(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122181
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】キャリアプレートおよびウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20240902BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E05F11/48 B
E05F11/48 D
B60J1/17 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029580
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 信悟
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF03
3D127DF09
3D127DF15
3D127DF26
(57)【要約】
【課題】ケーブルの振動の抑制とケーブルの摺動のしやすさとをバランスよく実現するキャリアプレートおよびウインドレギュレータを提供する。
【解決手段】キャリアプレートは、ケーブルによって牽引されてガイドレール上を摺動し、窓ガラスを昇降させるキャリアプレートであって、ケーブルの端部を収容するケーブルエンド収容部と、ケーブルエンド収容部からキャリアプレートの外部に向けて延びるケーブルを収容する収容溝と、を備え、収容溝の対向する2つの側壁のうちの一方の側壁にのみケーブルと接触する凸部が形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルによって牽引されてガイドレール上を摺動し、窓ガラスを昇降させるキャリアプレートであって、
前記ケーブルの端部を収容するケーブルエンド収容部と、
前記ケーブルエンド収容部から前記キャリアプレートの外部に向けて延びる前記ケーブルを収容する収容溝と、を備え、
前記収容溝の対向する2つの側壁のうちの一方の側壁にのみ前記ケーブルと接触する凸部が形成されているキャリアプレート。
【請求項2】
前記一方の側壁は、前記ガイドレールが設けられる側とは反対側にある側壁である請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項3】
前記凸部は、前記一方の側壁の長手方向における2つの端部のうち、前記ケーブルエンド収容部の側とは反対側の端部に形成されている請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項4】
前記一方の側壁は、前記長手方向において、前記2つの側壁のうちの他方の側壁よりも突出している請求項3に記載のキャリアプレート。
【請求項5】
前記他方の側壁よりも突出している前記一方の側壁の部分は、前記キャリアプレートが他の部材と接触する際の衝撃を和らげる弾性体を保持する請求項4に記載のキャリアプレート。
【請求項6】
前記キャリアプレートの表面を該表面に垂直な方向からみた場合に、前記ケーブルエンド収容部の側にある前記凸部の第1の部分の曲率半径は、前記ケーブルエンド収容部の側とは反対側にある前記凸部の第2の部分の曲率半径よりも大きい請求項3に記載のキャリアプレート。
【請求項7】
前記キャリアプレートの表面を該表面に垂直な方向からみた場合に、前記凸部は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接続する直線部分を有する請求項6に記載のキャリアプレート。
【請求項8】
請求項1に記載のキャリアプレートを備えるウインドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアプレートおよびウインドレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の窓ガラスを保持するキャリアプレートをケーブルで牽引し、ガイドレール上を摺動させることにより窓ガラスを昇降させるウインドレギュレータが広く用いられている。