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特開2024-122283トンネル用ブーム制御装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122283
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】トンネル用ブーム制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
E21D11/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029735
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】山本 信吾
(72)【発明者】
【氏名】谷口 信博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠
(72)【発明者】
【氏名】今里 真之
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA06
2D155BB02
2D155DB02
2D155DB06
2D155LA12
(57)【要約】
【課題】径が互いに異なる複数の扇形を繋ぎ合わせた断面形状のトンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させる。
【解決手段】本発明は、ブーム101の先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データと、半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネル200の断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データと、ブーム101とトンネル200の断面の位置関係を示す位置関係データとに基づき、複数の扇形の中のブーム101の先端の位置を内包する扇形を特定し、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離を一定に保ちながら、ブーム101の先端をトンネル200の断面の周方向に移動させるブーム制御装置10を提供する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ブームの旋回角度に基づき、前記ブームの先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データを生成する位置管理部と、
半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける断面輪郭形状データ受付部と、
前記ブームと、前記トンネルの断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける位置関係データ受付部と、
前記先端位置データと、前記断面輪郭形状データと、前記位置関係データとに基づき、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させるブーム制御部と、
を有するブーム制御装置。
【請求項2】
前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端と前記トンネルの内壁との距離を一定に保ちながら前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる輪郭モードと、ユーザ操作に応じて前記ブームの複数の動作機構を独立して動かしながら前記ブームの先端を移動させる手動モードとを含み、
前記手動モードで前記ブームの先端を移動させた後、前記輪郭モードに切り替える操作を受付けると、前記輪郭モードに切り替わったタイミングにおいて複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、その時点の前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる請求項1に記載のブーム制御装置。
【請求項3】
前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端の移動に応じて、前記ブームの先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出するとともに、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形を特定し、
前記ブームの先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出した後、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる請求項1又は2に記載のブーム制御装置。
【請求項4】
前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端と前記トンネルの内壁との距離を一定に保ちながら前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる輪郭モードに切り替わったことに応じて、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定するとともに、その時点の前記ブームの先端と前記トンネルの内壁との距離である基準距離を算出して登録し、
前記ブームの先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出した後、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形の半径から前記基準距離を引いた対象距離を算出し、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を前記対象距離に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる請求項3に記載のブーム制御装置。
【請求項5】
前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端を、前記トンネルの内壁に沿って時計回りに移動させるか、反時計回りに移動させるかを特定する周方向移動操作と、
前記ブームの先端と前記トンネルの内壁の距離を調整する距離調整操作と、
を受付ける請求項1又は2に記載のブーム制御装置。
【請求項6】
前記ブーム制御部は、
前記距離調整操作に応じて、前記ブームの先端を、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端の位置とを結ぶ直線に沿って移動させる請求項5に記載のブーム制御装置。
【請求項7】
コンピュータが、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ブームの旋回角度に基づき、前記ブームの先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データを生成する位置管理工程と、
半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける断面輪郭形状データ受付工程と、
前記ブームと、前記トンネルの断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける位置関係データ受付工程と、
前記先端位置データと、前記断面輪郭形状データと、前記位置関係データとに基づき、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させるブーム制御工程と、
を実行するブーム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム制御装置、及びブーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1乃至4に開示されている。
【0003】
