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特開2024-122217バックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122217
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】バックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240902BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240902BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
H04N5/64 501D
H04N5/64 521Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029646
(22)【出願日】2023-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】593061064
【氏名又は名称】怡利電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳錫勳
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA14
2H199DA15
2H199DA16
2H199DA30
2H199DA31
2H199DA32
2H199DA33
2H199DA46
3D344AA19
3D344AA21
3D344AA26
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】バックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】結像ハーフミラーと組み合わせて使用するのに適していると共に、バックライトと、切り替え可能な調整ミラーと、バックライト凹面鏡と、表示パネルと、結像凹面鏡と、を備えている。切り替え可能な調整ミラーはバックライトからバックライト凹面鏡までの光路上に位置していると共に曲率が異なる複数の鏡面を含み、何れか1つの前記鏡面は前記バックライトからのバックライトビームをバックライト凹面鏡に選択的に反射する。これにより、アイボックスを観察者の目の位置に追従するように制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像ハーフミラーと組み合わせて使用するのに適するバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイであって、
バックライトビームを投射するためのバックライトと、
曲率が異なる複数の鏡面を含み、各前記鏡面を選択的に切り替えることで前記バックライトからの前記バックライトビームを反射する切り替え可能な調整ミラーと、
何れか1つの前記鏡面から反射された前記バックライトビームを反射するように配置されているバックライト凹面鏡と、
イメージを表示するように配置されていると共に前記バックライト凹面鏡により反射された前記バックライトビームを透過させてイメージビームを形成させる表示パネルと、
前記イメージビームを前記結像ハーフミラーに反射するように配置され、前記結像ハーフミラーの観察者から離れた一側に位置している表示パネル虚像、及び前記結像ハーフミラーの前記観察者から近い一側に位置していると共に前記観察者の目に位置しているバックライト実像を形成し、前記バックライト実像はアイボックスである結像凹面鏡と、をさらに備えていることを特徴とするバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記結像ハーフミラーはフロントガラスまたはコンバイナであり、前記結像凹面鏡からの前記イメージビームを前記観察者の目に部分的に反射するために用いられ、同時に、前方の景色の光線を前記観察者の目に部分的に透過させることを特徴とする請求項1に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記切り替え可能な調整ミラーは回転可能なローラーを更に備え、前記ローラーには複数の前記鏡面が設置され、前記ローラーの回転により前記バックライトからの前記バックライトビームが何れか1つの前記鏡面に投射されることを特徴とする請求項1に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記ローラーのローラーシャフトの少なくとも一端はシャフトカーブに沿って移動することを特徴とする請求項3に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記切り替え可能な調整ミラーは回転可能なターンテーブルを更に備え、前記ターンテーブルには複数の前記鏡面が設置され、前記ターンテーブルの回転により前記バックライトからの前記バックライトビームが何れか1つの前記鏡面に投射されることを特徴とする請求項1に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記ターンテーブルのターンテーブルシャフトの少なくとも一端はシャフトカーブに沿って移動することを特徴とする請求項5に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
複数の前記鏡面は少なくとも1つの曲面鏡または少なくとも1つの平面鏡を含み、或いは少なくとも1つの曲面鏡及び少なくとも1つの平面鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記曲面鏡は球面鏡、非球面鏡、または自由曲面ミラーであることを特徴とする請求項7に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
各前記鏡面の角度は調整可能であり、第一軸方向及び第二軸方向における前記アイボックスの位置を決定し、前記第一軸方向は前記第二軸方向に対し垂直であり、前記第一軸方向及び前記第二軸方向は共に前記観察者の視線方向と垂直になることを特徴とする請求項1に記載のバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ(head-up display)に関し、より詳しくは、バックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
