(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122184
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】アクセル装置
(51)【国際特許分類】
G05G 5/03 20080401AFI20240902BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240902BHJP
B60K 26/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G05G5/03 Z
G05G1/30 E
B60K26/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029587
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 卓人
【テーマコード(参考)】
3D037
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EB02
3D037EB03
3D037EB04
3D037EB05
3D037EB10
3D037EC01
3J070AA32
3J070BA17
3J070BA32
3J070BA34
3J070BA51
3J070CA51
3J070CB40
3J070CC04
3J070CC71
3J070DA02
(57)【要約】
【課題】ペダルレバーに反力を適切に付与可能なアクセル装置を提供する。
【解決手段】アクセル装置1は、踏込操作に応じて動作するペダルレバー20と、通電により駆動力を発生させるモータ31と、動力伝達機構40と、を備える。動力伝達機構40は、アクチュエータレバー45を有し、モータ31への通電によりアクチュエータレバー45を介してペダルレバー20に踏込方向と反対方向の力である反力を付与する。アクチュエータレバー45は、モータ31の駆動力にて回動可能であって、ペダルレバー20とレバー当接点PAにて当接する。アクチュエータレバー45の回動軸心451は、ペダル開度θpが第1踏込角度であるときのレバー当接点PAと支点部材22とを結ぶ直線である第1直線L1と、ペダル開度θpが第2踏込角度であるときのレバー当接点PAと支点部材22とを結ぶ直線である第2直線L2との間に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏込操作に応じて動作するペダルレバー(20)と、
通電により駆動力を発生させる駆動源(31)と、
前記駆動源の駆動力にて回動可能であって前記ペダルレバーとレバー当接点にて当接するアクチュエータレバー(45)を有し、前記駆動源への通電により前記アクチュエータレバーを介して前記ペダルレバーに踏込方向と反対方向の力である反力を付与する動力伝達機構(40)と、
を備え、
前記ペダルレバーの全閉から全開の範囲内において、前記ペダルレバーの第1踏込角度と第2踏込角度との間を反力付与領域とし、前記アクチュエータレバーと当接する部材(21)の回動中心をペダル回動支点(22)とすると、
前記アクチュエータレバーの回動軸心(451)は、踏込角度が前記第1踏込角度であるときの前記レバー当接点と前記ペダル回動支点とを結ぶ直線である第1直線と、踏込角度が前記第2踏込角度であるときの前記レバー当接点と前記ペダル回動支点とを結ぶ直線である第2直線との間に位置しているアクセル装置。
【請求項2】
前記回動軸心は、前記第1直線と前記第2直線とのなす角度を二等分する二等分線上に位置している請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
踏込操作に応じて動作するペダルレバー(70)と、
通電により駆動力を発生させる駆動源(81)と、
前記駆動源の駆動力にて直動可能であって前記ペダルレバーとレバー当接点にて当接するアクチュエータレバー(85)を有し、前記駆動源への通電により前記アクチュエータレバーを介して前記ペダルレバーに踏込方向と反対方向の力である反力を付与する動力伝達機構(83)と、
を備え、