特許文献1乃至3は、トンネルの内壁へのコンクリート吹付作業に関する技術を開示している。特許文献1は、吹付ノズルの先端部の位置を予め定められた平面内に維持する制御を実行する装置を開示している。特許文献2は、アームの先端がトンネルの断面における同一平面上を略円運動するように制御する装置を開示している。特許文献3は、予め手入力等で設定したトンネル断面形状関数、吹付距離、及び機体基準位置に基づき、トンネルの内壁から所定距離の位置を示すノズル位置関数を求め、当該ノズル位置関数で示される位置上に吹付ノズルを位置させるよう制御する装置を開示している。
【0004】
特許文献4は、ブームの先端を目的位置に移動させるためのブーム制御方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-199784号公報
【特許文献2】特開2007-44663号公報
【特許文献3】特開2000-213293号公報
【特許文献4】特開2017-78684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トンネルの内壁へのコンクリート吹付作業においては、トンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保って吹付作業を行うことが要求されることがある。このため、トンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させる技術が求められている。
【0007】
特許文献1及び2に開示の技術によれば、吹付ノズルの位置を同一平面内に維持しながら、吹付ノズルを移動させることができる。しかし、特許文献1及び2は、トンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させる技術を開示していない。
【0008】
特許文献3に開示の技術によれば、ノズル位置関数で示される位置上に吹付ノズルを位置させるよう制御することで、トンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保つことができる。しかし、特許文献3は、ノズル位置関数の具体例、及びノズル位置関数に基づく制御の具体例を開示していない。トンネルの断面輪郭形状は、半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状となり得る(例えば、3心円や5心円等)。断面形状がこのような複雑な形状となっているトンネルの内壁との距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させるためには、特別な技術が必要となる。
【0009】
特許文献4は、トンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させる技術を開示していない。
【0010】
本発明の目的の一例は、上述した問題を鑑み、半径が互いに異なる複数の扇形を繋ぎ合わせた断面形状のトンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させるという課題を解決するブーム制御装置及びブーム制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ブームの旋回角度に基づき、前記ブームの先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データを生成する位置管理部と、
半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける断面輪郭形状データ受付部と、
前記ブームと、前記トンネルの断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける位置関係データ受付部と、
前記先端位置データと、前記断面輪郭形状データと、前記位置関係データとに基づき、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させるブーム制御部と、
を有するブーム制御装置が提供される。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、
コンピュータが、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ブームの旋回角度に基づき、前記ブームの先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データを生成する位置管理工程と、
半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける断面輪郭形状データ受付工程と、
前記ブームと、前記トンネルの断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける位置関係データ受付工程と、
前記先端位置データと、前記断面輪郭形状データと、前記位置関係データとに基づき、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させるブーム制御工程と、
を実行するブーム制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、半径が互いに異なる複数の扇形を繋ぎ合わせた断面形状のトンネルの内壁と吹付ノズルとの距離を一定に保ちながら吹付ノズルを移動させるという課題を解決するブーム制御装置及びブーム制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上述した目的、及びその他の目的、特徴及び利点は、以下に述べる公的な実施の形態、及びそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0015】
図1】ブーム制御装置が行う制御の概要を説明するための図である。
図2】ブームの構成の一例を示す図である。
図3】ブーム制御装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図4】ブーム制御装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図5】ブーム制御装置が受付ける断面輪郭形状データの一例を示す図である。
図6】位置関係データを説明するための図である。
図7】ブーム制御装置が行う制御の一例を説明するための図である。
図8】ブーム制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】ブーム制御装置が行う制御の一例を説明するための図である。
図10】位置関係データを登録する処理を説明するための図である。
図11】ブームの先端の位置を内包する扇形を特定する処理の一例を説明するための図である。
図12】ブームの先端の位置を内包する扇形を特定する処理の一例を説明するための図である。
図13】ブームの先端の位置を内包する扇形を特定する処理の一例を説明するための図である。
図14】特定する座標の一例を示す図である。
図15】ブーム制御装置が行う制御の一例を説明するための図である。
図16】ブームの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、全ての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
<第1の実施形態>
「概要」
本実施形態のブーム制御装置10は、図1に示すように、ブーム101の先端がトンネル200の断面輪郭に沿ってトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながらトンネル200の周方向に移動するように、ブーム101の動作を制御する。
【0018】
トンネル200の断面輪郭形状は、半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状である(例えば、3心円や5心円等)。ブーム制御装置10は、特徴的な制御により、このような断面輪郭形状のトンネル200に対して、上述のようなブーム101の先端の移動を実現する。以下、詳細に説明する。
【0019】
「ブームの構成」
ブーム制御装置10が制御するブーム101の構成について説明する。本実施形態において、ブーム101の構成は特段制限されず、周知のあらゆる構成を採用できる。ただし、ブーム制御装置10は、ブーム101の先端がトンネル200の断面輪郭に沿ってトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながらトンネル200の周方向に移動するように、ブーム101の動作(ブーム101の姿勢)を制御する用途での利用に好適である。このような用途としては、トンネル200の内壁へのコンクリート吹付作業等が例示されるが、これに限定されない。
