(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122285
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】殺菌方法及び殺菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A61L2/20 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029737
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】516132301
【氏名又は名称】インテグリカルチャー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522138364
【氏名又は名称】桑原 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】桑原 浩輔
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058AA25
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD05
4C058JJ16
4C058JJ26
(57)【要約】
【課題】腐食性が高くなるのを防ぎつつ、高い殺菌性能を得ることが可能な殺菌方法及び殺菌システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る殺菌方法は、過酸化水素ガスを殺菌対象である容器(10)に供給することにより、容器内の相対湿度が70%を超え、かつ、95%以下である第1状態にする第1工程と、第1工程の後に、容器(10)内を第1状態よりも相対湿度の低い第2状態にする第2工程と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素ガスを殺菌対象である容器に供給することにより、前記容器内の相対湿度が70%を超え、かつ、95%以下である第1状態にする第1工程と、
前記第1工程の後に、前記容器内を前記第1状態よりも前記相対湿度の低い第2状態にする第2工程と、を含む殺菌方法。
【請求項2】
請求項1に記載の殺菌方法において、
前記第2状態における前記相対湿度が、45%以上、65%以下である、殺菌方法。
【請求項3】
請求項1に記載の殺菌方法において、
前記第2工程の後に、前記容器内を前記第2状態よりも前記相対湿度が低い第3状態にする第3工程をさらに含む、殺菌方法。
【請求項4】
請求項1~3に記載の殺菌方法において、
前記第1工程の開始後、20分以上、60分以下の経過時間内において、前記過酸化水素ガスの濃度を、40ppm以上、60ppm以下にする、殺菌方法。
【請求項5】
殺菌対象である容器と、過酸化水素ガスを発生させるガス発生器と、前記容器と前記ガス発生器との間を循環する流路と、を備えた殺菌システムであって、
前記殺菌システムは、請求項1に記載の殺菌方法により前記容器を殺菌する、ことを特徴とする殺菌システム。
【請求項6】
請求項5に記載の殺菌システムにおいて、
前記容器を全体的に囲うエンクロージャーをさらに備え、
前記過酸化水素ガスは前記エンクロージャーに供給される、ことを特徴とする殺菌システム。
【請求項7】
請求項5に記載の殺菌システムにおいて、
前記容器は、複数のノズルを含み、
前記流路は、前記複数のノズルのそれぞれと前記ガス発生器との間に形成されている、ことを特徴とする殺菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌方法及び殺菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば特許文献1には、密閉空間に過酸化水素ガスを供給して密閉空間内の殺菌を行う装置が記載されている。この装置では、相対湿度が30%以上70%以下の過酸化水素ガスを供給して、密閉空間内の殺菌を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、高湿度条件下で殺菌を行うと高い殺菌性能を得ることが可能であるが、腐食性が高くなるため、使用可能な条件が制限されることについて言及している(特許文献1の段落0006参照)。つまり、特許文献1では、腐食性が高くなるのを防ぐために、殺菌性能を犠牲にしてでも、過酸化水素ガスの供給開始時の相対湿度を30%以上70%以下としている。
【0005】
そこで、本発明は、腐食性が高くなるのを防ぎつつ、高い殺菌性能を得ることが可能な殺菌方法及び殺菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第一の態様は、過酸化水素ガスを殺菌対象である容器に供給することにより、前記容器内の相対湿度が70%を超え、かつ、95%以下である第1状態にする第1工程と、前記第1工程の後に、前記容器内を前記第1状態よりも前記相対湿度の低い第2状態にする第2工程と、を含む殺菌方法である。
【0007】