前記ペダルレバーの全閉から全開の範囲内において、前記ペダルレバーの第1踏込角度と第2踏込角度との間を反力付与領域とし、前記アクチュエータレバーと当接する部材(71)の回動中心をペダル回動支点(721)とすると、
前記アクチュエータレバーの直動軸線(851)は、踏込角度が前記第1踏込角度であるときの前記レバー当接点と前記ペダル回動支点とを結ぶ直線に直交し前記レバー当接点を通る直線である第1直線と、踏込角度が前記第2踏込角度であるときの前記レバー当接点と前記ペダル回動支点とを結ぶ直線に直交し前記レバー当接点を通る直線である第2直線との間に位置しているアクセル装置。
【請求項4】
前記直動軸線は、前記第1直線と前記第2直線とのなす角度を二等分する二等分線上に位置している請求項3に記載のアクセル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反力付加機構を備えた車両用アクセルペダル装置が知られている。例えば特許文献1では、反力付加機構は、反力を発生する駆動源と、駆動源が発生した反力をペダル側アームに伝達する伝達部材と、駆動源を支持するブラケットとを含み、制御部からの制御信号に従って、パッドに加わる踏み込み操作力に対する反力をペダル側アームに付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ペダル踏込角度によって、動力伝達部材との当接状態が変わると、アクチュエータにて同じトルクを与えても、ドライバに伝わる反力の大きさが変わる。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペダルレバーに反力を適切に付与可能なアクセル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のアクセル装置は、ペダルレバー(20)と、駆動源(31)と、動力伝達機構(40)と、を備える。ペダルレバーは、踏込操作に応じて動作する。駆動源は、通電により駆動力を発生させる。動力伝達機構は、駆動源の駆動力にて回動可能であってペダルレバーとレバー当接点にて当接するアクチュエータレバー(45)を有し、駆動源への通電によりアクチュエータレバーを介してペダルレバーに踏込方向と反対方向の力である反力を付与する。
【0007】
ペダルレバーの全閉から全開の範囲内において、ペダルレバーの第1踏込角度と第2踏込角度との間を反力付与領域とする。また、アクチュエータレバーと当接する部材(21)の回動中心をペダル回動支点(22)とする。アクチュエータレバーの回動軸心(451)は、踏込角度が第1踏込角度であるときのレバー当接点とペダル回動支点とを結ぶ直線である第1直線と、踏込角度が第2踏込角度であるときのレバー当接点とペダル回動支点とを結ぶ直線である第2直線との間に位置している。これにより、ペダルレバーに付与される反力のばらつきを低減可能である。
【0008】
本発明の第2態様のアクセル装置は、ペダルレバー(70)と、駆動源(81)と、動力伝達機構(83)と、を備える。ペダルレバーは、踏込操作に応じて動作する。駆動源は、通電により駆動力を発生させる。動力伝達機構は、駆動源の駆動力にて直動可能であってペダルレバーとレバー当接点にて当接するアクチュエータレバー(85)を有し、駆動源への通電によりアクチュエータレバーを介してペダルレバーに踏込方向と反対方向の力である反力を付与する。
【0009】
ペダルレバーの全閉から全開の範囲内において、ペダルレバーの第1踏込角度と第2踏込角度との間を反力付与領域とする。アクチュエータレバーと当接する部材(71)の回動中心をペダル回動支点(721)とする。アクチュエータレバーの直動軸線(851)は、踏込角度が第1踏込角度であるときのレバー当接点とペダル回動支点とを結ぶ直線に直交しレバー当接点を通る直線である第1直線と、踏込角度が第2踏込角度であるときのレバー当接点とペダル回動支点とを結ぶ直線に直交しレバー当接点を通る直線である第2直線との間に位置している。これにより、ペダルレバーに付与される反力のばらつきを低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態によるアクセル装置を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態によるアクセル装置における反力付与領域を説明する模式図である。
