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特開2024-122210ストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122210
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/258 20110101AFI20240902BHJP
   H04N 21/239 20110101ALI20240902BHJP
   H04N 17/00 20060101ALI20240902BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20240902BHJP
【FI】
H04N21/258
H04N21/239
H04N17/00 M
G06Q30/0241 446
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029637
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良一
【テーマコード(参考)】
5C061
5C164
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5C061BB03
5C061BB06
5C164FA04
5C164FA05
5C164FA11
5C164SB29P
5C164SC11P
5C164YA10
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態を適切に評価することができるストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ストリーム視聴解析システムは、ネットワークを介してストリームを受信するIPストリーム受信手段としての受信機30から、IPストリームの視聴を測定するIP視聴測定部としての判定部35と、IPストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、放送ストリームの視聴として判定集計を行う判定集計部としての集計サーバ40とを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴を解析するストリーム視聴解析システムにおいて、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段による視聴を測定するIP視聴測定部と、
前記IP視聴測定部によるIPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段による該ストリームの視聴として判定集計を行う判定集計部と
を備えることを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項2】
請求項1記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記IPストリーム受信手段と前記放送ストリーム受信手段とが同一機器内に構成された受信機に対して、
前記受信機の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された位置に基づいて、前記放送の放送局を特定する放送局特定部とを備え、
前記判定集計部は、前記IP視聴測定部によるIPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送局特定部により特定された該放送局の放送による視聴として判定集計を行うことを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項3】
請求項2記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記判定集計部は、前記放送局特定部により特定された放送局の番組編成を取得し、取得した番組編成に対応付けて該放送局の放送による視聴として判定集計を行うことを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記ストリームに挿入されたコンテンツについて、
判定集計部は、
該ストリームと独立に且つ該ストリームと同様に、
前記IP視聴測定部によるIPストリーム受信手段による前記コンテンツの視聴が測定された場合に、該コンテンツの視聴を、前記放送を介して前記放送ストリーム受信手段による該コンテンツの視聴として判定集計を行うことを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項5】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴を解析するストリーム視聴解析方法において、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段による視聴を測定するIP視聴測定工程と、
前記IP視聴測定工程によるIPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段による該ストリームの視聴として判定集計を行う判定集計工程と
を備えることを特徴とするストリーム視聴解析方法。
【請求項6】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するプログラムであって、
コンピュータに
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段による視聴を測定させ、