ウインドレギュレータは、自動車のドアなどに設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、キャリアプレートにS字状に湾曲した溝を形成し、その溝にケーブルをはめ込んで保持することにより、ケーブルの振動を抑制し、ケーブルの振動によって生じる異音を低減するウインドレギュレータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のウインドレギュレータでは、ケーブルの端部を収容する収容部にバネを設け、バネの力でケーブルを引っ張ってケーブルが弛まないようにしているが、このような構成ではS字状の溝によりケーブルが両側から強く押さえつけられるため、ケーブルが溝内を摺動しにくくなり、ケーブルの弛みを防止することが難しくなる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、ケーブルの振動の抑制とケーブルの摺動のしやすさとをバランスよく実現するキャリアプレートおよびウインドレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明におけるキャリアプレートは、ケーブルによって牽引されてガイドレール上を摺動し、窓ガラスを昇降させるキャリアプレートであって、ケーブルの端部を収容するケーブルエンド収容部と、ケーブルエンド収容部からキャリアプレートの外部に向けて延びるケーブルを収容する収容溝と、を備え、収容溝の対向する2つの側壁のうちの一方の側壁にのみケーブルと接触する凸部が形成されている。
【0008】
本発明におけるウインドレギュレータは、上記のキャリアプレートを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキャリアプレートおよびウインドレギュレータは、ケーブルの振動の抑制とケーブルの摺動のしやすさとをバランスよく実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係るウインドレギュレータの正面図である。
【
図2】
図2は、ウインドレギュレータの側面図である。
【
図3】
図3は、ガイドレールに組み付けられたキャリアプレートの正面図である。
【
図4】
図4は、ガイドレールに組み付けられたキャリアプレートの背面図である。
【
図5】
図5は、下降側ケーブルを収容する下降側ケーブル収容溝の側壁に形成された凸部を示すキャリアプレートの斜視図である。
【
図6】
図6は、下降側ケーブルを収容する下降側ケーブル収容溝の側壁に形成された凸部を示すキャリアプレートの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係るウインドレギュレータ10について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るウインドレギュレータ10の正面図である。
図2はウインドレギュレータ10の側面図である。
【0012】
なお、本実施の形態で示す各図には、X軸、Y軸およびZ軸が示されている。X軸は、以下に説明するキャリアプレート12の厚さ方向を示しており、Y軸は、キャリアプレート12の幅方向を示しており、Z軸は、キャリアプレート12の昇降方向を示している。
【0013】
ウインドレギュレータ10は、車両のドアパネル(図示せず)に支持される。ウインドレギュレータ10は、移動対象物である窓ガラス(図示せず)を昇降移動させる機構である。
【0014】
図1および
図2に示すように、ウインドレギュレータ10は、主に、ガイドレール11と、キャリアプレート12と、上昇側ケーブル13と、下降側ケーブル14と、駆動部15とを備えている。
【0015】
ガイドレール11は、窓ガラスの昇降方向に沿って設けられ、キャリアプレート12を窓ガラスの昇降方向に案内する部材である。ガイドレール11は、概ね車両上下方向(Z方向)に延びており、取り付けられる窓ガラス(図示せず)に対してわずかに傾斜するように設けられている。
【0016】
また、
図2に示すように、ガイドレール11は、自動車の窓ガラスの湾曲に合わせて緩く湾曲している。ガイドレール11は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム合金、その他の硬質の材料で構成されている。
【0017】
図3は、ガイドレール11に組み付けられたキャリアプレート12を表側からみた正面図である。キャリアプレート12は、窓ガラスの下端部を保持するとともに、上昇側ケーブル13または下降側ケーブル14によって牽引されてガイドレール11上を摺動し、窓ガラスを昇降させる部材である。キャリアプレート12の構造は後に詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、ガイドレール11の上端部には、上昇側ケーブル13の移動方向を転換するための方向転換部材としてプーリー16が設けられている。
【0019】
ガイドレール11の下端には、上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14の巻き取り及び繰り出しを行うための駆動部15が設けられている。駆動部15は、ドラムハウジング17と、ドラム(図示せず)と、駆動モータ18とを有している。
【0020】
ドラムハウジング17は、ガイドレール11と嵌合する嵌合部と円筒状のドラム収容部とを有する。ドラム収容部には、ドラムを収容する円柱状の凹所が形成されている。さらに、ドラムハウジング17は、凹所から上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14を通して外部に導出するための上昇側ケーブル導出溝17a及び下降側ケーブル導出溝17bを有する。
