(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122202
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/22 20110101AFI20240902BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240902BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240902BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240902BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F24F1/22
F25B1/00 396G
F25B1/00 396A
F25B49/02 560
H05K5/00 A
H05K7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029627
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 繁男
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 耕
【テーマコード(参考)】
4E352
4E360
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352BB02
4E352CC12
4E352DD02
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR40
4E352GG09
4E360AB08
4E360AB14
4E360AB33
4E360BA08
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA05
4E360EA18
4E360EA27
4E360EB02
4E360ED02
4E360ED23
4E360FA08
4E360GA23
4E360GA24
4E360GB99
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】本開示は、冷媒に対する着火を抑制できるヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】本開示のヒートポンプ装置は、筐体内に、圧縮機が配置される機械室と、熱交換器および送風機が配置される送風機室と、を備え、可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置において、第1開口部が形成された電装箱本体と、第1蓋部材と、端子台箱と、を有する電装箱を備え、端子台箱は、第1電源線を第2電源線に接続する端子台と、端子台が露出する窓開口部を有する端子台箱本体と、端子台箱本体との間に第1シール材を挟んで窓開口部を封止する第2蓋部材と、第2開口部と、を有し、第2開口部が第1開口部に重なる位置において、第1開口部および第2開口部を取り囲む第2シール材を挟んで電装箱本体に外側から取り付けられ、第2電源線は、第1開口部を介して電装箱本体に引き込まれる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、圧縮機が配置される機械室と、熱交換器および送風機が配置される送風機室と、を備え、可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置において、
第1開口部が形成された電装箱本体と、第1蓋部材と、端子台箱と、を有する電装箱を備え、
前記端子台箱は、第1電源線を第2電源線に接続する端子台と、前記端子台が露出する窓開口部を有する端子台箱本体と、前記端子台箱本体との間に第1シール材を挟んで前記窓開口部を封止する第2蓋部材と、第2開口部と、を有し、前記第2開口部が前記第1開口部に重なる位置において、前記第1開口部および前記第2開口部を取り囲む第2シール材を挟んで前記電装箱本体に外側から取り付けられ、
前記第2電源線は、前記第1開口部を介して前記電装箱本体に引き込まれる、
ヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記電装箱本体は、前記送風機室の側に位置する送風機側部分と、前記機械室の側に位置する機械側部分と、を備え、
前記端子台箱は、前記機械側部分に配置され、かつ前記第2蓋部材の面積は、前記第1蓋部材の面積より小さい、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記端子台箱は、前記電装箱本体に対して、前記第2シール材と前記第1開口部との間の領域、または前記第2シール材と前記第2開口部との間の領域で締結されている、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記端子台箱は、樹脂で構成され、前記電装箱本体に固定された金属フレームに支持され、前記金属フレームに対して前記端子台箱、および前記第2蓋部材が締結されている、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記端子台は、前記電装箱本体の下面より下側、かつ、平面視で前記電装箱本体に重なる位置に配置されている、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記端子台箱は、前記第1電源線を外部から引き込み、かつ、前記端子台箱をシールするケーブルグランドを備えている、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項7】
前記第1シール材および前記第2シール材は、環状ゴムパッキン、または、平板状ゴムパッキンである、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項8】
