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特開2024-122191飛行移動体及び飛行移動体を備えた液体吐出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122191
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】飛行移動体及び飛行移動体を備えた液体吐出システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240902BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20240902BHJP
   B64C 17/02 20060101ALI20240902BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20240902BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240902BHJP
   G05D 1/49 20240101ALI20240902BHJP
   B64U 101/45 20230101ALN20240902BHJP
【FI】
A01M7/00 H
B64U10/13
B64C17/02
B64C13/18 Z
G05D1/10
G05D1/08
B64U101:45
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029607
(22)【出願日】2023-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】522170788
【氏名又は名称】株式会社Flight PILOT
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】川上 貴之
【テーマコード(参考)】
2B121
5H301
【Fターム(参考)】
2B121CB25
2B121CB37
2B121CB47
2B121CB61
2B121CB66
2B121EA21
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB01
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液体吐出ユニットから吐出された液体が他の物体に当たって生じた反力を受けても、安定した飛行を行うことができる飛行移動体、及びこの飛行移動体を備えた液体吐出システムを提供する。
【解決手段】飛行移動体1は、重心G1の位置及び本体の傾きを計測可能な計測部と、計測部による計測データに基づいて飛行移動体1の飛行を制御する制御部と、本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口Jを有する液体吐出ユニット4と、を備え、液体吐出口Jは重心G1よりも下側に離間して配置され、重心G1と液体吐出口Jから吐出された液体の吐出方向の仮想延長線とは第1距離LLだけ離間して配置され、制御部は、液体吐出口Jから液体が吐出されているとき、本体の傾きは修正せずに、計測部により測定された重心G1の位置に基づいて、平面視において重心G1が所定の位置に留まるように飛行移動体1の飛行を制御する。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の重心の位置及び前記本体の傾きを計測可能な計測部と、
前記計測部による計測データに基づいて前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出口は前記重心よりも下側に離間して配置され、前記重心と前記液体吐出口から吐出された液体の吐出方向の仮想延長線とは第1距離だけ離間して配置され、
前記制御部は、前記液体吐出口から液体が吐出されているとき、前記本体の傾きは修正せずに、前記計測部により測定された前記重心の位置に基づいて、平面視において前記重心が所定の位置に留まるように前記飛行移動体の飛行を制御することを特徴とする飛行移動体。
【請求項2】
複数の前記回転翼ユニットの回転中心軸が、前記重心の位置からそれぞれ第2距離だけ離間して配置され、
前記第1距離が、前記第2距離の2/3倍以上かつ前記第2距離の3/2倍以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の飛行移動体。
【請求項3】
前記液体吐出ユニットに、前記液体吐出口から液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニットが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の飛行移動体。
【請求項4】
吐出する液体が前記液体吐出ユニット内の流路を流れるときの液圧により、前記反力回転翼ユニットの回転翼が回転することを特徴とする請求項3に記載の飛行移動体。
【請求項5】
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出ユニットに、前記液体吐出口から液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニットが備えられていることを特徴とする飛行移動体。