図1A乃至図2Cに示すように、従来のヘッドアップディスプレイの画像生成ユニットPGU1に使用される液晶ディスプレイのようなバックライト式ディスプレイは、通常バックライト1及び表示パネル4を有している。バックライト1は通常表示パネル4の後に設置されている。ヘッドアップディスプレイの光路の設計では、表示するイメージをズームアウトして目の焦点距離の切り替えを減らすため、画像生成ユニットPGU1が投射するイメージは結像凹面鏡5により反射、拡大された後に観察者の目Eに投射される。このため、表示パネル4が結像凹面鏡5の焦点距離内に設置され、結像凹面鏡5の後方の離れた箇所に形成されると共に拡大される表示パネル虚像Gは、結像ハーフミラー6により観察者の目Eに部分的に反射され、結像ハーフミラー6の観察者から離れた一側に結像された表示パネル虚像Gを観察者が視覚的に観察可能になる。結像ハーフミラー6は図2Aのフロントガラス(windshield)61、または図2Bのコンバイナ(combiner)62のように、投射されたイメージ光を観察者の目Eに部分的に反射し、同時に、前方の景色の光線を観察者の目に部分的に透過させる。
【0003】
拡張現実機能を有しているヘッドアップディスプレイが、投射されるイメージを車両前方の実際の景色に可能な限り重ね合わせるようにするため、イメージの結像距離を可能な限りズームアウトする必要があるため、例えば10mまたはそれより遠くにズームアウトするために、表示パネル4を結像凹面鏡5の焦点に接近させ、焦点に接近するほど結像距離が遠くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような条件において、バックライト1が表示パネル4の後に設置されるため、バックライト1が結像凹面鏡5の焦点に更に接近し、ひいては焦点を超過する。図1A図1Bに示すように、バックライト1が焦点Fを超過せずに焦点Fに接近する場合、画像生成ユニットPGU1のバックライト1は結像凹面鏡5により反射された後に結像凹面鏡5の後の更に離れた箇所に更に大きなバックライト虚像BL_im5を形成する。または、図1A図1Cに示す如く、バックライト1が焦点Fを超過して焦点Fに接近する場合、画像生成ユニットPGU1のバックライト1は結像凹面鏡5により反射された後に結像凹面鏡5の前の大きく離れた箇所に大きなバックライト実像BL_re5を形成する。
【0005】
バックライト実像の結像位置は全ての光線が交わる領域であり、この領域では最も明晰で明瞭な完全なイメージを観察でき、イメージを観察するのに最良な位置となる。即ち、アイボックスの位置である。よって、観察する輝度及び光線の利用率を高める最良の設計は、サイズの小さいバックライト実像(アイボックス)を形成し、且つその位置を観察者の目の位置にする。
【0006】
バックライト1が観察者の目Eの位置に小さいバックライト実像BL_re5を形成するようにするため、バックライト1が結像凹面鏡5の焦点から超過すると共に離れるようにし、像距離を短縮し、倍率を下げる(図2A図2B参照)。但し、このような設計は、バックライト1の光線の利用率が低下した。図2Cに示す如く、高指向性ではないバックライト1が遠い箇所で投射する光線はビーム拡散角が大きいため、最後に少ない部分的な光線のみが表示パネル4を透過すると共に観察者のアイボックスに進入するため、観察者が観察するイメージの輝度が低く、且つ部材の間には広い空間が必要であった。
【0007】
好ましくは、図3A及び図3Bに示す如く、画像生成ユニットPGU2は、バックライト1が発する光線をバックライト凹面鏡3により表示パネル4に反射する。バックライト1はこのバックライト凹面鏡3の焦点距離内に設置され、バックライト凹面鏡3の後の離れた箇所に拡大されたバックライト虚像BL_im3を形成する。このバックライト虚像BL_im3が結像凹面鏡5の焦点から超過すると共に離れ、結像凹面鏡5及び結像ハーフミラー6により反射された後に観察者の目Eの位置にバックライト実像BL_re5が形成される。このようにすることで、小さいバックライト1を使用して部材の間の距離を短縮させ、且つバックライト凹面鏡3が反射した後のビームが高い指向性を有し、高光線の利用率が高まる。
【0008】
しかしながら、車両にいる観察者は固定で不動ではなく、座席や頭部が移動したり擺動する。一旦、目Eがバックライト実像BL_re5の位置から離れ、図4に示すように前後に移動すると、光線が目Eに焦点を集めれず、観察者が観察するイメージの輝度の品質に影響が生じる。上下または左右に移動する場合、観察するイメージの輝度の品質が影響を受ける以外、観察者がイメージを部分的にしか見ることができず、さらにはイメージが全く見えなくなることもあった。
【0009】
一般的には、凹面鏡が結像する物体と像との間には連鎖連動関係がある。即ち、バックライト1の位置の変化がバックライト実像の位置を連動させて変化させる。目Eが変位した状況でも観察するイメージの品質を維持するためには、変位可能なバックライト1及び曲率、位置が固定されているバックライト曲面ミラーBLCを組み合わせることで、目Eに追従してバックライト実像BL_re5(即ち、アイボックス)の位置が移動するようにしている。しかしながら、変位可能なバックライト1には広い空間が必要であるという問題があった。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を採用することによって、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、観察者の目の位置の変化により、観察者が観察するイメージが崩れるまたは品質が低下するのを回避するバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施態様によれば、バックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイが提供される。
【0013】
本発明に係るバックライトを使用してアイボックスを制御するヘッドアップディスプレイは、結像ハーフミラーと組み合わせて使用するのに適し、且つ、バックライトビームを投射するためのバックライトと、曲率が異なる複数の鏡面を含み、各前記鏡面を選択的に切り替えることで前記バックライトからの前記バックライトビームを反射する切り替え可能な調整ミラーと、何れか1つの前記鏡面から反射された前記バックライトビームを反射するように配置されているバックライト凹面鏡と、イメージを表示するように配置されていると共に前記バックライト凹面鏡により反射された前記バックライトビームを透過させてイメージビームを形成させる表示パネルと、前記イメージビームを前記結像ハーフミラーに反射するように配置され、前記結像ハーフミラーの観察者から離れた一側に位置している表示パネル虚像、及び前記結像ハーフミラーの前記観察者から近い一側に位置していると共に前記観察者の目に位置しているバックライト実像を形成し、前記バックライト実像はアイボックスである結像凹面鏡と、をさらに備えている。
【0014】
選択可能は、前記結像ハーフミラーはフロントガラスまたはコンバイナであり、前記結像凹面鏡からの前記イメージビームを前記観察者の目に部分的に反射するために用いられ、同時に、前方の景色の光線を前記観察者の目に部分的に透過させる。
【0015】
選択可能は、前記切り替え可能な調整ミラーは回転可能なローラーを更に備え、前記ローラーには複数の前記鏡面が設置され、前記ローラーの回転により前記バックライトからの前記バックライトビームが何れか1つの前記鏡面に投射される。
【0016】
選択可能は、前記ローラーのローラーシャフトの少なくとも一端はシャフトカーブに沿って移動する。
