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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122187
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】水素生成装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
C01B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029600
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 理
(72)【発明者】
【氏名】武田 憲有
(72)【発明者】
【氏名】西崎 柾峻
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA07
4G140EB03
4G140EB14
4G140EB23
(57)【要約】
【課題】信頼性のある水素生成装置を実現することに適した技術を提供する。
【解決手段】
水素生成装置において、第1筒は、螺旋構造161を囲み、螺旋構造161と協働して螺旋状の第1空間を区画し、螺旋構造161に沿って延び螺旋構造161の径方向RDの外向きに突出する筋状の凸部102pを含む。第2筒は、第1筒を囲み、第1筒と協働して第2空間を区画する。第1空間及び第2空間を含み、第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成されている。水素生成装置の製造方法は、全周溶接により、第1筒に第2筒を固定することを含む。全周溶接は、凸部102pを跨ぐように、且つ、螺旋構造161の周方向CDに関して第1筒の周りを1周を超えて周回するように行われる第1溶接を含む。第1溶接の開始位置及び終了位置は、周方向に関して凸部102pから離れた位置である。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成された水素生成装置の製造方法であって、
全周溶接により、前記第1筒に前記第2筒を固定することを含み、
前記全周溶接は、前記凸部を跨ぐように、且つ、前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りを1周を超えて周回するように行われる第1溶接を含み、
前記第1溶接の開始位置及び終了位置は、前記周方向に関して前記凸部から離れた位置である、
製造方法。
【請求項2】
前記全周溶接は、前記螺旋構造の軸方向に関して前記第1溶接とは異なる位置において、前記凸部を跨ぐように、且つ、前記周方向に関して前記第1筒の周りを1周を超えて周回するように行われる第2溶接を含み、
前記第2溶接の開始位置及び終了位置は、前記周方向に関して前記凸部から離れた位置である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第2筒は、前記第2筒の周りを周回する所定領域を有し、
前記第1溶接において、溶接機により、前記所定領域が加熱され、
前記所定領域は、前記凸部を跨ぐ第1領域と、前記凸部を跨がない第2領域であって前記第1領域に比べて前記溶接機によって加熱される回数が多い第2領域と、を含み、
前記周方向に関し、前記第2領域は、前記第1領域よりも長い、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1筒は、前記凸部に比べて前記径方向の内向きに後退した後退部を含み、
前記製造方法は、所定条件を満たすように前記第2筒及び前記第1筒を配置することを含み、
前記所定条件は、
前記第2筒が前記第1筒を囲むという条件と、
前記凸部と前記第2筒との間に第1クリアランスが存在するという条件と、
前記後退部と前記第2筒との間に第2クリアランスが存在するという条件と、
前記第1クリアランスが前記第2クリアランスよりも小さいという条件と、を含み、
前記所定条件が満たされた状態において、前記全周溶接を開始する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記周方向に関し、前記第1溶接の前記開始位置及び前記終了位置は、前記凸部の中心から30°以上離れている、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記凸部が形成されるように、前記螺旋構造に向かって前記第1筒を収縮させることを含む、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記径方向の内向きの圧力を前記第1筒にかけることにより、前記第1筒を収縮させ、
前記製造方法は、前記第1筒を収縮させた後に、前記第1筒を囲むように前記第2筒を配置することを含む、
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成された水素生成装置の製造方法であって、
前記螺旋構造に向かって前記第1筒を収縮させることと、
収縮した前記第1筒に前記第2筒を固定することと、を含む、製造方法。
【請求項9】
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成され、
前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第1溶接部が構成され、
前記第1溶接部は、前記凸部を跨ぐ第1部分と、前記凸部を跨がない第2部分と、を含み、
前記第2筒の外周面のうち前記第1部分に沿う部分では、前記外周面のうち前記第2部分に沿う部分に比べ、焼けが進行していない状態にある、
水素生成装置。
【請求項10】
前記外周面は、前記第1部分に沿う視認可能な第1筋と、前記第2部分に沿う視認可能な第2筋と、を有し、
前記焼けが進行していない状態は、以下の(A)から(E)からなる群より選択される少なくとも1つが成立する状態である、
請求項9に記載の水素生成装置。
(A)前記第1筋は、前記第1部分に沿う第1の粗い筋を有し、前記第2筋は、前記第2部分に沿う第2の粗い筋を有し、前記第1の粗い筋の表面粗さRAは、前記外周面のうち、前記螺旋構造の軸方向に関する前記第1の粗い筋の両側の領域の表面粗さRAよりも高く、前記第2の粗い筋の表面粗さRAは、前記外周面のうち、前記軸方向に関する前記第2の粗い筋の両側の領域の表面粗さRAよりも高く、且つ、前記第1の粗い筋の表面粗さRAは、前記第2の粗い筋の表面粗さRAよりも低い。
(B)前記螺旋構造の軸方向に関する前記第1筋の幅は、前記軸方向に関する前記第2筋の幅よりも小さい。
(C)前記第1筋のうち最も黒色が濃い部分の色は、前記第2筋のうち最も黒色が濃い部分の色に比べ、黒色が薄い。
(D)前記第1筋は、前記第1部分に沿う第1の黒色筋を有し、前記第2筋は、前記第2部分に沿う第2の黒色筋を有し、前記螺旋構造の軸方向に関する前記第1の黒色筋の幅は、前記軸方向に関する前記第2の黒色筋の幅よりも小さい。
(E)前記第1筋における酸化被膜は、前記第2筋における酸化被膜よりも薄い。
【請求項11】
前記第1筒によって囲まれた第3筒を備え、
前記第3筒は、板状体であり、
前記板状体は、前記径方向の外向きに突出する凸構造を有するように曲げられ、
前記螺旋構造は、前記凸構造である、
請求項9に記載の水素生成装置。
【請求項12】
前記第1筒によって囲まれた第3筒と、
前記第1筒及び前記第3筒の間に配置され、螺旋状に曲げられた棒状体と、を備え、
前記螺旋構造は、前記棒状体である、
請求項9に記載の水素生成装置。
【請求項13】
以下の(J)又は(K)の構成を有する、
請求項9に記載の水素生成装置。
(J)第1触媒を有する第3空間を備え、
前記第3空間及び前記第2空間は連通し、
前記第1溶接部は、前記第3空間をバイパスして前記第2空間へと流れる流体流を妨げる。
(K)第2触媒を有する第4空間を備え、
前記第2空間及び前記第4空間は連通し、
前記第1溶接部は、前記第2空間から前記第4空間をバイパスして流れる流体流を妨げる。
【請求項14】
前記周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第2溶接部が構成され、
前記第2溶接部は、前記螺旋構造の軸方向に関して前記第1溶接部とは異なる位置にあり、
前記第2溶接部は、前記凸部を跨ぐ第3部分と、前記凸部を跨がない第4部分と、を含み、
前記外周面のうち前記第3部分に沿う部分では、前記外周面のうち前記第4部分に沿う部分に比べ、焼けが進行していない状態にある、
請求項9に記載の水素生成装置。
【請求項15】
第1触媒を有する第3空間と、
第2触媒を有する第4空間と、を備え、
前記第3空間と、前記第2空間と、前記第4空間と、がこの順に連通し、
前記第1溶接部及び前記第2溶接部の一方は、前記第3空間をバイパスして前記第2空間へと流れる流体流を妨げ、
前記第1溶接部及び前記第2溶接部の他方は、前記第2空間から前記第4空間をバイパスして流れる流体流を妨げる、
請求項14に記載の水素生成装置。
【請求項16】
前記第1部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記螺旋構造の軸方向に関する溶接幅を、第1溶接幅と定義し、
前記第2部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記軸方向に関する溶接幅を、第2溶接幅と定義したとき、
前記第1溶接幅は、前記第2溶接幅よりも小さい、
請求項9に記載の水素生成装置。
【請求項17】
