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特開2024-122215植物への給水タイミング判定方法及び給水タイミング判定装置並びにそれを用いた自動給水システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122215
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】植物への給水タイミング判定方法及び給水タイミング判定装置並びにそれを用いた自動給水システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20240902BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G27/00 504B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029643
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中居 葉子
(72)【発明者】
【氏名】高須 施聞
(72)【発明者】
【氏名】竹川 秀人
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 隆
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 正宜
(72)【発明者】
【氏名】山本 正美
(57)【要約】
【課題】植物への適切な給水タイミングを判定する方法を提供する。
【解決手段】対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定方法とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記曲率半径Rの平均値Raと標準偏差σから変動係数Cv(=σ/Ra)を計測し、前記変動係数が所定の基準値以上となった時点を前記給水タイミングと判定する給水タイミング判定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記基準値は、0.10とすることを特徴とする給水タイミング判定方法。
【請求項4】
請求項1に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記境界位置は、前記葉と前記茎の結合部から前記葉の全長の半分までの範囲に位置することを特徴とする給水タイミング判定方法。
【請求項5】
請求項1に記載の給水タイミング判定方法であって、
変色した葉及び成長が止まっている葉を、前記曲率半径Rの変動による判定対象から除くことを特徴とする給水タイミング判定方法。
【請求項6】
請求項1に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記給水タイミングと判定された場合にユーザに報知することを特徴とする給水タイミング判定方法。
【請求項7】
対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の給水タイミング判定装置を用いて判定された前記給水タイミングで前記植物に自動給水を行うことを特徴とする自動給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物への給水タイミング判定方法及び給水タイミング判定装置並びにそれを用いた自動給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物を指示された撮像位置まで移動させ、当該撮像位置にて指示された方向から植物を撮像し、撮像された植物の画像情報に基づいて植物育成環境を制御するシステムが開示されている(特許文献1)。当該システムでは、撮像対象は、葉、茎、花・実、根から選択可能である。そして、一枚の葉の縦横比を算出し、葉がしおれることによって張りがなくなり葉の見かけ上の横幅が狭くなることを利用して水分不足を検知する方法が示されている。また、4枚の葉の3次元情報を取得して平面投射図を作成し、葉の先端近傍を通過する円を描くことで、葉がしおれた状態になると当該円がより小さな円になることから、円の直径によりしおれ具合を検出する方法も示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-5468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、健康維持及び知的生産性向上を目指した室内空間環境制御を行ううえで、植物のメンテナンスに関する人的負荷を低減したいという要望がある。具体的には、植物のメンテナンスに必要な要素の1つである水やりに関し、具体的で現実的な給水タイミングを検出する方法が必要とされている。
【0005】