【0017】
選択可能は、前記切り替え可能な調整ミラーは回転可能なターンテーブルを更に備え、前記ターンテーブルには複数の前記鏡面が設置され、前記ターンテーブルの回転により前記バックライトからの前記バックライトビームが何れか1つの前記鏡面に投射される。
【0018】
選択可能は、前記ターンテーブルのターンテーブルシャフトの少なくとも一端はシャフトカーブに沿って移動する。
【0019】
選択可能は、複数の前記鏡面は少なくとも1つの曲面鏡または少なくとも1つの平面鏡を含み、或いは少なくとも1つの曲面鏡及び少なくとも1つの平面鏡を含む。
【0020】
選択可能は、前記曲面鏡は球面鏡、非球面鏡、または自由曲面ミラーである。
【0021】
選択可能は、各前記鏡面の角度は調整可能であり、第一軸方向及び第二軸方向における前記アイボックスの位置を決定し、前記第一軸方向は前記第二軸方向に対し垂直であり、前記第一軸方向及び前記第二軸方向は共に前記観察者の視線方向と垂直になる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明によれば、次のような効果がある。
本発明に係るヘッドアップディスプレイは、バックライトと表示パネルとの間の光路上に切り替え可能な調整ミラーを設置することで、バックライト実像の位置を観察者の目に追従して変化させ、観察者の目の位置が変化しても、観察者が観察するイメージを完全で良好な品質に保持する目的を達成させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】従来のヘッドアップディスプレイの結像とアイボックスを示す概略図である。
図1B図1Aに示すヘッドアップディスプレイがバックライトが結像凹面鏡の焦点内にあるときの結像概略図である。
図1C図1Aに示すヘッドアップディスプレイがバックライトが結像凹面鏡の焦点外にあるときの結像概略図である。
図2A】従来のヘッドアップディスプレイのバックライトの実像が視聴者の目に結像する概略図である。
図2B】従来のヘッドアップディスプレイのバックライトの実像が視聴者の目に結像する概略図である。
図2C図2A図2Bに示すヘッドアップディスプレイのバックライトがディスプレイパネルに光ビームを投射する概略図である。
図3A】ヘッドアップディスプレイがバックライト凹面鏡を使用し、アイボックスように結像する概略図である。
図3B図3Aに示すヘッドアップディスプレイのバックライトがバックライト凹面鏡を介して表示パネルに光線を投射する概略図である。
図4】ヘッドアップディスプレイの視聴者の人の目の動きを示す概略図である。
図5】本発明の一実施例に係る分割型切り替え可能な調整ミラーを備えるヘッドアップディスプレイの結像とアイボックスを示す概略図である。
図6図5に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを前方に移動するように制御するときの概略図である。
図7図5に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを後方に移動するように制御するときの概略図である。
図8】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを備えるヘッドアップディスプレイの結像とアイボックスを示す概略図である。
図9A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図9B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図10A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図10B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図11A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図11B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図12A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図12B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図13A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図13B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図14A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図14B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図15A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図15B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図16A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図16B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図17A】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図17B】本発明の一実施例に係るローラー式切り替え可能な調整ミラーを示す模式的な断面図である。
図18A】本発明の異なる実施例に係る切り替え可能な調整ミラーうちの1つ鏡面を示す概略図である。
図18B】本発明の異なる実施例に係る切り替え可能な調整ミラーうちの1つ鏡面を示す概略図である。
図18C】本発明の異なる実施例に係る切り替え可能な調整ミラーうちの1つ鏡面を示す概略図である。
図18D】本発明の異なる実施例に係る切り替え可能な調整ミラーうちの1つ鏡面を示す概略図である。
図18E】本発明の異なる実施例に係る切り替え可能な調整ミラーうちの1つ鏡面を示す概略図である。
図19】本発明の一実施例に係るローラー型切り替え可能な調整ミラーの鏡面の異なる向きの概略図である。
図20図8に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを前方に移動するように制御する概略図である。
図21図8に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを後方に移動するように制御する概略図である。
図22図8に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを上方に移動するように制御する概略図である。
図23図8に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを下方に移動するように制御する概略図である。