前記端子台箱本体または前記第2蓋部材には、環状ゴムパッキン溝が形成され、
前記環状ゴムパッキン溝に挿入された前記第2シール材を前記第2蓋部材と前記端子台箱本体との間で挟んで、前記第2蓋部材と前記端子台箱本体とが固定部材により固定されている、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項9】
前記送風機室において、前記送風機が上下方向に複数台配置されている、
請求項5に記載のヒートポンプ装置。
【請求項10】
前記可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、可燃性冷媒に対する着火を防止できるヒートポンプ装置を開示する。このヒートポンプ装置は、熱媒体を流す熱媒体回路を有し、熱媒体回路内に冷媒が混入した際に熱媒体回路の圧力を逃がす冷媒放出弁を室外機の外部に配置することで、冷媒放出弁から放出された冷媒に対して着火しにくくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷媒に対する着火を抑制できるヒートポンプ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のヒートポンプ装置は、筐体内に、圧縮機が配置される機械室と、熱交換器および送風機が配置される送風機室と、を備え、可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置において、第1開口部が形成された電装箱本体と、第1蓋部材と、端子台箱と、を有する電装箱を備え、前記端子台箱は、第1電源線を第2電源線に接続する端子台と、前記端子台が露出する窓開口部を有する端子台箱本体と、前記端子台箱本体との間に第1シール材を挟んで前記窓開口部を封止する第2蓋部材と、第2開口部と、を有し、前記第2開口部が前記第1開口部に重なる位置において、前記第1開口部および前記第2開口部を取り囲む第2シール材を挟んで前記電装箱本体に外側から取り付けられ、前記第2電源線は、前記第1開口部を介して前記電装箱本体に引き込まれる。
【発明の効果】
【0006】
本開示のヒートポンプ装置は、冷媒が冷媒回路から漏洩した場合であっても、電装箱の内部に冷媒が侵入することを抑制できる。このため、冷媒に対する着火を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係るヒートポンプ装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、ヒートポンプ装置という技術は、低GWP(地球温暖化係数)冷媒を使用することが求められるという状況であった。そのため、当該業界では、低GWPの冷媒は総じて反応性が高く、可燃性であるということを課題として、冷媒と着火源とを隔離する技術が提案されていた。例えば、冷媒回路から漏洩した冷媒が熱媒体回路に侵入したときに、熱媒体回路から圧力を逃がす冷媒放出弁を室外機の外部に設けることで、冷媒放出弁から放出された冷媒に対して着火しにくくする技術があった。
しかしながら、冷媒回路から冷媒が漏洩した際には、電装箱が設置された空間に冷媒が充満し、冷媒が電装箱の内部に侵入する可能性があるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、電装箱に対する冷媒の侵入を抑制し、冷媒に対する着火を抑制できるヒートポンプ装置を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.ヒートポンプ装置の構成]
図1は、ヒートポンプ装置1の正面図であり、前方側から見たヒートポンプ装置1を示す。
図2は、ヒートポンプ装置1の内部構造を示す斜視図であり、右前方から見たヒートポンプ装置1を示す。
図1および
図2に示すヒートポンプ装置1は、所謂ヒートポンプ温水暖房機に利用可能な室外機である。
図1に示すように、ヒートポンプ装置1は、略直方体の筐体10を備えている。本実施の形態では、筐体10の各部は、いずれも鋼板によって形成される。
【0011】
筐体10は、筐体10の底面を形成する底板14と、筐体10の右側を前後から覆う一対の側面パネル15と、筐体10の前面の左側を覆う前面パネル16と、筐体10の上面を覆う天板17と、を備えている。前面パネル16には、2つの開口16aが上下に並べて設けられており、それぞれの開口16aからは送風機21が露出している。なお、
図1には図示しないが、ヒートポンプ装置1の使用時には、開口16aは通風が可能な格子によって外側から覆われる。
【0012】
図2に示すように、筐体10の内部には、上下方向に延在する仕切板11が設けられている。仕切板11によって、筐体10の内部空間は、送風機室12と、機械室13とに左右に仕切られている。
【0013】
送風機室12には、熱交換器20と、上下に並べて配置される2つの送風機21とが設けられている。筐体10において、送風機室12の前面は前面パネル16に覆われる。
本実施形態の熱交換器20は、筐体10の高さ方向に沿ってほぼ目一杯に延在している。また、熱交換器20は、筐体10の背面10Aと、側面10Bと、に露出するように、筐体10の平面視で略L字状に形成されている。
熱交換器20は、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。
送風機21は、例えば、プロペラ状の羽根車を備える軸流ファンが用いられる。送風機21は、軸流方向が前面パネル16の開口16aに向かうように配置される。
【0014】
機械室13の内部には、後述する
図3に示す圧縮機22、水熱交換器23、膨張装置24等の冷媒回路を形成する各種の機器や、これらを互いに接続する冷媒配管25が収容されている。
水熱交換器23は、例えば、プレート熱交換器が用いられる。