【請求項6】
回転翼ユニットまたは反力回転翼ユニットは、回転翼と、前記回転翼を覆う筒状体と、を含むことを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の飛行移動体。
【請求項7】
請求項1から5の何れか1項に記載の飛行移動体と、
ホースを介して液体吐出ユニットに液体を供給する液体送出装置と、
を備えたことを特徴とする液体吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出可能な飛行移動体、及びこの飛行移動体を備えた液体吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンをはじめとする飛行移動体に液体を吐出するノズルを取り付けて、ソーラーパネルや建物の壁の洗浄、農薬の散布等に用いることが試みられている。その中には、飛行移動体の各回転翼の下側にノズルを配置して、各ノズルから下向きに農薬を散布する飛行移動体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-12884号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の飛行体では、各ノズルから下向きに農薬を散布するので、平面視において、ノズルからの液体の吐出により、飛行移動体の飛行に大きな影響を与えることはない。しかし、仮に建物の垂直な面を洗浄するために、ノズルから横向きに液体を吐出した場合、吐出された液体が垂直な面に当たった反力で、平面視において飛行移動体の飛行に大きな影響を与える。制御部が、平面視において飛行位置を元に戻すフィードバック制御を行うと、オーバーシュートが生じて、長い時間フィードバック制御が収束しない虞がある。
【0005】
よって、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、液体吐出ユニットから吐出された液体が他の物体に当たって生じた反力を受けても、安定した飛行を行うことができる飛行移動体、及びこの飛行移動体を備えた液体吐出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の1つの態様は、
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の重心の位置及び前記本体の傾きを計測可能な計測部と、
前記計測部による計測データに基づいて前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出口は前記重心よりも下側に離間して配置され、前記重心と前記液体吐出口から吐出された液体の吐出方向の仮想延長線とは第1距離だけ離間して配置され、
前記制御部は、前記液体吐出口から液体が吐出されているとき、前記本体の傾きは修正せずに、前記計測部により測定された前記重心の位置に基づいて、平面視において前記重心が所定の位置に留まるように前記飛行移動体の飛行を制御する飛行移動体である。
【0007】
本発明のその他の態様は、
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出ユニットに、前記液体吐出口から液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニットが備えられている飛行移動体である。
【0008】
本発明の更なる態様は、
上記の飛行移動体と、
ホースを介して液体吐出ユニットに液体を供給する液体送出装置と、
を備えた液体吐出システムである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本態様では、液体吐出ユニットから吐出された液体が他の物体に当たって生じた反力を受けても、安定した飛行を行うことができる飛行移動体、及びこの飛行移動体を備えた液体吐出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の1つの実施形態に係る液体吐出ユニットを備えた飛行移動体の水平飛行時の模式的上面斜視図である。
図2図1に示す飛行移動体の模式的上面図である。
図3図1に示す飛行移動体の模式的正面図である。
図4図1に示す飛行移動体の模式的側面図である。
図5図1に示す飛行移動体のシステム構成を示すブロック線図である。
図6A】反力を受けたときの第1距離と飛行移動体の飛行状態との関係を模式的に示す図であって、第1距離が長い場合を示す図である。
図6B】反力を受けたときの第1距離と飛行移動体の飛行状態との関係を模式的に示す図であって、第1距離が短い場合を示す図である。
図7】本発明の液体吐出ユニットを備えたその他の実施形態に係る飛行移動体の水平飛行時の模式的上面斜視図である。
図8A】反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットの第1の例を模式的に示す側面断面図である。
