(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122247
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240902BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A01B69/00 303K
A01B69/00 303M
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029688
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三宅 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】相原 研人
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 成祥
(72)【発明者】
【氏名】景浦 宏一
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB08
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043DA04
2B043DA15
2B043DA17
2B043EA04
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB16
2B043EB18
2B043EC13
2B043EC16
2B043ED02
(57)【要約】
【課題】自動走行する作業車両において、旋回によって実際に移動する位置を想定して、旋回の開始時刻と操舵角を、圃場の条件で補正を行うことで、合致させることを課題とする。
【解決手段】
車輪にかかる負荷の状態で、旋回に入る時間のずれと、スリップによる旋回位置のずれが発生する。この時間ずれと位置ずれを車輪にかかる負荷の状態で補正することで、目標とする位置に合致させることで対応する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位装置、慣性測位装置、手動又は自動操作できる操舵システムを備え、操舵装置が旋回作動開始する信号を受け旋回作動開始した時刻と、実際に操舵輪の旋回作動が開始された時刻との時間差異を、操舵輪にかかる負荷の度合い別の相関関係の演算式を持ち、操舵輪にかかる負荷の度合いを選択することで、操舵装置が旋回作動開始する信号を発信する時刻と、旋回時の操舵角を補正する作業車両。
【請求項2】
物体の形状や動き、距離、色合いを判断する撮像装置と、植物のクロロフィル蛍光の測定による光合成測定で植物の生育を診断する装置(植物診断装置)を備え、植物の生育診断情報を自己位置測定と環境マップに同時に書き込み作成し登録する機能を有した請求項1の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位装置における情報を得ながら、自動走行を可能とする作業車両の、操舵時の位置ずれ対応と、撮像装置、植物生育診断装置を配備することで、植物工場内でも利用できる作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動走行で、衛星測位装置からの情報で走行を行い、目標とする位置と実際の位置のずれから、操舵角を制御する作業車両がある。
(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、目標の位置と実際の位置の位置ずれから、操舵角を制御する技術があり、位置ずれは発生するが、位置ずれ検出後に補正運転することで対応する発明である。しかし、事後補正では、作業車両では未処置の領域ができてしまう問題がある。
【0005】
本発明は、衛星測位装置のデータ受信と目標とする操舵角、実際の旋回後の位置の関係を圃場の状態を要素とし、スリップによる位置ずれや応答性の差も含んだ相対関係式を設定しておくことで、目標とする旋回位置に位置ずれなく旋回することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、次の技術手段により解決される。
【0007】
衛星測位装置、慣性測位装置、手動又は自動操作できる操舵システムを備え、操舵装置が旋回作動開始する信号を受け旋回作動開始した時刻と、実際に操舵輪の旋回作動が開始された時刻との時間差異を、操舵輪にかかる負荷の度合い別の相関関係の演算式を持ち、操舵輪にかかる負荷の度合いを選択することで、操舵装置が旋回作動開始する信号を発信する時刻と、旋回時の操舵角を補正する。
【0008】
第二の発明は、次の技術手段により解決される。
【0009】
物体の形状や動き、距離、色合いを判断する撮像装置と、植物のクロロフィル蛍光の測定による光合成測定で植物の生育を診断する装置(植物診断装置)を備え、植物の生育診断情報を自己位置測定と環境マップに同時に書き込み作成し登録する機能を有する。
【発明の効果】
【0010】
第一の発明より、圃場の状態を考慮した旋回を行うことで、目標とした旋回位置に合致させることが可能となる。