図24A】本発明の一実施例の図9A図9Bに係るローラー式切り替え可能な調整ミラーのローラーシャフトがシャフトカーブに沿って移動する概略図である。
図24B図24Aに示すローラー式切り替え可能な調整ミラーのローラーシャフトがシャフトカーブに沿って移動するとき、現在選択されている鏡面の回転角度が変化する概略図である。
図25図8に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを左右に移動するように制御する概略図である。
図26A】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図26B】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図26C】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図26D】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図27図26Dに示すローラー式切り替え可能な調整ミラーのローラーシャフトの両端がそれぞれ二つのシャフトカーブに沿って移動するときに、現在選択されている鏡面の回転角度が変化する概略図である。
図28】本発明の一実施例に係るターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーを備えるヘッドアップディスプレイの結像とアイボックスを示す概略図である。
図29】本発明の異なる実施例に係るターンテーブル型切り替え可能な調整ミラーの概略図である。
図30】本発明の異なる実施例に係るターンテーブル型切り替え可能な調整ミラーの概略図である。
図31】本発明の異なる実施例に係るターンテーブル型切り替え可能な調整ミラーの概略図である。
図32】本発明の異なる実施例に係るターンテーブル型切り替え可能な調整ミラーの概略図である。
図33】本発明の異なる実施例に係るターンテーブル型切り替え可能な調整ミラーの概略図である。
図34】本発明の異なる実施例に係るターンテーブル型切り替え可能な調整ミラーの概略図である。
図35】本発明の一実施例に係るターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーの鏡面の各方向を示す概略図である。
図36図28に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを上下に移動するように制御する概略図である。
図37A】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で上下に回転させる概略図である。
図37B】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で上下に回転させる概略図である。
図37C】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で上下に回転させる概略図である。
図37D】ローラー式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で上下に回転させる概略図である。
図37E図37Dに示すターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーのターンテーブルシャフトの両端がそれぞれ二つのシャフトカーブに沿って移動するときに、現在選択されている鏡面の回転角度が変化する概略図である。
図38図28に示すヘッドアップディスプレイがアイボックスを左右に移動するように制御する概略図である。
図39A】ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図39B】ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図39C】ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図39D】ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーの鏡面を制御して、異なる方式で左右に回転させる概略図である。
図39E図39Dに示すターンテーブル式切り替え可能な調整ミラーのターンテーブルシャフトの両端がそれぞれ二つのシャフトカーブに沿って移動するときに、現在選択されている鏡面の回転角度が変化する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
本発明の結像ハーフミラーはフロントガラスまたはコンバイナでもよく、投射されるイメージビームを観察者の目に部分的に反射し、同時に前方の景色の光線を観察者の目に部分的に透過させるために用いられている。以下の実施例では、フロントガラスを結像ハーフミラーとしているもののみについて説明するが、コンバイナに交換しても同様の効果を有する。
【0026】
本発明の一実施例に係るヘッドアップディスプレイは、画像生成ユニットPGU3と、結像凹面鏡5と、結像ハーフミラー6と、を少なくとも備えている(図5参照)。
【0027】
画像生成ユニットPGU3は、バックライト1と、切り替え可能な調整ミラー2と、バックライト凹面鏡3と、表示パネル4と、を含んで構成されている。バックライト1はバックライトビームを切り替え可能な調整ミラー2に投射する。切り替え可能な調整ミラー2は曲率が異なる複数の鏡面を含み、且つ各鏡面は選択的に切り替え可能であり、バックライト1からのバックライトビームをバックライト凹面鏡3に反射する。バックライト凹面鏡3は何れか1つの鏡面により反射されたバックライトビームを表示パネル4に反射する。表示パネル4はイメージを表示すると共にバックライト凹面鏡3により反射されたバックライトビームを透過させてイメージビームを形成する。
【0028】
結像凹面鏡5は画像生成ユニットPGU3からのイメージビームを結像ハーフミラー6に反射し、結像ハーフミラー6の観察者から離れた一側に位置している表示パネル虚像、及び結像ハーフミラー6の観察者から近い一側に位置していると共に観察者の目Eに位置しているバックライト実像を形成する。このバックライト実像はアイボックスである。
【0029】
本発明に係るヘッドアップディスプレイは切り替え可能な調整ミラー2の曲率が異なる鏡面を交換することでバックライト1の平行移動方式を代替し、バックライト1が切り替え可能な調整ミラー2により距離及びサイズが異なるバックライト調整虚像BL_im2を形成する。続いて、これらバックライト調整虚像BL_im2が、バックライト凹面鏡3の後方に対応する距離が異なるバックライト虚像BL_im3を形成する。最後に、これらバックライト虚像BL_im3が、結像凹面鏡5の前に距離が異なるバックライト実像BL_re5(アイボックス)を形成し、観察者の目Eまでの距離の違いに対応させる。このようにすれば、バックライト1を平行移動させるには広い空間が必要となるという問題を解決できる。
【0030】
以下、図6乃至図7を参照し、図5の切り替え可能な調整ミラー2の仔細について例示的に説明する。