前記IPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段による該ストリームの視聴として判定集計を行わせることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するストリーム視聴解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のIPストリーム送信システムとしては、下記特許文献1に示すように、放送時刻が対応付けられた定時放送コンテンツを配信する放送サーバーと、定時放送コンテンツを受信する複数の端末とが通信網であるインターネットを介して接続される放送システムにおいて、放送サーバーは、端末の端末処理部の要求によって、放送時刻と前後して定時放送コンテンツを送信し、時間差送信を可能にするシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-65137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来のIPストリーム送信システムでは、放送ストリームと同一のストリームのIPストリーム送信が可能となるが、同一ストリームの視聴であるにも拘わらず、IPストリームでの視聴の場合には、放送の視聴にカウントされないという問題がある。
【0005】
特に、IPストリームを放送ストリームと同等に扱い、視聴量全体を把握し、ストリームの適切な評価を行うことが望まれている。
【0006】
以上の事情に鑑みて、本発明は、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態を適切に評価することができるストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のストリーム視聴解析システムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴を解析するストリーム視聴解析システムにおいて、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段による視聴を測定するIP視聴測定部と、
前記IP視聴測定部によるIPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段による該ストリームの視聴として判定集計を行う判定集計部と
を備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームのIPストリーム送信について、判定集計部により、かかるIPストリーム送信でのストリームの視聴を放送ストリームの視聴として判定集計を行う。
【0009】
これにより、IPストリームでの視聴の場合にも、放送での視聴としてカウントすることができ、IPストリームを放送ストリームと同等に扱うことで、視聴量全体を把握することができ、ストリームの適切な評価を行うことができる。
【0010】
このように、第1発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態を適切に評価することができる。
【0011】
第2発明のストリーム視聴解析システムは、第1発明において、
前記IPストリーム受信手段と前記放送ストリーム受信手段とが同一機器内に構成された受信機に対して、
前記受信機の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された位置に基づいて、前記放送の放送局を特定する放送局特定部とを備え、
前記判定集計部は、前記IP視聴測定部によるIPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送局特定部により特定された該放送局の放送による視聴として判定集計を行うことを特徴とする。
【0012】
第2発明のストリーム視聴解析システムによれば、特に、IPストリーム受信手段と放送ストリーム受信手段とが同一機器内に構成された受信機に対して、その位置を特定し、その位置に基づいて、対応する放送局を特定する。そして、特定した放送ストリームの視聴として判定集計を行う。
【0013】
これにより、IPストリームでの視聴の場合にも、対応する放送局を特定する形で、放送での視聴としてカウントすることができる。すなわち、放送局を特定する形で視聴量全体を把握することができ、ストリームの適切な評価を行うことができる。
【0014】
このように、第2発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態をより適切に評価することができる。
【0015】
第3発明のストリーム視聴解析システムは、第2発明において、
前記判定集計部は、前記放送局特定部により特定された放送局の番組編成を取得し、取得した番組編成に対応付けて該放送局の放送による視聴として判定集計を行うことを特徴とする。
【0016】
第3発明のストリーム視聴解析システムによれば、IPストリームでの視聴の場合に、対応する放送局を特定する形で、放送での視聴としてカウントすることに加えて、放送局の番組編成を取得し、その番組編成に対応付けて放送での視聴としてカウントすることができる。すなわち、番組を特定する形で視聴量全体を把握することができ、ストリームの適切な評価を行うことができる。
【0017】
このように、第3発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態をより適切かつ詳細に評価することができる。
【0018】
第4発明のストリーム視聴解析システムは、第1~第3発明のいずれかにおいて、
前記ストリームに挿入されたコンテンツについて、
判定集計部は、
該ストリームと独立に且つ該ストリームと同様に、
前記IP視聴測定部によるIPストリーム受信手段による前記コンテンツの視聴が測定された場合に、該コンテンツの視聴を、前記放送を介して前記放送ストリーム受信手段による該コンテンツの視聴として判定集計を行うことを特徴とする。
【0019】
第4発明のストリーム視聴解析システムによれば、ストリームに挿入されたCMなどのコンテンツについても、ストリームと同様に、判定集計部により、IPストリーム送信でのストリームに挿入されたコンテンツの視聴を放送ストリームでのコンテンツの視聴として判定集計を行う。
