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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122226
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/42 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
F04D29/42 A
F04D29/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029657
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智志
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB42
3H130AB46
3H130AC01
3H130AC30
3H130BA22A
3H130BA87A
3H130CA21
3H130DA02Z
3H130DC00Z
3H130DD01Z
3H130EA02A
3H130EA07A
3H130EA07D
(57)【要約】
【課題】 シャフトカバーを備えていないポンプにおいて、容易にシャフトカバーを設けることが可能なポンプの一例を開示する。
【解決手段】 軸方向に伸縮可能なシャフトカバー23を備える。そして、シャフトカバー23が軸方向に伸縮可能であるため、ケーシング22とモータ部10との間の寸法が異なる種類のポンプであっても、当該シャフトカバー23が伸縮することにより当該寸法の違いを吸収できる。さらに、当該ポンプ1の製造者は、シャフトカバー23をケーシング22から独立した別部品とできる。このため、製造者等のポンプを提供する者は、シャフトカバーを備えていないポンプに対してもシャフトカバー23を容易に設けることが可能となり得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機により回転駆動されるインペラと
前記電動機から前記インペラに回転力を伝達するシャフトと、
前記インペラを収納するケーシングと、
前記ケーシングと前記電動機との間に配置され、前記シャフトを覆うシャフトカバーであって、当該シャフトと平行な方向(以下、軸方向という。)に伸縮可能なシャフトカバーと
を備えるポンプ。
【請求項2】
前記シャフトカバーは、軸方向に弾性変形可能である請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記シャフトカバーは、弾性変形に伴って発生する弾性力により前記ケーシング及び前記電動機に圧接している請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記シャフトカバーは、前記シャフトを中心線として螺旋状に湾曲した線材にて構成されたコイルバネである請求項2又は3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記シャフトカバーは、少なくとも一部が弾性体で構成された筒体であり、
前記筒体には、軸方向と交差する方向に貫通した孔が設けられている請求項2又は3に記載のポンプ。
【請求項6】
前記シャフトは、前記電動機のロータに一体化されたロータシャフトであり、
さらに、前記インペラは、前記シャフトに連結されている請求項1に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動式のポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のポンプでは、ロータシャフトが直接的にインペラに連結されているとともに、ポンプケーシングとモータハウジングとの間に、異物とロータシャフトとの接触を防止するために、ロータシャフトを覆う筒状のシャフトカバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-50532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のポンプに係るシャフトカバーは、鋳造によるケーシングカバーとの一体成形品である。このため、シャフトカバーを備えていない種類において、新たにシャフトカバーを設けるには、ケーシングカバー用の鋳造金型を新たに準備する必要がある。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、例えば、シャフトカバーを備えていないポンプにおいて、容易にシャフトカバーを設けることが可能なポンプの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ポンプは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、電動機(10)により回転駆動されるインペラ(21)と電動機(10)からインペラ(21)に回転力を伝達するシャフト(11)と、インペラ(21)を収納するケーシング(22)と、ケーシング(22)と電動機(10)との間に配置され、シャフト(11)を覆うシャフトカバー(23、23A、23C)であって、当該シャフト(11)と平行な方向(以下、軸方向という。)に伸縮可能なシャフトカバー(23、23A、23C)とを備えることが望ましい。
【0007】
