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特開2024-122251換気システム、換気システムの制御方法およびプログラム
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  • 特開-換気システム、換気システムの制御方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122251
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】換気システム、換気システムの制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/77 20180101AFI20240902BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 7/08 20060101ALN20240902BHJP
   F24F 110/52 20180101ALN20240902BHJP
   F24F 110/50 20180101ALN20240902BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20240902BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240902BHJP
【FI】
F24F11/77
F24F11/62
F24F11/54
F24F11/64
F24F11/46
F24F7/08 101J
F24F110:52
F24F110:50
F24F110:70
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029696
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高沢 稔
(72)【発明者】
【氏名】重田 明広
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260AB15
3L260BA09
3L260BA12
3L260BA13
3L260BA41
3L260CA17
3L260CA32
3L260EA07
3L260EA13
3L260EA19
3L260FA07
3L260FA15
3L260FC03
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】本開示は、空調の消費電力の増加を抑制することができ、空質の偏りを抑制することのできる換気システムを提供する。
【解決手段】本開示の空調換気システムは、所定の室内空間10と、屋外の空気である外気を取り込み、室内空間10に所定の風量で給気する複数の換気装置20と、外気の状態を取得する外気状態センサと、室内空間10の空気の汚染度を計測する空質センサ30と、換気装置20の風量を制御する制御装置40(制御手段)と、を備えている。制御装置40は、空質センサ30から得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて換気装置20を運転し、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の換気装置20の給気量を増加させる優先順位を決定し、優先順位に基づいて換気装置20の風量を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の室内空間と、
屋外の空気である外気を取り込み、前記室内空間に所定の風量で給気する複数の換気装置と、
外気の状態を取得する外気状態センサと、
前記室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサと、
前記換気装置の風量を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて前記換気装置を運転し、
空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は前記外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定し、前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御する、
ことを特徴とする換気システム。
【請求項2】
複数の前記換気装置に対してそれぞれ前記外気状態センサが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
複数の前記換気装置に対して1つの前記外気状態センサが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項4】
前記外気状態センサと前記換気装置とを関連付ける第1のテーブルと、
前記換気装置の風量と消費電力とを関係付ける第2のテーブルと、をさらに有し、
前記制御手段は、前記換気装置の消費電力に基づいて風量を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の換気システム。
【請求項5】
所定の室内空間と、
屋外の空気である外気を取り込み、前記室内空間に所定の風量で給気する複数の換気装置と、
外気の状態を取得する外気状態センサと、
前記室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサとを備え、
制御手段により前記換気装置の風量を制御する換気システムの制御方法であって、
