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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122277
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ダクトカバー及びレンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029729
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 弘基
(72)【発明者】
【氏名】山岸 智和
(72)【発明者】
【氏名】入月 和貴
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BH10
3L058BJ01
3L058BJ04
3L058BJ06
(57)【要約】
【課題】不陸に対応したダクトカバーの提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、フード部より上側の少なくとも一部覆うダクトカバーであって、構造部材とカバー部材を備え、前記構造部材は、骨組みとなる、辺を構成するものであり、2つの前記構造部材は接合さることで、角部を構成しており、複数ある前記角部の内の少なくとも一つの角部は、調節部を備え、前記調節部は、角度を調節可能にする角度調節部および/または前記骨組みの辺の長さ調節可能にする長さ調節部であり、前記カバー部材は、前記構造部材に直接または間接的に取り付けられており、前記辺で囲まれる面を覆っていることを特徴とするダクトカバーとすることで課題を解決した。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フード部より上側の少なくとも一部覆うダクトカバーであって、
構造部材とカバー部材を備え、
前記構造部材は、骨組みとなる、辺を構成するものであり、
2つの前記構造部材は接合されることで、角部を構成しており、
複数ある前記角部の内の少なくとも一つの前記角部を調節する調節部を備え、
前記調節部は、角度を調節可能にする角度調節部および/または前記骨組みの辺の長さ調節可能にする長さ調節部であり、
前記カバー部材は、前記構造部材に直接または間接的に取り付けられており、前記辺で囲まれる面を覆っていることを特徴とするダクトカバー。
【請求項2】
前記カバー部材で覆われている面は、前記カバー部材で覆われていない一部領域を有することを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項3】
前記ダクトカバーは、壁に面して設置されるものであり、
前記構造部材は、第1構造部材と第2構造部材を少なくとも含み、
前記壁に面する前記第1構造部材は、前記壁側を一端とし前記壁から離れる方向に延びる前記第2構造部材と接合され前記角部を形成するものであり、前記角部は、前記調節部を備えている請求項1記載のダクトカバー。
【請求項4】
前記調節部は、一方の前記構造部材に設けられた孔と他方の前記構造部材を、一方と他方の前記構造部材の角度を変えて連結することで前記角部の角度が調節できる前記角度調節部であることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項5】
前記調節部は、少なくとも一方の前記構造部材に設けられた孔が長孔であり、他方の前記構造部材と前記長孔を介して締結されることで辺の長さと前記角部の角度が調節できる多機能調節部となっていることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項6】
前記角部は、調節できる範囲が異なっている複数の前記調節部を備えていることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項7】
前記角部は、変形調節、長さの調節及び角度の調節のうち少なくとも2つの調節ができる多機能調節部を備えている請求項1記載のダクトカバー。
【請求項8】
前記角部は、調節機能を有さない固定部を備えていることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項9】
前記角部は、前記調節部と調節機能を有さない固定部を備え、前記調節部と前記固定部を選択できることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項10】
前記ダクトカバーは、壁に面して設置されるものであり、前記壁側を一端側とし前記壁から離れる方向に延びる前記構造部材である第2構造部材があり、前記第2構造部材の他端側に前記調節部が設けられた前記角部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項11】
前記ダクトカバーは、壁に面して設置されるものであり、
前記構造部材は、第2構造部材と第3構造部材を少なくとも含み、
前記第2構造部材は、前記壁側を一端とし前記壁から離れる方向に延びるものであり、
前記第3構造部材は、前記第2構造部材と接合する面部を備え、接合することで角部を作るものであり、
前記第3構造部材の前記面部は、変形することで前記第2構造部材と前記第3構造部材を接合した前記角部の角度または前記辺の長さを調節できる変形調節部となっていることを特徴とする請求項1記載のダクトカバー。
【請求項12】
前記変形調節部は、薄板であり、薄板が変形する請求項11記載のダクトカバー。
【請求項13】
前記壁側を一端とし前記壁から離れる方向に延びる前記第2構造部材は、前記カバー部材である側面カバー部材で覆われており、前記側面カバー部材は、前記変形調節部が変形して動いた前記面部の少なくとも一部を覆う請求項11記載のダクトカバー。
【請求項14】
さらに、前記第2構造部材の他端側に設けられた前記カバー部材である第2カバー部材があり、前記第2カバー部材は、前記第3構造部材と一体となっていることを特徴とした請求項11に記載のダクトカバー。
【請求項15】
前記ダクトカバーは少なくとも2つの小ダクトカバーに分割できる組み立てるダクトカバーであり、少なくとも一つの前記小ダクトカバーが請求項1記載のダクトカバーとなっているダクトカバー。
【請求項16】
請求項1~請求項15の記載のいずれか1項のダクトカバーを備えたレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードやレンジフードなどにダクトを覆うダクトカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レンジフードなどには、室内の空気を室外に排気するためのダクトが設けられている(特許文献1)。ダクトは、レンジフードを設ける部屋に合わせて向きや位置が変わるため、現場施工となる。例えば、レンジフード正面からみて奥にある壁が室外と室内を隔てている壁の場合、奥にある壁に穴が開設され、レンジフードから排気される油煙を含む空気を外界に排気する。室外と室内を隔てる壁は、レンジフーの配置によって変わり、レンジフード正面からみて、右側の壁になる場合もあるし、左側の壁になる場合もある。
レンジフードを設置する作業者は、顧客の希望に応じ、レンジフードの設置位置を決め、ダクトを設置する。
【0003】
ダクトは、室内の美観を損なうことがあるため、ダクトを覆うカバーを設置することが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-16842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