当該ポンプでは、シャフトカバー(23、23A、23C)が軸方向に伸縮可能であるため、ケーシング(22)と電動機(10)との間の寸法が異なる種類のポンプであっても、当該シャフトカバー(23、23A、23C)が伸縮することにより当該寸法の違いを吸収できる。
【0008】
そして、当該ポンプの製造者は、シャフトカバー(23、23A、23C)をケーシング(22)から独立した別部品として扱うことができる。このため、製造者等のポンプを提供する者は、シャフトカバーを備えていないポンプに対してもシャフトカバー(23、23A、23C)を容易に設けることが可能となり得る。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るポンプを示す図である。
図2】第1実施形態に係るポンプの分解図である。
図3】第1実施形態に係るケーシングカバーを示す図である。
図4】第1実施形態に係るポンプを示す図である。
図5】第2実施形態に係るシャフトカバーを示す図である。
図6】第3実施形態に係るシャフトカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。
【0013】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示されたポンプは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0014】
(第1実施形態)
<1.ポンプの概要>
本実施形態は、給水用の電動ポンプに本開示に係るポンプの一例が適用されたものである。ポンプ1は、図1に示されるように、モータ部10及びポンプ部20等を少なくとも備える。モータ部10は、電動モータ等の電動機にて構成されている。
【0015】
<ポンプ部>
ポンプ部20は、図2に示されるように、インペラ21、ケーシング22及びシャフトカバー23等を少なくとも備える。インペラ21は、モータ部10により回転駆動される羽根車である。当該インペラ21は、モータ部10のロータシャフト11に直接的に連結されている。
【0016】
なお、ロータシャフト11(以下、シャフト11と記す。)は、モータ部10のロータ(図示せず。)に一体化され、当該ロータと共に回転する出力軸である。つまり、シャフト11は、モータ部10からインペラ21に回転力を伝達する伝達シャフトを構成する。
【0017】
ケーシング22はインペラ21を収納する。当該ケーシング22は、ケーシング本体22A及びケーシングカバー22B等を少なくとも有する。ケーシング本体22Aには、図1に示されるように、吸込口22C及び吐出し口22Dが設けられている。
【0018】
ケーシングカバー22Bは、インペラ21を挟んでケーシング本体22Aと反対側に配置されて当該ケーシング本体22Aに固定されている。そして、ケーシングカバー22Bは、ケーシング本体22Aと協働してインペラ21を収納する空間を構成する。
【0019】
ケーシングカバー22Bは、図3に示されるように、カバープレート22E、取付フランジ部22F及び複数のスポーク部22G等を少なくとも有している。なお、本実施形態に係るケーシングカバー22Bは、カバープレート22E、取付フランジ部22F及び複数のスポーク部22G等がFC材等の鉄系金属にて一体成形された一体品である。
【0020】
カバープレート22Eは、略円盤状に構成された部位である。当該カバープレート22Eの中心側には軸穴22Hが設けられている。軸穴22Hは、シャフト11をケーシング22内に挿入するための貫通した穴である。
【0021】
なお、カバープレート22Eのうち軸穴22Hの内周側には、メカニカルシール等の軸封装置24(図1参照)が配置されている。軸封装置24は、シャフト11と軸穴22Hとの隙間からケーシング22内の流体が漏れ出ることを抑制するための封止手段である。
【0022】
取付フランジ部22Fは、モータ部10が装着可能な環状の部位である。当該取付フランジ部22Fは、図2に示されるように、カバープレート22Eに対してモータ部10側にずれた部位に位置している。
【0023】
複数(本実施形態では、4本)のスポーク部22Gは、取付フランジ部22Fを支持する脚体である。つまり、各スポーク部22Gは、環状の取付フランジ部22Fの外周側から略放射状に延びてカバープレート22Eの外周側に連結されている。
【0024】
このため、カバープレート22Eと取付フランジ部22Fとの間に構成された空間は、図3に示されるように、ポンプ部20外に連通した開放空間となる。換言すれば、軸穴22Hの取付フランジ部22F側は、大気開放空間となる(図4参照)。
【0025】
<シャフトカバー>
シャフトカバー23は、図1に示されるように、ケーシング22とモータ部10との間に配置されてシャフト11を覆う覆い部材である。そして、シャフトカバー23は、当該シャフト11と平行な方向(以下、軸方向という。)に伸縮可能である。
【0026】
具体的には、シャフトカバー23は、軸方向に弾性変形可能なコイルバネ状に構成されている。なお、「コイルバネ状」とは、シャフトカバー23を構成する線材が、シャフト11を中心線として螺旋状に湾曲していることをいう。
【0027】
そして、当該シャフトカバー23は、弾性変形に伴って発生する弾性力によりカバープレート22E及びモータ部10に圧接している。なお、「圧接する」とは、シャフトカバー23がカバープレート22E及びモータ部10を押圧した状態で接触していることをいう。
【0028】
シャフトカバー23をなすコイルバネは、ポンプ1に装着された状態(図1参照)から更に圧縮変形可能である。つまり、シャフトカバー23は、圧縮変形した状態で装着されることにより、上記の圧接した状態となる。