【
図3】第1実施形態によるペダル開度とcos値との関係を説明する説明図である。
【
図4】第1実施形態によるアクチュエータレバーの回転軸が反力付与領域の二等分線上にある場合を示す模式図である。
【
図5】第2実施形態によるアクセル装置を示す模式図である。
【
図6】第2実施形態によるアクチュエータを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるアクセル装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態を
図1~
図3に示す。
図1に示すように、アクセル装置1は、ペダルレバー20、および、アクチュエータ30等を備える。ペダルレバー20は、パッド21、アーム23、および、ペダル25等を有し、ドライバの踏込操作等により一体に駆動される。
【0013】
パッド21は、ドライバにより踏込操作可能に設けられる。パッド21は、ハウジングHに設けられる支点部材22により回転可能に支持され、全閉線Lcと全開線Lf(
図2参照)の範囲で操作される。
図1では、パッド21がハウジングHの一面に沿う方向に延びて設けられる、いわゆる床置き型(オルガン型)を示しているが、吊り下げ型(ペンダント型)であってもよい。本実施形態では、ペダルハウジングやモータハウジング等、モータ31の駆動およびペダルレバー20の踏込操作等により駆動されない筐体部分を、まとめて「ハウジングH」とする。
【0014】
アーム23は、パッド21とペダル25とを連結する。ペダル25は、一端が支点部材26によりハウジングHに回転可能に支持され、他端がアーム23と連結される。これにより、ドライバによるパッド21の操作により、パッド21、アーム23およびペダル25が一体となって駆動される。ペダル25の一端側には、ペダル開度θpを検出するペダル開度センサ29が設けられている。ペダル付勢部材27は、圧縮コイルばねであって、一端がペダル25に固定され、他端がハウジングHに固定され、ペダル25をアクセル閉方向に付勢する。
【0015】
アクチュエータ30は、駆動源であるモータ31、および、動力伝達機構40を有する。モータ31は、例えばブラシ付きのDCモータである。モータ31の駆動力は、動力伝達機構40を介してペダルレバー20に伝達される。すなわち、モータ31を駆動することで、動力伝達機構40を介してペダルレバー20に踏込方向と反対方向の力である反力を付与することができる。ここで、アクチュエータ30は、モータ31から動力伝達機構40を介してペダルレバー20に動力を伝達する一連の構成と捉えることができる。
【0016】
動力伝達機構40は、ギアセット41、アクチュエータレバー45、および、アクチュエータレバー付勢部材47等を有する。ギアセット41は、モータシャフトと一体に回転するモータギア、および、モータギアと噛み合う複数のギアから構成され、モータ31の駆動力をアクチュエータレバー45に伝達する。ギアセット41を構成するいずれかのギアには、回転位置を検出するアクチュエータセンサ49が設けられる。
【0017】
アクチュエータレバー45は、一端がギアセット41と接続され、他端がペダルレバー20と当接する。アクチュエータレバー45とペダルレバー20との当接点をレバー当接点PAとする。これにより、動力伝達機構40を介してモータ31の駆動力がペダルレバー20に伝達される。
図1では、アクチュエータレバー45の他端がパッド21と当接しているが、アーム23またはペダル25と当接するように構成してもよい。アクチュエータレバー45のパッド21との当接面は、例えば球面状に形成されている。
【0018】
アクチュエータレバー付勢部材47は、圧縮コイルばねであって、アクチュエータレバー45を反力付与方向に付勢する。アクチュエータレバー付勢部材47は、アクチュエータレバー45がペダルレバー20に常時当接するように、ばね力が設定されている。
図1等では、モータ31および動力伝達機構40の作動を一点鎖線の矢印で示した。
【0019】
アクチュエータコントローラ50は、駆動回路51および制御部60等を有する。駆動回路51は、例えばHブリッジ回路により構成され、モータ31への通電を切り替える。制御部60は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部60における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