【0031】
図6の例では、アイトラッキングシステム(図示省略)が観察者の目の前方への移動を検出すると、切り替え可能な調整ミラー2中から曲率半径が小さい(R↓)及び曲率が大きい(1/R↑)凹面鏡が鏡面として選択され、バックライト1が切り替え可能な調整ミラー2の焦点距離内にあるため、切り替え可能な調整ミラー2の拡大倍率が増加し、切り替え可能な調整ミラー2の後方に形成されるバックライト調整虚像BL_im2の光路の距離が延長され、バックライト調整虚像BL_im2の結像倍率も拡大する。これにより、バックライト調整虚像BL_im2とバックライト凹面鏡3との間の光路の距離も延長されるが、バックライト凹面鏡3の焦点距離よりは長くならない。この際、バックライト凹面鏡3の後方に形成されたバックライト虚像BL_im3の光路の距離が延長され、バックライト虚像BL_im3の結像倍率も増加し、元々結像凹面鏡5の焦点距離よりも長かったバックライト虚像BL_im3と結像凹面鏡5との間の光路の距離が、結像凹面鏡5の焦点よりも更に長くなる。このようにすることで、結像凹面鏡5の前方に形成されたバックライト実像BL_re5の光路の距離が短縮し、バックライト実像BL_re5の結像倍率も減少し、バックライト実像BL_re5(アイボックス)が結像ハーフミラー6に近接する方向に移動し、即ち、観察者の目の前方への移動に追従し、アイボックスが観察者の目と重なり合うように保持される。
【0032】
バックライト実像BL_re5のサイズは、切り替え可能な調整ミラー2の倍率の増加、バックライト凹面鏡3の倍率の増加、及び結像凹面鏡5の倍率の減少により、曲率を適切に組み合わせるのみで、最終的なバックライト実像BL_re5のサイズが、切り替え可能な調整ミラー2の鏡面の曲率を交換する前後のアイボックスのサイズと略同じに維持されるように制御される。
【0033】
図7の例では、アイトラッキングシステム(図示省略)が観察者の目の後方への移動を検出すると、切り替え可能な調整ミラー2中から曲率半径が大きい(R↑)及び曲率が小さい(1/R↓)凹面鏡が鏡面として選択され、バックライト1が切り替え可能な調整ミラー2の焦点距離内にあるため、切り替え可能な調整ミラー2の拡大倍率が減少し、切り替え可能な調整ミラー2の後方に形成されるバックライト調整虚像BL_im2の光路の距離が短縮し、バックライト調整虚像BL_im2の結像倍率も縮小する。これにより、バックライト調整虚像BL_im2とバックライト凹面鏡3との間の光路の距離も短縮する。この際、バックライト凹面鏡3の後方に形成されるバックライト虚像BL_im3の光路の距離が短縮し、バックライト虚像BL_im3の結像倍率も減少し、元々結像凹面鏡5の焦点距離よりも長かったバックライト虚像BL_im3と結像凹面鏡5との間の光路の距離が短縮し、但し、結像凹面鏡5の焦点距離よりは短くならない。このようにすることで、結像凹面鏡5の前方に形成されるバックライト実像BL_re5の光路の距離が延長され、バックライト実像BL_re5の結像倍率も増加する。このようにすれば、バックライト実像BL_re5(アイボックス)が結像ハーフミラー6から離れる方向に移動し、即ち、観察者の目の後方への移動に追従し、アイボックスが観察者の目と重なり合うように保持される。
【0034】
バックライト実像BL_re5のサイズは、切り替え可能な調整ミラー2の倍率の減少、バックライト凹面鏡3の倍率の減少、及び結像凹面鏡5の倍率の増加により、曲率を適切に組み合わせるのみで、最終的なバックライト実像BL_re5のサイズを、切り替え可能な調整ミラー2の鏡面の曲率を交換する前後のアイボックスサイズと略同じに維持されるように制御される。
【0035】
図5に示す如く、切り替え可能な調整ミラー2中の曲率が異なる複数の鏡面は、互いに分離している複数の部材により実現し、且つ切り替え可能な調整ミラー2の交換メカニズムにより適切な曲率の部材を適応的に選択しているが、本発明はこれらに限定されるものではない。他の実施形態では、切り替え可能な調整ミラー2中の曲率が異なる複数の鏡面の変更は、同じ部材に統合することで実現しており、このようにすることで、切り替え可能な調整ミラー2の曲率を高速に変更し、空間を節約している。
【0036】
図8乃至図9Bを参照すれば、ヘッドアップディスプレイの画像生成ユニットPGU4の切り替え可能な調整ミラーはローラー式切り替え可能な調整ミラー20であり、これは統合式切り替え可能な調整ミラーであり、且つローラー21と、ローラー21のローラーシャフト22と、ローラーシャフト22に回転可能に接続されているローラー駆動機と、を備えている。ローラー21は曲率の異なる4つの鏡面23を有している。ヘッドアップディスプレイはローラー駆動機によりローラー21を回転するように連動させ、曲率の異なる鏡面23に切り換え、バックライト1からのバックライトビームLを選択された鏡面23に投射させてバックライト凹面鏡3に反射させる。
【0037】
続いて、バックライト凹面鏡3は、鏡面23からのバックライトビームLを表示パネル4に反射させ、このバックライトビームLは表示パネル4を透過した後にイメージビームDとして結像凹面鏡5まで進行する。イメージビームDが結像凹面鏡5により結像ハーフミラー6に反射され、結像ハーフミラー6がイメージビームDを観察者の目Eに反射させて結像ハーフミラー6の観察者から離れた一側に位置している表示パネル虚像G、及び結像ハーフミラー6の観察者に近い一側に位置しているバックライト実像BL_re5を形成する。
【0038】
このヘッドアップディスプレイでは、バックライトビームLが曲率の異なる鏡面23により反射されることでバックライト1の等価距離が変化するため、バックライト1の等価距離を変化させることでバックライト実像BL_re5の位置を制御し、即ち、アイボックスの水平位置を制御する。
【0039】
図8乃至図9Bに示す如く、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20の4つの鏡面23は、1つの平面鏡と、1つの凸面鏡と、2つの凹面鏡と、を有している。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。他の実施形態では、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20のローラー21上にある4つの鏡面23の平面鏡の数量、凸面鏡の数量、及び凹面鏡の数量は他の配列で組み合わせられてもよく、例えば、図10A及び図10Bのような1つの平面鏡及び3つの凹面鏡、或いは図11A及び図11Bのような4つの凹面鏡でもよい。または、他の実施例において、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20のローラー21にある鏡面23の数量は、図12A乃至図14Bに示すように、2つに改変してもよく、或いは図15A乃至図17Bに示すように3つに改変してもよく、もしくは4つの以上に改変してもよい。また、鏡面23は平面鏡、凸面鏡、または凹面鏡でもよい。凸面鏡を使用する場合、バックライト1が凸面鏡の後方の焦点距離内にサイズが縮小された虚像を形成する。平面鏡を使用する場合、バックライト1が平面鏡の後方に等距離で同じサイズの虚像を形成する。よって、凹面鏡以外、凸面鏡及び平面鏡もバックライト調整虚像の光路の距離及びサイズを変更し、アイボックスの光路の距離及びサイズを変更するために用いることができる。