図8B】反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットの第2の例を模式的に示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施態様、実施形態及び実施例を説明する。なお、以下に説明する飛行移動体は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態または実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態、実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態、実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態、実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0012】
本明細書において、飛行移動体の「前(正面)」は、例えば、飛行移動体を制御する装置において、飛行移動体の「前(正面)」と定義される方向(面)である。また、飛行移動体の「前(正面)」は、例えば、飛行移動体が前進する場合の飛行方向であってもよい。本明細書における「左右方向」、「前後方向」、及び「上下方向」はそれぞれ、水平飛行時の飛行移動体における「左右方向」、「前後方向」、及び「上下方向」を意味する。「左右方向」、「前後方向」、及び「上下方向」とは、互いに直交する。飛行移動体の「左」及び「右」はそれぞれ、飛行移動体の「側面」又は「側方」と称する場合がある。本明細書における「水平方向」とは、「前後方向」、及び、「左右方向」を含む面上に延在する方向を意味する。また、本明細において、飛行移動体の外側(外周)から内側(中心)に向かう方向を内向き、内側(中心)から外側(外周)に向かう方向を外向きと称することがある。
【0013】
(本発明の1つの実施形態に係る飛行移動体)
はじめに図1から図4を参照しながら、液体吐出ユニットを備えた本発明の1つの実施形態に係る飛行移動体の説明を行う。図1は、液体吐出ユニットを備えた本発明の1つの実施形態に係る飛行移動体の水平飛行時の模式的上面斜視図である。図2は、図1に示す飛行移動体の模式的上面図であり、図3は、図1に示す飛行移動体の模式的正面図であり、図4は、図1に示す飛行移動体の模式的側面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る飛行移動体1は、本体3と、本体3に取り付けられた複数の回転翼ユニット2と、を備える。回転翼ユニット2は下方に推進力が生じ、これにより飛行移動体1は上昇して飛行を行うことができきる。飛行移動体1は、例えば、ドローン、ボロコプター、マルチコプター等のエアモビリティである。図1では、4つの回転翼ユニット2を備えた所謂クワッドコプターの場合を例示している。
【0015】
<本体>
本体3は、例えば、制御部、信号送受信機、センサ、バッテリ、配線基板等、飛行移動体1の飛行に必要な構成要素を備える。本体3は、例えば、本体3の外形形状を画定する筐体を含む。上記の飛行移動体1の飛行に必要な構成要素は、例えば、筐体に内蔵される。
【0016】
図1に示すように、本体3は、例えば、中心体31と、中心体31から水平方向に延びるアーム32と、を含む。アーム32は、例えば、中心体31から離れる方向に延在する平板形状である。中心体31とアーム32とは、一体形成されていてもよいし、別部材であってもよい。
【0017】
アーム32の外端部には、後述の回転翼ユニット2が取り付けられる。アーム32が複数設けられる場合、複数のアーム32それぞれの水平方向における長さは、等しくてよい。複数のアーム32は、例えば、図2に示すように、平面視において、所定の一点P1を中心点とした円周上に等間隔に配置されている。本体3は、平面視において、所定の一点P1に対して回転対称性を有する形状であってもよい。所定の一点P1は、例えば、平面視において、本体3の重心G1と重なる点である。
【0018】
図1に示すように、本体3は、レッグ33を含む。レッグ33は、飛行移動体1が接地する際に、飛行移動体1を支えることができる。レッグ33は、例えば、本体3の下部に配置されている。レッグ33は、本体3と一体形成されていてもよいし、本体3とは別部材であってもよい。なお、本体3が筐体を備える場合、レッグ33は筐体から露出していてよい。
【0019】
<回転翼ユニット>
図1に示すように、回転翼ユニット2は、2枚の回転翼21、22と、回転翼21、22を回転させる回転駆動部23を備える。回転駆動部23として、本体3の中心体31に収納されたバッテリから給電される電動モータを例示できる。
【0020】
図2に示すように、複数の回転翼ユニット2は、例えば、平面視において、上述の所定の一点P1を中心点とした円周上に等間隔に配置されている。具体的には、各回転翼ユニット2の重心が、所定の一点P1を中心点とした円周上に等間隔に配置されている。各回転翼ユニット2の重心は、同一平面上に位置する。よって、本体3に複数の回転翼ユニット2が取り付けられた飛行移動体1の重心G1の位置は、平面視において(図2参照)、所定の一点(中心点)P1と重なる。また、飛行移動体1の重心G1の位置は、側面視において(図3、4参照)、中心体31及びアーム32の中央位置に一致する。
【0021】
図4に示すように、回転翼ユニット2の回転中心軸A1、A2と、重心G1を通る回転中心軸A1、A2と平行な線S1とは、第2距離L2だけ離間している。つまり、複数の回転翼ユニット2の回転中心軸A1が、重心G1の位置からそれぞれ第2距離L2だけ離間して配置されている。
【0022】
<液体吐出ユニット>
