(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012217
(43)【公開日】2024-01-26
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240118BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113224
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】奥野 浩
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056FA10
2C056FD20
2C056JA01
2C056JA13
2C056JB04
2C056JB09
2C056JB15
(57)【要約】
【課題】プリンタの大型化を抑制しつつ洗浄液を貯留する部材から洗浄液を確実に供給すること。
【解決手段】プリンタ10は、インクヘッド45を搭載するキャリッジ40と、インクヘッド45をワイピングするワイパー36と、カートリッジ90が着脱可能に装着されるカートリッジホルダー51と、カートリッジ90に貯留された洗浄液をワイパー36に向けて供給する供給ポンプ80と、キャリッジ40よりも後方に位置しかつ制御装置100を収容する収容ケース14と、を備え、カートリッジ90は、副走査方向Xの長さCXが主走査方向Yの長さCYおよび上下方向Zの長さCZよりも短い状態で収容ケース14とキャリッジ40との間に位置するカートリッジホルダー51に装着されるように構成され、カートリッジホルダー51の上端51Tおよびカートリッジ90の上端90Tは、収容ケース14の上端14Tよりも低い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインクヘッドと、
前記インクヘッドを搭載し、主走査方向に移動可能に構成されたキャリッジと、
前記インクヘッドをワイピングするワイパーと、
前記ワイパーを洗浄する洗浄液を貯留するカートリッジが着脱可能に装着されるカートリッジホルダーと、
前記カートリッジに貯留された洗浄液を前記ワイパーに向けて供給する供給ポンプと、
前記インクヘッドおよび前記供給ポンプを制御する制御装置と、
前記主走査方向および上下方向の長さが前記キャリッジの前記主走査方向および上下方向の長さよりそれぞれ長く設定されると共に、前記キャリッジよりも前記主走査方向と平面視で直交する副走査方向の上流側に位置しかつ前記制御装置を収容する収容ケースと、を備え、
前記副走査方向に関して前記収容ケースと前記キャリッジとの間には前記カートリッジホルダーが設けられ、
前記カートリッジは、前記カートリッジの前記副走査方向の長さが前記カートリッジの前記主走査方向の長さおよび上下方向の長さよりも短い状態で前記カートリッジホルダーに装着されるように構成され、
前記カートリッジホルダーの上端および前記カートリッジの上端は、前記収容ケースの上端よりも低い位置に位置する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記供給ポンプは、前記供給ポンプの前記副走査方向の長さが前記供給ポンプの前記主走査方向の長さおよび上下方向の長さより短い状態で前記カートリッジホルダーと前記キャリッジとの間に配置されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記カートリッジホルダーの上方に配置され、かつ、前記インクヘッドと前記制御装置とを電気的に接続するフレキシブルケーブルを備えている、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記カートリッジホルダーの上方かつ前記収容ケースに設けられ、前記フレキシブルケーブルと前記制御装置とを接続するコネクタを備えている、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記フレキシブルケーブルは、前記インクヘッドに接続される第1端部と、前記第1端部よりも前記副走査方向の上流側に位置しかつ前記コネクタに接続される第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間に位置する屈曲部と、を有し、
前記カートリッジホルダーは、前記主走査方向で前記屈曲部と重なる位置に配置されている、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記供給ポンプに接続され、かつ、前記ワイパーに向けて洗浄液を供給する供給チューブと、
前記カートリッジホルダーの下方に配置され、かつ、前記供給チューブを保持するチューブ保持部材と、を備えている、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記キャリッジを駆動するキャリッジモータを備え、
前記カートリッジホルダーは、前記キャリッジモータの上端よりも下方に配置されている、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記カートリッジホルダーを介して前記カートリッジに接続される上流側端部と、前記供給ポンプに接続された下流側端部とを有し、洗浄液が流通する洗浄液流路と、
前記洗浄液流路に配置され、前記洗浄液流路を開放および閉鎖するバルブユニットと、を備え、
前記カートリッジが前記カートリッジホルダーに前記主走査方向の一方側から他方側に装着されるとき、前記バルブユニットは、前記カートリッジホルダーよりも前記主走査方向の他方側に位置する、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記バルブユニットは、前記収容ケースにスナップフィットにより係合している、請求項8に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
インクを吐出するインクヘッドと、