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成され、
前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第1溶接部が構成され、
前記第1溶接部は、前記凸部を跨ぐ第1部分と、前記凸部を跨がない第2部分と、を含み、
前記第1部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記螺旋構造の軸方向に関する溶接幅を、第1溶接幅と定義し、
前記第2部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記軸方向に関する溶接幅を、第2溶接幅と定義したとき、
前記第1溶接幅は、前記第2溶接幅よりも小さい、
水素生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素生成装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水素生成装置の製造方法が記載されている。この製造方法では、拡管加工が採用されている。拡管加工では、内側から高い圧力をかけることにより、内側の部品を外側の部品に押しつけ、それらの部品を一体化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-117539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適した技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成された水素生成装置の製造方法であって、
全周溶接により、前記第1筒に前記第2筒を固定することを含み、
前記全周溶接は、前記凸部を跨ぐように、且つ、前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りを1周を超えて周回するように行われる第1溶接を含み、
前記第1溶接の開始位置及び終了位置は、前記周方向に関して前記凸部から離れた位置である、
製造方法を提供する。
【0006】
別の側面において、本開示は、
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成された水素生成装置の製造方法であって、
前記螺旋構造に向かって前記第1筒を収縮させることと、
収縮した前記第1筒に前記第2筒を固定することと、を含む、製造方法を提供する。
【0007】
別の側面において、本開示は、
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成され、
前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第1溶接部が構成され、
前記第1溶接部は、前記凸部を跨ぐ第1部分と、前記凸部を跨がない第2部分と、を含み、
前記第2筒の外周面のうち前記第1部分に沿う部分では、前記外周面のうち前記第2部分に沿う部分に比べ、焼けが進行していない状態にある、
水素生成装置を提供する。
【0008】
別の側面において、本開示は、
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成され、
前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第1溶接部が構成され、
前記第1溶接部は、前記凸部を跨ぐ第1部分と、前記凸部を跨がない第2部分と、を含み、
前記第1部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記螺旋構造の軸方向に関する溶接幅を、第1溶接幅と定義し、
前記第2部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記軸方向に関する溶接幅を、第2溶接幅と定義したとき、
前記第1溶接幅は、前記第2溶接幅よりも小さい、
水素生成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る技術は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における水素生成装置の構成を示す縦断面図である。
図2】螺旋構造を説明するための模式的な斜視図である。
図3A】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図3B】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図3C】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図3D】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図4A】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す部分拡大図である。
図4B】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す部分拡大図である。
図4C】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す部分拡大図である。
図4D】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す部分拡大図である。
図4E】実施の形態1における蒸発部の製造工程を示す部分拡大図である。
図5】実施の形態1に係る蒸発部の製造方法のフローチャートである。
図6A】実施の形態1における溶接時の内筒、第1隔壁及び伝熱緩衝筒を含む構造の形状を示す概略縦断面図である。
図6B図6Aに示す構造をB-B’線で切断した概略横断面図である。
図6C図6Aに示す構造をC-C’線で切断した概略横断面図である。
図7A】第1溶接部の説明図である。
図7B】第2溶接部の説明図である。
図8A】第1筋の説明図である。
図8B】第2筋の説明図である。
図9】実施の形態2における水素生成装置の構成を示す縦断面図である。
図10A】実施の形態2における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図10B】実施の形態2における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図10C】実施の形態2における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図10D】実施の形態2における蒸発部の製造工程を示す工程図である。
図11】実施の形態2に係る蒸発部の製造方法のフローチャートである。
図12A】溶接の範囲の説明図である。
図12B】溶接の範囲の説明図である。
図12C】溶接の範囲の説明図である。
図12D】溶接の範囲の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1から図8Bを用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における水素生成装置100の構成を示す縦断面図である。水素生成装置100は、加熱部120、蒸発部121、改質部122、CO低減部123、CO除去部124、伝熱緩衝空間125、燃焼筒130、第2隔壁131、区画部材132、空気供給管133、供給管145、出口管154及び出口管155を含む。
【0014】
加熱部120のバーナは、燃焼用空気が混合された可燃性ガスを燃焼し、下向きの炎を形成し、燃焼排ガスを排出する。加熱部120の熱と燃焼排ガスの熱とが、内筒101に与えられる。
【0015】
内筒101は、燃焼筒130を囲んでいる。内筒101は、燃焼筒130と同軸である。内筒101の上部には、出口管155が設けられている。
【0016】
第1隔壁102は、筒状である。第1隔壁102は、内筒101と同軸である。第1隔壁102は、上側部分及び下側部分を含む。下側部分の径は、上側部分の径よりも大きい。第1隔壁102は、内筒101を囲んでいる。第1隔壁102及び内筒101の間には隙間が設けられている。第1隔壁102は、金属部材である。第1隔壁102には、供給管145が接続されている。供給管145には、炭化水素を含む原料ガスと、水と、が供給される。原料ガス及び水は、蒸発部121に供給される。
【0017】
実施の形態1では、内筒101は、螺旋構造161及び下側構造162を含む。螺旋構造161及び下側構造162は、第1隔壁102により囲まれている。螺旋構造161と第1隔壁102の上側部分とによって、螺旋状の空間171が区画されている。下側構造162は、螺旋構造161よりも下に設けられている。
【0018】
図2は、螺旋構造161を説明するための模式的な斜視図である。螺旋構造161は、螺旋構造161の軸Oの周囲を回転しながら下から上に延びている。螺旋構造161の軸方向ADは、軸Oが延びる方向である。基準平面169は、軸Oに直交する平面である。螺旋構造161の径方向RDは、軸方向ADに直交する直線方向である。螺旋構造161の周方向CDは、軸方向ADに直交する方向であって、軸Oの周りを周回する方向である。本実施の形態では、第1絞り部152は、基準平面169に平行な平面に沿って、閉じたループを構成するように延びている。この点は、下端部153、第1溶接部181、第2溶接部182、第1所定領域300及び第2所定領域についても同様である。なお、図2では、作図の便宜上、螺旋構造161の回転数を少なく描いている。
【0019】