【0011】
第二の発明より、植物工場等の屋内作業において、植物の生育情報を環境マップに取り込むことができ、以後の作業において、自動運転経路作成、自動計測のデータの取得や収穫作業の自動化、営農情報への構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の作業車両でハウス内作業を行う実態図。
【
図2】本発明の作業車両でハウス内作業を行う時の、左側前方斜視図。
【
図3】本発明の作業車両でハウス内作業を行う時の、右側前方斜視図。
【
図4】本発明の作業車両で、圃場から屋内作業に入る時の左側後方斜視図。
【
図5】本発明の作業車両で、ハウス内作業で、植物側に車両を寄せた走行図。
【
図6】本発明の作業車両で、ハウス内作業の正面図。
【
図10】本発明の作業車両の圃場負荷の違いによる旋回作動開始した時間の差異図。
【
図11】本発明の作業車両の圃場負荷の違いによる旋回角の差異図。
【
図12】本発明の撮像装置で確認された物体の人物判断の基準図。
【
図13】本発明の撮像装置で確認された物体のニューラルネットワーク分析図。
【
図14】本発明の作業車両のセンサと作動部品のブッロク図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明を説明する。
【0014】
図1~
図14に示す作業車両は、本実施形態の一例を示すものである。
【0015】
本発明の背景を説明する。
【0016】
作業車両では、衛星測位装置を利用した自動走行があるが、自動車のように舗装された道を走行する車両ではない。圃場での走行では、圃場の凹凸や泥のような土質の走行であるためアスファルトの走行と比較すると、常にスリップ走行をしている状態である。
【0017】
こうした条件で衛星測位装置による自動運転を行うと、旋回時では目標と定めた位置にならず位置ずれなるものが発生する。その位置ずれは、自動車等の輸送機器では走行中に徐々に修正して一致させれば問題のないレベルであるが、作業車両では未対応の領域となり好ましい自動走行とは言えない。
【0018】
そこで、旋回前に圃場の条件を取り込み、衛星測位装置から旋回信号を受け、実際の位置に合致するための操舵角を算出することで、一気に旋回制御を行うことが本発明へのニーズとして上げられる。
【0019】
本発明は、農業作業、建設作業で、圃場における無人運転を可能とする作業車両における発明である。作業車両では、トラクタ、田植機、コンバイン、乗用管理機等が上げられるが、実施例ではトラクタを代表として説明を行う。
【0020】
実施形態の作業車両100の説明を行う。
【0021】
本発明の作業車両100は、小型トラクタのキャビンを装備していない安全フレームのついた小型機である。
図7は本発明の実施形態における作業車両の外観斜視図である。動力はエンジンでも電動モータでも構成可能である。ここでは電動モータ101をボンネットの内部にバッテリ108と共に配備している。電動モータ101の動力は、走行駆動装置106で動力分配し、走行車輪102、103、104,105の各車軸を設定された回転数で作動させ走行を行う。走行車輪には走行速度検出装置107があり、車速を検出し制御のフィードバックをしている。
【0022】
作業機は人が座席180に着座し、操舵装置160を利用して走行することができるが、基本無人運転で作業ができるようになっている。自動運転の設備を説明する。
【0023】
人工衛星からの情報より、自車位置を検出する衛星測位装置110からの情報と、作業車両の加速や旋回時、圃場の傾斜による横向きの力を検出する慣性計測装置111が備えられており、この情報より作業車両100の位置を検出する。これが一般的な自動走行車両の配備であるが、本発明においては、撮像装置を備えており、走行中の周辺画像、物体との距離、物体の種類、色合いの判別、圃場マップ200との差異検出、障害物の検出も行うことで安全な自動運転を行う。
【0024】
撮像装置装備の機能について説明する。
【0025】
撮像装置は、LIDAR(Light Detection and Ranging)を配備している。LIDARは、光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し物体の形状や性質を分析することが可能である。また物体までの距離を測定することを可能とし、遠距離から近距離までの距離測定や物体の移動速度も計測可能である。特に霧状の水滴も検出ができ、ハウス内で防除における噴霧や、加湿作業によるミスト噴出の状態も検出ができる。この噴霧の中でも固定物体の検出も可能であり、圃場作業のみならず、屋内作業における利用度も高い。
【0026】
本構成では、水平方向撮像装置(LIDAR)120は、作業車両の上方に備えられ、遠方まで検出できるようになっている。またハウスで利用の場合は、地上から3mを超えて背丈が伸びる植物の検出にも利用できる高所に備える。本実施例では衛星測位装置110の下方に配備しており、水平方向撮像装置(LIDAR)120により、衛星測位装置110の受信が妨げられないようになっている。また逆にLIDARは水平方向にレーザー照射するため、近傍の上方のある衛星測位装置110が、