前記インクヘッドを搭載し、主走査方向に移動可能に構成されたキャリッジと、
前記インクヘッドをワイピングするワイパーと、
前記ワイパーを洗浄する洗浄液を貯留するカートリッジが着脱可能に装着されるカートリッジホルダーと、
前記カートリッジに貯留された洗浄液を前記ワイパーに向けて供給する供給ポンプと、
前記インクヘッドおよび前記供給ポンプを制御する制御装置と、
前記制御装置と前記インクヘッドとを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、
前記カートリッジホルダーの上方に設けられ、前記フレキシブルケーブルと前記制御装置とを接続するコネクタと、を備え、
前記フレキシブルケーブルは、前記インクヘッドに接続される第1端部と、前記第1端部よりも前記主走査方向と平面視で直交する副走査方向の上流側に位置しかつ前記コネクタに接続される第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間に位置する屈曲部と、を有し、
前記カートリッジホルダーは、前記主走査方向で前記屈曲部と重なる位置に配置されている、インクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクを吐出する複数のノズルと、複数のノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドを備えたプリンタが開示されている。上記プリンタでは、ノズルやノズル面に付着したインクや異物などの付着物を清掃するメンテナンス機構が不可欠である。特許文献1のプリンタは、メンテナンス機構としてノズル面をワイピングするワイパーを備えたワイピング装置を備えている。ワイパーがノズル面に接触した状態で、ワイパーとノズル面とが相対的に移動することにより、ノズル面に付着したインクなどの付着物が拭き取られる。これにより、ノズル面においてインクなどが固化することが抑制され、インクの吐出不良が発生することを抑制することができる。
【0003】
ワイパーによってノズル面をワイピングした後には、ワイパーにはインクが付着するため、ワイパーは洗浄液によって洗浄される。特許文献1では、洗浄液槽に貯留された洗浄液によってワイパーが洗浄される。特許文献1のプリンタでは、洗浄液を貯留するタンクから自重によって洗浄液が洗浄液槽に供給されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、洗浄液を貯留するタンクから洗浄液を自重によって供給するためには、タンクと洗浄液が供給される部材(例えば洗浄液槽)との高低差を比較的大きくする必要がある。即ち、タンクをプリンタの機体の上部に配置する必要がある。しかしながら、比較的大型のプリンタでは、プリンタの高さをユーザの身長に合わせて設定することが多い。この場合、タンクをプリンタの機体の上部に配置すると、タンクの高さ分だけ機体が大型化するだけでなく、タンクの高さがユーザの身長に合わせて設定した設定範囲を大きく超えてしまい、ユーザの作業性が悪化する虞がある。一方で、ユーザが作業しやすい機体の上部より低い位置にタンクを配置すれば、機体の大型化を回避しつつユーザの作業性の向上を図ることができる。しかしながら、タンクを機体の上部よりも低い位置に配置した場合には、タンクから洗浄液を自重によって供給するために必要な高低差を確保することが困難な場合が多い。また、機体の上部よりも低い位置にはインクヘッドを搭載するキャリッジ等の多数の部品が配置されており、タンクとこれらの部品とが干渉しないように配置しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリンタの大型化を抑制すると共に、洗浄液を貯留する部材をキャリッジ等と干渉させることなくユーザが作業しやすい配置としつつ、洗浄液を貯留する部材から洗浄液を確実に供給することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、洗浄液を確実に供給するために供給ポンプを用いることにした。しかしながら、プリンタの高さおよびプリンタの前後方向の長さを所定の範囲に設定しようとすると、洗浄液を貯留する部材(例えばカートリッジやタンク)を配置する位置が問題となった。そこで、鋭意検討の結果、制御装置を収容する収容ケースとインクヘッドを搭載するキャリッジとの間に設けられたスペースに洗浄液を貯留する部材を配置可能とすることによって、プリンタの大型化を抑制すると共に、洗浄液を貯留する部材をキャリッジ等と干渉させることなくユーザが作業しやすい配置としつつ、洗浄液を貯留する部材から洗浄液を確実に供給することができることを見出した。
【0008】
本発明に係るインクジェットプリンタは、インクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドを搭載し、主走査方向に移動可能に構成されたキャリッジと、前記インクヘッドをワイピングするワイパーと、前記ワイパーを洗浄する洗浄液を貯留するカートリッジが着脱可能に装着されるカートリッジホルダーと、前記カートリッジに貯留された洗浄液を前記ワイパーに向けて供給する供給ポンプと、前記インクヘッドおよび前記供給ポンプを制御する制御装置と、前記主走査方向および上下方向の長さが前記キャリッジの前記主走査方向および上下方向の長さよりそれぞれ長く設定されると共に、前記キャリッジよりも前記主走査方向と平面視で直交する副走査方向の上流側に位置しかつ前記制御装置を収容する収容ケースと、を備えている。前記副走査方向に関して前記収容ケースと前記キャリッジとの間には前記カートリッジホルダーが設けられている。前記カートリッジは、前記カートリッジの前記副走査方向の長さが前記カートリッジの前記主走査方向の長さおよび上下方向の長さよりも短い状態で前記カートリッジホルダーに装着されるように構成されている。前記カートリッジホルダーの上端および前記カートリッジの上端は、前記収容ケースの上端よりも低い位置に位置する。
【0009】
