(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122268
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】エネルギー供給装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240902BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240902BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240902BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240902BHJP
B60L 53/35 20190101ALI20240902BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/02 F
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029718
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】519170058
【氏名又は名称】ユビ電株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513063730
【氏名又は名称】株式会社DESIGNANNEX
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】山口 典男
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰大
(72)【発明者】
【氏名】福井 琢也
(72)【発明者】
【氏名】内山 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 雅哲
(72)【発明者】
【氏名】深町 大樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE55
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】停止エリア上に停止される移動体の種類あるいは停止時の移動体の向きなどによって生じていた、利用者による供給部材の取り回し作業の困難性を緩和する。
【解決手段】停止エリア35上に停止した移動体30に供給部材25の接続部を接続して、前記供給部材を介してエネルギー供給を行うエネルギー供給装置20であって、前記停止エリアの近傍に配置される支柱部材24と、前記支柱部材に支持されている可動支持部材23と、を有し、前記可動支持部材は、前記接続部が、前記停止エリアに停止した移動体の前部、後部、右側部、左側部のうちの少なくとも3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って前記停止エリアの外側近傍の上方領域を移動するように、前記供給部材を移動可能に支持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止エリア上に停止した移動体に供給部材の接続部を接続して、該供給部材を介してエネルギー供給を行うエネルギー供給装置であって、
前記停止エリアの近傍に配置される支柱部材と、
前記支柱部材に支持されている可動支持部材と、を有し、
前記可動支持部材は、前記供給部材の接続部が、前記停止エリアに停止した移動体の前部、後部、右側部、左側部のうちの少なくとも3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って前記停止エリアの外側近傍の上方領域を移動するように、前記供給部材を移動可能に支持する、
を有することを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー供給装置において、
前記供給部材は、供給ケーブルであり、
前記可動支持部材は、
前記供給ケーブルの接続部側を懸垂状態で保持する懸垂保持部と、
前記懸垂保持部が前記停止エリアの外側近傍の上方領域を移動可能なように該懸垂保持部を支持する支持部と、
を備える、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエネルギー供給装置において、
前記可動支持部材は、前記接続部が前記停止エリアの上方領域へ移動しないように前記懸垂保持部の移動可能範囲を制限する、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載のエネルギー供給装置において、
前記懸垂保持部は、前記供給ケーブル又は前記接続部が地面に接しないように前記供給ケーブルを懸垂状態で保持する、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項5】
請求項2に記載のエネルギー供給装置において、
前記可動支持部材の前記支持部は、前記支柱部材に支持される固定部材で構成され、
前記懸垂保持部は、前記支持部に対して移動可能に支持されている、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載のエネルギー供給装置において、
前記可動支持部材の前記支持部は、
前記懸垂保持部を直線移動可能に支持する2つの直線支持部が互いに水平方向で対向するように配置され、
前記懸垂保持部材を円弧移動可能に支持する円弧支持部によって前記2つの直線支持部の一端が互いに連結された構成を備える、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項7】
請求項5に記載のエネルギー供給装置において、
前記支柱部材は、前記供給ケーブルにおける前記懸垂保持部よりも基端側のケーブル部分を収容する収容部を有する、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項8】
請求項2に記載のエネルギー供給装置において、
前記懸垂保持部は、前記可動支持部材の前記支持部に支持される固定部材で構成され、
前記可動支持部材の前記支持部は、前記支柱部材に対して移動可能に支持されている、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項9】
請求項1に記載のエネルギー供給装置において、
前記可動支持部材は、複数の関節部を備えるアーム部材を含み、該アーム部材の一端が前記支柱部材によって支持されている、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置において、
前記移動体は、バッテリーを搭載した車両であり、
前記移動体に供給されるエネルギーは、前記車両に搭載されたバッテリーの充電に用いられる電気エネルギーである、
ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置において、
前記支柱部材は、非エネルギー供給時に前記供給部材の接続部が取り付けられる取付部を有する、ことを特徴とするエネルギー供給装置。
【請求項12】
複数の停止エリア上にそれぞれ停止した複数の移動体に、エネルギー供給装置の供給部材の接続部を接続して、該供給部材を介してエネルギー供給を行うシステムであって、
前記エネルギー供給装置は、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置であり、
前記複数の停止エリアのうちの1つ又は複数の停止エリアに1つのエネルギー供給装置が配置されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
前記複数の停止エリアは、円弧又は円周に沿って配置され、