【0040】
ローラー式切り替え可能な調整ミラー20の複数の鏡面23は球面鏡を使用する以外、鏡面23は非球面鏡や自由曲面ミラーでもよく、その曲面のタイプは、例えば、X軸及びY軸に異なる曲率を有するトロイダルミラー(Toroidal mirror)、楕円面ミラー(Ellipsoidal mirror)、非軸楕円面ミラー(Off-axis ellipsoidal mirror)、放物面鏡(Parabolical mirror)、非軸放物面鏡(Off-axis parabolical mirror)、または双曲放物面鏡(Hyperbolic paraboloid mirror)等がある。その曲面の形態は図18Aに示すような双凹曲面鏡、図18Bに示すような双凸曲面鏡、図18Cに示すような柱状凹面鏡、図18Dに示すような柱状凸面鏡、または図18Eに示すような双曲放物面鏡等がある。
【0041】
図8に示すヘッドアップディスプレイのローラー式切り替え可能な調整ミラー20を挙げて本発明に係るヘッドアップディスプレイの動作状況について例示的に説明する。鏡面23の回転方向を明確に定義するため、図19を参照すれば、入射バックライトビームL1が鏡面23に投射されると共に鏡面23により反射された後に出射バックライトビームL2が射出され、且つ入射バックライトビームL1と鏡面センター232の法線231との間の挟角θが0度ではない状況において、入射バックライトビームL1の起源方向の平行な分量を下方と定義し、出射バックライトビームL2の射出方向の平行な分量を上方と定義し、鏡面23に対向する右手側を右方とし、鏡面23に対向する左手側を左方とし、鏡面23が上に向けて回転するのを鏡面23が上方に回転すると定義し、鏡面23が下に向けて回転するのを鏡面23が下方に回転すると定義し、鏡面23が右に向けて回転するのを鏡面23が右方に回転すると定義し、鏡面23が左に向けて回転するのを鏡面23が左方に回転すると定義する。
【0042】
<アイボックスの位置は前後に調整可能>
図20に示す如く、アイトラッキングシステム(図示省略)が観察者の目の前方への移動を検出すると、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20のローラー21が回転し、曲率が大きい(1/R↑)及び曲率半径が小さい(R↓)鏡面23に切り替えられ、バックライト調整虚像BL_im2の像距離が増加し、バックライト虚像BL_im3の像距離も増加し、最後にバックライト実像BL_re5の像距離が減少し、アイボックスが観察者の目に追従して前方へ移動する。同時に、適合する曲率を組み合わせ、アイボックスのサイズを近似させて不変にする。
【0043】
逆に、図21に示す如く、アイトラッキングシステム(図示省略)が観察者の目の後方への移動を検出すると、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20のローラー21が回転し、曲率が小さい(1/R↓)及び曲率半径が大きい(R↑)鏡面23に切り替えられ、バックライト調整虚像BL_im2の像距離が減少し、バックライト虚像BL_im3の像距離も減少し、最後にバックライト実像BL_re5の像距離が増加し、アイボックスが観察者の目に追従して後方への移動する。同時に、適合する曲率を組み合わせ、アイボックスのサイズを近似させて不変にする。
【0044】
<アイボックスの位置は上下に調整可能>
観察者の目の垂直高さが変化した場合、即ち、視線方向に垂直な第一軸方向上の位置が変化した場合、ローラー21が回転することで、鏡面23が上下に回転してアイボックスの垂直高さを調整する。
【0045】
図22に示す如く、アイトラッキングシステム(図示省略)が観察者の目の上への移動を検出すると、ローラー21がローラーシャフト22を中心として図面の時計回り方向に回転するように駆動し、使用中の鏡面23が下に向けて角度a1をつけて回転する。この際、バックライト調整虚像BL_im2も追従して時計回り方向に角度a2をつけて回転し、バックライト虚像BL_im3も追従して時計回り方向に角度a3をつけて回転し、バックライト実像BL_re5が反時計回り方向に角度Aをつけて回転する。これにより、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して上方に移動する。
【0046】
逆に、図23に示す如く、アイトラッキングシステム(図示省略)が観察者の目の下への移動を検出すると、ローラー21がローラーシャフト22を中心として図面の反時計回り方向に回転するように駆動し、使用中の鏡面23が上に向けて角度b1をつけて回転する。この際、バックライト調整虚像BL_im2が追従して反時計回り方向に角度b2をつけて回転し、バックライト虚像BL_im3も追従して反時計回り方向に角度b3をつけて回転し、バックライト実像BL_re5が時計回り方向に角度Bをつけて回転する。これにより、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して下方に移動する。
【0047】
鏡面23の上下の回転方向とアイボックスの上下の連動移動方向とは同じに限られない。事実上、両者の間の相違点は、連鎖連動関係があるのみでよい。また、角度Aと角度Bの値は、ローラーの回転角度、各曲面鏡の曲率、及び結像ハーフミラーの曲率から推算するか、或いはシミュレーションまたは実際に測定して獲得する。
【0048】
選択可能は、図24A図24Bに示すように、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20のローラー21が回転し、鏡面23が上下に回転してアイボックスの垂直高さが調整されると、ローラーシャフト22が回転すると同時にシャフトカーブC1に沿って移動し、鏡面23が上下に回転する際に回転軸が鏡面23の鏡面センター232に固定され、反射後の光路の設定が角度の変化による影響を受けなくなる。
【0049】
<アイボックスの位置は左右に調整可能>
アイボックスの垂直高さの調整と相似し、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20の鏡面23を左右に回転することでアイボックスの左右の位置を調整可能であり、即ち、視線方向と垂直になる第二軸方向上の位置が変化する。
【0050】
図25に示す如く、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20の使用中の鏡面23が右に向けて回転すると、バックライト実像BL_re5が左に向けて移動することで、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して左方に向けて移動する。逆に、ローラー式切り替え可能な調整ミラー20の使用中の鏡面23が左に向けて回転すると、バックライト実像BL_re5が右に向けて移動し、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して右方に移動する。