上記従来技術では、葉の先端近傍を通過する円の直径に変化が現れるのは、葉がしおれ始めてからである。葉のしおれ始めの経験は、植物に対してダメージを与える懸念がある。また、葉の先端近傍を通過する円の直径は植物の成長によって大きくなるため、しおれが発生して葉の先端が内向きになり直径が縮小される方向に進んだ場合でも、成長による拡大と相殺されてその変化が検出できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定方法である。
【0007】
ここで、前記曲率半径Rの平均値Raと標準偏差σから変動係数Cv(=σ/Ra)を計測し、前記変動係数が所定の基準値以上となった時点を前記給水タイミングと判定することが好適である。
【0008】
また、前記基準値は、0.10とすることが好適である。
【0009】
また、前記境界位置は、前記葉と前記茎の結合部から前記葉の全長の半分までの範囲に位置することが好適である。
【0010】
また、変色した葉及び成長が止まっている葉を、前記曲率半径Rの変動による判定対象から除くことが好適である。
【0011】
また、前記給水タイミングと判定された場合にユーザに報知することが好適である。
【0012】
本発明の別の態様は、対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定装置である。
【0013】
また、上記の給水タイミング判定装置を用いて判定された前記給水タイミングで前記植物に自動給水を行うことを特徴とする自動給水システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、植物への適切な給水タイミングを判定する方法及び装置並びにそれを用いた自動給水システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における自動給水システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における自動給水システムの構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態における給水タイミング判定方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態における植物の撮像画像の例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態における葉と茎の境界位置及びその曲率半径を示す図である。
図6】曲率半径R及び変動係数Cvの経時的な変化の測定例を示す図である。
図7】曲率半径Rの変動係数Cvと鉢植えのスパティフィラムの全体重量の関係を示す図である。
図8】曲率半径Rの変動係数Cvと鉢植えのスパティフィラムの全体重量の関係を示す図である。
図9】曲率半径Rの変動係数Cvと鉢植えのスパティフィラムの全体重量の関係を示す図である。
図10】曲率半径Rの変動係数Cvと鉢植えのスパティフィラムの全体重量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態における自動給水システムは、図1に示すように、自律移動装置100及び給水装置200を含んで構成される。
【0017】
自律移動装置100は、植栽のある植木鉢の鉢部102を備えた装置である。鉢部102は、凹みを備えており、当該凹みに植栽のための土壌を入れることができる。自律移動装置100は、後述する自律走行技術に基づいて植物を自律的に移動させることが可能である。
【0018】
給水装置200は、自律移動装置100に設置された植物に水を供給する装置である。給水装置200は、自律移動する自律移動装置100とドッキングし、自律移動装置100からの給水タイミング信号を受信することで、仕切管104を介して自律移動装置100に植栽された植物へ水を供給する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態における自律移動装置100及び給水装置200の構成を示す機能ブロック図である。自律移動装置100は、設置された植物への水の給水タイミングを判定する給水タイミング判定装置を兼ねている。
【0020】
自律移動装置100は、制御部20、撮像部22、給水タイミング判定部24、報知部26、動力部28、人感部30、距離情報取得部32、自己位置推定部34、地図保管部36及び通信部38を含んで構成される。また、給水装置200は、通信部40、制御部42及び撮像部44を含んで構成される。
【0021】
制御部20は、自律移動装置100を統合的に制御する手段を含む。制御部20は、メモリ等の記憶手段にアクセス可能なコンピュータで構成することができる。給水に関しては、給水タイミング判定部24によって判定される給水タイミングに応じて自律移動装置100を制御する。
【0022】
[給水タイミング判定方法]
図3は、給水タイミング判定方法を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、自律移動装置100による植物への給水タイミングを判定する給水タイミング判定方法について説明する。給水タイミング判定処理は、自律移動装置100の給水タイミング判定部24によって行われる。
【0023】