普通の家屋のキッチンは、壁が垂直に、天井が水平に正確に施工されている。しかしながら、古い家屋のキッチンをリフォームしたような場合、壁や天井に不陸が生じることがあった。不陸(ふろく・ふりく)とは、水平でないことを一般的に表す建築用語である。面が水平や垂直ではなく変形している場合や凹凸がある場合にも不陸という。
このような不陸がダクトカバーの設置個所にあると、ダクトカバーと壁との間に隙間が生じて意匠的な美観が損なわれることがあった。また、不陸の程度が大きいと、ダクトカバーを壁に設置できないこともあった。
本発明は、不陸に対応したダクトカバーの提供を課題とし、また、不陸に対応したダクトカバーを備えたレンジフードの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明を実施するための形態の一つ(第1態様)は、フード部より上側の少なくとも一部覆うダクトカバーであって、構造部材とカバー部材を備え、前記構造部材は、骨組みとなる、辺を構成するものであり、2つの前記構造部材は接合されることで、角部を構成しており、複数ある前記角部の内の少なくとも一つの前記角部を調節する調節部を備え、前記調節部は、角度を調節可能にする角度調節部および/または前記骨組みの辺の長さ調節可能にする長さ調節部であり、前記カバー部材は、前記構造部材に直接または間接的に取り付けられており、前記辺で囲まれる面を覆っていることを特徴とするダクトカバーとすることで課題を解決した。
【0007】
本明細書の発明を実施するための形態には、第1態様に加えて以下のような付加できる態様を開示している。付加できる態様は、矛盾がない限り、第1態様に以下の第2態様~第16態様の中から少なくとも1つの態様を付加できる。さらに、付加できる態様は、矛盾がない限り第2態様~第16態様から選んだ複数の態様であってもよい。
また、本明細書は、第1態様~第16態様に含まれない数々の変形例などの実施形態も開示している。第1態様~第16態様に含まれない実施形態は、特に言及が無くとも矛盾がない限り、第1態様に適宜組み合わせることができる。
加えて、本明細書は、特に言及が無くとも矛盾が無いのであれば、第1態様から離れて、実施形態同士を複数組み合わせることについても開示している。
(第2態様)
態様の中には、前記カバー部材で覆われている面は、前記カバー部材で覆われていない一部領域を有するものが含まれる。
【0008】
(第3態様)
また、態様の中には、前記ダクトカバーは、壁に面して設置されるものであり、前記構造部材は、第1構造部材と第2構造部材を少なくとも含み、前記壁に面する前記第1構造部材は、前記壁側を一端とし前記壁から離れる方向に延びる前記第2構造部材と接合され前記角部を形成するものであり、前記角部は、前記調節部を備えているダクトカバーが含まれる。
【0009】
(第4態様)
また、態様の中には、前記調節部は、一方の前記構造部材に設けられた孔と他方の前記構造部材を、一方と他方の前記構造部材の角度を変えて連結することで前記角部の角度が調節できる前記角度調節部であるダクトカバーが含まれる。
【0010】
(第5態様)
また、態様の中には、前記調節部は、少なくとも一方の前記構造部材に設けられた孔が長孔であり、他方の前記構造部材と前記長孔を介して締結されることで辺の長さと前記角部の角度が調節できる多機能調節部となっているダクトカバーが含まれる。
【0011】
(第6態様)
また、態様の中には、前記角部は、調節できる範囲が異なっている複数の前記調節部を備えているダクトカバーが含まれる。
【0012】
(第7態様)
また、態様の中には、前記角部は、変形調節、長さの調節及び角度の調節のうち少なくとも2つの調節ができる多機能調節部を備えているダクトカバーが含まれる。
【0013】
(第8態様)
また、態様の中には、前記角部は、調節機能を有さない固定部を備えているダクトカバーが含まれる。
【0014】
(第9態様)
また、態様の中には、前記角部は、前記調節部と調節機能を有さない固定部を備え、前記調節部と前記固定部を選択できるダクトカバーが含まれる。
【0015】
(第10態様)
また、態様の中には、前記ダクトカバーは、壁に面して設置されるものであり、前記壁側を一端側とし前記壁から離れる方向に延びる前記構造部材があり、前記第2構造部材の他端側に前記調節部が設けられた前記角部が形成されているダクトカバーが含まれる。
【0016】
(第11態様)
また、態様の中には、前記ダクトカバーは、壁に面して設置されるものであり、
前記構造部材は、少なくとも第2構造部材と第3構造部材を含み、前記第2構造部材は、前記壁側を一端とし前記壁から離れる方向に延びるものであり、前記第3構造部材は、前記第2構造部材と接合する面部を備え、接合することで角部を作るものであり、前記第3構造部材の前記面部は、変形することで前記第2構造部材と前記第3構造部材を接合した前記角部の角度または前記辺の長さを調節できる変形調節部となっているダクトカバーが含まれる。
(第12態様)
この第11態様は、前記変形調節部は、薄板であり、薄板が変形するダクトカバーであってもよい。
(第13態様)
この第11態様は、前記壁側を一端とし前記壁から離れる方向に延びる上下一対の前記第2構造部材は、前記カバー部材である側面カバー部材で覆われており、前記側面カバー部材は、前記変形調節部が変形して動いた前記面部の少なくとも一部を覆うダクトカバーであってもよい。
(第14態様)
この第11態様は、さらに、前記第2構造部材の他端側に設けられた前記カバー部材である第2カバー部材があり、前記第2カバー部材は、前記第3構造部材と一体となっていてもよい。
【0017】
(第15態様)
また、態様の中には、前記ダクトカバーは少なくとも2つの小ダクトカバーに分割できる組み立てダクトカバーであり、少なくとも一つの前記小ダクトカバーが第1態様のダクトカバーとなっている組み立てダクトカバーが含まれる。
【0018】
(第16態様)
また、態様の中には、上記態様のいずれか1つ又は上記態様を複数組み合わせたダクトカバーを備えたレンジフードも含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、不陸があってもダクトカバーを設置できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例のレンジフードの外観図である。図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)のレンジフードからメインカバーを外した状態の斜視図である。
図2図2は、壁の不陸の説明図である。図2(A)はキッチンの壁にある不陸の説明図。図2(B)は図2(A)に付した鎖線の領域A拡大図である。図2(C)は方向の基準図である。
図3図3は、ダクトカバーの骨組みの説明図であり、図3(A)~図3(D)の順に組み立てられる。
図4図4は、天井変形があり隅部が90度になっていない場合の説明図である。図4(A)は正常な天井における構造部材の取り付け状態を示し、図4(B)は、天井変形不陸がある場合の構造部材の取り付け状態を示す。
図5図5は、後壁に凹凸不陸がある場合の説明図である。図5(A)は正常な構造部材の取り付け状態を示し、図5(B)は、後壁に凹凸不陸がある場合の構造部材の取り付け状態を示す。
図6図6は調節部の説明図である。図6(A)は組み立てた構造部材の側面図、図6(B)は図6(A)に付したB領域拡大図、図6(C)は図6(A)に付したC領域拡大図、図6(D)は多機能調節部の変形例であり、図6(C)に付したa-a間の断面図である。図6(E)は、図6(B)のb-b間の断面図であるが、図6(B)が締結部材45を図示していないのに対して、締結孔に締結部材を挿通して固定した状態の断面図である。
図7図7は、第3構造部材の説明図である。
図8図8(A)は、壁と対向する骨組みの端部の斜視図である。図8(B)は、図8(A)に付したD領域拡大図である。図8(C)は、変形調節部の説明図である。