本発明に係るインクジェットプリンタでは、制御装置を収容する収容ケースは、主走査方向および上下方向の長さがキャリッジの主走査方向および上下方向の長さよりそれぞれ長く設定され、キャリッジよりも副走査方向の上流側に位置する。よって、収容ケースとキャリッジとの間には、副走査方向と比較して主走査方向に長いデッドスペースが設けられ、このデッドスペースにカートリッジホルダーが設けられている。カートリッジは主走査方向の長さが副走査方向の長さおよび上下方向の長さよりも長い状態でカートリッジホルダーに装着される。即ち、カートリッジは、カートリッジの最も幅広の面を主走査方向に対応させることで、上記デッドスペースを利用することができる。これにより、カートリッジの容量を確保しつつ、デッドスペースにカートリッジを設けることができる。さらに、収容ケースは、キャリッジより高さを有しており、カートリッジホルダーの上端およびカートリッジの上端は、収容ケースの上端より低く設定されている。よって、プリンタの大型化を抑制できると共に、カートリッジをキャリッジ等と干渉させることなく、ユーザが作業しやすい位置に配置することができる。さらに、本発明に係るインクジェットプリンタは、カートリッジに貯留された洗浄液をワイパーに向けて供給する供給ポンプを備えている。よって、カートリッジの上端が収容ケースの上端より低く設定されていることにより洗浄液を自重によって供給するために必要な高低差を確保することが困難な場合であっても、供給ポンプによって洗浄液を確実に供給することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリンタの大型化を抑制すると共に、洗浄液を貯留する部材をキャリッジ等と干渉させることなくユーザが作業しやすい配置としつつ、洗浄液を貯留する部材から洗浄液を確実に供給することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るプリンタの正面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るプリンタの一部を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る洗浄液供給ユニットおよびその周辺の構造を示す正面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る洗浄液供給ユニットおよびその周辺の構造を示す平面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る洗浄液供給ユニットおよびその周辺の構造を示す側面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るカートリッジホルダーを前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の正面図である。プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。以下の説明では、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。また、後は副走査方向Xの上流側に相当し、前は副走査方向Xの下流側に相当する。符号Zは上下方向を示している。上下方向Zは、正面視において主走査方向Yと直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0014】
記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板等の比較的厚みを有するものが含まれる。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、装置本体12と、プラテン18と、脚19と、制御装置100(
図2参照)とを備えている。装置本体12は、ベース部材13と、ベース部材13に取り付けられた本体ケース15とを備えている。脚19はベース部材13の下部に取り付けられている。脚19は、ベース部材13を支持する。ベース部材13は、主走査方向Yに延びる。
【0016】
プラテン18は、記録媒体5への印刷の際、記録媒体5を支持する部材である。プラテン18には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン18上で行われる。プラテン18は、主走査方向Yに延びている。プラテン18は、ベース部材13に設けられている。プラテン18は、ベース部材13の主走査方向Yの中央部に位置する。
【0017】
図1に示すように、装置本体12は、主走査方向Yおよび上下方向Zに延びる中央壁17を備えている。中央壁17は、ベース部材13に支持されている。中央壁17は、プラテン18の上方に配置されている。中央壁17とプラテン18との間には、記録媒体5が通過可能な間隙が形成されている。中央壁17は、本体ケース15に収容されている。
【0018】
図1に示すように、装置本体12、ガイドレール16を備えている。ガイドレール16は、主走査方向Yに延びる。ガイドレール16は、中央壁17の前面に設けられている。ガイドレール16は、プラテン18の上方に配置されている。ガイドレール16は、後述するキャリッジ40の主走査方向Yへの移動をガイドする。
【0019】
図2に示すように、装置本体12は、制御装置100を収容する収容ケース14を備えている。収容ケース14は、ベース部材13に支持されている。収容ケース14は、内部に制御装置100を収容する収容空間を備えた略直方体状に形成されている。収容ケース14は、ベース部材13の後部の右方に設けられている。収容ケース14は、中央壁17より後方に配置されている。収容ケース14は、プラテン18より右方に配置されている。収容ケース14は、後述するキャリッジ40よりも後方に位置する。収容ケース14は、主走査方向Yの長さPY(
図4参照)および上下方向Zの長さPZ(
図5参照)がキャリッジ40の主走査方向Yの長さMY(
図1参照)および上下方向Zの長さMZ(
図5参照)よりそれぞれ長く設定されている。