また、図1に示すように、本体3には、液体を吐出する液体吐出口Jを有する液体吐出ユニット4が取り付けられている。液体吐出ユニット4は、液体吐出口Jを有する管部41と管部41を支持し、レッグ33に取り付けられる支持部42とを備える。管部41は、例えば、ホース71を介して、液体送出装置7に接続されている。液体送出装置7は、液体が蓄えられたタンク部と、タンク部内の液体を吐出する高圧ポンプと、高圧ポンプを制御する制御部を有する。液体送出装置7を地上に設置し、ホース71を介して液体送出装置7と繋がった液体吐出ユニット4が取り付けられた飛行移動体1を飛行させた状態で、液体送出装置7を稼働させることにより、液体送出装置7に蓄えられた液体を、上空に位置する液体吐出ユニット4の液体吐出口Jから吐出することができる。
【0023】
液体送出装置7として、既知の農薬散布装置や高圧洗浄装置を例示できる。液体送出装置7が高圧洗浄装置の場合には、液体は洗浄液であり、例えば、植物性非イオン系界面活性剤を含む界面活性剤と、次亜塩素酸ナトリウムと、アルカリ剤と、を含有することが考えられる。飛行した飛行移動体1から、洗浄液を吐出することにより、ソーラーパネルや建物の壁等、清掃の困難な高所に位置する面部を容易に清掃することができる。
【0024】
図4に示すように、本実施形態では、2つの液体吐出口Jが本体3よりも下方に配置されている。ただし、液体吐出口Jの数は2に限られるものではなく、1以上任意の数の液体吐出口を備えることができる。飛行移動体1の水平飛行時に、液体吐出口Jから前側水平方向(矢印D1参照)に液体が吐出される。
【0025】
図4に示すように、液体吐出口Jは飛行移動体1の重心G1よりも下側に離間して配置され、重心G1と液体吐出口Jから吐出された液体の吐出方向D1の仮想延長線とは第1距離L1だけ離間している。飛行中の飛行移動体1から洗浄液を吐出して、ソーラーパネルや建物の壁等に吐出液を当てたとき、飛行移動体1が反力を受けて飛行が乱れる可能性がある。これに関し、第1距離L1と飛行移動体1の飛行状態との関係について、追って詳細に述べる。
【0026】
(飛行移動体のシステム構成)
次に、図5を参照しながら、本実施形態に係る飛行移動体1のシステム構成を説明する。図5は、図1に示す飛行移動体のシステム構成を示すブロック線図である。飛行移動体1の本体3の中心体31に制御部6が配置されている。制御部6は計測部5から受信した信号に基づいて、各々の回転翼ユニット2の回転駆動部23の駆動制御を行う。これにより、各回転翼21、22の回転方向、回転速度を独立して制御することができる。時計回り及び反時計回りに回転する各回転翼21、22の回転速度を独立して制御することにより、飛行移動体1のローリング、ヨーイング、ピッチングを制御することができる。飛行移動体1の飛行動作としては、前進、後退、右旋回、左旋回、上昇、下降、ホバリング等が含まれる。
【0027】
計測部5には、少なくとも、飛行移動体1の速度変化を検出する加速度センサ、飛行移動体1の角度変化量により機体の傾きや向きを検出するジャイロセンサ、及び複数の衛星からの信号を受信して位置を検出するGPS受信部が備えられている。GPS受信部は、飛行移動体1の重心G1の位置に配置され、制御部6は、飛行移動体1の重心G1の位置が所定の位置になるように、回転駆動部23の駆動制御を行う。
【0028】
飛行移動体1は、無線電波を介して飛行などの移動に関する信号を外部装置に送受信しても良い。また、飛行移動体1は、接続線を介して外部装置に接続され、その接続線を介して飛行などの移動に関する信号を送受信しても良い。
外部装置は、例えば、飛行移動体1の飛行を制御する制御端末である。また、外部装置は、気象情報、地図情報、緊急情報等の飛行移動体1の飛行に必要な情報を提供する情報提供装置等である。
【0029】
(第1距離と飛行移動体の飛行状態との関係)
次に、図6A及び図6Bを参照しながら、飛行移動体1の重心G1と液体吐出口Jから吐出された液体の吐出方向の仮想延長線と間の第1距離と、液体吐出口Jから吐出された液体が壁等に当たって受ける反力による飛行移動体の飛行状態との関係を説明する。図6A及び図6Bは、反力を受けたときの第1距離と飛行移動体の飛行状態との関係を模式的に示す図であって、図6Aは、第1距離が長い場合を示す図であり、図6Bは、第1距離が短い場合を示す図である。図6A及び6Bでは、飛行移動体が水平に飛行し、液体吐出口Jから液体が水平に吐出されて、垂直な面部Wに当たった場合を示す。図面では、液体の流れを破線の矢印で模式的に示す。また、図面では、反力Rを受けて移動した後の飛行移動体を破線で示してある。
【0030】
図6Aは、液体吐出ユニット4が飛行移動体1の重心G1よりも下方に離間して配置された本実施形態に係る飛行移動体1を示す。一方、図6Bには、液体吐出ユニットが飛行移動体1’の重心G1’に近接して配置された比較例を示す。よって、図6Aに示す第1距離をLLとし、図6Bに示す第1距離をLSとすると、LS<LLの関係を有する。
【0031】
飛行移動体1(1’)が飛行中に液体吐出ユニット4(4’)の液体吐出口J(J’)から吐出された液体が面部Wに当たったとき、飛行移動体1(1’)は反力R(R’)を受ける。ここで、飛行移動体1(1’)を剛体とみなすと、飛行移動体1(1’)は、反力R(R’)により、重心G1(G1’)における並進運動と、重心G1(G1’)を回転中心とする回転運動を行う。
【0032】