前記複数の停止エリアに対応する1又は2以上のエネルギー供給装置の支柱部材は、前記円弧又は前記円周の中心領域に配置される、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の充電等に用いられる電力等のエネルギーの供給を行うためのエネルギー供給装置、及び、前記エネルギー供給装置を備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、停止エリア上に停止した移動体に供給部材の接続部を接続して、供給部材を介してエネルギー供給を行うエネルギー供給装置が知られている。例えば、特許文献1には、敷地内に停止した電気自動車(移動体)に、当該敷地上に設置された充電操作装置から延びる充電用給電ケーブル(供給部材)の接続部を接続して、電気自動車の二次電池の充電(エネルギー供給)を行う充電装置(エネルギー供給装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエネルギー供給装置では、停止エリア上に停止される移動体の種類あるいは停止時の移動体の向きなどによっては、利用者による供給部材の取り回し作業が困難であり、利便性に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るエネルギー供給装置は、停止エリア上に停止した移動体に供給部材の接続部を接続して、該供給部材を介してエネルギー供給を行うエネルギー供給装置である。このエネルギー供給装置は、前記停止エリアの近傍に配置される支柱部材と、前記支柱部材に支持されている可動支持部材と、を有する。前記可動支持部材は、前記供給部材の接続部が、前記停止エリアに停止した移動体の前部、後部、右側部、左側部のうちの少なくとも3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って前記停止エリアの外側近傍の上方領域を移動するように、前記供給部材を移動可能に支持する。
【0006】
前記エネルギー供給装置において、前記供給部材は、供給ケーブルであってもよく、前記可動支持部材は、前記供給ケーブルの接続部側を懸垂状態で保持する懸垂保持部と、前記懸垂保持部が前記停止エリアの外側近傍の上方領域を移動可能なように該懸垂保持部を支持する支持部と、を備えてもよい。
【0007】
また、前記エネルギー供給装置において、前記可動支持部材は、前記接続部が前記停止エリアの上方領域へ移動しないように前記懸垂保持部の移動可能範囲を制限してもよい。
【0008】
また、前記エネルギー供給装置において、前記懸垂保持部は、前記接続部が地面に接しないように前記供給ケーブルを懸垂状態で保持してもよい。
【0009】
また、前記エネルギー供給装置において、前記可動支持部材の前記支持部は、前記支柱部材に支持される固定部材で構成されてもよく、前記懸垂保持部は、前記支持部に対して移動可能に支持されていてもよい。
【0010】
また、前記エネルギー供給装置において、前記可動支持部材の前記支持部は、前記懸垂保持部を直線移動可能に支持する2つの直線支持部が互いに水平方向で対向するように配置され、前記懸垂保持部材を円弧移動可能に支持する円弧支持部によって前記2つの直線支持部の一端が互いに連結された構成を備えてもよい。
【0011】
また、前記エネルギー供給装置において、前記支柱部材は、前記供給ケーブルにおける前記懸垂保持部よりも基端側のケーブル部分を収容する収容部を有してもよい。
【0012】
また、前記エネルギー供給装置において、前記懸垂保持部は、前記可動支持部材の前記支持部に支持される固定部材で構成されてもよく、前記可動支持部材の前記支持部は、前記支柱部材に対して移動可能に支持されていてもよい。
【0013】
また、前記エネルギー供給装置において、前記可動支持部材は、複数の関節部を備えるアーム部材を含んでもよく、該アーム部材の一端が前記支柱部材によって支持されていてもよい。
【0014】
また、前記エネルギー供給装置において、前記移動体は、バッテリーを搭載した車両であってもよく、前記移動体に供給されるエネルギーは、前記車両に搭載されたバッテリーの充電に用いられる電気エネルギーであってもよい。
【0015】
また、前記エネルギー供給装置において、前記支柱部材は、非エネルギー供給時に前記供給部材の接続部が取り付けられる取付部を有してもよい。
【0016】
本発明の他の態様に係るシステムは、複数の停止エリア上にそれぞれ停止した複数の移動体に、エネルギー供給装置の供給部材の接続部を接続して、該供給部材を介してエネルギー供給を行うシステムである。このシステムにおいて、前記エネルギー供給装置は、上述したエネルギー供給装置であり、前記複数の停止エリアのうちの1つ又は複数の停止エリアに1つのエネルギー供給装置が配置されている。
【0017】
前記システムにおいて、前記複数の停止エリアは、円弧又は円周に沿って配置されてもよく、前記複数の停止エリアに対応する1又は2以上のエネルギー供給装置の支柱部材は、前記円弧又は前記円周の中心領域に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、停止エリア上に停止される移動体の種類あるいは停止時の移動体の向きなどによって生じていた、利用者による供給部材の取り回し作業の困難性を緩和し、エネルギー供給装置の利便性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る充電サービス提供システムの概略構成の一例を示す説明図。
【
図2】同充電サービス提供システムの要部構成の一例を示す説明図。
【
図3】(a)~(c)はそれぞれ、同充電サービス提供システムを構成する各充電器の支柱部材に付されている画像の一例を示す説明図。
【
図4】同充電サービス提供システムを構成する充電管理サーバの主要な機能の構成の一例を示すブロック図。
【
図5】同充電サービス提供システムを構成する充電器を示す平面図。
【
図8】同充電サービス提供システムを構成する充電器の他の配置例を示す説明図。
【
図9】変形例1の充電器が配置される充電ステーションを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係るエネルギー供給装置は、停止エリア上に停止した移動体に供給部材の接続部を接続して、供給部材を介してエネルギー供給を行うエネルギー供給装置である。エネルギー供給装置は、例えば、エネルギー供給サービスにおいてエネルギー提供を行う提供者によって所有又は管理されるものである。供給されるエネルギーは、例えば、石油、天然ガス、石炭などの形態の一次エネルギーでもよいし、電気、水素、ガソリン、軽油、重油、都市ガス、アルコールなどの形態の二次エネルギーであってもよい。
【0021】
エネルギーが供給される供給対象は、例えば、外部から充電可能なバッテリー搭載のモータで駆動される電動の移動体(例えば、EV(Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の電動車両)である。移動体は、電動車両や燃料電池車両(例えば、FCV(Fuel Cell Vehicle))等の地上の移動体でもよいし、ドローンなどの空中の移動体、海などの水上を移動する船舶等の移動体であってもよい。移動体は、四輪以上の車両、三輪車(トライスクル)、二輪車(バイク、自転車)、トラック、バス、自家用車、事業用車両などの車両であってもよい。バッテリーは、利用者自身が所有するものであってもよいし、リース会社からリースされたものであってもよいし、利用者とは異なる事業者が所有するものであってもよい。
【0022】
なお、以下の実施形態では、一例として、移動体に供給されるエネルギーが電気エネルギーであり、そのエネルギーを供給するエネルギー供給装置が電気エネルギーを供給する充電器であり、エネルギーが供給される移動体が駆動用のバッテリーを搭載する電気自動車等の電動車両(EV)である場合について説明する。
【0023】
本実施形態のエネルギー供給装置は、停止エリアである駐車区画の近傍に配置される支柱部材と、この支柱部材に支持されている可動支持部材と、可動支持部材に支持されている供給ケーブル(供給部材)と、を有している。可動支持部材は、供給ケーブルの接続コネクタ(接続部)が、駐車区画に停止した車両の前部、後部、右側部、左側部のうちの少なくとも3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って当該駐車区画の外側近傍の上方領域を移動するように、供給ケーブルを移動可能に支持している。
【0024】
一般に、供給ケーブルの接続コネクタが接続される車両の被接続部は、車両の前部、後部、右側部、左側部のいずれかに配置されるが、どこに配置されるかは車種によって様々である。そのため、駐車区画に停止させた車両の被接続部に供給ケーブルの接続コネクタを接続させる際、利用者が供給ケーブルの取り回しに苦労することが多い。特に力の弱い利用者にとっては、相応の重さがある供給ケーブルを持ち運んで接続コネクタを車両の被接続部に接続させる作業には労力を要する。
【0025】