実施の形態1では、内筒101は、板状体である。板状体は、軸Oを囲むように曲げられることにより、筒状を呈している。また、板状体は、径方向RDの外向きに突出する凸構造を有するように曲げられている。その凸構造が螺旋構造161である。板状体と、第1隔壁102とが協働して、螺旋構造161に沿う螺旋状の空間171を区画している。螺旋構造161は、第1隔壁102の内側の領域を螺旋状に仕切る仕切りとして機能する。これにより、空間171が区画されている。内筒101と、第1隔壁102の上側部分と、空間171とによって、蒸発部121が構成されている。蒸発部121の空間171では、原料ガス及び水が流れ、内筒101から伝わる熱により水が水蒸気へと蒸発する。
【0020】
下側構造162と第1隔壁102の下側部分との間には、空間172が設けられている。空間172には、改質触媒が充填されている。下側構造162と、第1隔壁102の下側部分と、空間172と、改質触媒とによって、改質部122が構成されている。改質部122の空間172では、蒸発部121から流出した原料ガス及び水蒸気が流れる。改質部122は、内筒101から伝わる熱で加熱される。改質触媒は、原料ガス及び水蒸気の混合ガスから、改質反応により、一次水素含有ガスを生成する。一次水素含有ガスは、一酸化炭素を含む水素含有ガスである。
【0021】
伝熱緩衝筒104は、第1隔壁102と同軸である。伝熱緩衝筒104は、第1隔壁102の上側部分を囲んでいる。伝熱緩衝筒104は、第1絞り部152を有する。第1絞り部152は、第1隔壁102の上側部分の外周面に溶接されている。伝熱緩衝筒104と第1隔壁102の上側部分との間には、伝熱緩衝空間125が設けられている。伝熱緩衝空間125は、第1絞り部152よりも下に位置する下側空間と、第1絞り部152よりも上に位置する上側空間と、を含む。以下では、伝熱緩衝空間125の下側空間を、空間174と称することがある。伝熱緩衝空間125の上側空間を、空間177と称することがある。空間174は、蒸発部121とCO低減部123の間の伝熱緩衝作用を奏する。空間177は、蒸発部121とCO除去部124との間の伝熱緩衝作用を奏する。
【0022】
伝熱緩衝筒104には、伝熱緩衝空間入口150と、周方向CDに沿う複数の吹き出し穴151と、が設けられている。伝熱緩衝空間入口150は、空間173及び空間174を連通させている。吹き出し穴151は、空間174及び空間175を連通させている。
【0023】
伝熱緩衝筒104の外周側には、CO低減部123が隣接している。CO低減部123には、CO低減触媒が収容されている。空間174は、CO低減触媒を流れるガスが蒸発部121との熱交換によって局所的に冷却されることを抑制する。これにより、CO低減触媒において温度ムラが発生することが抑制される。
【0024】
伝熱緩衝筒104の外周側には、CO除去部124が隣接している。CO除去部124には、CO除去触媒が収容されている。空間177は、CO除去触媒を流れるガスが蒸発部121との熱交換によって局所的に冷却されることを抑制する。これにより、CO除去触媒において温度ムラが発生することが抑制される。
【0025】
改質部122からの一次水素含有ガスは、CO低減部123に導かれる。これに関し、伝熱緩衝筒104の下端部153が、第1隔壁102に溶接されている。溶接は、一次水素含有ガスがCO低減部123を通流せずに空間174に入ることを妨げる。
【0026】
CO低減部123からの二次水素含有ガスは、空間174を介してCO除去部124に導かれる。これに関し、第1絞り部152が、第1隔壁102に溶接されている。溶接は、二次水素含有ガスが、CO除去部124を通流せずに水素生成装置100の外に出ることを妨げる。
【0027】
第2隔壁131は、有底円筒形である。第2隔壁131は、第1隔壁102と同軸である。第2隔壁131は、上側部分、下側部分及び底部を含む。下側部分の径は、上側部分の径よりも小さい。第2隔壁131は、金属部材である。
【0028】
第2隔壁131の下側部分は、第1隔壁102の下側部分を囲んでいる。第2隔壁131の底部と第1隔壁102の下端との間に、一次水素含有ガスが通流する隙間がある。第2隔壁131の下側部分と第1隔壁102の下側部分との間には、リターン流路141が設けられている。リターン流路141は、改質部122から下方に流出した一次水素含有ガスの流れを、上向きに変え、CO低減部123に導く。
【0029】
第2隔壁131は、伝熱緩衝筒104と同軸である。第2隔壁131の上側部分は、伝熱緩衝筒104を囲んでいる。第2隔壁131の上側部分と伝熱緩衝筒104との間には、空間173及び空間175が設けられている。空間173には、CO低減部123が設けられている。空間175には、CO除去部124が設けられている。空間175は、区画部材132を介して空間173よりも上方に配置されている。第2隔壁131には、空気供給管133及び出口管154が設けられている。空間173のうちCO低減部123よりも上の位置に、空気供給管133が接続されている。空間175は、その上方に位置する空間176に連通している。空間176には、出口管154が接続されている。
【0030】
CO低減部123には、CO低減触媒が充填されている。改質部122から流出した一次水素含有ガスは、一酸化炭素を含む。CO低減触媒は、変性反応により、一酸化炭素の濃度を低減し、これにより二次水素含有ガスを生成する。CO除去部124は、CO低減部123よりも上に設けられている。CO除去部124には、CO除去触媒が充填されている。
【0031】
上記の説明から理解されるように、水素生成装置100は、螺旋構造161、第1隔壁102及び伝熱緩衝筒104を含む。第1隔壁102は、螺旋構造161を囲んでいる。第1隔壁102は、螺旋構造161と協働して螺旋状の空間171を区画している。第1隔壁102は、筋状の凸部102pを含む。凸部102pは、螺旋構造161に沿って延び、径方向RDの外向きに突出している。伝熱緩衝筒104は、第1隔壁102を囲んでいる。伝熱緩衝筒104は、第1隔壁102と協働して空間174を区画している。水素生成装置100では、流路が構成されている。流路は、空間171及び空間174をこの順に含む。流路では、空間171において水が蒸発する。流路から、水素を含むガスが出力される。具体的に、流路は、空間171、空間172、空間173、空間174、空間175及び空間176をこの順に含む。水素を含むガスは、三次水素含有ガスである。
【0032】
[1-2.製造方法]
図3Aから図3Dは、実施の形態1における蒸発部121の製造工程を示す工程図である。図4Aから図4Eは、同製造工程を示す部分拡大図である。図5は、実施の形態1に係る蒸発部121の製造方法のフローチャートである。以下、図3Aから図5を参照しながら、蒸発部121の製造方法を説明する。水素生成装置100における蒸発部121の以外の部分の製造方法については、公知の技術を適用可能である。なお、図3Aから図4Eでは、第1絞り部152等、蒸発部121の一部の部品を簡略化して描いている。これらの点は、実施の形態2の図10Aから図11についても同様である。
【0033】
図5に示すように、蒸発部121の製造方法は、縮管工程及び溶接工程を含む。縮管工程は、第1工程S11及び第2工程S12を含む。溶接工程は、第3工程S13及び第4工程S14を含む。第1工程S11、第2工程S12、第3工程S13及び第4工程S14は、この順に実行される。
【0034】
第1工程S11において、図3A及び図4Aに示すように、第1隔壁102の内側に内筒101を配置する。
【0035】
次に、第2工程S12において、図3B及び図4Bに示すように、内筒101の螺旋構造161に向かって、第1隔壁102を収縮させる。収縮により、第1隔壁102及び内筒101が互いに固定される。また、図4Cに示すように、螺旋構造161に沿う筋状の凸部102pが、第1隔壁102に形成される。第2工程S12は、図示しない縮管装置により実行される。
【0036】
具体的には、第2工程S12における第1隔壁102の収縮は、機械縮管方法により行われる。機械縮管方法によれば、第1隔壁102を真円に近い形状に維持し易い。第2工程S12の機械縮管方法では、複数に分割された型が用いられる。これらの型は、合わされた状態で、内部に空間を区画するものである。空間の形状は、収縮後の第1隔壁102の外形に対応する。典型的には、型は金型であり、軸方向ADに沿って観察したときに空間の形状は円形である。この例では、上記の複数に分割された型の間に、第1隔壁102を配置する。次に、これらの型が互いに接近するように、外側から圧力をかける。これにより、第1隔壁102が、これらの型によって挟み込まれ、成形される。こうして、第1隔壁102が収縮する。
【0037】
第1工程S11の後且つ第2工程S12の前には、内筒101の螺旋構造161と、第1隔壁102と、の間に隙間すなわちクリアランスが存在する。クリアランスが存在するように内筒101及び第1隔壁102の寸法を設定することは、第1隔壁102の内側に内筒101をスムーズに配置し、蒸発部121の製造に要する時間を削減する観点から有利である。第2工程S12により、クリアランスがなくなり、螺旋構造161及び第1隔壁102が一体化される。
【0038】
次に、第3工程S13において、図3C及び図4Dに示すように、第1隔壁102の外側に、伝熱緩衝筒104を配置する。
【0039】
