(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122233
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】アクチュエータおよびアクチュエータの組立方法
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029670
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚吾
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA12
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】ヨークを一つの部材から構成するとともに、ヨークによりコイルを囲む際の締結作業が一か所となるアクチュエータを提供すること。
【解決手段】アクチュエータ1は、支持体2とX軸方向に移動可能な状態で支持体2に支持された可動体3を備える。支持体2は、コイル6と、コイル6を保持するコイル保持部35を有するコイルホルダ30とを備える。可動体3は、Z1方向でコイルに対向する一方側マグネット7A、Z2方向でコイルに対向する他方側マグネット7B、並びに、一方側マグネット7Aおよび他方側マグネット7Bが固定されたヨーク80、を備える可動体3のヨーク80は、平板形状の一枚のヨーク部材100に3つの屈曲部85、86、87と、一つの固定部88とを設けることにより、コイル保持部35を囲む形状とされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する2方向を第1軸方向および第2軸方向とした場合に、前記第1軸方向に開口を向けるコイル、前記コイルを保持するコイル保持部を有するコイルホルダ、前記コイルホルダを前記第1軸方向の一方側から支持する第1支持部材、および前記コイルホルダを前記第1軸方向の他方側から支持する第2支持部材、を備える支持体と、
前記第1軸方向の一方側で前記コイルに対向する一方側マグネット、前記第1軸方向の他方側で前記コイルに対向する他方側マグネット、並びに、前記一方側マグネットおよび前記他方側マグネットが固定されたヨーク、を備える可動体と、
前記第1支持部材と前記可動体との間で、前記第1支持部材と前記可動体とを前記第2軸方向に相対移動可能に接続する接続体と、
前記一方側マグネット、前記他方側マグネット、および前記コイルを備え、前記可動体と前記支持体とを前記第2軸方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記ヨークは、前記コイル保持部の前記第2軸方向の一方側を前記第1軸方向に延びる第1ヨーク部分、前記コイル保持部の前記第1軸方向の一方側を前記第2軸方向に延び前記一方側マグネットが固定された第2ヨーク部分、前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側を前記第1軸方向に延びる第3ヨーク部分、前記コイル保持部の前記第1軸方向の他方側を前記第2軸方向に延び前記他方側マグネットが固定された第4ヨーク部分、前記第1ヨーク部分と前記第2ヨーク部分とを連続させる第1屈曲部分、前記第2ヨーク部分と前記第3ヨーク部分とを連続させる第2屈曲部分、前記第3ヨーク部分と前記第4ヨーク部分とを連続させる第3屈曲部分、および前記第4ヨーク部分の前記第2軸方向の一方側の端部分と前記第1ヨーク部分の前記第1軸方向の他方側の端部分とを固定する固定部、を備え、
前記一方側マグネットは、前記第2軸方向で分極着磁されており、
前記他方側マグネットは、前記第2軸方向で分極着磁されており、
前記一方側マグネットと前記他方側マグネットとは、前記コイルを挟んで異なる極同士が対向することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記固定部は、溶接痕を備えることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記固定部は、カシメ痕を備えることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記コイルホルダは、前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に前記第1軸方向に貫通する開口部を備え、
前記第3ヨーク部分は、前記開口部を貫通しており、
前記第3ヨーク部分および前記第4ヨーク部分の厚みは同一であり、
前記第2軸方向における前記開口部の幅寸法は、前記第4ヨーク部分のヨーク厚み寸法と前記他方側マグネットのマグネット厚み寸法との合計寸法よりも長いことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記支持体は、前記コイルとして、第1コイルおよび前記第1コイルの前記第2軸方向の他方側に配列された第2コイルを備え、
前記可動体は、前記一方側マグネットとして、前記第1コイルと対向する第1マグネットおよび前記第1マグネットの前記第2軸方向の他方側で前記第2コイルと対向する第2マグネットを備え、前記他方側マグネットとして、前記第2コイルと対向する第3マグネットおよび前記第2マグネットの前記第2軸方向の一方側で前記第1コイルと対応する第4マグネットを備え、
前記第1マグネットと前記第4マグネットとは、前記第1コイルを挟んで異なる極同士が対向し、
前記第3マグネットと前記第2マグネットとは、前記第2コイルを挟んで異なる極同士
が対向することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1に記載のアクチュエータの組立方法において、
平板形状のヨーク部材の一方の面に設定された第1固定位置に前記一方側マグネットを固定するとともに、前記第1固定位置の前記第2軸方向の他方側に設定された第2固定位置に前記他方側マグネットを固定するマグネット固定工程と、
前記ヨーク部材を前記一方側マグネットが固定された第1固定位置の前記第2軸方向の一方側で折り曲げて当該ヨーク部材に前記第1屈曲部分および前記第1ヨーク部分を形成するとともに、前記ヨーク部材を前記第1固定位置の前記第2軸方向の他方側で折り曲げて当該ヨーク部材に前記第2屈曲部分、前記第2ヨーク部分、および前記第3ヨーク部分と前記第4ヨーク部分が前記第1軸方向に連続して直線状に延びる延設ヨーク部分を形成するヨーク準備工程と、
前記第1屈曲部分、前記第2ヨーク部分、および前記第2屈曲部分を前記コイル保持部の前記第1軸方向の一方側に配置して、前記第1ヨーク部分を前記コイル保持部の前記第2軸方向の一方側に位置させるとともに、前記延設ヨーク部分を前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に位置させるヨーク配置工程と、
前記延設ヨーク部分を前記他方側マグネットが固定された前記第2固定位置と前記第2屈曲部分との間であって前記コイル保持部よりも前記第1軸方向の他方側で折り曲げて前記ヨーク部材に前記第3ヨーク部分、前記第3屈曲部分および前記第4ヨーク部分を形成して前記第4ヨーク部分を前記第2軸方向に延設させるヨーク折曲工程と、
前記第4ヨーク部分の前記第2軸方向の一方側の端部分と前記第1ヨーク部分の前記第1軸方向の他方側の端部分とを固定する固定部形成工程と、
を備えることを特徴とするアクチュエータの組立方法。
【請求項7】
前記固定部形成工程では、前記第4ヨーク部分と前記第1ヨーク部分とを溶接することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【請求項8】
