(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122287
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ダイヤモンドルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/01 20060101AFI20240902BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A01K85/01 Z
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029742
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】行▲徳▼ 聡人
(72)【発明者】
【氏名】馬場 健吾
(72)【発明者】
【氏名】五十君 智
(72)【発明者】
【氏名】大西 優希
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AA01
2B307AA02
2B307AA03
2B307AA05
2B307BA36
2B307BA42
2B307BA44
2B307BA45
2B307BA46
2B307BB02
2B307BB10
(57)【要約】
【課題】魚にかまれたり、岩などの障害物に衝突したりした場合にも、破損しにくい十分な耐久性を有し、様々な角度から光輝いて見えるダイヤモンドルアーを提供する。
【解決手段】金属またはプラスチックにより形成された本体部10と、本体部10の表面に形成された光沢部20とを有し、光沢部20は、複数のダイヤモンド粒24と、ダイヤモンド粒24を本体部10に固着させるめっき層22とを含み、めっき層22の表面にダイヤモンド粒24が露出している、ダイヤモンドルアー100。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属またはプラスチックにより形成された本体部と、前記本体部の表面に形成された光沢部とを有し、
前記光沢部は、複数のダイヤモンド粒と、前記ダイヤモンド粒を前記本体部に固着させるめっき層とを含み、前記めっき層の表面に前記ダイヤモンド粒が露出している、ダイヤモンドルアー。
【請求項2】
前記ダイヤモンド粒の露出している部分の厚み(T)が、前記ダイヤモンド粒の平均粒径(d)の0.35倍以上である、請求項1に記載のダイヤモンドルアー。
【請求項3】
前記ダイヤモンド粒が、切頭八面体および/または六・八面体であり、
前記ダイヤモンド粒の平均粒径が35~850μmである、請求項1または2に記載のダイヤモンドルアー。
【請求項4】
前記光沢部の表面における前記ダイヤモンド粒の占有面積率が、50面積%以上である、請求項1または2に記載のダイヤモンドルアー。
【請求項5】
前記光沢部が、前記本体部の表面の全体にわたって形成されている、請求項1または2に記載のダイヤモンドルアー。
【請求項6】
前記本体部の表面に、前記めっき層から構成された第1領域と、前記光沢部である複数の第2領域とを有し、
縞状となるように、複数の前記第2領域が間隔をあけて形成されている、請求項1または2に記載のダイヤモンドルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚釣り用のルアーは、疑似餌とも呼ばれ、魚や虫などのエサに見せかけて水中で魚を食いつかせるためのものであり、様々な形状や材質、外観のものが知られている。例えば、魚を引き寄せるため、光沢性をもたせたルアーが提案されている。このようなルアーとして、特許文献1には、本体部と、外部からの光を反射又は透過して光を発するように前記本体部に設けられた光透過性の石と、を備えることを特徴とするルアーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、魚が食らいついたり、岩などの障害物に衝突したりすることで、ルアー表面のペイントが剥がれたり、ルアー本体が割れたりする場合があった。また、ルアー表面や本体を構成する材質によっては、錆びが発生する場合があった。そのため、耐摩耗性や耐食性といった耐久性に改善の余地があった。また、従来のルアーは、一定の方向からはキラキラ輝いて見えても、別の角度からは輝きが低下する場合があり、あらゆる角度から見たときの光沢性を更に向上させて、よりキラキラ輝いて見えるルアーが求められていた。