図9図9は、天井と壁が垂直でない場合の第1例の説明図である。図9(A)は従来例の概念図である。図9(B)(a)は調節した骨組みの状態を図示している概念図である。図9(B)(b)はカバー部材を取り付けた状態を図示している概念図である。図9(B)(c)は図9(B)(b)に付したE領域の拡大図である。図9(B)(d)は、図9(B)(b)の状態から、骨組みを平行四辺形となるように形状を整え、カバー部材を取り付けた状態を図示している概念図である。
図10図10は、天井と壁が垂直でない場合の第2例の説明図である。図10(a)は骨組み調節の第1段階、図10(b)は骨組み調節の第2段階の状態を示す。図10(c-1)と図10(c-2)はカバー取り付けの例を示す。
図11図11は、側面図からみて壁に凹凸(不陸)がある場合の説明図である。図11(a)は調節前の骨組み、図11(b)は調節後の骨組みの状態を示す。図11(c-1)と図11(c-2)はカバー取り付けの例を示す。図11(d)は図11(C-2)に付したF領域の拡大図である。
図12図12は、平面図からみて壁に凹凸(不陸)がある場合の説明図である。図12(a)は調節前の骨組み、図12(b)は調節後の骨組みの状態を示す。図12(c)はカバー取り付け後の状態を示す
図13図13は、ダクトカバーの第1変形例の説明図である。
図14図14は、ダクトカバーの第2変形例の説明図である。
図15図15は、ダクトカバーの第3変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明では、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0022】
図1は、実施例のレンジフード1の外観図である。図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)のレンジフード1からメインカバー11を外した状態の斜視図である。
実施例のレンジフード1は、内部に送風ファンが取り付けられている送風ユニット12がフード部14の上にある。送風ユニット12の上部には、排気ダクト接続部13が設けられている。室外に面する壁7に穴が開設され、排気ダクト接続部13が、穴を通過した図示していない排気ダクトと接続される。
ダクトカバー2のうち、キッチンから見える部分は、カバー蓋材2B(第2カバー部材)や平板状の側面カバー部材2Aで覆われている。
なお、平板状の側面カバー部材2Aとカバー蓋材2B(第2カバー部材)を併せてカバー部材という。
【0023】
(ダクト)
実施例のレンジフード1は、排気ダクト接続部13が送風ユニット12の上部に取り付けられているタイプのレンジフード1である。レンジフード1は様々なタイプが存在し、送風ユニット12の側面に排気ダクト接続部13が設けられているものも存在する。
また、排気ダクトに加えて給気ダクトと呼ばれる外気を室内に取り入れるダクトが併設されたレンジフード1も存在する。
本発明は、排気ダクト接続部13の位置や方向、ダクトの目的が排気か給気かなどに依らず、適用可能である。したがって、ダクトの位置や方向により、ダクトをカバーするダクトカバー2の位置も変化する。
また、ダクトカバー2が、他の部材も併せてカバーしている場合も、本明細書では、ダクトカバー2と呼ぶ。
【0024】
送風ユニット12により排気される空気を室外に排出せず、煙、湯気、油煙や臭いなどを除去し再び室内に戻すタイプのレンジフード1(循環タイプ)がある。循環タイプのレンジフード1でも、送風ユニット12から室内へ戻すための循環口に接続される流路は本発明でいうダクトに該当する。
レンジフード1は、部屋の構造や顧客の希望により様々な位置に取り付けられる。ダクトカバー2を取り付ける主目的は、意匠的にレンジフード1をスッキリ見せることにあり、ダクトが隠す対象となる点で変わることが無い。
【0025】
(ダクトカバーの骨組み)
ダクトカバー2の骨組みとなる第1構造部材31と第2構造部材32に加え、骨組みに取り付けられる平板状の側面カバー部材2Aなどは、予め工場で組み立てられている。一般的な家屋のキッチンには不陸などは無く、例外的に不陸があるからである。直方体状に工場で組み立てられたダクトカバー2をレンジフード1の本体部と締結するだけで、設置が完了する。工場出荷時のダクトカバー2の角部4はすべて90°である。
不陸がある場合だけ、平板状の側面カバー部材2Aなどが取り外され、不陸に対応した作業が行われる。
【0026】
(不陸)
図2は、壁7の不陸の説明図である。図2(A)はキッチンの壁7にある不陸の説明図である。図2(B)は図2(A)に付した鎖線の領域A拡大図である。
図2(C)は方向の基準図であり、本明細書で使用する「前(左)-後(右)」、「奥-手前」「上-下」を定義している。レンジフード1は、フード部14の端面に電源スイッチや「強」「弱」といったファンの回転の強弱を操作する操作部15が付いている。操作部15のある側がレンジフード正面になる。
以下の説明で「前(左)-後(右)」、「奥-手前」「上-下」などの表記があるときは、図2(C)が基準となる。なお、基準という用語を用いたのは、この方向にレンジフード1を取り付けることを推奨するという意味ではない。この方向は、実施例を説明するための基準に過ぎない。
【0027】
図2(A)に付した領域Aの隅部が、実施例のレンジフード1の設置部になる(図2(C)参照)。
図2(B)の後壁76(7)には、壁7に排気ダクトを挿通する壁孔73が空けられている。実施例のダクトカバー2は、この壁孔73を通過して接続される排気ダクト(図示せず)を隠すためのカバーであり、排気ダクトの周囲に取り付けられることになる。
【0028】
実施例のダクトカバー2は、壁孔73の周囲にダクトカバー2の骨組みとなる構造部材3を取り付け、天井77と後壁76にダクトカバー2を当接させて取り付ける態様になっている。ダクトカバー2の詳細な構造は後述する。
ダクトカバー2と天井77の間に隙間ができず、ダクトカバー2と後壁76の間に隙間ができないため、意匠的な観点から美しいレンジフード1に仕上がる。(図1(A)参照)
なお、家屋の構造や設置者の希望によっては、壁孔73が、奥壁75側や天井77に設けられることや、レンジフード1の設置が、奥壁側や隅ではない箇所に設置されることは言うまでもないことである。
【0029】
(骨組みの構造)
ダクトカバー2の骨組みを説明する(以下で「骨組み」と言うときは、これを意味する。)。なお、後述するように工場出荷時は、カバー部材(側面カバー部材2A・カバー蓋材2B)及び骨組み(第1構造部材31・第2構造部材32・第3構造部材33)は組み立てられた状態になっている。
構造を説明するため、カバー部材や骨組みを構成する部材がすべてバラバラになった状態から説明を行う。
そのため、以下の説明は、施工手順と一致しない場合がある。
図3は、ダクトカバー2の骨組みとなる構造部材3の説明図であり、図3(A)~図3(D)の順に骨組みは組み立てられる。
レンジフード1や排気ダクトなどは、説明の都合上図示していない。
【0030】
後壁76に開設された壁孔73の周囲に、正方形状の枠の下辺を取り除いた形状に3つの第1構造部材31が接合され壁7(76)に取付けられる(図3(A))。壁孔73下側は、第1構造部材31(3)が取り付けられていない。図1(A)で図示したように、ダクトカバー2の下はメインカバー11で覆われるため、隠す必要がないからである。もちろん、壁孔73下側にも、第1構造部材31(3)を取付け、四辺に第1構造部材31(3)がある強固な枠を構築してもよい。
ダクトカバー2は、少なくとも壁孔73が設けられた壁7(76)に面して設置されるものである。
壁7(後壁76)に面する第1構造部材31(3)は、壁締結部311が設けられており、固定部材を用いて壁7(後壁76)に固定される。
【0031】