本実施形態のエネルギー供給装置であれば、支柱部材に支持された可動支持部材によって供給ケーブルが支持されているため、供給ケーブルの重量が可動支持部材によって支えられ、供給ケーブルの持ち運びが楽になる。
【0026】
一方、従来、給油ケーブル(供給部材)を介してガソリンや軽油などを車両へ供給する給油装置として、給油ケーブルが上方から懸垂されている懸垂式の給油装置が知られている。この懸垂式の給油装置であれば、給油ケーブルを懸垂する懸垂部によって給油ケーブルの重量が支えられるため、給油ケーブルの持ち運びが楽である。特に、供給対象となるほとんどの車両は、給油口(被接続部)が車両の右側部又は左側部のいずれかに限定されている。そのため、給油口の配置箇所(右側部又は左側部)と給油ケーブルの位置(駐車区画の側方片側)との位置関係が近くなるように車両の向き(前後の向き)を合わせて駐車区画に停止させれば、給油ケーブルの持ち運び距離が短くて済み、給油ケーブルの持ち運び(取り回し作業)が楽である。
【0027】
しかしながら、近年の移動体、特に電動車両や燃料電池車両などの移動体では、被接続部の配置箇所が、移動体の右側部又は左側部に限られず、移動体の前部であったり後部であったりする場合もある。そのため、供給ケーブルの位置が駐車区画の側方片側に固定されていると、移動体の前部や後部に被接続部が配置されている移動体については、駐車区画に停止させる車両の前後の向きをいずれの向きにしても、供給ケーブルの接続コネクタを被接続部に接続させるためには、駐車区画の側方から駐車区画の前方又は後方まで供給ケーブルを持ち運ぶ必要が生じる。
【0028】
本実施形態のエネルギー供給装置では、供給ケーブルの接続コネクタが駐車区画に停止した車両の前部、後部、右側部、左側部のうちの少なくとも3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って当該駐車区画の外側近傍の上方領域を移動するように、供給ケーブルが可動支持部材によって移動可能に支持されている。これによれば、車両の被接続部が車両の前部、後部、右側部、左側部のどの箇所に配置されていても、可動支持部材によって支持された状態の供給ケーブルを被接続部の配置箇所まで移動させることが可能となる。例えば、前記所定の移動ルート(接続コネクタの移動ルート)が駐車区画に停止した車両の前部、後部、右側部、左側部のうちのいずれか3箇所のみに対向する位置を通過するルートである場合でも、車両の向き(前後の向き)を合わせて駐車区画に停止させれば、車両の被接続部がどの箇所に配置されていても、供給ケーブルを被接続部の配置箇所まで移動させることが可能である。
【0029】
よって、本実施形態のエネルギー供給装置によれば、被接続部が車両の前部、後部、右側部、左側部のどの箇所に配置された移動体であっても、供給ケーブルの持ち運びが不要となり又は供給ケーブルの持ち運び距離を短くなり、供給ケーブルの取り回し作業が楽になる。
【0030】
以下、図面を参照して、本実施形態を更に説明する。
図1は、本実施形態に係る充電サービス提供システムの概略構成の一例を示す説明図である。
本実施形態の充電サービス提供システムは、複数の充電器20(1)~20(8)の供給ケーブルである充電ケーブル25から電力が供給される車両30の充電を行うシステム(充電システム)である。
【0031】
図1の例では、1つの充電ステーション(「充電サイト」又は「充電スタンド」ともいう。)において8個の充電器20(1)~20(8)の充電ケーブル25から8台の車両30に充電可能なシステムの例を示しているが、1つの充電ステーションにおける充電器20、充電ケーブル25及び車両30のそれぞれの数は2~7であってもよいし、又は、9以上であってもよい。
【0032】
1つの充電ステーションにおける8個の充電器20(1)~20(8)は、いずれも同じ充電方式に対応したものであってもよいし、互いに異なる充電方式に対応した充電器20が混在してもよい。例えば、互いに異なる複数の急速充電方式(チャデモ(CHAdeMO)、CCSなど)に対応した充電器が混在していてもよいし、急速充電方式と普通充電方式(商用200Vのコンセントを用いて充電する方式)にそれぞれ対応した充電器が混在していてもよい。互いに異なる複数の充電方式に対応した充電器を混在させる場合、各充電器20の充電方式の違いを利用者に示す標示(
図6の符号21b、
図11の符号41b、
図14の符号81bなどを参照。)を、各充電器20に付するのが好ましい。標示は、充電方式を示すマーク、色などであってもよい。
【0033】
本充電サービス提供システムは、充電ステーションごとに、充電制御システム100を有する充電HUB装置(以下「充電HUBユニット」ともいう。)10を備える。充電HUB装置10は、電力事業者の電力線から充電ステーションが配備されている施設内の配電設備へ引き込まれた一次側エネルギー供給経路(電力供給経路)としての一次側電力線11を、複数の二次側エネルギー供給経路(電力供給経路)としての複数の二次側電力線12(1)~12(8)に分岐する。一次側電力線11で供給される電力のうち一部の電力は複数の二次側電力線12に供給され、残りの電力は別の電力線13を介して施設の別の負荷に供給される。
【0034】
充電HUB装置10の充電制御システム100は、無線又は有線の通信回線を介して、移動通信網やインターネットなどの通信網60に設けられた管理装置としての充電管理サーバ70と通信することができる。なお、充電制御システム100は、充電管理サーバ70と直接通信してもよいし、充電HUB装置10を遠隔的に保守管理する保守管理サーバ75を介して充電管理サーバ70と通信してもよい。また、充電管理サーバ70の一部の処理は保守管理サーバ75で実行してもよいし、保守管理サーバ75の一部又は全部の処理は充電管理サーバ70で実行してもよい。
【0035】
充電HUB装置10に接続された複数の二次側電力線12(1)~12(8)の端部のそれぞれは、駐車場等における複数の駐車区画(駐車スペース)それぞれの近傍に配置された複数の充電器20(1)~20(8)に接続されている。複数の充電器20(1)~20(8)には、それぞれ、支柱部材24によって可動支持部材を介して支持されている充電ケーブル25が設けられている。充電ケーブル25の先端には接続部としての接続コネクタ25aが備わっており、充電の際には、充電ケーブル25の接続コネクタ25aを車両30の被接続部としての充電口30aに差し込んで接続する。
【0036】
充電制御システム100を有する充電HUB装置10と、二次側電力線12(1)~12(8)と、充電器20(1)~20(8)とによって、複数組(図示の例では8組)の充電回路が構成され、最大N台(図示の例では8台)までの車両30を同時に充電することができる。
【0037】
図2は、本実施形態に係る充電サービス提供システムの要部構成の一例を示す説明図である。
本実施形態における充電器20からの電力供給は、有線の充電ケーブル25を介して行われる。充電器20の充電ケーブル25から供給される電圧(電流)は、交流(例えば、AC200V、最大3~4kW/15~25a出力)であってもよいし、直流(例えば、DC50~500V、最大50kW、又は、DC50~800V、最大900kW)であってもよい。
【0038】
本充電サービス提供システムは、電力(電気エネルギー)利用を管理する管理装置としての充電管理サーバ70と、充電HUB装置10等の機器の制御及び保守を遠隔的に行う保守管理サーバ75とを備える。充電管理サーバ70及び保守管理サーバ75はそれぞれ、単体のコンピュータ装置で構成してもよいし、複数のコンピュータ装置を連携させるように構成してもよいし、ネットワーク上のクラウドシステムで構成してもよい。
【0039】
図3(a)~(c)はそれぞれ、各充電器20の支柱部材24に付されている画像の一例を示す説明図である。
図3(a)の例では、コード画像(例えば、QRコード(登録商標)の画像)21が付されている。コード画像21は、一次元コード画像でもよいし、二次元コード画像であってもよい。コード画像21は、例えば、充電器20、充電ケーブル25あるいは接続コネクタ25aに関する名前、識別番号、設置場所、設置主体などの情報が符号化された画像である。コード画像21は、利用者50又は設置主体などがシール部材21aに印刷して充電器20の支柱部材24の壁面(利用者50の目に留まる場所)に貼り付けてもよい。また、コード画像21は、支柱部材24ではなく、充電ケーブル25や接続コネクタ25aに付してもよいし、支柱部材24の壁面に設けられている表示手段としての操作パネル22に表示させてもよい。