仕切板11の上部には、切欠き部26が形成されており、この切欠き部26には、電装箱30が設置されている。電装箱30は、切欠き部26、および、送風機21を支持するファン支持フレーム29の上端に設けられた電装箱支持板29aにより、送風機室12および機械室13に跨って、筐体10の上部に取り付けられる。このように、電装箱30を筐体10内の上部に配置することにより、電装箱30が水に濡れにくくなる。また、後述するように、本実施の形態では空気よりも比重が大きい可燃性冷媒を用いるため、電装箱30を筐体10の上部に配置することにより、冷媒の漏洩時に電装箱30が高濃度の可燃性冷媒に曝されにくくできる。
【0015】
電装箱30は、上面が開放された開口31を有する電装箱本体32の内部に、制御基板38を有している。制御基板38は、送風機21、圧縮機22、膨張装置24、および四方弁27等を制御するためのコンデンサ、リレーおよびインバータ素子などの電気部品を有している。電装箱30についての詳細は、後述する。
【0016】
[1-1-2.冷媒回路の構成]
図3は、実施の形態1に係る冷媒回路を示す回路図である。
図3に示すように、圧縮機22、四方弁27、水熱交換器23、膨張装置24および熱交換器20は、所定の冷媒配管25を介して環状に接続され、冷媒回路を構成している。
水熱交換器23には、所定の給水配管28が接続されており、水熱交換器23において、冷媒回路を循環する冷媒と熱交換が行われる。
圧縮機22で圧縮されて高温高圧となった冷媒は、
図4に実線矢印で示すように流れ、水熱交換器23に送られ、水熱交換器23により給水配管28を流れる水と熱交換して冷却され凝縮する。水は、冷媒の熱を受けて温水となって、例えば、利用側機器(不図示)に供給される。
水熱交換器23から排出された冷媒は、膨張装置24で減圧された後、熱交換器20で外気と熱交換され、ガス冷媒となって再び圧縮機22に戻される。
【0017】
また、四方弁27を切り替えることにより、
図3に破線矢印で示すように、冷媒が流れ、熱交換器20で外気と熱交換し、膨張装置24で減圧された後、水熱交換器23に送られることで、給水配管28を流れる水を冷却することができるように構成されている。冷水は、利用側機器(不図示)に供給される。
ここで、本実施の形態においては、冷媒として可燃性冷媒が用いられる。可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である。R32およびプロパンは、それぞれGWPが低い冷媒であり、環境負荷が小さい。また、本実施の形態において使用されるこれらの冷媒は、空気よりも比重が大きい。
なお、冷媒として可燃性冷媒ではなく、不燃性冷媒を用いてもよい。
【0018】
[1-1-3.電装箱の構成]
図4は、実施の形態1の電装箱30の斜視図である。
電装箱30は、
図4に示すように、箱型の板金製の電装箱本体32と、電装箱本体32の開口31を閉塞する、略長方形の平板状に形成された樹脂製の第1蓋部材33と、を備えている。電装箱本体32は、熱伝導率の高い材料、例えば、金属材料により形成されている。
【0019】
なお、本実施の形態では、電装箱本体32全体を金属材料により形成しているが、送風機室12に位置する部分のみを金属材料により形成してもよい。
【0020】
電装箱本体32は、
図4に示すように、送風機室12の側に位置する長方形状の送風機側部分32Aと、機械室13の側に位置する長方形状の機械側部分32Bとを備える。第1蓋部材33は、送風機室12の側に位置する長方形状の送風機側部分33Aと、機械室13の側に位置する長方形状の機械側部分33Bとを備えている。
【0021】
電装箱本体32は、板金を折り曲げて箱状に形成するとともに、四隅の接合部を溶接することで、気密性を有する箱を形成している。
電装箱本体32の上端には、第1蓋部材33が、電装箱用シール材を介して固定ビス37により固定される。これにより、開口31は、第1蓋部材33および電装箱用シール材によって密閉される。電装箱用シール材は、発泡ゴム、または、クロロプレンゴム、EPDM、NBR、H-NBRなどで形成された環状ゴムパッキンである。
【0022】
電装箱本体32は、送風機側部分32Aの占める容積より、機械側部分32Bにおいて占める容積の割合が小さくなる位置に配置される。
これにより、電装箱本体32の機械側部分32Bにおける電装箱本体32と第1蓋部材33とのシール部長さ(電装箱用シール材の長さ)が短く設定される。
[1-1-4.端子台箱の構成]
【0023】
図5は、端子台箱50の分解斜視図である。
図6は、端子台箱50の内部構造を示す斜視図である。
図7は、端子台箱50の断面視図であり、端子台箱50における左右方向に垂直な断面を示す。
図4および5に示すように、電装箱30は、電装箱本体32に対して外側から取り付けられた端子台箱50を有している。
【0024】
図5に示すように、端子台箱50は、金属フレーム51と、端子台箱本体53と、第2蓋部材55と、端子台57と、を有している。
【0025】
金属フレーム51は、端子台箱50を電装箱本体32に対して固定するための金属製の部材であり、電装箱本体32の機械側部分32Bに対して固定されている。金属フレーム51は、電装箱本体32に固定される固定部51aと、端子台箱本体53を固定する枠部51bと、を有している。
【0026】
固定部51aは、電装箱本体32の機械側部分32Bのうち、前方に面した側面部32B1に対して、電装箱本体32の外側から溶接によって固定されている。固定部51aは、側面部32B1に形成されて前後に貫通する第1開口部32B2を左右方向から挟む位置に2つ配置されている。
【0027】
枠部51bは、正面視において中空の略矩形状であり、端子台箱本体53の外形に沿って形成されている。枠部51bは、固定部51aから、電装箱本体32の下面32Cよりも下方まで延びている。枠部51bの四辺の外縁は前方に向けて折り曲げられている。また、枠部51bには後方に向けて延びる左右一対の突起51b1が形成されている。この突起51b1の上端は電装箱本体32の下面32Cに沿っており、枠部51bのうち下面32Cよりも下方の部分が後方に折れ曲がることを抑制している。また、枠部51bには、前後に貫通する8つの締結孔51cが形成されている。締結孔51cは、らせん状のねじ溝を有しており、締結部材59aの締結が可能である。締結部材59aは、例えば、ねじ、ボルト、またはビス等であり、本実施の形態では、ねじである。