図8で示すようにLIDARの妨げにならないように、衛星測位装置とLIDARの間は距離を持っている。
【0027】
本発明の作業車両は、衛星測位装置110、慣性測位装置111を配備しているため、自動走行では問題は無い。しかしハウス等の屋内では、衛星測位装置110の通信が安定しない場合、走行が困難になる場合もある。ここでLIDARのような撮像装置を利用することで屋内においても作業車両を走行させることが可能である。
【0028】
水平方向撮像装置(LIDAR)の取り付けや機能について説明する。
【0029】
水平方向撮像装置(LIDAR)120は、植物の生育判断へも利用する。この点からもLIDARの取り付け位置は作業車両が妨げにならないように、車両の上方に備えることが必要となる。しかし水平方向撮像装置(LIDAR)120は水平測量であるため、3mを超えるような高さになると、計測は困難となるため、取り付け位置が異なる撮像装置で対応する。
【0030】
背丈のある植物への対応として、LIDARのレーザー照射方向を上方に向けた設置で対応する。通常は、LIDARからのレーザー照射は水平方向に発射させるが、
図7、8、9のように、傾斜立てて設置することで、地上から10mの高さでも検出することを可能とする。
【0031】
図7,8,9では、LIDARを垂直方向に設置している実施例である。垂直方向右撮像装置(LIDAR)130と、垂直方向左撮像装置(LIDAR)140である。この方向への取り付けは、ハウス内の柱と梁の交差する部分がセンシングできるように角度を持たせてLIDARを取り付ける構成である。
図1,2,3,4,5,6はハウス内の作業を想定した図であるが、柱310と梁320の交差は動くことがないので、この位置を環境マップ200に登録しておけば、自車位置の補正にも利用することができる。
【0032】
また車体の横幅の端部に配備することで、作物との距離を検出しやすくなる。フェンダー等の車両の一部を画像内に撮像しているため植物位置の検出が容易であり、植物との位置関係がわかりやすく、左右に配備することで外部からのリモート運転も可能である。
【0033】
SLAM(自己位置測定と環境地図作成を同時に行う)機能を説明する。
【0034】
衛星測位装置110からのデータ取得により自己位置測定することと、装備した計測機器の計測データを取得し、環境マップ200の該当する位置に取得されたデータを書き込む環境マップの作成を行う作業であるSimultaneous Localization and Mapping(以下 SLAMと記載)の利用について説明する。SLAM220内で、取り込んだ環境マップ200に作業車両100から取得されたデータを書き込んで作成するマップをSLAMマップ221とするが便宜上のもので、一般的にはSLAM220のデータである。
【0035】
水平方向撮像装置(LIDAR)110等の撮像装置を搭載した作業機で走行を行いながら周囲の環境をセンシングすることで、二次元もしくは三次元の環境マップ200の作成を行うのであるが、同時に作業車両の移動量の推定を逐次的に行うことも可能であり、あらかじめ経路設定211を登録しておけば、登録経路にそって自動運転をすることも可能である。つまり衛星測位装置のデータが不安定な状態や、データが取得できない状態にあれば、慣性測位装置(IMU)111とSLAM220の利用にて自動運転を行うこともできる。
【0036】
例えば植物工場関係のハウスにおいては、透明なガラス等で囲まれた建屋であるが、遮光装置や施設の器具の配備によって衛星測位装置110のデータ取得が不安定になったり、取得できない状態になったりする場合がある。こうした場合においては、
図4のようにハウスに侵入する前までは衛星測位装置110のデータを利用し、そのデータを基準にSLAM220へのデータ利用に変更することで、ハウスのような屋内における作業車両の自動走行に利用することが可能である。本発明では、圃場でも作業を行い、またハウス等の屋内でも作業ができる作業車両として、SLAM機能を有している。
【0037】
SLAM機能を利用することで、あらかじめ設定した走行経路を走行することは可能であるが、設定されていない事項が発生した場合、SLAM機能のみでは対応できない場合があり、LIDARによる分析判断を要する。例えば植物の生育が良く、走行経路を妨害するような事象が一晩で発生した場合、SLAM機能のみでは対応はできない。さらにはハウスを構成する部材が破損し走行経路を妨害したり、小動物等が入り込み事故が発生したりする可能性もある。このような課題もあり、LIDARを塀用することで、より安全な自動走行を可能とする。
【0038】
ハウス内の作業車両の利用について説明する。
【0039】
ハウス等の植物工場、施設設備は屋内作業で、設備の中で食物を栽培する。したがって決まった形態で配備されるため、植物の調査や防除、収穫を行う装置は決まった経路を走行すればよいのであるから、ハウス内にあらかじめレールを敷いておき、このレールにそって走行ですれば、衛星測位装置110やSLAM220は不要である。
【0040】