【0005】
かかる状況下、本発明の目的は、耐久性に優れ、様々な角度から光輝いて見えるダイヤモンドルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0007】
<1> 金属またはプラスチックにより形成された本体部と、前記本体部の表面に形成された光沢部とを有し、前記光沢部は、複数のダイヤモンド粒と、前記ダイヤモンド粒を前記本体部に固着させるめっき層とを含み、前記めっき層の表面に前記ダイヤモンド粒が露出している、ダイヤモンドルアー。
<2> 前記ダイヤモンド粒の露出している部分の厚み(T)が、前記ダイヤモンド粒の平均粒径(d)の0.35倍以上である、前記<1>に記載のダイヤモンドルアー。
<3> 前記ダイヤモンド粒が、切頭八面体および/または六・八面体であり、前記ダイヤモンド粒の平均粒径が35~850μmである、前記<1>または<2>に記載のダイヤモンドルアー。
<4> 前記光沢部の表面における前記ダイヤモンド粒の占有面積率が、50面積%以上である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のダイヤモンドルアー。
<5> 前記光沢部が、前記本体部の表面の全体にわたって形成されている、前記<1>から<4>のいずれかに記載のダイヤモンドルアー。
<6> 前記本体部の表面に、前記めっき層から構成された第1領域と、前記光沢部である複数の第2領域とを有し、縞状となるように、複数の前記第2領域が間隔をあけて形成されている、前記<1>から<4>のいずれかに記載のダイヤモンドルアー。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐久性に優れ、様々な角度から光輝いて見えるダイヤモンドルアーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のルアーの実施の形態に係るダイヤモンドルアー100の一部(Bの領域)を断面とした側面模式図である。
【
図3】本発明のルアーの実施の形態に係るダイヤモンドルアー200の一部(Cの領域)を断面とした側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
【0011】
本発明は、金属またはプラスチックにより形成された本体部と、前記本体部の表面に形成された光沢部とを有し、前記光沢部は、複数のダイヤモンド粒と、前記ダイヤモンド粒を前記本体部に固着させるめっき層とを含み、前記めっき層の表面に前記ダイヤモンド粒が露出している、ダイヤモンドルアー(以下、「本発明のルアー」と記載する場合がある。)に関するものである。
【0012】
このように、本発明のルアーは、複数のダイヤモンド粒がめっき層の表面から露出して固着されている構成であることで、様々な角度から光輝いて見える、光沢性の優れたものとできる。これにより、集魚効果が高められる。さらに、魚が食いついた際に引っ掛かりやすいものとなる。
また、ダイヤモンドは高硬度であるため、耐摩耗性に優れ、魚が食らいついた際の歯による傷や岩場に接触した際の傷を低減できる。めっきでダイヤモンド粒が固着されていることで、耐食性に優れ、錆を低減することができる。これにより、長時間の使用が可能になる。
【0013】
以下、
図1~
図3に基づいて、本発明の実施の形態であるダイヤモンドルアー100,200について説明する。また、以下の説明において、ダイヤモンドルアー100,200の頭側である左側を前、その反対の尾びれ側である右側を後とし、背側を上、その反対の腹側を下とする。
【0014】
[実施の形態1]
図1は、本発明のルアーの実施の形態に係るダイヤモンドルアー100の一部(Bの領域)を断面とした側面模式図である。
図2は、
図1のAA線の断面模式図である。
【0015】
図1,
図2に示すようにダイヤモンドルアー100は、本体部10と、本体部10の表面に形成された光沢部20とを有する。ダイヤモンドルアー100は、魚を模した外観形状をしており、前後方向に垂直な断面が上下方向に長い略楕円状で、左右方向が略対称な形状である。
【0016】
(本体部10)