天井77は図3(B)に示されていないが、上にある第1構造部材31や第2構造部材32は、いずれも天井77に沿って配設される。
図3(B)に図示されているように、天井77に沿って取り付けられた第1構造部材31の両端は、上下方向に延びる一対の第1構造部材31と接合され、2つの角部4が作られる。この2つの角部4には、第2構造部材32が天井77に沿って取付けられる。
下にある第2構造部材32は、上下方向に延びる一対の第1構造部材31それぞれの端部と接合されて2つの角部4が作られる。
合計4つの第2構造部材32は、壁7(後壁76)側を一端321として、壁7(後壁76)から離れる方向に延びている。第1構造部材31の端部と第2構造部材32の一端321(後壁76側)は、接合されて角部4が壁孔73を囲うように4つ形成される。
図3(B)では、第2構造部材32の他端322は何も取り付けられていないが、図3(C)のように、第2構造部材32の他端322は、カバー蓋材2Bが取付けられ、ダクトカバー2の骨組みはしっかりとした直方体状になり変形することは無い。
【0032】
続いて図3(D)のように、ダクトカバー2の側面が平板状の側面カバー部材2Aで覆われる。ダクトカバー2の天井77側やメインカバー11で隠れるダクトカバー2の下部側は使用者から見えないため、平板状の側面カバー部材2Aは、取り付けられることなく、開放された状態のままとなる。
【0033】
工場出荷時のダクトカバー2は、前述したように直方体状(角部4が90°)に組み立てられている。組み立てられたダクトカバー2を配設するだけで、天井77、後壁76及び奥壁75に接し隙間ができないように配置することができる。このため、レンジフード1の外観は、隙間無く壁7に設置されたように見え、すっきりとした外観になる。
【0034】
(不陸がある場合)
天井77と奥壁75や後壁76との角度が90°になっていないときは、直方体状に組み立てたダクトカバー2と壁7や天井77の間に隙間ができることがある。特に、構造部材3を設けようとする場所に凹凸71(不陸)があると、ダクトカバー2を水平にまたは壁7に垂直に設置することができなくなる。このような場合、直方体状に組み立てたダクトカバー2を、そのまま配設すると、ダクトカバー2がレンジフード1に対して斜めになるなど、様々な箇所に美観を損ねるずれが生じる。
【0035】
(調節部・角度の調節[角度不陸])
カバー部材(平板状の側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)など)は、工場出荷時に構造部材(第1構造部材31、第2構造部材32や第3構造部材33など)に取り付けられて組み立てられたダクトカバー2として出荷される。壁7や天井77に不陸がある施工場所は多くないため、不陸が無い限り、ダクトカバー2は工場出荷時のまま取り付けることができ、施工手順の効率化が図られている。
不陸(天井77や壁7に凹凸71がある、壁7と天井77が直交しないなど)があるときのみ、取り付けられたカバー部材(平板状の側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材))が取り外され、不陸に合わせて調節が行われる。
【0036】
角部4の角度などを調節する場合、組み立てられたダクトカバー2からカバー部材(平板状の側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材))が取り外される。
以下、図4を用いて不陸の影響により様々な部材や隅部の角度が90°、92°など具体的な数値を用いて角度が変化することを説明するが、説明のためであり、「90°」と「90°ではない数値」という以外に意味を持たない。当然、不陸のなかには、角度が、89°など、90°未満の数値になるものや、90°を超えるものも含まれる。また、図面は概念図であり、角度の変化を大きく図示している。以下、同様である。
【0037】
図4(A)は正常な天井77における構造部材3の取り付け状態を示し、図4(B)は、天井77が変形し水平になっていない不陸(角度不陸)がある場合の構造部材3の取り付け状態を示す。より具体的には図4(B)は、構造部材3を取り付ける壁7となる後壁76が鉛直でなく、且つ、天井77の奥側が水平でないため、天井77と後壁76との角度が90°より大の92°になっている状態を図示している。
直方体状(角部4が90°)に組み立てられたダクトカバー2を、図4(B)の壁7に取り付けた場合、天井77と上側の第2構造部材32(3)の間に隙間ができてしまう。図示していない平板状の側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)を骨組みに取り付けようとするとき、天井77と上側の第2構造部材32(3)が離間していると、天井77とダクトカバー2の間にカバーで覆われない隙間ができる。
不陸の影響を受けている第1構造部材31(3)と第2構造部材32(3)が接合する角部4(図4(B))は、調節部5を備えており、角部4の角度を92°に開くことができる。これにより、天井77と上奥側の第2構造部材32(3)が平行になるように修正され、第2構造部材32(3)の他端322と天井77の間に隙間が生じることが無くなる。
【0038】
図4(B)のように不陸があるため、第2構造部材32(3)の前(左)側の端部が様々な方向を向いて開いてしまうことがある。このように第2構造部材32(3)同士の距離が広がることに対応できるように、カバー蓋材2B(第2カバー部材)は予め大きめに作られている。カバー蓋材2B(第2カバー部材)は図2(C)に図示するように、室内側からよく見える部分であり、隙間が空くと目立つため、調節部5が設けられていると共に大きめに作られている。
【0039】
また、修正量が大きく、カバー蓋材2B(第2カバー部材)の取り付けに支障が生じるような場合は、カバー蓋材2B(第2カバー部材)が取り付けできるまで、他の第2構造部材32(3)も併せて調節される。
なお、どのような不陸が起きても対処できるように、すべての角部4に、調節部5が備えられていていることが好ましい。具体的な調節部5の構造は後述する。
【0040】
(調節部・角度の調節[凹凸不陸])
図5は、後壁76に凹凸71(不陸)ある場合の説明図である。図5(A)は正常な構造部材3の取り付け状態を示し、図5(B)は、後壁76に凹凸71(不陸)がある場合の構造部材3の取り付け状態を示す。
凹凸71(不陸)は、様々な原因で起き得、不陸の発生場所は後壁76に限られない。実施例はその一例である。
壁7にできた一つの凹凸71(不陸)は、一般に多数の構造部材3(骨組みの辺)に影響を及ぼす。第1構造部材31(3)が一本でも凹凸71(不陸)により、壁7に対して正しく取り付けられないことが起きると、不陸の影響を受けた第1構造部材31(3)と接合する他の第1構造部材31(3)との接合角度が変わり、角部4は90°を保てなくなる。さらに、第2構造部材32(3)も影響を受け、第2構造部材32(3)の壁7から離れる側に延びる方向が変わってくる。
【0041】
図4(B)と図5(B)を比較すると分かるように、図4では、第1構造部材31(3)の上端と第2構造部材32で構成される角部4の角度が調節対象であったのに対して、凹凸71(不陸)の例(図5(B))では、調節対象が異なってくる。縦と横方向の2つの第1構造部材31(3)が接合する角部4の位置が、後壁76にある凹凸71(不陸)と、重なってしまっている。当該角部4にある凹凸71(不陸)の影響は、他の角部4に関係する第1構造部材31(3)及び第2構造部材32(3)にも影響を与える。このように、図4(B)で示した、手前側上下に一対ある第2構造部材32の前(左)側の幅Sは、凹凸71(不陸)がない状態に比べて広がる。
【0042】