【0028】
端子台箱本体53は、端子台57を格納する樹脂製のケースであり、枠部51bの外縁の内側に前方から嵌め込まれる。端子台箱本体53には、前方に向けて開口する窓開口部53aと、後方に向けて開口する第2開口部53bと、枠部51bに重なるフランジ部53cと、が形成されている。
【0029】
窓開口部53aは、端子台箱本体53の前面の略全体に亘って開口している。第2開口部53bは、端子台箱本体53の上部を前後に貫通している。第2開口部53bは、端子台箱本体53が枠部51bに嵌め込まれた状態では、正面視において第1開口部32B2と重なる。
【0030】
フランジ部53cは、窓開口部53aから外側に向けて広がる形状に形成されている。フランジ部53cには、前後に貫通する8つの固定孔53c1が形成されている。固定孔53c1は、端子台箱本体53が枠部51bに嵌め込まれた状態では、正面視において8つの締結孔51cと重なる。
【0031】
また、
図5および
図6に示すように、端子台箱本体53は、締結部材59bによって、電装箱本体32の側面部32B1に対して締結されている。締結部材59bは、例えば、ねじ、ボルト、または、ビス等であり、本実施の形態では、ねじである。側面部32B1には、第1開口部32B2を左右に挟んで、前後に貫通してねじ溝を有する二対の締結孔32B3が形成されている。また、端子台箱本体53において正面視で締結孔32B3に重なる位置には、前後に貫通する4つの固定孔53eが形成されている。締結部材59bは、固定孔53eに前方から挿入され、締結孔32B3に締結される。これにより、端子台箱本体53と電装箱本体32とが固定される。
【0032】
端子台箱本体53は、電装箱本体32の側面部32B1に対して、第2シール材52を挟んで外側から取り付けられている。第2シール材52は、発泡ゴム、または、クロロプレンゴム、EPDM、NBR、H-NBRなどで形成された環状ゴムパッキンであり、本実施の形態においては、円形断面の発泡ゴムの紐を環状に形成したOリングである。また、第2シール材52として、側面部32B1および端子台箱本体53に沿った平板状ゴムパッキンを用いてもよい。
【0033】
図6に示すように、第2シール材52は、正面視において第1開口部32B2および第2開口部53bを取り囲むように配置されている。これにより、側面部32B1と端子台箱本体53との隙間から、第1開口部32B2または第2開口部53bを介して、電装箱30の内部に冷媒が侵入することを抑制できる。
【0034】
また、電装箱本体32と端子台箱本体53とは、第1開口部32B2および第2開口部53bの周端部と、第2シール材52と、の間において締結されている。すなわち、二対の締結孔32B3および二対の固定孔53eは、正面視において第2シール材52の内側に位置しており、締結孔32B3および固定孔53eを介して電装箱本体32および端子台箱50の内側に冷媒が侵入しにくい。
【0035】
図7に示すように、端子台箱本体53には、第2開口部53bを取り囲む第2ガイド部53f1と、第2ガイド部53f1を取り囲んで第2シール材52が配置される第2環状ゴムパッキン溝53f2と、が形成されている。
【0036】
第2ガイド部53f1は、第2開口部53bの周囲から後方に向けて突出する形状に形成される。端子台箱本体53は、第2ガイド部53f1が第1開口部32B2に前方から挿入されることにより、電装箱本体32に対して位置決めされる。
【0037】
第2環状ゴムパッキン溝53f2は、第2ガイド部53f1の周囲を取り囲む環状の溝であり、前方に向けて窪んでいる。第2シール材52は、第2ガイド部53f1に対して巻き掛けられた状態で、第2環状ゴムパッキン溝53f2に配置されている。このように、第2シール材52が第2環状ゴムパッキン溝53f2に配置されることにより、端子台箱本体53が電装箱本体32に対して取り付けられたときに、第2シール材52が必要以上に潰れることを抑制できる。このため、第2シール材52のシール性能低下を長期的に抑制し易い。
【0038】
図5および
図7に示すように、第2蓋部材55は樹脂製の板状部材であり、端子台箱本体53の窓開口部53aを前方から閉じる。窓開口部53aを覆う第2蓋部材55の面積は、電装箱本体32の開口31を覆う第1蓋部材33の面積よりも小さい。換言すれば、窓開口部53aの面積は、電装箱本体32の開口31の面積よりも小さい。このため、端子台箱50の気密性を保つためにシールを必要とする箇所が小さくなり、第1電源線58aの端子台57に対する接続作業完了後に、窓開口部53aから端子台箱50の内部に冷媒が侵入することを抑制できる。このため、電装箱30内、および、端子台箱50内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0039】
第2蓋部材55は、8つの固定孔55aを有している。8つの固定孔55aは、第2蓋部材55が窓開口部53aを閉じるとき、端子台箱本体53のフランジ部53cに形成された8つの固定孔53c1、および、金属フレーム51の枠部51bに形成された8つの締結孔51cと正面視で重なる。
【0040】