【0020】
これにより、IPストリームでのコンテンツ視聴の場合にも、放送でのコンテンツ視聴としてカウントすることができ、コンテンツを含めて、IPストリームを放送ストリームと同等に扱うことで、コンテンツ視聴の視聴量全体を把握することができ、コンテンツを含めたストリームの適切な評価を行うことができる。
【0021】
このように、第4発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、コンテンツを含めてその視聴実態を適切に評価することができる。
【0022】
第5発明のストリーム視聴解析方法は、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴を解析するストリーム視聴解析方法において、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段による視聴を測定するIP視聴測定工程と、
前記IP視聴測定工程によるIPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段による該ストリームの視聴として判定集計を行う判定集計工程と
を備えることを特徴とする。
【0023】
第5発明のストリーム視聴解析方法によれば、放送ストリームと同一のストリームのIPストリーム送信について、判定集計工程により、かかるIPストリーム送信でのストリームの視聴を放送ストリームの視聴として判定集計を行う。
【0024】
これにより、IPストリームでの視聴の場合にも、放送での視聴としてカウントすることができ、IPストリームを放送ストリームと同等に扱うことで、視聴量全体を把握することができ、ストリームの適切な評価を行うことができる。
【0025】
このように、第5発明のストリーム視聴解析方法によれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態を適切に評価することができる。
【0026】
第6発明のプログラムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するプログラムであって、
コンピュータに
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段による視聴を測定させ、
前記IPストリーム受信手段による前記ストリームの視聴が測定された場合に、該ストリームの視聴を、前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段による該ストリームの視聴として判定集計を行わせることを特徴とする。
【0027】
第6発明のプログラムによれば、放送ストリームと同一のストリームのIPストリーム送信について、かかるIPストリーム送信でのストリームの視聴を放送ストリームの視聴として判定集計を行う。
【0028】
これにより、IPストリームでの視聴の場合にも、放送での視聴としてカウントすることができ、IPストリームを放送ストリームと同等に扱うことで、視聴量全体を把握することができ、ストリームの適切な評価を行うことができる。
【0029】
このように、第6発明のプログラムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合にその視聴実態を適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態のストリーム視聴解析システムの概要を示すシステム構成図。
図2図1のストリーム視聴解析システムにおける各処理部の詳細を示すブロック図。
図3A図1のストリーム視聴解析システムにおける処理内容を示す説明図。
図3B図1のストリーム視聴解析システムにおける処理内容を示す説明図。
図4A図1のストリーム視聴解析システムにおける処理内容を示す説明図。
図4B図1のストリーム視聴解析システムにおける処理内容を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すように、本実施形態のストリーム視聴解析システムは、例えば、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワーク(ユニキャストが望ましいが、ユニキャストのほかマルチキャストであってもよい)を介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信におけるストリームの視聴を解析するシステムであって、放送ストリームの送信を行うTV放送局10と、IPストリームの送信を行うIP放送局20と、放送ストリームおよびIPストリームの受信を行う受信機30(本発明の放送ストリーム受信手段およびIPストリーム受信手段に相当する)と、集計サーバ40(本発明の判定集計部に相当する)と、放送側の広告枠取引システム100と、IP配信側の広告枠取引システム200とを備える。
【0032】
図2を参照して、以下、各処理部の詳細を説明する。
【0033】
放送ストリームの送信を行うTV放送局10は、送出部11と、符号部13と、時計16と、打刻部17とを備える。
【0034】
送出部11は、いわゆる放送としての伝送を行う。なお、伝送路は、地上放送に限らず衛星放送やケーブルテレビのほか、TV放送局10で管理されるものであればIP再送信やマルチキャストであってもよい。また、送出部11は、伝送に際して多重化等の処理を行う。
【0035】
符号部13は、映像・音声・データなどの情報源の符号化を行う。なお、符号化に際しては暗号化を合わせて行い、後述する復号に必要な鍵情報も復号部で生成・管理される。この場合、鍵情報は、定期的に送出部11から送信される。
【0036】
時計16は、いわゆる内部時計であり、この場合は、送信基準時刻(放送時刻)となる基準時計となる。
【0037】