ここで、調節部5を用いた当該幅Sの調節の例を説明する。凹凸71(不陸)の影響を直接受ける、手前側上にある第2構造部材32(3)が、天井77と平行となるように凹凸71(不陸)に乗り上げた角部4の角度を調節する。凹凸71(不陸)の影響により、凹凸71(不陸)の位置より壁7の下側にある角部4から延びる第2構造部材32(3)は下を向いている。当該壁7の下側にあるレンジフード1は水平に設置されているため、凹凸71(不陸)の位置より壁7の下側にある角部4の多機能調節部55を用いて手前側下にある第2構造部材32(3)の向きなどの調節を行う。たとえば、手前側下にある第2構造部材32(3)が水平になるまで凹凸71(不陸)の位置より下側にある壁7側の角部4の角度を調節する。この角度調節により不陸により開いた当該幅Sの大きさは、大きくも小さくも調節できる。
実際のキッチンの壁7は、不陸の位置や態様が様々である。そのため、直方体状に構成される構造部材3の全ての角部4が、長さも調節できる調節部5(51)になっている。角度調節部51の詳細は後述する。
【0043】
さらに、凹凸71(不陸)が大きく、調節部5の調節範囲を超えてダクトカバー2と天井77や壁7との間に隙間ができてしまうような場合がある。ダクトカバー2には、室内側から見てハッチングで示した「目立たない領域」がある。
この領域は、レンジフード1の正面側と反対にあり、レンジフード1の裏側となる部分である。この領域に歪や天井77や壁7との隙間が大きく生じるように調節部5を調節したり、また、スペーサーを壁7と第1構造部材31の間に設置して壁と構造部材3の距離を調整してもよい。さらに、この領域に、構造部材3が変形しすぎて平板状の側面カバー部材2Aで塞ぐことができない隙間や変形が集まるように調節部5を意図的に調節してもよい。
【0044】
(調節部・長さの調節)
図5(B)の位置に凹凸71(不陸)がある場合、凹凸71(不陸)の影響を直接受ける凹凸71の上に乗り上げた第2構造部材32(3)の他端322は、他の第2構造部材32(3)の他端322より前に飛び出す。手前側上下にある第2構造部材32(3)の先端の幅Sは、拡がる。
第2構造部材32(3)の他端322は、カバー蓋材2Bが取付けられるため、一つの他端322でも前に飛び出してしまうと、カバー蓋材2Bの向きが傾くという不都合が生じる。
【0045】
なお、不陸により開いた上下にある第2構造部材の先端の幅Sを例にして説明したが、不陸により開いた左右にある第2構造部材の先端の幅について調節するときも、同様である。
【0046】
実施例の角部4に設けられている調節部5は、角度調節部51(5)の機能に加え、長さの調節ができる長さ調節部52(5)の機能を併せ持つことでこの不都合を解消している。
四つある第2構造部材32(3)の一端321(壁側)は、第1構造部材31(3)と接合しており、四つの角部4が一端321側にある。
それぞれの角部4は、調節部5を有しており、第2構造部材32(3)で作られる辺の長さを調節ができる長さ調節部52(5)が設けられている。
長さ調節部52(5)の詳細については、後述する。
【0047】
(カバー取付け)
長さや角度が調節された骨組みとなる構造部材3は、カバーで被覆され隠される。実施例のダクトカバー2が有するカバーは、2種類ある。
【0048】
最初のカバーは、上下にある第2構造部材32(3)の辺を覆う平板状の側面カバー部材2Aである。
【0049】
次のカバーは、第2構造部材32の他端322をカバーするカバー蓋材2B(第2カバー部材)である。
図5(B)の4つある第2構造部材32(3)の他端322は、それぞれ連結されておらず不安定な状態となっている。実施例のカバー蓋材2B(第2カバー部材)は、キャップのように周囲が折り曲げてある。この曲折部が第3構造部材33として機能するように設計されている。カバー蓋材2B(第2カバー部材)が第3構造部材33として機能するので、不安定な第2構造部材32の他端322は安定する。
もちろん、カバー蓋材2B(第2カバー部材)は、純粋にカバーとして機能する蓋部331と第3構造部材33(3)として機能する部分を、別部材としてもよい。
なお、カバー蓋材2B(第2カバー部材)に形成された第3構造部材33の詳細については後述する。
【0050】
平板状の側面カバー部材2Aとカバー蓋材2B(第2カバー部材)は、共に、構造部材3に直接または間接的に取り付けられている。そして、構造部材3は、骨組みとなる辺を構成するものである。側面カバー部材2Aとカバー蓋材2B(第2カバー部材)は、辺で囲まれる領域をそれぞれ覆っている。
【0051】
(固定部)
図6は調節部5の説明図である。図6(A)は組み立てた構造部材3の側面図、図6(B)は図6(A)に付したB領域拡大図である。
第1構造部材31(3)と第2構造部材32(3)は接合され角部4を構成している。実施例の固定部6は、調節することができないため、すべての角部4が90°となるように固定される。固定部6の構造は単純である。図6(C)は図6(A)に付したC領域拡大図である。第1構造部材31(3)と第2構造部材32(3)の接合部にビス孔61が設けられており、このビス孔61に挿通するビス62が打ち込まれ、90°になるように締結されたものが固定部6である。
固定部6を使って工場出荷時にダクトカバー2の骨組みが組み立てられているため、生産効率が高くなる。
【0052】
一つの角部4に、固定部6と調節部5の両方がある場合、レンジフードを設置する作業者はいずれか一方を選択する。例えば、調節部5を使う場合、固定部6を機能させている固定具は取り外され、固定部6は機能を失う。逆に、固定部6を使う場合、調節部5は使われずに、作業が進められる。
【0053】
(多機能調節部)
固定部6と調節部5は、いずれか一方が使われる。そのため、角部4に固定部6と調節部5が設けられている場合は、実際に機能するのはいずれか一方である。
図6(B)に図示した固定部6は、調節部5を使うときに、固定具であるビス62が取り外され、図6(C)のように、ビス孔61が残るだけの状態にされる。固定部6による固定が解かれた角部4は、第1構造部材31(3)と第2構造部材32(3)を自由に動かせる状態になり、角度などを調節できるようになる。
図6(B)に図示した調節部5は、第1構造部材31(3)に形成された前後方向に伸びる長孔41と第2構造部材32(3)に形成された締結孔324から構成される。
図6(E)は、図6(B)のb-b間の断面図であるが、図6(B)が締結部材45を図示していないのに対して、締結孔324に締結部材45を挿通して固定した状態の断面図である。
長孔41と締結孔324と締結部材45の組み合わせにより、第1構造部材31(3)と第2構造部材32(3)の角度を変えることができる。また、長孔41の範囲で、第2構造部材32(3)の取り付け位置を変えられるため、調節部5は、骨組みの辺の長さを調節できる。
【0054】
実施例の説明では、角度を調節できる調節部5を角度調節部51といい、長さを調節できる調節部5を長さ調節部52という。そして、実施例の説明では、角度や長さなど複数の調節ができる調節部5を多機能調節部55という。
図6(B)や図6(C)の調節部5は、角度と長さを調節できるため多機能調節部55である。
もちろん、角度調節部51と長さ調節部52の2種類の調節部5を同じ角部4に備えてもよい。角度調節部51と長さ調節部52は、矛盾しない態様で同じ角部4に設けることができる。
例えば、第1構造部材31(3)と第2構造部材32(3)に孔を開け、孔をボルトナットなどで回動可能に固定すれば、角度調節部51となる。また、第2構造部材32(3)を2分割し、長手方向に互いにスライド可能に接合固定できるようにすれば、長さ調節部52となる。
【0055】
(本明細書でいう「角部を調節する」という用語の意味)
長さ調節部52は、第2構造部材32の中間部に設けられていても、辺の長さが変わることにより結果的に角部4の位置が変化する。辺の長さを変えることは、「角部4を調節する」ことに含まれる。「角部4を調節する」という意味は、狭く解釈されるものではなく第2構造部材32の中間部が曲げられることで、角度が調節されるような態様も角度調節部51に含まれる。