本発明の第二の態様は、殺菌対象である容器と、過酸化水素ガスを発生させるガス発生器と、前記容器と前記ガス発生器との間を循環する流路と、を備えた殺菌システムであって、前記殺菌システムは、上記第一の態様に記載の殺菌方法により前記容器を殺菌する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、腐食性が高くなるのを防ぎつつ、高い殺菌性能を得ることが可能な殺菌方法及び殺菌システムを提供できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】殺菌時間に対する過酸化水素ガスの濃度の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る殺菌システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る殺菌システム100の構成図である。
図1に示すように、殺菌システム100は、殺菌対象である容器10と、過酸化水素ガスを発生させるガス発生器30と、コントローラ50と、を備える。容器10とガス発生器30とは、流路L1~L7を介して接続されている。ガス発生器30で発生した過酸化水素ガス(VHP:Vapor Hydrogen Peroxide)は、流路L1を流れて容器10に供給され、流路L2~L7を流れてガス発生器30へと戻る。ここで、流路L1~L7は、例えば管またはホースである。
【0012】
容器10は、その用途や形状は問わないが、例えば、細胞を培養する際に用いられる培養液を貯留するためのチャンバーである。容器10は、例えばステンレス製で構成されているが、その他の材料(ガラスなど)で構成されていても良い。
【0013】
容器10は、複数のノズル11a~11fを有する。ノズル11a~11fは、容器10に培養液を供給したり、排出したり、培養液の状態を監視するためのセンサを挿入したりするなど、あらゆる用途のために設けられている。例えば、ノズル11aは廃液ノズル、ノズル11bは培養液入口ノズル、ノズル11c~11eはセンサ取付用ノズル、ノズル11fは培養液出口ノズルである。本実施形態では、各ノズル11a~11fに対して流路L1~L6が接続されている。ガス発生器30で発生した過酸化水素ガスは、流路L1を介してノズル11aから容器10に供給される。容器10に充満した過酸化水素ガスは、ノズル11b~11fから排出され、流路L2~L6を流れた後、流路L7を経由してガス発生器30に戻る。
【0014】
なお、容器10は、ノズル11a~11fの他にあらゆる接続口を備えていても良い。接続口の代表的な構成として、例えば孔や管路などが挙げられる。容器10が接続口を備えている場合、接続口とガス発生器30とを流路を介して接続することにより、接続口に過酸化水素ガスを流して殺菌することができる。
【0015】
ガス発生器30は、公知なので詳しい説明は省略するが、タンクと、ヒータと、ブロアと、を備える。タンクは、過酸化水素水を貯留する。ヒータは、タンク内の過酸化水素水を加熱して、過酸化水素ガスを生成する。ヒータは、滴下された過酸化水素を例えば150℃以上に加熱して、過酸化水素水を蒸発させる。ブロアは、過酸化水素ガスを容器10に向けて圧送する圧送手段である。なお、ガス発生器30は、電気配線E1を介してコントローラ50と接続されている。
【0016】
濃度センサ20は、流路L7に設けられており、流路L7を流れる過酸化水素ガスの濃度を検出する。濃度センサ20は、検出した濃度データを、電気配線E2を介してコントローラ50に出力する。なお、流路L7を流れる過酸化水素ガスの濃度は、容器10内の過酸化水素ガスの濃度と概ね等しい。
【0017】
湿度センサ21は、流路L7に設けられており、流路L7の相対湿度を検出する。湿度センサ21は、検出した相対湿度データを、電気配線E3を介してコントローラ50に出力する。なお、流路L7の相対湿度は、容器10の相対湿度と概ね等しい。
【0018】
コントローラ50は、CPUや記憶装置であるROM及びRAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置、タイマカウンタなどを含んで構成される。ROMには制御プログラムが格納されており、CPUが制御プログラムを読み出して、種々の処理を実行する。具体的には、コントローラ50は、入力された濃度データ、相対湿度データ、その他のデータに基づいて、ガス発生器30の動作を制御する。
【0019】
次に、殺菌システム100による容器10の殺菌方法について説明する。
図2は、殺菌処理の手順(方法)を示す図である。オペレータが図示しないスイッチを操作して、殺菌システム100の運転を開始すると、ガス発生器30が作動し、過酸化水素ガスが発生する。過酸化水素ガスは殺菌システム100系内を循環しながら、容器10に充満され、容器10の殺菌処理が行われる。
【0020】
図2に示すように、容器10の殺菌処理は、大きく第1~第3工程に分かれている。第1工程は、容器10を第1状態とする工程である。第2工程は、第1工程の後に実行され、容器10を第2状態とする工程である。第3工程は、第2工程の後に実行され、容器10を第3状態とする工程である。以下、各工程について具体的に説明する。
