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特開2024-122169膜形成用の塗布液、および膜付基材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122169
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】膜形成用の塗布液、および膜付基材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/02 20060101AFI20240902BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240902BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240902BHJP
   C09D 183/06 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D7/61
B05D7/24 302P
B05D7/24 303B
B05D7/24 302Y
B05D7/24 303E
B05D7/24 302Z
C09D183/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029556
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 夕子
(72)【発明者】
【氏名】荒金 宏忠
(72)【発明者】
【氏名】村口 良
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AC53
4D075AE03
4D075BB16X
4D075BB24Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB56Z
4D075CA02
4D075CA13
4D075CA44
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB06
4D075DA04
4D075DB33
4D075DC24
4D075EA05
4D075EB22
4D075EB24
4D075EB43
4D075EB51
4D075EB52
4D075EB56
4D075EC03
4D075EC07
4D075EC24
4D075EC30
4D075EC33
4D075EC37
4D075EC51
4D075EC54
4J038DL052
4J038FA111
4J038KA06
4J038KA09
4J038KA21
4J038MA09
4J038MA14
4J038NA01
4J038NA04
4J038NA11
4J038NA19
4J038PA17
4J038PB08
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】膜表面から表面調整剤が脱離し難い膜を形成できる塗布液を提供することにある。
【解決手段】本発明の塗布液は、3~8個の(メタ)アクリレート基を有し、シリコーン部位を有さない第一バインダと、第一バインダより屈折率が低い粒子と、1個の(メタ)アクリレート基とシリコーン部位を有する第一表面調整剤と、2個以上の(メタ)アクリレート基とシリコーン部位とを有する第二表面調整剤と、有機溶媒を含む。第二表面調整剤の分子量が8000以上である。塗布液の固形分濃度が10重量%以下であり、塗布液の固形分中の第一表面調整剤の含有率が0.5重量%以上であり、第二表面調整剤の含有率が第一表面調整剤の含有率の0.5~2.0倍であり、塗布液の固形分中の第一表面調整剤と第二表面調整剤の含有率の合計が10重量%以下であり、塗布液の固形分中の第一バインダの含有率が30~60重量%である。有機溶媒が、第二表面調整剤に対する良溶媒である第一有機溶媒と、第二表面調整剤に対する貧溶媒である第二有機溶媒を含み、第一有機溶媒の沸点が第二有機溶媒の沸点より10℃以上高く、有機溶媒が、第二有機溶媒を20~85重量%含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3~8個の(メタ)アクリレート基を有し、シリコーン部位を有さない第一バインダと、
前記第一バインダより屈折率が低い粒子と、
1個の(メタ)アクリレート基とシリコーン部位を有する第一表面調整剤と、
2個以上の(メタ)アクリレート基とシリコーン部位とを有する第二表面調整剤と、
有機溶媒を含む塗布液であって、
前記第二表面調整剤の分子量が8000以上であり、
前記塗布液の固形分濃度が10重量%以下であり、
前記塗布液の固形分中の第一表面調整剤の含有率が0.5重量%以上であり、
前記第二表面調整剤の含有率が前記第一表面調整剤の含有率の0.5~2.0倍であり、
前記塗布液の固形分中の前記第一表面調整剤と前記第二表面調整剤の含有率の合計が10重量%以下であり、