前後方向に重なった固定孔55a、53c1、および、締結孔51cには、前方から締結部材59aが挿入される。締結部材59aは、ねじ溝を有しない固定孔55a、53c1を貫通した状態で、ねじ溝を有する締結孔51cに対して締結される。このように、端子台箱本体53および第2蓋部材55は、締結部材59aによって金属フレーム51に締結される。本実施の形態では、樹脂製の端子台箱本体53および第2蓋部材55が金属フレーム51に締結されることにより、端子台箱本体53および第2蓋部材55を強固に固定することができる。また、締結用のねじ溝を有する締結孔51cを金属製の金属フレーム51に形成しているため、締結時に樹脂製の端子台箱本体53、第2蓋部材55、および雌側のねじ溝が破損しにくい。さらに、電装箱本体32に端子台箱本体53および第2蓋部材55が金属フレーム51に締結されることにより、電装箱本体32に対して締結部材59aの締結用の孔を形成する必要が無く、電装箱本体32の気密性を確保し易い。
【0041】
また、第2蓋部材55は、端子台箱本体53に対して、第1シール材54を挟んで前方側から取り付けられている。第1シール材54は、発泡ゴム、または、クロロプレンゴム、EPDM、NBR、H-NBRなどで形成された環状ゴムパッキンであり、本実施の形態においては、円形断面の発泡ゴムの紐を環状に形成したOリングである。また、第1シール材54として、第2蓋部材55に沿った平板状ゴムパッキンを用いてもよい。
【0042】
図7に示すように、第2蓋部材55には、後方に向けて突出する第1ガイド部55b1と、第1ガイド部55b1を取り囲んで第1シール材54が配置される第1環状ゴムパッキン溝55b2と、が形成されている。
【0043】
第1ガイド部55b1は、端子台箱本体53の窓開口部53aの内側の縁に沿う形状に形成されており、窓開口部53aに挿入されることで第2蓋部材55を端子台箱本体53に対して位置決めする。
【0044】
第1環状ゴムパッキン溝55b2は、第1ガイド部55b1を取り囲む環状の溝であり、前方に向けて窪んでいる。第1シール材54は、第1ガイド部55b1に巻き掛けられた状態で、第1環状ゴムパッキン溝55b2に配置されている。このように、第1シール材54が第1環状ゴムパッキン溝55b2に配置されることにより、第2蓋部材55が端子台箱本体53に対して取り付けられたときに、第1シール材54が必要以上に潰れることを抑制できる。このため、第1シール材54のシール性能低下を長期的に抑制し易い。なお、第1ガイド部55b1および第1環状ゴムパッキン溝55b2は、第2蓋部材55ではなく端子台箱本体53に形成されていてもよい。
【0045】
図6に示すように、端子台57は、第1電源線58aと第2電源線58bとを接続させる器具である。端子台57は、電源線58a、58bの先端をねじの締結によって保持し、電源線58a、58bを電気的に接続させる。電源線58a、58bの先端には、例えば圧着端子等が接続されている。
【0046】
第1電源線58aは、導体を絶縁体によって被覆したケーブルであり、例えば、商用電源等の外部の電源に接続される。第1電源線58aは、端子台箱本体53に取り付けられたケーブルグランド56を介して、端子台箱50の内部に引き込まれる。ケーブルグランド56は、端子台箱本体53の下端に設けられ、下方に延びて内部に第1電源線58aを通すチューブ56aの内部と、端子台箱50の内部とを、シールしつつ連通させる。外部の電源に接続される第1電源線58aは、主にヒートポンプ装置1の設置後に、窓開口部53aを介した作業によって端子台57に対して接続される。
【0047】
第2電源線58bは、導体を絶縁体によって被覆したケーブルであり、端子台57から延びて第2開口部53bおよび第1開口部32B2を通り、電装箱本体32の内部に引き込まれる。第2電源線58bは、電装箱本体32の内部において種々の基板や回路と接続され、圧縮機22等のヒートポンプ装置1の各種装置に対して、動力源としての電力を供給する。
【0048】
図6および
図7に示すように、端子台57は、端子台箱本体53において、窓開口部53aを介して前方に向けて露出する位置に配置されている。端子台57は窓開口部53aから前方に露出するため、第2蓋部材55を取り外すことにより、第1電源線58aと端子台57とを接続する作業を容易に行うことができる。
【0049】
端子台57は、より詳細には、端子台箱本体53において、後方に向けて窪んだ凹部53dに取り付けられている。凹部53dは、電装箱本体32の下面32Cよりも下方に位置しており、平面視で下面32Cに重なる。端子台57も同様に、下面32Cよりも下方に位置し、平面視で下面32Cに重なる。このため、平面視において、端子台57をコンパクトに配置することができる。
【0050】
また、端子台57を電装箱本体32よりも低い位置に配置することができるため、第1電源線58aと端子台57とを接続する作業が容易になる。特に、本実施の形態のヒートポンプ装置1は、複数台の送風機21を鉛直方向に並べる構成としている。これにより、送風能力を十分に確保して漏洩した冷媒が筐体10内に滞留しにくくなり、且つ、筐体10が平面視でコンパクトで鉛直方向に大きい形状となっている。このため、水や漏洩した冷媒に曝されることを抑制するために筐体10の上部に配置される電装箱本体32は、端子台57と第1電源線58aとの接続作業を行うために好ましい高さ(作業者の身長の80%以下、例えば、150cm以下)よりも高い位置に配置される場合がある。これに対し、本実施の形態では、電装箱本体32よりも低い位置に端子台57を配置しているため、鉛直方向の寸法が大きいヒートポンプ装置1においても、端子台57と第1電源線58aとの接続作業を容易に行うことができる。
【0051】
また、
図7に示すように、端子台57において、電源線58a、58bが接続される端子保持部57aは、第2開口部53bのほぼ真下に位置している。このため、第2電源線58bの長さを短くすることができる。
【0052】
[1-2.動作]
以上のように構成されたヒートポンプ装置1について、その動作、作用を説明する。
【0053】
ヒートポンプ装置1において、熱交換器20等から可燃性冷媒が漏洩した場合、筐体10の内部において可燃性冷媒が拡散する。ここで、ヒートポンプ装置1は、空気よりも比重が大きい可燃性冷媒を使用しているため、筐体10の上部に位置する電装箱30付近の冷媒の濃度は上昇しにくい。
【0054】