【0021】
(第1工程)
第1状態は、容器10の相対湿度が70%を超え、95%以下の状態である。第1工程において、コントローラ50は、相対湿度データに基づいて、容器10が第1状態になるようにガス発生器30を制御する。
【0022】
また、第1工程では、第1工程の開始から時間T1が経過するまでの間に、過酸化水素ガスの濃度が40ppm以上、60ppm以下の状態となるよう制御される。より詳細には、第1工程が開始された後、20分以上、60分以下の経過時間T1内で、過酸化水素ガスの濃度が40ppm以上、60ppm以下の状態となるよう、コントローラ50が濃度データに基づいて、ガス発生器30を制御する。よって、第1工程の所要時間は、概ね60分~90分程度となる。
【0023】
(第2工程)
第2状態は、容器10内の相対湿度が45%以上、65%以下の状態である。また、第2工程の所要時間T2は、60分以上、90分以下に設定されている。
【0024】
第2工程において、コントローラ50は、相対湿度データに基づいて、容器10が第2状態になるようにガス発生器30を制御する。具体的には、第1工程の途中で除湿が開始され、相対湿度が65%になった時から第2工程が開始する。そして、第2工程の開始から60分以上、90分以下の間で除湿が行われる。つまり、第2工程は、除湿の工程である。なお、第2工程において、過酸化水素ガスの濃度は成り行きである。即ち、コントローラ50は、第2工程において過酸化水素ガスの濃度を制御していない。第2工程では、時間T2に亘って、容器10が第2状態に保持される。この第2工程は、相対湿度が第1工程よりも低いため、殺菌システム100の系内の除湿を行う役割を担っている。
【0025】
(第3工程)
第3状態は、容器10内の相対湿度が35%以上、55%以下であり、かつ、過酸化水素ガスの濃度が50ppm以上、150ppm以下(即ち、100±50ppm)の状態である。また、第3工程の所要時間T3は、60分以上、90分以下に設定されている。
【0026】
第3工程において、コントローラ50は、濃度データ及び相対湿度データに基づいて、容器10が第3状態になるようにガス発生器30を制御する。具体的には、第2工程で除湿を止めて第2工程が終了すると、第3工程が開始する。そして、第3工程において、60分以上、90分以下の間、相対湿度が所定範囲内(35%~55%)に保持される。つまり、第3工程は、相対湿度を所定範囲に保持する工程となる。この間、過酸化水素ガスの濃度も所定範囲内(100±50ppm)に制御される。
【0027】
なお、第3状態は第2状態より基本的に相対湿度は低いが、第2工程から第3工程に移行する際、相対湿度が若干上昇する場合がある。そのため、第3状態の相対湿度の上限値55%は、第2状態の相対湿度の下限値45%より若干高く設定されている。よって、本発明において、第3状態の相対湿度が第2状態の相対湿度より低いという意味は、第3状態の相対湿度の上限値が第2状態の相対湿度の下限値より高い場合を含んでいる。別言すれば、第3状態の相対湿度の下限値が第2状態の相対湿度の下限値よりも低ければ良い。
【0028】
(実験)
次に、本発明の殺菌効果を検証するために、実施Aと実施Bの2つの実験を行った。実施Aは本発明の殺菌方法を用いた実験であり、実施Bは従来の殺菌方法を用いた実験である。
【0029】
実施Aでは、20リットルのステンレス製の容器(容器10)の内部にバイオロジカルインジケータ(以下、「BI」という)を複数配置し、容器に過酸化水素ガスを循環させて、時間毎の菌の死滅を測定した。一方、実施Bでは、約1立方メートルのチャンバー内にBIを複数設置し、チャンバー内に過酸化水素ガスを循環させて、時間毎の菌の死滅を測定した。
【0030】
なお、実施A及び実施Bともに、殺菌時間は3.5時間、温度は同一条件(
図5参照)とし、殺菌終点で使用した過酸化水素の量が両者とも同じになるようにした。そして、実施A及び実施Bともに、実験を3回ずつ行った(
図6のN1,N2,N3参照)。
【0031】
図3は殺菌時間に対する湿度の変化を示す図、
図4は殺菌時間に対する過酸化水素ガスの濃度の変化を示す図、
図5は殺菌時間に対する温度の変化を示す図である。
図3及び
図4に示すように、実施Aでは、殺菌開始から1.25時間(75分)経過するまで、容器内の相対湿度が70%~95%の状態に保たれる(第1工程)。このとき、第1工程の開始から0.33時間(20分)経過後に容器内の過酸化水素ガスの濃度は、40ppmとなり、第1工程の開始から0.5時間(30分)経過後に、過酸化水素ガスの濃度が60ppmとなる。その後、第1工程において、過酸化水素ガスの濃度は、200ppmまで時間の経過とともに上昇する。
【0032】
第一工程の途中から除湿が開始され、相対湿度が65%となった時点、即ち、殺菌開始から1.33時間経過した時点から60分間(殺菌開始から2.33時間経過時点まで)、除湿が継続する。そのため、容器内の相対湿度は下がっていき、45%~65%の状態に保たれる(第2工程)。この第2工程の間、容器内の濃度は成り行きとなり、本実験では、140ppm~220ppmの範囲で収まっている。殺菌開始から2.33時間経過後に除湿をやめ、その時点から約70分間(殺菌開始から3.5時間経過する時点まで)、容器内の相対湿度が40%~45%の状態に保たれる(第3工程)。この第3工程の間、容器内の濃度は、140ppmから85ppmまで時間の経過とともに減少する。
