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特開2024-122237医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122237
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240902BHJP
   G06F 16/9035 20190101ALI20240902BHJP
【FI】
G16H10/00
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029678
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 展樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】森岡 尚也
(72)【発明者】
【氏名】永見 哲也
【テーマコード(参考)】
5B175
5L099
【Fターム(参考)】
5B175HA01
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】効率的な検索を実現すること。
【解決手段】本実施形態に係る医用情報処理装置は、検索部と、抽出部と、出力部とを含む。検索部は、第1医用システムの患者情報に含まれる1以上の項目を検索キーとして、第2医用システムを検索する。抽出部は、前記第2医用システム内に前記検索キーと一致する項目が存在しないまたは前記検索キーと一致する項目が複数存在する場合、前記第1医用システムまたは前記第2医用システムと第3医用システムとの間で一致した、前記検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、当該少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出する。出力部は、前記検索結果と、前記検索結果が得られた前記第2医用システムまたは前記第3医用システムの情報とを出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1医用システムの患者情報に含まれる1以上の項目を検索キーとして、第2医用システムを検索する検索部と、
前記第2医用システム内に前記検索キーと一致する項目が存在しないまたは前記検索キーと一致する項目が複数存在する場合、前記第1医用システムまたは前記第2医用システムと第3医用システムとの間で一致した、前記検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、当該少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出する抽出部と、
前記検索結果と、前記検索結果が得られた前記第2医用システムまたは前記第3医用システムの情報とを出力する出力部と、
を具備する医用情報処理装置。
【請求項2】
前記関連データに対して信頼度に応じたランクを付与するランク付与部をさらに具備し、
前記出力部は、前記ランクが高い関連データほど優先して出力する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記ランク付与部は、医用システム間の連携の有無、前記第2医用システムまたは前記第3医用システムで管理される情報の一致度、公的機関から付与される情報、および患者の生体情報の少なくとも1つに基づいて前記ランクを付与する、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記検索結果は、前記第1医用システム、前記第2医用システムおよび前記第3医用システムの間での連携に関する情報をさらに含む、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記検索キーに含まれる項目の情報が他の医用システムと異なる場合、前記他の医用システムに登録された当該項目の情報に修正するか否かの確認情報を出力する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記検索結果と、前記検索結果が得られた前記第2医用システムまたは前記第3医用システムの情報とを格納する格納部をさらに具備する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記検索結果は、前記患者情報により特定される患者に関係する関係者情報をさらに含む、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
第1医用システムの患者情報に含まれる1以上の項目を検索キーとして、第2医用システムを検索し、
前記第2医用システム内に前記検索キーと一致する項目が存在しないまたは前記検索キーと一致する項目が複数存在する場合、前記第1医用システムまたは前記第2医用システムと第3医用システムとの間で一致した、前記検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、当該少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出し、
前記検索結果と、前記検索結果が得られた前記第2医用システムまたは前記第3医用システムの情報とを出力する、
医用情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1医用システムの患者情報に含まれる1以上の項目を検索キーとして、第2医用システムを検索する検索機能と、