図6Aに示す本実施形態では、第1距離LLが長いので、反力Rにより大きな回転トルクR×LLが生じる。このため、水平飛行していた飛行移動体1は、重心G1の回りを角度θだけ回転する。第1距離LLが長いので、回転時の飛行移動体1の断面二次モーメントIも大きく、大きな回転エネルギ(=1/2×I×ω、ω:角速度)を消費する。このため、反力Rで加えられたエネルギの多くが回転エネルギに消費され、飛行移動体1の重心G1は、並進運動であまり移動しない。よって、飛行移動体1の並進運動前後における重心G1の移動距離TSは小さいものとなる。
【0033】
一方、図6Bに示す比較例では、第1距離LSが短い、つまり飛行移動体1’の重心G1’の近くの位置で反力Rが加わるので、反力Rによるエネルギの多くが、重心G1’の並進運動に使われる。このため、飛行移動体1’の重心G1’は、並進運動で大きく移動する。よって、飛行移動体1’の並進運動前後における重心G1’の移動距離TLは大きなものとなる。
【0034】
図6Bに示すように、反力Rで飛行移動体1’の重心G1’が面部Wから大きく離れるように動いた場合には、飛行移動体1’の制御部は、元の位置に戻すため、飛行移動体1’の重心G1’が面部Wに近づくように、回転翼ユニットの回転駆動部を駆動制御する。長い移動距離TLを戻すフィードバック制御となるため、オーバーシュートが生じる虞が高い。このため、飛行移動体1’は、しばらく釣鐘のように、水平方向に往復運動を繰り返すことになる。場合によっては、長時間、フィードバック制御のオーバーシュートが収束しない場合もあり得る。
【0035】
一方、図6Aに示すような本実施形態に係る飛行移動体1では、制御部6は、本体3の傾きθは修正せずに、飛行移動体1の重心G1が並進運動で動いた短い距離TSの分だけ元の位置に戻すように、回転翼ユニット2の回転駆動部23を駆動制御する。その場合、移動距離TSが小さいので、オーバーシュートが生じることなく速やかに元の位置に戻すことができ、フィードバック制御は収束する。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る飛行移動体1は、本体3に下方に推進力を生じる複数の回転翼ユニット2が取り付けられた飛行移動体1であって、飛行移動体1の重心G1の位置及び本体3の傾きを計測可能な計測部5と、計測部5による計測データに基づいて飛行移動体1の飛行を制御する制御部6と、本体3に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口Jを有する液体吐出ユニット4と、を備え、液体吐出口Jは重心G1よりも下側に離間して配置され、重心G1と液体吐出口Jから吐出された液体の吐出方向の仮想延長線とは第1距離LLだけ離間して配置され、制御部6は、液体吐出口Jから液体が吐出されているとき、本体3の傾きは修正せずに、計測部5により測定された重心G1の位置に基づいて、平面視において重心G1が所定の位置に留まるように飛行移動体1の飛行を制御する。
【0037】
これにより、反力Rを受けても、平面視において一定の位置に留まるように飛行移動体1の飛行を制御できる。よって、液体吐出ユニット4から吐出された液体が他の物体Wに当たって生じた反力Rを受けても、安定した飛行を行うことができる飛行移動体1を提供できる。
【0038】
本実施形態に係る飛行移動体1では、本体3の傾きにより、液体吐出口Jからや斜め下向きに液体が吐出されるが、飛行移動体1の飛行位置をやや高く制御することにより、面部Wの所望の位置に液体を当てることができる。これにより、平面視において重心G1が所定の位置に留まる状態で、飛行移動体1を上下に移動させることにより、面部Wの上下全域に液体を当てることができる。更に、液体が当たる幅だけ、横方向に面部Wと平行な方向に飛行移動体1を移動させて、飛行移動体1を上下に移動させることにより、横に隣接する領域の面部Wの上下全域に液体を当てることができる。これを繰り返すことにより、確実に面部W全域に液体を当てることができる。液体が洗浄液であれば、確実に面部W全域を洗浄できる。
【0039】
反力で飛行移動体1が並進運動する距離を小さくする観点からは、液体吐出口Jから吐出された液体が面部Wに当たって生じる反力Rによるエネルギを、本体3の回転エネルギでより多く使うのが好ましい。よって、重心G1と液体吐出口Jから吐出された液体の吐出方向の仮想延長線との間の第1距離L1は、長い方が好ましい。この第1距離L1を様々に変更して、飛行移動体1を飛行させ、面部Wに液体を当てて飛行の制御を行う試験を繰り返した。その結果、第1距離L1が、回転翼ユニット2の回転中心軸A1及び重心G1の間の第2距離L2の2/3以上あれば、オーバーシュートが生じることなく、平面視において重心G1が所定の位置に留まるように飛行移動体1の飛行を制御できることが判明した。
【0040】
一方、液体吐出ユニット4がレッグ33の底面よりも下方に位置する場合には、着陸時に液体吐出ユニット4を破損させる虞がある。よって、液体吐出ユニット4をレッグ33の底面よりも上方に配置するのが好ましい。それを考慮すると、第1距離LLが、第2距離L2の3/2以下であるのが好ましいといえる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る飛行移動体1は、複数の回転翼ユニット2の回転中心軸A1が、重心G1の位置からそれぞれ第2距離L2だけ離間して配置され、第1距離L1が、第2距離L2の2/3倍以上かつ第2距離L2の3/2倍以下の範囲にあるのが好ましい。