仮に第1隔壁102を囲むように伝熱緩衝筒104を配置してから、第1隔壁102に径方向RDの内向きの圧力をかけて第1隔壁102を収縮させる手法を採用したとする。その場合、圧力が伝熱緩衝筒104にもかかり、伝熱緩衝筒104に意図しない変形が生じるおそれがある。これに対し、本実施の形態では、第1隔壁102に径方向RDの内向きの圧力をかけて第1隔壁102を収縮させた後に、第1隔壁102を囲むように伝熱緩衝筒104を配置する。このことは、水素生成装置100の信頼性を確保する観点から有利である。
【0040】
具体的に、図4Dに示すように、第1隔壁102は、凸部102pと、凸部102pに比べて径方向RDの内向きに後退した後退部102dを含む。第3工程S13の伝熱緩衝筒104の配置は、所定条件が満たされるように行われる。所定条件は、
・伝熱緩衝筒104が第1隔壁102を囲むという条件と、
・凸部102pと伝熱緩衝筒104との間に第1クリアランスG1が存在するという条件と、
・後退部102dと伝熱緩衝筒104との間に第2クリアランスG2が存在するという条件と、
・第1クリアランスG1が第2クリアランスG2よりも小さいという条件と、
を含む。
【0041】
次に、第4工程S14において、図3D及び図4Eに示すように、第1隔壁102に伝熱緩衝筒104を固定する。この固定は、全周溶接により行われる。全周溶接は、上記の所定条件が満たされた状態で開始される。全周溶接は、溶接機180により行われる。
【0042】
全周溶接は、第1溶接及び第2溶接を含む。第1溶接及び第2溶接は、それぞれ、第1隔壁102の凸部102pを跨ぐように行われる。また、第1溶接及び第2溶接は、それぞれ、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回するように行われる。第1溶接及び第2溶接は、軸方向ADに関して互いに異なる位置で行われる。本実施の形態では、第1溶接及び第2溶接の一方は、第1隔壁102と伝熱緩衝筒104の下端部153との間の溶接である。第1溶接及び第2溶接の他方は、第1隔壁102と伝熱緩衝筒104の第1絞り部152との間の溶接である。第1溶接及び第2溶接は、それぞれ、上記の所定条件が満たされた状態で開始される。第1溶接及び第2溶接は、それぞれ、溶接機180を用いて行われる。図示の例では、第1溶接は、第1隔壁102と第1絞り部152との間の溶接であり、第2溶接は、第1隔壁102と下端部153との間の溶接であるものとする。図1において、第1絞り部152と第1隔壁102とが第1溶接により溶接された第1溶接部181が描かれ、下端部153と第1隔壁102とが第2溶接により溶接された第2溶接部182が描かれている。ただし、第1溶接及び第2溶接を置き換えるように第1溶接及び第2溶接を読み替えてもよい。
【0043】
本実施の形態の第4工程S14では、第1隔壁102への伝熱緩衝筒104の固定に、熱収縮作用が貢献する。具体的に、第1隔壁102は、金属を含む。全周溶接により、第1隔壁102が加熱される。その後、第1隔壁102が冷える。これにより、第1隔壁102が収縮する。この収縮が、第1隔壁102への伝熱緩衝筒104の固定に貢献する。
【0044】
図6Aは、実施の形態1における溶接時の内筒101、第1隔壁102及び伝熱緩衝筒104を含む構造の形状を示す概略縦断面図である。図6Bは、図6Aに示す構造をB-B’線で切断した概略横断面図である。図6Cは、図6Aに示す構造をC-C’線で切断した概略横断面図である。図6Bは、軸方向ADに垂直であり、第1絞り部152を通る断面を示す。図6Bでは、この断面における凸部102pの位置を矢印により概略的に示している。図6Cは、軸方向ADに垂直であり、下端部153を通る断面を示す。図6Cでは、この断面における凸部102pの位置を矢印により概略的に示している。図6Bにおいて、点線は、溶接機180が伝熱緩衝筒104を加熱して溶接する領域の移動を示す。この点は、図6Cから図7B及び図12Aから図12Dについても同様である。
【0045】
図6Bに示すように、第1溶接の開始位置P1及び終了位置P2は、周方向CDに関して第1隔壁102の凸部102pから離れた位置である。図6Cに示すように、第2溶接の開始位置Q1及び終了位置Q2は、周方向CDに関して凸部102pから離れた位置である。このようにすれば、伝熱緩衝筒104のうち凸部102pに沿う部分が2重に溶接されることを回避でき、該部分の入熱量を抑えることができ、意図しない変形を抑えることができ、蒸発部121における蒸発の乱れを抑えることができる。このことは、水素生成装置100の信頼性を確保する観点から有利である。
【0046】
第1溶接により、第1溶接部181が形成される。第1溶接部181は、第1隔壁102に伝熱緩衝筒104が溶接された構造である。図7Aは、第1溶接部181の説明図である。図7Aの断面は、図6Bの断面に対応する。第1溶接部181は、周方向CDに関して、第1隔壁102の周りの全周にわたって構成されている。第1溶接部181は、凸部102pを跨ぐ第1部分181aと、凸部102pを跨がない第2部分181bと、を含む。
【0047】
第2溶接により、第2溶接部182が形成される。第2溶接部182は、第1隔壁102に伝熱緩衝筒104が溶接された構造である。図7Bは、第2溶接部182の説明図である。図7Bの断面は、図6Cの断面に対応する。第2溶接部182は、周方向CDに関して、第1隔壁102の周りの全周にわたって構成されている。第2溶接部182は、軸方向ADに関して第1溶接部181とは異なる位置にある。第2溶接部182は、凸部102pを跨ぐ第3部分182aと、凸部102pを跨がない第4部分182bと、を含む。
【0048】
第1溶接により、第1溶接部181に加え、視認可能な第1筋191a及び視認可能な第2筋191bが形成される。図8Aは、第1筋191a及び第2筋191bの説明図である。第2溶接により、第2溶接部182に加え、視認可能な第3筋192a及び視認可能な第4筋192bが形成される。図8Bは、第3筋192a及び第4筋192bの説明図である。図8A及び図8Bは、伝熱緩衝筒104を周方向CDに展開したものである。第1筋191a、第2筋191b、第3筋192a及び第4筋192bは、完成品である水素生成装置100において残されうる。
【0049】
第1筋191a及び第2筋191bは、第1溶接が行われた痕跡でありうる。図7Aに示すように、第1筋191aは、第1部分181aに沿って延びている。第2筋191bは、第2部分181bに沿って延びている。図8Aに示すように、第1筋191a及び第2筋191bは、伝熱緩衝筒104の外周面104sに形成される。第1筋191a及び第2筋191bに関し、後述する構成(A)、構成(B)、構成(C)、構成(D1)、構成(D2)及び構成(E)からなる群より選択される少なくとも1つが成立する。外周面104sのうち第1部分181aに沿う部分では、外周面104sのうち第2部分181bに沿う部分に比べ、焼けが進行していない。構成(A)、構成(B)、構成(C)、構成(D1)、構成(D2)及び構成(E)は、焼けの進行の程度に上記の差があることを表している。この文脈において、「焼け」は、具体的には溶接焼けである。
【0050】
構成(A)は、
・第1筋191aは、第1部分181aに沿う第1の粗い筋191arを有し、
・第2筋191bは、第2部分181bに沿う第2の粗い筋191brを有し、
・第1の粗い筋191arの表面粗さRAは、外周面104sのうち、軸方向ADに関する第1の粗い筋191arの両側の領域の表面粗さRAよりも高く、
・第2の粗い筋191brの表面粗さRAは、外周面104sのうち、軸方向ADに関する第2の粗い筋191brの両側の領域の表面粗さRAよりも高く、且つ、
・第1の粗い筋191arの表面粗さRAは、第2の粗い筋191brの表面粗さRAよりも低い、
という構成である。
【0051】
構成(B)は、
・軸方向ADに関する第1筋191aの幅W1は、軸方向ADに関する第2筋191bの幅W2よりも小さい
という構成である。第1筋191aが設けられた部分において伝熱緩衝筒104の外径が一定でない場合、幅W1は、軸Oに向かって観察したときの軸方向ADに関する第1筋191aの幅である。幅W2、幅W3、幅W4、幅Wp1、幅Wp2、幅Wp3、幅Wp4、幅Ws1、幅Ws2、幅Ws3及び幅Ws4についても同様である。
【0052】
構成(C)は、
・第1筋191aのうち最も黒色が濃い部分の色は、第2筋191bのうち最も黒色が濃い部分の色に比べ、黒色が薄い
という構成である。ここで、黒色が濃いとは、明度の指標であるL*値が低いことをいう。黒色が薄いとは、明度の指標であるL*値が高いことをいう。
【0053】
構成(D1)は、
・第1筋191aは、第1部分181aに沿う第1の黒色筋191apを有し、
・第2筋191bは、第2部分181bに沿う第2の黒色筋191bpを有し、
・軸方向ADに関する第1の黒色筋191apの幅Wp1は、軸方向ADに関する第2の黒色筋191bpの幅Wp2よりも小さい、
という構成である。ここで、黒色筋とは、L*値が15未満の筋をいう。
【0054】
構成(D2)は、
・第1筋191aは、第1部分181aに沿う第1の黒色筋191asを有し、
・第2筋191bは、第2部分181bに沿う第2の黒色筋191bsを有し、
・軸方向ADに関する第1の黒色筋191asの幅Ws1は、軸方向ADに関する第2の黒色筋191bsの幅Ws2よりも小さい、
という構成である。
【0055】
構成(E)は、
・第1筋191aにおける酸化被膜は、第2筋191bにおける酸化被膜よりも薄い
という構成である。酸化被膜は、スケール層とも呼ばれる。
【0056】
図8Aの例では、第1筋191aの視認可能性は、第1筋191aの構造及び材質の少なくとも一方により実現されている。構造は、例えば、粗さである。材質は、例えば、酸化被膜の形成の有無である。構造及び材質の少なくとも一方は、色を規定しうる。これらの点は、第2筋191b、第3筋192a及び第4筋192bについても同様である。