前記第2医用システム内に前記検索キーと一致する項目が存在しないまたは前記検索キーと一致する項目が複数存在する場合、前記第1医用システムまたは前記第2医用システムと第3医用システムとの間で一致した、前記検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、当該少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出する抽出機能と、
前記検索結果と、前記検索結果が得られた前記第2医用システムまたは前記第3医用システムの情報とを出力する出力機能と、
を実現させるための医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院情報システムにおける個人情報には、氏名、性別、生年月日、保険証番号などが含まれ、さらにシステム独自で定められる一意のキー項目(例えば、患者番号、カルテ番号)を付与して運用されている。関連するシステム間の連携においても、例えば上位のシステムで発行された上述したキー項目を用いる、システム固有のキー項目を対応付ける対応データベースを用意することで運用されている。
しかし、キー項目はシステムごとに独自であることが多く、上述のような対応データベースが無ければ、他のシステムから当該キー項目を類推することが難しい。よって、キー項目の対応が不明な場合は、氏名、住所、性別などの他の項目を条件としてシステム内を検索するが、患者情報の入力ミスまたは婚姻、転居などの理由により、検索結果がゼロ件、または同一人物が重複してヒットする可能性がある。結果として、システム間において登録されている同一患者を特定することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-97817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、効率的な検索を実現することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用情報処理装置は、検索部と、抽出部と、出力部とを含む。検索部は、第1医用システムの患者情報に含まれる1以上の項目を検索キーとして、第2医用システムを検索する。抽出部は、前記第2医用システム内に前記検索キーと一致する項目が存在しないまたは前記検索キーと一致する項目が複数存在する場合、前記第1医用システムまたは前記第2医用システムと第3医用システムとの間で一致した、前記検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、当該少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出する。出力部は、前記検索結果と、前記検索結果が得られた前記第2医用システムまたは前記第3医用システムの情報とを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、医用情報処理装置を含む医用情報システムの第1例を示す図である。
図2図2は、医用情報処理装置を含む医用情報システムの第2例を示す図である。
図3図3は、医用情報処理装置の第1動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、医用情報処理装置の第2動作例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る変換テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、医用システムそれぞれのデータベースに格納される患者情報のテーブル例を示す図である。
図7図7は、医用システム間のデータのやりとりを示すシーケンス図である。
図8図8は、本実施形態に係る検索結果の第1表示例を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係る検索結果の第2表示例を示す図である。
図10図10は、医用情報処理装置の第2利用例に係る検索情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムについて説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0008】
本実施形態に係る医用情報処理装置を含む医用情報システムの第1例について図1を参照して説明する。
第1例に係る医用情報システムは、医用情報処理装置1とデータベース2とを含む、複数の医用システム3が相互に接続されることで実現される。ここでは、医用システムA、医用システムB、医用システムCおよび医用システムDのそれぞれ異なる4つの医用システム3で構成される。各医用システムA~Dは、第1例では、有線または無線によるネットワークで接続されることを想定する。なお、ネットワークは、病院内ネットワークを想定するが、セキュリティが確保されるのであれば接続される回線は病院内ネットワークに限定されない。例えば、VPN(Virtual Private Network)を介し公衆通信回線に接続するようにしても構わない。
なお、医用情報システムは、4つの医用システム3が含まれることに限らず、3以上の医用システム3が接続されていればよい。
【0009】
医用システムの種類としては、オーダリングシステム、電子カルテシステム、PACS(Picture Archiving and Communication System)サーバ、検査システム、薬剤システム、会計システムなどが挙げられるが、これらに限らず病院内外で関連するシステムであれば、適用可能である。