前記塗布液の固形分中の第一バインダの含有率が30~60重量%であり、
前記有機溶媒が、前記第二表面調整剤に対する良溶媒である第一有機溶媒と、前記第二表面調整剤に対する貧溶媒である第二有機溶媒を含み、
前記第一有機溶媒の沸点が前記第二有機溶媒の沸点より10℃以上高く、
前記有機溶媒が、前記第二有機溶媒を20~85重量%含む塗布液。
【請求項2】
前記有機溶媒が、前記第一有機溶媒の沸点より沸点が10℃以上低い第三有機溶媒を含み、
前記第一有機溶媒の沸点が135~180℃であり、
前記第三有機溶媒の沸点より、前記第二有機溶媒の沸点が10℃以上低いことを特徴とする請求項1に記載の塗布液。
【請求項3】
前記第一バインダが前記第二有機溶媒に溶解することを特徴とする請求項1に記載の塗布液。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布液を用いて基材上に膜を形成することを特徴とする、膜付基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜形成用の塗布液、および膜付基材に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上に屈折率の低い膜(低屈折率膜)を形成することにより、反射防止膜を構成できることが知られている(例えば、特許文献1)。低屈折率膜の表面で反射した光の波と、低屈折率膜を通過し基材の表面で反射した光の波が打ち消しあうように低屈折率膜や基材の膜厚を調節する。これにより、反射防止性能を高められる。このような反射防止膜を用いることにより、メガネ、レンズ、テレビやスマートフォン・カーナビ等のディスプレイに表示された画像が見えやすくなる。低屈折率膜には、屈折率の低い粒子、例えば、内部に空気の層を含む酸化物粒子(中空粒子)が含まれている。空気は酸化物や樹脂より屈折率が低いため、中空粒子を含む膜の屈折率は低い。
【0003】
反射防止膜をスマートフォンやカーナビ等のタッチパネルディスプレイに用いる場合、低屈折率膜がディスプレイの表面に露出する。したがって、低屈折率膜に直接手が触れるため、低屈折率膜が傷つき易い。耐擦傷性を向上させるために、表面調整剤を含む塗布液を用いて、低屈折率膜を形成することが知られている(例えば、特許文献2)。表面調整剤は膜表面の平滑性や滑り性を向上できる。特に、シリコーン部位やフッ素原子を有する表面調整剤は表面張力が低いため、塗布液を乾燥する際に膜表面に移動し易い。膜表面に存在する表面調整剤は、膜の動摩擦係数を低くするため、膜の耐擦傷性が高くなる。表面調整剤がさらにアクリル基を有する場合、膜表面で表面調整剤がバインダと結合できる。このような表面調整剤は膜表面から脱離し難くなり、膜の耐擦傷性がさらに高くなる。また、アルコールを染み込ませた布巾(アルコール布巾)を用いてこのような膜を拭いても、バインダに結合した表面調整剤が脱離し難い。すなわち、膜のアルコール耐性が高い。タッチパネルでは人の手に触れる頻度が高く、ウイルスが付着しやすい。そのため、アルコール耐性のある膜は感染症対策に役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-137097号
【特許文献2】国際公開2019-189880号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1と2では、シリコーン部位またはフッ素原子を有する表面調整剤を含む塗布液を用いて膜を形成しているため、膜表面に表面調整剤が移動し易い。しかし、溶媒と表面調整剤の相溶性が調整されておらず、表面調整剤が膜の表面でバインダと結合し難い。このような膜表面では結合していない表面調整剤が多いので、アルコール布巾で膜表面を拭いた際に膜から多くの表面調整剤が脱離してしまう。また、表面調整剤とバインダの(メタ)アクリレート基数の差が大きいので、(メタ)アクリレート基が反応する(膜が硬化する)際に、これらの収縮率の差が大きく、表面調整剤とバインダが結合し難い。
【0006】
そこで、本発明の目的は、膜表面から表面調整剤が脱離し難い膜を形成できる塗布液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の塗布液は、3~8個の(メタ)アクリレート基を有し、シリコーン部位を有さない第一バインダと、第一バインダより屈折率が低い粒子と、1個の(メタ)アクリレート基とシリコーン部位を有する第一表面調整剤と、2個以上の(メタ)アクリレート基とシリコーン部位とを有する第二表面調整剤と、有機溶媒を含む。第二表面調整剤の分子量が8000以上である。塗布液の固形分濃度が10重量%以下であり、塗布液の固形分中の第一表面調整剤の含有率が0.5重量%以上であり、第二表面調整剤の含有率が第一表面調整剤の含有率の0.5~2.0倍であり、塗布液の固形分中の第一表面調整剤と第二表面調整剤の含有率の合計が10重量%以下であり、塗布液の固形分中の第一バインダの含有率が30~60重量%である。