しかし近年の植物工場では、自由なレイアウトが変更できることが要望として上がっている。決まった位置に培地があり、レーンを敷いていれば異なる作物に適応しにくい場合があり、変更にかかる費用を考えると、一旦、設置されたハウスは、そのハウスにあった作物の育成にしかならないという課題が存在する。
【0041】
こうした中で、容易にレイアウトが変更できることで吊り下げ式で培地のレーンを構成するハンギングガター式のものや、培地の位置を施設内に完全固定する方式ではなく、土台をつくり、そこに仮置きする載置ベンチ方式もある。
【0042】
図1~6はハンギングガター式400の場合を示している。ハンギングガター式では、ハウス内の骨組みを利用して、ワイヤー440にて、フレーム構造体430を吊り下げる構成である。フレーム構造体430の内部に培地410があり、その下方の両端に養液の排水用の溝420がある。
【0043】
栽培植物450は、図の表記状、茎のみ表現しており、葉と果実等は記載していないが、培地410に根を張り、吊るされた上方に生育していく。
【0044】
ハンギグガター式では、吊り位置を変更するのみで、培地410のレイアウト変更は可能であるため、走行するレーンも変更してしまう。載置ベンチ式にしても同様である。このような特性を持つため、車両の走行経路は変更されるため、決まった位置を走行するレーンを敷かれると変更することが容易でなくなってしまう。本発明は、このような利用において効果を発揮する機能である。
【0045】
本発明においては、SLAM220の機能を有した作業車両100に植物診断装置170を備えることで、植物の生育の状態を環境マップ200に取り組むことにある。
【0046】
植物診断装置170とは、植物のクロロフィル蛍光の測定より、植物の光合成の量を判断することにより、植物の生育の状態を推定する基準として利用するものである。この植物診断装置170は、前述で説明したように植物工場等では専用の走行装置に組み込まれ、植物工場内に接地されているレールの上を走行するのが一般的である。そのためレール内に位置確認の検出装置を備えたり、又は、走行装置の走行距離測定データを利用することで、位置を確認することは可能であった。
【0047】
本発明の特徴は、走行装置にあたる作業車両100は屋外も走行できる点にある。前述で説明したように植物工場においても連続的に同じ作物を栽培する場合は、決まった間隔と長さで固定した栽培ベットをつくり、また収獲ロボットや植物診断装置が走行できるレーンは決まっており、固定したレイアウトにある場合は、専用の植物診断装置を配備する方が望ましい。しかし昨今ではコストをかけず、またレイアウトの変更も可能なハンギングガター式や、培地を載置式ベンチとした構成も見受けられる。
【0048】
ハンギングガター式や、培地を載置式ベンチにした場合では、収獲ロボットや植物診断装置が走行できるレーンを敷く必要もなく、例えば圃場で作業を行っている小型の作業車両を利用することも可能である。
【0049】
SLAM220、植物診断装置170を備えた作業車両100が、環境マップ200にデータ登録しSLAMマップ221を作成する内容を説明する。
【0050】
図1では上方からの斜視図であり、栽培植物450が3m近く成長すると、作業車両100の高さでは観測することは困難であり、植物診断装置170は上下に昇降する必要があることが理解できる。植物診断装置170は昇降駆動装置170にて上方まで移動することが可能である。
【0051】
図1~3では、衛星測位装置110と慣性計測装置111を搭載していない形であり、植物工場のような屋内作業専用の場合を示している。また衛星測位装置110と慣性計測装置111が別位置に備えらえる場合では、慣性計測装置111のみ作業車両の中心部に配備するも良い。
【0052】
図4~6は、衛星測位装置110と慣性計測装置111を搭載している図であり、本発明の圃場でも屋内でも作業できる構成である。
【0053】
図2と
図3では、栽培植物450の下方を植物診断装置170で計測している状態である。
【0054】
水平方向撮像装置LIDAR120にて、走行方向の確認を行うと同時に、栽培植物450の位置関係も確認している。果実の位置、葉の量、茎の長さ、色合い、防除の状態等の画像が計測される。同時にハウス内の柱310と梁320も計測している。柱310と梁320の交差位置はSLAM220の基準とし、この位置で作業車両100の位置補正を行う。このようにハウス内に基準とするポイントをつくっておけば、その位置でLIDARが位置検出を行い、SLAM位置と整合させることで、衛星測位装置110が無くても自動走行が可能となる。
【0055】
植物診断装置170にて、植物のクロロフィル蛍光の測定より、植物の光合成の量を判断し、生育データが登録される。
【0056】
垂直方向右撮像装置LIDAR130と、垂直方向左撮像装置LIDAR140で、栽培植物450の下方から上方までの計測が可能である。またハウスの天井も観察することが可能であり、建屋の不具合も確認できる。
図2では、栽培植物450と作業車両100の位置をずらしたアングルであり、高さ方向の位置関係の具合が理解でき、垂直方向の撮像装置の必要性が理解される。