【0010】
各医用システム3に搭載される医用情報処理装置1は、自身の医用システムから、あるキーワードや記号などの検索キーを用いて、他の医用システム3のデータベース2に対して検索を実行し、該当する検索結果を取得する。例えば、医用システムAから医用システムBに検索キーを用いた検索要求があった場合、医用システムBは、自身のデータベース2を検索するとともに、他の医用システムCおよび医用システムDの検索結果も取得する。医用システムBは、医用システムB~Dにおける検索結果を医用システムAに送信する。
【0011】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置1を含む医用情報システムの第2例について図2を参照して説明する。
第2例に係る医用情報システムは、各医用システム3と中央サーバ5とを含む。中央サーバ5は、データベース2を含む。第2例では、中央サーバ5が医用情報システム全体の検索結果を管理する。中央サーバ5は、ある医用システム3からの検索キーによる検索要求を受信し、当該検索キーを用いてデータベース2を検索し、検索要求を送信してきた医用システム3に検索結果を返す。
【0012】
例えば、医用システムAから中央サーバ5に対して検索キーを用いた検索要求があった場合、中央サーバ5は、データベース2に対して検索キーを用いた検索を実行し、医用システムB~Dにおける検索結果を医用システムAに送信する。
【0013】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置1の詳細について図3のブロック図を参照して説明する。
図3に示す医用情報処理装置1は、処理回路10と、メモリ11と、入力インタフェース12と、通信インタフェース13とを含む。処理回路10と、メモリ11と、入力インタフェース12と、通信インタフェース13とは、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0014】
処理回路10は、医用情報処理装置1の中枢として機能するプロセッサである。処理回路10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサである。処理回路10は、検索機能101と、判定機能102と、抽出機能103と、ランク付与機能104と、出力機能105とを含む。
【0015】
検索機能101は、第1医用システムの患者情報に含まれる1以上の項目を検索キーとして、第2医用システムを検索する。第1医用システムは、検索を実行するユーザが利用する医用システムである。第2医用システムは、検索先のシステムである。
判定機能102は、第2医用システム内に検索キーと一致する項目が存在しない、または検索キーと一致する項目が複数存在するかどうかを判定する。
【0016】
抽出機能103は、第2医用システム内に検索キーと一致する項目が存在しないまたは検索キーと一致する項目が複数存在する場合、第1医用システムまたは第2医用システムと、第1医用システムおよび第2医用システムとは異なる第3医用システムとの間で一致した、検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出する。第3医用システムは、医用情報システムを形成する医用システムであって、第1医用システムおよび第2医用システムとは異なるシステムである。
【0017】
ランク付与機能104は、関連データに対してランクを付与する。
出力機能105は、検索結果と、検索結果が得られた医用システムの情報とを出力する。
【0018】
メモリ11は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、および集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ11は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。なお、メモリ11は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要はない。例えば、メモリ11は、複数の記憶装置により実現されても構わない。また、メモリ11は、医用情報処理装置1にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0019】
メモリ11は、本実施形態に係る処理プログラム等を記憶している。なお、このプログラムは、例えば、メモリ11に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されてメモリ11にインストールされてもよい。
【0020】
入力インタフェース12は、ユーザから各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路10へ出力する。本実施形態に係る入力インタフェース12は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド、及び操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等の入力機器に接続されている。また、入力インタフェース12に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0021】
通信インタフェース13は、各医用システム3との間で、すなわち、図示しないが、画像サーバ、電子カルテシステム、医用情報管理アプリケーション、放射線部門情報システム(RIS:Radiology Information System)などとの間でデータ通信を行う。通信インタフェース13は、例えば、予め設定されている既知の規格に準拠してデータ通信を行う。