【0057】
図8Aの例では、第1筋191aは、第1部分181aに沿う第1の薄色筋191aq及び第1部分181aに沿う第1の薄色筋191atを含む。第1の薄色筋191aqは、第1の黒色筋191apに比べ、黒色が薄い。第1の薄色筋191atは、第1の黒色筋191asに比べ、黒色が薄い。第1の薄色筋191aq及び第1の薄色筋191atは、例えば、茶褐色である。第1の薄色筋191aq、第1の黒色筋191ap、第1の粗い筋191ar、第1の黒色筋191as及び第1の薄色筋191atが、軸方向ADに沿ってこの順に並んでいる。構成(A)において、第1の粗い筋191arの両側の領域は、第1の薄色筋191aq、第1の黒色筋191ap、第1の黒色筋191as及び第1の薄色筋191atを含む。
【0058】
図8Aの例では、第2筋191bは、第2部分181bに沿う第2の薄色筋191bq及び第2部分181bに沿う第2の薄色筋191btを含む。第2の薄色筋191bqは、第2の黒色筋191bpに比べ、黒色が薄い。第2の薄色筋191btは、第2の黒色筋191bsに比べ、黒色が薄い。第2の薄色筋191bq及び第2の薄色筋191btは、例えば、茶褐色である。第2の薄色筋191bq、第2の黒色筋191bp、第2の粗い筋191br、第2の黒色筋191bs及び第2の薄色筋191btが、軸方向ADに沿ってこの順に並んでいる。構成(A)において、第2の粗い筋191brの両側の領域は、第2の薄色筋191bq、第2の黒色筋191bp、第2の黒色筋191bs及び第2の薄色筋191btを含む。
【0059】
図8Aの例では、構成(C)において、第1筋191aのうち最も黒色が濃い部分は、第1の黒色筋191ap又は第1の黒色筋191asに属する。第2筋191bのうち最も黒色が濃い部分は、第2の黒色筋191bp又は第2の黒色筋191bsに属する。
【0060】
図8Aの例では、第1筋191a及び第2筋191bは、周方向CDに連続している。第1の薄色筋191aq及び第2の薄色筋191bqは、周方向CDに連続している。第1の黒色筋191ap及び第2の黒色筋191bpは、周方向CDに連続している。第1の粗い筋191ar及び第2の粗い筋191brは、周方向CDに連続している。第1の黒色筋191as及び第2の黒色筋191bsは、周方向CDに連続している。第1の薄色筋191at及び第2の薄色筋191btは、周方向CDに連続している。
【0061】
ここで、第1部分181aにおける第1隔壁102及び伝熱緩衝筒104の間の軸方向ADに関する溶接幅を、第1溶接幅と定義する。第2部分181bにおける第1隔壁102及び伝熱緩衝筒104の間の軸方向ADに関する溶接幅を、第2溶接幅と定義する。このとき、第1溶接幅は、第2溶接幅よりも小さい。このことは、第1部分181aでは第2部分181bに比べ溶接が進行していないことの痕跡でありうる。
【0062】
第3筋192a及び第4筋192bは、第2溶接が行われた痕跡でありうる。図7Bに示すように、第3筋192aは、第3部分182aに沿って延びている。第4筋192bは、第4部分182bに沿って延びている。図8Bに示すように、第3筋192a及び第4筋192bは、伝熱緩衝筒104の外周面104sに形成される。第3筋192a及び第4筋192bに関し、後述する構成(a)、構成(b)、構成(c)、構成(d1)、構成(d2)及び構成(e)からなる群より選択される少なくとも1つが成立する。外周面104sのうち第3部分182aに沿う部分では、外周面104sのうち第4部分182bに沿う部分に比べ、焼けが進行していない。構成(a)、構成(b)、構成(c)、構成(d1)、構成(d2)及び構成(e)は、焼けの進行の程度に上記の差があることを表している。
【0063】
構成(a)は、
・第3筋192aは、第3部分182aに沿う第3の粗い筋192arを有し、
・第4筋192bは、第4部分182bに沿う第4の粗い筋192brを有し、
・第3の粗い筋192arの表面粗さRAは、外周面104sのうち、軸方向ADに関する第3の粗い筋192arの両側の領域の表面粗さRAよりも高く、
・第4の粗い筋192brの表面粗さRAは、外周面104sのうち、軸方向ADに関する第4の粗い筋192brの両側の領域の表面粗さRAよりも高く、且つ、
・第3の粗い筋192arの表面粗さRAは、第4の粗い筋192brの表面粗さRAよりも低い、
という構成である。
【0064】
構成(b)は、
・軸方向ADに関する第3筋192aの幅W3は、軸方向ADに関する第4筋192bの幅W4よりも小さい
という構成である。
【0065】
構成(c)は、
・第3筋192aのうち最も黒色が濃い部分の色は、第4筋192bのうち最も黒色が濃い部分の色に比べ、黒色が薄い
という構成である。
【0066】
構成(d1)は、
・第3筋192aは、第3部分182aに沿う第3の黒色筋192apを有し、
・第4筋192bは、第4部分182bに沿う第4の黒色筋192bpを有し、
・軸方向ADに関する第3の黒色筋192apの幅Wp3は、軸方向ADに関する第4の黒色筋192bpの幅Wp4よりも小さい、
という構成である。
【0067】
構成(d2)は、
・第3筋192aは、第3部分182aに沿う第3の黒色筋192asを有し、
・第4筋192bは、第4部分182bに沿う第4の黒色筋192bsを有し、
・軸方向ADに関する第3の黒色筋192asの幅Ws3は、軸方向ADに関する第4の黒色筋192bsの幅Ws4よりも小さい、
という構成である。
【0068】
構成(e)は、
・第3筋192aにおける酸化被膜は、第4筋192bにおける酸化被膜よりも薄い
という構成である。
【0069】
図8Bの例では、第3筋192aは、第3部分182aに沿う第3の薄色筋192aq及び第3部分182aに沿う第3の薄色筋192atを含む。第3の薄色筋192aqは、第3の黒色筋192apに比べ、黒色が薄い。第3の薄色筋192atは、第3の黒色筋192asに比べ、黒色が薄い。第3の薄色筋192aq及び第3の薄色筋192atは、例えば、茶褐色である。第3の薄色筋192aq、第3の黒色筋192ap、第3の粗い筋192ar、第3の黒色筋192as及び第3の薄色筋192atが、軸方向ADに沿ってこの順に並んでいる。構成(a)において、第3の粗い筋192arの両側の領域は、第3の薄色筋192aq、第3の黒色筋192ap、第3の黒色筋192as及び第3の薄色筋192atを含む。
【0070】
図8Bの例では、第4筋192bは、第4部分182bに沿う第4の薄色筋192bq及び第4部分182bに沿う第4の薄色筋192btを含む。第4の薄色筋192bqは、第4の黒色筋192bpに比べ、黒色が薄い。第4の薄色筋192btは、第4の黒色筋192bsに比べ、黒色が薄い。第4の薄色筋192bq及び第4の薄色筋192btは、例えば、茶褐色である。第4の薄色筋192bq、第4の黒色筋192bp、第4の粗い筋192br、第4の黒色筋192bs及び第4の薄色筋192btが、軸方向ADに沿ってこの順に並んでいる。構成(a)において、第4の粗い筋192brの両側の領域は、第4の薄色筋192bq、第4の黒色筋192bp、第4の黒色筋192bs及び第4の薄色筋192btを含む。
【0071】
図8Bの例では、構成(c)において、第3筋192aのうち最も黒色が濃い部分は、第3の黒色筋192ap又は第3の黒色筋192asに属する。第4筋192bのうち最も黒色が濃い部分は、第4の黒色筋192bp又は第4の黒色筋192bsに属する。
【0072】
図8Bの例では、第3筋192a及び第4筋192bは、周方向CDに連続している。第3の薄色筋192aq及び第4の薄色筋192bqは、周方向CDに連続している。第3の黒色筋192ap及び第4の黒色筋192bpは、周方向CDに連続している。第3の粗い筋192ar及び第4の粗い筋192brは、周方向CDに連続している。第3の黒色筋192as及び第4の黒色筋192bsは、周方向CDに連続している。第3の薄色筋192at及び第4の薄色筋192btは、周方向CDに連続している。
【0073】
ここで、第3部分182aにおける第1隔壁102及び伝熱緩衝筒104の間の軸方向ADに関する溶接幅を、第3溶接幅と定義する。第4部分182bにおける第1隔壁102及び伝熱緩衝筒104間の軸方向ADに関する溶接幅を、第4溶接幅と定義する。このとき、第3溶接幅は、第4溶接幅よりも小さい。このことは、第3部分182aでは第4部分182bに比べ溶接が進行していないことの痕跡でありうる。
【0074】
[1-3.動作]
以下、水素生成装置100の動作を説明する。
【0075】
水素生成装置100において、水素含有ガスを得るために、原料ガス及び水が供給管145から蒸発部121に供給される。具体的に、水は、蒸発部121における螺旋状の空間171に沿って流れながら、加熱部120及び燃焼排ガスから内筒101を介して熱を受ける。これにより、水は、水蒸気となり、原料ガスと混合される。
【0076】
改質部122に原料ガスと水蒸気との混合ガスが流入する。混合ガスは、加熱部120によって加熱され、改質触媒によって一酸化炭素を含む一次水素含有ガスに改質される。
【0077】
一次水素含有ガスは、リターン流路141に流入し、上方に流れ、CO低減部123に供給される。CO低減部123は、一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を低減して二次水素含有ガスを生成する。
【0078】