図5に示すように、収容ケース14の上端14Tは、キャリッジ40より上方に位置する。
【0020】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ40と、ヘッド移動機構20とを備えている。キャリッジ40およびヘッド移動機構20は、本体ケース15に収容されている。ヘッド移動機構20は、キャリッジ40を主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構20は、左側のプーリ22と、右側のプーリ23と、無端状のベルト24と、キャリッジモータ25とを備えている。左側のプーリ22は、ガイドレール16の左端より左方に設けられている。右側のプーリ23は、ガイドレール16の右端より右方に設けられている。ベルト24は、左側のプーリ22と右側のプーリ23とに巻き掛けられている。右側のプーリ23には、キャリッジモータ25が接続されている。ただし、キャリッジモータ25は、左側のプーリ22に接続されていてもよい。キャリッジモータ25が駆動して、右側のプーリ23が回転することで、左側のプーリ22と右側のプーリ23との間においてベルト24が走行する。キャリッジ40は、ベルト24に取り付けられている。キャリッジ40は、ガイドレール16に係合しており、ガイドレール16に摺動自在に設けられている。キャリッジモータ25の駆動によってベルト24が走行して、キャリッジ40が主走査方向Yに移動する。キャリッジ40は、後述するインクヘッド45を搭載する。
【0021】
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ40に搭載された複数のインクヘッド45を備えている。インクヘッド45は、キャリッジ40の移動に伴って主走査方向Yに移動する。複数のインクヘッド45は、主走査方向Yに並んでいる。複数のインクヘッド45は、ここでは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド45は、インクを吐出する。インクヘッド45は、副走査方向Xに並びかつインクを吐出する複数のノズル(図示せず)から構成されたノズル列と、ノズルが形成されたノズル面45Aとを有する。1つのインクヘッド45は、例えば、主走査方向Yに並ぶ複数の(例えば2つ)のノズル列を有する。インクヘッド45から吐出されるインクは、特に限定されない。インクヘッド45から吐出されるインクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インク、水性インク、光硬化性インク(例えば紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インク、いわゆるUVインク)等であってもよい。複数のインクヘッド45から記録媒体5にそれぞれインクが吐出されることによって、記録媒体5に画像が形成される。
【0022】
図1に示すように、プリンタ10は、媒体搬送機構30を備えている。媒体搬送機構30は、ベース部材13に設けられている。媒体搬送機構30は、プラテン18に載置された記録媒体5を副走査方向X(
図2参照)に移動させる機構である。媒体搬送機構30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33とを備えている。グリットローラ31は、プラテン18に設けられている。ここでは、グリットローラ31の一部はプラテン18に埋設されている。ピンチローラ32は、グリットローラ31と上下方向で対向するように、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、記録媒体5を上から押え付ける部材である。フィードモータ33は、グリットローラ31に接続されている。グリットローラ31とピンチローラ32との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ33が駆動してグリットローラ31が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0023】
図1に示すように、プリンタ10は、インクヘッド45をワイピングするワイピング装置35を備えている。ワイピング装置35は、インクヘッド45のノズル面45Aをワイピングするワイパー36と、ワイパー移動装置37と、を備えている。ワイパー36は、主走査方向Yおよび上下方向Zに伸びる板状の部材である。ワイパー36の上端部は、インクヘッド45のノズル面45Aよりも僅かに上方に位置している。ワイパー36は、例えば、ゴムにより形成されている。ワイパー36には、後述するように洗浄液が供給される。ワイパー移動装置37は、ワイパー36を副走査方向Xに移動させる。ワイパー移動装置37がワイパー36を副走査方向Xに移動させることにより、インクヘッド45のノズル面45Aは、ワイパー36にワイピングされる。ただし、ワイピング装置35の構成は、上記したものに限定されない。例えば、ワイピング装置35は、キャリッジ40の主走査方向Yの動きを利用してノズル面45Aを主走査方向Yにワイピングするように構成されていてもよい。
【0024】
図1に示すように、プリンタ10は、キャッピング装置46を備えている。キャッピング装置46は、ワイピング装置35より右方に位置し、キャリッジ40が印刷時以外のときに待機するホームポジションの下方に設けられている。キャッピング装置46は、複数のキャップ47と、キャップ移動機構48と、吸引ポンプ(図示せず)とを備えている。複数のキャップ47は、ホームポジションにおけるインクヘッド45の下方に配置されている。複数のキャップ47は、それぞれ1つのインクヘッド45の下方に設けられている。キャップ47の数とインクヘッド45の数は同じである。複数のキャップ47は、キャップ移動機構48に下方から支持されている。キャップ移動機構48は、複数のキャップ47を上下方向Zに移動させ、複数のキャップ47をそれぞれインクヘッド45に着脱させる。複数の吸引ポンプは、キャップ47に接続されている。吸引ポンプは、キャップ47がインクヘッド45に装着されているときに駆動し、インクヘッド45のノズルから強制的にインクを排出させる。吸引ポンプは、ノズルから排出されたインクを吸引する。