前記固定部形成工程では、前記第4ヨーク部分と前記第1ヨーク部分とをカシメることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【請求項9】
前記コイルホルダは、前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に前記第1軸方向に貫通する開口部を備えており、
前記ヨーク配置工程では、前記開口部に前記延設ヨーク部分を貫通させて、前記延設ヨーク部分を前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に位置させ、
前記第2軸方向における前記開口部の幅寸法は、前記延設ヨーク部分の厚み寸法と前記他方側マグネットの厚み寸法との合計よりも長いことを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【請求項10】
前記マグネット固定工程では、前記一方側マグネットおよび他方側マグネットとして前記第2軸方向で分極着磁されたものを用い、前記第2軸方向で隣り合うマグネット同士では異なる極が対向するように配置することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記支持体に、前記コイルとして、第1コイルおよび前記第1コイルの前記第2軸方向の他方側に配列された第2コイルを備え、前記可動体に、前記一方側マグネットとして、前記第1コイルと対向する第1マグネットおよび前記第1マグネットの前記第2軸方向の他方側で前記第2コイルと対向する第2マグネットを備え、前記他方側マグネットとして、前記第2コイルと対向する第3マグネットおよび前記第2マグネットの前記第2軸方向の一方側で前記第1コイルと対応する第4マグネットを備え、前記第1マグネットと前記第4マグネットとは、前記第1コイルを挟んで異なる極同士が対
向し、前記第2マグネットと前記第3マグネットとは、前記第2コイルを挟んで異なる極同士が対向し、
前記マグネット固定工程では、前記第1マグネット、前記第2マグネット、前記第3マグネット、および第4マグネットとして前記第2軸方向で分極着磁されたものを用い、前記第2軸方向で隣り合うマグネット同士では異なる極が対向するように、前記第1マグネット、前記第2マグネット、前記第3マグネット、および第4マグネットを第2軸方向の一方側から他方側に向かってこの順で配置することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【請求項12】
前記マグネット固定工程では、前記一方側マグネットおよび他方側マグネットとして未着磁のものを用い、
前記マグネット固定工程と前記ヨーク準備工程との間に、前記一方側マグネットと前記他方側マグネットとを、前記第2軸方向にS極とN極とが交互に並ぶように着磁するマグネット着磁工程を備えることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【請求項13】
前記アクチュエータは、前記支持体に、前記コイルとして、第1コイルおよび前記第1コイルの前記第2軸方向の他方側に配列された第2コイルを備え、前記可動体に、前記一方側マグネットとして、前記第1コイルと対向する第1マグネットおよび前記第1マグネットの前記第2軸方向の他方側で前記第2コイルと対向する第2マグネットを備え、前記他方側マグネットとして、前記第2コイルと対向する第3マグネットおよび前記第2マグネットの前記第2軸方向の一方側で前記第1コイルと対応する第4マグネットを備え、前記第1マグネットと前記第4マグネットとは、前記第1コイルを挟んで異なる極同士が対向し、前記第2マグネットと前記第3マグネットとは、前記第2コイルを挟んで異なる極同士が対向し、
前記マグネット固定工程では、前記第1マグネット、第2マグネット、第3マグネット、および第4マグネットとして未着磁のものを用い、前記第1マグネット、前記第2マグネット、前記第3マグネット、および前記第4マグネットを前記第2軸方向の一方側から他方側に向かってこの順で前記ヨーク部材に固定し、
前記マグネット固定工程と前記ヨーク準備工程との間に、前記第1マグネット、第2マグネット、第3マグネット、および第4マグネットを、前記第2軸方向でS極とN極とが交互に並ぶように着磁するマグネット着磁工程を備えることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルおよびマグネットを有する磁気駆動機構によって可動体を移動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報を振動によって報知するデバイスとして、支持体に支持された可動体を磁気駆動機構によって振動させるアクチュエータが知られている。特許文献1のアクチュータは、コイルを備える支持体と、マグネットおよびヨークを備える可動体と、可動体と支持体とを相対移動可能に接続する接続体と、を備える。可動体のマグネットは、コイルの巻回部と対向する。磁気駆動機構は、コイルとマグネットが対向する対向方向と直交する方向に可動体と支持体とを相対移動させる。
【0003】
同文献のアクチュエータは、互いに直交する3方向を第1軸方向、第2軸方向、および第3軸方向とし、コイルとマグネットとの対向方向を第1軸方向、可動体と支持体との相対移動方向を第2軸方向とした場合に、マグネットとして、第1軸方向の一方側でコイルに対向する複数の第1マグネットと、第1軸方向の他方側でコイルに対向する複数の第2マグネットと備える。ヨークは、複数の第1マグネットを保持する第1ヨーク部材と、複数の第2マグネットを保持する第2ヨーク部材との2部材からなる。
【0004】
第1ヨーク部材は、コイルの第1軸方向の一方側を第2軸方向に延びるヨーク部分と、コイルの第2軸方向の一方側を第1軸方向に延びる第1連結板部と、コイルの第2軸方向の他方側を第1軸方向に延びる第2連結板部と、を備える。ヨーク部分と第1連結板部との間には第1屈曲部分が設けられており、ヨーク部分と第2連結板部との間には第2屈曲部が設けられている。複数の第1マグネットは、第1ヨーク部分に固定されている。一方、第2ヨーク部材は平板形状である。第2ヨーク部材は、コイルの第1軸方向の他方側を第2軸方向に延びており、コイルと対向する面に、複数の第2マグネットが固定されている。第2ヨーク部材の第2軸方向の一方の端部分は、溶接により、第1ヨーク部材の第1連結板部の第1屈曲部分とは反対側の端部に固定されている。第2ヨーク部材の第2軸方向の他方の端部分は、溶接により、第1ヨーク部材の第2連結板部の第2屈曲部とは反対側の端部に固定されている。
【0005】
同文献では、アクチュエータを第3軸方向から見た場合に、ヨークがコイルを囲む。従って、第1マグネットからの磁束および第2マグネットからの磁束は、ヨークの形状に従ってコイルを囲むように流れる。これにより、マグネットからの磁束がヨークの外側に漏れることを抑制できるので、磁気駆動機構は、支持体と可動体とを相対移動させる推力を確保することが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のアクチュエータは、ヨークが2部材からなる。従って、ヨークに固定されたマグネットをコイルの一方側および他方側に位置させ、かつ、ヨークによりコイルを囲むことが容易である。しかし、ヨークが2部材からなるので、ヨークが一つの部材からなる場合と比較して、部品点数が多い。また、上記のアクチュエータでは、第1ヨーク部材と第2
ヨーク部材とを固定する固定部が第2軸方向の2か所ある。従って、ヨークを組み立てる際に、溶接やカシメなどの締結作業を2か所に対して行わなければならない。