有機溶媒が、第二表面調整剤に対する良溶媒である第一有機溶媒と、第二表面調整剤に対する貧溶媒である第二有機溶媒を含み、第一有機溶媒の沸点が第二有機溶媒の沸点より10℃以上高く、有機溶媒が、第二有機溶媒を20~85重量%含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の塗布液は、シリコーン部位を有さない第一バインダと、シリコーン部位を有する第一表面調整剤および第二表面調整剤と、有機溶媒と、を含む。第一表面調整剤は1個の(メタ)アクリレート基を有し、第二表面調整剤は、2個以上の(メタ)アクリレート基を有し、第一バインダは3~8の(メタ)アクリレート基を有する。第二表面調整剤が(メタ)アクリレート基を介して第一表面調整剤と第一バインダと結合し、第一表面調整剤が膜表面から脱離し難くなる。
【0009】
第一表面調整剤はシリコーン部位を有するので、表面張力が低い。塗布液を乾燥した際に、このような第一表面調整剤は膜表面(空気側)に移動し易い。膜表面で第一表面調整剤のシリコーン部位が空気側に配向する。シリコーン部位は動摩擦係数が低いので、このような膜の動摩擦係数は低くなる。一方、第一表面調整剤の(メタ)アクリレート基は膜側に向き、バインダや第二表面調整剤の(メタ)アクリレート基と結合(硬化)する。これにより、第一表面調整剤が膜表面に固定される。このような第一表面調整剤は膜表面から脱離し難いので、膜の耐擦傷性やアルコール耐性が高い。
【0010】
硬化の際に、(メタ)アクリレート基を有する化合物は収縮する。(メタ)アクリレート基数が大きいほど、化合物の収縮率が高くなる。第一表面調整剤と第一バインダは(メタ)アクリレート基数の差が大きいほど、これらの収縮率の差も大きく、第一表面調整剤は第一バインダに結合し難い。ここで、収縮率の差を補うために、第二表面調整剤を用いる。第二表面調整剤はアクリレート基数が2以上と大きいが、分子量が8000以上と大きいので、硬化による収縮が大きくならない。このような第二表面調整剤の収縮率は、第一表面調整剤と第一バインダの間となる。そのため、第一表面調整剤と第一バインダの両方と第二表面調整剤は結合し易い。したがって、第二表面調整剤はこれらを仲介する役割を果たす。この役割を果たすために、第一表面調整剤と一緒に第二表面調整剤も膜表面に存在する必要がある。ここで、第二表面調整剤もシリコーン部位を有する。一方、第二表面調整剤の分子量が小さいほど、第二表面調整剤が有機溶媒に溶けやすい。例えば、分子量が200000以下の第二表面調整剤は有機溶媒に溶けやすく、分子量が100000以下の第二表面調整剤は有機溶媒により溶けやすい。
【0011】
基材(特に高屈折率膜)と低屈折率膜の厚さが50~150nmである反射防止膜は理論上最も反射防止性能が高い。塗布液中の固形分濃度が10重量%以下の塗布液を用いることにより、厚さが50~150nmの薄膜を形成することができる。塗布液中の固形分濃度は、6.5重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。また、塗布液が、バインダより屈折率が低い粒子(低屈折率粒子)を含むことにより、膜の屈折率を低くできる。低屈折率粒子の平均粒子径は低屈折率膜の厚さより小さいことが好ましい。このような低屈折率粒子は低屈折率膜の表面から露出し難いので、膜の耐擦傷性が高くなる。そのため、低屈折率粒子の平均粒子径は150nm以下が好ましい。また、平均粒子径が100nm以下の粒子は光を散乱し難いので、このような粒子を用いた膜ではヘーズが低い。
【0012】
第一表面調整剤の含有量が高いほど、膜表面の動摩擦係数は低くなる。そのため、固形分は第一表面調整剤を0.5重量%以上含む。一方、第一表面調整剤と第二表面調整剤の含有量の合計が10重量%以下であれば、成膜時に粒子が凝集し難くなり、膜のヘーズが低くなる。
【0013】
塗布液中の第二表面調整剤の含有量は第一表面調整剤の含有量に対して0.5~2.0倍である。これらの含有量が同程度の場合、第二表面調整剤は第一表面調整剤と第一バインダを仲介する役割を果たし易くなる。また、表面調整剤の含有量が低いほど、塗布液の固形分中の低屈折率粒子やバインダの量を増やすことができる。そのため、固形分中で第一表面調整剤の含有率は6.0重量%以下が好ましい。また、塗布液の固形分中で第二表面調整剤は6.0重量%以下が好ましい。
【0014】