【0029】
そして、当該圧接した状態においても、シャフトカバー23を構成する線材は密着しておらず、当該線材間に隙間が存在する。つまり、シャフトカバー23の内側と外側とが連通した構成となる。
【0030】
なお、シャフトカバー23は、軸穴22Hを構成する凸状部位22J(図3参照)の外周側に嵌め込まれて位置決めされている。つまり、シャフトカバー23を構成するコイル状の筒部は、凸状部位22Jに嵌合している。
【0031】
<3.本実施形態に係るポンプの特徴>
本実施形態に係るポンプ1では、シャフトカバー23が軸方向に伸縮可能であるため、ケーシング22とモータ部10との間の寸法が異なる種類のポンプであっても、当該シャフトカバー23が伸縮することにより当該寸法の違いを吸収できる。
【0032】
そして、当該ポンプ1の製造者は、シャフトカバー23をケーシング22から独立した別部品として扱うことできる。このため、製造者等のポンプ1を提供する者は、シャフトカバーを備えていないポンプ(例えば、既設のポンプ)に対してもシャフトカバー23を容易に装着することが可能となり得る。
【0033】
当該シャフトカバー23では、シャフトカバー23を構成する線材は密着しておらず、当該線材間に隙間が存在する。換言すれば、シャフトカバー23を構成するコイル状の筒部に、軸方向と交差する方向に貫通した孔が設けられた構成となる。したがって、例えば、ポンプ1の管理者は、当該孔である隙間を介して軸封装置24からの水漏れ等を視認確認できる。
【0034】
ところで、正常な軸封装置24であっても、水蒸気として僅かな水漏れが発生する。これに対して、本実施形態に係るシャフトカバー23は、上記のように孔が開いたカバーであるので、当該水蒸気を速やかに大気中に放出できる。したがって、水蒸気がモータ部10に進入してしまうことを抑制でき得る。
【0035】
(第2実施形態)
本実施形態に係るシャフトカバー23Aは、図5に示されるように、筒状に構成されたゴム製の管にて構成されている。そして、シャフトカバー23Aには、直径方向に貫通した複数の孔23Bが設けられている。
【0036】
(第3実施形態)
本実施形態に係るシャフトカバー23Cは、図6に示されるように、アクリル等の透明な部材で構成された筒部23D、及び当該筒部23Dの軸線方向一端及び他端のうち少なくとも一方(本実施形態では、両端)に設けられた弾性変形可能な筒状の弾性部23E、23Fを有して構成されている。
【0037】
弾性部23E、23Fは、ゴム製の管又はコイルバネにて構成されている。なお、弾性部23E、23Fがゴム製の管である場合には、筒部23D、弾性部23E、23Fのいずれかに、直径方向に貫通した複数の孔が設けられる。
【0038】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るシャフトカバー23、23A、23Cは単純な筒状であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、蛇腹(ベローズ)状のシャフトカバー、又は複数の筒が組み合わされたテレスコピック状のシャフトカバーであってよい。
【0039】
上述の実施形態に係るシャフト11は、ロータに一体化された出力軸であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ロータとインペラ21との間に軸継ぎ手が介在するシャフトであってもよい。
【0040】
上述の実施形態に係るシャフトカバー23、23A、23Cは円筒状であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、角筒状のシャフトカバーであってもよい。
【0041】
上述の実施形態に係るシャフトカバー23、23A、23Cでは、貫通した複数の孔が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、当該孔が廃止された構成であってもよい。
【0042】
上述の第2、第3実施形態に係る孔は、直径方向に貫通した孔であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、当該孔が軸方向と交差する方向に貫通していれば十分である。
【0043】
上述の実施形態に係るシャフトカバー23、23A、23Cは、弾性変形に伴って発生する弾性力によりケーシング22及びモータ部10に圧接する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0044】
上述の実施形態に係るシャフトカバー23、23A、23Cは、ケーシング22に嵌合固定される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、モータ部10にシャフトカバー23が固定される構成であってもよい。
【0045】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1… ポンプ 10…モータ部 11… ロータシャフト 20… ポンプ部
21… インペラ 22…ケーシング 22A… ケーシング本体
22B… ケーシングカバー 22E…カバープレート
22F… 取付フランジ部 22H…軸穴 22G… スポーク部
23… シャフトカバー 24…軸封装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6