【0051】
鏡面23の左右の回転方向とアイボックスの左右の連動移動方向とは同じに限られない。事実上、両者の相違点は、連鎖連動関係があるのみでよい。ローラー式切り替え可能な調整ミラー20の鏡面23が左右に回転する方式は、一例を挙げると、図26Aに示す如く、ローラーシャフト22の両端点がそれぞれ逆方向に同じ角速度で回転することで左右の回転を達成し、回転軸201がローラー式切り替え可能な調整ミラー20の幾何学的中心に維持される。或いは、図26Bに示す如く、ローラーシャフト22の両端点がそれぞれ逆方向に異なる角速度で回転することで達成し、回転軸201がローラー式切り替え可能な調整ミラー20の幾何学的中心から偏向する。または、図26Cに示す如く、ローラーシャフト22の何れか1つの端点を回転軸201として回転することで達成する。もしくは、図26D図27に示す如く、ローラーシャフト22の両端点の移動の軌跡はそれぞれシャフトカーブC2及びシャフトカーブC3であり、ローラー21が左右に回転する際に回転軸201が鏡面23の鏡面センター232に固定され、反射後の光路の設定が角度の変化による影響を受けなくなる。
【0052】
また、鏡面23の左右の回転角度とアイボックスの左右の移動距離との対応関係は推算、シミュレーション、または実際に測定することで獲得する。
【0053】
また、図28図29を参照すれば、ヘッドアップディスプレイの画像生成ユニットPGU5の切り替え可能な調整ミラーはターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24であり、これは統合式切り替え可能な調整ミラーであり、ターンテーブル25と、ターンテーブル25のターンテーブルシャフト26と、ターンテーブルシャフト26に回転可能に接続されているターンテーブル駆動機と、を含んで構成されている。ターンテーブル25は曲率が異なる4つの鏡面23を有している。ヘッドアップディスプレイはターンテーブル駆動機によりターンテーブル25が回転するように連動され、曲率が異なる鏡面23に切り替えられ、バックライト1からのバックライトビームLが選択された鏡面23に投射され、バックライト凹面鏡3に反射される。
【0054】
続いて、バックライト凹面鏡3が鏡面23からのバックライトビームLを表示パネル4に反射し、このバックライトビームLは表示パネル4を透過した後にイメージビームDとなって結像凹面鏡5に進行する。イメージビームDは結像凹面鏡5により結像ハーフミラー6に反射され、結像ハーフミラー6がイメージビームDを観察者の目Eに反射して結像ハーフミラー6の観察者から離れた一側に位置している表示パネル虚像G、及び結像ハーフミラー6の観察者に近い一側に位置しているバックライト実像BL_re5を形成する。
【0055】
このヘッドアップディスプレイでは、バックライトビームLが曲率の異なる鏡面23により反射されることでバックライト1の等価距離が変化するため、バックライト1の等価距離を変化させることでバックライト実像BL_re5の位置を制御し、即ち、アイボックスの水平位置を制御している。
【0056】
図28図29の例では、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24のターンテーブル25にある4つの鏡面23は、1つの平面鏡と、1つの凸面鏡と、2つの凹面鏡と、を有している。しかしながら、本発明はこれに限られない。他の実施形態では、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24のターンテーブル25にある4つの鏡面23において、平面鏡の数量、凸面鏡の数量、及び凹面鏡の数量は他の配列で組み合わせられてもよく、例えば、図30の4つの凹面鏡でもよい。或いは、他の実施形態では、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24のターンテーブル25にある鏡面23の数量は図31及び図32に示すように2つに改変してもよく、または、図33及び図34に示すように3つに改変してもよく、もしくは4つ以上に改変してもよい。なお、鏡面23は平面鏡、凸面鏡、または凹面鏡である。
【0057】
ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の鏡面23は球面鏡を使用する以外、鏡面23は非球面鏡や自由曲面ミラーでもよく、その曲面のタイプは、例えば、X軸及びY軸に異なる曲率を有するトロイダルミラー、楕円面ミラー、非軸楕円面ミラー、放物面鏡、非軸放物面鏡、または双曲放物面鏡等がある。その曲面形態は、図18Aに示すような双凹曲面鏡、図18Bに示すような双凸曲面鏡、図18Cに示すような柱状凹面鏡、図18Dに示すような柱状凸面鏡、図18Eに示すような双曲放物面鏡等がある。
【0058】
図28に示すヘッドアップディスプレイのターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24を挙げて本発明に係るヘッドアップディスプレイの動作状況について例示的に説明する。鏡面23の回転方向を明確に定義するため、図35を参照し、入射バックライトビームL1が鏡面23に入射すると共に鏡面23により反射された後に出射バックライトビームL2を射出し、且つ入射バックライトビームL1と鏡面センター232の法線231との間の挟角θが0度とならない状況において、入射バックライトビームL1の起源方向の平行な分量を下方と定義し、出射バックライトビームL2の射出方向の平行な分量を上方と定義し、鏡面23に対向する右手側を右方とし、鏡面23に対向する左手側を左方とし、鏡面23が上に向けて回転するのを鏡面23が上方に回転すると定義し、鏡面23が下に向けて回転するのを鏡面23が下方に回転すると定義し、鏡面23が右に向けて回転するのを鏡面23が右方に回転すると定義し、鏡面23が左に向けて回転するのを鏡面23が左方に回転すると定義する。
【0059】
<アイボックスの位置は上下に調整可能>
ローラー式切り替え可能な調整ミラーと相似し、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の鏡面23が上下に回転することでアイボックスの垂直高さが調整され、即ち、視線方向と垂直になる第一軸方向上の位置が変化する。
【0060】
ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の使用中の鏡面23が下に向けて回転すると、バックライト実像BL_re5が下へ向けて移動し、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して下方に移動する(図36参照)。逆に、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の使用中の鏡面23が上に向けて回転すると、バックライト実像BL_re5が上に向けて移動し、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して上方に移動する。