【0040】
図3(b)の例では、利用者50又は設置主体などが任意に付けた識別補助画像としての文字(例えば手書き文字)の画像21'が付されている。また、
図3(c)の例では、利用者50又は設置主体などが任意に付けた識別補助画像としてのイラスト21''の画像が付されている。文字21'又はイラスト21''は、利用者50又は設置主体などがシール部材21aに描いて支柱部材24の壁面に貼り付けてもよい。また、文字21'又はイラスト21''は、支柱部材24ではなく、充電ケーブル25や接続コネクタ25aに付してもよいし、支柱部材24の壁面に設けられている操作パネル22に表示させてもよい。なお、識別補助画像は、文字及びイラストのほか、図柄やマークであってもよい。
【0041】
充電器20から供給される電力を利用しようとする利用者50の端末装置51は、移動通信網、インターネットなどの通信網60を介して充電管理サーバ70と通信することができる。端末装置51は、キー、ボタン、タッチパネルなどの操作部、液晶ディスプレイなどの表示部、充電器20の支柱部材24に付されたコード画像や識別補助画像などを撮像するカメラなどの撮像部などを備える。端末装置51は、利用者50が操作することにより、予め組み込まれた所定の電力利用のアプリケーション(例えば、充電サービス利用のアプリケーション)を起動して実行することができる。端末装置51は、自装置の現在位置の情報を取得するGNSS受信機などの現在位置取得部を備えてもよい。端末装置51は、例えば、第4世代又は第5世代以降の世代の移動通信網を介して通信可能な携帯電話やスマートフォンなどの移動局(「移動機」、「利用者装置(UE)」等ともいう。)であってもよい。
【0042】
車両30は、車載装置の外部通信部32により、通信網60を介して充電管理サーバ70と通信することができる。外部通信部32は、例えば、車載ネットワーク(CAN:Controller Area Network)にゲートウェイを介して接続された遠隔制御ユニット(TCU:テレマティック コントロール ユニット)であってもよい。遠隔制御ユニット(TCU)は、通信網60を介した通信機能のほか、無線LANやブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信機能を有してもよい。車載ネットワーク(CAN)には、遠隔制御ユニット(TCU)のほか、バッテリー31を管理するバッテリー管理システム(BMS)や、その他の各部の制御する一又は複数の電子制御ユニット(ECU)が接続されている。
【0043】
バッテリー31の充電に利用された電力に関する電力利用情報(例えば、バッテリー識別情報、電力量、充電開始時間、充電終了時間)は、例えば、バッテリー管理システム(BMS)から遠隔制御ユニット(TCU)を介して充電管理サーバ70に送信することができる。また、車両の識別情報や電力受容量(例えば、バッテリーの容量、受け入れ可能な電力)などの車両情報は、例えば、車両の基本情報を記憶したメモリを有する電子制御ユニット(ECU)から遠隔制御ユニット(TCU)を介して充電管理サーバ70に送信することができる。これらの情報の充電管理サーバ70への送信は、例えば、端末装置51で起動しているアプリケーションが生成した送信要求に基づいて実行される。端末装置51からの送信要求は、例えば無線LANやブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信を介して車両の遠隔制御ユニット(TCU)が受信してもよい。
【0044】
なお、充電管理サーバ70は、前述の電力利用情報、車両の識別情報、車両の電力受容量等の車両関連情報を、例えば車両のメーカーごと又は車種ごとに設けられた車両管理サーバから取得してもよい。
【0045】
図4は、本実施形態に係る充電管理サーバ70の主要な機能の構成の一例を示すブロック図である。
充電管理サーバ70は、充電管理システム700と端末通信部701と供給対象通信部702と認証処理部703と記憶部(DB:データベース)704と充電制御通信部705とを備える。充電管理システム700は、複数の充電ステーションのそれぞれにおける各充電器20の状態を管理する充電器状態管理部706と、複数の充電ステーションのそれぞれにおける各充電器20の制御を管理する充電器制御管理部707と、を含む。
【0046】
なお、端末通信部701、供給対象通信部702及び充電制御通信部705は、一体構成の通信装置(例えば移動通信モジュール)で構成してもよい。
【0047】
端末通信部701は、通信網60を介して、又は、他の公衆回線若しくは専用回線を介して、利用者50の端末装置51と通信する機能を有する。
【0048】
充電サービス管理の一例において、端末通信部701は、利用者50の端末装置51から、充電器20の支柱部材24に付されているコード画像(例えばQRコード(登録商標)の画像)21(
図3(a)参照)の読取データと、利用者50又は端末装置51の識別情報と、充電器20から電力が供給される供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とを受信する。コード画像21の読取データは、例えば、コード画像21を端末装置51のカメラで撮像した画像データでもよいし、その画像データを復号化して得られたデータであってもよい。
【0049】
また、充電サービス管理の別の例において、端末通信部701は、利用者50の端末装置51から、充電器20の支柱部材24に付されている識別補助画像21'又は21''(
図3(a)及び
図3(c)参照)の読取データと、端末装置51の位置情報と、利用者50又は端末装置51の識別情報と、充電器20から電力が供給される供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とを受信する。識別補助画像21'、21''の読取データは、例えば、識別補助画像21'、21''を端末装置51のカメラで撮像した画像データである。端末装置51の位置情報は、例えば、端末装置51のGNSS受信機で測位した端末装置51の位置情報(緯度、経度、高度)である。
【0050】
供給対象通信部702は、通信網60を介して、又は、他の公衆回線若しくは専用回線を介して、供給対象の車両30と通信する機能を有する。供給対象通信部702は、例えば、車両30から、供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と、充電器20から供給されて車両30で利用された電力利用情報としての充電情報(例えば、バッテリー識別情報、電力量、充電開始時間、充電終了時間)とを受信する。供給対象通信部702は、供給対象の識別情報や電力受容量などの車両関連情報及び充電情報を前述の車両管理サーバから受信してもよい。
【0051】
充電制御通信部705は、通信網60を介して、又は、他の公衆回線若しくは専用回線を介して、充電HUB装置10と通信する機能を有し、情報受信手段、情報生成手段及び情報送信手段として機能する。
【0052】
充電制御通信部705は、例えば、一次側電力線11のエネルギー供給状況である電力、電流若しくは電力量の計測結果の情報、及び、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のエネルギー供給状況である電力、電流若しくは電力量の計測結果の情報、又は、その両方の計測結果の情報を、充電HUB装置10の充電制御システム100から受信する。
【0053】
また、充電制御通信部705は、前記一次側若しくは二次側の計測結果の情報に基づいて、又は、前記一次側及び二次側の計測結果の情報に基づいて生成された、前記複数組の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれを個別に開閉するための制御情報を、充電HUB装置10の充電制御システム100に送信する。また、充電制御通信部705は、複数の充電器20(1)~20(8)を制御する制御情報を、充電制御システム100に送信する。
【0054】
充電制御システム100は、充電管理サーバ70から受信した制御情報に基づいて、複数の充電器20(1)~20(8)を介した車両30の充電を制御する。
【0055】