【0008】
本発明の課題は、以上の問題点に鑑みて、ヨークを一つの部材から構成するとともに、ヨークによりコイルを囲む際の締結作業が一か所となるアクチュエータ、および、その組立方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、互いに直交する2方向を第1軸方向および第2軸方向とした場合に、前記第1軸方向に開口を向けるコイル、前記コイルを保持するコイル保持部を有するコイルホルダ、前記コイルホルダを前記第1軸方向の一方側から支持する第1支持部材、および前記コイルホルダを前記第1軸方向の他方側から支持する第2支持部材、を備える支持体と、前記第1軸方向の一方側で前記コイルに対向する一方側マグネット、前記第1軸方向の他方側で前記コイルに対向する他方側マグネット、並びに、前記一方側マグネットおよび前記他方側マグネットが固定されたヨーク、を備える可動体と、前記第1支持部材と前記可動体との間で、前記第1支持部材と前記可動体とを前記第2軸方向に相対移動可能に接続する接続体と、前記一方側マグネット、前記他方側マグネット、および前記コイルを備え、前記可動体と前記支持体とを前記第2軸方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記ヨークは、前記コイル保持部の前記第2軸方向の一方側を前記第1軸方向に延びる第1ヨーク部分、前記コイル保持部の前記第1軸方向の一方側を前記第2軸方向に延び前記一方側マグネットが固定された第2ヨーク部分、前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側を前記第1軸方向に延びる第3ヨーク部分、前記コイル保持部の前記第1軸方向の他方側を前記第2軸方向に延び前記他方側マグネットが固定された第4ヨーク部分、前記第1ヨーク部分と前記第2ヨーク部分とを連続させる第1屈曲部分、前記第2ヨーク部分と前記第3ヨーク部分とを連続させる第2屈曲部分、前記第3ヨーク部分と前記第4ヨーク部分とを連続させる第3屈曲部分、および前記第4ヨーク部分の前記第2軸方向の一方側の端部分と前記第1ヨーク部分の前記第1軸方向の他方側の端部分とを固定する固定部、を備え、前記一方側マグネットは、前記第2軸方向で分極着磁されており、前記他方側マグネットは、前記第2軸方向で分極着磁されており、前記一方側マグネットと前記他方側マグネットとは、前記コイルを挟んで異なる極同士が対向することを特徴とする。
【0010】
本発明のアクチュエータでは、コイルを保持するコイル保持部を囲むヨークが、3つの屈曲部と、一つの固定部と備える一つの部材である。従って、2つのヨーク部材を組み合わせてヨークを構成する場合と比較して、部品点数を削減できる。また、ヨークを組み立てる際の締結作業を、一つの固定部に対して行えばよい。よって、締結作業を複数の固定部に対して行う場合と比較して、締結作業を軽減できる。
【0011】
本発明において、前記固定部は、溶接痕を備えるものとすることができる。すなわち、ヨークの第1ヨーク部分と第4ヨーク部分とは、溶接により固定されているものとすることができる。
【0012】
本発明において、前記固定部は、カシメ痕を備えるものとすることができる。すなわち、ヨークの第1ヨーク部分と第4ヨーク部分とは、かしめにより固定されているものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記コイルホルダは、前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に前記第1軸方向に貫通する開口部を備え、前記第3ヨーク部分は、前記開口部を貫通しており、前記第3ヨーク部分および前記第4ヨーク部分の厚みは同一であり、前記第2軸方向における前記開口部の幅寸法は、前記第4ヨーク部分のヨーク厚み寸法と前記他方側マ
グネットのマグネット厚み寸法との合計寸法よりも長いものとすることができる。このようにすれば、第3ヨーク部分をコイル保持部に近い位置に配置できる。従って、ヨークは、コイルに近い位置でコイルを囲むことができる。また、第3ヨーク部分が第1軸方向に貫通する開口部の第2軸方向の幅寸法を第4ヨーク部分の第1厚み寸法と前記他方側マグネットの第2厚み寸法との合計寸法よりも長いものとすれば、第2軸方向に移動する可動体の移動距離を確保することが容易となる。
【0014】
本発明において、前記支持体は、前記コイルとして、第1コイルおよび前記第1コイルの前記第2軸方向の他方側に配列された第2コイルを備え、前記可動体は、前記一方側マグネットとして、前記第1コイルと対向する第1マグネットおよび前記第1マグネットの前記第2軸方向の他方側で前記第2コイルと対向する第2マグネットを備え、前記他方側マグネットとして、前記第2コイルと対向する第3マグネットおよび前記第2マグネットの前記第2軸方向の一方側で前記第1コイルと対応する第4マグネットを備え、前記第1マグネットと前記第4マグネットとは、前記第1コイルを挟んで異なる極同士が対向し、前記第3マグネットと前記第2マグネットとは、前記第2コイルを挟んで異なる極同士が対向するものとすることができる。このようにすれば、コイルと一方側マグネットおよび他方側マグネットとからなる磁気駆動回路の組を複数設けることができる。従って、磁気駆動機構が可動体と支持体とを相対移動させ推力を上昇させることが容易となる。
【0015】
次に本発明は、上記のアクチュエータの組立方法において、平板形状のヨーク部材の一方の面に設定された第1固定位置に前記一方側マグネットを固定するとともに、前記第1固定位置の前記第2軸方向の他方側に設定された第2固定位置に前記他方側マグネットを固定するマグネット固定工程と、前記ヨーク部材を前記一方側マグネットが固定された第1固定位置の前記第2軸方向の一方側で折り曲げて当該ヨーク部材に前記第1屈曲部分および前記第1ヨーク部分を形成するとともに、前記ヨーク部材を前記第1固定位置の前記第2軸方向の他方側で折り曲げて当該ヨーク部材に前記第2屈曲部、前記第2ヨーク部分、および前記第3ヨーク部分と前記第4ヨーク部分が前記第1軸方向に連続して直線状に延びる延設ヨーク部分を形成するヨーク準備工程と、前記第1屈曲部分、前記第2ヨーク部分、および前記第2屈曲部を前記コイル保持部の前記第1軸方向の一方側に配置して、前記第1ヨーク部分を前記コイル保持部の前記第2軸方向の一方側に位置させるとともに、前記延設ヨーク部分を前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に位置させるヨーク配置工程と、前記延設ヨーク部分を前記他方側マグネットが固定された前記第2固定位置と前記第2屈曲部との間であって前記コイル保持部よりも前記第1軸方向の他方側で折り曲げて前記ヨーク部材に前記第3ヨーク部分、前記第3屈曲部および前記第4ヨーク部分を形成して前記第4ヨーク部分を前記第2軸方向に延設させるヨーク折曲工程と、前記第4ヨーク部分の前記第2軸方向の一方側の端部分と前記第1ヨーク部分の前記第1軸方向の他方側の端部分とを固定する固定部形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のアクチュエータの組立方法によれば、まず、平板形状のヨーク部材の一方の面に一方側マグネットおよび他方側マグネットを固定する。次に、ヨーク部材を2回折り曲げて第1屈曲部分、第2ヨーク部分、第2屈曲部、第3ヨーク部分、および延設ヨーク部分を形成する。その後、第1屈曲部分、第2ヨーク部分、および第2屈曲部をコイル保持部の第1軸方向の一方側に配置して、第1ヨーク部分をコイル保持部の前記第2軸方向の一方側に位置させ、延設ヨーク部分をコイル保持部の第2軸方向の他方側に位置させる。しかる後に、延設ヨーク部分をコイル保持部の第1軸方向の他方側で折り曲げて第3ヨーク部分、第3屈曲部および第4ヨーク部分を形成し、第4ヨーク部分を第2軸方向に延設させる。その後、第4ヨーク部分の第2軸方向の他方側の端部分と第1ヨーク部分の第1軸方向の他方側の端部分とを固定する。従って、平板形状のヨーク部材に固定された一方側マグネットと他方側マグネットとを第1軸方向でコイルの両側に位置させることが容易である。また、ヨークによって、コイルを保持するコイル保持部を囲むことが容易である