二次水素含有ガスと、空気供給管133からの空気とが、伝熱緩衝空間入口150を介して空間174に流入し、空間174内で混合され、吹き出し穴151を介して空間175に排出され、CO除去部124に供給される。CO除去部124は、二次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素をさらに低減して三次水素含有ガスを生成する。三次水素含有ガスは、空間176及び出口管154をこの順に通って水素生成装置100の外部に排出される。三次水素含有ガスは、燃料電池発電装置等の水素利用機器に供給される。
【0079】
加熱部120のバーナの燃焼で、燃焼排ガスが発生する。燃焼排ガスは、燃焼筒130の内周側を下方に流れる。次に、燃焼排ガスは、内筒101の底部と燃焼筒130の下端との隙間を通って上方に折り返す。次に、燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路140を流れながら、改質部122と熱交換しその後蒸発部121と熱交換する。次に、燃焼排ガスは、出口管155から水素生成装置100の外部に排出される。
【0080】
以下、他のいくつかの実施の形態について説明する。以下では、既に説明した実施の形態とその後に説明される実施の形態とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。各実施の形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。技術的に矛盾しない限り、各実施の形態は、相互に組み合わされてもよい。
【0081】
(実施の形態2)
以下、図9から図11を用いて、実施の形態2を説明する。
【0082】
[2-1.構成]
図9は、実施の形態2における水素生成装置200の構成を示す縦断面図である。
【0083】
水素生成装置200は、実施の形態1の内筒101に代えて、内筒201を含む。また、水素生成装置200は、螺旋状に曲げられた棒状体203を有する。棒状体203は、螺旋構造250を呈する。螺旋構造250について、図2を参照した螺旋構造161の説明が援用されうる。内筒201は、第1隔壁102により囲まれている。棒状体203は、第1隔壁102及び内筒201の間に配置されている。
【0084】
内筒201は、上側構造261及び下側構造162を含む。上側構造261及び下側構造162は、第1隔壁102により囲まれている。下側構造162は、上側構造261よりも下に設けられている。
【0085】
第1隔壁102の上側部分と、上側構造261と、棒状体203とが協働して、螺旋状の空間171を構成している。螺旋構造250は、第1隔壁102の上側部分の内側且つ上側構造261の外側の領域を螺旋状に仕切る仕切りとして機能する。これにより、空間171が区画されている。第1隔壁102の上側部分と、上側構造261と、棒状体203と、空間171によって、蒸発部121が構成されている。
【0086】
[2-2.製造方法]
図10Aから図10Dは、実施の形態2における水素生成装置200の製造工程を示す工程図である。図11は、実施の形態2に係る水素生成装置200の製造方法のフローチャートである。以下、図10Aから図11を参照しながら、水素生成装置200の製造方法を説明する。
【0087】
図11に示すように、蒸発部121の製造方法は、縮管工程及び溶接工程を含む。縮管工程は、第1工程S21及び第2工程S22を含む。溶接工程は、第3工程S23及び第4工程S24を含む。第1工程S21、第2工程S22、第3工程S23及び第4工程S24は、この順に実行される。
【0088】
第1工程S21において、図10Aに示すように、径方向RDの外側から内側に向かって順に、第1隔壁102、棒状体203及び内筒201を配置する。
【0089】
次に、第2工程S22において、図10Bに示すように、内筒201及び棒状体203に向かって、第1隔壁102を収縮させる。収縮により、第1隔壁102、棒状体203及び内筒201が互いに固定される。また、実施の形態1と同様、棒状体203が呈する螺旋構造250に沿う筋状の凸部102pが、第1隔壁102に形成される。第2工程S22は、図示しない縮管装置により実行される。第2工程S22における第1隔壁102の収縮は、具体的には機械縮管方法により行われる。
【0090】
第1工程S21の後且つ第2工程S22の前には、棒状体203が呈する螺旋構造250と、第1隔壁102と、の間に隙間すなわちクリアランスが存在する。第2工程S22により、クリアランスがなくなり、内筒201、棒状体203及び第1隔壁102が一体化される。
【0091】
次に、第3工程S23において、図10Cに示すように、第1隔壁102の外側に、伝熱緩衝筒104を配置する。実施の形態1の第3工程S13に関する説明を適宜読み替えた上で、実施の形態2の第3工程S23に援用できる。適宜の読み替えは、「螺旋構造161」から「螺旋構造250」への読み替えを含む。
【0092】
次に、第4工程S24において、図10Dに示すように、第1隔壁102に伝熱緩衝筒104を固定する。この固定は、全周溶接により行われる。全周溶接は、上記の所定条件が満たされた状態で開始される。実施の形態2の第4工程S14に関する説明を適宜読み替えた上で、実施の形態2の第4工程S24に援用できる。
【0093】
[2-3.動作]
水素生成装置200は、実施の形態1の水素生成装置100と同様に動作する。
【0094】
[3.実施の形態1及び実施の形態2の利点]
実施の形態1及び実施の形態2の利点について、さらに説明する。
【0095】
蒸発部を製造する際に、拡管加工を採用することを考える。拡管加工では、内側から高い圧力をかけることにより、内側の部品を外側の部品に押しつけ、それらの部品を一体化させる。ただし、高い圧力の印加は、水素生成装置の信頼性を低下させうる。なぜなら、部品の座屈が生じうるためである。また、部品の強度を高めて座屈を防ぐために部品を厚くすると、材料費が増大したり、拡管加工の負荷が増大したりする。
【0096】
これに対し、実施の形態1及び実施の形態2では、縮管工程が行われる。縮管工程では、第1隔壁102が螺旋構造161又は250に向かって収縮することによって第1隔壁102が螺旋構造161又は250に固定される。縮管工程は、拡管加工に比べ、水素生成装置の信頼性を確保する観点から有利である。なぜなら、縮管工程は、第1隔壁102及び螺旋構造161又は250の座屈を生じさせ難いためである。
【0097】
縮管工程を採用する場合、蒸発部を作製した後に伝熱緩衝筒を第1隔壁に拘束するために、伝熱緩衝筒を第1隔壁に溶接することが考えられる。実施の形態1及び実施の形態2でも、溶接が採用されている。
【0098】
伝熱緩衝筒の第1隔壁への溶接において、全周を確実に溶接するには、伝熱緩衝筒の内径と第1隔壁の外径との差を小さくすることが考えられる。しかし、そのようにすると、伝熱緩衝筒を第1隔壁に挿入する際の摩擦が大きくなり、蒸発部の作製に時間がかかる。
【0099】
これに対し、実施の形態1及び実施の形態2では、伝熱緩衝筒104の内径と第1隔壁102の外径との差をある程度大きくする。伝熱緩衝筒104を第1隔壁102に固定する際に、伝熱緩衝筒104が冷える際に伝熱緩衝筒104が収縮する熱収縮作用を利用して、伝熱緩衝筒104を第1隔壁102に固定する。このため、上記の径の差をある程度大きくしても、溶接の信頼性を確保できる。
【0100】
ただし、伝熱緩衝筒の第1隔壁への溶接において、上記の熱収縮を生じさせるに足りる熱を全周を均等に与えると、蒸発部に変形が生じうる。なぜなら、縮管工程後の第1隔壁には螺旋構造に由来する凸部が存在し、凸部の存在により伝熱緩衝筒及び第1隔壁の間のクリアランスが相対的に小さい領域が生じ、その領域に相対的に大きい熱が与えられるためである。変形は、螺旋構造が流路を区画する機能を低下させ、水素生成装置の運転時において蒸発部の水の流れの乱れを生じさせ、蒸発の乱れを生じさせうる。
【0101】
これに対し、実施の形態1及び実施の形態2では、第1溶接の開始位置P1及び終了位置P2は、周方向CDに関して第1隔壁102の凸部102pから離れた位置である。第2溶接の開始位置Q1及び終了位置Q2は、周方向CDに関して凸部102pから離れた位置である。このため、第1隔壁102の凸部102pが原因で第1クリアランスG1が第2クリアランスG2よりも小さい状況において、第1クリアランスG1に面する領域への入熱量を、第2クリアランスG2に面する領域への入熱量よりも小さくすることができる。このため、上記のような変形を抑制できる。また、溶接部穴空き等の溶接不良を抑制できる。
【0102】
このような理由で、実施の形態1及び実施の形態2に係る技術は、水素生成装置の信頼性を確保する観点から有利である。
【0103】
[4.実施の形態1及び実施の形態2に適用可能な技術]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1及び実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。
【0104】
実施の形態1の第4工程S14及び実施の形態2の第4工程S24の溶接として、TIG(Tungsten Inert Gas)、レーザー等による貫通溶接を適用できる。貫通溶接によれば、内筒101及び第1隔壁102を隙間なく接合できる。このため、CO低減部123及びCO除去部124を通流せず空間176へガスが漏れることを抑制できる。このため、水素生成装置100又は水素生成装置200からCO濃度が高い三次水素含有ガスが排出されることを抑制できる。
【0105】