前記制御情報は、例えば、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれの電力、電流若しくは電力量の計測結果の情報に基づいて各駐車区画(駐車スペース)で充電されている状況を監視し、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれを介した複数の充電を時分割で分散実行するように制御する制御情報であってもよい。
【0056】
前記制御情報は、例えば、一次側電力線11のエネルギー供給状況である電力、電流若しくは電力量の計測結果が所定の閾値(例えば、目標デマンド値)を超えた場合又は前記計測結果が前記閾値を超えると予測される場合、前記8つの二次側電力線12(1)~12(8)の少なくとも1つを閉じるように制御する制御情報であってもよい。この制御情報に基づいて、充電HUB装置10は、複数の二次側電力線12(1)~12(8)の少なくとも1つを閉じるように制御することにより、一次側電力線11の全体の電力、電流及び電力量を低下させ、一次側電力線11を共用する駐車場、一戸建住宅、マンション等の共同住宅、オフィスビル、イベント会場、工場などの施設での予期せぬ電源断を回避することができる。
【0057】
認証処理部703は、利用者50又は端末装置51の識別情報と供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とに基づいて、電力を利用としている利用者の認証(利用者認証)と、供給対象(例えば車両30又はバッテリー31)の認証(供給対象認証)の少なくとも一方を行う。
【0058】
例えば、認証処理部703は、端末装置51から受信した利用者50の識別情報(利用者ID)と、充電管理サーバ70に予め登録されている利用者の識別情報(利用者ID)とを比較することにより、利用者50が所定の充電サービスに予め登録された正規の利用者であるかを確認する利用者認証を行ってもよい。この場合、正規の利用者のときは充電サービスの利用を許可し、正規の利用者でないときは充電サービスの利用を制限(例えば利用を不許可)にしてもよい。
【0059】
また、例えば、認証処理部703は、端末装置51から受信した供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と、車両30から受信した供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とを比較することにより、供給対象(例えば、車両30又はバッテリー31)が所定の電力利用管理サービスに予め登録された正規の供給対象であるかを確認する供給対象認証を行ってもよい。この場合、正規の供給対象のときは当該電力利用管理サービスの利用を許可し、正規の供給対象でないときは電力利用管理サービスの利用を制限(例えば利用を不許可)にしてもよい。なお、この認証においては、端末装置51又は車両30から受信した供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)を、充電管理サーバ70に予め登録されている供給対象の識別情報と比較して認証処理を行ってもよい。
【0060】
充電サービス管理の一例において、記憶部(DB)704は、コード画像の読取データに基づいて充電ケーブル25の識別情報及びその充電ケーブル25が接続されている充電HUB装置10の識別情報を特定し、充電器20の識別情報と充電HUB装置10の識別情報と利用者50又は端末装置51の識別情報と供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と電力利用情報とを互いに対応付けて記憶する。
【0061】
本実施形態において、充電管理サーバ70は課金処理部708を備えてもよい。課金処理部708は、充電ケーブル25を介した車両30による電力利用の利用料金について、利用者50、供給対象(車両30又はバッテリー31)及び端末装置51の少なくとも1つに対して課金する処理を行う。例えば、充電ケーブル25を介した車両30による電力利用の利用料金の全額又は一部を、利用者50に課金したり、端末装置51の利用料金に加算するように課金したりしてもよい。車両30やバッテリー31がレンタル会社からレンタルした場合やリース会社からリースされた場合は、充電ケーブル25を介した車両30による電力利用の利用料金の全額又は一部を、レンタル会社やリース会社に課金してもよい。
【0062】
次に、本実施形態における充電器20の構成について説明する。
図5は、本実施形態の充電器20を示す平面図である。
図6は、本実施形態の充電器20を示す正面図である。
図7は、本実施形態の充電器20を示す側面図である。
【0063】
本実施形態の充電器20は、停止エリアである駐車区画(駐車スペース)35の近傍に配置される支柱部材24と、支柱部材24に支持されていて充電ケーブル25を支持する可動支持部材23とを備えている。駐車区画35は、路面上に描かれている白線35aによって区画された領域(路面上の二次元領域)である。本実施形態において、駐車区画35を区画する白線35aは、
図5に示すように、主に、駐車区画35に停止される車両30の両側部に対向させる互いに平行な2本の直線白線部35a1と、2本の直線白線部35a1の各一端を互いに連結する半円状の曲線白線部35a2とから構成される。車両30は、曲線白線部35a2側に車両30の前部又は後部が対向するように、駐車区画35上に停止される。なお、
図5及び
図7に示される例は、曲線白線部35a2側に車両30の前部が対向するように車両30が駐車区画35上に停止された例である。
【0064】
充電器20の支柱部材24は、駐車区画35を区画する白線35aの曲線白線部35a2に近傍(駐車区画35の外方)であって、2本の直線白線部35a1の対向方向における略中央に位置するように配置されている。支柱部材24は、路面上から鉛直方向上方に真っすぐ延びる柱部24aと、柱部24aの上部から駐車区画35の上方領域(上空領域)に向けて略水平方向へ延びる水平部24bと、水平部24bの先端部から延出して可動支持部材23に連結される2つの連結部24cとを備えている。
【0065】
充電ケーブル25を支持する可動支持部材23は、
図5に示すように、駐車区画35の外縁の一部(白線35aにおける曲線白線部35a2と各直線白線部35a1の曲線白線部側の一部分)に沿うような外形形状をなしている。具体的には、可動支持部材23は、2つの直線支持部23aと、2つの直線支持部23aの各一端を互いに連結する半円状の円弧支持部23bとを備え、鉛直方向から見た時の形状がU字形状をなしている。可動支持部材23は、円弧支持部23bの中央部が水平部24bに固定され、2つの直線支持部23aの先端部が2つの連結部24cにそれぞれ固定されている。
【0066】
可動支持部材23において、2つの直線支持部23aと円弧支持部23bとに囲まれた領域には、適宜、屋根部28を設けてもよい。屋根部28は、例えば雨天時に充電する場合の雨除けとなり、利用者が雨で濡れたり、接続コネクタ25aが雨で濡れたりする事態を抑制することができる。また、屋根部28は、例えば晴天時における日よけとなるようにしてもよい。
【0067】
本実施形態の充電ケーブル25は、
図2に示すように、先端部に接続コネクタ25aが備わっており、基端部は支柱部材24の内部に設けられる電力制御部27に接続されている。支柱部材24の柱部24a及び水平部24bの内部には、収容部としての空洞部24eが存在し、充電ケーブル25の一部(基端側のケーブル部分)が緩んだ状態で空洞部24e内に収容される。また、可動支持部材23の内部にも空洞部23cが形成されている。支柱部材24の空洞部24eと可動支持部材23の空洞部23cとの間は、支柱部材24の水平部24bと可動支持部材23の円弧支持部23bとの固定箇所で連通している。
【0068】
可動支持部材23の円弧支持部23b及び2つの直線支持部23aの各下面には、支持部としてのレール部23dが形成されている。このレール部23dは、
図5に示すように、可動支持部材23の形状に沿ってU字形状をなすように、可動支持部材23の下面に形成されている。このレール部23dには、充電ケーブル25の先端側(接続コネクタ25a側)を懸垂状態で保持する懸垂保持部26がスライド可能に取り付けられている。これにより、例えば、利用者が懸垂状態の充電ケーブル25を把持して動かすことで、懸垂保持部26がレール部23dに沿ってスライドすることが可能となっている。
【0069】