【0020】
制御部60は、アクチュエータセンサ49の検出値に基づくアクチュエータ角度θa、または、ペダル開度センサ29の検出値に基づくペダル開度θpに基づいて目標トルクを演算し、目標トルクに応じたデューティにて駆動回路51を制御する。アクチュエータ角度θaとペダル開度θpとは、ギア比およびレバー長比等で換算可能であるため、演算にはどちらの値を用いてもよい。
図1では、ペダル開度θpをペダル開度センサ29から直接的に取得するように記載しているが、CAN通信等により、上位ECUから取得してもよい。
【0021】
ここで、ドライバの足が当接する代表点を反力オフ点Poffとすると、ペダルレバー20が全閉状態のとき、反力オフ点Poffに印加される反力Foffは、式(1)で表される。式中のTactはアクチュエータ駆動力であるモータトルク、Rlevはアクチュエータレバー45の回転中心とレバー当接点PAとの距離であるレバー当接距離、Rcはパッド21の回転中心とレバー当接点PAとの距離であるペダル当接距離、Roffはパッド21の回転中心と反力オフ点Poffとの距離である。また、当接角度α1は、アクチュエータレバー45からの反力印加方向と、パッド21への反力出力方向とのなす角度である相対角度とする。具体的には、当接角度α1は、アクチュエータレバー45の回転中心とレバー当接点PAとを結んだ直線の法線Naと、パッド21の回転中心とレバー当接点PAとを結んだ法線Npとのなす角度である。なお、簡単化のため、式(1)は幾何学的に計算したものであり、当接点の傾き等については考慮していない。以下の式についても同様である。
【0022】
Foff=Tact/Rlev×cosα1×Rc/Roff ・・・(1)
【0023】
図2に示すように、ペダルレバー20が踏み込まれると、レバー当接点PAの位置がずれるので、ペダル当接距離Rcが全閉状態とは異なる。また、微視的には、ペダルレバー20の踏込によりアクチュエータレバー45側も当接点がずれるので、レバー当接距離Rlevも全閉状態とは異なる。そのため、一定のモータトルクTactを出力した場合、ペダル開度θpにより、反力オフ点Poffに印加される反力Foffが変わる。
【0024】
ペダル開度θpがある開度θxのときのペダル当接距離をRc_x、レバー当接距離をRlev_x、相対角度をα_xとすると、反力オフ点Poffに印加される反力Foffは、式(2)で表される。
【0025】
Foff=Tact/Rlev_x×cosα_x×Rc_x/Roff
・・・(2)
【0026】
アクチュエータレバー45の回動軸心451の位置に応じた当接角度α1のcos値を
図3に示す。なお、cos値はレバー当接距離Rlevによって変わるため、ここで示したものは一例である。
図3では、横軸にペダル開度θp、縦軸を当接角度α1のcos値とする。ペダル開度θpは、全閉時をθp=0、全開時をθp=θfとする。
【0027】
例えば「Lc」は、回動軸心451を全閉線Lc上に配置した場合におけるペダル開度に応じたcosα値を示しているといった具合であって、各線は、回動軸心451を、全開線Lf上、(3/4)θf線上、(1/2)θf線上、(1/4)θf線上、全閉線Lc上、-(1/4)θf線上に配置したときの当接角度α1のcos値を示している。なお、-(1/4)θf線上とは、回動軸心451がペダルレバー20の駆動範囲の全閉側の外側に配置されている。
【0028】
図3に示すように、当接角度α1のcos値は、回動軸心451の位置により、変動する。特に、例えば-(1/4)θf線上に回動軸心451を配置した場合のように、ペダルレバー20の踏み込みにより、レバー当接点PAが回動軸心451から離れると、cos値のズレが大きくなる。
【0029】
そこで本実施形態では、アクセル装置1の搭載環境に応じた反力付与領域Dcにおいて、当接角度α1のずれによるcos値のばらつきが抑えられるように、アクチュエータレバー45の回動軸心451を配置する。
【0030】