【0025】
図2に示すように、プリンタ10は、インクヘッド45(
図1参照)と制御装置100とを電気的に接続するフレキシブルケーブル110を備えている。フレキシブルケーブル110は、キャリッジ40の主走査方向Yへの移動に合わせてキャリッジ40と連れ動くものである。フレキシブルケーブル110は、キャリッジ40の主走査方向Yの移動に合わせて屈曲して変形するものである。ここでは、フレキシブルケーブル110は、平面視においてU字状に屈曲変形する。フレキシブルケーブル110は、インクヘッド45に接続される第1端部111と、第1端部111よりも後方に位置する第2端部112(
図3参照)と、第1端部111と第2端部112との間に位置する屈曲部113と、を有する。屈曲部113の位置は、キャリッジ40の位置によって異なる。
図3に示すように、フレキシブルケーブル110は、カートリッジホルダー51の上方に配置される。より詳細には、フレキシブルケーブル110の第2端部112は、後述するカートリッジホルダー51の上方に配置されている。
【0026】
図3に示すように、プリンタ10は、フレキシブルケーブル110と制御装置100(
図4参照)とを接続するコネクタ120を備えている。コネクタ120は、制御装置100に物理的に接続されている。コネクタ120は、収容ケース14に設けられている。コネクタ120は、収容ケース14の前面14Fを貫通している。コネクタ120は、フレキシブルケーブル110に設けられたコネクタ(図示せず)と接続される。コネクタ120は、後述するカートリッジホルダー51の上方に配置されている第1コネクタ121と、カートリッジホルダー51より左方に配置されている第2コネクタ122とを有する。
【0027】
図4に示すように、制御装置100は、収容ケース14の内部に収容されている。制御装置100は、収容ケース14によってキャリッジ40や後述する洗浄液供給ユニット50等から隔離されている。制御装置100は、インクヘッド45、キャリッジモータ25、フィードモータ33、ワイパー移動装置37、キャップ移動機構48、吸引ポンプおよび洗浄液供給ユニット50の後述する供給ポンプ80およびバルブユニット84と通信可能に接続されており、これらを制御可能に構成されている。制御装置100は、例えば、複数のプリント基板および複数の電子部品等によって構成されている。
【0028】
図1に示すように、プリンタ10は、ワイピング装置35のワイパー36に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット50を有している。
図3に示すように、洗浄液供給ユニット50は、カートリッジ90が着脱可能に装着されるカートリッジホルダー51と、カートリッジ90に貯留された洗浄液をワイパー36に向けて供給する供給ポンプ80と、カートリッジホルダー51と供給ポンプ80とを接続する洗浄液流路82と、洗浄液流路82に配置されたバルブユニット84と、洗浄液流路82に配置されたエンド検出ユニット86と、供給ポンプ80から送り出された洗浄液をワイパー36に供給する供給チューブ88と、供給チューブ88を保持するチューブ保持部材89と、を備えている。
【0029】
図1に示すように、カートリッジホルダー51は、装置本体12の右部分に配置されている。カートリッジホルダー51は、プラテン18より右方に配置されている。
図2に示すように、カートリッジホルダー51は、副走査方向Xに関して収容ケース14とキャリッジ40との間に配置されている。カートリッジホルダー51は、収容ケース14より前方に配置されている。カートリッジホルダー51は、キャリッジ40より後方に配置されている。カートリッジホルダー51は、副走査方向Xに関してフレキシブルケーブル110の第1端部111と第2端部112(
図3参照)との間に位置する。カートリッジホルダー51は、第1端部111より後方に位置する。カートリッジホルダー51は、第2端部112より前方に位置する。カートリッジホルダー51は、収容ケース14の前面14F(
図3参照)に固定されている。
図2に示すように、カートリッジホルダー51は、主走査方向Yで屈曲部113と重なる位置に配置されている。即ち、カートリッジホルダー51は、副走査方向Xに関して屈曲部113と同じ位置に配置されている。
図5に示すように、カートリッジホルダー51は、キャリッジモータ25の上端25Tよりも下方に配置されている。
【0030】
図6に示すように、カートリッジホルダー51は、略直方体形状の箱型に形成されている。カートリッジホルダー51は、供給用針52と、供給用針52を保持する保持部材54と、保持部材54が固定される板状部材60と、板状部材60を保持しかつカートリッジ90(
図3参照)が収容される収容空間70Sを有するホルダーケース70と、備えている。
【0031】
図6に示すように、供給用針52は、カートリッジ90の供給口(図示せず)に着脱可能に構成されている。供給用針52は、カートリッジ90がカートリッジホルダー51に装着されたときに、供給口に挿入される。供給用針52は、先端が尖った管状の部材である。供給用針52の内部を洗浄液が流通する。供給用針52は、カートリッジ90の内部と供給ポンプ80とを連通する。供給用針52は、後述する洗浄液流路82の端部82P(
図3参照)と連通する。供給用針52は、カートリッジ90内の洗浄液を供給ポンプ80に向けて供給する。供給用針52は主走査方向Yに延びるように配置されている。
【0032】
図6に示すように、保持部材54は、供給用針52を保持する。保持部材54は、直方体形状の薄い板材である。供給用針52は、保持部材54の中央部分に配置されている。供給用針52は、保持部材54から右方に向けて突出する。保持部材54は、供給用針52と連通しかつ後述する洗浄液流路82の第1チューブ82Aが取り付けられるチューブ取り付け部56(
図3参照)を有する。チューブ取り付け部56は、左方に向けて突出する。