図12Aから図12Dは、溶接の範囲の説明図である。伝熱緩衝筒104は、伝熱緩衝筒104の周りを周回する第1所定領域300を有する。第1溶接において、溶接機180により、第1所定領域300が加熱される。第1所定領域300は、第1領域301及び第2領域302を含む。第1領域301は凸部102pを跨ぐ領域であり、第2領域302は凸部102pを跨がない領域である。また、溶接機180が第2領域302を加熱する回数は、溶接機180が第1領域301を加熱する回数よりも多い。
【0106】
実施の形態1及び実施の形態2では、図12Aに示すように、周方向CDに関し、第2領域302は、第1領域301よりも短い。図12Bから図12Dの例では、周方向CDに関し、第2領域302は、第1領域301よりも長い。図12Bから図12Dの例によれば、第2クリアランスG2が第1クリアランスG1がよりも大幅に大きい場合であっても、溶け込み不足による溶接不良を抑制できる。このことは、水素生成装置の信頼性を確保する観点から有利である。周方向CDに関し、第1領域301の長さに対する第2領域302の長さの比率は、例えば3倍以上であり、5倍以上であってもよく、10倍以上であってもよい。周方向CDに関し、第2領域302の長さは、第1領域301の長さと同じであってもよい。
【0107】
具体的に、図12Aの例では、溶接機180が伝熱緩衝筒104を加熱して溶接する領域(以下、加熱領域)が、角度にして365°以上370°以下の範囲で、周方向CDに周回する。図12Bの例では、第1領域301の2回の溶接が回避されるように、周回方向が途中で反転する。図12C及び図12Dの例では、第1領域301の2回の溶接が回避されるように、加熱領域が第2領域302から第1領域301に入る前に加熱及び溶接が一旦中断され、その後、第1領域301から第2領域302に入った後に加熱及び溶接が再開される。図12Aから図12Dの例では、溶接機180が第1領域301を加熱する回数は、1回である。図12A及び図12Cの例では、溶接機180が第2領域302を加熱する回数は、2回である。図12B及び図12Dの例では、溶接機180が第2領域302を加熱する回数は、3回である。溶接機180が第2領域302のある部分を加熱する回数と、溶接機180が第2領域302の別の部分を加熱する回数と、に差があってもよい。
【0108】
図示は省略するが、伝熱緩衝筒104は、伝熱緩衝筒104の周りを周回する第2所定領域を有する。第2溶接において、溶接機180により、第2所定領域が加熱される。第2所定領域は、第3領域及び第4領域を含む。第3領域は凸部102pを跨ぐ領域であり、第4領域は凸部102pを跨がない領域である。また、溶接機180が第4領域を加熱する回数は、溶接機180が第3領域を加熱する回数よりも多い。実施の形態1及び実施の形態2では、周方向CDに関し、第4領域は、第3領域よりも短い。周方向CDに関し、第4領域は、第3領域よりも長くてもよい。周方向CDに関し、第3領域の長さに対する第4領域の長さの比率は、例えば3倍以上であり、5倍以上であってもよく、10倍以上であってもよい。周方向CDに関し、第4領域の長さは、第3領域の長さと同じであってもよい。
【0109】
ここで、「第1溶接は、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回するように行われる」という表現について説明する。この表現は、第1溶接が、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回し、その後、周回方向が反転することがないように行われる形態を包含する。また、この表現は、第1溶接が、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回し、その後、周回方向が反転するように行われる形態を包含する。図12A図12C及び図12Dの形態が前者の形態であり、図12Bの形態が後者の形態である。
【0110】
また、「第2溶接は、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回するように行われる」という表現について説明する。この表現は、第2溶接が、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回し、その後、周回方向が反転することがないように行われる形態を包含する。また、この表現は、第2溶接が、周方向CDに関して第1隔壁102の周りを1周を超えて周回し、その後、周回方向が反転するように行われる形態を包含する。
【0111】
一例では、周方向CDに関し、第1溶接の開始位置P1及び終了位置P2は、凸部102pの中心から30°以上離れている。一具体例では、周方向CDに関し、第1溶接の開始位置P1及び終了位置P2は、凸部102pの中心から60°以上離れている。また、周方向CDに関し、第2溶接の開始位置Q1及び終了位置Q2は、凸部102pの中心から30°以上離れている。一具体例では、周方向CDに関し、第2溶接の開始位置Q1及び終了位置Q2は、凸部102pの中心から60°以上離れている。
【0112】
(付記)
本開示により、下記の技術が開示される。下記では、「」に示す用語を用いる。「」に示す用語は、実施の形態1及び実施の形態2の用語に以下のように対応しうる。
・「第1筒」は、実施の形態1及び実施の形態2の第1隔壁102に対応しうる。
・「第2筒」は、実施の形態1及び実施の形態2の伝熱緩衝筒104に対応しうる。
・「第3筒」は、実施の形態1の内筒101に対応し、実施の形態2の内筒201に対応しうる。
・「第1空間」は、実施の形態1及び実施の形態2の空間171に対応しうる。
・「第2空間」は、実施の形態1及び実施の形態2の空間174に対応しうる。
・「第3空間」は、実施の形態1及び実施の形態2の空間173に対応しうる。
・「第4空間」は、実施の形態1及び実施の形態2の空間175に対応しうる。
実施の形態1及び実施の形態2の説明において、実施の形態1及び実施の形態2の用語を、「」に示す用語に読み替えてもよい。下記の技術の説明において、「」に示す用語を、実施の形態1及び実施の形態2の用語に読み替えてもよい。用語の対応関係は、これらに限定されない。
【0113】
(技術1)
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成された水素生成装置の製造方法であって、
全周溶接により、前記第1筒に前記第2筒を固定することを含み、
前記全周溶接は、前記凸部を跨ぐように、且つ、前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りを1周を超えて周回するように行われる第1溶接を含み、
前記第1溶接の開始位置及び終了位置は、前記周方向に関して前記凸部から離れた位置である、
製造方法。
【0114】
技術1は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0115】
(技術2)
前記全周溶接は、前記螺旋構造の軸方向に関して前記第1溶接とは異なる位置において、前記凸部を跨ぐように、且つ、前記周方向に関して前記第1筒の周りを1周を超えて周回するように行われる第2溶接を含み、
前記第2溶接の開始位置及び終了位置は、前記周方向に関して前記凸部から離れた位置である、
技術1に記載の製造方法。
【0116】
技術2は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0117】
(技術3)
前記第2筒は、前記第2筒の周りを周回する所定領域を有し、
前記第1溶接において、溶接機により、前記所定領域が加熱され、
前記所定領域は、前記凸部を跨ぐ第1領域と、前記凸部を跨がない第2領域であって前記第1領域に比べて前記溶接機によって加熱される回数が多い第2領域と、を含み、
前記周方向に関し、前記第2領域は、前記第1領域よりも長い、
技術1又は2に記載の製造方法。
【0118】
技術3は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0119】
(技術4)
前記第1筒は、前記凸部に比べて前記径方向の内向きに後退した後退部を含み、
前記製造方法は、所定条件を満たすように前記第2筒及び前記第1筒を配置することを含み、
前記所定条件は、
前記第2筒が前記第1筒を囲むという条件と、
前記凸部と前記第2筒との間に第1クリアランスが存在するという条件と
前記後退部と前記第2筒との間に第2クリアランスが存在するという条件と、
前記第1クリアランスが前記第2クリアランスよりも小さいという条件と、を含み、
前記所定条件が満たされた状態において、前記全周溶接を開始する、
技術1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【0120】
技術4のクリアランスの大小関係は、例えば、螺旋構造に向かって第1筒を収縮させることにより第1筒を螺旋構造に固定する場合に現れる。
【0121】
(技術5)
前記周方向に関し、前記第1溶接の前記開始位置及び前記終了位置は、前記凸部の中心から30°以上離れている、
技術1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【0122】
技術5の構成は、一構成例である。
【0123】
(技術6)
前記凸部が形成されるように、前記螺旋構造に向かって前記第1筒を収縮させることを含む、
技術1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【0124】
技術6は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0125】