【0022】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置1の第1動作例について図3のフローチャートを参照して説明する。
ステップSA1では、検索機能101により処理回路10が、ユーザが利用する医用システム3である第1医用システムから、検索キーによる検索対象となる第2医用システムを検索する。検索キーは、例えば第1医用システムに登録された患者情報の中から1つ以上選択される。患者情報としては、氏名、性別、生年月日、来院日、保険証番号など一般的に院内で管理される患者に関する情報であればよい。
【0023】
ステップSA2では、判定機能102により処理回路10が、検索キーと一致するデータが存在したか否かを判定する。検索キーと一致するデータが存在した場合は、ステップSA3に進み、検索キーと一致するデータが存在しなかった場合は、ステップSA4に進む。
【0024】
ステップSA3では、判定機能102により処理回路10が、検索キーにより検索された結果、複数のデータが存在するか否かを判定する。複数のデータが存在した場合は、ステップSA4に進み、複数のデータが存在しない、すなわち1つのデータのみ存在した場合は、所望の検索結果が得られたと想定されるため、処理を終了する。
【0025】
ステップSA4では、抽出機能103により処理回路10が、第2医用システムとは異なる他の医用システム、つまり第3医用システム間で一致した検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、関連データとを検索結果として抽出する。つまり、対象システムで一致する項目が存在しない場合、または対象システムで重複した項目が一致した場合は、第1医用システムと第2医用システムとの間で正しく対応関係が紐付いているデータが存在しない、または混在したデータ登録されているといえる。よって、第2医用システムと第3医用システムとの間、または第1医用システムと第3医用システムとの間で正しく対応関係が紐付いているデータを関連データとして抽出する。
【0026】
ステップSA5では、出力機能105により処理回路10が、メモリ11またはデータベース2に、検索結果と医用システムの情報とを対応付けて格納する。医用システムの情報とは、例えば、第2医用システムの名称、第3医用システムの名称である。
【0027】
ステップSA6では、出力機能105により処理回路10が、検索結果と医用システムの情報とを出力する。出力態様としては、例えば第1医用システムに接続されるディスプレイに検索結果と医用システムの情報とを表示することを想定するが、これに限らず、スピーカから合成音声により検索結果を音声出力してもよい。
【0028】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置1の第2動作例について図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップSA1からステップSA4までは、図3と同様の処理である。
【0029】
ステップSB1では、ランク付与機能104により処理回路10が、関連データに対してランクを付与する。例えば、関連データが、例えば保険証番号、マイナンバーといった公的機関により発行された情報、または患者本人の生体情報(指紋認証、顔認証など)であれば優先度を高く設定する。一方、通院歴(来院日や処置内容など)、お薬手帳に記載される処方された薬の種類など本人を特定するためには信頼度があまり高くない情報であれば優先度を低く設定する。
ステップSB2では、出力機能105により処理回路10が、メモリ11またはデータベース2に、検索結果と医用システムの情報とランクとを対応付けて格納する。
ステップSB3では、出力機能105により処理回路10が、ランクが高い検索結果データほど優先して、検索結果と医用システムの情報とをディスプレイなどに出力する。
【0030】
次に、医用システム間の検索処理についての具体例を図6および図7を参照して説明する。
図6は、医用システムA~Dのそれぞれのデータベース2に格納される患者情報のテーブルを示す。ここでは、例えば、医用システムAが管理システムであり、医用システムBがオーダエントリシステムであり、医用システムCが放射線部門情報システムであり、医用システムDが医事会計システムである場合を想定する。
【0031】
医用システムAのデータベース2に格納されるテーブル21Aには、ID「123」、氏名「山田 太郎」、生年月日「1980.1.1」、来院日「2020.5.5」、検査種別「X線CT」、検査結果「陰性」および保険証番号「456789」がそれぞれ対応付けられて格納される。
【0032】
医用システムBのデータベース2に格納されるテーブル21Bには、ID「1001」、氏名「山口 次郎」、生年月日「1980.1.1」、来院日「2020.5.5」検査種別「X線CT」およびID連携「F01(医用システムC)」がそれぞれ対応付けられて格納される。ID連携は、医用システム間でそれぞれ管理されるデータが対応付けられている場合にどのデータと紐付いているかを示し、例えば、ID番号、カルテ番号、オーダ番号で管理される。具体的にテーブル21Bでは、医用システムCにおいて管理されるID「F01」で示されるデータと、テーブル21Bで管理されるID「1001」で示されるデータとが紐付いていることを示す。
【0033】