【0033】
図6に示すように、板状部材60は、ホルダーケース70の左端部に取り付けられている。板状部材60には、チューブ取り付け部56(
図3参照)が挿通される開口部(図示せず)が形成されている。
【0034】
図6に示すように、ホルダーケース70は、ベース部材71と、ベース部材71に取り付けられたベース板75とを有する。ベース部材71は、板状部材60の後方に位置しかつ上下方向Zおよび主走査方向Yに延びるベース壁71Aと、ベース壁71Aの上端から前方に延びる上壁71Bと、上壁71Bの前端から下方に延びる上側前壁71Cと、ベース壁71Aの下端から前方に延びる下壁71Dと、下壁71Dの前端から上方に延びる下側前壁71Eとを有する。ベース壁71Aは、板状部材60に接続されている。上側前壁71Cと下側前壁71Eとは上下方向Zに関して離間している。下壁71Dは、板状部材60より下方に位置する。ベース部材71は、断面略C字状に形成されている。ベース壁71Aと、上壁71Bと、上側前壁71Cと、下壁71Dと、下側前壁71Eとは、一枚の板から折り曲げ成形により形成されている。ベース部材71は、ベース壁71A、上壁71B、上側前壁71C、下壁71Dおよび下側前壁71Eの右端部に形成された挿入口72を有する。挿入口72には、カートリッジ90が挿入される。本実施形態では、カートリッジ90は、挿入口72に対して右方から左方へと挿入される。
【0035】
図6に示すように、ベース板75は、上下方向Zおよび主走査方向Yに延びる。ベース板75は、板状部材60の前方に位置する。ベース板75は、板状部材60に接続されている。ベース板75は、上側前壁71Cおよび下側前壁71Eの外面(ここでは前面)に取り付けられている。ベース板75の主走査方向Yの長さは、ベース部材71のベース壁71Aの主走査方向Yの長さより短い。収容空間70Sは、ベース部材71とベース板75とによって囲われた空間である。より詳細には、収容空間70Aは、ベース壁71Aと、上壁71Bと、上側前壁71Cと、下壁71Dと、下側前壁71Eと、ベース板75とによって囲われた空間である。
【0036】
図6に示すように、ホルダーケース70は、収容空間70Sに収容されたカートリッジ90の抜けを防止する第1板バネ77と、収容空間70Sに収容されたカートリッジ90を押圧する第2板バネ78とを備えている。第1板バネ77は、ベース部材71の上壁71Bに設けられている。第1板バネ77の一部は、上壁71Bを貫通する。第1板バネ77は、収容空間70Sに向けて突出している。第1板バネ77は、カートリッジ90がカートリッジホルダー51から取り外す方向に移動したとき(ここでは右方に移動したとき)に、カートリッジ90の一部と接触してカートリッジ90がカートリッジホルダー51から不意に抜けることを抑制する部材である。第2板バネ78は、ベース板75に設けられている。第2板バネ78は、ベース板75の上側に2つ、下側に2つ設けられている。第2板バネ78の一部は、ベース板75および上側前壁71Cおよび下側前壁71Eを貫通する。第2板バネ78は、収容空間70Sに向けて突出している。第2板バネ78は、カートリッジ90を後方に押圧する。これにより、カートリッジ90をカートリッジホルダー51の所定の位置に配置することができる。
【0037】
図5に示すように、カートリッジホルダー51は、供給ポンプ80が固定される支持板58を備えている。支持板58は、側面視でL字状に形成されている。支持板58は、副走査方向Xに設定される所定の幅で主走査方向Yに延びる第1板部58A(
図4も参照)と、第1板部58Aの前端から下方に延びる第2板部58Bとを有している。第1板部58Aは、ベース部材71の上壁71Bに固定されている。なお、
図6では説明の便宜上支持板58の図示を省略している。
【0038】
図6に示すように、プリンタ10は、洗浄液を受け止める洗浄液受け部材95を備えている。洗浄液受け部材95は、ホルダーケース70のベース部材71の下壁71Dの上に配置されている。洗浄液受け部材95は、カートリッジホルダー51にカートリッジ90が装着された状態において、カートリッジ90の下方に位置する。洗浄液受け部材95は、所定量の洗浄液を収容可能な容器である。
【0039】
図1に示すように、カートリッジ90は、扁平な直方体状に形成されている。ワイパー36に供給される洗浄液は、カートリッジ90から供給される。カートリッジ90は、ワイパー36を洗浄する洗浄液を貯留する。カートリッジ90内の洗浄液が消費されると、そのカートリッジ90は交換される。カートリッジ90は、カートリッジホルダー51の供給用針52(
図6参照)が挿入される供給口(図示せず)を有する。カートリッジ90は、カートリッジ90の副走査方向Xの長さCXがカートリッジ90の主走査方向Yの長さCYおよび上下方向Zの長さCZよりも短い状態でカートリッジホルダー51に装着されるように構成されている。
図3に示すように、カートリッジホルダー51にカートリッジ90が装着された状態において、カートリッジ90の主走査方向Yの長さCYは上下方向Zの長さCZより長い。即ち、カートリッジ90は、その長手方向が主走査方向Yと一致するように配置されている。
図5に示すように、カートリッジホルダー51にカートリッジ90が装着された状態において、カートリッジ90の副走査方向Xの長さCXは上下方向Zの長さCZより短い。即ち、カートリッジ90は、副走査方向Xのスペースを要しないように縦置きに配置されている。
図3に示すように、カートリッジホルダー51にカートリッジ90が装着された状態において、カートリッジホルダー51の上端51Tおよびカートリッジ90の上端90Tは、収容ケース14の上端14Tより低い位置に位置する。
【0040】
図3に示すように、供給ポンプ80は、カートリッジホルダー51の支持板58に固定されている。より詳細には、供給ポンプ80は、支持板58の第2板部58Bに固定されている。供給ポンプ80は、ベース板75と重ならない。供給ポンプ80は、カートリッジホルダー51の上端より下方かつ下端より上方に配置されている。