第二表面調整剤と有機溶媒の相溶性を調整することにより、第二表面調整剤が膜表面に移動し易くなる。有機溶媒は、第二表面調整剤が常温(25℃)で溶けやすい溶媒(良溶媒)と、第二表面調整剤が常温(25℃)で溶け残る溶媒(貧溶媒)で構成される。具体的には、第二表面調整剤を貧溶媒で1.0重量%に希釈した際の液ヘーズは20%以上である。バインダや低屈折率粒子は良溶媒と貧溶媒の両方に溶けやすい。良溶媒の沸点は貧溶媒より高い。このような良溶媒と貧溶媒を含む塗布液を用いることにより、塗布液を乾燥した際に、最初に貧溶媒が蒸発し、最後に良溶媒が蒸発する。貧溶媒が蒸発する際、表面調整剤が良溶媒に溶けやすいため、表面調整剤とバインダが分離すると推測される。分離後に良溶媒が蒸発し、良溶媒とともに分離した表面調整剤が膜の表面に移動する。塗布液に貧溶媒が存在しない場合、バインダに表面調整剤が均一に分散し易いので、これらが分離し難いと考えられる。このような塗布液を用いた場合、表面調整剤は膜表面に移動し難く、膜中に存在し易い。膜中に存在する表面調整剤は低屈折率粒子を凝集させてしまう。その結果、膜のヘーズが高くなる。一方、塗布液に良溶媒が存在しない場合、表面調整剤とバインダが分離せず、表面調整剤が膜の表面に移動し難いと考えられる。この場合、表面調整剤が膜中に存在し易いと考えられる。また、貧溶媒の沸点が良溶媒より高い場合、良溶媒が存在しない場合と同様の現象が発生すると考えられる。
【0015】
貧溶媒と良溶媒の沸点の差が10℃以上の場合、表面調整剤が膜表面に移動し易い。この差は20℃以上がより好ましい。一方、この差が大きすぎると、高い沸点の良溶媒を用いるか、低い沸点の貧溶媒を用いる必要がある。良溶媒の沸点が高過ぎる場合、良溶媒は膜内に残存し易く、膜の硬度や耐擦傷性が低くなり易い。良溶媒が膜内に残存しないように高温で乾燥した場合、基材が変形し易い。そのため、良溶媒の沸点は180℃以下が好ましい。一方、良溶媒の沸点が135℃より高い場合、膜の乾燥がゆっくりになる。これにより、膜表面の平滑性が向上する。貧溶媒の沸点が低すぎる場合、膜の乾燥が早くなる。そのため、粒子が配列し難く、膜表面が平滑になり難い。そのため、貧溶媒の沸点は70℃以上が好ましい。
【0016】
沸点が異なる三種類の溶媒を用いることにより、膜の平滑性を高くできる。ここで、最も沸点が高い良溶媒を第一有機溶媒、最も沸点が低い貧溶媒を第二有機溶媒と称す。塗布液はこれらの間の沸点を有する第三有機溶媒を含むことが好ましい。ここで、第三有機溶媒は、良溶媒と貧溶媒のどちらでもよい。これらの沸点の差が大きいほど、第二表面調整剤が膜表面に移動し易い。これらの差は10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。
【0017】
有機溶媒中の貧溶媒の割合が20重量%以上の場合、第二表面調整剤が膜表面に移動し易くなる。一方、有機溶媒中の貧溶媒の割合が85重量%以下の場合、第二表面調整剤が塗布液中で凝集し難くなる。
【0018】
以下、バインダについて説明する。第一バインダはシリコーン部位を有さないので、第一バインダの表面張力は高い。塗布液を乾燥する際に、このような第一バインダは膜表面に移動し難い。このとき、第一バインダに比べて表面調整剤が膜表面に移動し易くなる。第一バインダは表面張力を低くするシリコーン部位やF原子を有さないことが好ましい。第一バインダはC,H,O,N原子のみで構成されていることがより好ましい。
【0019】
第一バインダは(メタ)アクリレート基を有するので、第一バインダは他のバインダや表面調整剤と結合できる。(メタ)アクリレート基数が3以上の第一バインダは他のバインダや表面調整剤と立体的に結合し、膜の硬度や耐擦傷性を高められる。一方、バインダの(メタ)アクリレート基数が大きいほど、粘度が高くなり、バインダが移動し難くなる。すなわち、バインダの(メタ)アクリレート基数が大き過ぎる場合、バインダの(メタ)アクリレート基は反応し難く、未反応の(メタ)アクリレート基が多くなる。そのため、バインダの(メタ)アクリレート基数は8以下が好ましい。
【0020】
第一バインダの(メタ)アクリレート基数が6以上の場合、(メタ)アクリレート基数が2~3である第二バインダを塗布液が含むことが好ましい。このような第二バインダを用いることにより、塗布液の粘度が低くなるので、膜の硬化時に第一バインダが移動し易くなる。そのため、第一バインダの(メタ)アクリレート基が反応し易くなり、未反応の(メタ)アクリレート基が少なくなる。
【0021】
単位分子量当たりの(メタ)アクリレート基数(官能基等量)が大きいほど、膜の収縮が大きくなるため、膜の硬度が高くなる。第一バインダの分子量は1000以下が好ましく、800以下がより好ましい。シリコーン部位やウレタン結合がない第一バインダは分子量が低くなる傾向にある。
【0022】
固形分中のバインダの含有率が高いほど、膜表面の平滑性が向上する。この含有率は30重量%以上が好ましい。一方、バインダの含有率が低いほど、低屈折率粒子の割合を高くできる。そのため、この含有率は、60重量%以下が好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。
【0023】
以下、低屈折率粒子について説明する。固形分に含まれる低屈折率粒子の割合が高いほど、膜の屈折率を低くなる。そのため、固形分は低屈折率粒子を40重量%以上含むことが好ましい。一方、この割合が60重量%以下の塗布液を用いることにより、低屈折率粒子が膜中から外部へ飛び出し難くなる。
【0024】