【0042】
第1距離L1がこの範囲内にあることにより、確実に平面視において重心G1が所定の位置に留まるように飛行移動体1の飛行を制御できるとともに、実用的なコンパクトな飛行移動体1を実現できる。ただし、レッグ33を更に下方に伸ばすことにより、第1距離LLを第2距離L2の3/2より大きくすることもできる。その場合、第1距離L1が、第2距離L2の2/3倍以上かつ第2距離L2の2倍以下の範囲にあることを例示できる。
【0043】
(本発明のその他の実施形態に係る飛行移動体)
次に、図7を参照しながら、液体吐出ユニットを備えた本発明のその他の実施形態に係る飛行移動体の説明を行う。図7は、液体吐出ユニットを備えた本発明のその他の実施形態に係る飛行移動体の水平飛行時の模式的上面斜視図である。
【0044】
図1に示す本発明の1つの実施形態に係る移動飛行隊1では、回転翼21、22が外部に露出しているが、本実施形態に係る移動飛行隊101では、回転翼ユニット102が、回転翼121と、回転翼121を覆う筒状体122とを含む軸流ファンになっている点で異なる。筒状体122の中に、電動モータである回転翼121を回転させる駆動部123が配置されている。筒状体122で覆われた軸流ファンにより、強い推進力を得ることができる。
【0045】
特に、図7に示すように、回転翼121の回転中心軸が延在する軸方向B1は、上下方向Zと交差する。複数の回転翼ユニット102それぞれにおける軸方向B1が、上下方向Zに対して第1角度α1で公差している。第1角度α1は、例えば、1.4°以上8.5°以下であり、好ましくは、4.2°以上7.1°以下である。第1角度α1が1.4°以上8.5°以下であると、水平飛行時の飛行移動体1の揺れが抑制される。第1角度α1が4.2°以上7.1°以下であると、水平飛行時の飛行移動体1の揺れがより抑制され、静止することができる。
【0046】
以上のように、回転翼ユニット102が、回転翼121と、回転翼121を覆う筒状体122とを含む場合には、強い推進力を得るとともに、飛行時の揺れが抑制された飛行移動体1を提供できる。
【0047】
(反力回転翼ユニット)
上記のように、重心G1と液体吐出口Jから吐出された液体の吐出方向の仮想延長線との間の第1距離L1を十分な長さにすることにより、平面視において重心G1が所定の位置に留まるように飛行移動体の飛行を制御することができる。このとき、本体3の傾きにより、液体吐出口Jからや斜め下向きに液体が吐出されるが、本体3の傾きは小さい方が好ましい。
【0048】
次に、図8A及び図8Bを参照しながら、反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットを有する飛行移動体の説明を行う。図8Aは、反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットの第1の例を模式的に示す側面断面図である。図8Bは、反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットの第2の例を模式的に示す側面断面図である。図面では、液体の流れを破線の矢印で模式的に示す。
【0049】
<反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットの第1の例>
第1の例では、液体吐出ユニット4の管部41に、液体吐出口Jから液体が吐出される方向に推進力Fが生じる反力回転翼ユニット202が取り付けられている。反力回転翼ユニット202は、回転翼221、回転翼221を回転させる回転駆動部222と、を備える。回転駆動部222として、本体3の中心体31に収納されたバッテリから給電される電動モータを例示できる。
【0050】
液体吐出口Jから吐出された液体が面部Wに当たって反力Rが生じたとき、制御部6は、反力回転翼ユニット202の回転駆動部222を駆動させて、回転翼221を回転させる制御を行う。これにより、反力回転翼ユニット202の推進力Fが、反力Rを相殺する方向に加わる。仮に、反力回転翼ユニット202の推進力Fが反力Rに近似していれば、反力Rの影響を極めて小さくすることができる。そのため、本体3の傾きは、極めて小さくなる。
【0051】
飛行移動体1に加わる反力Rの大きさは、液体吐出口Jからの液体の吐出圧に相関すると考えられるので、制御部6は、センサで検出した液体吐出ユニット4内の流路の液圧に応じて、反力回転翼ユニット202の駆動制御を行うことが好ましい。
【0052】
このように、液体吐出ユニット4に、液体吐出口Jから液体が吐出される方向に推進力Fを生じる反力回転翼ユニット202が備えられている場合には、本体3の傾きが小さくなり、液体吐出口Jからの液体の吐出方向がより水平に近くなる。これにより、液体を的確に面部Wに当てることができる。それともに、反力Rの影響が小さくなるので、液体の吐出時に、平面視において一定の位置に留まる状態で飛行移動体1を飛行させる制御が極めて容易になる。
【0053】
<反力回転翼ユニットが備えられた液体吐出ユニットの第2の例>
上記の第1例では、反力回転翼ユニット202の回転翼221が電動モータで回転するが、第2の例では、吐出する液体が液体吐出ユニット4内の流路41Aを流れるときの液圧により、反力回転翼ユニット302の回転翼321が回転する点で異なる。
【0054】