図2に示すように、供給ポンプ80は、副走査方向Xに関してカートリッジホルダー51とキャリッジ40との間に配置されている。供給ポンプ80は、カートリッジホルダー51より前方に配置されている。供給ポンプ80は、キャリッジ40より後方に配置されている。供給ポンプ80は、供給ポンプ80の副走査方向Xの長さSXが供給ポンプ80の主走査方向Yの長さSYおよび上下方向Zの長さSZより短い状態でカートリッジホルダー51とキャリッジ40との間に配置されている。
図3に示すように、供給ポンプ80の主走査方向Yの長さSYは、上下方向Zの長さSZより長い。
図5に示すように、供給ポンプ80の副走査方向Xの長さSXは、上下方向Zの長さSZより短い。
図3に示すように、供給ポンプ80は、洗浄液が流入する流入口80Aと、洗浄液が流出する流出口80Bとを有する。供給ポンプ80は、制御装置100に制御される。
【0041】
図3に示すように、バルブユニット84は、収容ケース14の前面14Fに設けられている。バルブユニット84は、スナップフィットにより収容ケース14に係合している。バルブユニット84は、カートリッジホルダー51より左方に配置されている。バルブユニット84は、洗浄液流路82に配置されている。バルブユニット84は、洗浄液流路82のうちカートリッジホルダー51とエンド検出ユニット86との間に位置する。バルブユニット84は、洗浄液が流入する流入口84Aと、洗浄液が流出する流出口84Bとを有する。バルブユニット84は、洗浄液流路82を開放および閉鎖するように構成されている。バルブユニット84は、制御装置100に制御される。バルブユニット84は、例えば、電磁弁である。バルブユニット84は、通常時は洗浄液流路82を開放している。バルブユニット84は、後述するように貯留空間に貯留された洗浄液が所定の量を下回ったことをエンド検出ユニット86が検出したときに、洗浄液流路82を閉鎖する。
【0042】
図3に示すように、エンド検出ユニット86は、収容ケース14の前面14Fに設けられている。エンド検出ユニット86は、スナップフィットにより収容ケース14に係合している。エンド検出ユニット86は、カートリッジホルダー51より左方に配置されている。エンド検出ユニット86は、バルブユニット84より右方に配置されている。エンド検出ユニット86は、洗浄液流路82に配置されている。エンド検出ユニット86は、洗浄液流路82のうちバルブユニット84と供給ポンプ80との間に位置する。エンド検出ユニット86は、洗浄液が流入する流入口86Aと、洗浄液が流出する流出口86Bと、流入口86Aと流出口86Bとに連通しかつ洗浄液を貯留可能な貯留空間を有するケース部86Cと、を有する。エンド検出ユニット86は、貯留空間に貯留された洗浄液が所定の量を下回ったことを検出することができる。供給ポンプ80が駆動されてカートリッジ90から洗浄液が供給されているときには、貯留空間の洗浄液は所定の量を下回ることはない。しかしながら、カートリッジ90内の洗浄液が無くなったときには、供給ポンプ80を駆動してもカートリッジ90から貯留空間に洗浄液が流れないため、貯留空間に貯留された洗浄液は所定の量を下回る。このときに、エンド検出ユニット86は、貯留空間に貯留された洗浄液が所定の量を下回ったことを検出する。エンド検出ユニット86は、例えば、貯留空間の圧力に基づいて、貯留空間に貯留された洗浄液が所定の量を下回ったか否かを検出する。エンド検出ユニット86は、制御装置100に接続されている。
【0043】
図3に示すように、洗浄液流路82は、カートリッジホルダー51のチューブ取り付け部56およびバルブユニット84の流入口84Aに接続された第1チューブ82Aと、バルブユニット84の流出口84Bおよびエンド検出ユニット86の流入口86Aに接続された第2チューブ82Bと、エンド検出ユニット86の流出口86Bおよび供給ポンプ80の流入口80Aに接続された第3チューブ82Cと、を含む。洗浄液は、洗浄液流路82を流通する。第1チューブ82Aのうちチューブ取り付け部56に接続された端部82Pが上流側端部に相当する。端部82Pは、チューブ取り付け部56および供給用針52を介してカートリッジ90に接続されている。第3チューブ82Cのうち流入口80Aに接続された端部82Qが下流側端部に相当する。
【0044】
図3に示すように、供給チューブ88は、供給ポンプ80の流出口80Bに接続されている。洗浄液は、供給チューブ88内を流通する。供給チューブ88の端部(流出口80Bに接続された端部とは反対側の端部)は、例えば、ワイピング装置35の所定の位置に固定されており、供給ポンプ80が駆動することによって供給チューブ88からワイパー36(典型的にはノズル面45Aと接触する部分)に洗浄液が直接供給される。チューブ保持部材89は、ベース部材13に設けられている。チューブ保持部材89は、カートリッジホルダー51の下方に配置されている。なお、チューブ保持部材89は、供給チューブ88とは別の他のチューブを保持することもできる。チューブ保持部材89は、例えば、キャッピング装置46(
図1参照)の吸引ポンプによって吸引されたインクを廃液ボトル98(
図1参照)に導くチューブを保持してもよい。
【0045】