図3では、栽培植物450側からのアングルであるが、作業車両100が、フレーム構造体430の近傍を走行することがわかる。水平方向撮像装置LIDAR120にて、栽培植物450の位置を確認しながら接触することなく、走行するための安全制御にも利用される。このように密集した状態を観察するため、情報量は多く、データは通信部ECU230から即時、携帯操作装置210にデータ送信され、携帯操作装置210の内部にてSLAM220に活用される。
【0057】
図4は、圃場で作業した後に屋内作業に利用する場合である。衛星測位装置110の位置データを利用しながら、屋内に入る場合は、屋内のSLAM220の位置を合致させてからSLAMへの移行を行う。あるいは圃場においてもSLAM220を利用する場合は、常時、衛星測位装置110とSLAM220は情報連携し、位置の合致を行う。
【0058】
この位置合わせは、屋内で衛星測位装置110のデータが取得できた場合は、取得した位置で都度位置合わせを行うも良いが、精度の問題もあり、両者の位置のどちらかに合わすのではなく、重みをつけて両データを補正して合致させる方法が有効である。
【0059】
図5では、栽培植物450の近傍に作業車両100を寄せて計測している図ある。通常は、SLAM220で規定された走行経路を走行するが、防除や湿度調整でハウス内に噴霧が行われた場合では、LIDARでは液体を計測してしまうため、目的とする栽培植物450のデータが計測し難くなる。そこで走行経路を変更して、より近傍で計測する等も可能となる。
【0060】
図6では、正面図で、栽培植物450との位置関係を示しているが、このように上方では、左右の栽培植物の間が狭くなる場合もあり、作業車両100の幅が大きいと植物に干渉してしまう。よって上方部分の計測では、植物診断装置170のみ上方に上げる等の対応は有効である。
【0061】
このような形で、植物診断装置170の情報、各LIDARの情報を取り込む。
図14に示すように、環境マップ200は一般のマップであり、ここにSLAMデータを書き込むことで有効に利用できる。SLAM220の経路の所定ポイントに、植物診断装置170の情報、各LIDARの情報を登録し、SLAMマップ221を作成する。これらは携帯操作装置210に登録され、ユーザは営農管理データとして利用できる。このデータ作成においては、クラウド201より情報を引き出し、データ記憶部212で過去データとの照合を行い、データ演算部213で数値的な分析を行う等してクラウド201へ送信することでユーザ方管理端末202にてさらなる分析を行い、今後の経路設定211に活用される。
【0062】
図8,9,14では作業車両のその他の装備を示している。
【0063】
衛星即装置110、慣性測位装置111のデータ、あるいはSLAM220の情報により、操舵装置160を回転させて操舵運転するが、この装置内には自動操舵装置161が配備され、電動モータ、あるいは油圧モータにて操舵軸を回転させる。また操舵センサ162が装備され操舵角との情報が連動される。
【0064】
障害物センサ190も装備されており、旋回時の畦際の異物発見時は緊急停止を行うことも可能である。
【0065】
走行速度は衛星測位装置、LIDAR、SLAMでも演算可能であるが、スリップ検出を行う必要もあり、車輪軸の回転速度から車速を検出する走行速度検出装置107も装備している。
【0066】
続いて、この走行車両100の旋回制御について説明する。
【0067】
本発明の作業車両100は、無人運転できる、いわゆるロボット作業車両であるが、運転上で作業経路の位置ずれの発生は旋回時に発生しやすい。直線走行中は車体のスリップも少なく、衛星測位装置110で検出される位置をもとに速度変更や停止や発進を行っても、位置ずれの度合いは小さい。しかし操舵装置160を利用して、機体を旋回させる工程が入ると位置ずれが発生する。
【0068】
要因として上げられるのは、大きく二項目がある。一つ目は圃場旋回における作業車両100の車輪102,103,104,105と圃場間のスリップである。二つ目は旋回操作の応答性である。
【0069】
この二項目は、要因は異なるのであるが、結果として時間のずれと位置ずれとなる。したがって両者を合わせて補正することで対応することが可能である。
【0070】
衛星測位装置110による位置判断より、直進作業が終了し、旋回運転への切換を行う行程に入る。この場合、作業車両の旋回半径と旋回位置での障害物、圃場の形状より、旋回の開始地点が算出される。
図10の510の位置である。
【0071】
農業機械は、自動車のように車速が速いわけではないので、応答性のずれによる差異は小さい。しかし農業機械では、畦際一杯まで作業を行いたいため、余裕代をあまり持たせない旋回を行っている。この畦際一杯まで作業は、旋回時にスリップでも起こせば、旋回時に畦に激突し畦や作業車両の損傷ばかりか、作業者が乗車している場合では人身事故にもなりかねない。
【0072】
したがって余裕をもって旋回するのでもなく、危険を伴った旋回を行うのでもなく、圃場条件に適応して、旋回によるスリップも考慮した適切な旋回が望まれる。この旋回制御を実現させるためには、前述の2項目を同時に成立させる相関式を持つことが簡易的でありながらも正しく制御ができる。