低屈折率粒子として中実粒子と中空粒子を用いることができる。中空粒子は内部に空洞を有する粒子である。空洞の数は1個でも複数個でもよい。中空粒子は内部に空気を含むため、屈折率が低い。塗布液がこのような中空粒子を含む場合、膜の屈折率は低くなる。中空粒子の屈折率が1.38以下の場合、膜の屈折率が低くなる。中空粒子の屈折率は、1.34以下がより好ましく、1.30以下がさらに好ましい。一方、屈折率が1.08未満の中空粒子を得ることは困難である。低屈折率粒子として中実粒子を用いた場合、中空粒子よりは膜の屈折率が低くなり難いものの、膜の硬度が高くなる。
【0025】
中空粒子の空隙率(中空粒子に占める空気の割合)が低いほど、中空粒子の屈折率は低い。中空粒子の空隙率は30%以上である。一方、中実粒子の空隙率は30%未満である。中空粒子の空隙率が60%以下の場合、中空粒子の強度が高いため、中空粒子が割れ難い。割れた中空粒子には空洞がなく、屈折率を低くする効果が得難い。
【0026】
低屈折率粒子や空洞の形状は、例えば、球状、楕球体(ラグビーボール)状、繭状、金平糖状、鎖状、サイコロ状等が挙げられる。球状粒子であると、塗布液や膜中に均一に分散し易い。
【0027】
空洞の数が1個の場合、中空粒子は外殻を有し、その内側に空洞を有する。外殻内側の空洞が粒子外形に沿った形状である(すなわち、空洞が中空粒子の形状と相似関係にある)場合、外殻の厚みが均一になる。そのため、中空粒子の外殻に対して応力が加わった際に、中空粒子の外殻が割れ難い。このとき、外殻の平均厚さが0.5nm以上であることにより、中空粒子が割れ難くなる。外殻の平均厚さは1nm以上が好ましい。一方、外殻の平均厚さが20nm以下の中空粒子では、空洞の割合が高くなる。外殻の平均厚さは、15nm以下が好ましい。空洞の数が1個の場合、中空粒子の形状を球状にすることにより、中空粒子の強度が高くなる。
【0028】
中空粒子の平均粒子径に下限はないが、20nm未満の中空粒子を得ることは困難である。また、中空粒子の平均粒子径が大きいほど、中空粒子の空隙率を高くすることができる。そのため、中空粒子の平均粒子径は20nm以上が好ましく、55nm以上がより好ましく、65nm以上がさらに好ましい。
【0029】
塗布液はアルコキシ基と(メタ)アクリレート基を有する表面処理剤を含むことが好ましい。塗布液中でこの表面処理剤のアルコキシ基が加水分解し、低屈折率粒子の表面と縮合反応する。これにより、低屈折率粒子の表面に(メタ)アクリレート基が修飾される。この(メタ)アクリレート基が膜形成の硬化工程において第一バインダ等の(メタ)アクリレート基と化学結合する。そのため、膜をSW等で擦った際に、低屈折率粒子と第一バインダが離れ難くなり、耐擦傷性が高くなる。
【0030】
低屈折率粒子と第一バインダ等の結合数が多いほど、膜の耐擦傷性が高くなる。そのため、低屈折率粒子100質量部に対して5質量部以上の表面処理剤を塗布液は含むことが好ましい。一方、表面処理剤の含有率が低いほど、膜中の低屈折率粒子の割合を高くすることができる。そのため、表面処理剤の含有量は低屈折率粒子100質量部に対して30質量部以下が好ましい。また、第一バインダの割合も高くすることができるため、膜の耐擦傷性が高くなる。
【0031】
塗布液中で低屈折率粒子の表面に化学結合または物理吸着していない表面処理剤(未結合の表面処理剤)は塗布液中の溶媒に分散している。その量が少ないほど、硬化時の膜の収縮が大きくなるため、膜が緻密になる。低屈折率粒子の表面に化学結合または物理結合している(以下、結合していると称す)表面処理剤の量が低屈折率粒子100質量部に対して5質量部以上の場合、低屈折率粒子の表面に存在する(メタ)アクリレート基が多くなる。そのため、膜の硬化時に結合できる第一バインダの数が多くなるため、膜の耐擦傷性が高くなる。一方、15質量部以下の場合、膜中の表面処理剤の量が少ないため、膜の屈折率が低くなる。
【0032】
低屈折率粒子として、有機樹脂の粒子と、無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子を用いた場合、膜の耐擦傷性を高くし易い。
【0033】
また、低屈折率粒子が酸化ケイ素(シリカ)を含む場合、屈折率、並びにコストが低くなる。このような低屈折率粒子は製造の過程で、シリカ以外の成分が添加されることがあるため、シリカ以外の成分を含んでいてもよい。例えば、Al、Sn、Sb、Ti、Zr、Zn、Cu、Fe、In等の元素や、これら元素の酸化物を含んでいてもよい。低屈折率粒子のシリカ含有率が高いほど、低屈折率粒子の屈折率が低くなる。また、膜の硬度が高くなる。低屈折率粒子のシリカ含有率はSiO換算で98重量%以上が好ましい。低屈折率粒子のシリカ含有率は99重量%以上がより好ましく、99.5質量部以上がさらに好ましい。100重量%であることがさらに好ましい。低屈折率粒子のシリカ含有率は、ICP誘導結合プラズマ発光分光質量分析装置で測定できる。ただし、低屈折率粒子に表面処理剤が結合している場合、表面処理剤の炭素原子は低屈折率粒子に含まないこととする。低屈折率粒子が中実粒子の場合、膜の硬度がさらに高くなる。
【0034】
以下、塗布液の製造方法について記載する。