充電を開始する前(非エネルギー供給時)において、充電ケーブル25の接続コネクタ25aは、通常、支柱部材24の柱部24aの壁面に設けられている取付部としてのコネクタ取付部24dに取り付けられる。これにより、充電を行っていない時(非エネルギー供給時)に、充電ケーブル25が懸垂保持部26からぶら下がった状態で放置されることによる問題(例えば、駐車区画35に車両30を停止させようとする時に充電ケーブル25が邪魔になる等)を回避できる。
【0070】
接続コネクタ25aが支柱部材24のコネクタ取付部24dに取り付けられるとき、充電ケーブル25の懸垂保持部26は、レール部23dのうちの柱部24aに最も近接した位置に配置される。この状態から利用者が車両30の充電を行う場合、接続コネクタ25aを把持してコネクタ取付部24dから取り外し、接続コネクタ25aを把持したまま車両30の充電口30aの箇所まで接続コネクタ25aを持ち運ぶ。
【0071】
このとき、接続コネクタ25aに連続している充電ケーブル25も一緒に持ち運ぶことになる。しかしながら、充電ケーブル25は可動支持部材23のレール部23dに取り付けられた懸垂保持部26によって懸垂状態で支持されているので、充電ケーブル25の重量が可動支持部材23の懸垂保持部26によって支えられ、充電ケーブル25の持ち運びは楽に行える。
【0072】
しかも、本実施形態では、充電ケーブル25を支持している懸垂保持部26は、レール部23dに沿って、駐車区画35の外縁に沿うようにして、駐車区画35の外側近傍の上方領域(上空領域)をスライド移動することができる。懸垂保持部26は、充電ケーブル25を鉛直方向真下に垂れ下げるように支持している。そのため、レール部23dに沿って懸垂保持部26がスライド移動するとき、充電ケーブル25の接続コネクタ25aは、駐車区画35上に停止している車両30の前部又は後部、並びに、右側部及び左側部の3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って移動することが可能である。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、利用者が接続コネクタ25a及び充電ケーブル25を車両30の充電口30aの箇所まで持ち運ぶ際、車両30の充電口30aが車両の前部、後部、右側部、左側部のどの箇所に配置されていても、車両30が前後の向きを合わせて駐車区画35に停止されていれば、充電ケーブル25が常にほぼ真上から支持された状態(懸垂状態)で、接続コネクタ25a及び充電ケーブル25を充電口30aの配置箇所まで持ち運ぶことができる。よって、利用者が接続コネクタ25a及び充電ケーブル25を車両30の充電口30aの箇所まで持ち運ぶ間、充電ケーブル25の重量は可動支持部材23の懸垂保持部26によって常に支えられた状態であり、充電ケーブル25の持ち運びが楽に行える。
【0074】
本実施形態では、上述したように、支柱部材24の空洞部24eと可動支持部材23の空洞部23cの内部に充電ケーブル25が緩んだ状態で収容されている。そして、利用者がレール部23dに沿って支柱部材24の柱部24aから遠ざかるように接続コネクタ25a及び充電ケーブル25を可動支持部材23の先端(U字形状の先端)に向けて持ち運ぶ場合、充電ケーブル25の緩みを使って充電ケーブル25を引き延ばしながら持ち運ぶことになる。そのため、利用者は、この持ち運びの際に、充電ケーブル25を引き延ばす力も必要となる。したがって、利用者の持ち運び作業を楽にするうえでは、利用者が充電ケーブル25を引き延ばす力を軽減するための手段を設けるのが好ましい。
【0075】
この手段としては、例えば、充電ケーブル25を引き延ばす際に充電ケーブル25あるいは懸垂保持部26が摺動する箇所の負荷を軽減する手段が挙げられる。この具体例としては、そのような箇所に滑車やローラなどの負荷軽減手段を設ける例が挙げられる。また、充電ケーブル25を引き延ばす際に充電ケーブル25あるいは懸垂保持部26の移動をアシストする駆動力を付与する駆動力付与手段を設ける例であってもよい。
【0076】
本実施形態において、可動支持部材23のレール部23dに取り付けられた懸垂保持部26は、接続コネクタ25aが地面(路面)に接しないように、充電ケーブル25を懸垂状態で保持している。具体的には、懸垂保持部26よりも先端側の充電ケーブル25の長さ(懸垂保持部26から接続コネクタ25aまでの長さ)は、地面(路面)からの懸垂保持部26の高さよりも短くなるように設定されている。そのため、懸垂保持部26から垂れ下がっている充電ケーブル25及び接続コネクタ25aから利用者が手を離していても、充電ケーブル25や接続コネクタ25aが地面(路面)に接触せず、充電ケーブル25や接続コネクタ25aが破損するような事態を抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態において、充電ケーブル25及び接続コネクタ25aを懸垂状態で保持する懸垂保持部26の移動可能範囲はレール部23dによって規制されている。そして、レール部23dは、駐車区画35の外側近傍の上方領域(上空領域)に形成されている。そのため、懸垂保持部26によって懸垂状態で支持されている充電ケーブル25の接続コネクタ25aの移動可能範囲は、駐車区画35の外側近傍の上方領域(上空領域)に制限され、駐車区画35の上方領域(上空領域)へ移動しないように制限されている。これにより、利用者が接続コネクタ25aあるいは充電ケーブル25から手を離して、充電ケーブル25及び接続コネクタ25aが垂れ下がった状態(懸垂状態)になっても、駐車区画35上に停止している車両30に充電ケーブル25や接続コネクタ25aが接触しない。よって、当該接触による不具合(車両30にキズが付いたり、充電ケーブル25や接続コネクタ25aが破損したりするような事態)を抑制することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、曲線白線部35a2側に車両30の前部が対向するように車両30が駐車区画35上に停止される場合において、可動支持部材23によって支持されている充電ケーブル25の移動ルートが、当該車両30の前部と両側部の前方部分の3箇所に対向する位置を通過する移動ルートとなるように構成されている。これに限らず、例えば、充電ケーブル25の移動ルートを、当該車両30の後部と両側部の後方部分の3箇所に対向する位置を通過する移動ルートとしたり、当該車両30の前部と後部と一側部の3箇所に対向する位置を通過する移動ルートとしたりする構成であってもよい。また、移動ルートの形状は、本実施形態ではU字形状となっているが、例えば一辺が開放された矩形状(コの字形状)など、他の形状であってもよい。
【0079】
また、例えば、充電ケーブル25の移動ルートを、当該車両30の前部、後部、両側部の4箇所すべてに対向する位置を通過する移動ルートとするように構成してもよい。この場合、移動ルートの形状は、例えば、長円形状、楕円形状、矩形状であってもよい。
【0080】
また、本実施形態のシステムでは、
図1に示したように、各車両30が停止される複数(
図1では8個)の駐車区画35が横並びに配置され、各駐車区画35にそれぞれ対応する複数の充電器20が横並びに配置された構成であるが、これに限られない。例えば、
図8に示すように、複数(
図8では6個)の駐車区画35を円弧又は円周に沿って配置して放射状になるように配置し、各駐車区画35にそれぞれ対応する複数の充電器20の支柱部材24が当該円弧又は円周の中心領域に配置された構成であってもよい。
図8のような配置によれば、複数の充電器20の支柱部材24を一か所に(狭い領域内に)集約して配置することができるので、複数の充電器20に接続される二次側電力線12や信号線等の敷設作業を簡素化することが可能となる。
【0081】
〔変形例1〕
次に、本実施形態における充電器20の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
上述した実施形態の充電器20は、支柱部材24に固定された固定部材である直線支持部23a及び円弧支持部23bのレール部23dに対し、懸垂保持部26が移動可能に支持されている構成であった。これに対し、本変形例1の充電器40は、懸垂保持部を支持する支持部が支柱部材に対して移動可能に支持され、懸垂保持部は当該支持部に固定された固定部材で構成されている例である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と重複することになる説明は適宜省略する。
【0082】
図9は、本変形例1の充電器20が配置される充電ステーションを示す斜視図である。