図2に示すように、反力付与領域Dcは、全閉線Lcから全開線Lfの間において、反力付与を行う領域として任意に設定可能である。反力付与領域Dcの全閉側において、支点部材22とレバー当接点PAを結ぶ直線を第1直線L1、全開側において、支点部材22とレバー当接点PAとを結ぶ直線を第2直線L2とすると、本実施形態では、アクチュエータレバー45の回動軸心451を第1直線L1と第2直線L2の間に配置する。
【0031】
例えば、エコポイント通知および誤踏み込み通知として反力付与を行うものとし、半開付近~全開の領域を反力付与領域Dcとする。この場合、第1直線L1を(1/2)θf線、第2直線L2を全開線Lfとし、回動軸心451を(1/2)θf線と全開線Lfとの間に配置する。例えば、第1直線L1と第2直線L2とのなす角を二等分する二等分線上に回動軸心451を配置することで、反力付与領域Dcの全域におけるcosα値が最小となる。
【0032】
また例えば、誤踏み込みを防ぐべく、全開付近で最大出力とする、といった具合に、最大反力を付与したいペダル開度θpに応じた最大効率位置に回動軸心451を配置するようにしてもよい。この場合、最大出力を付与したいペダル開度θpにおける支点部材22とレバー当接点PAとを結ぶ直線上に回動軸心451を配置する。
【0033】
回動軸心451を(1/2)θf線上に配置すると、ペダルレバー20の全閉から全開の全領域でのcos値のばらつきが最小となる。そこで、
図4に示すように、全閉線Lcと全開線Lfのなす角を二等分する二等分線Lh(=(1/2)θf線)上に回動軸心451を配置してもよい。これにより、全閉から全開の全領域での反力のばらつきを最小化することができる。
【0034】
ペダルレバー20の全閉から全開の全領域を反力付与領域Dcと捉えれば、全閉線Lcが第1直線L1、全開線Lfが第2直線L2であり、二等分線Lh上に回動軸心451を配置することは、反力付与領域Dcの全領域におけるcos値のばらつきが最小となる位置に回動軸心451を配置している、といえる。なお、「二等分線上」とは、ギアのバックラッシュ等の設計的な誤差程度のずれは許容されるものとする。「直線上」、「直交」等についても同様である。
【0035】
以上説明したように、アクセル装置1は、ペダルレバー20と、モータ31と、動力伝達機構40と、を備える。ペダルレバー20は、踏込操作に応じて動作する。モータ31は、通電により駆動力を発生させる。動力伝達機構40は、アクチュエータレバー45を有し、モータ31への通電によりアクチュエータレバー45を介してペダルレバー20に踏込方向と反対方向の力である反力を付与する。アクチュエータレバー45は、モータ31の駆動力にて回動可能であって、ペダルレバー20とレバー当接点PAにて当接する。
【0036】
ここで、ペダルレバー20の全閉から全開の範囲内において、ペダルレバー20の第1踏込角度と第2踏込角度との間を反力付与領域Dcとする。第1踏込角度および第2踏込角度は、全閉から全開の間で任意に設定可能であり、例えば、半開から全開を反力付与領域Dcとする場合、第1踏込角度は(1/2)θfであり、第2踏込角度はθfである。また、ペダルレバー20全閉から全開の全領域を反力付与領域Dcとした場合、第1踏込角度は0、第2踏込角度はθfである。
【0037】
また、アクチュエータレバー45と当接する部材の回動中心をペダル回動支点とする。本実施形態では、アクチュエータレバー45と当接する部材はパッド21であり、ペダル回動支点は支点部材22である。
【0038】
アクチュエータレバー45の回動軸心451は、ペダル開度θpが第1踏込角度であるときのレバー当接点PAと支点部材22とを結ぶ直線である第1直線L1と、ペダル開度θpが第2踏込角度であるときのレバー当接点PAと支点部材22とを結ぶ直線である第2直線L2との間に位置している。これにより、反力付与領域Dcにおいて、cos値のばらつきが低減されるので、ペダル開度θpによるペダルレバー20に付与される反力のばらつきを低減可能である。
【0039】
アクチュエータレバー45の回動軸心451は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度を二等分する二等分線L3上に位置している。これにより、反力付与領域Dcにおけるcos値のばらつきが最小となるので、反力付与領域Dcの全体におけるペダル開度θpによる反力のばらつきを最小化することができる。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態を