本体部10は、魚を模した外観形状であり、金属またはプラスチックで形成されている。金属は、例えば、鉛、タングステン、ステンレス、鉄、亜鉛、銅等の金属やその合金が用いられる。プラスチックは、例えば、アクリル、AS、ABS、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂を用いることができる。本体部10の大きさは、一般的なルアーの大きさを採用することができ、特に限定はない。
【0017】
また、本体部の両側面(左右方向の両側の面)の頭部側には、擬眼部30を有し、魚の目を模した形状に合成樹脂等を加工した部材や塗装、ホログラムなどを利用して擬眼が設けられている。本体部10の頭側の先端部と尾びれ側の後端部には、それぞれ、釣糸や釣針を取り付けるための接続部32として金属リングが設けられているが、これに限定されるものではない。
【0018】
(光沢部20)
光沢部20は、複数のダイヤモンド粒24と、めっき層22とを含む。光沢部20は、擬眼部30以外の部分であり、本体部10の表面の全体にわたって形成されている。めっき層22は、光沢部20の全体に形成されるとともに、本体部10にダイヤモンド粒24を固着している。
【0019】
(ダイヤモンド粒24)
ダイヤモンド粒24の形状は特に限定はないが、切頭八面体形状および/または六・八面体形状であることが好ましく、切頭八面体形状であることがより好ましい。このような形状であると、本体部10の表面にダイヤモンド粒24を高密度に固着させやすく、様々な角度からの光沢性および耐摩耗性を更に向上させることができる。また、ダイヤモンド粒24の外面において最大面積を有する平面部が、本体部10の表面と略平行をなすように固着しやすく、固着されたダイヤモンド粒24の安定性が向上する。
【0020】
なお、切頭八面体形状とは、正八面体における6個の頂点付近が四角錐形状で切除され、四角形状をした6個の平面部が形成された形状であり、6個の四角形状の面と8個の六角形状の面とからなるものである。六・八面体形状とは、切頭八面体形状における四角形状をした6個の平面部を、隣り合って位置する四角形状の平面部の頂点同士が一致する所まで、それぞれ均等に拡張したような形状であり、六・八面体は、6個の四角形状の面と、8個の三角形状の面とからなるものである。
【0021】
ダイヤモンド粒24の大きさに特に限定はないが、平均粒径(d)が30~1000μmのものを用いることができる。様々な角度からの光沢性が更に向上することから、ダイヤモンド粒24の平均粒径(d)は、35~850μmが好ましく、150~850μmがより好ましく、250~850μmが更に好ましい。なお、ダイヤモンド粒24の平均粒径(d)は、任意のダイヤモンド粒の100粒の粒径の平均値である。各ダイヤモンド粒の粒径は、外接する四角形の長辺と短辺の平均値であり、例えば、画像測定機によりダイヤモンド粒に外接する四角形の長辺と短辺を求め、粒径を算出することができる。
【0022】
ダイヤモンド粒24は、光沢部20の全体にわたって配置されている。光沢部20の表面におけるダイヤモンド粒の占有面積率は低いと、光沢性や耐久性が不十分となる場合があるため、光沢部20の表面におけるダイヤモンド粒の占有面積率は50面積%以上が好ましく、60面積%以上がより好ましく、70面積%以上が更に好ましい。この光沢部20の表面におけるダイヤモンド粒の占有面積率は、光沢部20の表面の顕微鏡画像を二値化処理した処理画像から算出することができる。例えば、一辺がダイヤモンド粒の平均粒径(d)8倍の長さである四角形の領域を測定領域として、任意の8点について、デジタルマイクロスコープなどの顕微鏡で光沢部20の表面を撮影する。撮影した画像をそれぞれ二値化処理し、それぞれの処理画像からダイヤモンド粒の占有面積率を算出し、その平均値を算出することで、光沢部20の表面におけるダイヤモンド粒の占有面積率が求められる。
【0023】
(めっき層22)
めっき層22は、ダイヤモンド粒24を本体部10に固着させるために、本体部10の上に形成された層であり、ニッケルやその合金などの金属をめっきして形成した金属層である。複数のダイヤモンド粒24は、本体部10の上に、1列(1層)に配置され固着されており、このとき、ダイヤモンド粒24は、めっき層22の表面に露出している。光沢部20は、本体部10の上に複数のダイヤモンド粒24を並べた状態で、一般的な電解めっきなどで金属をめっきすることで形成することができる。ダイヤモンド粒24は、本体部10に下地層を介して固着されてもよい。ダイヤモンドルアー100では、本体部10上に下地層22aをめっきした後、複数のダイヤモンド24を並べ、めっきを再度施すことによりダイヤモンド粒24を固着しており、めっき層22は、下地層22aと固着めっき層22bからなる。