。
【0017】
本発明において、前記固定部形成工程では、前記第4ヨーク部分と前記第1ヨーク部分とを溶接するものとすることができる。
【0018】
本発明において、前記固定部形成工程では、前記第4ヨーク部分と前記第1ヨーク部分とをカシメるものとすることができる。
【0019】
本発明において、前記コイルホルダは、前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に前記第1軸方向に貫通する開口部を備えており、前記ヨーク配置工程では、前記開口部に前記延設ヨーク部分を貫通させて、前記延設ヨーク部分を前記コイル保持部の前記第2軸方向の他方側に位置させ、前記第2軸方向における前記開口部の幅寸法は、前記延設ヨーク部分のヨーク厚み寸法と前記他方側マグネットのマグネット厚み寸法との合計よりも長いものとすることができる。このようにすれば、延設ヨーク部分を開口部に挿入することができる。
【0020】
本発明において、前記マグネット固定工程では、前記一方側マグネットおよび他方側マグネットとして前記第2軸方向で分極着磁されたものを用い、前記第2軸方向で隣り合うマグネット同士では異なる極が対向するように配置するものとすることができる。このようにすれば、第2軸方向で隣り合うマグネット同士が反発して、ヨーク部材に固定できないことを回避できる。また、このようにすれば、ヨーク部材を3つの屈曲部85、86、87で折り曲げたときに、一方側マグネットと他方側マグネットとにおいて、コイルを間に挟んで対向する極が異なる極となる。
【0021】
本発明において、前記アクチュエータは、前記支持体に、前記コイルとして、第1コイルおよび前記第1コイルの前記第2軸方向の他方側に配列された第2コイルを備え、前記可動体に、前記一方側マグネットとして、前記第1コイルと対向する第1マグネットおよび前記第1マグネットの前記第2軸方向の他方側で前記第2コイルと対向する第2マグネットを備え、前記他方側マグネットとして、前記第2コイルと対向する第3マグネットおよび前記第2マグネットの前記第2軸方向の一方側で前記第1コイルと対応する第4マグネットを備え、前記第1マグネットと前記第4マグネットとは、前記第1コイルを挟んで異なる極同士が対向し、前記第2マグネットと前記第3マグネットとは、前記第2コイルを挟んで異なる極同士が対向し、前記マグネット固定工程では、前記第1マグネット、前記第2マグネット、前記第3マグネット、および第4マグネットとして前記第2軸方向で分極着磁されたものを用い、前記第2軸方向で隣り合うマグネット同士では異なる極が対向するように、前記第1マグネット、前記第2マグネット、前記第3マグネット、および第4マグネットを第2軸方向の一方側から他方側に向かってこの順で配置するものとすることができる。このようにすれば、第2軸方向で隣り合うマグネット同士が反発して、ヨーク部材に固定できないことを回避できる。また、ヨーク部材を3つの屈曲部85、86、87で折り曲げたときに、第1マグネットと第4マグネットとは、第1コイルを挟んで異なる極同士が対向し、第2マグネットと第3マグネットとは、第2コイルを間に挟んで異なる極同士が対向する。
【0022】
本発明において、前記マグネット固定工程では、前記一方側マグネットおよび他方側マグネットとして未着磁のものを用い、前記マグネット固定工程と前記ヨーク準備工程との間に、前記一方側マグネットと前記他方側マグネットとを、前記第2軸方向にS極とN極とが交互に並ぶように着磁するマグネット着磁工程を備えるものとすることができる。このようにすれば、第2軸方向に配列されたマグネットを同一の極が対向するように着磁する場合と比較して、着磁作業が容易である。また、ヨーク部材を3つの屈曲部85、86、87で折り曲げたときに、一方側マグネットと他方側マグネットとを、コイルを間に挟
んで異なる極同士が対向する状態とすることができる。
【0023】
本発明において、前記アクチュエータは、前記支持体に、前記コイルとして、第1コイルおよび前記第1コイルの前記第2軸方向の他方側に配列された第2コイルを備え、前記可動体に、前記一方側マグネットとして、前記第1コイルと対向する第1マグネットおよび前記第1マグネットの前記第2軸方向の他方側で前記第2コイルと対向する第2マグネットを備え、前記他方側マグネットとして、前記第2コイルと対向する第3マグネットおよび前記第2マグネットの前記第2軸方向の一方側で前記第1コイルと対応する第4マグネットを備え、前記第1マグネットと前記第4マグネットとは、前記第1コイルを挟んで異なる極同士が対向し、前記第2マグネットと前記第3マグネットとは、前記第2コイルを挟んで異なる極同士が対向し、前記マグネット固定工程では、前記第1マグネット、第2マグネット、第3マグネット、および第4マグネットとして未着磁のものを用い、前記第1マグネット、前記第2マグネット、前記第3マグネット、および前記第4マグネットを前記第2軸方向の一方側から他方側に向かってこの順で前記ヨーク部材に固定し、前記マグネット固定工程と前記ヨーク準備工程との間に、前記第1マグネット、第2マグネット、第3マグネット、および第4マグネットを、前記第2軸方向でS極とN極とが交互に並ぶように着磁するマグネット着磁工程を備えるものとすることができる。このようにすれば、第2軸方向に配列されたマグネットを同一の極が対向するように着磁する場合と比較して、着磁作業が容易である。また、ヨーク部材を3つの屈曲部85、86、87で折り曲げたときに第1マグネットと第4マグネットとは、第1コイルを間に挟んで異なる極同士が対向し、第2マグネットと第3マグネットとは、第2コイルを間に挟んで異なる極同士が対向する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のアクチュエータでは、コイルを保持するコイル保持部を囲むヨークは、3つの屈曲部と、一つの固定部と備える一つの部材である。従って、部品点数を削減できる。また、ヨークを組み立てる際の締結作業を、一つの固定部に対して行えばよい。よって、締結作業を複数個所で行う場合と比較して、アクチュエータの組立が容易となる。
【0025】
また、本発明のアクチュエータの組立方法によれば、一つのヨーク部材を折り曲げて形成したヨークによって、コイルを保持するコイル保持部を囲むことが容易である。また、一つのヨーク部材により、一方側マグネットと他方側マグネットとをコイルの両側に配置することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係るアクチュエータの外観斜視図である。
【
図2】
図1のアクチュエータのXZ断面図(
図4のA-A断面図)である。
【
図3】
図1のアクチュエータのYZ断面図(
図4のB-B断面図)である。
【
図4】
図1のアクチュエータのXY断面図(
図2のC-C断面図)である。
【
図6】アクチュエータの組立方法のフローチャートである。
【
図7】マグネット固定工程およびマグネット着磁工程の説明図である。
【