打刻部17は、映像・音声・データなどの符号化された情報源を送信する際に時計16の送信基準時刻(放送時刻)を付与する。
【0038】
IPストリームの送信を行うIP放送局20は、配信部21と、符号部23と、時計26と、打刻部27とを備える。
【0039】
配信部21は、いわゆるIPネットワーク配信のほかインターネット配信としての伝送を行う。
【0040】
符号部23は、映像・音声・データなどの情報源をIPネットワーク配信のために符号化する。なお、符号化に際しては暗号化を合わせて行い、後述する復号に必要な鍵情報も復号部で生成・管理される。この場合、鍵情報は、定期的に配信部21から送信される。
【0041】
時計26は、いわゆる内部時計である。
【0042】
打刻部27は、映像・音声・データなどの情報源をIPネットワーク配信する際に、時計26の時刻を該情報源に付与する。
【0043】
受信機30は、受信部31と、バッファ部32と、復号部33と、再生部34と、判定部35と、時計36と、記録部37と、通信部38とを備える。
【0044】
受信部31は、通信のインタフェースとして放送ストリームおよびIPストリームとして受信を行う。なお、受信部31は、受信と併せて、伝送された放送ストリームデータおよびIPストリームデータが多重化されている場合には、多重分離など必要な処理を行う。これにより、チャンネル(例えば、101chなど)が取得される。
【0045】
バッファ部は、受信部31により受信された放送ストリームデータおよびIPストリームデータを一時的に蓄積する。これにより、一時的なデータの欠損があっても、後述する復号部33による安定した復号が可能となる。
【0046】
復号部33は、TV放送局10の符号部13より符号化された映像・音声・データなどの情報源の符号を復号する処理を行うと共に、IP放送局20の符号部23より符号化された映像・音声・データなどの情報源の符号を復号する処理を行う。なお、復号部33は、符号化に際しては暗号化が行われている場合には、復号に必要な鍵情報の抽出など必要な処理も併せて実行する。
【0047】
再生部34は、復号部33より復号された映像・音声・データの再生処理を行う。
【0048】
判定部35は、いわゆる視聴率測定機としての機能を有する。すなわち、受信機30の再生部34により再生されたストリーム(放送ストリームまたはIPストリーム)を識別判定して、いわゆる視聴履歴(視聴ログ)を生成する。
【0049】
なお、判定部35は、受信機30の外部(例えば、集計サーバ40)に構成されてもよい。例えば、いわゆる視聴率測定機のように、受信機30の再生部34により再生されたストリームを識別判定する装置であってもよい。
【0050】
また、判定部35は、再生されたストリームの識別に加えて、視聴している個人を識別する機能を有してもよい。例えば、受信機30の近傍にいるユーザを近距離通信(ユーザのスマートホンとのビーコンによる通信)により個人やユーザIDの特定を行うほか、リモコン入力の際にユーザを特定するボタン操作を伴うリモコン入力により個人やユーザIDの特定を行うように構成してもよい。
【0051】
時計36は、受信機30の内部時計である。
【0052】
記録部37は、各種情報の記録を行う。例えば、受信部31により取得されたチャンネル情報、再生部34により再生された映像・音声・データに時計36が計時する内部時計の時刻を付して記録するほか、復号部33により復号して取得する送信基準時刻や、判定部35による判定結果である視聴履歴を記憶する。
【0053】
通信部38は、ネットワークを介した外部サーバ等との接続のインタフェースであって、例えば、記録部37に記録された情報の送信や外部サーバからのデータの取得等が可能となっている。
【0054】
集計サーバ40は、集計部41と、蓄積部42と、位置特定部43と、放送局特定部44と、番組編成特定部45とを備える。
【0055】
集計部41および蓄積部42は、受信機30の判定部35の判定結果である視聴履歴(視聴された放送ストリームまたはIPストリームのほか、受信機ID、ユーザID、世帯IDおよび視聴時刻を含む)を集計し、蓄積部42にその集計した視聴履歴を蓄積する。
【0056】
なお、ユーザIDは、ユーザによって受信機Xに入力され、また、世帯IDは、集計サーバにおいて世帯単位に発番され、受信機Xに割り当てられる。
【0057】
集計部41は、視聴率を含む視聴実態の各種分析を行う。例えば、集計部41は、視聴実態の分析として、番組の接触や広告の接触を、世帯ごと、ユーザごと、受信機ごとに集計する。
【0058】
位置特定部43は、集計部41による各種分析結果などの対象視聴者に対して、その位置を特定する。より具体的に、位置特定部43は、IPアドレスや、郵便番号や、緯度経度情報や、住所入力など、位置を示す情報から受信機30の位置を特定する。なお、位置特定部43は、受像機30における一つまたは複数の放送局の受信チャンネルから位置またはエリアを推定してもよい。
【0059】
放送局特定部44は、位置特定部43により特定された位置に基づいて、対応する放送の放送局を特定する。より具体的に、放送局特定部44は、位置に基づく対応する地域放送局のほか、(すべての日本地域をカバーする)衛星放送の放送局を特定する。
【0060】
番組編成特定部45は、放送局特定部44により特定された放送局の番組編成を取得し、取得した番組編成に基づく視聴番組の特定を行う。
【0061】
放送側の広告枠取引システム100と、IP配信側の広告枠取引システム200とは、それぞれ放送ストリームおよびIPストリームにおけるCMなどの広告の取引を行うシステムである。
【0062】
以上が本実施形態のストリーム視聴解析システムの構成である。なお、以上の構成において、TV放送局10と、IP放送局20と、受信機30と、集計サーバ40との各処理部は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、後述する各種処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0063】