図5および
図6に示す。なお、
図5では、アクチュエータコントローラ50等の記載を省略した。
図5に示すように、アクセル装置2は、ペダルレバー70、および、アクチュエータ80等を備える。ペダルレバー70は、パッド21、アーム23、および、ペダル71等を有し、ドライバの踏み込み操作等により一体に駆動される。
【0041】
ペダル71は、軸部72、アーム接続部73、および、アクチュエータ当接部74を有する。軸部72は、軸心721にてハウジングHに回転可能に支持されている。アーム接続部73は、軸部72から径方向外側に突出して設けられ、アーム23のパッド21と反対側の端部と連結される。これにより、ドライバによるパッド21の操作により、パッド21、アーム23およびペダル71が一体となって駆動される。アクチュエータ当接部74は、軸部72のアーム接続部73とは異なる位置から径方向外側に突出して設けられ、アクチュエータレバー85と当接する。
【0042】
ペダル付勢部材77は、圧縮コイルばねであって、一端がアーム接続部73に固定され、他端がハウジングHに固定され、ペダル71をアクセル閉方向に付勢する。
【0043】
図5および
図6に示すように、アクチュエータ80は、駆動源としてのコイル81、および、動力伝達機構83等を有する。動力伝達機構83は、駆動部84およびアクチュエータレバー85等を有する。駆動部84は、コイル81の通電により直動する。
【0044】
アクチュエータレバー85は、一端が駆動部84と接続され、他端がペダルレバー70と当接する。詳細には、アクチュエータレバー85の他端は、ペダル71のアクチュエータ当接部74と当接する。以下、アクチュエータレバー85とアクチュエータ当接部74との当接点をレバー当接点PBとする。アクチュエータレバー85は、コイル81への通電により駆動部84により直動軸線851上を直動する。
【0045】
本実施形態では、
図5中に矢印Y1で示すように、コイル81への通電により駆動部84が直動することで、アクチュエータレバー85は、ペダルレバー20の踏み込み方向とは反対方向にペダル71を押す。これにより、ペダルレバー20に反力を付与可能である。
【0046】
本実施形態において、反力オフ点Poffに印加される反力Foffは、式(3)で表される。式中のFactはアクチュエータレバー85から出力される駆動力、α2はアクチュエータレバー85とペダル71との当接角度である。具体的には、当接角度α2は、ペダル71の回転中心である軸心721とレバー当接点PBと結んだ直線のレバー当接点PBを通る法線と、アクチュエータレバー85の直動軸線851とのなす角度である。以下、軸心721とレバー当接点PBとを結んだ直線のレバー当接点PBを通る法線を「レバー当接法線」とする。
【0047】
また、角度βは、アーム接続部73の軸線の法線とアーム23とのなす角度であり、角度γは、アーム23をパッド21側まで延長した仮想線とパッド21の法線とのなす角度である。なお、アーム23をパッド21側まで延長した仮想線は、パッド21への反力付与方向と捉えることもできる。さらにまた、式中のRaは、ペダル71の軸心721とレバー当接点PBとの距離、Rbは、アーム接続部73とアーム23との接続点と軸心721との距離である。
【0048】
Foff=Fact×cosα2×cosβ×cosγ
×(Ra/Rb)×(Rc/Roff) ・・・(3)
【0049】
式(3)に示すように、一定の駆動力Factを出力した場合、反力オフ点Poffに印加される反力Foffは、当接角度α2のcos値によって変わる。当接角度α2は、ペダル開度θpに応じて変わる値であるので、反力オフ点Poffに印加される反力Foffは、ペダル開度θpに応じて変わる、とも言える。
【0050】
ペダルレバー70が全閉時のレバー当接法線を全閉線、ペダルレバー70が全開時のレバー当接法線を全閉線に読み替えるとともに、各凡例をペダル開度θpに応じたレバー当接法線に読み替えると、ペダル開度θpと当接角度α2のcos値との関係は、
