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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122255
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】トイレシステム
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20240902BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A47K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029701
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木塚 里子
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
(72)【発明者】
【氏名】細谷 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】須賀 公平
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037EB00
2D038KA06
2D038KA21
(57)【要約】
【課題】排泄物に関する情報を適切に推定すること。
【解決手段】便器のボウル部に溜まっている封水より上方に配置され、所定のタイミングで複数の前記ボウル部の封水の画像情報を取得するセンサと、前記センサを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサで得られた複数の前記封水の画像情報から大便と推定される領域を抽出し、複数の前記封水の画像情報から抽出した前記大便と推定される領域の大きさの変化量を踏まえ、大便の量を推定する制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器のボウル部に溜まっている封水より上方に配置され、所定のタイミングで複数の前記ボウル部の封水の画像情報を取得するセンサと、
前記センサを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサで得られた複数の前記封水の画像情報から大便と推定される領域を抽出し、
複数の前記封水の画像情報から抽出した前記大便と推定される領域の大きさの変化量を踏まえ、大便の量を推定する
制御を実行する
ことを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記封水の画像情報である第一画像情報から抽出した前記大便と推定される第一領域の大きさより、前記第一画像情報より後に得られた前記封水の画像情報である第二画像情報から抽出した前記大便と推定される第二領域が大きかった場合、前記第二領域を基に、大便の量を推定する
制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記封水の画像情報である第一画像情報から抽出した前記大便と推定される第一領域の大きさより、前記第一画像情報より後に得られた前記封水の画像情報である第二画像情報から抽出した前記大便と推定される第二領域が大きかった場合、前記第一領域と、前記第一領域から前記第二領域の増加分を踏まえ、大便の量を推定する
制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第一領域の大きさより前記第二領域が小さかった場合、前記第一領域を用いて大便の量を推定する
制御を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第一領域の大きさより前記第二領域が大きかった場合でも、前記第二画像情報より後の所定時間内に得られた前記封水の画像情報である第三画像情報から抽出した前記大便と推定される第三領域が前記第二領域より小さかった場合、前記第一領域を用いて大便の量を推定する
制御を実行する
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載のトイレシステム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第一領域の大きさより前記第二領域が大きかった場合でも、前記第二画像情報より後の所定の回数以内に得られた前記封水の画像情報である第三画像情報から抽出した前記大便と推定される第三領域が前記第二領域より小さかった場合、前記第一領域を用いて大便の量を推定する
制御を実行する
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載のトイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、トイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器内に排泄された排泄物を検知可能な検知装置を備えた便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の便座装置に用いられる検知装置は、排泄物に対して赤外光を照射可能な発光部と、排泄物からの反射光を受光可能な受光部と、を有している。この検知装置によって検知された排泄物の情報から使用者の健康状態を推定することが可能である。また、検知装置は、使用者に自身の排泄物が検知されていることを意識させないように、便座内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-146244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排泄物を検知して排泄物に関する情報を精度よく推定する上で、改良の余地がある。
【0006】
開示の実施形態は、上述した課題を解決するものであり、排泄物に関する情報を精度よく推定するトイレシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係るトイレシステムは、便器のボウル部に溜まっている封水より上方に配置され、所定のタイミングで複数の前記ボウル部の封水の画像情報を取得するセンサと、前記センサを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサで得られた複数の前記封水の画像情報から大便と推定される領域を抽出し、複数の前記封水の画像情報から抽出した前記大便と推定される領域の大きさの変化量を踏まえ、大便の量を推定する制御を実行することを特徴としている。