【0035】
塗布液の製造方法は、第一バインダと、第一表面調整剤と、第二表面調整剤と、有機溶媒と、を混合する工程を備える。膜の屈折率を低くするために、低屈折率粒子を混合してもよい。これらの特徴は上述に記載したとおりである。低屈折率粒子は種々の方法により準備することができる。例えば、「特開2012-30489号」に記載された方法により、低屈折率粒子を調製することができる。
【0036】
上述に記載の塗布液を用いて基材上に膜を形成することにより、膜付基材を製造できる。低屈折率粒子を含む塗布液を用いると、低屈折率膜を形成することができる。
【0037】
具体的には、塗布液を基材に塗布した後、塗布液を乾燥・硬化させることにより、膜付基材が得られる。塗布方法は、スピンコート、バーコート、グラビアコート、スリットコート等が挙げられる。
【0038】
光学用途であるため、透明な基材がよい。基材として、ガラス、プラスチックフィルム、ハードコート膜、高屈折率膜等が挙げられる。用いる基材は、用途によって選択できる。プラスチックフィルムとしてポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。ハードコート(HC)膜の上に低屈折率膜を形成することにより、膜付基材の硬度や耐擦傷性が高くなる。以下、HC膜形成用の塗料をHC塗料と称す。高屈折率膜上に低屈折率膜を形成することにより、反射防止性能を高められる。高屈折率膜と低屈折率膜が薄い(例えば、これらの厚さが50~150nmである)場合、高屈折率膜の下地にHC膜を形成することにより、膜付基材の硬度や耐擦傷性を高くできる。
【0039】
乾燥とは溶媒を揮発させて除去することを表す。乾燥温度が高いほど、乾燥時間が短くなる。また、低屈折率膜中に溶媒が残り難くなり、そのため、緻密な膜が得られる。そのため、乾燥温度は60℃以上が好ましい。一方、乾燥温度が120℃以下の場合、基材が変形し難い。また、工業的に扱い易い。乾燥温度は100℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。塗布液を乾燥した後に硬化することにより、生産効率が上がる。硬化の工程では、乾燥させた塗布液に紫外線を照射する。光重合開始剤の吸収波長と同一の照射波長を有する紫外線を用いることにより、(メタ)アクリレート基が反応し易い。照射量の強さは300~500mJ/cm、照度が100~1000mJ・cmが好ましい。この強さであれば、低屈折率膜の耐擦傷性が高くなる。N雰囲気下で膜に紫外線を照射することにより、さらに膜の耐擦傷性が高くなる。
【0040】
[実施例1]
以下、塗布液の調製方法と、それを用いて形成した膜付基材の物性について具体的に説明する。塗布液の組成(調製条件)を表1に示す。膜付基材の物性を表2に示す。
【0041】
まず、以下のように低屈折率粒子として中空粒子を準備した。特開2012-30489の実施例8に記載されている「シリカ系中空微粒子(P-5)の調製」と同様の方法により、固形分濃度20質量%の中空粒子の水分散液〔シリカ系微粒子(P-5-2)の水分散液〕を得た。
【0042】
この水分散液中の粒子の平均粒子径(一次粒子径)を以下のように測定した。まず、粒子の分散液を0.01質量%に希釈した後、電子顕微鏡用銅セルのコロジオン膜上で乾燥させた。次に、これを電界放出型透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 HF5000)にて、所定の倍率で写真撮影した。得られた写真投影図(TEM写真)中の任意の300個の粒子について、画像解析ソフト(EMSIS社製Radius)を用いて平均粒子径を算出した。以下の実施例及び比較例においても同様に平均粒子径を測定・算出した。シリカ系中空微粒子(P-5)の平均粒子径は、61nmであった。
【0043】
限外濾過膜を用いてこの水分散液の溶媒をメタノールに置換することにより、固形分濃度20質量%の中空粒子のメタノール分散液を調製した。
【0044】
このメタノール分散液200gに、濃度28質量%のアンモニア水0.4gと純水4.0gを添加した後、25℃で0.5時間分散液を撹拌した。表面処理剤としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM-503)4g(シリカ粒子100質量部に対して15質量部)をこの分散液に添加した後、50℃で6時間撹拌することにより、中空粒子を表面処理した。エバポレーターを用いてこの分散液の溶媒をメチルイソブチルケトン(MIBK)に置換することにより、固形分濃度20重量%の中空粒子のMIBK分散液を調製した。
【0045】