また、電装箱30の周囲の冷媒の濃度が上昇した場合であっても、電装箱30は、電装箱用シール材、第2シール材52、および第1シール材54によってシールされているため、冷媒は電装箱30や端子台箱50の内部に侵入しにくい。
【0055】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、ヒートポンプ装置1は、筐体10内に、圧縮機22が配置される機械室13と、熱交換器20および送風機21が配置される送風機室12と、を備え、可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置において、第1開口部32B2が形成された電装箱本体32と、第1蓋部材33と、端子台箱50と、を有する電装箱30を備え、端子台箱50は、第1電源線58aを第2電源線58bに接続する端子台57と、端子台57が露出する窓開口部53aと、第1シール材54を挟んで窓開口部53aを封止する第2蓋部材55と、第2開口部53bと、を有し、第2開口部53bが第1開口部32B2に重なる位置において、第1開口部32B2および第2開口部53bを取り囲む第2シール材52を挟んで電装箱本体32に外側から取り付けられ、第2電源線58bは、第1開口部32B2を介して電装箱本体32に引き込まれる。
これにより、電装箱30の第1蓋部材33を開閉することなく、端子台箱50の第2蓋部材55の開閉のみによって第1電源線58aの接続作業を実行でき、接続作業後の端子台箱50の気密性も確保できる。このため、冷媒回路から冷媒が漏洩した場合であっても、端子台箱50に格納された端子台57の近傍まで冷媒が侵入して冷媒濃度が上昇することを抑制でき、電装箱30内、および、端子台箱50内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0056】
また、本実施の形態のように、電装箱本体32は、送風機室12の側に位置する送風機側部分32Aと、機械室13の側に位置する機械側部分32Bと、を備え、端子台箱50は、機械側部分32Bに配置され、かつ第2蓋部材55の面積は、第1蓋部材33の面積より小さい、構成としてもよい。
これにより、端子台箱50の気密性を保つためにシールを必要とする箇所が小さくなり、第1電源線58aの端子台57に対する接続作業完了後に、窓開口部53aから端子台箱50の内部に冷媒が侵入することを抑制できる。このため、電装箱30内、および、端子台箱50内における冷媒に対する着火を抑制できる。また、本実施の形態では、筐体10から側面パネル15を取り外すことによって、機械室13に位置する端子台箱50を筐体10の外部に容易に露出させることができる。このため、端子台57と第1電源線58aとの接続作業を容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態のように、端子台箱50は、電装箱本体32に対して、第2シール材52と第1開口部32B2との間の領域、または第2シール材52と第2開口部53bとの間の領域で締結されている、構成としてもよい。
これにより、端子台箱50と電装箱本体32との締結用の固定孔53eおよび締結孔32B3を第2シール材52の内側に配置できるため、固定孔53eおよび締結孔32B3を介して外部の冷媒が電装箱30および端子台箱50に侵入しにくい。このため、電装箱30内、および、端子台箱50内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0058】
また、本実施の形態のように、端子台箱50は、樹脂で構成され、電装箱本体32に固定された金属フレーム51に支持され、金属フレーム51に対して端子台箱本体53、および第2蓋部材55が締結されている、構成としてもよい。
これにより、樹脂製の端子台箱50を金属フレーム51に対して締結することにより、締結時の割れやねじ溝の潰れ等を抑制できる。従って、端子台箱50を容易に製造可能な樹脂製とすることができ、製造コストを抑制できる。また、金属フレーム51を用いることにより、電装箱本体32に対して締結用の孔をあけることなく、端子台箱本体53、および第2蓋部材55を固定できる。このため、電装箱30の気密性に悪影響を与えずに、端子台箱本体53および第2蓋部材55を固定できる。また、本実施の形態では、金属フレーム51は、電装箱本体32の側面部32B1に対し、溶接によって取り付けられている。このため、金属フレーム51は側面部32B1に対して孔をあけることなく電装箱本体32に固定でき、電装箱30の気密性を損ないにくい。
【0059】
また、本実施の形態のように、端子台57は、電装箱本体32の下面32Cより下側、かつ、平面視で電装箱本体32に重なる位置に配置されている、構成としてもよい。
これにより、平面視において端子台57をコンパクトに配置できる。このため、平面視におけるヒートポンプ装置1の外形寸法を小さくし易い。また、本実施の形態では、端子台57の端子保持部57aは第2開口部53bのほぼ真下に位置するため、第2電源線58bを短くし易い。
【0060】
また、本実施の形態のように、端子台箱50は、第1電源線58aを外部から引き込み、かつ、端子台箱50をシールするケーブルグランド56を備えている、構成としてもよい。
これにより、第1電源線58aを端子台箱50に引き込む際の気密性を、ケーブルグランド56によって確保でき、漏洩した冷媒が端子台箱50に侵入することを抑制できる。このため、端子台箱50内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0061】
また、本実施の形態のように、第1シール材54および第2シール材52は、環状ゴムパッキン、または、平板状ゴムパッキンである、構成としてもよい。
これにより、端子台箱50と電装箱本体32、および、端子台箱本体53と第2蓋部材55との密着性が向上し、気密性を向上できる。このため、電装箱30内および端子台箱50内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0062】