実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、大便の大きさの変化に応じて、大便の量を推定するため、より精度よく大便の量を推定できる。
【0008】
実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、好ましくは、前記制御部は、前記封水の画像情報である第一画像情報から抽出した前記大便と推定される第一領域の大きさより、前記第一画像情報より後に得られた前記封水の画像情報である第二画像情報から抽出した前記大便と推定される第二領域が大きかった場合、前記第二領域を基に、大便の量を推定する制御を実行する。
実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、大便が大きいと思われる画像を使って大便の量を推定するため、大便を複数排泄した際や、大便が封水の排水トラップ内に入り込んでしまった際にも、適切に大便の量を推定できる。
【0009】
実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、好ましくは、前記制御部は、前記封水の画像情報である第一画像情報から抽出した前記大便と推定される第一領域の大きさより、前記第一画像情報より後に得られた前記封水の画像情報である第二画像情報から抽出した前記大便と推定される第二領域が大きかった場合、前記第一領域と、前記第一領域から前記第二領域の増加分を踏まえ、大便の量を推定する制御を実行する。
実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、大便の増加量を踏まえて大便の量を推定できるため、大便を複数排泄した際にも、適切に大便の量を推定できる。
【0010】
実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、前記制御部は、前記第一領域の大きさより前記第二領域が小さかった場合、前記第一領域を用いて大便の量を推定する制御を実行する。
実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、大便が封水の排水トラップ内に入り込んでしまった際にも、適切に大便の量を推定できる。
【0011】
実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、好ましくは、前記制御部は、前記第一領域の大きさより前記第二領域が大きかった場合でも、前記第二画像情報より後の所定時間内に得られた前記封水の画像情報である第三画像情報から抽出した前記大便と推定される第三領域が前記第二領域より小さかった場合、前記第一領域を用いて大便の量を推定する制御を実行する。
実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、人から排泄された落下中の大便の映り込みや排尿等による封水の水面の一時的な揺れによって、一時的に大便の大きさが大きく検知されてしまった際にも、誤った大便の量を推定してしまうことを抑制できる。
【0012】
本実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、好ましくは、前記制御部は、前記第一領域の大きさより前記第二領域が大きかった場合でも、前記第二画像情報より後の所定の回数以内に得られた前記封水の画像情報である第三画像情報から抽出した前記大便と推定される第三領域が前記第二領域より小さかった場合、前記第一領域を用いて大便の量を推定する制御を実行する。
実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、人から排泄された落下中の大便の写り込みや排尿等による封水の水面の一時的な揺れによって、一時的に大便の大きさが大きく検知されてしまった際にも、誤った大便の量を推定してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
実施形態の一態様によれば、排泄物に関する情報を精度よく推定するトイレシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す側断面図である。
図5図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、排泄物検知センサで撮影した画像データの一例を示す図である。
図8図8は、排泄物検知センサで撮影した画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するトイレシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、トイレシステム1が実行する使用者が排泄した排泄物に関する情報の算出に関する処理やその処理を行うための構成について説明するが、最初に前提となるトイレシステム1の各種構成を説明する。
【0016】
<1.トイレシステムの構成>
まず、実施形態に係るトイレシステムの構成について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、トイレシステム1は、便座装置2と、操作装置10とを備える。図1に示すように、トイレルームRには、床面Fに、便器7が設置される。なお、以下では、床面FからトイレルームRの空間内に臨む向きを上と記載する。
【0018】
便器7は、例えば、陶器製の大便器である。便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、トイレシステム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部9が設けられる。トイレルームRには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0019】