図10】ヨーク折曲工程および固定部形成工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照して、本発明に係るアクチュエータ1の実施形態を説明する。
【0028】
アクチュエータ1は、例えば、ゲーム機の操作部材、操作パネル、自動車のハンドルや
いす等に組み込まれる触覚デバイスとして使用される。アクチュエータ1は、コイル6およびマグネット7を備える磁気駆動機構4により可動体3を振動させ、この振動によって利用者に触覚を与える。以下の説明では、互いに直交する3軸に沿った方向をそれぞれZ軸方向(第1軸方向)、X軸方向(第2軸方向)、Y軸方向(第3軸方向)とする。また、X軸方向の一方側をX1方向、他方側をX2方向、Z軸の一方側をZ1方向、他方側をZ2方向とする。
【0029】
(全体構成)
図1は、本発明に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1のアクチュエータ1のXZ断面図であり、
図4のA-A位置で切断した断面図である。
図3は、
図1のアクチュエータ1のYZ断面図であり、
図4のA-A位置で切断した断面図である。
図4は、
図1のアクチュエータ1のXY断面図であり、
図2のC-C位置で切断した断面図である。
図5は、
図1のアクチュエータ1の分解斜視図である。
【0030】
図1に示すように、アクチュエータ1は、第2軸方向Xの寸法が第3軸方向Yの寸法およびZ軸方向の寸法より大きい直方体形状である。
図2~
図5に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2と可動体3とをX軸方向に相対移動可能に接続する接続体9と、を有する。コイル6は、支持体2に保持されている。マグネット7は、可動体3に保持されている。コイル6とマグネット7とはZ軸方向で対向しており、磁気駆動機構4は、支持体2と可動体3とをX軸方向に相対移動させる。接続体9は、ゲル状部材(粘弾性体)である。支持体2の外周面には配線基板5が固定されている。コイル6には、配線基板5を介して、電流が流れる。
【0031】
(支持体)
支持体2は、コイル6、コイル6を保持するコイルホルダ30を備える。
図2、
図3、
図5に示すように、コイルホルダ30のZ1方向には金属製のプレート40が重ねられている。また、支持体2は、コイルホルダ30をZ1方向の側から支持する第1支持部材10と、コイルホルダ30をZ2方向の側から支持する第2支持部材20と、を有する。従って、第1支持部材10、コイルホルダ30、第2支持部材20は、Z1方向からZ2方向に向かってこの順に重ねられている。可動体3は、第1支持部材10と第2支持部材20との間に位置する。
【0032】
図2、
図5に示すように、第1支持部材10は、X軸方向で並ぶ2つの凹部13を備える第1端板部11と、第1端板部11の外周縁からZ2方向に延びる第1側板部12を備える。
図5に示すように、第1端板部11の輪郭形状はX軸方向に長い長方形形状であり、第1側板部12は、矩形枠状である。
図2に示すように、第2支持部材20は、X軸方向で並ぶ2つの凹部23が形成された第2端板部21と、第2端板部21の外周縁からZ1方向に延びる第2側板部22を備える。
図5に示すように、第1側板部12における4箇所の角部の先端面には、穴10aが設けられている。また、第2側板部22における4箇所の角部の先端面にも、穴(図示せず)が設けられている。
【0033】
コイルホルダ30は、XY面に平行な板部33を備える。板部33のX軸方向の中央部分には、板部33をZ軸方向に貫通する第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32が設けられている。第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32はX軸方向に配列されており、第1コイル配置穴31は第2コイル配置穴32のX1方向に位置する。X軸方向における第1コイル配置穴31と第2コイル配置穴32の間には、第3軸方向Yに延びる仕切り部34が設けられている。仕切り部34は、コイルホルダ30のX軸方向の略中央に位置する。
【0034】
板部33における第1コイル配置穴31のX1方向には、切欠き部301が設けられて
いる。板部33における第2コイル配置穴32のX2方向には開口部302が設けられている。切欠き部301および開口部302は板部33をZ軸方向に貫通する。板部33においてX軸方向で切欠き部301と開口部302との間に位置する部分、すなわち第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32が設けられている部分は、コイル保持部35である。開口部302のX軸方向の幅寸法L(
図4参照)は、後述するヨーク部材100のヨーク厚み寸法Y(
図2参照)および他方側マグネット7B(
図2参照)の厚み寸法Mの合計寸法よりも大きい。
【0035】
図5に示すように、コイルホルダ30の外周の4箇所の角部には、それぞれ、第1支持部材10の側へ突出する凸部30aと、第2支持部材20側へ突出する凸部30bとが設けられている。支持体2を組み立てる際には、コイルホルダ30の凸部30aは第1支持部材10の穴10aに嵌まり、コイルホルダ30の凸部30bは第2支持部材20の穴(図示せず)に嵌まる。従って、第1支持部材10、コイルホルダ30および第2支持部材20は互いに位置決めされた状態で連結される。第1支持部材10、コイルホルダ30、および第2支持部材20は、例えば、接着剤により結合される。
【0036】
図1、
図4に示すように、コイルホルダ30のX2方向の側面には、配線基板5が固定される。
図2に示すように、第2支持部材20のX2方向の側面には、コイルホルダ30からZ2方向に突出する配線基板5の上端部分を配置する凹部24が形成されている。コイル6から引き出したコイル線(図示せず)は、コイルホルダ30のZ2方向の表面に沿って引き回され、配線基板5に接続される。
【0037】
プレート40は、コイルホルダ30のZ1方向において第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32に重なるが、切欠き部301および開口部302には重ならない。コイルホルダ30にコイル6を固定する際には、プレート40とコイルホルダ30とを積層し、接着剤を入れた第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32にコイル6を配置して固定する。
【0038】
図1に示すように、第1支持部材10、コイルホルダ30、および第2支持部材20が積層されることにより形成されたアクチュエータ1のX1方向の外周面には、コイルホルダ30の切欠き部301を塞ぐシール部材201が貼付される。また、アクチュエータ1のY1方向の外周面にはシール部材202が貼付され、Y2方向の外周面にはシール部材203が貼付される(
図4参照)。
【0039】
図2、
図4、
図5に示すように、本例では、支持体2は、コイル6として、第1コイル61および第2コイル62を備える。第1コイル61は、第1コイル配置穴31に配置される。第2コイル62は、第2コイル配置穴32に配置される。従って、第1コイル61は、第2コイル62のX1方向に位置する。コイル6は、第3軸方向Yに延在する2本の有効辺601を備える長円形状の空芯コイルである。
図5に示すように、コイル6(第1コイル61および第2コイル62)は、その開口602をZ軸方向に向ける。第1コイル61と第2コイル62は、同一のコイルである。
【0040】
(可動体)
図5に示すように、可動体3は、マグネット7と、マグネット7が固定されたヨーク80と、を備える。本例では、
