(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122300
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ボルト挿入装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/04 20060101AFI20240902BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B23P19/04 G
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029765
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512175487
【氏名又は名称】株式会社クリエイティブ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 翔太
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 旭樹
【テーマコード(参考)】
3C030
3C707
【Fターム(参考)】
3C030BB02
3C030BC04
3C030BC08
3C030BC16
3C030BC23
3C030BC34
3C707AS07
3C707BS10
3C707DS02
3C707DS07
3C707ES03
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS17
3C707KS20
3C707KT03
3C707KT05
3C707LT06
3C707LT12
3C707LV04
3C707LV05
3C707LV06
3C707LV17
3C707NS24
(57)【要約】
【課題】ボルトが挿入されるボルト挿入孔に対してボルトを精度良く挿入することができるボルト挿入装置を提供する。
【解決手段】ボルト挿入装置100は、撮像装置111、ボルト把持具112、宛がい体装置140および制御装置160を備えている。撮像装置111は、傾き特定用被写体145を撮像した撮像画像情報を制御装置160に出力する。ボルト把持具112は、8つのボルト20を着脱自在に把持するハンド114を備えている。宛がい体装置140は、ワーク10の外表面の一部である環状開口部14に宛がわれる宛がい体141を備えている。宛がい体141は、ワーク10の環状開口部14の外側に位置する位置で傾き特定用被写体145が設けられている。制御装置160は、傾き特定用被写体145を撮像した撮像画像情報に基づいて環状開口部14の傾きを測定するとともに、この傾きに基づいてボルト把持具112の傾きを補正してボルト20の軸線方向をボルト挿入孔13の軸線方向に一致させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに設けられたボルト挿入孔に挿入されるボルトを挿入するためのボルト挿入装置であって、
前記ボルトを把持するボルト把持具と、
前記ワークにおける前記ボルト挿入孔以外の部分を間接測定部としてこの間接測定部の傾きを測定して前記ボルト把持具に把持されている前記ボルトの軸方向に対する前記ボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定する傾き特定手段と、
前記傾き特定手段で特定された前記傾きに基づいて前記ボルト把持具に把持されている前記ボルトの軸方向の傾きを補正する傾き補正手段とを備えることを特徴とするボルト挿入装置。
【請求項2】
請求項1に記載したボルト挿入装置において、
前記間接測定部は、
前記ワークの外表面の一部であることを特徴とするボルト挿入装置。
【請求項3】
請求項1に記載したボルト挿入装置において、
前記ワークは、
環状に開口する環状開口部の内側に前記ボルト挿入孔が設けられており、
前記傾き特定手段は、
傾き特定用被写体を有して前記環状開口部を前記間接測定部として宛がわれる宛がい体と、
前記傾き特定用被写体を撮像して撮像画像情報を出力する撮像装置と、
前記撮像画像情報を用いて前記ボルトの軸方向に対する前記ボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定する傾き特定計算部とを備えることを特徴とするボルト挿入装置。
【請求項4】
請求項3に記載したボルト挿入装置において、
前記傾き特定用被写体は、
前記環状開口部の外側に位置するように前記宛がい体に設けられていることを特徴とするボルト挿入装置。
【請求項5】
請求項3に記載したボルト挿入装置において、
前記宛がい体は、
前記環状開口部に対して二点接触で宛がわれることを特徴とするボルト挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに設けられたボルト挿入孔に挿入されるボルトを挿入するためのボルト挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンなどの工業製品の組立てラインにおいては、自動搬送されるシリンダブロックなどの半製品に対してボルトの挿入および締め付けが機械装置によって自動的に行われている。例えば、下記特許文献1には、ボルトの締付対象物(以下、「ワーク」という)に形成されているナット穴の軸方向を検知手段(カメラ)で検知して挿入するボルトの姿勢を補正してナット穴内に挿入して締め付けるボルトナット締付装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたボルトナット締付装置においては、ボルトの挿入対象であるナット穴をカメラで直接撮像しているため、ナット穴がワークの内部に開口している場合などカメラで撮像し難い位置または向きで形成されている場合にはナット穴の軸方向の特定が困難となってボルトの挿入精度が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、ボルトが挿入されるボルト挿入孔に対してボルトを精度良く挿入することができるボルト挿入装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、ワークに設けられたボルト挿入孔に挿入されるボルトを挿入するためのボルト挿入装置であって、ボルトを把持するボルト把持具と、ワークにおけるボルト挿入孔以外の部分を間接測定部としてこの間接測定部の傾きを測定してボルト把持具に把持されているボルトの軸方向に対するボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定する傾き特定手段と、傾き特定手段で特定された傾きに基づいてボルト把持具に把持されているボルトの軸方向の傾きを補正する傾き補正手段とを備えることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、ボルト挿入装置は、ワークにおけるボルト挿入孔以外の部分を間接測定部としてこの間接測定部の傾きを測定することでボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定しているため、ボルト挿入孔の形成位置に拘らずボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定してボルトを挿入することができボルト挿入孔に対してボルトを精度良く挿入することができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記ボルト挿入装置において、間接測定部は、ワークの外表面の一部であることにある。