【0061】
鏡面23が上下に回転する方向とアイボックスが連動移動する方向とは同じに限られない。事実上、両者の相違点は、連鎖連動関係があればよい。
【0062】
ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の鏡面23が上下に回転する方式は、一例を挙げると、ターンテーブルシャフト26の両端点がそれぞれ逆方向に同じ角速度で回転することで達成し、回転軸202がターンテーブル25の幾何学的中心に位置する(図37A参照)。或いは、図37Bに示す如く、ターンテーブルシャフト26の両端点がそれぞれ逆方向に異なる角速度で回転することで達成し、回転軸202がターンテーブル25の幾何学的中心から偏向する。または、図37Cに示す如く、ターンテーブルシャフト26の何れか1つの端点を回転軸202として回転することで達成する。もしくは、図37D図37Eに示す如く、ターンテーブルシャフト26の両端点の移動の軌跡はそれぞれシャフトカーブC4及びシャフトカーブC5であり、ターンテーブル25が上下に回転する際に回転軸202が鏡面23の鏡面センター232に固定され、反射後の光路の設定が角度の変化による影響を受けなくなる。
【0063】
<アイボックスの位置は左右に調整可能>
アイボックスの垂直高さの調整と相似し、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の鏡面23が左右に回転することでアイボックスの左右の位置が調整され、即ち、視線方向と垂直になる第二軸方向上の位置が変化する。
【0064】
ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の使用中の鏡面23が右に向けて回転すると、バックライト実像BL_re5が左に向けて移動し、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して左方に移動する(図38参照)。逆に、ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の使用中の鏡面23が左に向けて回転すると、バックライト実像BL_re5が右に向けて移動し、光路で各部材の有効作用範囲を逸脱しない条件において、アイボックスが観察者の目に追従して右方に移動する。
【0065】
ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24のターンテーブル25にある鏡面23が左右に回転する方式は、一例を挙げると、ターンテーブルシャフト26の両端点がそれぞれ逆方向に同じ角速度で回転することで達成し、回転軸202がターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の幾何学的中心に維持される(図39A参照)。或いは、ターンテーブルシャフト26の両端点がそれぞれ逆方向に異なる角速度で回転することで達成し、回転軸202がターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー24の幾何学的中心から偏向する(図39B参照)。または、ターンテーブルシャフト26の何れか1つの端点を回転軸202として回転することで達成する(図39C参照)。もしくは、図39D図39Eに示す如く、ターンテーブルシャフト26の両端点の移動の軌跡はそれぞれシャフトカーブC6及びシャフトカーブC7であり、ターンテーブル25が左右に回転する際に回転軸202が鏡面23の鏡面センター232に固定され、反射後の光路の設定が角度の変化による影響を受けなくなる。
【0066】
鏡面23が回転する方向とアイボックスの連動移動する方向とは同じに限られない。事実上、両者の相違点は、連鎖連動関係があるのみでよい。鏡面23の回転角度とアイボックスの移動距離との対応関係は推算、シミュレーション、または実際に測定することで獲得する。
【0067】
以上述べた如く、本発明に係るヘッドアップディスプレイは、バックライトから表示パネルまでの間の光路に異なる曲率に選択的に切り替え可能な鏡面を有する切り替え可能な調整ミラーを設置することで、バックライトから投射されるバックライトビームが適切な曲率を有する鏡面により反射され、バックライトの等価距離が変化し、アイボックスが観察者の目に追従して前後に移動するように制御される。これにより、観察者が観察するイメージの品質が維持され、空間を節約する目的を達成している。
【0068】
本発明に係るヘッドアップディスプレイは切り替え可能な調整ミラーの選択中の鏡面が上下及び左右に回転可能であるため、観察者の目の第一軸方向上での上下移動及び第二軸方向上での左右移動にアイボックスが更に精確且つ適応的に追従するように制御され、且つ観察者が観察するイメージの完全性が維持される。第一軸方向は第二軸方向に対し垂直である。
【0069】
本発明に係るヘッドアップディスプレイは異なる曲率を有する複数の鏡面がローラーまたはターンテーブルに統合されることで、鏡面の間の切り替え選択効率が高まり、同時にヘッドアップディスプレイの体積が減少し、空間の利用率が向上する。
【0070】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1 バックライト
2 切り替え可能な調整ミラー
20 ローラー式切り替え可能な調整ミラー
201 回転軸
202 回転軸
21 ローラー
22 ローラーシャフト
23 鏡面
231 法線
232 鏡面センター
24 ターンテーブル式切り替え可能な調整ミラー
25 ターンテーブル
26 ターンテーブルシャフト
3 バックライト凹面鏡
4 表示パネル
5 結像凹面鏡
6 結像ハーフミラー
61 フロントガラス
62 コンバイナ
A 角度
a1 角度
a2 角度
a3 角度
B 角度
b1 角度
b2 角度
b3 角度
BL_im2 バックライト調整虚像
BL_im3 バックライト虚像
BL_im5 バックライト虚像
BL_re5 バックライト実像
BLC バックライト曲面ミラー
C1 シャフトカーブ
C2 シャフトカーブ
C3 シャフトカーブ
C4 シャフトカーブ
C5 シャフトカーブ
C6 シャフトカーブ
C7 シャフトカーブ
D イメージビーム
E 目
F 焦点
G 表示パネル虚像
L バックライトビーム
L1 入射バックライトビーム
L2 出射バックライトビーム
PGU1 画像生成ユニット
PGU2 画像生成ユニット
PGU3 画像生成ユニット
PGU4 画像生成ユニット
PGU5 画像生成ユニット
R↑ 曲率半径が大きい
R↓ 曲率半径が小さい
1/R↑ 曲率が大きい
1/R↓ 曲率が小さい
X X軸
Y Y軸
θ 挟角
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37A
図37B
図37C
図37D
図37E
図38
図39A
図39B
図39C
図39D
図39E