前記制御手段により、前記空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて前記換気装置を運転し、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は前記外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定し、前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御する、
ことを特徴とする換気システムの制御方法。
【請求項6】
制御手段に、
室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて換気装置を運転する処理と、
空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は、外気の状態を取得する外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定する処理と、
前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御する処理と、を行わせる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気システム、換気システムの制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、換気システムは、複数の給気路、複数の外気状態情報取得手段および給気方法決定手段を備える。給気路は、外気を給気として建造物に設けられる居室に供給するための空気通路である。外気状態情報取得手段は、給気路それぞれの屋外側の端口またはその近傍に設けられており、外気の状態情報を取得する。給気方法決定手段は、複数の外気状態情報取得手段において取得された複数の外気の状態情報を利用して複数の給気路のうちいずれの給気路を通じて外気を給気として居室に供給するかを決定する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4548075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、空調の消費電力の増加を抑制することができ、空質の偏りを抑制することのできる換気システム、換気システムの制御方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における換気システムは、所定の室内空間と、屋外の空気である外気を取り込み、前記室内空間に所定の風量で給気する複数の換気装置と、外気の状態を取得する外気状態センサと、前記室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサと、前記換気装置の風量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて前記換気装置を運転し、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は前記外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定し、前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示における換気システム、換気システムの制御方法およびプログラムは、空質センサによる室内空間のCO2濃度に応じて、各換気装置の優先順位を決定し、この優先順位に基づいて、換気装置の風量を制御することで、室内空間の空質の偏りを抑制しつつ、外気状態による換気装置の選択と空質センサによる風量の決定を行い、室内空調機の外気負荷を抑制することができる。そのため、外気負荷抑制により空調運転の消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における換気システムの構成を示す概略図
図2】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
図3】実施の形態1における動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、複数の外気の給気路を有し、外気温などの外気状態情報や時刻情報によって何れの給気路から外気を室に給気するかを決定する技術があった。これにより、空調の外気負荷が少ない外気を給気できるようになり、空調の消費エネルギーを低減できるものである。
しかしながら、複数台の給気装置を外気状態に応じて給気口を選択する技術は開示されているが、風量を決める技術は開示されていない。
また、室内に外気を給気する際に換気装置の風量を考慮していないため、必要以上に空調の外気負荷が増えて空調消費電力を抑制することができない。また、室内機により給気するため、給気の偏りによる空質の汚染の偏りが生じるおそれがあると言う課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、室内機の消費電力の増加を抑制することができ、空質の偏りを抑制することのできる換気システム、換気システムの制御方法およびプログラムを提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
[1-1-1.換気システムの構成]
図1は、実施の形態1に係る換気システムの構成を示す概略図である。
換気システムは、所定の室内空間10に設置され、室内空間10の空調および換気を行うシステムである。
換気システムは、空調室内機11と、2台の換気装置20とを備える。
室内空間10は、空調室内機11が空調する被空調空間であり、換気装置20が換気する被換気空間である。