【0020】
ブーム101や、ブームを搭載した車両102の構成は、例えば特許文献1に開示の構成と同様なものとすることができる。以下、図2を用いて本実施形態のブーム101の構成の一例を説明する。ブーム101は、第1の構成部品104と、第2の構成部品100と、第3の構成部品103とを含むことができる。車両102に第1の構成部品104が接続されている。そして、第1の構成部品104に第2の構成部品100が接続されている。そして、第2の構成部品100に第3の構成部品103が接続されている。第1の構成部品104は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能に構成されている。ブーム101には、第1の構成部品104の長さ、起伏角度及び旋回角度を検出するセンサが取り付けられている。第2の構成部品100は、アームである。第3の構成部品103は、ノズルである。
【0021】
図16を用いて、ブーム101の構成をより詳細に説明する。図16(a)(b)に示すように、支持部材6(第1の構成部品104)は、移動台車5に取り付けられた構成部品6aと、構成部品6aに取り付けられた角筒状の構成部品6b(アウターブーム)と、構成部品6bに挿入された角柱状の構成部品6c(インナーブーム)と、を備えている。また、構成部品6cに取り付けられた構成部品6dと、構成部品6dに取り付けられた構成部品6eと、を備えている。
【0022】
移動台車5と構成部品6aとの間には、鉛直方向に延びている軸を回転軸(以下、「回転軸9a」とも呼ぶ)とする回転関節(以下、「関節10a」とも呼ぶ)からなるブームスイング機構が形成されている。また、構成部品6aと構成部品6bとの間には、移動台車5の左右方向(水平方向)に延びている軸を回転軸(以下、「回転軸9b」とも呼ぶ)からなるブームリフト機構とする回転関節(以下、「関節10b」とも呼ぶ)が形成されている。さらに、構成部品6bと構成部品6cとの間には、構成部品6bの長手方向に延びている直動軸(以下、「直動軸9c」とも呼ぶ)に沿って伸縮する直動関節(以下、「関節10c」とも呼ぶ)からなるブームスライド機構が形成されている。すなわち、関節10aは移動台車5と構成部品6aとを相対変位可能とし、関節10bは構成部品6aと構成部品6bとを相対変位可能とし、関節10cは構成部品6bと構成部品6cとを相対変位可能とする。
【0023】
構成部品6cと構成部品6dとの間には、回転軸9bと平行な移動台車5の左右方向に延びている軸を回転軸(以下、「回転軸9d」とも呼ぶ)とする回転関節(以下、「関節10d」とも呼ぶ)からなるアームチルト機構が形成されている。また、構成部品6dと構成部品6eとの間には、回転軸9dと直交する方向に延びている軸を回転軸(以下、「回転軸9e」とも呼ぶ)とする回転関節(以下、「関節10e」とも呼ぶ)からなるアームスイング機構が形成されている。図16(a)(b)の例では、回転軸9eは、回転軸9a(鉛直方向に延びている軸)と平行となっている。
【0024】
吹付ヘッド装置7(第2の構成部品100)は、支持部材6の構成部品6eに取り付けられた構成部品7fと、構成部品7fに取り付けられた構成部品7gとを備えている。構成部品7gには、コンクリートを噴射する吹付ノズル7h(第3の構成部品103)が取り付けられている。構成部品6eと構成部品7fとの間には、回転軸9eと直交する方向に延びている直動軸(以下、「直動軸9f」とも呼ぶ)に沿って伸縮する直動関節(以下、「関節10f」とも呼ぶ)からなるノズルスライド機構が形成されている。図16(a)(b)の例では、直動軸9fは、直動軸9cと平行となっている。構成部品7fと構成部品7gとの間には、直動軸9fと平行な方向に延びている軸を回転軸(以下、「回転軸9g」とも呼ぶ)とする回転関節(以下、「関節10g」とも呼ぶ)からなるノズルスイング機構が形成されている。また、構成部品7gと吹付ノズル7h(構成部品)との間には、回転軸9gと直交する方向に延びている軸を回転軸(以下、「回転軸9h」とも呼ぶ)とする回転関節(以下、「関節10h」とも呼ぶ)からなるノズルチルト機構が形成されている。図16(a)(b)の例では、回転軸9hは、回転軸9b(左右方向に延びている軸)と平行となっている。
【0025】
ブーム制御装置10は、関節10a~10hを駆動(回転、伸縮)させる。例えば、関節10a~10hのそれぞれに設けられた油圧シリンダや電動モータ等を制御することができる。例えば、関節10aの駆動には、油圧シリンダや電動モータ等として、スイングマスターシリンダ11aやブームスイングシリンダ11bが用いられる。また、関節10bの駆動には、チルトマスターシリンダ11cやブームチルトシリンダ11dが用いられる。さらに、関節10cの駆動には、ブームスライドシリンダ11eが用いられる。また、関節10dの駆動には、アームチルトシリンダ11fが用いられる。さらに、関節10eの駆動には、アームスイングシリンダ11gが用いられる。また、関節10fの駆動には、ノズルスライドシリンダ11hが用いられる。さらに、関節10gの駆動には、ノズルスイングモータ11iが用いられる。また、関節10hの駆動には、ノズルチルトシリンダ11jが用いられる。
【0026】
「ハードウエア構成」
次に、ブーム制御装置10のハードウエア構成の一例を説明する。ブーム制御装置10の各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(予め装置を出荷する段階から格納されているプログラムの他、CD(Compact Disc)等の記録媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
図3は、ブーム制御装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。図3に示すように、ブーム制御装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。ブーム制御装置10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、ブーム制御装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0028】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0029】
「機能構成」
次に、本実施形態のブーム制御装置10の機能構成を詳細に説明する。図4に、ブーム制御装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、ブーム制御装置10は、位置管理部11と、断面輪郭形状データ受付部12と、位置関係データ受付部13と、ブーム制御部14とを有する。
【0030】
断面輪郭形状データ受付部12は、トンネル200の断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける。ユーザが、トンネル200の設計データ等に基づきトンネル200の断面輪郭形状を示す各種数値を特定し、特定した数値をブーム制御装置10に入力する。
【0031】
上述のように、トンネル200の断面輪郭形状は、半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状である。断面輪郭形状データ受付部12は、このようなトンネル200の断面輪郭形状を示す各種データの入力を受付けるように構成されている。
【0032】
図5に、断面輪郭形状データ受付部12が受付けるデータの一例を示す。図示する例のトンネル200の断面輪郭形状は、半径が互いに異なる3つの扇形の弧を繋ぎ合わせた形状となっている。具体的には、図示する例のトンネル200の断面輪郭形状は、半径R1の1つの扇形(1)と、半径R2の2つの扇形(2)と、半径R3の2つの扇形(3)の弧を繋ぎ合わせた形状となっている。より詳細には、図示する例のトンネル200の断面輪郭形状は、扇形(3)、扇形(2)、扇形(1)、扇形(2)及び扇形(3)の弧をこの順に繋ぎ合わせた形状となっている。図5に示す例のトンネル200の場合、断面輪郭形状データ受付部12は、3つの扇形各々の半径R1乃至R3と、3つの扇形各々の中心角A1乃至A3の入力を受付ける。