次に、以下のように塗布液を調製した。中空粒子のMIBK分散液8.25gと、第一バインダとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製 ライトアクリレート DPE-6A)を1.05gと、第二バインダとして1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(サートマー社製 SR-238)を0.12gと、第一表面調整剤として撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学工業社製 KF-2012)を0.09gと、第二表面調整剤として2官能以上のシリコーン変性アクリレート(信越化学工業社製 X-12-1050)を0.09gと、光重合開始剤(IGM RESINS B.V Omnirad(登録商標) TPO H)を0.07gと、有機溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)64.93g,MIBK9.40g,イソプロピルグリコール(I―PG)16.00gと、を混合して、固形分濃度3.0重量%の塗布液を調製した。
【0046】
続いて、以下のようにHC塗料を調製した。DPE-6Aを2.00gと、アクリルシリコーン系レベリング剤(楠本化成社製 NSH-8430HF)1.00gと、光重合開始剤(IGM RESINS B.V Omnirad 184)2.10gと、アセトン10.00g、プロピレングリコールモノメチルエーテル44.90gを混合して、固形分濃度42.0質量%のHC塗料を調製した。
【0047】
塗布液とHC塗料を用いて、以下のように膜付基材を形成した。以下の実施例および比較例についても同様に膜付基材を作製した。
【0048】
TACフィルム(富士フィルム社製 FT TD80UL、厚さ 80μm)上にバーコーター法(#10)によりHC塗料を塗布した。その後、80℃で120秒間HC塗料を乾燥した。300mJ/cmの紫外線を乾燥後のHC塗料に照射(乾燥後のHC塗料を硬化)することにより、HC膜を形成した。さらに、塗布液をバーコーター法(#4)でHC膜上に塗布した。80℃で120秒間塗布液を乾燥した。N雰囲気下で、Heraeus社製のUVランプ(Hバルブを使用)を用いて400mJ/cmの強度で紫外線を乾燥後の塗布液に照射(乾燥後の塗布液を硬化)することにより、膜付基材を作製した。
【0049】
膜付基材について、以下(1)~(6)の項目(物性)を測定した。
【0050】
(1)ヘーズ、全光線透過率
ヘーズメーター(日本電色工業社製 NDH-5000)により膜付基材のヘーズ、全光線透過率を測定した。
【0051】
(2)膜付基材の反射率
波長550nmにおける膜付基材の反射率を反射分光膜厚計(大塚電子社製 FE-3000)により測定した。反射率について、評価基準を以下の様に分類し評価した。
評価基準:
1.0%未満 :◎
1.0%以上、2.0%未満 :○
2.0%以上、4.0%未満 :△
4.0%以上 :×
【0052】
(3)耐擦傷性
#0000のスチールウールを用い、各荷重で10往復摺動した。摺動後の膜付基材表面の傷を目視観察し、傷が5本以内の荷重を評価結果とした。これを以下の様に分類して強度を評価した。
評価基準:
荷重1000g/cm以上 :◎
荷重900/cm~500g/cm :○
荷重400/cm~200g/cm :△
荷重200g/cm未満 :×
【0053】
(4)鉛筆硬度
鉛筆硬度は、JIS K 5400に準じて、鉛筆硬度試験器で測定した。すなわち、膜付基材表面に対して45度の角度に鉛筆をセットし、所定の荷重を負荷して一定速度で引っ張った後、膜付基材表面の傷の有無を観察した。膜付基材表面の傷がなかった場合の最高硬度を、鉛筆硬度とし、評価基準を以下の様に分類した。
評価基準:
3H以上:◎
2H :○
H :△
HB以下:×
【0054】
(5)密着性
JIS K5400碁盤目試験に準じて試験を行った。具体的には、膜付基材の表面にナイフで縦横2mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着した。次いで、セロファンテープを剥離して、被膜が剥離せず残存している升目の数を数えた。これを以下の様に分類して密着性を評価した。
評価基準:
残存升目の数100個 :○
残存升目の数99個以下:×
【0055】
(6)耐アルコール性
IPAを含ませたベンコットで膜付基材表面を10往復擦り、膜表面が乾燥してから、#0000のスチールウールを用い、各荷重で10往復摺動した。摺動後の膜付基材表面の傷を目視観察し、傷が5本以内の荷重を評価結果とした。これを以下の様に分類して強度を評価した。
評価基準:
荷重1000g/cm以上 :◎
荷重900/cm~500g/cm :○
荷重400/cm~200g/cm :△
荷重200g/cm未満 :×
【0056】
[実施例2]
塗布液の調製において、第二表面調整剤として信越化学工業社製 X-22-164Eを用いたこと以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0057】
[実施例3]
塗布液の調製において、第一表面調整剤として撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学工業社製 X-22-2426)を用いたこと以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0058】