更に詳細に述べれば、回転翼321の回転軸323が、液体吐出ユニット4の管部41の流路41A内に延びている。流路41A内に延びた回転軸323には、スクリュー322が取り付けられている。液圧が加わった液体が流路41A内を流れて、スクリュー322の位置を通過するとき、スクリュー322が取り付けられた回転軸323が回転し、これにより回転翼321が回転する。
【0055】
図示するように、スクリュー322は複数段設けることができる。スクリュー322により得られた回転を、変速機を介して回転翼321に伝えることもできる。更に、スクリュー322ではなく、羽根車等により、流路41A内の液体の流れを回転翼321の回転に変えることもできる。更に、液体の流れを回転運動に換えることができるその他の任意の変換機構を採用することができる。
【0056】
以上のように、第2の例では、吐出する液体が液体吐出ユニット4内の流路41Aを流れるときの液圧により、反力回転翼ユニット302の回転翼321が回転するようになっている。
【0057】
上記のように、飛行移動体1に加わる反力Rの大きさは、液体吐出口Jからの液体の吐出圧に相関すると考えられる。例2では、吐出圧にほぼ一致する液体が流路41Aを流れるときの液圧により、反力回転翼ユニット302の回転翼321が回転する。つまり、液圧が高い場合には、液体吐出口Jから液体が高速で吐出されるので、大きな反力Rが生じる。このとき、液圧が高いので、反力回転翼ユニット302の回転翼321は高速に回転し、大きな推進力Fが得られる。一方、液圧が低い場合には、液体吐出口Jからの液体が低速で吐出されるので、生じる反力Rは小さい。このとき、液圧が低いので、反力回転翼ユニット302の回転翼321は低速に回転し、推進力Fは小さい。
【0058】
以上のように、吐出する液体が液体吐出ユニット4内の流路41Aを流れるときの液圧により、反力回転翼ユニット302の回転翼321が回転する場合には、特別な制御を行うことなく、飛行移動体1に加わる反力Rの大きさに応じた反力回転翼ユニット302の推進力Fを得ることができる。
【0059】
なお、第2の例では、液体吐出口Jから液体が吐出された場合には、流路41A内の液圧により、常に反力回転翼ユニット302の回転翼321が回転する。よって、第2の例では、液体吐出口Jから吐出された液体が面部Wに当たる位置に飛行移動体1がきた時点で、液体送出装置7の高圧ポンプを稼働させて液体を吐出させるのが好ましい。
【0060】
なお、液体吐出ユニット4内の流路を分岐して、分岐した流路の液圧で回転翼321を回転させることもできる。その場合には、バルブ等で分岐側に液圧がかからないようにすることにより、液体吐出口Jから液体が吐出された状態で、回転翼321が回転しないようにすることもできる。
【0061】
以上のように、第2の例では、特別な制御を行うことなく、第1の例と同様に、本体3の傾きが小さくなり、液体吐出口Jからの液体の吐出方向がより水平に近くなるとともに、より容易かつ確実に、平面視において一定の位置に留まる状態で飛行移動体1を飛行させることができる。
【0062】
なお、液体吐出口Jから吐出された液体が当たる面部Wが凹凸の少ない平面の場合には、液体吐出口Jからの吐出圧が一定であれば、反力Rもほぼ一定になると考えられる。よって、上記の第1の例に示す反力回転翼ユニット202、または第2の例に示す反力回転翼ユニット302により、推進力Fを反力Rに近似させることができる。その場合には、図6Bに示すように、液体吐出ユニット4を飛行移動体1の重心G1に近接して配置することもできるし、制御部6が通常の飛行制御を行うこともできる。
【0063】
つまり、そのような場合には、液体吐出口Jを重心G1から離間して配置する必要はなく、本体3の傾きは修正せずに、平面視において重心G1が所定の位置に留まるようにする上記の制御も必要なくなる。
【0064】
その場合には、本体3に複数の回転翼ユニット2が取り付けられた飛行移動体1であって、飛行移動体1の飛行を制御する制御部6と、本体3に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口Jを有する液体吐出ユニット4と、を備え、液体吐出ユニット4に、液体吐出口Jから液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニット202、302が備えられた飛行移動体1を提供できる。
【0065】
これにより、反力Rを受けても、平面視において一定の位置に留まるように飛行移動体1の飛行を制御できる。よって、反力回転翼ユニット202、302により、液体吐出ユニット4から吐出された液体が他の物体Wに当たって生じた反力Rを受けても安定した飛行を行うことができる飛行移動体1を提供できる。
【0066】
なお、回転翼ユニット102だけなく、反力回転翼ユニット202、302においても、回転翼と、回転翼を覆う筒状体とを含む軸流ファンを採用することができる。これにより、強い推進力Fを実現できる。
【0067】
(液体吐出システム)
上記のような飛行移動体1と、ホース71を介して液体吐出ユニット4に液体を供給する液体送出装置7(図1参照)と、を備えた液体吐出システム100においても、液体吐出ユニット4から吐出された液体が他の物体Wに当たって生じた反力Rを受けても飛行移動体1を安定して飛行させることができる。
【0068】
(全般)
本発明の第1の態様は、