【0033】
また、断面輪郭形状データ受付部12は、各扇形の2本の半径が交わる点の位置を指定する入力を受付けてもよい。変形例として、断面輪郭形状データ受付部12は、入力された各扇形の半径と中心角とに基づき、複数の扇形の弧が互いに繋がるように各扇形の2本の半径が交わる点の位置を自動的に算出してもよい。
【0034】
また、断面輪郭形状データ受付部12は、トンネル200の断面輪郭形状の大きさを示すデータの入力を受付けることもできる。断面輪郭形状データ受付部12は、例えばトンネル200の断面の高さや幅を示すデータの入力を受付けることができる。図5に示す例の場合、断面輪郭形状データ受付部12は、トンネル200の最下部の幅W2(トンネル200と地面とが当接する箇所間の距離)、トンネル200の断面輪郭上の点の中のトンネル200の幅方向の中心軸からの距離が最も大きい点(以下、「第1の地点」)とその中心軸との距離W1、地面から第1の地点までの高さH2、第1の地点からトンネル200の最上部までの高さH1等の入力を受付けることができる。なお、トンネル200の幅方向の中心軸上の地面からの高さH2の点をトンネル中心と定義する。
【0035】
断面輪郭形状データ受付部12は、例えば図5に示すような画像を表示し、各パラメータの入力を受付けてもよい。このように構成した場合、ユーザは、各パラメータの内容を直感的に把握できる。
【0036】
なお、トンネル200の断面輪郭形状は、図5に示すものに限定されない。例えば、トンネル200の断面輪郭形状は、半径が互いに異なる2つの扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であってもよい。また、トンネル200の断面輪郭形状は、半径が互いに異なる4つ以上の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であってもよい。
【0037】
図4に戻り、位置関係データ受付部13は、ブーム101と、トンネル200の断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける。
【0038】
上述の通り、ブーム101は車両102に取り付けられている。このため、ブーム101の位置、及び、ブーム101とトンネル200との位置関係は、車両102の移動に応じて変化する。上記位置関係データは、車両102の位置をある位置に固定した状態での、ブーム101とトンネル200との位置関係を示すデータである。車両102の位置が変化すると、位置関係データの再入力が必要となる。
【0039】
本実施形態のブーム101の動作を行う上で、車両102の位置を細かく調整し、車両102をトンネル200の中心に置くことを条件とした場合、車両102とトンネル200との位置関係は、必ず、図6に示す車両102と、図中「車両基準」として一点鎖線で示すトンネル200との関係となる。このような車両102の位置の条件を車両102のオペレータに課す場合、上記位置関係データの入力は不要となる。しかし、このような細かな位置調整が必要となる場合、車両102のオペレータの負担が大きくなる。
【0040】
本実施形態のブーム制御装置10は、このような細かな位置調整を不要とする構成を備える。本実施形態のブーム制御装置10の場合、図示する「実際のトンネル位置」と車両102の位置との関係のように、車両102の位置がトンネル200の中心からずれていてもよい。このようなズレが生じている状態であっても、ブーム制御装置10は、入力された位置関係データにより、ズレの状態(方向、量)を把握することができる。そして、その内容に基づき、ワールド座標系で、ブーム101とトンネル200の断面輪郭との位置関係を把握することができる。上記ズレは、トンネル200の断面に平行な方向のズレを意味する。
【0041】
ここで、位置関係データの入力を受付ける手段の一例を説明する。まず、ユーザは、車両102を移動させ、車両102の位置をある位置に固定させる。この時、ユーザは、車両102とトンネル200の向きが所定の関係(例:車両102の進行方向とトンネル200の延伸方向とが略平行)となるようにすることが好ましい。
【0042】
そして、ユーザは、車両102の位置をその位置に固定した状態でブーム101を動作させ、ブーム101の所定部分、例えば第3の構成部品103をトンネル200の内壁の所定箇所に当接させる。第3の構成部品103を当接させるトンネル200の内壁の所定箇所は、例えば図6に示すように、トンネル中心の真上(トンネル200の最上部)であるが、これに限定されない。ユーザは、第3の構成部品103を例えば支保工センタに当接させて、所定の登録操作を行う。当該ブーム101の動作は、例えば手動動作で実現される。
【0043】
位置関係データ受付部13は、上記登録操作に応じて、上記当接した状態でのブーム101の姿勢を示すデータを位置関係データとして受付ける。ブーム101の姿勢を示すデータは、ブーム101の各箇所に取り付けられたセンサの値に基づき特定される。センサの値は、例えばブーム101の長さ、起伏角度及び旋回角度(第1の構成部品104の長さ、起伏角度及び旋回角度)を示す。
【0044】
そして、位置関係データ受付部13は、当該位置関係データと、断面輪郭形状データ受付部12が受付けた断面輪郭形状データとに基づき、ブーム101とトンネル200の相対的な位置関係を示すデータを算出する。ブーム101とトンネル200の相対的な位置関係を示すデータは、ワールド座標系におけるブーム101の所定箇所の座標及びトンネル中心の座標で示される。すなわち、ワールド座標系で示されるこれらの座標により、ブーム101とトンネル200の相対的な位置関係が示される。ワールド座標系の原点はトンネル基準で定められてもよいし、ブーム101基準で定められてもよい。本実施形態では、図5及び図6に示すトンネル中心をワールド座標系の原点とする。そして、トンネルの左右方向をX軸方向とし、トンネルの高さ方向をY軸方向とする。
【0045】
ここで、図14を用いて、トンネル中心を原点としたワールド座標系において、ブーム101の所定箇所の座標を算出する処理について説明する。
【0046】
まず、図示する「A:トンネル頂点座標」は、断面輪郭形状データ受付部12が受付けた断面輪郭形状データに基づき特定される。図5を用いて説明したように、断面輪郭形状データは、トンネル中心からトンネル200の最上部までの高さH1を含む。「A:トンネル頂点座標」は、原点から高さH1分だけトンネルの高さ方向に移動させた点である。縮尺は任意に設定できる。
【0047】
「B:ノズル先端とノズル基点の相対位置」は、ノズル先端とノズル基点の相対位置関係を示す。ノズル先端は、ブーム101のトンネル200の所定位置(トンネル200の最上部)に当接させる箇所であり、第3の構成部品103の先端である。ノズル基点は、第2の構成部品100と第1の構成部品104との接続箇所である。ノズル先端とノズル基点の距離は、不変値であってもよい。この場合、予め当該値がブーム制御装置10に登録されている。ノズル先端とノズル基点を結ぶ直線の傾きは、上述したブーム101に備えられたセンサの値に基づき特定することができる。その他、図14に示すようにブーム101をトンネル200に当接する際のルールとして、第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢(傾き等)が定められていてもよい。そして、ユーザは第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢をこのルールで示される状態に保って、ブーム101をトンネル200に当接させてもよい。この場合、第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢(傾き等)は不変値となるので、予めブーム制御装置10に登録しておくことができる。
【0048】