例えば、トイレルームRに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が使用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置10に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような使用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような使用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0020】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、便蓋4と、便座5と、洗浄ノズル6とを備える。便座装置2は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される。便座装置2は、洗浄ノズル6が洗浄水を噴射する前にボウル部8に進出するように便器7の上部に載置される。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0021】
図1に示すように、便座5は、中央に開口50を有する環状に形成され、リム部9に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。便座5は、使用者が着座する。便座5は、着座した使用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、図1に示すように、便蓋4及び便座5は、それぞれの一端部が本体部3に軸支され、本体部3の軸支部分を中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられる。なお、便蓋4は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋4を有しなくてもよい。
【0022】
洗浄ノズル6は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル6は、洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、使用者に向けて洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、局部洗浄用のノズルである。洗浄ノズル6は、電動モータなどの駆動源(図5中のノズルモータ61等)の駆動により、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル6は、図1に示すように、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進出した位置(「進出位置」ともいう)にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0023】
図1では、洗浄ノズル6が進出位置にある状態を示す。なお、洗浄ノズル6は、便器7(ボウル部8等)内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル6は、使用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器7内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル6は、便座装置2による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。
【0024】
操作装置10は、トイレルームR内に設けられる。操作装置10は、使用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置10は、使用者が便座5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。図1では、操作装置10は、便座5に着座した使用者から見て右側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置10は、便座5に着座した使用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置10は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0025】
操作装置10は、便座装置2と所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置10とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0026】
操作装置10は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面11)を介して使用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置10は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面11は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置10は、表示画面11により使用者の入力を受け付け、使用者への出力も行う。この際、操作装置10は、使用者が予め登録されたどのユーザなのかを特定する。のちに、制御部130は、そのユーザ情報と後に説明する排泄物に関する情報もしくは排泄物に関する情報によって得られた情報とを紐づけて、使用者の端末に送信する。この際、排泄物に関する情報を取得した日時情報を合わせて使用者の端末に送信しても良い。表示画面11は、各種情報を表示する表示装置である。
【0027】
操作装置10は、便座装置2により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、使用者による洗浄ノズル6への指示を受け付ける。操作装置10は、便座装置2に所定の音を出力させるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2の洗浄ノズル6(図1参照)を除菌水で殺菌する殺菌処理を行うためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄時の吐水の勢いを調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2が出力する音の音量を調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、トイレの利用に関する情報を操作装置10に表示したり音声出力したりする際の言語を選択するためのユーザの操作を受け付ける。
【0028】