図2に示すように、可動体3は、マグネット7として、コイル6のZ1方向でコイル6に対向する一方側マグネット7Aと、コイル6のZ2方向でコイル6に対向する他方側マグネット7Bと、を備える。また、一方側マグネット7Aとして、第1コイル61の有効辺601にZ1方向から対向する第1マグネット71と、第2コイル62の有効辺601にZ1方向から対向する第2マグネット72と、を備える。他方側マグネット7Bとして、第2コイル62の有効辺601にZ2方向から対向する第3
マグネット73と、第1コイル61の有効辺601にZ2方向から対向する第4マグネット74と、を備える。第1マグネット71は、第2マグネット72のX1方向に位置する。第4マグネット74は、第3マグネット73のX1方向に位置する。
【0041】
図2に示すように、ヨーク80は、Y軸方向から見た場合に、コイルホルダ30のコイル保持部35を囲む。すなわち、ヨーク80は、コイル保持部35のX1方向をZ軸方向に延びる第1ヨーク部分81、コイル保持部35のZ1方向をX軸方向に延びる第2ヨーク部分82、コイル保持部35のX2方向をZ軸方向に延びる第3ヨーク部分83、コイル保持部35のZ2方向をX軸方向に延びる第4ヨーク部分84を備える。また、ヨーク80は、第1ヨーク部分81と第2ヨーク部分82とを連続させる第1屈曲部分85、第2ヨーク部分82と第3ヨーク部分83とを連続させる第2屈曲部分86、第3ヨーク部分83と第4ヨーク部分84とを連続させる第3屈曲部分87、および第4ヨーク部分84のX2方向の端部分と第1ヨーク部分81のZ2方向の端部分とを固定する固定部88、を備える。固定部88は、溶接痕88aを備える。すなわち、第4ヨーク部分84のX1方向の端部分と第1ヨーク部分81のZ2方向の端部分とは、溶接により、接続されている。後述するように、ヨーク80は、一定厚さの平板形状の一つのヨーク部材に3つの屈曲部85、86、87と一つの固定部88を設けることにより、コイル保持部35を囲む形状としたものである。従って、第1ヨーク部分81、第2ヨーク部分82、第3ヨーク部分83、および第4ヨーク部分84の厚み寸法(ヨーク厚み寸法Y)は、同一である。
【0042】
第2ヨーク部分82には、一方側マグネット7A(第1マグネット71および第2マグネット72)が固定される。第4ヨーク部分84には、他方側マグネット7B(第3マグネット73および第4マグネット74)が固定される。第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73および第4マグネット74は、それぞれ接着等の方法でヨーク80に固定される。
【0043】
ここで、一方側マグネット7Aおよび他方側マグネット7Bは、いずれもX軸方向で分極着磁されている。すなわち、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74は、いずれもX軸方向で分極着磁されている。また、第1マグネット71と第2マグネット72とは、X軸方向で異なる極を対向させている。第3マグネット73と第4マグネット74とは、X軸方向で異なる極を対向させている。さらに、第2ヨーク部分82に固定された第1マグネット71と第4ヨーク部分84に固定された第4マグネット74とは、Z軸方向で第1コイル61を間に挟んで互いに異なる極を対向させている。また、第2ヨーク部分82に固定された第2マグネット72と第4ヨーク部分84に固定された第3マグネット73とは、Z軸方向で第2コイル62を間に挟んで互いに異なる極を対向させている。
【0044】
ヨーク80に固定された一方側マグネット7A(第1マグネット71および第2マグネット72)と、他方側マグネット7B(第3マグネット73および第4マグネット74)は、支持体2に保持された第1コイル61および第2コイル62とともに磁気駆動機構4を構成する。
【0045】
(接続体)
図2に示すように、接続体9は、支持体2と可動体3とがZ軸方向で対向する個所に配置される。可動体3は、接続体9によってX軸方向に移動可能に支持される。本形態では、接続体9は、可動体3と第1支持部材10との間に配置された第1接続体91および第2接続体92を備える。第1接続体91と第2接続体92とは、X軸方向で隙間を開けて配列されている。また、接続体9は、可動体3と第2支持部材20との間に配置された第3接続体93および第4接続体94を備える。第3接続体93と第4接続体94とは、で
X軸方向に間隔を開けて配列されている。第1接続体91および第2接続体92は、ヨーク80の第2ヨーク部分82と第1支持部材10の凹部13の底面との間において、Z軸方向に圧縮された状態とされている。第3接続体93および第4接続体94は、第4ヨーク部分84と第2支持部材20の凹部23の底面との間において、Z軸方向に圧縮された状態で配置される。
【0046】
接続体9は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える。本形態では、接続体9は粘弾性体である。接続体9(粘弾性体)は、針入度が10度から110度であるシリコーン系ゲルである。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。また、粘弾性を備えた接続体9として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0047】
接続体9は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、接続体9は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(バネ係数)よりも非線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。これに対して、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。また、接続体9は、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、いずれの方向に動いても、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい変形特性を持つ。
【0048】
可動体3がX軸方向に振動した際、接続体9は、せん断方向に変形する。従って、接続体9では、可動体3がX軸方向に振動した際、せん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもった振動を実現することができる。
【0049】
(アクチュエータ1の組立方法)
以下にアクチュエータ1の組立方法を説明する。
図6は、アクチュエータ1の組立方法のフローチャートである。
図6に示すように、アクチュエータ1の組立方法は、マグネット固定工程ST1、マグネット着磁工程ST2、ヨーク準備工程ST3、ヨーク配置工程ST4、ヨーク折曲工程ST5、固定部形成工程ST6、および後工程ST7、をこの順に備える。
図7は、マグネット固定工程ST1およびマグネット着磁工程ST2の説明図である。
図8は、ヨーク準備工程ST3の説明図である。
図9は、ヨーク配置工程ST4の説明図である。
図10は、ヨーク折曲工程ST5および固定部形成工程ST6の説明図である。
【0050】
マグネット固定工程ST1では、