ここで、ブーム101をトンネル200に当接する際のルールの一例を説明する。図10に、当該ルールに従いブーム101をトンネル200の内壁に当接させる様子の一例を示す。なお、図10では、車両102の記載は省略している。例えば、図10に示すように、第2の構成部品100の延伸方向がトンネル200の延伸方向と平行になり、第3の構成部品103が真上を向く状態とする。当該ルールは、コンクリート吹付作業を行う場合にも適用されてもよい。なお、第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢を示すセンサ値に基づき、第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢を特定する場合、このようなルールに基づく制御は不要となる。
【0049】
「C:ノズル基点座標」は、第2の構成部品100と第1の構成部品104との接続箇所の座標である。「C:ノズル基点座標」は、「B:ノズル先端とノズル基点の相対位置」を示す情報と「A:トンネル頂点座標」とに基づき特定される。すなわち、上述のように特定された「A:トンネル頂点座標」がノズル先端の座標となるので、その座標との関係が「B:ノズル先端とノズル基点の相対位置」を満たすように、「C:ノズル基点座標」を特定することができる。
【0050】
「D:車両中心とノズル基点の相対位置」は、車両中心とノズル基点の相対位置関係を示す。車両中心は、第1の構成部品104と車両102との接続箇所である。ノズル基点は、第2の構成部品100と第1の構成部品104との接続箇所である。このようなノズル基点と車両中心の相対位置関係は、位置関係データ受付部13が受付けた位置関係データで示される。すなわち、図14に示すようにブーム101をトンネル200に当接させた状態でのブーム101の姿勢を示すデータにより、ノズル基点と車両中心の相対位置関係が示される。
【0051】
「E:車両中心座標」は、第1の構成部品104と車両102との接続箇所の座標である。「E:車両中心座標」は、「D:車両中心とノズル基点の相対位置」を示す情報と、「C:ノズル基点座標」とに基づき特定される。すなわち、上述のように特定された「C:ノズル基点座標」との関係が「D:車両中心とノズル基点の相対位置」を満たすように、「E:車両中心座標」を特定することができる。
【0052】
なお、ここではトンネル中心をワールド座標系の原点とし、そこを基準に、各種座標を算出する例を説明した。変形例として、上述の通り、ブーム101基準でワールド座標系の原点を定めることもできる。例えば、上述した「E:車両中心座標」をワールド座標系の原点とすることもできる。この場合、上述した処理と逆の流れで、「C:ノズル基点座標」、「A:トンネル頂点座標」及びトンネル中心の座標を算出することができる。
【0053】
また、変形例として、位置関係データ受付部13は、ブーム101をトンネル200の内壁の所定の複数箇所に当接させた時のブーム101の先端の位置を示す位置データを、位置関係データとして受付けてもよい。そして、ブーム制御装置10は、当該位置関係データに基づき、特許文献1に開示のような「ブーム101の先端の位置を予め定められた平面内に維持する制御」を行ってもよい。
【0054】
図4に戻り、位置管理部11は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブーム101の先端の位置を所定の座標系(ワールド座標系)で示す先端位置データを生成する。先端位置データは、ブーム101の任意の箇所の位置を示す。好ましくは、先端位置データは、第3の構成部品103の先端の位置を示す。位置管理部11は、ブーム101の長さ、ブーム101の起伏角度、及びブーム101の旋回角度に基づき、上述のような先端位置データを生成する。位置管理部11は、上述したワールド座標系での「E:車両中心座標」と、「B:ノズル先端とノズル基点の相対位置」と、センサの値が示す各タイミングでの「D:車両中心とノズル基点の相対位置」に基づき、先端位置データを生成することができる。
【0055】
なお、「B:ノズル先端とノズル基点の相対位置」は、第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢を検出するセンサの値に基づき求めてもよい。その他、予め登録されたノズル先端とノズル基点の相対的な位置関係を示すオフセット情報が利用されてもよい。後者の場合、第2の構成部品100及び第3の構成部品103の姿勢を検出するセンサをブーム101に設置する必要がない。結果、コスト面等でのメリットが得られる。
【0056】
図4に戻り、ブーム制御部14は、ブーム101の先端の位置を示す先端位置データと、トンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データと、ブーム101とトンネル200の断面の位置関係を示す位置関係データとに基づきブーム101の姿勢を制御し、ブーム101の先端を移動させる。ブーム制御部14は、図7に示すように、ブーム101の先端(第3の構成部品103の先端)を、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながら、トンネル200の断面輪郭に沿って、トンネル200の周方向に移動させる。以下、このようなブーム101の先端の移動を実現する処理を説明する。
【0057】
まず、ブーム制御部14は、トンネル200の断面輪郭形状を構成する複数の扇形の中のいずれの扇形の中に、ブーム101の先端が位置するかを特定する。「ブーム101の先端の位置」は、先端位置データで示される位置である。すなわち、ブーム101の先端は、好ましくは、第3の構成部品103の先端である。その後、ブーム制御部14は、特定した扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101先端との距離を算出する。特定した扇形の2本の半径が交わる点は、その扇形と同じ長さの半径を有し、その扇形の弧を円弧の一部として有する円の中心と同じ点である。
【0058】
そして、ブーム制御部14は、特定した扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離を一定(上記算出した距離)に保ちながら、ブーム101の先端をトンネル200の断面の周方向に移動させる。このように移動させることで、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながらブーム101の先端をトンネル200の断面輪郭に沿って周方向に移動させることができる。ちなみに、移動の間維持される「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」は、「ブーム101の先端の位置を内包する扇形の半径」から「ブーム101の先端とその扇形の2本の半径が交わる点との距離」を引いた値となる。なお、当該移動の間、ブーム制御部14は、ブーム101の先端を略同一平面内で(トンネル200の1つの断面内で)、移動させる。
【0059】
ここで、ブーム101の先端の位置を内包する扇形を特定する処理の一例を、図11及び図12を用いて説明する。なお、以下で説明する処理はあくまで一例であり、その他の処理で当該特定を実現してもよい。ここでは、図11に示すように、ブーム101の先端を反時計回りに移動させている時の処理を説明する。まず、図12に示すように、扇形毎に、扇形の開始角度を示す方向ベクトル、扇形の終了角度を示す方向ベクトル、扇形の2本の半径が交わる点からブーム101の先端の位置に向けたベクトルを定義する。
【0060】
ベクトルnm_startは、エリアmの扇形の開始角度を示す方向ベクトルである。
ベクトルnm_stopは、エリアmの扇形の終了角度を示す方向ベクトルである。
ベクトルVmは、エリアmの扇形の2本の半径が交わる点からブーム101の先端の位置に向けたベクトルである。
【0061】
ブーム制御部14は、図12に示すように、ベクトルnm_startとベクトルVmの外積、及びベクトルVmとベクトルnm_stopの外積が所定条件を満たす場合、ブーム101の先端の位置はエリアmの扇形に内包されると判断することができる。
【0062】
ところで、図13に示すように、複数の扇形は互いに重なりあう場合がある。そして、複数の扇形が重なり合うエリアにブーム101の先端が位置する場合がある。このような場合、ブーム制御部14は、ブーム101の先端の位置を内包する扇形として、複数の扇形を特定してしまう。そこで、ブーム制御部14は、このような場合に1つの扇形を特定する手段を備える。具体的には、まず、ブーム制御部14は、その複数の扇形各々の弧と、ブーム101の先端との距離を求める。そして、ブーム制御部14は、その複数の扇形の中の当該距離が最も小さい扇形を特定する。ブーム制御部14は、ブーム101の先端がこのようにして特定した1つの扇形の中にあるものとして、上記制御を行う。図13の場合、エリア1、3及び6の扇形がブーム101の先端の位置の内包している。そこで、ブーム制御部14は、その複数の扇形各々の弧と、ブーム101の先端との距離d、d及びdを求める。そして、ブーム制御部14は、当該距離が最も小さいエリア3の扇形がブーム101の先端の位置を内包すると特定する。