例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面11に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置10は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0029】
トイレシステム1は、後述する各種の構成や処理により、使用者が排泄した排泄物に関する情報を算出する。トイレシステム1は、算出した情報を基に、使用者のスマートフォン等の端末装置に情報提供を行ってもよい。また、トイレシステム1は算出した情報を基に、トイレルームRの操作装置10(もしくは表示画面11)へ情報提供を行っても良い。
【0030】
<2.便座装置の構成>
次に、便座装置2の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図2は、便座装置2の蓋部110が閉じた状態(「閉鎖状態」ともいう)である場合を示す図である。また、図3は、便座装置2の蓋部110を除いた状態を示す図である。
【0031】
図2に示すように、蓋部110の閉鎖状態においては、排泄物検知センサ34は、蓋部110の裏に隠されている。蓋部110の閉鎖状態においては、排泄物検知センサ34の前方に蓋部110が位置する。このように、蓋部110は、閉鎖状態において排泄物検知センサ34の前方に位置する。
【0032】
また、図2では、洗浄ノズル6(図1参照)が本体カバー30内に収納される位置(「収納位置」ともいう)にある状態を示す。図2に示すように、洗浄ノズル6が収納位置にある場合、ノズル用蓋60は閉じられており、洗浄ノズル6は、ノズル用蓋60の裏に隠されている。洗浄ノズル6による洗浄が行われる場合、ノズル用蓋60が開放するとともに、本体カバー30の洗浄ノズル6用の開口から洗浄ノズル6が突出し、洗浄ノズル6は、進出状態に移行する。
【0033】
図3に示すように、蓋部110が除かれた場合、排泄物検知センサ(カメラ)34は、本体カバー30の開口31から露出する。例えば、蓋部110が開いた状態(「開放状態」ともいう)においては、図3に示すように、排泄物検知センサ34の前方に蓋部110が位置しない状態となる。これにより、蓋部110の開放状態においては、排泄物検知センサ34が露出する。蓋部110の開放状態において、排泄物検知センサ34は、便器7内の封水の揺れを検知可能となる。なお、便座装置2は、蓋部110を有しなくてもよい。この場合、便座装置2は、蓋部110及びアクチュエータ111を有さず、排泄物検知センサ34は、常時露出した状態であってもよい。
【0034】
ここで、図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す側断面図である。図4の例では、便器7のボウル部8中のハッチングが付された箇所に封水(水)が満たされていることを示し、図4中の封水面WSが封水の上表面を示す。
【0035】
図2図4では、便座装置2は、洗浄ノズル6に隣接する位置に排泄物検知センサ34を配置した構成を一例として示したが、排泄物検知センサ34は、洗浄ノズル6に隣接する位置に限らず、所望の検知が可能であれば、種々の位置に配置されてもよい。例えば、排泄物検知センサ34は、どのようなセンサが用いられるかに応じて、そのセンサの検知態様に応じた位置に配置される。図4では、排泄物検知センサ34が非接触式のセンサである場合の配置例を示すが、例えば、排泄物検知センサ34が接触式のセンサである場合、排泄物検知センサ34は、便座5のボウル部8内の封水に接触する位置に配置されてもよい。なお、排泄物検知センサ34に用いられるセンサの例については後述する。
【0036】
<3.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、便座装置2は、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、排泄物検知センサ34と、制御装置100と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6と、電磁弁71と、蓋部110と、アクチュエータ111とを備える。なお、図5では、図1で説明した便座装置2の構成の一部(本体部3や便座5や便器7等)についての図示を省略する。
【0037】
また、図5に示す便座装置2の構成は一例に過ぎず、便座装置2は、任意の構成が採用可能である。人体検知センサ32や着座検知センサ33や排泄物検知センサ34や制御装置100等は、任意の箇所に配置される。例えば、排泄物検知センサ34は、便座装置2の本体部3に設けられる。便座装置2は、通信装置(例えば、図6中の制御装置100の通信部101等)により、所定のネットワーク(インターネット等)を介して、有線または無線で操作装置10等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。
【0038】
人体検知センサ32は、人体を検知する機能を有する。例えば、人体検知センサ32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人体検知センサ32は、μ(マイクロ)波センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人体検知センサ32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人体検知センサ32は、トイレルームR(図1参照)内に入室した人(使用者など)を検知する。人体検知センサ32は、検知信号を制御装置100へ出力する。
【0039】
着座検知センサ33は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。着座検知センサ33は、使用者が便座5に着座したことを検知する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者による着座を検知可能である。着座検知センサ33は、使用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者の着座状態を検知する。
【0040】
例えば、着座検知センサ33は、荷重センサにより使用者が便座5に着座したことを検知する。例えば、着座検知センサ33は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(使用者)が便座5に着座する直前において便座5の付近に存在する人体や、便座5に着座した使用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、着座検知センサ33は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。着座検知センサ33は、着座検知信号を制御装置100へ出力する。