図10は、本変形例1の充電器40を示す平面図である。
図11は、本変形例1の充電器40を示す正面図である。
図12は、本変形例1の充電器40を示す側面図である。
本変形例1の充電器40の基本構成は、上述した実施形態の充電器20と同様であり、駐車区画35の近傍に配置される支柱部材44と、支柱部材44に支持されていて充電ケーブル45を支持する可動支持部材43とから構成されている。
【0083】
充電器40の支柱部材44は、路面上から鉛直方向上方に真っすぐ延びる柱部44aと、柱部44aの上部から駐車区画35の上方領域(上空領域)に向けて略水平方向へ延びる水平部44bとを備えている。本変形例1において、充電ケーブル45を支持する可動支持部材43は、
図10に示すように、水平方向に延びる長尺部材で構成され、可動支持部材43の基端側が支柱部材44の水平部44bの先端部に対し、
図10の矢印Bで示すように、軸部43aを介して水平面に沿って回動可能に支持されている。
【0084】
可動支持部材43の先端部には、充電ケーブル45の先端側(接続コネクタ45a側)を懸垂状態で保持する懸垂保持部46が固定されている。本変形例1では、例えば、利用者が懸垂状態の充電ケーブル45を把持して動かすことで、支柱部材44の水平部44bの先端部の軸部43aの回りを可動支持部材43が回動することが可能となっている。
【0085】
支柱部材44の柱部44a及び水平部44bの内部には、収容部としての空洞部44eが存在し、充電ケーブル45の一部(基端側のケーブル部分)が空洞部44e内に収容されている。また、可動支持部材43の内部にも空洞部43cが形成されている。支柱部材44の空洞部44eと可動支持部材43の空洞部43cとの間は、軸部43aを介して連通している。懸垂保持部46よりも基端側の充電ケーブル45は、これらの空洞部44e,43cを通じて、支柱部材44の内部に設けられる電力制御部47に接続されている。
【0086】
充電を開始する場合、利用者は、接続コネクタ45aを把持して支柱部材44のコネクタ取付部44dから取り外し、接続コネクタ45aを把持したまま車両30の充電口30aの箇所まで接続コネクタ45aを持ち運ぶ。このとき、接続コネクタ45aに連続している充電ケーブル45も一緒に持ち運ぶことになるが、上述した実施形態と同様、充電ケーブル45は懸垂保持部46によって懸垂状態で支持されているので、充電ケーブル45の持ち運びは楽に行える。
【0087】
また、本変形例1では、充電ケーブル45を支持している懸垂保持部46は、可動支持部材43の回動に伴って軸部43aの回りを回動する。ここで、本変形例1の軸部43aは、駐車区画35を区画する白線35aの曲線白線部35a2の曲率中心付近の上方(上空)に配置されており、可動支持部材43の長尺方向長さは曲線白線部35a2の曲率半径よりも長く設定されている。そのため、可動支持部材43の先端部に固定された懸垂保持部46は、可動支持部材43の回動に伴って、駐車区画35の曲線白線部35a2の外縁に沿うようにして、駐車区画35の外側近傍の上方領域(上空領域)を移動することができる。
【0088】
懸垂保持部46は、充電ケーブル45を鉛直方向真下に垂れ下げるように支持している。そのため、可動支持部材43の回動に伴って懸垂保持部46が移動するとき、充電ケーブル45の接続コネクタ45aは、駐車区画35上に停止している車両30の前部又は後部、並びに、右側部及び左側部の3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って移動することが可能である。
【0089】
したがって、本変形例1においても、上述した実施形態と同様に、利用者が接続コネクタ45a及び充電ケーブル45を車両30の充電口30aの箇所まで持ち運ぶ際、車両30の充電口30aが車両の前部、後部、右側部、左側部のどの箇所に配置されていても、車両30が前後の向きを合わせて駐車区画35に停止されていれば、充電ケーブル45が常にほぼ真上から支持された状態(懸垂状態)で、接続コネクタ45a及び充電ケーブル45を充電口30aの配置箇所まで持ち運ぶことができる。よって、利用者が接続コネクタ45a及び充電ケーブル45を車両30の充電口30aの箇所まで持ち運ぶ間、充電ケーブル45の重量は可動支持部材43の懸垂保持部46によって常に支えられた状態であり、充電ケーブル45の持ち運びが楽に行える。
【0090】
また、上述した実施形態の充電器20では、利用者が支柱部材24の柱部24aから遠ざかるように接続コネクタ25a及び充電ケーブル25を持ち運ぶ場合には、充電ケーブル25を引き延ばしながら持ち運ぶ必要があり、そのための力が必要とされた。これに対し、本変形例1の構成では、可動支持部材43の回動に伴って懸垂保持部46が移動する間、充電ケーブル45に必要な長さは変わらない。したがって、本変形例1によれば、利用者が接続コネクタ45a及び充電ケーブル45を持ち運ぶ場合、充電ケーブル45を引き延ばすための力が必要とされない。よって、充電ケーブル45の持ち運びはより楽なものとなる。また、利用者が充電ケーブル45を引き延ばす力を軽減するための手段を設ける必要もない。
【0091】
また、充電ケーブル45及び接続コネクタ45aを懸垂状態で保持する懸垂保持部46の移動可能範囲は、可動支持部材43の回動範囲内に規制される。そして、本変形例1において、可動支持部材43の回動範囲は、可動支持部材43が支柱部材の水平部44bと重なる位置を0°としたとき、±90°の範囲に制限されている。そのため、懸垂保持部46によって懸垂状態で支持されている充電ケーブル45の接続コネクタ45aの移動可能範囲は、駐車区画35の外側近傍の上方領域(上空領域)に制限され、駐車区画35の上方領域(上空領域)へ移動しないように制限される。
【0092】
したがって、利用者が接続コネクタ45aあるいは充電ケーブル45から手を離して、充電ケーブル45及び接続コネクタ45aが垂れ下がった状態(懸垂状態)になっても、駐車区画35上に停止している車両30に充電ケーブル45や接続コネクタ45aが接触しない。よって、当該接触による不具合(車両30にキズが付いたり、充電ケーブル45や接続コネクタ45aが破損したりするような事態)を抑制することができる。
【0093】
なお、可動支持部材43の回動範囲は、180°の範囲(±90°の範囲)に限らず、この範囲よりも狭くてもよいし、広くてもよい。また、本実施形態の可動支持部材43は、1つの回動部材で構成されている例であるが、2つ以上の回動部材を連結した構成としてもよい。例えば、支柱部材44の水平部44bの先端部に第一の可動支持部材の基端部を回動可能に支持し、第一の可動支持部材の先端部に第二の可動支持部材の基端部を回動可能に支持し、第二の可動支持部材の先端部に懸垂保持部46を固定するといった構成であってもよい。このような構成によれば、懸垂保持部46の移動可能範囲の自由度が広がり、利用者の利便性向上に役立つこともできる。
【0094】
〔変形例2〕
次に、本実施形態における充電器20の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
上述した実施形態の充電器20や変形例1の充電器40における可動支持部材23,43は、充電ケーブル25,45を懸垂状態で保持する懸垂保持部26,46が駐車区画35の外側近傍の上方領域を移動可能なように支持する構成であった。これに対し、本変形例2の充電器80における可動支持部材は、複数の関節部を備えるアーム部材を含む構成である。なお、以下の説明では、上述した実施形態や変形例1と重複することになる説明は適宜省略する。
【0095】
図13は、本変形例2の充電器80を示す平面図である。
図14は、本変形例2の充電器80を示す正面図である。
図15は、本変形例2の充電器80を示す側面図である。
本変形例2の充電器80の基本構成は、上述した変形例1の充電器40と同様であり、駐車区画35の近傍に配置される支柱部材84と、支柱部材84に支持されていて充電ケーブル85を支持する可動支持部材83とから構成されている。
【0096】
充電器80の支柱部材84は、路面上から鉛直方向上方に真っすぐ延びる柱部84aと、柱部84aの上部から駐車区画35の上方領域(上空領域)に向けて略水平方向へ延びる水平部84bとを備えている。本変形例2において、充電ケーブル85を支持する可動支持部材83は、3つのリンク部83A,83B,83Cと3つの関節部83D,83E,83Fを備える6軸アームで構成されている。
【0097】