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の重心の位置及び前記本体の傾きを計測可能な計測部と、
前記計測部による計測データに基づいて前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出口は前記重心よりも下側に離間して配置され、前記重心と前記液体吐出口から吐出された液体の吐出方向の仮想延長線とは第1距離だけ離間して配置され、
前記制御部は、前記液体吐出口から液体が吐出されているとき、前記本体の傾きは修正せずに、前記計測部により測定された前記重心の位置に基づいて、平面視において前記重心が所定の位置に留まるように前記飛行移動体の飛行を制御する飛行移動体である。
【0069】
本発明の第1の態様は、第1の実施態様において、
複数の前記回転翼ユニットの回転中心軸が、前記重心の位置からそれぞれ第2距離だけ離間して配置され、
前記第1距離が、前記第2距離の2/3倍以上かつ前記第2距離の3/2倍以下の範囲にある飛行移動体である。
【0070】
本発明の第3の実施態様は、第1または第2の実施態様において、
前記液体吐出ユニットに、前記液体吐出口から液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニットが備えられている飛行移動体である。
【0071】
本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、
吐出する液体が前記液体吐出ユニット内の流路を流れるときの液圧により、前記反力回転翼ユニットの回転翼が回転する飛行移動体である。
【0072】
本発明の第5の実施態様は、
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出ユニットに、前記液体吐出口から液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニットが備えられている飛行移動体である。
【0073】
本発明の第6の実施態様は、第1から第5の何れかの実施態様において、
回転翼ユニットまたは反力回転翼ユニットは、回転翼と、前記回転翼を覆う筒状体と、を含む飛行移動体である。
【0074】
本発明の第7の実施態様は、
第1から第6の何れかの実施態様に係る飛行移動体と、
ホースを介して液体吐出ユニットに液体を供給する液体送出装置と、
を備えた液体吐出システムである。
【0075】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0076】
1、1’ 飛行移動体
2 回転翼ユニット
21、22 回転翼
23 回転駆動部
3 本体
31 中心体
32 アーム
33 レッグ
4、4’ 液体吐出ユニット
41、41’ 管部
41A 流路
42 支持部
5 計測部
6 制御部
7 液体送出装置
71 ホース
100 液体吐出システム。
102 回転翼ユニット
121 回転翼
122 筒状体
123 駆動部
202 反力回転翼ユニット
221 回転翼
222 回転駆動部
302 反力回転翼ユニット
321 回転翼
322 スクリュー
323 回転軸
J 液体吐出口
G1、G1’ 重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に下方に推進力が生じる複数の回転翼ユニットが取り付けられた飛行移動体であって、
前記飛行移動体の重心の位置及び前記本体の傾きを計測可能な計測部と、
前記計測部による計測データに基づいて前記飛行移動体の飛行を制御する制御部と、
前記本体に取り付けられ、液体を吐出する液体吐出口を有する液体吐出ユニットと、
を備え、
前記液体吐出口は前記重心よりも下側に離間して配置され、前記重心と前記液体吐出口から吐出された液体の吐出方向の仮想延長線とは第1距離だけ離間して配置され、
前記制御部は、前記液体吐出口から液体が吐出されているとき、前記本体の傾きは修正せずに、前記計測部により測定された前記重心の位置に基づいて、平面視において前記重心が所定の位置に留まるように前記飛行移動体の飛行を制御することを特徴とする飛行移動体。
【請求項2】
複数の前記回転翼ユニットの回転中心軸が、前記重心の位置からそれぞれ第2距離だけ離間して配置され、
前記第1距離が、前記第2距離の2/3倍以上かつ前記第2距離の3/2倍以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の飛行移動体。
【請求項3】
前記液体吐出ユニットに、前記液体吐出口から液体が吐出される方向に推進力が生じる反力回転翼ユニットが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の飛行移動体。
【請求項4】
吐出する液体が前記液体吐出ユニット内の流路を流れるときの液圧により、前記反力回転翼ユニットの回転翼が回転することを特徴とする請求項3に記載の飛行移動体。
【請求項5】
回転翼ユニットまたは反力回転翼ユニットは、回転翼と、前記回転翼を覆う筒状体と、を含むことを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載の飛行移動体。
【請求項6】
請求項1からの何れか1項に記載の飛行移動体と、
ホースを介して液体吐出ユニットに液体を供給する液体送出装置と、
を備えたことを特徴とする液体吐出システム。