【0041】
排泄物検知センサ34は、ボウル部8内の封水を撮像するセンサである。排泄物検知センサ34は、ボウル部8内を検知可能であれば、任意の構成が採用可能である。排泄物検知センサ34は、非接触式のセンサであってもよい。例えば、図4では、排泄物検知センサ34が非接触式のセンサである場合を示す。この場合、排泄物検知センサ34は、カメラではなく、赤外センサや温度センサ(サーモカメラ)、超音波センサ等であってもよい。また、排泄物検知センサ34は、接触式のセンサであってもよい。この場合、排泄物検知センサ34は、フロートセンサ、圧力センサ等であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、排泄物検知センサ34は、ボウル部8内を検知可能であれば、どのようなセンサが用いられてもよい。より好ましくは、検知素子がアレイ状に配列されているセンサが望ましい。
【0042】
制御装置100は、各種構成や処理を制御する。制御装置100は、排尿時間や尿量の算出などの各種の情報処理を実行するコンピュータ(情報処理装置)である。制御装置100は、排泄物検知センサ34から取得した便器7内のボウル部8内の封水を撮像した画像データから、大便と思われる領域を判定する。
【0043】
また、制御装置100は、トイレシステム1の各種構成を制御する。制御装置100は、ノズルモータ61や電磁弁71やアクチュエータ111を制御する。制御装置100は、操作装置10から送信された信号に基づいて、ノズルモータ61や電磁弁71やアクチュエータ111を制御する。
【0044】
制御装置100は、操作装置10から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズルモータ61を制御する。制御装置100は、洗浄ノズル6を進退させるためにノズルモータ61を制御する。制御装置100は、電磁弁71の開閉を制御する。
【0045】
制御装置100は、蓋部110を開閉させるためにアクチュエータ111を制御する。制御装置100は、蓋部110を開放状態にするための制御情報をアクチュエータ111に送信する。制御装置100は、蓋部110を閉鎖状態にするための制御情報をアクチュエータ111に送信する。制御装置100は、使用者による便器7の使用前等、排泄物検知センサ34による検知が行われていない間等では、蓋部110を閉鎖状態に制御する。
【0046】
制御装置100は、有線により、ノズルモータ61や電磁弁71やアクチュエータ111に制御情報を送信する。なお、制御装置100は、無線により、ノズルモータ61や電磁弁71やアクチュエータ111に制御情報を送信してもよい。例えば、制御装置100は、便座装置2と別装置として構成される場合、無線により、ノズルモータ61や電磁弁71やアクチュエータ111の制御情報を便座装置2へ送信してもよい。この場合、便座装置2の制御装置が受信した制御情報を基にノズルモータ61や電磁弁71やアクチュエータ111を制御してもよい。
【0047】
制御装置100は、蓋部110の開閉動作を制御する。制御装置100は、人体検知センサ32または着座検知センサ33により検知された使用者による便器7の利用開始時に蓋部110を開放し、人体検知センサ32または着座検知センサ33により検知された使用者による便器7の利用終了時に蓋部110を閉鎖する。また、制御装置100は、着座検知センサ33により使用者の便座5への着座が検知された場合、蓋部110を開放し、着座検知センサ33により使用者の便座5からの離座が検知された場合、蓋部110を閉鎖する。例えば、制御装置100は、人体検知センサ32により使用者のトイレルームRへの入室が検知された場合、蓋部110を開放し、人体検知センサ32により使用者のトイレルームRからの退室が検知された場合、蓋部110を閉鎖する。
なお、人体検知センサ32や着座センサ33ではなく、ボウル部8内の照度(明るさ)を検知する照度センサを設け、照度センサで検知した照度が第一所定値以下であった場合に蓋部110を開放し、照度センサで検知した照度が第二所定値以下であった場合に蓋部110を閉鎖するものであってもよい。もしくは、人体検知センサ32で利用者のトイレ利用を検知した際に蓋部110を開放し、その際に照度センサによって検知した照度が所定値以下であった場合にボウル部8内に光を照射する光照射を実行するものであっても良い。このことにより、立小便についても検知することが可能となる。
【0048】
なお、上述した蓋部110の開閉は一例に過ぎず、制御装置100は、様々な情報を基に蓋部110の開閉制御を行ってもよい。制御装置100は、人体検知センサ32により使用者の便器7への接近が検知された場合、蓋部110を開放してもよい。例えば、制御装置100は、便器7から所定の範囲(50cm等)内に使用者の位置することが検知された場合、蓋部110を開放してもよい。また、制御装置100は、人体検知センサ32により使用者の便器7からの離隔が検知された場合、蓋部110を閉鎖する。例えば、制御装置100は、便器7から所定の範囲(50cm等)外に使用者の位置することが検知された場合、蓋部110を閉鎖する。
【0049】
制御装置100は、操作装置10に対する使用者による洗浄ノズル6を動作させるための指示に連動して蓋部110を閉鎖する。制御装置100は、洗浄ノズル6の動作に連動して蓋部110を閉鎖する。制御装置100は、洗浄ノズル6を制御する操作装置10に対する使用者の操作を起点に蓋部110を制御する。制御装置100は、洗浄ノズル6の動作(ボウル部8へのノズルの進出)を検知し、蓋部110を制御する。
【0050】
制御装置100は、便器7への載置時において蓋部110を上方向に開放するように制御する。制御装置100は、洗浄ノズル6の動作時に蓋部110を閉鎖状態にするように制御する。制御装置100は、便器7に配設された洗浄ノズル6の動作時に、蓋部110を閉鎖状態にするように制御する。
【0051】