具体的には、可動支持部材43は、支柱部材44の水平部44bの先端部と第一リンク部83Aの基端部とが第一関節部83Dによって連結され、第一リンク部83Aの先端部と第二リンク部83Bの基端部とが第二関節部83Eによって連結され、第二リンク部83Bの先端部と第三リンク部83Cの基端部とが第三関節部83Fによって連結されている。第一関節部83Dは、支柱部材44の水平部44bに対し、第一リンク部83Aにおける鉛直軸回りの回転運動B1と水平軸回りの回転運動B2とを可能にする。第二関節部83Eは、第一リンク部83Aに対し、第二リンク部83Bにおける第一リンク部83Aの長手方向に対して直交する第一軸回りの回転運動B3と第一リンク部83Aの長手方向と第一軸の両方に対して直交する第二軸回りの回転運動B4とを可能にする。第三関節部83Fは、第二リンク部83Bに対し、第三リンク部83Cにおける第二リンク部83Bの長手方向に対して直交する第三軸回りの回転運動B5と第二リンク部83Bの長手方向と第三軸の両方に対して直交する第四軸回りの回転運動B6とを可能にする。
【0098】
支柱部材84の柱部84a及び水平部84bの内部には、収容部としての空洞部84eが存在し、充電ケーブル85の一部(基端側のケーブル部分)が空洞部84e内に収容されている。また、可動支持部材83の内部(6軸アームの内部)にも空洞部83cが形成されている。支柱部材84の空洞部84eと可動支持部材83の空洞部83cとの間は、第一関節部83Dの内部を介して連通している。充電ケーブル45は、
図15に示すように、可動支持部材83の空洞部83cを通って第二リンク部83Bの先端付近から外部へ延出し、充電ケーブル85の先端に設けられる接続コネクタ85aが第三リンク部83Cに保持されている。
【0099】
本変形例2では、例えば、利用者が接続コネクタ85a(又は可動支持部材83の第三リンク部83C)を把持して動かすことで、6軸アームからなる可動支持部材83に支持された状態の充電ケーブル85及び接続コネクタ85aを高い自由度で動かすことができる。なお、本変形例2の関節部83D,83E,83Fは、利用者等による外力が加えられなければ、各リンク部83A,83B,83Cの回動位置を維持する構成となっている。したがって、利用者が接続コネクタ85aから手を放しても、充電ケーブル85や接続コネクタ85aの位置は維持される。
【0100】
充電を開始する場合、利用者は、接続コネクタ85aを把持して支柱部材84のコネクタ取付部84dから取り外し、接続コネクタ85aを把持したまま車両30の充電口30aの箇所まで接続コネクタ85aを持ち運ぶ。このとき、接続コネクタ85aに連続している充電ケーブル85も一緒に持ち運ぶことになるが、本変形例2では、充電ケーブル45だけでなく、接続コネクタ85aも、6軸アームからなる可動支持部材83に常時支持された状態であるため、充電ケーブル85及び接続コネクタ85aの持ち運びを楽に行える。
【0101】
また、本変形例2における可動支持部材83による接続コネクタ85aは、可動支持部材43の6軸アームの動きによって、駐車区画35の外側近傍の上方領域(上空領域)を移動することができる。これにより、接続コネクタ85aは、駐車区画35上に停止している車両30の前部、後部、右側部及び左側部の4箇所(すなわち車両30の全周囲)に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って移動することが可能である。
【0102】
したがって、本変形例2においては、利用者が接続コネクタ85a及び充電ケーブル85を車両30の充電口30aの箇所まで持ち運ぶ際、車両30の充電口30aが車両の前部、後部、右側部、左側部のどの箇所に配置されていても、かつ、車両30が前後どちらの向きで駐車区画35に停止されていても、充電ケーブル85及び接続コネクタ85aが可動支持部材83によって支持された状態で、接続コネクタ85a及び充電ケーブル85を充電口30aの配置箇所まで持ち運ぶことができる。利用者が接続コネクタ85a及び充電ケーブル85を車両30の充電口30aの箇所まで持ち運ぶ間、充電ケーブル85及び接続コネクタ85aの重量は可動支持部材83によって常に支えられた状態であり、充電ケーブル85及び接続コネクタ85aの持ち運びが楽に行える。
【0103】
また、本変形例2の充電器80も、上述した変形例1と同様、利用者が接続コネクタ85a及び充電ケーブル85を持ち運ぶ場合、充電ケーブル85を引き延ばすための力が必要とされない。よって、充電ケーブル85の持ち運びはより楽なものとなる。また、利用者が充電ケーブル85を引き延ばす力を軽減するための手段を設ける必要もない。
【0104】
なお、本実施形態(上述した変形例を含む。以下同じ。)では、急速充電方式(チャデモ(CHAdeMO)、CCSなど)に対応した充電器の例で説明したが、普通充電方式の充電器であってもよい。普通充電方式の充電器の場合、例えば、充電器の充電ケーブルの接続部を汎用コンセント(商用200Vのコンセント)とし、この汎用コンセントに車両30に付属の充電用ケーブルのプラグ(被接続部)を差し込んで接続する。
【0105】
また、本実施形態では、1つの充電器が1つの充電方式に対応したものである例について説明したが、1つの充電器が2つ以上の充電方式に対応したものであってもよい。この場合、例えば、1つの充電ケーブルの先端側(懸垂状態の充電ケーブルの先端側)を分岐させて2つ以上の充電方式にそれぞれ対応した2以上の接続コネクタを設ける構成が挙げられる。また、2つ以上の充電方式にそれぞれ対応した2以上の充電ケーブルの接続コネクタ(接続部)が、個別に、駐車区画35に停止した車両の前部、後部、右側部、左側部のうちの少なくとも3箇所に対向する位置を通過する所定の移動ルートに沿って駐車区画の外側近傍の上方領域を移動するように、当該2以上の充電ケーブルを移動可能に支持する構成としてもよい。
【0106】
また、本実施形態では、1つの充電器が1つの駐車区画に対応したものである例について説明したが、1つの充電器が2以上の駐車区画に対応したものであってもよい。
【0107】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにサーバ(情報処理装置)、充電器、管理システム、制御システム、端末装置、車両の車載装置などの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0108】
ハードウェア実装については、実体(例えば、コンピュータ装置、サーバ、端末装置(利用者装置、移動局、通信端末)、充電器、車両の車載装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0109】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0110】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0111】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0112】
10 :充電HUB装置
11 :一次側電力線
12 :二次側電力線
13 :電力線
20,40,80:充電器
21 :コード画像
22 :操作パネル
23,43,83:可動支持部材
23a :直線支持部
23b :円弧支持部
23c,43c,83c:空洞部
23d :レール部
24,44,84:支柱部材
24a,44a,84a:柱部
24b,44b,84b:水平部
24c :連結部
24d,44d,84d:コネクタ取付部
24e,44e,84e:空洞部
25,45,85:充電ケーブル
25a,45a,85a:接続コネクタ
26,46:懸垂保持部
27,47:電力制御部
28 :屋根部
30 :車両
30a :充電口
31 :バッテリー
32 :外部通信部
35 :駐車区画
35a :白線
35a1 :直線白線部
35a2 :曲線白線部
43a :軸部
50 :利用者
51 :端末装置
60 :通信網
70 :充電管理サーバ
75 :保守管理サーバ
83A :第一リンク部
83B :第二リンク部
83C :第三リンク部
83D :第一関節部
83E :第二関節部
83F :第三関節部
100 :充電制御システム
700 :充電管理システム
701 :端末通信部
702 :供給対象通信部
703 :認証処理部
705 :充電制御通信部
706 :充電器状態管理部
707 :充電器制御管理部
708 :課金処理部