ステップS10では、自律移動装置100に植栽されている植物の撮像が行われる。給水装置200に設けられた撮像部44を用いて自律移動装置100に植栽されている植物の画像を撮影する。撮像部44は、一般的なカメラやビデオ等を用いることができる。
【0024】
撮影は、自律移動装置100を給水装置200から一定の距離に移動させ、自律移動装置100を360°回転させて行うことが好適である。
【0025】
給水タイミングを判定するためには、植物の葉と茎の境界位置の曲率半径の変動を把握する必要があるため、曲率半径の比較を行う期間において撮像時に撮像部44と植物の距離が一定であることが好適である。すなわち、撮像部44と植物の距離が異なると画像上において植物の葉と茎の境界位置の曲率半径の大きさが異なるためである。
【0026】
具体的には、自律的に走行する自律移動装置100の距離情報取得部32によって自律移動装置100と給水装置200との距離を取得し、当該距離が所定値となった状態において制御部20から通信部38を介して給水装置200へ撮像開始信号を送信する。給水装置200は、通信部40を介して自律移動装置100から撮像開始信号を受信すると、制御部42を介して撮像部44によって自律移動装置100に植栽されている植物の画像を撮影する。給水装置200は、通信部40を介して、撮影された植物の画像データを自律移動装置100へ送信する。自律移動装置100は、通信部38を介して、撮影された植物の画像データを給水装置200から受信する。当該画像データは、給水タイミング判定部24に送信され、給水タイミングを判定するために用いられる。
【0027】
撮像開始信号は、所定のタイミングや時間間隔で自律移動装置100の制御部20から給水装置200へ送信される。例えば、1日に1回のような時間間隔で自律移動装置100の制御部20から給水装置200へ撮像開始信号が送信される。これによって、所定のタイミングや時間間隔で給水装置200において植物の画像が撮影され、当該画像の画像データが自律移動装置100へ送信される。なお、撮像のタイミングや時間間隔は、植物の種類や季節等の時期によって変更してもよい。
【0028】
図4は、スパティフィラムを対象の植物として撮像した例を示す。なお、図4は、給水タイミングを判定する処理を説明するために撮像したものであり、自律移動装置100に植栽されたものでないが、自律移動装置100に植栽されたものであっても同様に処理が可能である。
【0029】
ステップS12では、処理対象とする葉を選択する処理が行われる。植物への水の供給不足を判定するためには、水の供給不足に対して敏感に反応する葉を選択して処理対象とすることが好適である。そこで、黄変した葉や植物の株の中心からの離脱が見られ成長がとまっていると判断される茎葉を除いて処理対象とする葉を選択する。例えば、スパティフィラムのような単子葉類の場合は株中心にある葉を所定数だけ選択し、双子葉類の場合は茎の最上層にある葉を所定数だけ選択する。所定数は、例えば3点とする。葉の選択は、ユーザによる選択によってもよいし、撮像された画像における葉の色彩や形状に基づいて画像処理によって自動的に黄変した葉や成長がとまっている茎葉を処理対象から除くようにしてもよい。
【0030】
図4の画像の例では、葉R1、葉R4、葉R5が処理対象から除かれ、葉R2、葉R3、葉R6が処理対象として選択された。
【0031】
ステップS14では、処理対象として選択された葉と茎の境界位置における曲率半径の変動係数が算出される。1つの葉と茎との境界位置の曲率半径の経時変化を求めるためには、葉と茎との境界位置を一定の箇所に定めることが好適である。境界位置は、例えば、処理対象である葉と茎の結合点、又は、茎と葉の結合点を中心して茎側又は葉側に所定の範囲内に設定することが好適である。具体的には、境界位置は、茎と葉の結合点から茎側又は葉側に当該葉の全長の半分までの範囲に位置することが好適であり、さらに全長の1/4までの範囲に位置することが好適である。例えば、茎と葉の結合点を中心とした30cmの範囲内、さらに好ましくは5cmの範囲内に境界位置を定めるのが好適である。
【0032】
図5は、図4の画像において、処理対象である葉R3の境界位置Pと、境界位置Pにおける曲率半径Rを示す。なお、葉R3の向きが図4及び図5において異なるが、これは境界位置P、境界位置Pにおける曲率半径Rを判定し易い角度に回転させたためである。画像処理によって、茎から葉へ連なる境界位置の湾曲の度合いから曲率半径Rが求められる。さらに、処理対象として曲率半径Rの平均値Ra及び標準偏差σから変動係数Cv(=σ/Ra)が算出される。
【0033】
図6は、図4の画像の例において処理対象として選択された葉R2、葉R3、葉R6について給水を行った日から5日以上に亘って曲率半径R及び変動係数Cvの経時的な変化を測定した例を示す。図6では、12月15日(給水1)、12月21日(給水2)、1月3日(給水3)及び1月14日(給水4)に給水を行い、給水を行った時点を0としてΔ時間経過した各時点の葉R2、葉R3、葉R6について茎から葉へ連なる部分の湾曲の度合を示す曲率半径Rを測定し、曲率半径Rから変動係数Cvを算出した。