また、制御装置100は、排泄物検知センサ34を制御してもよい。この場合、排泄物検知センサ34は、制御装置100による制御に応じて、検知を開始したり、検知を停止したりする。制御装置100は、排泄物検知センサ34による検知の開始や終了を制御するための制御情報を排泄物検知センサ34に送信する。例えば、制御装置100は、人体検知センサ32または着座検知センサ33により使用者による便器7の利用開始が検知された場合、排泄物検知センサ34に検知を開始させる制御情報を排泄物検知センサ34に送信する。例えば、制御装置100は、人体検知センサ32または着座検知センサ33により使用者による便器7の利用終了が検知された場合、排泄物検知センサ34に検知を終了させる制御情報を排泄物検知センサ34に送信する。
【0052】
また、制御装置100は、図1に示すような便蓋4や便座5を制御する。制御装置100は、操作装置10から送信された信号に基づいて、便蓋4や便座5を制御する。制御装置100は、操作装置10から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋4を制御する。制御装置100は、操作装置10から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座5を制御する。制御装置100は、有線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信する。なお、制御装置100は、無線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信してもよい。
【0053】
制御装置100は、人体検知センサ32による使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御装置100は、人体検知センサ32によるトイレルームRへの使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御装置100は、着座検知センサ33による使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御装置100は、着座検知センサ33による便座5への使用者の着座が検知されたか否かを判定する。
【0054】
電磁弁71は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁(バルブ)の機能を有する。電磁弁71は、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。電磁弁71は、制御装置100からの指示に応じて開閉の制御を実行する。
【0055】
ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を進退駆動する駆動源(モータ)である。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を本体部3の本体カバー30に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ61は、制御装置100からの指示に応じて洗浄ノズル6を進退させる制御を実行する。
【0056】
蓋部110は、排泄物検知センサ34の前方に位置することが可能であり、蓋として機能する。蓋部110は、排泄物検知センサ34が視認される可能性を低減し、使用者のプライバシに配慮した構成とするために、透明ではない素材で形成されることが好ましい。例えば、蓋部110は、着色により透明ではない状態に形成されてもよい。蓋部110は、透明ではない材料(塗料)が表面に塗布されてもよい。なお、蓋部110は、透明ではない構成に限らず、透明であってよい。蓋部110は、アクチュエータ111により開放状態と閉鎖状態とに遷移可能であり、排泄物検知センサ34の前方に位置したり、排泄物検知センサ34を露出させたりする。
【0057】
アクチュエータ111は、蓋部110を開放状態や閉鎖状態にする駆動源(モータ)である。アクチュエータ111は、制御装置100からの指示に応じて蓋部110を開放状態にしたり、閉鎖状態にしたりする制御を実行する。アクチュエータ111は、洗浄ノズル6の動作時に蓋部110を閉鎖状態にする。アクチュエータ111は、便器7に配設された洗浄ノズル6の動作時に、蓋部110を閉鎖状態にする。
【0058】
図5に示す構成では、便座装置2に、制御装置100等が含まれる構成を一例として示したが、制御装置100、人体検知センサ32、着座検知センサ33及び排泄物検知センサ34等は、便座装置2とは別装置として構成されてもよい。例えば、制御装置100は、便座装置2とは別装置で構成されてもよい。例えば、制御装置100は、サーバ装置であり、便座装置2から離間した位置に配置されてもよい。この場合、制御装置100は、便座装置2、人体検知センサ32、着座検知センサ33及び排泄物検知センサ34等の各装置と通信し、排泄物に関する情報の算出に必要な情報を各装置から受信する。また、この場合、便座装置2は、ノズルモータ61、電磁弁71及びアクチュエータ111等の便座装置2の各種構成を制御するための構成(制御回路等)を有してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、トイレシステム1は、所望の処理が可能であれば、任意の装置構成が採用可能である。
【0059】
<4.制御装置の機能構成>
以下、制御装置の機能構成について図6を参照して説明する。図6は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0060】
図6に示すように、制御装置100は、通信部101と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、制御装置100は、制御装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0061】
通信部101は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部101は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部101は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、操作装置10等の他の装置との間で情報の送受信を行う。なお、通信部101は、制御装置100とは別装置(通信装置)として構成され、便座装置2が有してもよい。
【0062】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、各種の情報処理のプログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【0063】