【0033】
一方、実施Bでは、殺菌開始から終了まで、容器内の湿度は65%に保持され、容器内の濃度は、概ね50ppmに保持されている。なお、
図5に示すように、実施A及び実施Bは、殺菌開始から終了までの間、容器内の温度は23℃~29℃の範囲に保たれている。
【0034】
図6に実施A及び実施Bの実験結果を示す。
図6は、殺菌後のBIの陰陽性判定結果を示す図である。なお、
図6において、N1,N2,N3は試行数を示している。
【0035】
図6に示すように、実施A(本発明)では、殺菌開始から60分経過するまではBIが陽性の場合があるが、90分経過するとBIの値が陰性(-)となった。一方、実施B(従来)では、殺菌開始から90分経過してもBIの値が陽性(+)の場合が多い。
【0036】
この実験結果より、本発明に係る殺菌方法は、従来と比べて殺菌効果が非常に高いことが明らかとなった。
【0037】
以上説明した第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0038】
第1実施形態に係る殺菌方法によれば、まず、容器10内の相対湿度が70%を超え、かつ、95%以下である第1状態にする第1工程を経るため、容器10内に過酸化水素水(薬剤)の付着を促進できるため、高い殺菌効果を得ることができる。
【0039】
また、第1工程の後に、容器10内の相対湿度が45%以上、65%以下である第2状態にする第2工程を経ることで、容器10内を除湿・乾燥させることができる。そのため、容器10の腐食防止を図ることができる。
【0040】
また、第2工程の後に、容器10内の相対湿度が35%以上、55%以下、即ち、第2状態より相対湿度が低い第3状態にする第3工程を経ることで、容器10内の良好な乾燥状態を保持でき、殺菌効果をさらに高めることができる。
【0041】
また、第1工程において、過酸化水素ガスの濃度を、第1工程の開始から20分~60分経過するまでに、40ppm以上、60ppm以下とするよう制御することで、さらに殺菌効果を高めることができる。さらに第3工程においても過酸化水素ガスの濃度を100±50ppmに制御することで、殺菌効果の向上を図ることができる。
【0042】
また、第1実施形態に係る殺菌システム100によれば、簡単な構成で、容器10の殺菌効果を高めることができる。また、本殺菌システム100では、容器10の各ノズル11a~11fは、流路L1~L6を介してガス発生器30と接続されている。そのため、過酸化水素ガスを循環するだけで、各ノズル11a~11fの内部を確実に殺菌できる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る殺菌システムについて説明する。
図7は、第2実施形態に係る殺菌システム200の構成図である。
図7に示すように、殺菌システム200は、殺菌対象の容器10をエンクロージャー40で囲い、エンクロージャー40にガス発生器30で発生する過酸化水素ガスを循環する構成となっている点に特徴がある。エンクロージャー40は、密閉された容器であり、入口ノズル40a及び出口ノズル40bを備えている。入口ノズル40aは、流路L1を介してガス発生器30と接続され、出口ノズル40bは、流路L7を介してガス発生器30と接続されている。
【0044】
容器10の各ノズル11a~11fは、流路と接続されておらず、開放された状態(開放端)でエンクロージャー40に収容される。よって、入口ノズル40aを介してエンクロージャー40に供給された過酸化水素ガスは、ノズル11a~11fの何れかから容器10内に導かれ、ノズル11a~11fの何れかから容器10の外に排出された後、出口ノズル40bを介してガス発生器30へと戻る。即ち、エンクロージャー40に過酸化水素ガスを供給するだけで、容器10の内部と各ノズル11a~11f内を過酸化水素ガスが流れて容器10を殺菌する。
【0045】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、第2実施形態では、流路の数を少なくできるため、第1実施形態と比べて配管やホースの引き回しが簡単である。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0047】
例えば、容器10の内部にファン等を挿入し、殺菌中にファンを駆動しても良い。この場合、第2工程中にファンを駆動すれば、容器10内の乾燥を効率良く行える。また、複数の容器10を直列または並列に接続して、過酸化水素ガスを系内に循環することで、複数の容器10を同時に殺菌することもできる。
【符号の説明】
【0048】
10 容器
11a~11f ノズル
20 濃度センサ
21 湿度センサ
30 ガス発生器
40 エンクロージャー
50 コントローラ
100,200 殺菌システム
L1~L7 流路