【0011】
空調室内機11は、図示しない室外機に冷媒配管を介して接続されて冷凍サイクルを構成している。そして、室外機の圧縮機を駆動することで、冷媒配管を介して冷媒を循環させることで、空調室内機11により室内空間10の冷房、暖房などの空調を行うように構成されている。
【0012】
換気装置20は、室内空間10の両側にそれぞれ1台ずつ設置されている。
換気装置20は、全熱交換器で構成されており、内部に送風ファンと、送風ファンを駆動するファンモータ21(図2を参照)とを備えている。
換気装置20は、外気を取り入れる外気取入れ口22に接続された外気取入れ配管23と、室内空気を室内空間10の外部に排気する排気口24に接続された排気配管25と、を備えている。
そして、ファンモータ21により送風ファンを駆動することにより、外気取入れ口22から外気取入れ配管23を介して外気を室内空間10に取り入れるとともに、室内空間10の室内空気を排気配管25を介して排気口24から外部に排気することができるように構成されている。
換気装置20は、ファンモータ21の回転量を制御することで、送風ファンによる換気風量を調整可能とされている。
【0013】
室内空間10には、空質センサ30が設置されている。空質センサ30は、室内空間10の空気質の状態を検出するセンサである。空質センサ30は、本実施の形態においては、CO2濃度を検出するセンサである。
室内空間10の外部には、外気の温度および湿度を検出する第1外気状態センサ31aおよび第2外気状態センサ31bが設けられている。
各外気状態センサ31a,31bは、各換気装置20の外気取入れ口22の近傍にそれぞれ設置されている。
【0014】
[1-1-2.制御構成]
次に、本実施の形態の換気システムの制御構成について説明する。
図2は、本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
換気システムは、制御手段としての制御装置40を備えている。
制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)などの制御プロセッサ41およびメモリ42を備えており、制御プロセッサ41は、メモリ42に格納された制御プログラムやデータに基づいて、換気装置20、空調室内機11の各部を制御する。
【0015】
制御装置40は、空質センサ30、各外気状態センサ31a,31bによる検出結果を入力する。
制御プロセッサ41は、空質センサ30、第1外気状態センサ31aおよび第2外気状態センサ31bによる検出結果に基づいて、各換気装置20の優先順位を決定する優先順位決定部43を備えている。
また、制御プロセッサ41は、優先順位決定部43により決定された優先順位に基づいて、換気装置20の風量を制御する風量制御部44を備えている。
【0016】
換気装置20は、風量制御部44からの制御信号に基づいて、ファンモータ21の回転量を制御する換気制御装置45を備えている。
換気制御装置45は、制御装置と同様に、CPUなどのプロセッサおよびメモリにより構成されている。
【0017】
[1-2.動作]
次に、換気システムの動作について説明する。
図3は、換気システムの動作を示すフローチャートである。
【0018】
制御プロセッサ41は、運転を開始すると、冷房運転か、暖房運転かを判断し(ST1)、冷房運転であると判断した場合(ST1:YES)、第1外気状態センサ31aによる外気温T1と、第2外気状態センサ31bによる外気温T2とを比較する(ST2)。
【0019】
制御プロセッサ41の優先順位決定部43は、第1外気状態センサ31aによる外気温が第2外気状態センサ31bによる外気温以下であると判断した場合(ST2:YES)、第1外気状態センサ31aに対応する換気装置20の優先順位を他方の換気装置20の優先順位より高く設定する(ST3)。
一方、制御プロセッサ41の優先順位決定部43は、第1外気状態センサ31aによる外気温が第2外気状態センサ31bによる外気温より高いと判断した場合(ST2:NO)、第2外気状態センサ31bに対応する換気装置20の優先順位を他方の換気装置20の優先順位より高く設定する(ST4)。
【0020】
また、制御プロセッサ41は、暖房運転であると判断した場合(ST1:NO)、第1外気状態センサ31aによる外気温T1と、第2外気状態センサ31bによる外気温T2とを比較する(ST5)。
【0021】
制御プロセッサ41の優先順位決定部43は、第1外気状態センサ31aによる外気温T1が第2外気状態センサ31bによる外気温T2以上であると判断した場合(ST5:YES)、第1外気状態センサ31aに対応する換気装置20の優先順位を他方の換気装置20の優先順位より高く設定する(ST6)。
一方、制御プロセッサ41の優先順位決定部43は、第1外気状態センサ31aによる外気温が第2外気状態センサ31bによる外気温より低いと判断した場合(ST5:NO)、第2外気状態センサ31bに対応する換気装置20の優先順位を他方の換気装置20の優先順位より高く設定する(ST7)。
【0022】
このように各換気装置20の優先順位を設定した後、制御プロセッサ41は、空質センサ30の検出値に基づいて、現在のCO2濃度C1とCO2濃度のしきい値Cthとを比較する(ST8)。現在のCO2濃度がCO2濃度のしきい値以下の場合には(ST8:YES)、各換気装置20をそれぞれ最低風量で駆動する(ST9)。
なお、空質センサ30は、換気装置20ごとに設けるようにしてもよい。
【0023】
また、制御プロセッサ41は、現在のCO2濃度C1がCO2濃度のしきい値Cthより高い場合には(ST8:NO)、現在の風量Q1を一方の換気装置20の風量E1と、他方の換気装置20の風量E2とを加えた風量に設定する(ST10)。