【0063】
ところで、ブーム101の先端の移動に応じて、ブーム101の先端の位置を内包する扇形は切り替わる。次に、ブーム101の先端の位置を内包する扇形が切り替わった場合の処理を説明する。
【0064】
ブーム制御部14は、ブーム101の先端の移動に応じて、ブーム101の先端の位置を内包する扇形が切り替わっていないか監視する。ブーム制御部14は、ブーム101の先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出すると、新たにブーム101の先端の位置を内包することとなった扇形を特定する。そして、ブーム制御部14は、その扇形の中での移動において維持する「その扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離」を決定する。次いで、ブーム制御部14は、その扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離を一定(上記決定した距離)に保ちながら、ブーム101の先端をトンネル200の断面の周方向に移動させる。
【0065】
ここで、新たにブーム101の先端の位置を内包することとなった扇形の中での移動において維持するその扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離(以下、「対象距離」と呼ぶ)を決定する処理について説明する。
【0066】
当該処理の一例として、ブーム101の先端の位置を内包する扇形が切り替わったタイミングにおけるその扇形(新たにブーム101の先端の位置を内包することとなった扇形)の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離を、対象距離として算出する例が考えられる。しかし、ブーム101の先端が前の扇形の中を移動している間に「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」が制御誤差の範囲内でずれる可能性がある。そして、そのずれが生じている状態でブーム101の先端の位置が他の扇形に切り替わると、当該算出例の場合、そのずれている状態の距離が維持する距離として決定されてしまう。結果、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の切り替わりに応じて、「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」が徐々に変化していく恐れがある。
【0067】
そこで、当該不都合を抑制するため、ブーム制御部14は、以下のようにして対象距離を算出することができる。まず、ブーム制御部14は、最初にブーム101の先端の位置を内包する扇形(例えば、後述する輪郭モードに切り替わったタイミングでブーム101の先端の位置を内包する扇形)を特定する。次いで、ブーム制御部14は、特定した扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端とのその時点における距離を、その扇形の中を移動している間維持する扇形の2本の半径が交わる点とブーム101の先端との距離として決定する。次いで、ブーム制御部14は、その時の「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」を算出する。当該「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」は、「ブーム101の先端の位置を内包する扇形の半径」から「ブーム101の先端とその扇形の2本の半径が交わる点との距離」を引いた値となる。そして、ブーム制御部14は、算出した「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離(基準距離)」を登録しておく。
【0068】
そして、ブーム制御部14は、ブーム101の先端の位置を内包する扇形が切り替わると、「その扇形(新たにブーム101の先端の位置を内包することとなった扇形)の半径」から上記登録している「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離(基準距離)」を引いた値を、対象距離として算出する。このように対象距離を算出することで、ブーム101の先端の位置を内包する扇形が切り替わっても、「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」を一定(基準距離)に保つことができる。
【0069】
なお、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離を一定に保ちながらブーム101の先端を移動させる処理を実現する手段は様々である。例えば、ブーム101の先端を移動させるトンネルの断面(平面)内の点であって、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点からの距離が所定の値となる点の集合を示す関数を求めることができる。ブーム101の先端がこの関数によって示される点上に位置するようにブーム101の先端を移動させることで、上記移動を実現できる。なお、ここで例示した処理はあくまで一例であり、上記移動を実現する処理はこれに限定されない。ブーム101の先端を、ワールド座標系の所定位置を目標位置として移動させる手段は、広く知られているので、ここでの説明は省略する。
【0070】
なお、図7に示すように、トンネル200の内壁に沿った周方向の移動は、時計回りの移動と、反時計回りの移動の2パターンがある。ブーム制御部14は、いずれの周方向に移動させるかを特定するユーザ入力を受付けることができる。また、ブーム制御部14は、ブーム101の先端の移動速度を特定するユーザ入力を受付けることができる。そして、ブーム制御部14は、ユーザ入力で特定された周方向に、ユーザ入力で特定された移動速度で、ブーム101の先端を移動させることができる。
【0071】
当該ユーザ入力を受付ける手段の一例として、操作レバーの利用が考えられる。この例の場合、操作レバーを所定方向に傾ける操作により、時計回りの移動が指定される。また、操作レバーを他の所定方向に傾ける操作により、反時計回りの移動が指定される。そして、操作レバーを傾ける量により、ブーム101の先端の移動速度が指定される。なお、操作レバーの利用はあくまで一例であり、他の入力装置により、移動方向及び移動速度が指定されてもよい。
【0072】
ブーム制御部14は、輪郭モードと手動モードを含む複数のモードを備えることができる。「輪郭モード」は、上述したブーム101の先端を、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながら、トンネル200の断面輪郭に沿って、トンネル200の周方向に移動させるモードである。「手動モード」は、ブーム101の先端の移動において輪郭モードのような制限がなく、ユーザの操作に応じてブーム101が備える複数の動作機構を独立して動かしながら、ブーム101の先端を自由に任意の方向に移動させることができるモードである。
【0073】
ブーム101が備える複数の動作機構は、上述したように、ブームスイング機構、ブームリフト機構、ブームスライド機構、アームチルト機構、アームスイング機構、ノズルスライド機構、ノズルスイング機構、ノズルチルト機構等を含む。ちなみに、輪郭モードでは、ブームスイング機構、ブームリフト機構及びブームスライド機構の動作が自動制御される。
【0074】
そして、ブーム制御部14は、手動モードでブーム101の先端を移動させた後、輪郭モードに切り替わると、輪郭モードに切り替わったタイミングにおいて複数の扇形の中のブーム101の先端の位置を内包する扇形を特定し、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端とのその時点の距離を算出し、登録する。そして、ブーム制御部14は、登録した距離を一定に保ちながら、ブーム101の先端をトンネル200の断面の周方向に移動させることができる。