【0034】
測定の結果、植物中の水分が十分である場合、変動係数Cvが0.10以下で安定していることがわかった。このことから、変動係数Cvが0.10を閾値とし、対象である茎葉のうち1つでも閾値を超えるものが検出されたタイミングを給水タイミングと設定することが好適である。
【0035】
図7図10は、各給水(給水1~給水4)の後における葉R2、葉R3、葉R6の曲率半径Rの変動係数Cvと、鉢植えのスパティフィラムの全体重量の関係を示す。全体重量が一定以上減少、すなわち土壌中の水分量が一定以上減少すると変動係数Cvが大きくなることが示されている。
【0036】
これらの結果からも、スパティフィラムの変動係数Cvに対する基準値を0.10に設定し、変動係数Cvが0.10以上となった時点を給水タイミングとすることが好適である。変動係数Cvが0.10を超えるタイミングを給水タイミングに設定することで、変動係数Cvが0.10未満の状態に戻すことができることは、変動係数Cvが0.8を超える給水タイミングで給水を行うことを繰り返しても植物が枯れずに維持できたことから明らかである。ただし、変動係数Cvが0.8となると、茎葉が大きくしおれており、植物の負担が大きく、好ましくない。
【0037】
変動係数Cvに対する基準値は、植物の種類によらず共通した値を用いることができる。曲率半径Rは、植物の種類、植物と撮像部との距離によって異なるが、その変動係数Cvは平均値Raと標準偏差σから算出されるため共通化される。
【0038】
以上のように、植物中の水分が十分である場合は、変動係数Cvが0.10未満で安定していることが判明した。したがって、変動係数Cvに対する基準値を0.10とし、処理対象である葉のうち1つでも基準値以上の変動係数Cvを示す時点を給水タイミングと判定することが好適である。
【0039】
なお、生育期では植物の水の吸水量が多いため、変動係数Cvの変化の速度が休眠期と比べて速いことが推察される。そこで、画像を断続的に撮影して解析するのではなく、画像を継続的に撮影して自動解析を適用することで生育期における変動係数Cvの速い変化にも対応でき、より高い精度で植物への給水タイミングを決定することができる。
【0040】
ステップS16では、曲率半径Rの変動係数Cvに基づいて給水タイミングの判定が行われる。処理対象である葉の少なくとも1つの曲率半径Rの変動係数Cvが基準値以上であれば処理を給水タイミングであるとしてステップS18に移行させ、基準値未満であれば給水タイミングではないとして処理をステップS10に戻して処理を繰り返す。
【0041】
ステップS18では、給水タイミングであることを報知する。給水タイミングであると判断された場合、報知部26を用いてユーザに対して給水タイミングであることを報知する。例えば、報知部26として給水タイミングであることを示すランプを設けておき、給水タイミングであれば当該ランプを点灯させるようにしてもよい。ただし、給水タイミングの報知方法は、これに限定されるものではなく、ユーザに対して給水タイミングを知らせることができる態様であればよい。
【0042】
ステップS20では、ユーザによる給水か否かが判定される。例えば、ユーザによる給水と自動給水とをスイッチ等で切り替えられるようにしてもよい。ステップS18における給水タイミングの報知によってユーザが自分で給水を開始した場合、ステップS22に処理を移行させ、そうでなければステップS26に処理を移行させる。例えば、ステップS18における給水タイミングの報知から所定の期間内に自律移動装置100の鉢部102に設けられたセンサ等によって植栽された植物に対して水が供給されたことが検知されればステップS22に処理を移行し、所定の期間内に水の供給が開始されなければステップS26に処理を移行する。
【0043】
ステップS22では、ユーザによる植物への給水が行われる。当該ステップでは、ユーザによって自律移動装置100の鉢部102に植栽された植物に対して水が供給される。ステップS24において自律移動装置100の鉢部102に設けられたセンサ等によって植栽された植物に対する給水が満水に到達したと判定されれば、ステップS32において給水の終了を報知する。給水終了の報知でユーザによる給水を終了させ、過剰給水による漏水での自律移動装置100の損傷を防ぐことができる。
【0044】
ステップS26では、自律移動装置100を給水装置200へ自律移動させる処理が行われる。ステップS20においてユーザによる給水が行われないと判定された場合、自律移動装置100は給水装置200へ自律的に移動する処理を行う。
【0045】
自律移動装置100は、自律移動するための動力部28を備える。すなわち、自律移動装置100は、制御部20による移動制御によって自律的に走行して植物を移動させることができる。
【0046】
制御部20は、動力部28の車輪の回転量、撮像部22による撮像情報及び人感部30による人の感知情報、距離情報取得部32による物体からの距離情報等に基づいて自律移動装置100が設置された空間内の地図情報を作成する。撮像部22は、自律移動装置100周囲を撮像したりする手段、例えばカメラやビデオ等を含む。人感部30は、自律移動装置100の周囲の人を検知する手段、例えば人感センサを含む。