[実施例4]
塗布液の調製において、第一バインダとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製 ライトアクリレート PE-3A)1.17gを用い、且つ第二バインダを混合しなかったこと以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0059】
[実施例5]
塗布液の調製において、IPAをメタノール(MeOH)に変更した以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0060】
[実施例6]
塗布液の調製において、IPAを1-プロパノール(NPA)に変更した以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0061】
[実施例7]
実施例1で調整した中空粒子のMIBK分散液8.25gと、DPE-6Aを1.05gと、SR-238を0.12gと、KF-2012を0.09gと、X-12-1050を0.18gと、TPO Hを0.07gと、IPA64.93g,MIBK9.40g,I―PG16.00gと、を混合して、固形分濃度3.0重量%の塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0062】
[実施例8]
実施例1で調整した中空粒子のMIBK分散液6.00gと、DPE-6Aを1.46gと、SR-238を0.16gと、KF-2012を0.09gと、X-12-1050を0.09gと、TPO Hを0.09gと、IPA64.91g,MIBK11.20g,I―PG16.00gと、を混合して、固形分濃度3.0重量%の塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0063】
[実施例9]
実施例1で調整した中空粒子のMIBK分散液8.25gと、DPE-6Aを1.05gと、SR-238を0.12gと、KF-2012を0.09gと、X-12-1050を0.09gと、TPO Hを0.07gと、IPA80.93g,MIBK1.40g,I―PG8.00gと、を混合して、固形分濃度3.0重量%の塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0064】
[実施例10]
実施例1で調整した中空粒子のMIBK分散液8.25gと、DPE-6Aを1.05gと、SR-238を0.12gと、KF-2012を0.09gと、X-12-1050を0.09gと、TPO Hを0.07gと、IPA26.93g,MIBK50.0g,I―PG20.00gと、を混合して、固形分濃度3.0重量%の塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0065】
[実施例11]
固形分濃度40.5重量%の中実粒子のMIBK分散液(日揮触媒化成社製 ELCOM V-8802)4.44gと、DPE-6Aを0.92gと、SR-238を0.10gと、KF-2012を0.09gと、X-12-1050を0.09gと、TPO Hを0.06gと、IPA64.94g,MIBK13.36g,I―PG16.00gと、を混合して、固形分濃度3.0質量%の塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0066】
[比較例1]
塗布液の調製で第二表面調整剤として主骨格にブタジエンポリマー構造を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製 X-12-1267B)を用いたこと以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0067】
[比較例2]
塗布液の調製で第二表面調整剤としてメタクリル変性反応性シリコンオイル(信越化学工業社製 X-22-164)を用いたこと以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0068】
[比較例3]
塗布液の調製でIPAをメチルエチルケトンに変更した以外は実施例1と同様に塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0069】
[比較例4]
実施例1で調整した中空粒子のMIBK分散液8.25gと、DPE-6Aを1.05gと、SR-238を0.12gと、KF-2012を0.09gと、X-12-1050を0.09gと、TPO Hを0.07gと、IPA6.93g,MIBK63.40g,I―PG20.00gと、を混合して、固形分濃度3.0重量%の塗布液を調製した。本実施例で得た塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】