【0073】
無負荷操舵の旋回開始の時間ずれの内容を説明する。
【0074】
衛星測位装置の操舵を開始する信号発進と、車体の操舵輪が実際に設定された操舵角に達するまでの時間を、操舵輪が無負荷の状態での時間を測定する。当然ではあるが、操舵角が大きいほど、所要する時間はかかり、時間のずれも広がりを見せる。
【0075】
負荷操舵の旋回開始の時間ずれの内容を説明する。
【0076】
これに対して、圃場の負荷をかけた状態の関係を得る。車体の操舵輪が実際に設定された操舵角になるためには、無負荷の状態よりもより多くの時間を要する。これは車輪の動きに対して圃場の泥や土が抵抗となり、電度モータや油圧モータ等で操舵角を変更するのに時間を要することを意味している。またこの値は、操舵角が大きいほど、より多くの時間を要することになる。
【0077】
この時間ずれの関係を利用した内容を
図10で示している。
【0078】
アスファルト上や、硬い畑のような圃場では、車輪への旋回負荷が小さく路面とのスリップ率は小さいため、右図のように520の位置から旋回をかけると回り切る。しかし泥田のような柔らかい負荷の大きい圃場では、左図のようになり、510の位置から旋回をかけないと回り切れない。
【0079】
旋回をかける位置では550の差が発生することになるが、この差は、540と530の差であり、旋回信号を受けてから実際の旋回が開始される位置の違いである。旋回時のスリップ率による差異もありはするが、直線から操舵させる時の時間ずれ程ではなく、操舵角が大きいほど、時間ずれの差異はさらに大きくなる。
【0080】
無負荷時の旋回時の位置ずれの内容を説明する。
【0081】
操舵角が決まり、その角度で旋回を開始する。アスファルト上の旋回を無負荷とした場合である。作業車両のタイヤやクローラはしっかりグリップするため、ほぼ設計値どおりの旋回位置となる。なお車速によっての変化は大きいが、本発明では作業適応速度であり、この範囲においては、大きな差は発生しない。
【0082】
負荷時の旋回時の位置ずれの内容を説明する。
【0083】
操舵角が決まり、その角度で旋回を開始する。圃場上の旋回を負荷とした場合である。圃場は泥や土が、作業車両のタイヤやクローラのグリップの妨げとなりスリップ走行となる。泥押し、土押しの抵抗を利用して旋回するため、アスファルト旋回と比べると大きくことなる旋回となる。車速にも影響があり、車速が速いとより多くのスリップが発生する。
【0084】
本提案では、作業適応速度であり、この範囲においては最大と最小の範囲に留めて簡易演算を行う。
【0085】
この旋回時の位置ずれの関係を利用した内容を
図11で示している。
【0086】
左端の図は、通常の負荷時のスリップ率の旋回の状態である。アスファルト上や、硬い畑のような圃場では、車輪への旋回負荷が小さく路面とのスリップ率は小さいため、回り切る。しかし泥田のような柔らかい負荷の大きい圃場では、中央図のようになり、回り切れない。
【0087】
そこで本発明では、負荷の大きい時の対応で操舵角を大きくして対応する。右図のように、スリップ率が大きいと目標値に対する標準的な操舵角よりも大きく操舵を行い、スリップしても目標値に合致するように操舵させる。
【0088】
時間ずれ、位置ずれを相関式で演算して対応する内容を説明する。
【0089】
このように衛星測位装置からの信号により、実際に旋回した後の位置ずれと時間ずれは、各種の圃場の状態によって異なる。圃場においては土の質感や水田なら水の量、乾燥した状態ならスリップ率が複雑に影響し、数値検出してもその要因を当てはめることは困難である。よってPID制御を利用したゲイン変更にするには値が収束しない場合もあり、正確に決定要素を決めにくい、むしろ目標と結果の相関関係を結ぶ論理の方が精度よく利用できる。
【0090】
本実施例では、衛星測位装置から旋回の信号を発する段階に入ると、旋回後の目標とする旋回位置を決定し、この決定位置に合致するように旋回するための旋回開始位置と操舵角を相関式より演算する。
【0091】
・旋回開始する位置は、負荷による時間ずれを利用するものである。
【0092】
時間ずれは、旋回開始位置の変更として演算する。
【0093】
・操舵角は負荷によるスリップ率を利用するものである。
【0094】
スリップ率が大きい場合は、操舵角を大きくする演算をする。
【0095】
旋回開始位置の相関式
旋回開始位置510=圃場条件の旋回開始時間の補正係数×旋回開始位置520
・ 旋回開始位置510は、負荷時の旋回位置である。
【0096】
・ 圃場条件の旋回開始時間の補正係数は、圃場の負荷が大きいほど大きい値であり、車輪にかかる負荷の度合いである。
【0097】
・ 上記式は、旋回作動開始する信号を発信する時間ずれでも演算可能である。
【0098】
旋回開始位置510の信号発進時刻=
圃場条件の旋回開始時間の補正係数×旋回開始位置520の信号発進時刻
操舵角の相関式
操舵角570=圃場条件の操舵角の補正係数×操舵角560
・ 操舵角570は、負荷時の操舵角である。
【0099】
・ 圃場条件の操舵角の補正係数は、圃場の負荷が大きいほど大きい値であり、車輪にかかる負荷の度合いである。
【0100】