【0047】
地図情報は、当該空間内において自律移動装置100を移動させる際に障害となる障害物の配置や給水装置200の位置情報を含む。具体的には、地図情報は、自己位置推定部34によって推定された自律移動装置100の自己位置の推定と地図情報の作成とを同時に実行するSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術によって作成することができる。すなわち、動力部28によって自律移動装置100を移動させつつ、動力部28の車輪の回転量、撮像部22による撮像情報、人感部30による人感情報、距離情報取得部32による物体からの距離情報等に基づいて空間内の基準点に対する自律移動装置100の相対的な位置(空間内の座標や方位)を自己位置として推定する。同時に、人感部30による空間内を撮影した画像や距離情報取得部32による物体からの距離情報に基づいて障害物や給水装置200の位置を取得して地図情報としてマッピングする。地図情報は、制御部20からアクセス可能な地図保管部36に記憶される。なお、地図情報を作成する技術は、上記の態様に限定されるものではない。例えば、SLAM技術として、レーザSLAMやビジュアルSLAM等を適用してもよい。
【0048】
制御部20は、作成された地図情報に基づいて動力部28を制御して、室内において障害物等を避けて自律移動装置100を給水装置200の位置まで移動させ、給水装置200とドッキングさせる。
【0049】
ステップS28では、植物への給水処理が行われる。自律移動装置100は、給水装置200まで自律移動すると給水装置200とドッキングする。ドッキング後、自律移動装置100の通信部38と給水装置200の通信部40との間で通信が開始される。通信部38及び通信部40を介して、給水装置200へ給水開始信号を出力する。制御部42は、給水開始信号を受信すると、植物に設けられた仕切管104に対して給水管202から給水を自動的に開始する。自律移動装置100に植栽された植物に対して水が供給される。ステップS30において自律移動装置100の鉢部102に設けられたセンサ等によって植栽された植物に対する給水が満水に到達したと判定されれば給水を終了する。給水が終了すると、自律移動装置100は元の位置に自律移動する。
【0050】
なお、本実施の形態では、ユーザによる給水及び自動給水の両方が可能な構成について説明したが、給水タイミングであることを報知に伴ってユーザによる給水のみが可能な構成としてもよい。
【0051】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、植物に最適な給水タイミングを計ることができ、給水をコントロールすることで植物をベストな状態に維持できる。
【0052】
[本願発明の構成]
[構成1]
対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定方法。
[構成2]
構成1に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記曲率半径Rの平均値Raと標準偏差σから変動係数Cv(=σ/Ra)を計測し、前記変動係数が所定の基準値以上となった時点を前記給水タイミングと判定する給水タイミング判定方法。
[構成3]
構成2に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記基準値は、0.10とすることを特徴とする給水タイミング判定方法。
[構成4]
構成1~3のいずれか1項に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記境界位置は、前記葉と前記茎の結合部から前記葉の全長の半分までの範囲に位置することを特徴とする給水タイミング判定方法。
[構成5]
構成1~4のいずれか1項に記載の給水タイミング判定方法であって、
変色した葉及び成長が止まっている葉を、前記曲率半径Rの変動による判定対象から除くことを特徴とする給水タイミング判定方法。
[構成6]
構成1~5のいずれか1項に記載の給水タイミング判定方法であって、
前記給水タイミングと判定された場合にユーザに報知することを特徴とする給水タイミング判定方法。
[構成7]
対象とする植物の葉と茎の境界位置の曲率半径Rの変動に基づいて給水タイミングと判定する給水タイミング判定装置。
[構成8]
構成7に記載の給水タイミング判定装置を用いて判定された前記給水タイミングで前記植物に自動給水を行うことを特徴とする自動給水システム。
【符号の説明】
【0053】
20 制御部、22 撮像部、24 給水タイミング判定部、26 報知部、28 動力部、30 人感部、32 距離情報取得部、34 自己位置推定部、36 地図保管部、38 通信部、40 通信部、42 制御部、44 撮像部、100 自律移動装置、102 鉢部、104 仕切管、200 給水装置、202 給水管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10