実施形態に係る記憶部120は、処理に必要な様々な情報を記憶する。記憶部120は、各種センサ等の他の装置から取得した各種情報を記憶する。例えば、記憶部120は、処理に用いる学習モデル(単に「モデル」ともいう)に関する情報を記憶する。例えば、記憶部120は、排尿時間の算出処理に用いるモデルを記憶する。例えば、記憶部120は、各種の情報処理で用いる様々な情報(例えば閾値に関する情報)を記憶する。
【0064】
図6に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって、制御装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る各種の情報処理のプログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0065】
図6に示すように、制御部130は、取得部131と、測定部132と、判定部133と、算出部134と、出力部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図6に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0066】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、他の装置から情報を受信する。取得部131は、各種のセンサが検知した情報(検知情報等、画像データ)を各種のセンサから受信する。取得部131は、人体検知センサ32、着座検知センサ33及び排泄物検知センサ34の各センサが検知した情報(検知情報等)を各センサから受信する。例えば、取得部131は、排泄物検知センサ34が検知した封水に関する画像を排泄物検知センサ34から受信する。取得部131は、処理に用いる情報を記憶部120から取得する。
【0067】
測定部132は、各種の測定を行う。測定部132は、記憶部120に記憶された情報を用いて、各種の測定を行う。測定部132は、取得部131によって取得した各画像データにおいて、大便と推定される領域を特定する。測定部132は、例えば、画像データにおいて、予め記憶部120に記憶された学習済データを用いて、大便と想定される色と同一又は類似した領域を、大便と推定される領域と特定する。大便以外の色をあらかじめ学習しておき、学習した以外の色の領域を大便の領域としてもよい。大便と大便以外の境界の特徴を学習しておき、大便と推定される領域を特定してもよい。大便と推定される領域を特定する工程を経てから、領域の大きさを算出してもよいし、AI(人工知能)によって大便と推定される領域の特定と、領域の大きさの算出を1つの工程で行ってもよい。
【0068】
判定部133は、判定処理を行う。判定部133は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて判定処理を行う。判定部133は、取得部131により取得された各種の情報および測定部132によって測定された情報を用いて判定処理を行う。判定部133は、排泄物検知センサ34の検知結果に基づいて、使用者の排泄物を判定する。
【0069】
判定部133は、複数の画像データから抽出した大便と推定される領域の大きさの変化量を踏まえ、大便の量を推定・判定する。
【0070】
判定部133は、任意の手法により揺れ判定を行ってもよい。例えば、判定部133は、信号レベル閾値超過または、AIにより判定を行ってもよい。判定部133は、周波数解析、画像処理、機械学習、Deep Learningなどにより判定を行ってもよい。
【0071】
算出部134は、算出処理を行う。算出部134は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて算出処理を行う。算出部134は、取得部131により取得された各種の情報を用いて排泄物に関する情報または健康に関する情報の算出処理を行う。算出部134は、判定部133による判定結果を基に、排泄物に関する情報または健康に関する情報の算出処理を行う。
【0072】
出力部135は、各種情報を出力する出力処理を実行する。出力部135は、各種情報を送信する送信部として機能する。出力部135は、外部の情報処理装置へ情報を送信することにより、出力処理を実行する。出力部135は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、出力部135は、管理者が利用するパソコン、スマートフォン等の管理者装置へ各種情報を送信する。また、出力部135は、操作装置10(もしくは表示画面11)へ情報を送信することにより、出力処理を実行しても良い。
【0073】
<5.処理の流れ>
図7は、排泄物検知センサで撮影した画像データの一例を示す図である。
排泄物検知センサ34は、所定の時間間隔(例えば10ミリ秒)で、画像を撮影し画像データを取得する。図7(A)は、得られた画像データの1例であり、封水に排泄物が無い状態の画像データである。その後に取得した図7(B)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域Xを取得した場合、判定部133は、この大便と推定される領域Xを基に、大便の量を推定・判定する。例えば、この領域Xの面積が第一所定値以上第二所定値未満であった場合、大便の量を「小」と判定する。例えば、この領域Xの面積が第二所定値以上第三所定値未満であった場合、大便の量を「中」と判定する。例えば、この領域Xの面積が第三所定値以上であった場合、大便の量を「大」と判定する。
【0074】
図7(B)の後に取得した、図7(C)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域は、領域Xのまま面積に変化が無かったもしくは所定値以下の変化量であった場合、判定部133は、大便の量を推定・判定を行わない。もしくは、判定部133は、領域Xの判定結果を継続したままとする。大便と推定される領域を算出せず、画像自体に変化が無かった、もしくは所定値以下の変化であった場合は、大便の量を推定・判定を行わなくてもよい。
【0075】
図7(C)の後に取得した、図7(D)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域が領域X+Yに変化した場合、判定部133は、この大便と推定される領域X+Yを基に、大便の量を推定・判定する。例えば、この領域X+Yの面積が第一所定値以上第二所定値未満であった場合、大便の量を「小」と判定する。例えば、この領域X+Yの面積が第二所定値以上第三所定値未満であった場合、大便の量を「中」と判定する。例えば、この領域X+Yの面積が第三所定値以上であった場合、大便の量を「大」と判定する。