そして、現在の風量Q1、現在のCO2濃度C1およびCO2濃度の制御値C2に基づいて、次式により風量の制御値Q2を求める(ST11)。
Q2=Q1×C1/C2
【0024】
次に、制御プロセッサ41は、高優先換気装置20の定格風量と低優先換気装置20の最低風量とを加えた値が風量制御値Q2以下であるか否か判断する(ST12)。
制御プロセッサ41は、高優先換気装置20の定格風量と低優先換気装置20の最低風量とを加えた値が風量の制御値Q2以下であると判断した場合は(ST12:YES)、制御プロセッサ41は、高優先換気装置20の風量を風量制御値Q2から他の換気装置20の設定風量の合計を引いた風量に設定し、低優先換気装置20の風量を最低風量に設定する(ST13)。
制御プロセッサ41の風量制御部44は、設定された風量となるように、各換気装置20のファンモータ21を駆動制御する。
【0025】
一方、制御プロセッサ41は、高優先換気装置20の定格風量と低優先換気装置20の最低風量とを加えた値が風量の制御値Q2より大きいと判断した場合は(ST12:NO)、制御プロセッサ41は、高優先換気装置20の風量を定格風量に設定し、低優先換気装置20の風量を風量制御値Q2から他の換気装置20の設定風量の合計を引いた風量に設定する(ST14)。
制御プロセッサ41の風量制御部44は、設定された風量となるように、各換気装置20のファンモータ21を駆動制御する。
なお、高優先換気装置20または、低優先換気装置20の風量を風量の制御値Q2から他の換気装置20の設定風量の合計を引いた風量が、計算上0以下となる場合であっても、高優先換気装置20または低優先換気装置20の風量は、最低でも最低風量は確保するように制御される。
【0026】
なお、外気状態センサ31と換気装置20とを関連付ける第1のテーブルと、換気装置20の風量と消費電力とを関係付ける第2のテーブルと、をあらかじめ作成してメモリ42に格納するようにしてもよい。
この場合には、制御プロセッサ41は、第2のテーブルに格納された換気装置20の消費電力に基づいて、換気装置20の風量を制御するようにすればよい。
これにより、外気状態センサ31が換気装置20よりも少ない場合にも、換気装置20を選択することができ、外気状態センサ31が換気装置20よりも少ない場合に、より換気システムの消費電力を削減する効果を得ることができる。
【0027】
[1-3.効果等]
以上、説明したように、空調換気システムは、所定の室内空間10と、屋外の空気である外気を取り込み、室内空間10に所定の風量で給気する複数の換気装置20と、外気の状態を取得する第1外気状態センサ31aおよび第2外気状態センサ31b(外気状態センサ)と、室内空間10の空気の汚染度を計測する空質センサ30と、換気装置20の風量を制御する制御装置40(制御手段)と、を備えている。制御装置40は、空質センサ30から得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて換気装置20を運転し、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は第1外気状態センサ31aおよび第2外気状態センサ31bから得られた外気状態に基づいて複数の換気装置20の給気量を増加させる優先順位を決定し、優先順位に基づいて換気装置20の風量を制御する。
これにより、空質センサ30による室内空間10のCO2濃度に応じて、各換気装置20の優先順位を決定し、この優先順位に基づいて、換気装置20の風量を制御することで、室内空間10の空質の偏りを抑制しつつ、外気状態による換気装置20の選択と空質センサ30による風量の決定を行い、室内空調機の外気負荷を抑制することができる。そのため、外気負荷抑制により空調運転の消費電力を抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態においては、複数の換気装置20に対してそれぞれ外気状態センサ31が設けられている。
これにより、換気装置20ごとに個別に外気の状態を取得することができ、換気装置20の選択と風量制御を容易に行うことができる。そのため、より好適に空調消費電力を削減することができる。
【0029】
また、本実施の形態においては、複数の換気装置20に対して1つの外気状態センサ31が設けられている。
これにより、外気状態センサ31が換気装置20よりも少ない場合にも、換気装置20の選択ができる。そのため、センサ数の削減により低コストで換気システムを実現することができる。
【0030】
また、本実施の形態においては、外気状態センサ31と換気装置20とを関連付ける第1のテーブルと、換気装置20の風量と消費電力とを関係付ける第2のテーブルと、をさらに有し、制御装置40(制御手段)は、換気装置20の消費電力に基づいて風量を制御する。
これにより、外気状態センサ31が換気装置20よりも少ない場合にも、換気装置20を選択することができ、外気状態センサ31が換気装置20よりも少ない場合に、より換気システムの消費電力を削減する効果を得ることができる。
【0031】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する例示として、上記実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0032】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0033】