また、本実施の形態のように、端子台箱本体53または第2蓋部材55には、第1環状ゴムパッキン溝55b2が形成され、第1環状ゴムパッキン溝55b2に挿入された第1シール材54を第2蓋部材55と端子台箱本体53との間で挟んで、第2蓋部材55と端子台箱本体53とが締結部材59aにより固定されている、構成としてもよい。
これにより、第2蓋部材55と端子台箱本体53との間に挟まれた第1シール材54によってシール性を向上できる。また、第1シール材54を第1環状ゴムパッキン溝55b2に配置することにより、第1シール材54が必要以上に潰れることがない。このため、第1シール材54のシール性能の低下を長期的に抑制しやすい。
【0063】
また、本実施の形態のように、送風機室12において、送風機21が上下方向に複数台配置されている、構成としてもよい。
これにより、送風能力を確保でき、漏洩した冷媒が筐体10内に滞留しにくくなる。また、ヒートポンプ装置1の外形寸法が平面視において小さく、鉛直方向において大きくなる。本実施の形態のように端子台57が電装箱本体32の下面32Cよりも下方に位置することにより、端子台57は端子台57と第1電源線58aとの接続作業をするうえで望ましい高さに位置し易い。従って、冷媒の漏洩時にヒートポンプ装置1内での着火が発生しにくくなり、且つ、端子台57と第1電源線58aとの接続作業を容易にできる。
【0064】
また、本実施の形態のように、可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である、構成としてもよい。
これにより、可燃性冷媒の比重が空気よりも大きくなるため、漏洩した可燃性冷媒はヒートポンプ装置1の上部に位置する電装箱30および端子台箱50の付近で高濃度になりにくい。従って、電装箱30および端子台箱50による冷媒に対する着火を抑制できる。
【0065】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0066】
実施の形態1では、ヒートポンプ装置1は、上下に並んだ2つの送風機21を有すると説明したが、これは一例である。送風機21は、3台以上であってもよく、1台であってもよい。また、複数の送風機21は、上下に並ばず、例えば、左右に並べて設けられていてもよい。
【0067】
実施の形態1では、端子台箱50は、電装箱本体32の下面32Cよりも下方において、電装箱本体32に平面視で重なる凹部53dを有し、端子台57は凹部53dに設けられると説明したが、これは一例である。例えば、凹部53dは第1蓋部材33よりも上方において電装箱本体32に平面視で重なる形状に形成されていてもよい。また、端子台箱本体53は下面32Cよりも下方に位置する凹部53dを有さず、端子台57は、電装箱本体32と同等の高さに設けられていてもよい。
【0068】
実施の形態1では、ヒートポンプ装置1は、所謂ヒートポンプ温水暖房機に利用可能な室外機であると説明したが、これは一例である。例えば、ヒートポンプ装置1は、冷媒を室内機との間で循環させて空調を行う空気調和装置の室外機であってもよい。
【0069】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0070】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0071】
(付記)
(技術1)筐体内に、圧縮機が配置される機械室と、熱交換器および送風機が配置される送風機室と、を備え、可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置において、第1開口部が形成された電装箱本体と、第1蓋部材と、端子台箱と、を有する電装箱を備え、前記端子台箱は、第1電源線を第2電源線に接続する端子台と、前記端子台が露出する窓開口部を有する端子台箱本体と、前記端子台箱本体との間に第1シール材を挟んで前記窓開口部を封止する第2蓋部材と、第2開口部と、を有し、前記第2開口部が前記第1開口部に重なる位置において、前記第1開口部および前記第2開口部を取り囲む第2シール材を挟んで前記電装箱本体に外側から取り付けられ、前記第2電源線は、前記第1開口部を介して前記電装箱本体に引き込まれる、ヒートポンプ装置。
これにより、電装箱の第1蓋部材を開閉することなく、端子台箱の第2蓋部材の開閉のみによって第1電源線の接続作業を実行でき、接続作業後の端子台箱の気密性も確保できる。このため、冷媒回路から冷媒が漏洩した場合であっても、端子台箱に格納された端子台の近傍まで冷媒が侵入して冷媒濃度が上昇することを抑制でき、電装箱内、および、端子台箱内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0072】
(技術2)前記電装箱本体は、前記送風機室の側に位置する送風機側部分と、前記機械室の側に位置する機械側部分と、を備え、前記端子台箱は、前記機械側部分に配置され、かつ前記第2蓋部材の面積は、前記第1蓋部材の面積より小さい、技術1に記載のヒートポンプ装置。
これにより、端子台箱の気密性を保つためにシールを必要とする箇所が小さくなり、第1電源線の端子台に対する接続作業完了後に、窓開口部から端子台箱の内部に冷媒が侵入することを抑制できる。このため、電装箱内、および、端子台箱内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0073】
(技術3)前記端子台箱は、前記電装箱本体に対して、前記第2シール材と前記第1開口部との間の領域、または前記第2シール材と前記第2開口部との間の領域で締結されている、技術1または2に記載のヒートポンプ装置。
これにより、端子台箱と電装箱本体との締結用の孔を第2シール材の内側に配置できるため、締結用の孔を介して外部の冷媒が電装箱および端子台箱に侵入しにくい。このため、電装箱内、および、端子台箱内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0074】