【0024】
めっき量は、ダイヤモンド粒24がめっき層22の表面に露出する範囲で制御されるが、ダイヤモンド粒24の露出が多すぎると、ダイヤモンド粒24の接着が不十分となり、耐摩耗性が低下する傾向にあるため、ダイヤモンド粒24の露出した部分の厚み(T)(
図2参照)は、ダイヤモンド粒24の平均粒径(d)の0.65倍以下であることが好ましい。ダイヤモンド粒24の露出した部分の厚み(T)は、ダイヤモンド粒24が露出していればよく、ダイヤモンド粒24の平均粒径(d)の0.1倍以上、0.2倍以上、0.3倍以上などしてもよいが、0.35倍以上が好ましい。ダイヤモンド粒24の露出した部分の厚み(T)が、ダイヤモンド粒24の平均粒径の0.35~0.65倍(すなわち、0.35×d≦T≦0.65)であると、光沢性をより向上させることができ、かつ、ダイヤモンド粒24がより安定して固着され、耐久性がより向上する。より好ましくは、ダイヤモンド粒24の平均粒径の0.45~0.65倍(すなわち、0.45×d≦T≦0.65)である。なお、ダイヤモンド粒24の露出した部分の厚み(T)は、デジタルマイクロスコープなどの顕微鏡を用いて、任意の8点について、ダイヤモンド粒24の先端からめっき層22までの距離を測定して、平均した値である。
【0025】
[実施の形態2]
図3は、本発明のルアーの別の実施の形態に係るダイヤモンドルアー200の一部(Cの領域)を断面とした側面模式図である。なお、
図3に示す実施の形態において
図1,
図2に示す実施の形態の構成部分と同じ構造、機能を有する部分は
図1,
図2中の符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
図3に示すダイヤモンドルアー200は、魚を模した外観形状をした本体部10と、本体部の表面に形成された第1領域40および複数の第2領域42とを有する。第1領域40はめっき層23から構成される。第2領域42は、本体部10の両側面の中央付近の領域に左右方向に略対称に形成された細長い領域であり、光沢部21は、複数の第2領域42から構成される。第2領域42は、複数のダイヤモンド粒24とめっき層22とから構成され、ダイヤモンド粒24はめっき層22の表面に露出した状態で固着されている。また、第2領域42は、前後方向に平行または前後方向と所定の角度(すなわち、
図3のθが0~90°)で縞状となるように、間隔をあけて複数形成されている。
【0027】
また、光沢性を向上させるため、光沢部21は、各第2領域42の表面におけるダイヤモンド粒24の占有面積率が50面積%以上であることが好ましく、60面積%以上がより好ましく、70面積%以上が更に好ましい。
【0028】
第1領域40のめっき層23は、第2領域42のめっき層22と同じ構成とでき、このようなダイヤモンドルアー200は、本体部10の両側面上に縞状に細長い領域を形成するようにダイヤモンド粒24を配置して、ニッケルめっき等のめっきを施し、本体部10をめっきにより被覆するとともに、ダイヤモンド粒24を固着することで形成することができる。ダイヤモンド粒24は、ダイヤモンドルアー100と同様に、下地層を介して、本体部10に固着させてよい。めっき量は、ダイヤモンドルアー100と同様である。
【0029】
なお、ダイヤモンドルアー100,200は、本発明に係るダイヤモンドルアーを例示するものであり、本発明に係るダイヤモンドルアーは、これらのダイヤモンドルアー100,200に限定されない。光沢部の形状は、本体部の形状に応じて適宜変更してもよいが、光沢性の観点からは、本体部の表面の50面積%以上に光沢部が形成されていることが好ましく、60面積%以上がより好ましく、70面積%以上が更に好ましい。ダイヤモンドルアーは、本体部の内部に浮力や重心調整のための公知の構造を有してもよく、本体部に加えてリップ部材やひれ状部材などが設けられていてもよい。また、ダイヤモンドルアーの外観形状は、魚を模した形状には限定されず、ミミズ、昆虫、トカゲ、カエル、エビ、カニ、ザリガニ、イカなどその他の魚の餌となる生物を模した形状であってもよい。