【0021】
ドラムハウジング17は、ドラムを回転自在に支持する。駆動モータ18は、ドラムハウジング17に一体的に取り付けられ、ドラムを正逆両方向に回転駆動する。また、ドラムハウジング17は、ガイドレール11の下端部に取り付けられ、車両のドアパネル(図示せず)にガイドレール11を固定する。
【0022】
上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14は、キャリアプレート12を上下方向(Z方向)に牽引するものである。上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14には、複数の金属素線または樹脂繊維素線を寄り合わせた公知のものを用いることができる。
【0023】
上昇側ケーブル13は、一端がキャリアプレート12に連結され、プーリー16に掛け回されて、他端がドラムに連結されている。下降側ケーブル14は、一端がキャリアプレート12に連結され、他端がドラムに連結されている。
【0024】
駆動モータ18がドラムを回転させることにより、上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14の巻き取り及び繰り出しが行われる。
【0025】
図4は、ガイドレール11に組み付けられたキャリアプレート12を裏側からみた背面図である。上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14の一端には、上昇側ケーブルエンド13aおよび下降側ケーブルエンド14aがそれぞれ設けられている。
【0026】
上昇側ケーブルエンド13a及び下降側ケーブルエンド14aは、例えば、金属材料のダイカストにより形成されるものであり、それぞれ上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14の一端が取り付けられる基端部と、基端部よりも大きい外径である鍔部とを有している。
【0027】
基端部は、円柱形状又は円錐台形状に形成され、鋳込み、カシメ止め、接着、溶接、ボルト止め、その他の方法で上昇側ケーブル13又は下降側ケーブル14の一端に固定されている。
【0028】
上昇側ケーブルエンド13a及び下降側ケーブルエンド14aには、それぞれコイルスプリング13b及びコイルスプリング14bが装着されている。コイルスプリング13b及びコイルスプリング14bはそれぞれ、上昇側ケーブル13及び下降側ケーブル14の弛みを取る方向に上昇側ケーブルエンド13a、及び、下降側ケーブルエンド14aを付勢する付勢部材である。
【0029】
次に、本実施の形態におけるキャリアプレート12の構造について、
図3及び
図4に加え、
図5及び
図6をさらに用いて説明する。
【0030】
図5は、下降側ケーブル14を収容する下降側ケーブル収容溝26の側壁26bに形成された凸部27を示すキャリアプレート12の斜視図である。
図6は、下降側ケーブル14を収容する下降側ケーブル収容溝26の側壁26bに形成された凸部27を示すキャリアプレート12の背面図である。
【0031】
図3及び
図4に示すように、キャリアプレート12は、表(おもて)面12a、裏面12b、上側縁部12c、下側縁部12dと、左側縁部12eと、右側縁部12fとを有している。
【0032】
表面12aは、X軸の負側にある面であり、裏面12bは、X軸の正側にある面である。上側縁部12cは、キャリアプレート12が有する外周縁のうち、Z軸の正側に位置し、Y軸の負側の端からY軸の正側の端まで延在する縁である。下側縁部12dは、キャリアプレート12が有する外周縁のうち、Z軸の負側に位置し、Y軸の負側の端からY軸の正側の端まで延在する縁である。
【0033】
左側縁部12eは、キャリアプレート12が有する外周縁のうち、Y軸の正側に位置し、Z軸の負側の端からZ軸の正側の端まで斜め方向に延在する縁である。右側縁部12fは、キャリアプレート12が有する外周縁のうち、Y軸の負側に位置し、Z軸の負側の端からZ軸の正側の端まで斜め方向に延在する縁である。
【0034】
表面12aには、取付部19、20が設けられている。取付部19、20にはボルトが貫通する穴21、22が形成されており、窓ガラス(図示せず)を保持するためのホルダ(図示せず)が取付部19、20にボルトによって締結される。
【0035】
裏面12bには、上昇側ケーブルエンド収容部23、下降側ケーブルエンド収容部24、上昇側ケーブル収容溝25、及び下降側ケーブル収容溝26が設けられている。
【0036】