【0056】
(調節部の変形例)
実施例の調節部5は、多機能調節部55になっているが、変形例は、角度調節部51や長さ調節部52を単独で、または、組み合わせて角部4に設けてもよい。また、後述するが、構造部材3を曲げて調節する調節部5もあり得る。調節部5による調節は、このように多様な調節を包含する。
【0057】
(多機能調節部の変形例)
図6(C)は図6(A)に付したC領域拡大図、図6(D)は多機能調節部55の変形例であり、図6(C)に付したa-a間の断面図である。
図示された調節部5は、第1構造部材31(3)に設けられた長孔41を使うものであり、角度調節部51と長さ調節部52を兼ねる多機能調節部55になっている。第2構造部材32(3)は、垂直に立ち上がった軸42が取り付けられており、この軸42が長孔41に挿通され多機能調節部55になっている。軸42の先端は、ねじ部となっており、図示していないナットや蝶ネジなどの締結具で締結されることで、固定できるようになっている。
【0058】
(同種の調節部の組み合わせ)
同種の調節部5を同じ角部4に複数設けてもよい。例えば、一方は、微調節に適した構造の調節部5とし、他方は、大きく調節するのに適した調節部5とすることができる。このような組み合わせは、作業効率の向上を可能とする。
【0059】
(カバー部材の取り付け)
平板状の側面カバー部材2Aの取り付け手段は、適宜である。実施例は、その一例を示すものである。実施例の上側の第2構造部材32(3)は、図6(A)に図示するように前側と後側にカバー部材掛止部323を備えている。図示しない側面カバー部材2Aの裏面には、カバー部材掛止部323と掛け合う突起が設けられている。側面カバー部材2Aの上部は、カバー部材掛止部323を用いて取り付けられる。側面カバー部材2Aの下部は、図6(C)に図示したカバー取付孔43を用いて締結される。カバー取付孔43は長い孔になっている。多機能調節部55により角度が調節された場合や辺の長さを調節された場合であっても、カバー取付孔43が長い孔となっていることで、締結が行える。カバー取付孔43の長い孔のサイズは、調節部5による角度や辺の長さの調節幅を見込んだ長さになっている。例えば、カバー取付孔43は、調節部5の長孔41と同じ長さにしたり、調整時に取付孔43に対応するビス取付孔が隠れて固定できなくなることがないような長さや大きさとすることができる。
【0060】
(第3構造部材)
図7は、第3構造部材33(3)の説明図である。図7は壁7と対向する骨組みの端部の斜視図になっており、骨組みにカバー蓋材2B(第2カバー部材)が取り付けられている。カバー蓋材2B(第2カバー部材)は、カバーと構造部材3を兼用する部材である。つまり、カバー蓋材2B(第2カバー部材)は、純粋なカバーとして機能するカバー蓋材2B(第2カバー部材)の蓋部331と第3構造部材33(3)が、一体となっている部材である。
【0061】
カバー蓋材2Bは、カバーとなる蓋部331があり、四周に側面が設けられている。手前と奥の側面は、図示されているように階段状変形部332になっており、階段状変形部332が第2構造部材32(3)を取り付けるための第3構造部材33(3)として機能する。
第3構造部材33(3)として機能する階段状変形部332は、カバー蓋材2B(第2カバー部材)の手前と奥にあり、それぞれ上端と下端に第2構造部材32(3)が取付けられる。
【0062】
階段状変形部332の上段部334(カバー側面)と面部333(取付面)は段状に配置されており、側面カバー部材2Aの厚さと略同じ幅の段差部が上段部334(カバー側面)と面部333(取付面)を繋いでいる。
平板状の側面カバー部材2Aは、第3構造部材33である階段状変形部332の段差部に丁度収まる大きさに構成されている。
【0063】
図8(A)は、壁7と対向する骨組みの端部の斜視図である。図8(B)は、図8(A)に付したD領域拡大図である。
第3構造部材33(3)として機能する階段状変形部332の面部333(取付面)は、角部4において第2構造部材32(3)と接合する。角部4は、固定部6と調節部5が設けられている。調節部5は、角度と辺の長さが調節できる多機能調節部55になっている。
【0064】
(構造部材の強度)
これまで説明してきたとおり、ダクトカバー2は、排気ダクトや給気ダクトといったダクトを囲って隠すものである。そして、ダクトカバー2は、壁7やレンジフード1に適宜な態様で支持される部材である。ダクトカバー2は、他の部材を支持するように用いることを妨げるものではないが、通例、他の部材を支持することなく、レンジフード1の設置工程の最後に取り付けられ意匠的な効果を主として取り付けられるものである。
ダクトカバー2に用いられる構造部材3は、平板状の側面カバー部材2Aや後述するカバー蓋材2B(第2カバー部材)を保持できる程度の強度を有すれば足りる。
このように、構造部材3は、特段の強度が要求されないから、構造部材3の端部が曲がるように構成することで、構造部材3の端部自体を調節部5とすることも可能である。
【0065】
(変形調節部)
図8(C)は、変形調節部53の説明図である。なお、図8(C)は曲がりや傾きを強調して図示している。第2構造部材32(3)は、不陸のため、全体が斜めに傾いており、そのままの状態では第3構造部材33(3)に相当する階段状変形部332に取り付けることができない状態を図8(C)として示している。階段状変形部332は、薄板で構成されており、薄板が変形する変形調節部53(5)になっている。
【0066】
面部333(取付面)は、傾いた第2構造部材32(3)と接合するまで曲げるなどして変形される。図8(A)に図示されているように、面部333(取付面)は、角部4の領域に多機能調節部55が設けられており、傾いた第2構造部材32(3)と締結される。
変形調節部53は曲げたり伸縮させたりすることで様々な変形ができるため、角部4の角度および/または辺の長さを調節できる多機能調節部55として活用することもできる。また、面部333(取付面)は変形しても側面カバー部材2Aで覆われるため、変形により目立つようになってしまった部分を隠すことができる。
【0067】
壁7側を一端321とし壁7から離れる方向に延びる第2構造部材32(3)は、その他端322側に、第3構造部材33(3)と接合されて角部4が作られる。当該角部4は、階段状変形部332で構成される変形調節部53が設けられていることになる。実施例のダクトカバー2は、第2構造部材32(3)の一端321(壁7側)だけでなく、他端322側にも調節部5があるため、多様な不陸に対応できる。
【0068】
さらに、たとえば不陸が壁7にあるとすると、第2構造部材32(3)に与える影響は一端321側(壁側)から離れるほど大きくなり、第2構造部材32(3)の他端322が一番影響を受けることがある。一端321(壁側)では1mm開いていた隙間が、他端322になると1cmに増えることがある。そのため、他端322側にある調節部5は一端321側(壁側)にある調節部5よりも修正可能とする範囲を大きくしていてもよい。調節部5は、他端322側のみに設ける態様も可能である。
【0069】
(変形調節部の変形例)
以上の実施例の第3構造部材33(3)は、カバー蓋材2B(第2カバー部材)と一体となっていたため、取り付けに便利な態様であった。
変形調節部53として機能する階段状変形部332の変形例は、カバー蓋材2B(第2カバー部材)と第3構造部材33(3)を別体とする例である。