図3と同様である。例えば、アクチュエータレバー85の直動軸線851を、全閉時のレバー当接法線と全閉時のレバー当接法線とのなす角の二等分線上に配置した場合、当接角度α2のcos値は、(1/2)θfで示す実線のようになる、といった具合である。
【0051】
本実施形態では、アクセル装置2の搭載環境に応じた反力付与領域Dcにおいて、当接角度α2のずれによるcos値のばらつきが抑えられるように、アクチュエータレバー85の直動軸線851を配置する。
図5では、反力付与領域Dcの全閉側端部に対応するレバー当接法線をL11、全開側端部に対応するレバー当接法線をL12とし、アクチュエータレバー85の直動軸線851が、レバー当接法線L11、L12の間となるようにアクチュエータレバー85を配置する。
【0052】
また、アクチュエータレバー85を、レバー当接法線L11、L12のなす角の二等分線L13上に配置すると、反力付与領域Dcの全領域でのcos値のばらつきが最小となる。そこで、アクチュエータレバー85の軸線を二等分線L13上に配置してもよい。これにより、反力付与領域Dcの全領域での反力のばらつきを最小化することができる。また、直動軸線851が、最大出力を付与したいペダル開度θpにおけるレバー当接法線上となるように、アクチュエータレバー85を配置してもよい。
【0053】
さらにまた、ペダルレバー20の全閉から全開の全領域を反力付与領域Dcと捉え、直動軸線851が、全閉時のレバー当接法線と全開時のレバー当接法線とのなす角の二等分線上となるようにアクチュエータレバー85を配置してもよい。これにより、ペダルレバー20の全閉から全開の全領域での反力のばらつきを最小化することができる。
【0054】
本実施形態のアクセル装置2は、ペダルレバー70と、コイル81と、動力伝達機構83と、を備える。ペダルレバー70は、踏込操作に応じて動作する。コイル81は、通電により駆動力を発生させる。動力伝達機構83は、アクチュエータレバー85を有し、コイル81への通電によりアクチュエータレバー85を介してペダルレバー70に踏込方向と反対方向の力である反力を付与する。アクチュエータレバー85は、コイル81の通電により生じる駆動力にて直動可能であって、ペダルレバー70とレバー当接点PBにて当接する。本実施形態では、アクチュエータレバー85と当接する部材はペダル71であって、ペダル回動支点は軸部72の軸心721である。
【0055】
アクチュエータレバー85の直動軸線851は、ペダル開度θpが第1踏込角度であるときのレバー当接点PBと軸心721とを結ぶ直線に直交しレバー当接点PBを通る直線であるレバー当接法線L11と、ペダル開度θpが第2踏込角度であるときのレバー当接点PBと軸心721とを結ぶ直線に直交しレバー当接点PBを通る直線であるレバー当接法線L12との間に位置している。これにより、反力付与領域Dcにおいて、cos値のばらつきが低減されるので、ペダル開度θpによるペダルレバー70に付与される反力のばらつきを低減可能である。
【0056】
アクチュエータレバー85の直動軸線851は、レバー当接法線L11とレバー当接法線L12とのなす角度を二等分する二等分線L13上に位置している。これにより、反力付与領域Dcにおけるcos値のばらつきが最小となるので、反力付与領域Dcの全体におけるペダル開度θpによる反力のばらつきを最小化することができる。
【0057】
実施形態では、モータ31またはコイル81が「駆動源」、ペダル開度θpが「踏込角度」に対応する。第2実施形態では、レバー当接法線L11が「第1直線」、レバー当接法線L12が「第2直線」に対応する。
【0058】
(他の実施形態)
第1実施形態では、駆動源はブラシ付きDCモータである。他の実施形態では、駆動源としてブラシ付きDCモータ以外のモータやモータ以外のものを用いてもよい。また、第2実施形態のようにアクチュエータレバーを直動させる場合、ソレノイドを用いてもよい。また、動力伝達機構の構成や部品配置等は上記実施形態と異なっていてもよい。
【0059】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、2・・・アクセル装置
20、70・・・ペダルレバー
22、721・・・回動支点
31、81・・・駆動源
40、83・・・動力伝達機構
45、85・・・アクチュエータレバー
451・・・回動軸心
851・・・直動軸線