【実施例0030】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
図1に示す形状のダイヤモンドルアーである実施例1-1~実施例1-3、および比較例1のルアーを用いて、光沢性を評価した。
・実施例1-1:魚形状の鉛製の本体部上に、ニッケルめっきによりダイヤモンド粒(切頭八面体形状、平均粒径400μmのダイヤモンド砥粒)を1列(1層)固着したダイヤモンドルアー(ダイヤモンド粒の占有面積率70%)
・実施例1-2:ダイヤモンド粒を固着させる際のめっき量を変えて、ダイヤモンド粒の占有面積率60%とした以外は、実施例1-1と同様の構成のダイヤモンドルアー
・実施例1-3:ダイヤモンド粒を固着させる際のめっき量を変えて、ダイヤモンド粒の占有面積率50%とした以外は、実施例1-1と同様の構成のダイヤモンドルアー
・比較例1:魚形状の本体部の表面にホログラム加工がされたルアー
【0032】
(評価)
・実施例1-1~実施例1-3および比較例1のルアーを様々な角度から目視で観察し、光沢性を評価した。評価は10人のパネラーにより行い、以下の基準で光沢性を評価した。表1に評価結果を示す。
◎:10人中8人以上が様々な角度から光沢性(キラキラ感)があると答えた。
〇:10人中7人が様々な角度から光沢性(キラキラ感)があると答えた。
△:10人中6人以下が様々な角度から光沢性(キラキラ感)があると答えた。
【0033】
【0034】
表1に示すように、実施例1では、光沢部の表面におけるダイヤモンド粒の占有面積率は、60面積%以上が、様々な角度からの光沢性(キラキラ光る)に優れる結果であった。その中でも70面積%以上が最も光沢性があり、高い集魚効果が期待できる。
【0035】
[実施例2]
図1に示す形状のダイヤモンドルアーである実施例2-1~実施例2-4のダイヤモンドルアーを用いて、光沢性を評価した。
・実施例2-1:魚形状の鉛製の本体部上に、ニッケルめっきによりダイヤモンド粒(切頭八面体形状、平均粒径400μmのダイヤモンド砥粒)を1列(1層)固着したダイヤモンドルアー(ダイヤモンド粒の露出した部分の厚み(T)=平均粒径の65%)
・実験2-2~実験2-4:めっき条件を変更して、ダイヤモンド粒の平均粒径の45%、35%、25%がめっき層より露出するようにした以外は、実施例2-1と同様の構成のダイヤモンドルアー
【0036】
(評価)
実施例1と同様の方法で、実施例2-1~実施例2-4のダイヤモンドルアーの光沢性を評価した。表2に評価結果を示す。
【0037】
【0038】
表2に示すように、実施例2では、ダイヤモンド粒の露出量(露出した部分の厚み)は、ダイヤモンド粒の平均粒径の35%以上が、様々な角度からの光沢性(キラキラ光る)に優れる結果であった。その中でもダイヤモンド粒の平均粒径の45~65%が最も光沢性があり、高い集魚効果が期待できる。
【0039】
また、金属基板上にダイヤモンド粒をニッケルめっきにより固着させる実験より、ダイヤモンド粒の露出量がダイヤモンド粒の平均粒径の65%超のとき、ダイヤモンド粒の保持力が低下する結果が得られていることから、ダイヤモンドルアーについても同様の傾向になり、ダイヤモンド粒の露出量が、ダイヤモンド粒の平均粒径の65%超であるとき耐摩耗性が低下することが考えられる。
【0040】
[実施例3]
図1に示す形状のダイヤモンドルアーである実施例3-1~実施例3-4のダイヤモンドルアーを用いて、光沢性を評価した。
・実施例3-1:魚形状の鉛製の本体部上に、ニッケルめっきによりダイヤモンド粒(切頭八面体形状、平均粒径850μmダイヤモンド砥粒)を1列(1層)固着したダイヤモンドルアー(ダイヤモンド粒の占有面積率70%)
・実験3-2~実験3-4:ダイヤモンド粒の平均粒径が250μm、35μm、30μmのものに変更した以外は、実施例3-1と同様の構成のダイヤモンドルアー
【0041】
【0042】
表3に示すように、実施例3では、ダイヤモンド粒の平均粒径は35~850μmのとき、様々な角度からの光沢性(キラキラ光る)に優れる結果であった。その中でもダイヤモンド粒の平均粒径が250~850μmのときが最も光沢性があり、高い集魚効果が期待できる。
【0043】
[実施例4]
実施例1-1のダイヤモンドルアーを用いて実際に釣りを行ったところ、魚が釣れた。また、釣りをした後もルアーに傷などはほとんど生じておらず、耐久性に優れていた。