図7に示すように、一定厚さの平板形状のヨーク部材100の一方の面100aに設定された第1固定位置101に一方側マグネット7Aを固定するとともに、第1固定位置101のX2方向に設定された第2固定位置102に他方側マグネット7Bを固定する。具体的には、第1固定位置101には、X1方向の側からX2方向の側に向かって第1マグネット71と第2マグネット72とをこの順に固定する。また、第2固定位置102には、X1方向の側からX2方向の側に向かって第3マグネット73と第4マグネット74とをこの順に固定する。従って、ヨーク部材100の一方の面100aには、X1方向の側からX2方向の側に向かって、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74がこの順に配列される。ここで、本例では、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73
および第4マグネット74として、未着磁のものが用いられる。
【0051】
マグネット着磁工程ST2では、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74を、X軸方向でS極とN極とが交互に並ぶように着磁する。これにより、ヨーク部材100上の第1マグネット71と第2マグネット72とは、X軸方向で異なる極が対向する。また、ヨーク部材100上の第2マグネット72と第3マグネット73とは、X軸方向で異なる極が対向する。さらに、ヨーク部材100上の第3マグネット73と第4マグネット74とは、X軸方向で異なる極が対向する。ここで、
図7に示す例では、各マグネット71~74は、N極がX1方向に位置し、S極がX2方向に位置するように着磁されているが、S極がX1方向に位置し、N極がX2方向に位置するように着磁してもよい。
【0052】
ヨーク準備工程ST3では、
図8に示すように、ヨーク部材100を第1固定位置101の両側の2か所で折り曲げる。すなわち、ヨーク準備工程ST3では、ヨーク部材100を、一方側マグネット7Aが固定された第1固定位置101のX軸方向の一方側で折り曲げてヨーク部材100に第1屈曲部分85および第1ヨーク部分81を形成する。また、ヨーク準備工程ST3では、ヨーク部材100を第1固定位置101のX軸方向の他方側で折り曲げて当該ヨーク部材100に第2屈曲部分86および第2ヨーク部分82を形成するとともに、第1軸方向Zに直線状に延びる延設ヨーク部分89を形成する。延設ヨーク部分89は、第2固定位置102を備える部分である。延設ヨーク部分89には、他方側マグネット7Bが固定されている。
【0053】
ヨーク配置工程ST4では、
図9の上段に示すように、第1支持部材10の第1端板部11の2つの凹部13のそれぞれに第1接続体91および第2接続体92を配置して、第1支持部材10と第1接続体91および第2接続体92とを接続する。また、第1接続体91および第2接続体92により、ヨーク部材100の第2ヨーク部分82を支持する。その後、
図9の下段に示すように、コイルホルダ30をZ2方向から第1支持部材10に重ねる。第1支持部材10にコイルホルダ30を重ねる際には、コイル保持部35のX1方向に位置する切欠き部301に、ヨーク部材100の第1ヨーク部分81を、貫通させる。また、コイル保持部35のX2方向に位置する開口部302に、ヨーク部材100の延設ヨーク部分89を貫通させる。すなわち、ヨーク配置工程ST4では、ヨーク部材100の第1屈曲部分85、第2ヨーク部分82、および第2屈曲部分86をコイル保持部35のX1方向に配置して第1ヨーク部分81をコイル保持部35のX1方向に位置させるとともに、延設ヨーク部分89をコイル保持部35のX2方向に位置させる。
【0054】
ここで、コイルホルダ30において、コイル保持部35のX2方向に設けられた開口部302のX軸方向の幅寸法L(
図4参照)は、ヨーク部材100のヨーク厚み寸法Yおよび他方側マグネット7B(第3マグネット73および第3マグネット73)のマグネット厚み寸法M(
図2参照)よりも大きい。従って、コイルホルダ30の開口部302に、ヨーク部材100の延設ヨーク部分89を貫通させることができる。
【0055】
ヨーク折曲工程ST5では、延設ヨーク部分89を、他方側マグネット7Bが固定された第2固定位置102と第2屈曲部分86との間であって、且つ、コイル保持部35よりも第1軸方向の他方側で折り曲げる。これにより、
図10に示すように、ヨーク部材100に、第3ヨーク部分83、第3屈曲部分87および第4ヨーク部分84を形成して、第4ヨーク部分84をX軸方向に延設させる。第4ヨーク部分84をX軸方向に延設させると、第2ヨーク部分82に固定された一方側マグネット7Aと第4ヨーク部分84に固定された他方側マグネット7Bが、Z軸方向でコイルを間に挟んで異なる極を対向させる。すなわち、第2ヨーク部分82に固定された第1マグネット71と第4ヨーク部分84に固定された第4マグネット74とが、Z軸方向で第1コイル61を間に挟んで互いに異な
る極を対向させる。また、第2ヨーク部分82に固定された第2マグネット72と第4ヨーク部分84に固定された第3マグネット73とが、Z軸方向で第2コイル62を間に挟んで互いに異なる極を対向させる。
【0056】
固定部形成工程ST6では、第4ヨーク部分84のX1方向の端部分と、第1ヨーク部分81の第1軸方向の他方側の端部分とを固定する。本例では、第4ヨーク部分84のX1方向の端部分と、第1ヨーク部分81の第1軸方向の他方側の端部分とを溶接する。従って、固定部88には、溶接痕88aが形成される。これにより、ヨーク80が完成する。ヨーク80は、Y軸方向から見た場合に、コイル保持部35を囲んだ状態となる。
【0057】
後工程ST7では、ヨーク80の第4ヨーク部分84のZ2方向の面に第3接続体93および第4接続体94を配置して、第2支持部材をZ2方向からコイルホルダ30に重ねる。これにより、第3接続体93および第4接続体94は、第2支持部材20の第2端板部21の2つの凹部23のそれぞれに位置した状態で、ヨーク80と第2支持部材20とを接続する。第3接続体93および第4接続体94がヨーク80と第2支持部材20とを接続すると、可動体3と支持体2とは、第1接続体91、第2接続体92、第3接続体93、および第4接続体94により、X軸方向に相対移動可能に接続される。
【0058】
(作用効果)
本例のアクチュエータ1では、コイル6を保持するコイル保持部35を囲むヨーク80は、3つの屈曲部85、86、87と、一つの固定部88と備える一つの部材である。従って、2つのヨーク部材100を組み合わせてヨーク80を構成する場合と比較して、部品点数を削減できる。また、ヨーク80を組み立てる際の締結作業である溶接作業を、一つの固定部88に対して行えばよい。よって、締結作業を複数個所で行う場合と比較して、アクチュエータ1の組立が容易となる。
【0059】
本例において、支持体2は、コイル6として、第1コイル61および第1コイル61のX2方向に配列された第2コイル62を備える。可動体3は、一方側マグネット7Aとして、第1コイル61と対向する第1マグネット71および第1マグネット71のX2方向で第2コイル62と対向する第2マグネット72を備える。また、可動体3は、他方側マグネット7Bとして、第2コイル62と対向する第3マグネット73および第2マグネット72のX1方向で第1コイル61と対応する第4マグネット74を備える。第1マグネット71と第4マグネット74とは、第1コイル61を挟んで異なる極同士が対向する。第3マグネット73と第2マグネット72とは、第2コイル62を挟んで異なる極同士が対向する。これにより、コイル6、一方側マグネット7A、および他方側マグネット7Bからなる磁気駆動回路の組を複数設けることができるので、磁気駆動機構4が可動体3と支持体2とを相対移動させ推力を上昇させることが容易である。
【0060】
