する。
【0051】
中央制御部10は、ゴルファーGrの視野が変移されたと判定すると、ステップS600に処理を移し、ゴルファーGrの視野が変移されていないと判定すると、本処理を繰り返し実行する。
【0052】
(ステップS600)
中央制御部10は、ステップS600において、視野変移量算出処理を行う。この処理は、主に、中央制御部10の視野変移量算出部10C(
図2参照)により行われる。なお、上記視野変移量算出処理が特許請求の範囲に記載の「視野変移量算出工程」及び「視野変移量算出ステップ」に該当する。
【0053】
例えば、中央制御部10は、検知部30によって、ゴルフ支援装置1が「前後方向X:+10,ピッチ方向:0」から「前後方向X:+15,ピッチ方向p:+5」に移動されたことが検知されると、ゴルファーGrの視野の変移量として、「前後方向X:+10→+15,ピッチ方向p:0→+5」といった数値を算出する処理を行う。
中央制御部10は、視野変移量算出処理を行った後、ステップS700に処理を移す。
【0054】
(ステップS700)
中央制御部10は、ステップS700において、表示制御処理を行う。この処理は、本実施形態において、主に、中央制御部10の表示制御部10Dにより行われる。なお、上記表示制御処理が特許請求の範囲に記載の「表示制御工程」と「表示制御ステップ」に該当する。
【0055】
具体的に、中央制御部10は、上記ステップS600の視野変移量算出処理で求めたゴルファーGrの視野の変移量に応じて、ディスプレイ40に表示される打球ライン画像BLを移動して表示させる処理を行う。
例えば、上記ステップS600の視野変移量算出処理で求めた値が、「前後方向X:+10→+15,ピッチ方向p:0→+5」であった場合、中央制御部10は、打球ライン画像BLを、「前後方向X:+10,ピッチ方向p:0」のから「前後方向X:+15,ピッチ方向p:+5」に表示位置を変更して表示する制御を行う。これにより、ゴルファーGrが視線を前方に向けた通常の状態(以下、「通常視認状態」という)でボールBを視た場合、ディスプレイ40に映し出される打球ライン画像BLが、上記ステップS100の処理で入力した打球ラインの向きで、ボールB上に重ねて表示されるようになっている(
図6及び
図7参照)。
【0056】
その結果、ゴルファーGrは、ゴルフクラブGcを、ボールBに重畳して表示される打球ライン画像BLに沿って移動させる(ゴルフスイングする)ことで、ボールBを目標地点Tpであるカップに向けて比較的容易に打撃することができる(
図6及び
図7参照)。
また、ゴルファーGrが、例えば、ボールBを打撃するアドレスに入った後、首部を回転中心として頭部を左右方向に移動するなどして、ボールBが視野から外れてしまった場合でも、再度、ボールBを打撃するアドレスを取る(首部を元の位置に移動させる)ことで、打球ライン画像BLをボールBに重畳表示させることが可能である。
【0057】
このように、本実施形態では、ゴルファーGrが通常視認状態でボールBを視ると、視る位置を問わず、打球ライン画像BLが、入力した打球ラインの向きでボールB上に重畳表示されるため(
図6及び
図7参照)、ゴルフ経験が少ない初心者であっても、適正な軌道ですぐさまゴルフスイングをすることが可能である。
中央制御部10は、上記した表示制御処理を行った後、ステップS800に処理を移す。
【0058】
(ステップS800)
中央制御部10は、ステップS800において、電源をOFFにする操作があったか否かを判定する処理を行う。
具体的に、中央制御部10は、電源をON・OFFにするスイッチ50c(
図1参照)を押圧する操作があったか否かを判定する。
中央制御部10は、電源をOFFにする操作があったと判定すると、ステップS900に処理を移し、電源をOFFにする操作がないと判定すると、上記ステップS500に処理を移す。
【0059】
(ステップS900)
中央制御部10は、ステップS900において、上記ステップS300の打球ライン情報登録処理で記憶部20に記憶した打球ライン及び基準位置を消去する処理(打球ライン情報消去処理)を行う。
中央制御部10は、打球ライン情報消去処理を行った後、ステップS1000に処理を移す。
【0060】
(ステップS1000)
中央制御部10は、ステップS1000において、電源をOFFにする処理を行う。
これにより、本実施形態では、その後、ゴルファーGrが電源をONにする操作を行うと、上記ステップS100以降の処理が、新たに開始されるようになっている。
中央制御部10は、電源をOFFにする処理を行った後、本制御処理を終了する。
【0061】
以上のように、本実施形態では、ボールBの打球ラインを入力した後、ボールBを視ると、当該ボールBを視る位置を問わず、打球ラインを示す打球ライン画像BL(AR画像)が、入力した打球ラインの向きでゴルファーGrの視野(ボールB)に重ねて表示されるように構成されている(
図6及び