このような関係は逆演算が可能であり、実際の旋回後の位置にするための、旋回信号を出すタイミングと操舵角の角度を決定するかは容易に算出される。この演算式を例えば、圃場条件で5段階くらいの演算式を設定しておき、柔らかい圃場条件~硬い圃場条件まで設定しておけば、複雑な要素を気にせず、ユーザも迷うことなく設定できる。
【0101】
例えば走行速度により、旋回開始位置や操舵角は影響を受けるが、通常負荷が大きい圃場では走行速度を落として作業しており、走行速度による補正も含めた補正係数となっている。
【0102】
田植機では補給する苗や肥料の量で車両の重量が異なるが、これは慣性測位装置111にて旋回時の横方向の力で近似する補正値は算出可能である。この値は旋回してみないと不明であるため、旋回中において所定値を超えて横方向の力が大きい場合、操舵角をより大きくする補正制御を行う。
【0103】
または苗タンクの検出センサにて苗の量を想定して、圃場条件の旋回開始時間の補正係数と、圃場条件の操舵角の補正係数をより大きな値になるように補正するも良い。
【0104】
圃場の状態の自動検出として、直線走行時に、衛星測位装置110と慣性測位装置111より位置情報と走行速度、加速度を検出する。車両には走行速度検出装置107で車軸の回転からの速度が算出されるため、衛星からのデータと車両からのデータよりスリップ率が算出可能である。このスリップ率を利用して、車輪にかかる負荷の度合いを自動算出し、相関式を演算することもできる。
【0105】
前述のように、操舵装置の無負荷と負荷による応答性の差においては、操舵装置が作動開始した時刻と、実際に操舵輪の作動が開始された時刻との差異を、操舵輪にかかる負荷の度合いを要因に加えた相関関係の演算式を持つことで対応できる。
【0106】
これには、操舵輪にかかる負荷の度合いを選択することで、操舵装置が作動開始した時刻と、実際に操舵輪の作動が開始された時刻の差異が演算できるため、衛星測位装置からの位置を検出しながら、旋回信号を出すタイミングを調整することが可能である。操舵輪にかかる負荷の度合いにおいては、圃場の状態をユーザが選択する方法や、衛星測位装置を利用したスリップ率から算出方法もある。
【0107】
旋回信号のタイミングは、距離関係として置き換えることも可能であり、実施例で示したように旋回開始位置510、520のように対応することもできる。
【0108】
また旋回の時間ずれのタイミング対応だけでなく、実際の位置ずれの補正も必要である。前述記載のようにスリップ率を加味した位置ずれの相関式を持つことで対応できる。
【0109】
このように操舵装置が作動開始した時刻と、実際に操舵輪の作動が開始された時刻の差異と、操舵後の目標位置と実際の旋回後の位置との差異を補正することで、操舵装置が旋回作動開始する信号を発信する時刻と、旋回時の操舵角を補正する。
【0110】
作業車両100は、前述のような装備を配置したことで、圃場で利用している作業車両を屋内の作業にも利用すること可能となった。衛星測位装置110、慣性測位装置111があり、自動運転が可能であり、又、旋回時の負荷判断より精度の高い旋回機能を有している。この作業車両にLIDARのような撮像装置を設けることで、物体の形状や動き、距離を判断することができ、SLAM機能を持たせ、植物のクロロフィル蛍光の測定による光合成測定にて植物の生育を診断する装置(植物診断装置)を搭載することで、植物の生育診断情報を自己位置測定と環境マップに同時に書き込み作成し登録する機能を有することが可能となった。
【0111】
本発明における別形態について説明する。
【0112】
第一の発明をフルクローラの車両に取り込む場合を説明する。
【0113】
作業車両においては、車輪ではなくクローラ式の走行部の車両がある。フルクローラ式のものでは、旋回は操舵角で制御されず、左右の操舵信号の長さによるものである。
【0114】
フルクローラでは、車輪の作業車両に比べて直進方向のスリップ率は小さくなる。しかし旋回時は、片側のクローラ全体の長さを軸として旋回するため、クローラ幅でのスリップを伴いながら旋回するため、旋回半径では車輪の作業機よりも大きくなることがある。
【0115】
フルクローラの場合も車輪作業機と同様で、無負荷の操舵と負荷時の操舵で、操舵開始の信号を受けてからの操舵開始の時間のずれを検証する。
【0116】
衛星測位装置の操舵を開始する信号発進と、車体のクローラの左右の回転差で、それまでの進行方向に対して信号受信後の車体の設定角度に達するまでの時間を無負荷と負荷の状態で検証し、操舵信号を受信してから目標とする車体角度にいたるまでの相関関係式を持ち、この演算式を逆算することで、操舵の開始時刻を算出する。
【0117】
また無負荷時と負荷時の操舵後の位置ずれも発生する。圃場の負荷が大きいとスリップ率も高いため旋回が緩やかになり位置ずれする。したがって圃場の負荷が大きいと判断されるときは、フルクローラの車両では操舵信号を長めに出し、旋回する時間を長くすることで車体の旋回角度を確保するようにする。
【0118】