【0076】
図7(D)の後に取得した、図7(E)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域は、領域X+Yのまま面積に変化が無かったもしくは所定値以下の変化量であった場合、判定部133は、大便の量を推定・判定を行わない。もしくは、判定部133は、領域X+Yの判定結果を継続したままとする。
【0077】
図7(E)の後に取得した、図7(F)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域が領域X+Y+Zに変化した場合、判定部133は、この大便と推定される領域X+Y+Zを基に、大便の量を推定・判定する。例えば、この領域X+Y+Zの面積が第一所定値以上第二所定値未満であった場合、大便の量を「小」と判定する。例えば、この領域X+Y+Zの面積が第二所定値以上第三所定値未満であった場合、大便の量を「中」と判定する。例えば、この領域X+Y+Zの面積が第三所定値以上であった場合、大便の量を「大」と判定する。
【0078】
図7(F)の後に取得した、図7(G)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域は、領域X+Y+Zのまま面積に変化が無かったもしくは所定値以下の変化量であった場合、判定部133は、大便の量を推定・判定を行わない。もしくは、判定部133は、領域X+Y+Zの判定結果を継続したままとする。
【0079】
図7(G)の後に取得した、図7(H)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域は、領域X+Y+Zのまま面積に変化が無かったもしくは所定値以下の変化量であった場合、判定部133は、大便の量を推定・判定を行わない。もしくは、判定部133は、領域X+Y+Zの判定結果を継続したままとする。
【0080】
図7の各種画像データによる測定・判定を終えた後、最終的に最後まで残った判定結果である大便と推定される領域X+Y+Zを基に実施した大便の量の推定・判定結果を、今回のトイレでの排泄の代表する大便量の推定・判定結果として、出力部135は、外部の情報処理装置へ結果を送信する。
【0081】
例えば、本発明は上述した測定・判定方法に限らず、例えば、前回の画像データにおける大便と推定される領域の増加分を踏まえ、大便の量を判定しても良い。例えば、図7(C)の後に取得した、図7(D)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域が領域X+Yに変化した場合、もともと判定していた大便と推定される領域Xの面積から、新たに大便と推定される領域Yの面積が増加したため、領域Yの面積の大きさから、大便の量を推定・判定する。例えば、領域Xを基に推定した大便の量が「小」であり、領域Yを基に推定した大便の量が「小」であった場合、図7(D)の画像データにおける大便の量は、「中」とする。例えば、領域Xを基に推定した大便の量が「小」であり、領域Yを基に推定した大便の量が「中」であった場合、図7(D)の画像データにおける大便の量は、「大」とする。
この際、もともと判定していた大便と推定される領域Xの面積から、大便と推定される領域の面積が減少したとした場合、もともと判定していた大便と推定される領域Xの面積からの大便の量の判定結果を継続する。例えば、領域Xを基に推定した大便の量が「中」であり、その後の画像データの変化により、大便と推定される領域の大きさが小さくなったことにより、大便の量が「小」となった場合、大便の量を「小」に変えずに「中」のまま継続して、記憶部120は記憶する。このことにより、大便が封水内のトラップに入り込んで画像に大便の一部または全部が映らなくなった場合でも、大便の量を少なく判定してしまうことを抑制できる。
【0082】
図8は、排泄物検知センサで撮影した画像データの一例を示す図である。
図8(A)は、得られた画像データの1例であり、封水に排泄物が無い状態の画像データである。その後に取得した図8(B)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域Xを取得した場合、判定部133は、この大便と推定される領域Xを基に、大便の量を推定・判定する。例えば、この領域Xの面積が第一所定値以上第二所定値未満であった場合、大便の量を「小」と判定する。例えば、この領域Xの面積が第二所定値以上第三所定値未満であった場合、大便の量を「中」と判定する。例えば、この領域Xの面積が第三所定値以上であった場合、大便の量を「大」と判定する。
【0083】
図8(B)の後に取得した、図8(C)の画像データにおいて、測定部132によって大便と推定される領域が領域Xから領域Y1に変化した場合でも、所定時間以内もしくは所定の撮影回数(画像データ)以内に、大便と推定される領域が領域Xに戻った際には、この大便と推定される領域Xを基に判定した大便の量を維持する。例えば、図8において、図8(C)や図8(G)において一時的に大便と推定される領域が領域Y1や領域X1に増減しているものの、所定時間以内もしくは所定の撮影回数(画像データ)以内に、大便と推定される領域が領域Xに戻ったため、判定部133は、領域Y1や領域X1に基づいた大便の量の推定・判定を実施しない。なお、大便と推定される領域が領域Xに戻らなくても、所定時間以内もしくは所定の撮影回数(画像データ)以内に、大便と推定される領域が小さくなれば、所定時間、もしくは所定回数内の一時的な大きな領域は、大便の量の推定・判定に用いない。
【0084】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0085】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 トイレシステム
2 便座装置
32 人体検知センサ
33 着座検知センサ
34 排泄物検知センサ(カメラ)
100 制御装置
101 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 取得部
132 測定部
133 判定部
134 算出部
135 出力部
R トイレルーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8