また、TV放送局10と、IP放送局20と、受信機30と、集計サーバ40の一部または全部は、他のサーバ(外部サーバ)により構成し、分散処理によりストリーム視聴解析システムを実現してもよい。
【0064】
次に、集計サーバ40による処理内容の詳細を説明する。
【0065】
まず、放送局特定部44は、位置特定部43により特定された位置に基づいて、図3Aに示すネットワーク対応テーブルに従って、特定された位置のエリアを判定し、対応テーブルに基づいて、そのエリアの放送局(チャンネル)を適用させる。
【0066】
これにより、集計サーバ40の集計部41および蓄積部42は、視聴履歴の集計および蓄積を行う際に、IPストリームでの視聴をエリアの放送局(チャンネル)の放送ストリームの視聴として視聴集計を行う。
【0067】
なお、ネットワーク対応テーブルを取得しない場合、番組編成特定部45によって取得する視聴するIPストリームのタイムテーブル(不図示)と、図4に示す特定されたエリアの放送局のタイムテーブルについて、放送局特定部44にて、その一致度を判別し、IPストリームに対応した放送局(チャンネル)を特定し、適用してもよい。
【0068】
なお、放送局特定部44による放送局(チャンネル)適用は、図3Bに示すように、ネットワーク対応テーブルを放送時間帯で区切ることにより、放送時間帯で変動させてもよい。
【0069】
ここで、放送時間帯により変動させる場合には、例えば、ストリームの送信基準時刻によりチャンネルを特定することができ、ライブ視聴の場合もタイムシフトの場合にも、チャンネルを特定した視聴集計が可能となる。放送ストリームを録画してタイムシフト視聴する場合、録画時に、ストリームの送信基準時刻も記録され、その視聴しているストリームの送信基準時刻と図3Bの放送時間帯を対応させて、チャンネルを特定する。
【0070】
番組編成特定部45は、図4Aに示すように、特定された位置のエリアの番組編成を取得し、取得した番組編成を適用させてもよい。
【0071】
これにより、集計サーバ40の集計部41および蓄積部42は、視聴履歴の集計および蓄積を行う際に、IPストリームでの視聴をエリアの放送局(チャンネル)の番組単位で、放送ストリームの視聴として視聴集計を行うことができる。これにより、例えば、ユーザの選択によって放送ストリームではなくIPストリームの視聴が選択された場合や、機器の不調や放送障害等の不可抗力等によりIPストリームの視聴が行われていた場合でも集計が分離されることがなく、IPストリームに対応した放送局(チャンネル)の放送ストリームの視聴としての視聴集計が可能となる。
【0072】
なお、位置特定部43は、例えば、広範囲の番組編成を事前に取得し、逆に視聴している番組の番組編成からエリア(視聴位置)を特定するようにしてもよい。
【0073】
さらに、図4Bに示すように、ストリームに挿入された広告(CM)などのコンテンツについても、ストリームと同様に且つ独立に、視聴判定してもよい。
【0074】
例えば、IPストリームに広告Aを差し込んだときに、その広告Aの視聴を放送ストリームに挿入された広告Aの視聴として測定することができる。なお、この場合、記録する時刻は受信時の時刻としてもよく、番組送信時刻からの経過時間を加えて、推定時刻を記録してもよい。
【0075】
以上のように、本実施形態のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームのIPストリーム送信について、IPストリーム送信でのストリームの視聴を放送ストリームの視聴として判定集計を行うことができる。
【0076】
これにより、IPストリームでの視聴の場合にも、放送での視聴としてカウントすることができ、IPストリームを放送ストリームと同等に扱うことで、ストリーム及びコンテンツの視聴量全体を把握することができ、ストリームの適切な評価を行うことができ、ひいては、視聴実態を適切に評価することができる。
【0077】
なお、本実施形態において、受信機30は、TV放送局10からのストリーム受信とIP放送局20からのストリーム受信との両方が可能である受信機である場合について説明したが、必ずしも同一端末である必要はない。
【0078】
すなわち、IP放送局20からのストリーム受信のみが可能な受信機30に基づく視聴履歴から、集計サーバ40(集計部41と、蓄積部42と、位置特定部43と、放送局特定部44と、番組編成特定部45)による処理を行って、IPストリームの視聴をそのエリアの放送局(さらには、そのエリアの放送局の放送番組や広告)の放送ストリームの視聴として集計するように構成してもよい。
【0079】
さらに上記のように、IPストリームでの視聴と放送局(チャンネル)からの放送ストリームの視聴が対応付けされて測定する場合、逆のケースとして放送ストリームでの視聴をIPストリームでの視聴として視聴判定、集計してもよい。この場合、視聴量の実態が放送局(チャンネル)ごとに分離され、ばらばらに集計されるものが、IPストリームが視聴可能なエリア(例えば日本全体)でのコンテンツ視聴実態の測定、把握が可能となる。
【符号の説明】
【0080】
10…TV放送局、11…TV放送局の送出部、13…TV放送局の符号部、16…TV放送局の時計、17…TV放送局の打刻部、20…IP放送局、21…IP放送局の配信部、23…IP放送局の符号部、26…IP放送局の時計、27…IP放送局の打刻部、30…受信機(IPストリーム受信手段および放送ストリーム受信手段に相当する)、31…受信部、32…バッファ部、33…復号部、34…再生部、35…判定部、36…時計、37…記録部、38…通信部、40…集計サーバ、41…集計部、42…蓄積部、43…位置特定部、44…放送局特定部、45…番組編成特定部、100…放送側の広告枠取引システム、200…IP配信側の広告枠取引システム。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B