また、本例のアクチュエータ1の組立方法では、平板形状のヨーク部材100の一方の面100aに設定された第1固定位置101に一方側マグネット7Aを固定するとともに、第1固定位置101のX2方向に設定された第2固定位置102に他方側マグネット7Bを固定するマグネット固定工程ST1と、ヨーク部材100を一方側マグネット7Aが固定された第1固定位置101のX1方向で折り曲げて当該ヨーク部材100に第1屈曲部分および第1ヨーク部分81を形成するとともに、ヨーク部材100を第1固定位置101のX2方向で折り曲げて当該ヨーク部材100に第2屈曲部分86、第2ヨーク部分82、および第3ヨーク部分83と第4ヨーク部分84が連続して第1軸方向に直線状に延びる延設ヨーク部分89を形成するヨーク準備工程ST3と、第1屈曲部分、第2ヨーク部分82、および第2屈曲部分86をコイル保持部35のZ1方向に配置して、第1ヨーク部分81をコイル保持部35のX1方向に位置させるとともに、延設ヨーク部分89をコイル保持部35のX2方向に位置させるヨーク配置工程ST4と、延設ヨーク部分8
9を他方側マグネット7Bが固定された第2固定位置102と第2屈曲部分86との間であってコイル保持部35よりも第1軸方向の他方側で折り曲げてヨーク部材100に第3ヨーク部分83、第3屈曲部分87および第4ヨーク部分84を形成して第4ヨーク部分84をX軸方向に延設させるヨーク折曲工程ST5と、第4ヨーク部分84のX1方向の端部分と第1ヨーク部分81の第1軸方向の他方側の端部分とを固定する固定部形成工程ST6と、を備える。
【0061】
かかる組立方法によれば、まず、一方側マグネット7Aおよび他方側マグネット7Bが固定された平板形状のヨーク部材100を2回折り曲げて第1屈曲部分85、第2ヨーク部分82、第2屈曲部分86、第3ヨーク部分83、および延設ヨーク部分89を形成する。次に、第1屈曲部分85、第2ヨーク部分82、および第2屈曲部分86をコイル保持部35のZ1方向に配置して、第1ヨーク部分81をコイル保持部35のX1方向に位置させ、延設ヨーク部分89をコイル保持部35のX2方向に位置させる。その後、延設ヨーク部分89をコイル保持部35のZ2方向で折り曲げて第3ヨーク部分83、第3屈曲部分87および第4ヨーク部分84を形成し、第4ヨーク部分84をX軸方向に延設させる。しかる後に、第4ヨーク部分84のX2方向の端部分と第1ヨーク部分81のZ2方向の端部分とを固定する。従って、平板形状のヨーク部材100に固定された一方側マグネット7Aと他方側マグネット7Bとを第1軸方向でコイル6の両側に位置させることが容易である。また、ヨーク80によって、コイル6を保持するコイル保持部35を囲むことが容易である。
【0062】
また、本例では、マグネット固定工程ST1では、一方側マグネット7Aおよび他方側マグネット7Bとして未着磁のものを用い、マグネット固定工程ST1とヨーク準備工程ST3との間に、一方側マグネット7Aと他方側マグネット7Bとを、X軸方向にS極とN極とが交互に並ぶように着磁するマグネット着磁工程ST2を備える。より具体的には、マグネット固定工程ST1では、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74として未着磁のものを用い、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74をX1方向から他方側に向かってこの順でヨーク部材100に固定する。マグネット固定工程ST1とヨーク準備工程ST3との間のマグネット着磁工程ST2では、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74を、X軸方向でS極とN極とが交互に並ぶように着磁する。従って、X軸方向に配列されたマグネット71~74を同一の極が対向するように着磁する場合と比較して、着磁作業が容易である。また、ヨーク部材100を3つの屈曲部85、86、87で折り曲げたときに第1マグネット71と第4マグネット74とは、第1コイル61を間に挟んで異なる極同士が対向し、第2マグネット72と第3マグネット73とは、第2コイル62を間に挟んで異なる極同士が対向する。
【0063】
(その他の実施の形態)
固定部形成工程ST6では、ヨーク80の第1ヨーク部分81のZ2方向の端部分と第4ヨーク部分84のX1方向の端部分とは、カシメにより接続してもよい。すなわち、アクチュエータ1は、ヨーク80の第1ヨーク部分81のZ2方向の端部分と第4ヨーク部分84のX1方向の端部分との固定部88にカシメ痕88aを備えるものとしてもよい。
【0064】
また、マグネット固定工程ST1において、一方側マグネット7Aおよび他方側マグネット7BとしてX軸方向で分極着磁されたものを用い、X軸方向で隣り合うマグネット同士では異なる極が対向するように配置してもよい。
【0065】
より具体的には、マグネット固定工程ST1では、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74としてX軸方向で分極着磁され
たものを用い、X軸方向で隣り合うマグネット同士では異なる極が対向するように、第1マグネット71、第2マグネット72、第3マグネット73、および第4マグネット74をX1方向から他方側に向かってこの順で配置する。このようにすれば、X軸方向で隣り合うマグネット同士が反発して、ヨーク部材100に固定できないことを回避できる。また、ヨーク部材100を3つの屈曲部85、86、87で折り曲げたときに、第1マグネット71と第4マグネット74とは、第1コイル61を間に挟んで異なる極同士が対向し、第2マグネット72と第3マグネット73とは、第2コイル62を間に挟んで異なる極同士が対向する。
【0066】
ここで、マグネット固定工程ST1において着磁済みのマグネット71~74を用いる場合には、アクチュエータ1の組立方法は、マグネット固定工程ST1、ヨーク準備工程ST3、ヨーク配置工程ST4、ヨーク折曲工程ST5、固定部形成工程ST6、および後工程ST7、をこの順に備えるものとなる。すなわち、
図6に示すフローチャートからマグネット着磁工程ST2を省略したものとなる。
【符号の説明】
【0067】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…磁気駆動機構、5…配線基板、6…コイル、7…マグネット、7A…一方側マグネット、7B…他方側マグネット、9…接続体、10…第1支持部材、10a…穴、11…第1端板部、12…第1側板部、13…凹部、20…第2支持部材、21…第2端板部、22…第2側板部、23…凹部、30…コイルホルダ、30a…凸部、30b…凸部、31…第1コイル配置穴、32…第2コイル配置穴、33…板部、34…仕切り部、35…コイル保持部、40…プレート、61…第1コイル、62…第2コイル、71…第1マグネット、72…第2マグネット、73…第3マグネット、74…第4マグネット、80…ヨーク、81…第1ヨーク部分、82…第2ヨーク部分、83…第3ヨーク部分、84…第4ヨーク部分、85…第1屈曲部分、86…第2屈曲部分、87…第3屈曲部分、88…固定部、88a…溶接痕・カシメ痕、89…延設ヨーク部分、91…第1接続体、92…第2接続体、93…第3接続体、94…第4接続体、100…ヨーク部材、100a…ヨーク部材の一方の面、101…第1固定位置、102…第2固定位置、201…シール部材、202…シール部材、203…シール部材、301…切欠き部、302…開口部、601…有効辺、602…開口、ST1…マグネット固定工程、ST2…マグネット着磁工程、ST3…ヨーク準備工程、ST4…ヨーク配置工程、ST5…ヨーク折曲工程、ST6…固定部形成工程、ST7…後工程