(技術7)
前記径方向の内向きの圧力を前記第1筒にかけることにより、前記第1筒を収縮させ、
前記製造方法は、前記第1筒を収縮させた後に、前記第1筒を囲むように前記第2筒を配置することを含む、
技術6に記載の製造方法。
【0126】
技術7は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0127】
(技術8)
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成された水素生成装置の製造方法であって、
前記螺旋構造に向かって前記第1筒を収縮させることと、
収縮した前記第1筒に前記第2筒を固定することと、を含む、製造方法。
【0128】
技術8は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0129】
(技術9)
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成され、
前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第1溶接部が構成され、
前記第1溶接部は、前記凸部を跨ぐ第1部分と、前記凸部を跨がない第2部分と、を含み、
前記第2筒の外周面のうち前記第1部分に沿う部分では、前記外周面のうち前記第2部分に沿う部分に比べ、焼けが進行していない状態にある、
水素生成装置。
【0130】
技術9は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0131】
(技術10)
前記外周面は、前記第1部分に沿う視認可能な第1筋と、前記第2部分に沿う視認可能な第2筋と、を有し、
前記焼けが進行していない状態は、以下の(A)から(E)からなる群より選択される少なくとも1つが成立する状態である、
技術9に記載の水素生成装置。
(A)前記第1筋は、前記第1部分に沿う第1の粗い筋を有し、前記第2筋は、前記第2部分に沿う第2の粗い筋を有し、前記第1の粗い筋の表面粗さRAは、前記外周面のうち、前記螺旋構造の軸方向に関する前記第1の粗い筋の両側の領域の表面粗さRAよりも高く、前記第2の粗い筋の表面粗さRAは、前記外周面のうち、前記軸方向に関する前記第2の粗い筋の両側の領域の表面粗さRAよりも高く、且つ、前記第1の粗い筋の表面粗さRAは、前記第2の粗い筋の表面粗さRAよりも低い。
(B)前記螺旋構造の軸方向に関する前記第1筋の幅は、前記軸方向に関する前記第2筋の幅よりも小さい。
(C)前記第1筋のうち最も黒色が濃い部分の色は、前記第2筋のうち最も黒色が濃い部分の色に比べ、黒色が薄い。
(D)前記第1筋は、前記第1部分に沿う第1の黒色筋を有し、前記第2筋は、前記第2部分に沿う第2の黒色筋を有し、前記螺旋構造の軸方向に関する前記第1の黒色筋の幅は、前記軸方向に関する前記第2の黒色筋の幅よりも小さい。
(E)前記第1筋における酸化被膜は、前記第2筋における酸化被膜よりも薄い。
【0132】
技術10は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0133】
(技術11)
前記第1筒によって囲まれた第3筒を備え、
前記第3筒は、板状体であり、
前記板状体は、前記径方向の外向きに突出する凸構造を有するように曲げられ、
前記螺旋構造は、前記凸構造である、
技術9又は10に記載の水素生成装置。
【0134】
技術11の構成は、一構成例である。
【0135】
(技術12)
前記第1筒によって囲まれた第3筒と、
前記第1筒及び前記第3筒の間に配置され、螺旋状に曲げられた棒状体と、を備え、
前記螺旋構造は、前記棒状体である、
技術9又は10に記載の水素生成装置。
【0136】
技術12の構成は、一構成例である。
【0137】
(技術13)
以下の(J)又は(K)の構成を有する、
技術9から12に記載の水素生成装置。
(J)第1触媒を有する第3空間を備え、
前記第3空間及び前記第2空間は連通し、
前記第1溶接部は、前記第3空間をバイパスして前記第2空間へと流れる流体流を妨げる。
(K)第2触媒を有する第4空間を備え、
前記第2空間及び前記第4空間は連通し、
前記第1溶接部は、前記第2空間から前記第4空間をバイパスして流れる流体流を妨げる。
【0138】
技術13は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0139】
(技術14)
前記周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第2溶接部が構成され、
前記第2溶接部は、前記螺旋構造の軸方向に関して前記第1溶接部とは異なる位置にあり、
前記第2溶接部は、前記凸部を跨ぐ第3部分と、前記凸部を跨がない第4部分と、を含み、
前記外周面のうち前記第3部分に沿う部分では、前記外周面のうち前記第4部分に沿う部分に比べ、焼けが進行していない状態にある、
技術9から13のいずれか一項に記載の水素生成装置。
【0140】
技術14は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0141】
(技術15)
第1触媒を有する第3空間と、
第2触媒を有する第4空間と、を備え、
前記第3空間と、前記第2空間と、前記第4空間と、がこの順に連通し、
前記第1溶接部及び前記第2溶接部の一方は、前記第3空間をバイパスして前記第2空間へと流れる流体流を妨げ、
前記第1溶接部及び前記第2溶接部の他方は、前記第2空間から前記第4空間をバイパスして流れる流体流を妨げる、
技術14に記載の水素生成装置。
【0142】
技術15は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0143】
(技術16)
前記第1部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記螺旋構造の軸方向に関する溶接幅を、第1溶接幅と定義し、
前記第2部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記軸方向に関する溶接幅を、第2溶接幅と定義したとき、
前記第1溶接幅は、前記第2溶接幅よりも小さい、
技術9から15のいずれか一項に記載の水素生成装置。
【0144】
技術16は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【0145】
(技術17)
螺旋構造と、
前記螺旋構造を囲み、前記螺旋構造と協働して螺旋状の第1空間を区画する第1筒であって、前記螺旋構造に沿って延び前記螺旋構造の径方向の外向きに突出する筋状の凸部を含む第1筒と、
前記第1筒を囲み、前記第1筒と協働して第2空間を区画する第2筒と、を備え、
前記第1空間及び前記第2空間を含み、前記第1空間において水が蒸発し、水素を含むガスが出力される流路が構成され、
前記螺旋構造の周方向に関して前記第1筒の周りの全周にわたって、前記第1筒に前記第2筒が溶接された第1溶接部が構成され、
前記第1溶接部は、前記凸部を跨ぐ第1部分と、前記凸部を跨がない第2部分と、を含み、
前記第1部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記螺旋構造の軸方向に関する溶接幅を、第1溶接幅と定義し、
前記第2部分における前記第1筒及び前記第2筒の間の前記軸方向に関する溶接幅を、第2溶接幅と定義したとき、
前記第1溶接幅は、前記第2溶接幅よりも小さい、
水素生成装置。
【0146】
技術17は、信頼性のある水素生成装置を実現することに適している。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示は、内部壁面に凝縮により結露水が発生する容器に適用可能である。具体的には、一酸化炭素濃度が低い水素含有ガスを生成する水素生成装置や、不純物を除いてから水素ガスを供給する燃料電池発電装置や水素精製システム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
100、200 水素生成装置
101、201 内筒(第3筒)
102 第1隔壁(第1筒)
102d 後退部
102p 凸部
104 伝熱緩衝筒(第2筒)
104s 外周面
105 溶接機
120 加熱部
121 蒸発部
122 改質部
123 CO低減部
124 CO除去部
125 伝熱緩衝空間
130 燃焼筒
131 第2隔壁
132 区画部材
133 空気供給管
134 混合部
140 燃焼排ガス流路
141 リターン流路
145 供給管
150 伝熱緩衝空間入口
151 吹き出し穴
152 第1絞り部
153 下端部
154、155 出口管
161、250 螺旋構造
162 下側構造
169 基準平面
171 空間(第1空間)
172 空間
173 空間(第3空間)
174 空間(第2空間)
175 空間(第4空間)
176 空間
177 空間
180 溶接機
181、182 溶接部
181a、181b、182a、182b 部分
191a、191ap、191aq、191ar、191as、191at、191b、191bp、191bq、191br、191bs、191bt、192a、192ap、192aq、192ar、192as、192at、192b、192bp、192bq、192br、192bs、192bt 筋
261 上側構造
300 第1所定領域
301、302 領域
AD 軸方向
CD 周方向
RD 径方向
O 軸
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図12D