図7参照)。このため、本実施形態によれば、ボールBを打撃する際、上記した従来技術(実用新案登録第3099890号)のような煩雑な準備動作をすることなく、打球ライン画像BLが実際のボールB上に重畳表示されるので、ゴルフ経験の少ない初心者であっても、すぐさま、適正な軌道でゴルフクラブGcをスイングすることが可能である。
【0062】
また、本実施形態では、打球ラインが、入力部50の操作によってボールBの反打撃方向から入力され、ボールBから打撃方向に延びるラインを含むように構成されている(
図5(c)参照)。このため、本実施形態では、ゴルファーGrが望む打球ラインを精度よく入力することが可能である。
【0063】
さらに、本実施形態では、打球ライン画像BLが、ボールBから打撃方向に延びる第1ライン画像BL1を含んでいるため(
図6及び
図7参照)、ボールBの打撃方向を容易に把握することが可能である。
また、本実施形態に係る打球ライン画像BLは、第1ライン画像BL1に加え、ボールBから反打撃方向に延びる第2ライン画像BL2を含んでいるため(
図6及び
図7参照)、ゴルフクラブGcをより適正な軌道でスイングすることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、ゴルフ支援装置1がスマートグラスにより構成されているため(
図1参照)、ゴルファーGrがゴルフ支援装置1を装着しても、通常のサングラス等のメガネと同様に、手軽に持ち運びができる上、ゴルフをする際にプレイの邪魔になる等の問題が生じることがない。
【0065】
なお、本実施形態では、ゴルフ支援装置1として、スマートグラスを採用したが、ディスプレイが装備された他の装置、例えば、ゴーグルタイプの装置(ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display))であっても構わない。
【0066】
また、本実施形態では、ゴルファーGrの視野の変移を検知する検知部30として、6DOFセンサを用いたが、他のセンサや他の検知手法を採用することもできる。
他の検知手法としては、例えば、
・ゴルフ支援装置1に、ゴルファーGrの視野方向を撮像する撮像手段(例えば、カメラ)を設ける、
・撮像手段により撮像された画像の特徴点(例えば、ボールB及び/又はカップ等の目標地点Tp)を画像認識する、
・画像認識された特徴点の画像に占める位置や角度等に基づいて、ゴルファーGrの視野の変移を検知する、
とった公知の画像認識技術を用いた手法が挙げられる。
【0067】
さらに、本実施形態では、発明の理解を容易にするため、ゴルファーGrの視線方向が考慮されていないタイプのゴルフ支援装置1を例にとって説明したが、これを考慮することも可能である。
このような構成は、例えば、
・ゴルフ支援装置1に、ゴルファーGrの視線方向を撮像する公知の撮像手段(例えば、カメラ)を設ける、
・検知部30により検知された検知結果のほか、撮像手段により撮像された視線方向も加味して、ディスプレイ40に表示される打球ライン画像BLの表示位置を変移させる制御を行う、
ことにより実現することが可能である。このように構成すれば、打球画像ラインBLを、より自然にボールB上に重ねて表示することができる。
【0068】
また、本実施形態では、打球ライン画像BLを、ボールBと重なる位置に表示したが(
図6及び
図7参照)、入力した打球ラインの向きであることを条件に、ボールBとは重ならない位置に表示することもできる。
【0069】
さらに、本実施形態では、一本の打球ライン画像BLを表示したが(
図6及び
図7参照)、入力した打球ラインの向きであることを条件に、複数の打球ライン画像、例えば、ボールBと重なる位置に表示される打球ライン画像と、当該ボールBとは重ならない位置に表示される打球ライン画像(計二本の打球ライン画像)を表示することも可能である。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されるものではない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることはもちろんであることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0071】
1 ゴルフ支援装置
1A メガネフレーム
1B レンズ
1C 収納スペース
10 中央制御部(制御手段)
10A 基準位置設定部
10B 打球ライン情報登録部
10C 視野変移量算出部
10D 表示制御部
20 記憶部(記憶手段)
30 検知部(検知手段)
40 ディスプレイ(表示手段)
50 入力部(入力手段)
50a~50c スイッチ
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向
r ロール方向
p ピッチ方向
y ヨー方向
Gr ゴルファー
Gc ゴルフクラブ
B ボール
BL 打球ライン画像
BL1 第1ライン画像
BL2 第2ライン画像
Tp 目標地点
C カーソル画像