第3構造部材33(3)の主構造である階段状変形部332は変形調節部53であり、階段状となっている部分を伸ばすように変形することができる。面部333(取付面)を動かす自由度は階段状変形部332の段差を大きくすることによりかなり大きくなる。不陸により壁7の側を一端321とし壁7から離れる方向に延びる第2構造部材32(3)の他端322が、大きく離れてしまうことがある。変形例の第3構造部材33(3)は、階段状変形部332が階段状となっている複数の面によって構成される角度が大きくなることによって伸びることで面部333(取付面)が大きく動き、大きく離れた第2構造部材32(3)と接合することができる。階段状変形部332が大きく変形した場合、カバー蓋材2B(第2カバー部材)と第3構造部材33(3)が一体となっていると、階段状変形部332まで隠すことができないことがある。変形例はカバー蓋材2B(第2カバー部材)が別体となっており予め大きく作られているため、大きく変形し動いた面部333(取付面)を覆うことができる。変形した部分は目立つので、仮に、面部333(取付面)の一部だけしかカバー蓋材2B(第2カバー部材)で覆うことができなくても、目立つ部分を隠すという役割を十分に果たす。
【0070】
(構造部材の変形)
第1構造部材31(3)や第2構造部材32(3)の端部が変形調節部53となっていてもよい。
【0071】
(カバーの固定)
これまで、出願人は、調節部5の調節の態様を様々説明してきた。不陸が大きく調節の程度が大きくなると、どうしても構造部材3で作られる骨組みが直方体から大きく変形することが起き得る。
骨組みが大きく変形してしまうと、あらかじめ用意されている取付部(カバー部材掛止部323など)は機能を失い、平板状の側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)が取付けられない事態も生じ得る。
そこで、側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)は、適宜な位置で孔を穿設され締結材を打ち込めるような材料で作られている。
【0072】
(カバーが覆う領域)
骨組みが、あらかじめ用意した平板状の側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)で覆うことができない程大きく変形することがある。覆うのに適切な領域(目立つ領域)を定め、その領域を覆うように側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)を取り付ける。ダクトカバー2は、側面カバー部材2Aやカバー蓋材2B(第2カバー部材)で覆われていない領域22を有することになる。
また、レンジフードを設置する作業者は、適宜な大きさに切断できるカバー部材を用意し、切断したカバー部材により覆うことができなかった領域を覆ってもよい。
【0073】
(天井不陸:カバー取付例)
図9は、天井77と壁7が垂直でない場合の第1例の説明図である。図9(A)は従来例であり、図9(A)(a)は従来例の骨組みの状態、図9(A)(b)は従来例のカバー取り付け状態を表す。
天井77と壁7は、垂直になっていない不陸がある。従来例は調節部5が無いため、直方体状の骨組みは、第1構造部材31(3)、第2構造部材32(3)及び第3構造部材33(3)で組み立てられているが、天井77の不陸に対して対応できていない。そのため、天井77とダクトカバー2との間に隙間78ができている。側面カバー部材2Aが取付けられるが、従来例は、この天井77との隙間78を隠すことができない。
【0074】
図9(B)(a)は調節した骨組みの状態を図示している概念図である。図9(B)(b)は側面カバー部材2Aを取り付けた状態を図示している概念図である。図9(B)(c)は図9(B)(b)に付したE領域の拡大図である。
図示した壁7側の上下にある角部4は、調節部5を備えており、調節部5により角部4の角度が矢印のように調節され、従来例で存在していた隙間がほぼ消失している。
【0075】
図9(B)(a)に図示されている調節例では、第1構造部材31(3)は、垂直な壁7に取り付けられている。まず、図9(B)(a)の形状にするために、天井77にある不陸(水平でない)に対応して壁7側に面する上下の角部4の角度が調節し、かつ、下にある第2構造部材32(3)の辺の長さ調節を調節し、当該第2構造部材32(2)の両端に形成される角部4の間隔を広げた。
このような角部4の調節により、図9(B)(b)のように第3構造部材33(3)は第1構造部材31(3)と平行になっていない。
この状態で、レンジフードを設置する作業者は、第3構造部材33(3)の辺に沿って平板状の側面カバー部材2Aを取り付ける。第3構造部材33(3)の面は、鉛直方向になく、斜めになっている。壁7の側は、側面カバー部材2Aと第2構造部材32(3)との間に側面カバー部材2Aで覆われていない領域22ができても気になることが少ないため、第3構造部材33(3)の面が斜めになっていることが目立たない場合は、ここでダクトカバー2の取り付け、作業は終了する。
【0076】
不陸が大きく、図9(B)(c)のよう骨組みを大きく変形させると、第1構造部材31(3)と側面カバー部材2Aの間に、側面カバー部材2Aで覆われていない領域22が大きくできる。
加えて、第3構造部材33(3)の面が斜めになっていることが気になるようになる。このような場合、レンジフードを設置する作業者は、第3構造部材33(3)と第1構造部材31(3)が平行になるように、調節部5(図示されていない角度調節部51)を使うことができる。平行四辺形になるよう骨組みを大きく変形させると骨組みの左右幅が短くなるが、調節部5(図示されていない長さ調節部52)を使い、ダクトカバー2は側面カバー部材2Aを取り付けることができる幅に広げ、かつ、図9(B)(d)のように平行四辺形となるように形状が整えられる。
【0077】
図9(B)(d)は、図9(B)(b)の状態から、骨組みを平行四辺形となるように形状を整え、側面カバー部材2Aを取り付けた状態を図示している概念図である。側面カバー部材2Aは、図9(B)(b)が不陸のある天井77に沿って取り付けられており、大きな側面カバー部材2Aで覆われていない領域が1ヶ所できる。
これに対して、図9(B)(d)の側面カバー部材2Aは、の左右に側面カバー部材2Aで覆われていない領域22が2ヶ所にできるように、側面カバー部材2Aの傾け方を調節して取り付けられている。図9(B)(d)の態様は、側面カバー部材2Aで覆われていない領域22が2ヶ所に分散されるため、1つの覆われていない領域22を図9(B)(b)の態様に比べて小さくすることができ、目立たなくできる。
【0078】
図9(B)(d)のように、側面カバー部材2Aで覆われていない領域22の形状をほぼ同じに揃えることは、好ましい態様である。覆われていない領域22がほぼ同じ形状となるため、バランスがとれ目立たなくなるという意匠的な効果が奏される。また、側面カバー部材2Aの角度を調整して覆われていない領域22の幅を均一とすることでも、バランスがとれ目立たなくなるという意匠的な効果が奏される。
【0079】
図10は、天井77と壁7が垂直でない場合の第2例の説明図である。図10(a)は骨組み調節の第1段階、図10(b)は骨組み調節の第2段階の状態を示す。図10(c-1)と図10(c-2)は、カバー取り付けの例を示す。
【0080】
図10(a)は、調節の第1段階であり、壁7側にある調節部5を用いて矢印のように角度を調節した状態を示している。これは第1例の図9(B)(a)と同様の調節である。その後、図9(B)(d)と同様の変形が図10(b)で行われ、第3構造部材33(3)側の角部4にある調節部5を調節する第2段階の調節が行われる。このとき、長さ調節部52による調節が併せて行われる。これにより、壁7側の第1構造部材31(3)と第3構造部材33(3)が略平行になる。
【0081】
レンジフードを設置する作業者は、平板状の側面カバー部材2Aの取り付け方を選択することができる。