医用システムCのデータベース2に格納されるテーブル21Cには、ID「F01」、氏名「山田 太郎」、生年月日「1980.1.1」、来院日「2020.5.5」、検査種別「X線CT」、検査結果「陰性」およびID連携「123(医用システムA)」がそれぞれ対応付けられて格納される。
【0034】
医用システムDのデータベース2に格納されるテーブル21Dには、ID「123」、氏名「山田 太郎」、生年月日「1980.1.1」、来院日「2020.5.5」、保険証番号「456789」およびID連携「123(医用システムA)」がそれぞれ対応付けられて格納される。
【0035】
なお、図6に示した項目に限らず、家族構成、診察内容および治療内容といった患者に関する他の項目を含めてもよい。また、ここでは1人の患者情報を図示するが、複数の患者それぞれについて同様のデータがテーブル21に保持されるものとする。
【0036】
ここで、医用システムBに登録された氏名に誤りがあり、正しくは「山田 太郎」であるところ、「山口 次郎」と登録されている場合を前提として、本実施形態に係る医用情報処理装置の検索処理を説明する。
【0037】
図7は、医用システム3間のデータのやりとりを示すシーケンス図である。
ステップSC1では、第1医用システムとして医用システムAの検索機能101により、氏名「山田太郎」および生年月日「1980.1.1」の2つの項目を検索キーとして、第2医用システム、ここでは医用システムBを検索する。上述のように、医用システムBのテーブル21Bには、氏名が「山口次郎」と誤って登録されているため、生年月日「1980.1.1」は一致しているが、検索キーの完全一致ではないため、該当なし(0件)と判定される。
【0038】
ステップSC2では、医用システムBから、検索キーと一致するデータが該当なしである旨の検索結果が医用システムAに送信される。
ステップSC3では、医用システムAの判定機能102が、検索キーと一致するデータが医用システムBに存在しないと判定する。医用システムAの抽出機能103により、検索キーの少なくとも一部の項目に関して、医用システムB~Dにおいて一致する項目及び関連データを要求する。
【0039】
ステップSC4では、医用システムBが、医用システムCまたは医用システムDに対して、検索キーの少なくとも一部の項目と一致する項目、および当該一致した項目に紐付く関連データがあるかを検索する。ここでは、検索キーのうち生年月日「1980.1.1」の項目が医用システムBと医用システムCとで一致する。さらに、関連データとして、来院日「2020.5.5」と検査種別「X線CT」とを取得する。また、医用システムCまたは医用システムDとの間でID連携が存在するかを検索し、ID連携が存在すればその旨を取得する。ここでは、医用システムBのテーブル21Bに、医用システムCのID「F01」とのID連携が存在するため、その旨を取得する。
【0040】
ステップSC5では、医用システムBが、医用システムCおよび医用システムDから、医用システムCおよび医用システムDがそれぞれ医用システムAおよび医用システムBとの間で、または、医用システムCと医用システムDとの間で、検索キーの少なくとも一部の項目と一致する項目および関連データを取得する。
ここでは、医用システムCのテーブル21Cに、検索キーと一致する氏名「山田 太郎」と生年月日「1980.1.1」とを取得し、来院日「2020.5.5」および検査種別「X線CT」とを関連データとして取得する。さらに、テーブル21Cには、ID「123」で医用システムAとの連携が存在するため、連携が存在する旨を取得する。
医用システムDのテーブル21Dに、検索キーと一致する氏名「山田 太郎」と生年月日「1980.1.1」とを取得し、来院日「2020.5.5」と保険証番号「456789」とを関連データとして取得する。さらに、テーブル21Dには、ID「123」で医用システムAとの連携が存在するため、連携が存在する旨を取得する。
【0041】
ステップSC6では、医用システムBが、ステップSC4およびステップSC5で得られた検索キーの少なくとも一部と一致する項目、関連データおよび連携の有無について検索結果として医用システムAに送信する。
ステップSC7では、医用システムAのランク付与機能104が、関連データにランクを付与する。ここでは、Aが最高ランクであり、降順で信頼度が下がるランク付けを想定する。保険証番号をAランクとして、検査種別および検査結果をBランクとして設定する。なお、医用システムBにおいて、関連データへのランク付与がおこなわれてもよい。
ステップSC8では、医用システムAの出力機能105が、ランクが高いほど優先して検索結果と医用システムの情報とを表示する。
【0042】
次に、本実施形態に係る検索結果の第1表示例を図8に示す。
検索キーに対する検索結果が画面に表示される。ここでは検索キーである、氏名「山田太郎」と生年月日「1980.1.1」とが表示される。図8の例では、医用システムの情報として、検索先のシステム名である検索先システムと、検索キーの少なくとも一部と一致した項目および関連データである一致項目と、ランクと、検索先システムがどの医用システムと連携があるかを示す連携と、検索結果が得られた検索日とが対応付けられて表示される。
【0043】
例えば、検索情報の1つとして、検索先システム「医用システムD」、一致項目「氏名/生年月日/保険証番号」、ランク「A」、連携「医用システムA」、検索日「2018/6/6」が対応付けられて表示される。
【0044】