【0075】
ユーザは、図15に示すように、まず、手動モードでブーム101の先端を任意の場所に移動する。そして、ユーザは、手動モードにおいて、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を所望の状態とする。この状態で、ユーザは、手動モードから輪郭モードに切り替える。そして、ユーザは、輪郭モードで、ブーム101の先端を、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながら、トンネル200の断面輪郭に沿って、トンネル200の周方向に移動させる。モードの切替は、スイッチ操作等、任意の手段で実現される。
【0076】
このように、複数のモードが存在する場合、モード毎に操作対象(操作レバーや操作ボタン)を用意すると、操作対象の数が多くなり、作業性が悪くなる。そこで、各操作対象への操作で入力される指示内容は、その時のモードに応じて変更されてもよい。このようにすれば、各操作対象を複数の操作用に利用することができる。
【0077】
次に、図8のフローチャートを用いて、ブーム制御装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0078】
図8に示す処理の前に、ユーザは、ブーム101と、トンネル200の断面の位置関係を示す位置関係データを入力する作業を行う。
【0079】
具体的には、ユーザは、車両102を移動させ、車両102の位置をトンネル200内の所定位置に固定させる。
【0080】
そして、ユーザは、車両102の位置をその位置に固定した状態でブーム101を動作させ、ブーム101の先端をトンネル200の内壁の所定箇所(例えば支保工センタ)に当接させて、所定の登録操作を行う。当該ブーム101の動作は、例えば上述した手動モードでの手動動作で実現される。
【0081】
ブーム制御装置10は、当該登録操作に応じて、上記当接した状態でのブーム101の姿勢(ブーム101の長さ、起伏角度及び旋回角度)を示すデータを位置関係データとして取得する。そして、図14を用いて説明した手法で、ワールド座標系で、「E:車両中心座標」等の各種座標を算出する。
【0082】
その後、ユーザは、例えば上述した手動モードでの手動動作でブーム101の先端を移動させ、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を所望の状態とする。そして、ユーザは、この状態で、ブーム101の先端をトンネル200の断面輪郭に沿ってトンネル200の周方向に移動させる輪郭モードに切り替える。
【0083】
すると、ブーム制御装置10は、ブーム101の先端の位置を内包する扇形を特定する(S10)。例えば、ブーム制御装置10は、その時点でブーム101の先端が位置するトンネル200の断面における複数の扇形各々のエリアを示すデータと、ブーム101の先端の位置を示す先端位置データとに基づき、先端位置データで示される位置を内包する扇形を特定する。この時、ブーム制御装置10は、その時の「ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離」を算出し、登録しておくことができる。
【0084】
その後、ブーム制御装置10は、ユーザからの操作待ちとなる。ユーザが行う操作は、時計回りの移動又は反時計回りの移動を指定する操作である。また、ユーザが行う操作は、ブーム101の先端の移動速度を指定する操作である。例えば、上述した操作レバーを介して、これらの操作が行われる。
【0085】
ブーム制御装置10は、ユーザ操作(例えば、上記操作レバーを所定方向に所定量倒す操作)に応じて、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端との距離を一定に保ちながら、ブーム101の先端をトンネルの断面の周方向に移動させる(S11)。ブーム制御装置10は、ユーザ操作で指定された方向に、ユーザ操作で指定された移動速度で、ブーム101の先端を移動させる。
【0086】
なお、ユーザは、ブーム101の先端を移動中、ブーム101の先端にある第3の構成部品103からコンクリートを噴射させることができる。例えば、ユーザは、ブーム101の先端の移動を開始する前に、又は移動を開始した直後に、第3の構成部品103からのコンクリートの噴射を開始させる操作を行う。そして、ユーザは、ブーム101の先端をトンネル200の内壁に沿って移動させている間、当該噴射を継続させる。例えばこのようにして、トンネル200の内壁へのコンクリートの吹き付け作業が行われる。
【0087】
「作用効果」
本実施形態のブーム制御装置10によれば、特徴的な制御により、半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた輪郭断面形状のトンネル200の断面輪郭に沿って、トンネル200の内壁との距離を一定に保ちながら、トンネル200の周方向にブーム101の先端を移動させることができる。また、本実施形態のブーム制御装置10は、上記機能構成で説明したように、複数の特徴的な構成を有し、各構成により特徴的な作用効果が実現される。
【0088】
また、本実施形態のブーム制御装置10によれば、ユーザは、図15に示すように、まず、手動モードでブーム101の先端を任意の場所に移動し、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を所望の状態とした状態で、手動モードから輪郭モードに切り替えることができる。そして、ユーザは、輪郭モードで、ブーム101の先端を、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながら、トンネル200の断面輪郭に沿って、トンネル200の周方向に移動させることができる。このような本実施形態のブーム制御装置10によれば、ユーザは、手動モード時に、実際のブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を目視等で確認しながらその距離を所望の状態とすることができる。そして、ユーザは、その状態で輪郭モードに切り替えることができる。このように、本実施形態のブーム制御装置10は、操作性に優れている。ユーザは、現場の状況に応じた任意の地点から任意の距離を保って、ブーム101の先端をトンネル200の内壁に沿って移動させることができる。
【0089】
<第2の実施形態>
本実施形態のブーム制御装置10は、ユーザ操作に応じて、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を調整する機能を有する。以下、詳細に説明する。
【0090】
ブーム制御部14は、第1の実施形態で説明した「ブーム101の先端をトンネル200の断面輪郭に沿ってトンネル200の周方向に移動させる輪郭モード」の間、ユーザから、周方向移動操作と、距離調整操作とを受付けることができる。
【0091】
周方向移動操作は、ブーム101の先端をトンネル200の内壁に沿ってトンネル200の周方向に移動させるための操作である。ブーム制御部14は、周方向移動操作に応じて、図9において「トンネル断面輪郭に沿った周方向移動」として示すように、ブーム101の先端を、トンネル200の断面輪郭に沿ってトンネル200の内壁との距離を一定に保ちながらトンネル200の周方向に移動させる。
【0092】
周方向移動操作では、ブーム101の先端を、トンネル200の内壁に沿って時計回りに移動させるか、反時計回りに移動させるかが指定される。また、周方向移動操作では、ブーム101の先端の移動速度が指定される。これらの操作は、第1の実施形態で説明した通りである。
【0093】
距離調整操作は、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を調整するための操作である。ブーム制御部14は、距離調整操作に応じて、図9において「半径方向への移動」として示すように、ブーム101の先端を、トンネル200の内壁に近づけたり、トンネル200の内壁から遠ざけたりする。
【0094】
距離調整操作では、ブーム101の先端を、トンネル200の内壁に近づけるか、トンネル200の内壁から遠ざけるかが指定される。
【0095】