上昇側ケーブルエンド収容部23は、上昇側ケーブル13の端部を収容する。具体的には、上昇側ケーブルエンド収容部23は、上昇側ケーブル13の一端に接続された上昇側ケーブルエンド13a、及び、上昇側ケーブルエンド13aに装着されたコイルスプリング13bを収容する。
【0037】
下降側ケーブルエンド収容部24は、下降側ケーブル14の端部を収容する。具体的には、下降側ケーブルエンド収容部24は、下降側ケーブル14の一端に接続された下降側ケーブルエンド14a、及び、下降側ケーブルエンド14aに装着されたコイルスプリング14bを収容する。
【0038】
上昇側ケーブル収容溝25は、上昇側ケーブルエンド収容部23からキャリアプレート12の外部に向けて延びる上昇側ケーブル13を収容する。上昇側ケーブル収容溝25は、対向する2つの側壁25a、25bを有する。
【0039】
側壁25aは、ガイドレール11が設けられる側にある側壁であり、側壁25bは、ガイドレール11が設けられる側とは反対側にある側壁である。側壁25bは、長手方向において、側壁25aよりもキャリアプレート12の外部に向けて突出している。
【0040】
下降側ケーブル収容溝26は、下降側ケーブルエンド収容部24からキャリアプレート12の外部に向けて延びる下降側ケーブル14を収容する。下降側ケーブル収容溝26は、対向する2つの側壁26a、26bを有する。
【0041】
側壁26aは、ガイドレール11が設けられる側にある側壁であり、側壁26bは、ガイドレール11が設けられる側とは反対側にある側壁である。側壁26bは、長手方向において、側壁26aよりもキャリアプレート12の外部に向けて突出している。
【0042】
本実施の形態では、下降側ケーブル14が下降側ケーブル収容溝26に収容された場合に下降側ケーブル14と接触する凸部27が、側壁26a及び側壁26bのうち、側壁26bにのみ形成されている。
【0043】
凸部27が下降側ケーブル14と接触していることにより、自動車のドアが閉じられた場合などに、下降側ケーブル14の振動を抑制し、異音を低減させることができる。
【0044】
また、凸部27が、側壁26a及び側壁26bのうち側壁26bにのみ設けられることにより、側壁26a及び側壁26bの両方に凸部を設ける場合と比較して、下降側ケーブル14の振動の抑制と下降側ケーブル14の摺動のしやすさとをバランスよく実現することができる。
【0045】
さらに、
図1に示したウインドレギュレータ10は、上昇側ケーブル13を牽引してキャリアプレート12にガイドレール11上を上昇させる。キャリアプレート12は、上端位置で上端拘束されると、ガイドレール11よりもY軸の正側にあるキャリアプレート12の部分が上昇側ケーブル13によりZ軸の正側に引っ張られ、キャリアプレート12がX軸の負側からみて時計回りにわずかに回転する。
【0046】
この場合、下降側ケーブル14は、ガイドレール11が設けられる側の側壁26aの方に移動する。
【0047】
そのため、ガイドレール11が設けられる側とは反対側にある側壁26bに凸部27を設けた場合、下降側ケーブル14が側壁26aの方に移動したとしても、下降側ケーブル14が凸部27に強く押し付けられることがない。その結果、下降側ケーブル14が曲げ疲労により損傷することを防止することができる。
【0048】
また、凸部27は、側壁26bの長手方向における2つの端部のうち、下降側ケーブルエンド収容部24の側とは反対側の端部に形成されている。これにより、下降側ケーブル14が下降側ケーブルエンド収容部24からできるだけ離れた箇所で凸部27と接触するため、下降側ケーブル14の振動がより抑制され、異音の低減効果が増大する。
【0049】
さらに、下側縁部12dには、キャリアプレート12がドラムハウジング17と接触する際の衝撃を和らげるゴムなどの弾性体28が設けられている。凸部27が設けられている側壁26bの部分は、弾性体28を両側から挟んで保持する2つの保持部29a、29bのうちの、ガイドレール11が設けられる側にある一方の保持部29aを構成している。
【0050】
このように、保持部29aとして機能する側壁26bに凸部27を設けることにより、キャリアプレート12に新たな構成要素を追加する必要がないため、キャリアプレート12の形状を単純化することができ、また、キャリアプレート12を小型化することができる。
【0051】
つぎに、凸部27の形状についてさらに詳しく説明する。
図5及び
図6には、凸部27付近のキャリアプレート12の構成が示されている。
【0052】
図6に示すように、下降側ケーブルエンド収容部24とは反対側にある側壁26aの端部は、曲率半径R2の弧形状に形成されている。
【0053】
これにより、側壁26bに凸部27が設けられていても、下降側ケーブル収容溝26に下降側ケーブル14を容易に収容することができる。
【0054】