検索情報を参照することで、医用システムBを検索したユーザは、医用システムBには、生年月日が一致しているが氏名が検索キーとは一致していない情報が格納されており、他方、他の医用システムCおよび医用システムDでは、検索キーと氏名と生年月日が一致していることが分かる。さらには、ランクAが付与されているなど情報の信頼度が高い関連データを有する医用システムDにおいて検索キーと氏名が一致しているため、医用システムBに格納されている氏名に誤りがあるのではないか、といった検証を行うことができ、必要に応じて修正することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る検索情報の第2表示例について図9に示す。
第2表示例では、第1医用システムに入力された情報が誤っており、他の医用システム(第2医用システムおよび第3医用システム)間では一致しているが、第1医用システムと他の医用システム間では一致しない情報について修正を促す確認情報を表示する。ここでは、第1医用システムの画面に確認ウィンドウ91を表示する例を示す。
【0046】
図9に示すように、出力機能105により処理回路10は、ランクが閾値以上の検索情報であって、他のシステム間で一致しているが第1医用システムには異なる情報が登録されている項目について、修正を促すウィンドウを表示する。または、一致項目として含まれる検索結果の個数(エントリ数)が閾値以上であり、かつシステムには異なる情報が登録されている項目について修正を促すウィンドウを表示してもよい。図9の例では、「他のシステムでは、山口次郎は山田太郎で登録されています。山田太郎に修正しますか?」といった修正を促す確認ウィンドウ91を表示することで、ユーザに修正を促すことができる。
なお、データの修正があった場合は、データの修正内容、修正を実行したユーザ、修正した日付などをログ情報としてデータベース2に保持してもよい。
【0047】
(第1利用例)
本実施形態に係る医用情報処理装置1の第1利用例について説明する。
例えば災害またはシステム障害により、検索対象である対象システムにアクセスできない場合には、必要な情報が取得できないため、運用に支障が生じる可能性がある。
【0048】
そこで第1利用例では、医用情報システムを実現する複数の医用システム3をP2P(Peer to Peer)方式のネットワークで形成し、各医用システム3で検索された検索結果を各医用システム3のデータベース2で共有して保持する。これにより、医用システム3が自身のローカルに存在するデータベース2を検索するだけで、直接対象システムを検索することなしに情報を補完でき、必要な情報を検索することができる。検索結果および医用システムの情報については、いずれかの医用システムが検索を実行した場合に、その検索結果が各医用システム3のデータベース2に展開され共有されてもよい。検索キーによる検索は、ユーザが検索を実行するかわりに、検索機能101により処理回路10が、検索キーをランダムに自動生成して、定期的に自動で検索を実行し、検索結果を定期的に取得して更新してもよい。
【0049】
(第2利用例)
第2利用例では、データベースには登録されていない患者情報を入手したい場面において、患者の関係者に関する関係者情報を関連データに含める。例えば、患者の診察および治療などに従事した医師、看護師、検査技師といった医療従事者を関係者情報として関連データに含める。
第2利用例に係る検索情報の一例について図10を参照して説明する。
図10に示すように、検索結果に関係者の項目92が追加される。これにより、例えば、検索結果に含まれる関係者から患者の情報を直接ヒヤリングすることで、データベースに登録されていないが、個人を特定するための情報を入手することができる。
【0050】
以上に示した本実施形態によれば、第1医用システム内の項目を検索キーとして第2医用システムを検索し、第2医用システム内に検索キーと一致する項目が存在しないまたは検索キーと一致する項目が複数存在する場合、第1医用システムまたは第2医用システムと、第1医用システムおよび第2医用システムとは異なる第3医用システムとの間で一致した、検索キーのうちの少なくとも1つの項目と、少なくとも1つの項目に紐付く関連データとを検索結果として抽出する。その後、検索結果と医用システムの情報とを表示する。
これにより、利用する医用システムと他の医用システムとがそれぞれ保持する患者情報の組み合わせに基づいて、個人情報を特定でき、効率的な検索を実現することができる。
【0051】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))などの回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0052】
加えて、実施形態に係る各機能は、前記処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに前記手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0053】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、効率的な検索を実現することができる。
【0054】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 医用情報処理装置
2 データベース
3 医用システム
10 処理回路
11 メモリ
12 入力インタフェース
13 通信インタフェース
21A~D テーブル
91 確認ウィンドウ
92 項目
101 検索機能
102 判定機能
103 抽出機能
104 ランク付与機能
105 出力機能

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10