(技術4)前記端子台箱は、樹脂で構成され、前記電装箱本体に固定された金属フレームに支持され、前記金属フレームに対して前記端子台箱、および前記第2蓋部材が締結されている、技術1から3のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
これにより、樹脂製の端子台箱を金属フレームに対して締結することにより、締結時の割れやねじ溝の潰れ等を抑制できる。従って、端子台箱を容易に製造可能な樹脂製とすることができ、製造コストを抑制できる。また、金属フレームを用いることにより、電装箱本体に対して締結用の孔をあけることなく、端子台箱本体、および第2蓋部材を固定できる。このため、電装箱の気密性に悪影響を与えずに、端子台箱本体および第2蓋部材を固定できる。
【0075】
(技術5)前記端子台は、前記電装箱本体の下面より下側、かつ、平面視で前記電装箱本体に重なる位置に配置されている、技術1から4のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
これにより、平面視において端子台をコンパクトに配置できる。このため、平面視におけるヒートポンプ装置の外形寸法を小さくし易い。
【0076】
(技術6)前記端子台箱は、前記第1電源線を外部から引き込み、かつ、前記端子台箱をシールするケーブルグランドを備えている、技術1から5のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
これにより、第1電源線を端子台箱に引き込む際の気密性を、ケーブルグランドによって確保でき、漏洩した冷媒が端子台箱に侵入することを抑制できる。このため、端子台箱内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0077】
(技術7)前記第1シール材および前記第2シール材は、環状ゴムパッキン、または、平板状ゴムパッキンである、技術1から6のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
これにより、端子台箱と電装箱本体、および、端子台箱本体と第2蓋部材との密着性が向上し、気密性を向上できる。このため、電装箱内および端子台箱内における冷媒に対する着火を抑制できる。
【0078】
(技術8)前記端子台箱本体または前記第2蓋部材には、環状ゴムパッキン溝が形成され、前記環状ゴムパッキン溝に挿入された前記第2シール材を前記第2蓋部材と前記端子台箱本体との間で挟んで、前記第2蓋部材と前記端子台箱本体とが固定部材により固定されている、技術1から7のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
これにより、第2蓋部材と端子台箱本体との間に挟まれた第1シール材によってシール性を向上できる。また、第1シール材を第1環状ゴムパッキン溝に配置することにより、第1シール材が必要以上に潰れることがない。このため、第1シール材のシール性能の低下を長期的に抑制しやすい。
【0079】
(技術9)前記送風機室において、前記送風機が上下方向に複数台配置されている、技術5に記載のヒートポンプ装置。
これにより、送風能力を確保でき、漏洩した冷媒が筐体内に滞留しにくくなる。また、ヒートポンプ装置の外形寸法が平面視において小さく、鉛直方向において大きくなる。端子台が電装箱本体の下面よりも下方に位置することにより、端子台は端子台と第1電源線との接続作業をするうえで望ましい高さに位置し易い。従って、冷媒の漏洩時にヒートポンプ装置内での着火が発生しにくくなり、且つ、端子台と第1電源線との接続作業を容易にできる。
【0080】
(技術10)前記可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である、技術1から9のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
これにより、可燃性冷媒の比重が空気よりも大きくなるため、漏洩した可燃性冷媒はヒートポンプ装置の上部に位置する電装箱および端子台箱の付近で高濃度になりにくい。従って、電装箱および端子台箱による冷媒に対する着火を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示は、ヒートポンプ装置に適用可能である。具体的には、空気調和装置の室外機や、ヒートポンプ温水暖房機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 ヒートポンプ装置
10 筐体
10A 背面
10B 側面
11 仕切板
12 送風機室
13 機械室
14 底板
15 側面パネル
16 前面パネル
16a 開口
17 天板
20 熱交換器
21 送風機
22 圧縮機
23 水熱交換器
24 膨張装置
25 冷媒配管
26 切欠き部
27 四方弁
28 給水配管
29 ファン支持フレーム
29a 電装箱支持板
30 電装箱
31 開口
32 電装箱本体
32A 送風機側部分
32B 機械側部分
32B1 側面部
32B2 第1開口部
32B3 締結孔
32C 下面
33 第1蓋部材
33A 送風機側部分
33B 機械側部分
37 固定ビス
38 制御基板
50 端子台箱
51 金属フレーム
51a 固定部
51b 枠部
51b1 突起
51c 締結孔
52 第2シール材
53 端子台箱本体
53a 窓開口部
53b 第2開口部
53c フランジ部
53c1 固定孔
53d 凹部
53e 固定孔
53f1 第2ガイド部
53f2 第2環状ゴムパッキン溝
54 第1シール材
55 第2蓋部材
55a 固定孔
55b1 第1ガイド部
55b2 第1環状ゴムパッキン溝
56 ケーブルグランド
56a チューブ
57 端子台
57a 端子保持部
58a 第1電源線
58b 第2電源線
59a 締結部材
59b 締結部材