具体的に説明すれば、柔らかい圃場条件~硬い圃場条件までを5段階として、標準の3の設定にした場合、左への旋回を行う場合で、左のクローラの停止時間を3秒、右のクローラの作動時間を3秒とするが、圃場が柔らかく負荷も大きいと判断される場合は、最も柔らかいの設定1にする。この時は、左への旋回を行う場合で、左のクローラの停止時間を5秒、右のクローラの作動時間を5秒とする制御を行う。
【0119】
このフルクローラの制御では、左右の回転数を検出できる構成であれば、回転数差と旋回開度の相関式として、圃場の条件で補正するという演算方法でも良い。
【0120】
但し、車輪式でもフルクローラ式でも、衛星測位装置との関係は検出しており、通常の直線走行においても基準以上にスリップ率が高いと検出された場合は、この操舵の補正制御を行わず、ユーザには手動操作で旋回させるか、安全率を高めにした安全旋回モードへの変更を情報として発進する。
【0121】
操舵アシスト機能について説明する。
【0122】
操舵系のアシスト機能がある構成では、エンジン又は電動モータの出力軸の回転数と操舵のアシストの有無があるため、この関係も相関式の要素として加え、演算することもある。出力軸の回転数が所定値以上ある場合は、操舵系のアシストがあるので、本発明の相関式での補正を行わない等の対応をする。
【0123】
車速補正機能について説明する。
【0124】
作業車両の作業速度は、ある程度の幅はある。その範囲であれば、本発明の適用内に収めることは可能であるが、作業を行わない高速走行で圃場を走る場合も考えられる。この場合は例外的であるため、本発明の相関式での補正を行わない。あるいは特別な相関式を設けておき、高速走行用の演算式にて対応する。
【0125】
人工知能(ニューラルネットワーク)の利用について説明する。
【0126】
作業車両は自動運転を可能とし、圃場でもハウス等の屋内でも利用できるため、安全性については精度を高める必要がある。本実施例では撮像装置としてLIDARを搭載しており、撮像される物体の形状や動きを観察することは可能である。
【0127】
しかし、その物体の判別において移動物体か固定物であるかの判断は高い確率で判別することは可能であるが、移動物体が人間であるか、その他の動物であるかの判別は難しい点がある。この問題は、人間の場合、帽子やマスクの着用で顔を覆う場合があり、顔の判別がし難い場合がある。また衣服においても農作業の場合は、原色よりも黒系統に近い間色の場合が多く、土の色にも近く、峻別することができにくい状況である。こういった現状においても人間の判別は確実に行う必要があり、LIDARによる画像を高度に分析する必要がある。
【0128】
本発明においては、
図13のように人工知能(ニューラルネットワーク)を利用して、移動物体の内、人間であることの判別をさらに高める内容について説明する。圃場においては、畦際付近に人間が立っている可能性がある。したがって衛星測位装置により、畦際付近での移動物体が検出されれば、人間であるかの判断の精度を高める制御とする。
【0129】
図12は人間を撮像装置でとらえた図である。なお本実施例の説明では、起立した状態で説明するが、路上に座り込んだ状態等もあり、それぞれのデータで比較できるように登録された画像情報をデータ記憶部S13-13に所有している。
【0130】
水平撮像装置(LIDAR)120と、障害物センサ190より移動物体の大きさを検出する。移動物全体の高さS13-1、移動物全体の幅S13-2、頭部の高さS13-3、手足の位置S13-4の情報を得る。
【0131】
水平撮像装置(LIDAR)120には、移動物の色合いの検出も可能としている。検索する色は、肌色である。肌色の位置、範囲S13-5、黒色の位置、範囲S13-6とあらかじめ圃場の色や周辺の建物等の色を登録する。また衣服の色も想定し、原色はマスキングするとかも効果がある。このような特定の色をマスキング色として画像から分別することで、物体の形状がより判別しやすくなるマスキング判定S13-7の機能を加える。
【0132】
人工知能では、S13-1~S13-7を分析して、合成画像を作成していく。またデータ記憶部S13-3には、人物画像や動物、移動車両等が多くの形態で登録されている。クラウド201からも情報取得することも可能であり、撮像されたデータと比較照合する元データである。
【0133】
演算部では、頭部の判定S13-9、手足の判定S13-10より、人間の判定S13-11を行う。またその物体の危険度の推定S13-12も行う。これは移動する速度や方向を判定するものであり、例えば作業車両100に向かってくる方向を検出すれば、危険と判定される。
【0134】
この判定により、作業経路変更したり、走行部制御、作業部制御も行う。作業経路設定においては、本発明の垂直方向の撮像装置130、140の利用がある。圃場や屋内における障害物の検出を高めることができる。
【符号の説明】
【0135】
100 作業車両
110 衛星測位装置
120 水平方向撮像装置(LIDAR)
130 垂直方向右撮像装置(LIDAR)
140 垂直方向左撮像装置(LIDAR)
170 植物診断装置
200 環境マップ
211 経路設定
220 SLAM
221 SLAMマップ
310 柱(ハウス)
320 梁(ハウス)
400 ハンギングガター式(培地)
450 栽培植物