ブーム制御部14は、このような距離調整操作に応じて、ブーム101の先端を、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端の位置とを結ぶ直線に沿って移動させる。
【0096】
このようなブーム101の先端の移動を実現する手段は様々である。例えば、ワールド座標系において、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端の位置とを結ぶ直線の関数を求める。そして、ブーム101の先端がこの関数によって示される点上に位置するようにブーム101の先端を移動させることで、上記移動を実現できる。なお、ここで例示した処理はあくまで一例であり、上記移動を実現する処理はこれに限定されない。
【0097】
その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
本実施形態のブーム制御装置10によれば、第1の実施形態のブーム制御装置10と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態のブーム制御装置10によれば、ブーム101の先端とトンネル200との距離を調整することができる。
【0099】
また、本実施形態のブーム制御装置10によれば、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を調整する際、ブーム101の先端を、ブーム101の先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、ブーム101の先端の位置とを結ぶ直線に沿って移動させることができる。このように構成することで、ブーム101の先端が対峙するトンネル200の内壁の箇所を変化させずに、ブーム101の先端とトンネル200の内壁との距離を調整することができる。
【0100】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。上述した実施形態の構成は、互いに組み合わせたり、一部の構成を他の構成に入れ替えたりしてもよい。また、上述した実施形態の構成は、趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。また、上述した各実施形態や変形例に開示される構成や処理を互いに組み合わせてもよい。
【0101】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ブームの旋回角度に基づき、前記ブームの先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データを生成する位置管理部と、
半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける断面輪郭形状データ受付部と、
前記ブームと、前記トンネルの断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける位置関係データ受付部と、
前記先端位置データと、前記断面輪郭形状データと、前記位置関係データとに基づき、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させるブーム制御部と、
を有するブーム制御装置。
2. 前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端と前記トンネルの内壁との距離を一定に保ちながら前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる輪郭モードと、ユーザ操作に応じて前記ブームの複数の動作機構を独立して動かしながら前記ブームの先端を移動させる手動モードとを含み、
前記手動モードで前記ブームの先端を移動させた後、前記輪郭モードに切り替える操作を受付けると、前記輪郭モードに切り替わったタイミングにおいて複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、その時点の前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる1に記載のブーム制御装置。
3. 前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端の移動に応じて、前記ブームの先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出するとともに、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形を特定し、
前記ブームの先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出した後、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる1又は2に記載のブーム制御装置。
4. 前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端と前記トンネルの内壁との距離を一定に保ちながら前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる輪郭モードに切り替わったことに応じて、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定するとともに、その時点の前記ブームの先端と前記トンネルの内壁との距離である基準距離を算出して登録し、
前記ブームの先端の位置を内包する扇形が切り替わったことを検出した後、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形の半径から前記基準距離を引いた対象距離を算出し、新たに前記ブームの先端の位置を内包することとなった扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を前記対象距離に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させる3に記載のブーム制御装置。
5. 前記ブーム制御部は、
前記ブームの先端を、前記トンネルの内壁に沿って時計回りに移動させるか、反時計回りに移動させるかを特定する周方向移動操作と、
前記ブームの先端と前記トンネルの内壁の距離を調整する距離調整操作と、
を受付ける1又は2に記載のブーム制御装置。
6. 前記ブーム制御部は、
前記距離調整操作に応じて、前記ブームの先端を、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端の位置とを結ぶ直線に沿って移動させる5に記載のブーム制御装置。
7. コンピュータが、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ブームの旋回角度に基づき、前記ブームの先端の位置を所定の座標系で示す先端位置データを生成する位置管理工程と、
半径が互いに異なる複数の扇形の弧を繋ぎ合わせた形状であるトンネルの断面輪郭形状を示す断面輪郭形状データの入力を受付ける断面輪郭形状データ受付工程と、
前記ブームと、前記トンネルの断面の位置関係を示す位置関係データの入力を受付ける位置関係データ受付工程と、
前記先端位置データと、前記断面輪郭形状データと、前記位置関係データとに基づき、複数の前記扇形の中の前記ブームの先端の位置を内包する扇形を特定し、前記ブームの先端の位置を内包する扇形の2本の半径が交わる点と、前記ブームの先端との距離を一定に保ちながら、前記ブームの先端を前記トンネルの断面の周方向に移動させるブーム制御工程と、
を実行するブーム制御方法。
【符号の説明】
【0102】
10 ブーム制御装置
11 位置管理部
12 断面輪郭形状データ受付部
13 位置関係データ受付部
14 ブーム制御部
100 第2の構成部品
101 ブーム
102 車両
103 第3の構成部品
104 第1の構成部品
200 トンネル
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス
図1
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図3
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