また、前述のように、上昇側ケーブル13を牽引してキャリアプレート12にガイドレール11上を上昇させた結果、下降側ケーブル14が側壁26aの方に移動したとしても、下降側ケーブル14は側壁26aの弧形状の端部に接触するので、角状の部分に押し付けられるようなことがない。そのため、下降側ケーブル14が曲げ疲労により損傷することを防止することができる。
【0055】
また、下降側ケーブルエンド収容部24とは反対側にある側壁26bの端部に設けられた凸部27は、下降側ケーブルエンド収容部24の側にある第1の部分27a、下降側ケーブルエンド収容部24の側とは反対側にある第2の部分27b、及び、第1の部分27aと第2の部分27bとの間で第1の部分27aと第2の部分27bとを接続する第3の部分27cを有する。
【0056】
キャリアプレート12の裏面12bを裏面12bに垂直な方向からみた場合に、第1の部分27a及び第2の部分27bは弧形状に形成されており、第1の部分27aの曲率半径R3は、第2の部分27bの曲率半径R1よりも大きくなっている。
【0057】
第3の部分27cは、キャリアプレート12の裏面12bを裏面12bに垂直な方向からみた場合に、下降側ケーブル収容溝26の長手方向に平行な直線部分を有するように形成されている。
【0058】
第1の部分27aは、下降側ケーブル収容溝26に収容された下降側ケーブル14を第3の部分27cに導く部分である。第2の部分27bは、下降側ケーブル14をキャリアプレート12の外部に導く部分である。また、第3の部分27cは、下降側ケーブル14を下降側ケーブル収容溝26の長手方向に導く部分である。
【0059】
第1の部分27aの曲率半径R3を第2の部分27bの曲率半径R1よりも大きくすることにより、第1の部分27aにおいて下降側ケーブル14に大きな曲げ応力が生じないようにするとともに、第2の部分27bにおいて下降側ケーブル14が角状の部分に接触し、下降側ケーブル14の強度が劣化することを防止することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、ガイドレール11が設けられる側とは反対側にある側壁26bにのみ凸部27を設ける場合について説明したが、ガイドレール11が設けられる側にある側壁26aにのみ凸部を設け、下降側ケーブル14に凸部が接触するようにしてもよい。
【0061】
また、凸部27は、側壁26bの長手方向における2つの端部のうち、下降側ケーブルエンド収容部24の側とは反対側の端部に形成されることとしたが、当該端部よりもより下降側ケーブルエンド収容部24の側に凸部27が設けられることとしてもよい。
【0062】
これらの場合でも、下降側ケーブル14の振動を抑制し、異音を低減させることができる。
【0063】
また、上記実施の形態では、上記長手方向において、側壁26bは側壁26aよりも突出し、その突出した部分は、キャリアプレート12がドラムハウジング17と接触する際の衝撃を和らげる弾性体28を保持する保持部29aを構成していたが、弾性体28を有さないキャリアプレートに凸部が設けられる場合は、側壁26bが側壁26aよりも必ずしも突出していなくてもよい。
【0064】
さらに、凸部27の形状は、曲率半径R3を有する第1の部分27a、曲率半径R1を有する第2の部分27b、第1の部分27aと第2の部分27bとを接続する第3の部分27cにより形成されるものに限られず、下降側ケーブル14に接触する限り、どのような形状であってもよい。
【0065】
さらに、上記実施の形態では、下降側ケーブル収容溝26の対向する2つの側壁26a、26bのうち、側壁26bにのみ凸部が形成されることとしたが、上昇側ケーブル収容溝25の対向する2つの側壁25a、25bのうち、一方の側壁にのみ凸部が形成されることとしてもよい。
【0066】
この場合、上昇側ケーブル13の振動の抑制と上昇側ケーブル13の摺動のしやすさとをバランスよく実現することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、自動車の窓ガラスを昇降駆動するためのウインドレギュレータに適用できる。
【符号の説明】
【0069】
10 ウインドレギュレータ
11 ガイドレール
12 キャリアプレート
12a 表(おもて)面
12b 裏面
12c 上側縁部
12d 下側縁部
12e 左側縁部
12f 右側縁部
13 上昇側ケーブル
13a 上昇側ケーブルエンド
13b コイルスプリング
14 下降側ケーブル
14a 下降側ケーブルエンド
14b コイルスプリング
15 駆動部
16 プーリー
17 ドラムハウジング
18 駆動モータ
19、20 取付部
21、22 穴
23 上昇側ケーブルエンド収容部
24 下降側ケーブルエンド収容部
25 上昇側ケーブル収容溝
25a、25b 側壁
26 下降側ケーブル収容溝
26a、26b 側壁
27 凸部
27a 凸部の第1の部分
27b 凸部の第2の部分
27c 凸部の第3の部分
28 弾性体
29a、29b 保持部