図10(c-1)は、第1構造部材31(3)と第3構造部材33(3)の側に上下方向に側面カバー部材2Aで覆われていない領域22が生じる態様である。図10(c-2)は、上と下の第2構造部材32(3)の側に水平方向にカバーで覆われていない領域22が生じる態様である。図10(c-2)の態様は、側面カバー部材2Aが下にはみ出す領域25が生じてもよい。カバーで覆われていない領域22や側面カバー部材2Aがはみ出す領域25が、下側に生じる場合は、レンジフード1やメインカバー11で隠せる場合がある。
レンジフードを設置する作業者は、総合的に判断して、側面カバー部材2Aの取り付け方を決める。
【0082】
(凹凸不陸:カバー取付例)
図11は、壁7に凹凸71不陸がある場合の説明図である。図11(a)は調節前の骨組み、図11(b)は調節後の骨組みの状態を示す。図11(c-1)と図11(c-2)はカバー取り付けの例を示す。
図11(a)から分かるように、凹凸71による不陸があるため、第1構造部材31(3)は、壁7を密着させることができず、骨組みの前側が下に下がっている。
図11(b)のように、上前にある角部4は、上にある第2構造部材32(3)が、天井77に沿うようになるまで上後の調節部5により角度を調節される。下にある第2構造部材32(3)が、矢印で示すように延ばされることで第3構造部材33(カバー蓋材2B)を鉛直方向になるように整えることができる。カバー蓋材2Bは、室内からよく見える部分であり、鉛直方向にすることが好ましい。
【0083】
カバー材の取り付け方は2種類例が示してあり、その一つが図11(c-1)である。カバーで覆われていない領域22は、後下の角部4付近に生じており、1ヶ所である。側面カバー部材2Aは天井77に沿うように取り付けられる。
図11(c-2)の例の側面カバー部材2Aは、図11(c-1)より若干傾けられて骨組みに取り付けられる。そのため、カバーで覆われていない領域22が前上の角部4と後下の角部4の2ヶ所に分散している。
図11(d)は図11(C-2)に付したF領域の拡大図である。図11(d)で示されているように、カバーで覆われていない領域22は、上下方向と前後方向にさらに分散され、図11(c-1)より目立たなくなっている。
【0084】
(調節部の活用)
上記した図11(b)の説明では、分かりやすいように上後の角部4と、下後の角部4の2ヶ所の角部4について、調節部5を用いる例を説明した。しかし、下後の調節部5を伸ばす調節は、下前の調節部5を伸ばすことでも実現できる。さらに、伸ばすのではなく、上前や上後の調節部5を縮めることでも実現できる。どこの角部4を縮めるか伸ばすかは、レンジフードを設置する作業者が適宜決めることが可能である。また、当該作業者は、もっともカバーで覆われていない領域22が少なくできるか、目立たないようにできるかを考慮してどこの角部4の調節部5をどのように調節するかを決めることができる。
【0085】
図12は、平面図からみて壁7に凹凸71(不陸)がある場合の説明図である。図12(a)は調節前の骨組み、図12(b)は調節後の骨組みの状態を示す。図12(c)はカバー取り付け後の状態を示す。
壁7に凹凸71(不陸)がある場合、側面図である図11で説明した調節だけに限らず、平面図である図12の調節が必要になる。凹凸71(不陸)の影響は、すべての角部4に影響を与えることがある。
凹凸71(不陸)があるとき、レンジフードを設置する作業者は、前にある第3構造部材33(3)を図12(b)のように壁7と平行にしたいと思うことがある。レンジフード1は、壁7と平行に取り付けられるため、ダクトカバー2が平行にないと統一感が無くなるからである。
このような場合にも図12(b)のように調節部5よる調節が行われ、図12(c)のように側面カバー部材2Aが取付けられる。
【0086】
(ダクトカバーの第1変形例:分割)
図13は、ダクトカバー2の第1変形例の説明図である。
ダクトカバー2が2つの小カバー24に分割されているものである。2つの小カバー24を組み立てる、組み立てダクトカバー2になっている。そして、少なくとも一つの小カバー24が調節部5を備えたダクトカバー2になっている。2つの小カバー24があるため、調節部5の数が倍になる。大きな不陸があった場合でも、調節部5が増えた分、対応が容易になる。
【0087】
(ダクトカバーの第2変形例:分割)
図14は、ダクトカバー2の第2変形例の説明図である。
第1変形例の2つの小カバー24は、同じ大きさであった。第2変形例では、1つの小カバー24の大きさが異なっており、上にあるカバーが嵌め込みカバー24A、下にあるカバーが大カバー24Bになっている。嵌め込みカバー24Aは、大カバー24Bより一回り小さく形成されており、大カバー24Bに嵌め込めるようになっている。使い方としては、嵌め込みカバー24Aを図中の矢印の方向に押し込み、前(左)側を大カバー24Bに飲み込ませることで不陸に対応できるようになっている。図14のように嵌め込みカバー24Aは、角度Φ傾けて大カバー24Bに嵌め込まれている。図示していない適宜な手段で両カバー(24A・24B)が固定されることで、簡単に不陸に合わせることができる。天井が奥から手前に向けて傾いていても、嵌め込みカバー24Aを傾けて大カバー24Bに嵌め込むことで、対応することができる。第2変形例は、不陸が天井77にしかないような場合便利な態様である。
嵌め込みカバー24Aは、傾けて大カバー24Bに嵌め込まれるが、斜めに嵌め込まれるため、鉛直にならない面が生じる。嵌め込みカバー24Aの調節部5が使われ、大カバー24Bと図14の状態から前記面が鉛直方向になるように辺の長さや角部4の調整が行われる。
また、大カバー24Bが接する壁7の面に不陸があることもあるので、大カバー24Bにも調節部5が設けられている。
【0088】
図14のような変形例の調節部5は、傾けることができる嵌め込みカバー24Aの全体が、角度を調節可能にする角度調節部51および/または骨組みの辺の長さ調節可能にする長さ調節部52になる。
嵌め込みカバー24Aと大カバー24Bが角部4を調節する調節部5を有しており、前述したような調節を行うことができる。
【0089】
(ダクトカバーの第3変形例:分割)
図15は、ダクトカバー2の第3変形例の説明図である。この例は、メインカバー11が大カバー24Bになっている。大カバー24B(メインカバー11)の上に嵌め込みカバー24Aを傾けるなどして嵌め込むことで、不陸に対応できる。
【0090】
以上、本発明に係る実施例を様々な態様と共に、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の実施例と様々な変形例と各態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 レンジフード
11 メインカバー
12 送風ユニット
13 排気ダクト接続部
14 フード部
15 操作部
2 ダクトカバー
2A 側面カバー部材
2B カバー蓋材(第2カバー部材)
22 覆われていない領域
24 小カバー
24A 嵌め込みカバー
24B 大カバー
25 はみ出す領域
3 構造部材
31 第1構造部材
311 壁締結部
32 第2構造部材
321 一端(壁側)
322 他端
323 カバー部材掛止部
324 締結孔
33 第3構造部材
331 蓋部
332 階段状変形部
333 面部(取付面)
334 上段部(カバー側面)
4 角部
41 長孔
42 軸
43 カバー取付孔
45 締結部材
5 調節部
51 角度調節部
52 長さ調節部
53 変形調節部
55 多機能調節部
6 固定部
61 ビス孔
62 ビス
7 壁
71 凹凸(不陸)
73 壁孔
75 奥壁
76 後壁
77 天井
78 天井との隙間
S 上下にある第2構造部材の先端の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15