(技術1)所定の室内空間と、屋外の空気である外気を取り込み、前記室内空間に所定の風量で給気する複数の換気装置と、外気の状態を取得する外気状態センサと、前記室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサと、前記換気装置の風量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて前記換気装置を運転し、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は前記外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定し、前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御する、ことを特徴とする換気システム。
これによれば、空質センサによる室内空間のCO2濃度に応じて、各換気装置の優先順位を決定し、この優先順位に基づいて、換気装置の風量を制御することで、室内空間の空質の偏りを抑制しつつ、外気状態による換気装置の選択と空質センサによる風量の決定を行い、室内空調機の外気負荷を抑制することができる。そのため、外気負荷抑制により空調運転の消費電力を抑制することができる。
【0034】
(技術2)複数の前記換気装置に対してそれぞれ前記外気状態センサが設けられている、ことを特徴とする技術1に記載の換気システム。
これによれば、換気装置ごとに個別に外気の状態を取得することができ、換気装置の選択と風量制御を容易に行うことができる。そのため、より好適に空調消費電力を削減することができる。
【0035】
(技術3) 複数の前記換気装置に対して1つの前記外気状態センサが設けられている、ことを特徴とする技術1に記載の換気システム。
これによれば、外気状態センサが換気装置よりも少ない場合にも、換気装置の選択ができる。そのため、センサ数の削減により低コストで換気システムを実現することができる。
【0036】
(技術4)前記外気状態センサと前記換気装置とを関連付ける第1のテーブルと、前記換気装置の風量と消費電力とを関係付ける第2のテーブルと、をさらに有し、前記制御手段は、前記換気装置の消費電力に基づいて風量を制御する、ことを特徴とする技術3に記載の換気システム。
これによれば、外気状態センサが換気装置よりも少ない場合にも、換気装置を選択することができ、外気状態センサが換気装置よりも少ない場合に、より換気システムの消費電力を削減する効果を得ることができる。
【0037】
(技術5)所定の室内空間と、屋外の空気である外気を取り込み、前記室内空間に所定の風量で給気する複数の換気装置と、外気の状態を取得する外気状態センサと、前記室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサとを備え、制御手段により前記換気装置の風量を制御する換気システムの制御方法であって、前記制御手段により、前記空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて前記換気装置を運転し、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は前記外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定し、前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御する、ことを特徴とする換気システムの制御方法。
これによれば、空質センサによる室内空間のCO2濃度に応じて、各換気装置の優先順位を決定し、この優先順位に基づいて、換気装置の風量を制御することで、室内空間の空質の偏りを抑制しつつ、外気状態による換気装置の選択と空質センサによる風量の決定を行い、室内空調機の外気負荷を抑制することができる。そのため、外気負荷抑制により空調運転の消費電力を抑制することができる。
【0038】
(技術6)制御手段に、室内空間の空気の汚染度を計測する空質センサから得られた空気の汚染度が所定のしきい値より小さい場合はあらかじめ決定された初期風量にて換気装置を運転する処理と、空気の汚染度が所定のしきい値以上である場合は、外気の状態を取得する外気状態センサから得られた外気状態に基づいて複数の前記換気装置の給気量を増加させる優先順位を決定する処理と、前記優先順位に基づいて前記換気装置の風量を制御する処理と、を行わせる、ことを特徴とするプログラム。
これによれば、空質センサによる室内空間のCO2濃度に応じて、各換気装置の優先順位を決定し、この優先順位に基づいて、換気装置の風量を制御することで、室内空間の空質の偏りを抑制しつつ、外気状態による換気装置の選択と空質センサによる風量の決定を行い、室内空調機の外気負荷を抑制することができる。そのため、外気負荷抑制により空調運転の消費電力を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本開示に係る換気システム、換気システムの制御方法、およびプログラムは、室内空間の空質の偏りを抑制しつつ、外気状態による換気装置の選択と空質センサによる風量の決定を行い、室内空調機の外気負荷を抑制することができるため、外気負荷抑制により空調運転の消費電力を抑制することができる用途に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 室内空間
11 空調室内機
20 換気装置
21 ファンモータ
22 外気取入れ口
23 外気取入れ配管
24 排気口
25 排気配管
30 空質センサ
31a 第1外気状態センサ
31b 第2外気状態センサ
40 制御装置
41 制御プロセッサ
42 メモリ
43 優先順位決定部
44 風量制御部
45 換気制御装置
図1
図2
図3