以上のように、本実施形態のプリンタ10では、制御装置100を収容する収容ケース14は、主走査方向Yの長さPYおよび上下方向Zの長さPZがキャリッジ40の主走査方向Yの長さMYおよび上下方向の長さMZよりそれぞれ長く設定され、キャリッジ40よりも副走査方向Xの上流側に(ここでは後方に)位置する。よって、収容ケース14とキャリッジ40との間には、副走査方向Xと比較して主走査方向Yに長いデッドスペースが設けられ、このデッドスペースにカートリッジホルダー51が設けられている。カートリッジ90は主走査方向Yの長さCYが副走査方向Xの長さCXおよび上下方向Zの長さCZよりも長い状態でカートリッジホルダー51に装着される。即ち、カートリッジ90は、カートリッジ90の最も幅広の面を主走査方向Yに対応させることで、上記デッドスペースを利用することができる。これにより、カートリッジ90の容量を確保しつつ、デッドスペースにカートリッジ90を設けることができる。さらに、収容ケース14は、キャリッジ40より高さを有しており、カートリッジホルダー51の上端51Tおよびカートリッジ90の上端90Tは、収容ケース14の上端14Tより低く設定されている。よって、プリンタ10の大型化を抑制できると共に、カートリッジ90をキャリッジ40等と干渉させることなく、ユーザが作業しやすい位置に配置することができる。さらに、本実施形態のプリンタ10は、カートリッジ90に貯留された洗浄液をワイパー36に向けて供給する供給ポンプ80を備えている。よって、カートリッジ90の上端90Tが収容ケース14の上端14Tより低く設定されていることにより洗浄液を自重によって供給するために必要な高低差を確保することが困難な場合であっても、供給ポンプ80によって洗浄液を確実に供給することができる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10では、供給ポンプ80は、供給ポンプ80の副走査方向Xの長さSXが供給ポンプ80の主走査方向Yの長さSYおよび上下方向Zの長さSZより短い状態でカートリッジホルダー51とキャリッジ40との間に配置されている。上記態様によれば、供給ポンプ80の最も広い部分を主走査方向Yに対応させることで、収容ケース14とキャリッジ40との間で主走査方向Yに延びるデッドスペースを有効活用して、供給ポンプ80を配置することができる。
【0047】
本実施形態のプリンタ10では、カートリッジホルダー51の上方に配置され、かつ、インクヘッド45と制御装置100とを電気的に接続するフレキシブルケーブル110を備えている。上記態様によれば、カートリッジホルダー51の上方にはフレキシブルケーブル110が位置するため、カートリッジホルダー51をコンパクトに配置することによって、プリンタ10の大型化を抑制することができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10では、カートリッジホルダー51の上方かつ収容ケース14に設けられ、フレキシブルケーブル110と制御装置100とを接続するコネクタ120を備えている。上記態様によれば、コネクタ120を介してフレキシブルケーブル110を収容ケース14に確実に保持させることができる。また、カートリッジホルダー51の上方にはコネクタ120が位置するため、カートリッジホルダー51をコンパクトに配置することによって、プリンタ10の大型化を抑制することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10では、フレキシブルケーブル110は、インクヘッド45に接続される第1端部111と、第1端部111よりも後方に位置しかつコネクタ120に接続される第2端部112と、第1端部111と第2端部112との間に位置する屈曲部113と、を有し、カートリッジホルダー51は、主走査方向Yで屈曲部113と重なる位置に配置されている。フレキシブルケーブル110は、インクヘッド45を搭載するキャリッジ40が主走査方向Yに移動したときに過度な折れ曲がりを抑制するために屈曲部113を有する。即ち、副走査方向Xに関して第1端部111と第2端部112との間にはスペースが生じる。そこで、カートリッジホルダー51を副走査方向Xに関して第1端部111と第2端部112との間に生じたスペース、即ち主走査方向Yで屈曲部113と重なる位置に配置することで、カートリッジホルダー51をコンパクトに配置することができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10は、供給ポンプ80に接続され、かつ、ワイパー36に向けて洗浄液を供給する供給チューブ88と、カートリッジホルダー51の下方に配置され、かつ、供給チューブ88を保持するチューブ保持部材89と、を備えている。上記態様によれば、カートリッジホルダー51の下方には供給チューブ88およびチューブ保持部材89が位置するため、カートリッジホルダー51をコンパクトに配置することによって、プリンタ10の大型化を抑制することができる。
【0051】
本実施形態のプリンタ10では、キャリッジ40を駆動するキャリッジモータ25を備え、カートリッジホルダー51は、キャリッジモータ25の上端25Tよりも下方に配置されている。このように、カートリッジホルダー51をコンパクトに配置することによって、プリンタ10の大型化を抑制することができる。
【0052】
本実施形態のプリンタ10では、カートリッジホルダー51を介してカートリッジ90に接続される端部82Pと、供給ポンプ80に接続された端部82Qとを有し、洗浄液が流通する洗浄液流路82と、洗浄液流路82に配置され、洗浄液流路82を開放および閉鎖するバルブユニット84と、を備え、カートリッジ90がカートリッジホルダー51に右方から左方に装着されるとき、バルブユニット84は、カートリッジホルダー51よりも左方に位置する。上記態様によれば、カートリッジ90をカートリッジホルダー51に装着したり取り外したりするときに、カートリッジ90とバルブユニット84とが干渉しない。
【0053】
本実施形態のプリンタ10では、バルブユニット84は、収容ケース14にスナップフィットにより係合している。上記態様によれば、バルブユニット84を容易に収容ケース14に取り付けることができるため、組み付け性に優れている。また、バルブユニット84を容易に収容ケース14から取り外すことができるため、バルブユニット84のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
14 収容ケース
16 ガイドレール
25 キャリッジモータ
36 ワイパー
40 キャリッジ
45 インクヘッド
45A ノズル面
50 洗浄液供給ユニット
51 カートリッジホルダー
80 供給ポンプ
82 洗浄液流路
84 バルブユニット
88 供給チューブ
89 チューブ保持部材
90 カートリッジ
100 制御装置
110 フレキシブルケーブル