【0009】
これによれば、ボルト挿入装置は、間接測定部がワークの外表面の一部であるため、間接測定部の傾きを容易かつ精度良く測定することができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記ボルト挿入装置において、ワークは、環状に開口する環状開口部の内側にボルト挿入孔が設けられており、傾き特定手段は、傾き特定用被写体を有して環状開口部を間接測定部として宛がわれる宛がい体と、傾き特定用被写体を撮像して撮像画像情報を出力する撮像装置と、撮像画像情報を用いてボルトの軸方向に対するボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定する傾き特定計算部とを備えることにある。この場合、傾き特定用被写体には、平面画像または凹凸を有する立体物を採用することができる。
【0011】
これによれば、ボルト挿入装置は、宛がい体に形成された傾き特定用被写体を撮像しているため、間接測定部としての環状開口部が撮像し難い形状、表面性状または色調であっても精度良くボルト挿入孔の軸方向の傾きを特定することができる。また、このボルト挿入装置によれば、形状の異なる環状開口部を有する複数種類のワークに対して共通して使用することができる宛がい体を用いることでボルト挿入孔の軸方向の傾きの特定作業を効率的に行うことができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記ボルト挿入装置において、傾き特定用被写体は、環状開口部の外側に位置するように宛がい体に設けられていることにある。
【0013】
これによれば、ボルト挿入装置は、傾き特定用被写体が環状開口部の外側に位置するように宛がい体に設けられているため、ボルト挿入孔の一部、全部またはその周囲が宛がい体によって覆われることがなくボルトの挿入作業の妨げとなることを防止することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、ボルト挿入装置において、宛がい体は、環状開口部に対して二点接触で宛がわれることにある。
【0015】
これによれば、ボルト挿入装置は、宛がい体が環状開口部に対して二点接触で宛がわれるため、間接測定部の全体に面接触させる場合に比べて宛がい体における宛がい部分の製作負担を軽減しつつ間接測定部の傾きを精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るボルト挿入装置の概略を側方から模式的に示す説明図である。
【
図2】
図1に示すボルト挿入装置におけるボルトホルダ、油槽および宛がい体の位置関係を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図1に示すボルト挿入装置の作動を制御する制御システムのブロック図である。
【
図4】
図1に示すボルト挿入装置がボルト把持処理を実行する状態を模式的かつ部分的に示す部分説明図である。
【
図5】
図1に示すボルト挿入装置におけるボルト把持具がボルトを把持した状態を模式的かつ部分的に示す部分説明図である。
【
図6】
図1に示すボルト挿入装置がボルトに潤滑油を付着させる状態を模式的かつ部分的に示す一部破断部分説明図である。
【
図7】
図1に示すボルト挿入装置がワーク固定処理を実行する状態を模式的に示す説明図である。
【
図8】
図1に示すボルト挿入装置が傾き測定処理を実行する状態を模式的かつ部分的に示す部分説明図である。
【
図9】
図1に示すボルト挿入装置が挿入孔位置特定処理を実行する状態を模式的かつ部分的に示す部分説明図である。
【
図10】
図1に示すボルト挿入装置がボルトの挿入処理を実行する状態を模式的かつ部分的に示す部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るボルト挿入装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るボルト挿入装置100の装置構成の概略を側方から模式的に示す説明図である。また、
図2は、
図1に示すボルト挿入装置100におけるボルトホルダ121、油槽130および宛がい体141の位置関係を模式的に示す平面図である。また、
図3は、
図1に示すボルト挿入装置100の作動を制御する制御システムのブロック図である。なお、
図1(
図4~
図10も同様)において、左右方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とし、Y軸方向とZ軸方向にそれぞれ直交する奥行方向をX軸方向とする。
【0018】
このボルト挿入装置100は、ワーク10に設けられたボルト挿入孔13に対してボルト20を挿入するための機械装置である。ここで、まず、ワーク10およびボルト20について簡単に説明しておく。
【0019】
ワーク10は、本実施形態においてはレシプロエンジンにおけるシリンダヘッドであり、一列に並ぶ複数(本実施形態においては3つ)の円筒状のシリンダ部11を外側から一体的に覆うブロック状の本体部12を備えて構成されている。この本体部12には、シリンダ部11の近傍にボルト20が挿入される貫通孔からなるボルト挿入孔13が形成されている。本実施形態においては、ボルト挿入孔13は、8つ形成されている。
【0020】
また、本体部12におけるシリンダ部11の周囲を囲む筒状の外筐部分における一方の端部は、環状に開口する環状開口部14が形成されている。この場合、環状開口部14は、平坦面で構成されており、この環状開口部14に対する8つのボルト挿入孔13の各軸線の傾きは既知である。本実施形態においては、8つのボルト挿入孔13の各軸線は、環状開口部14を含む平面に対して垂直である。このワーク10は、シリンダ部11、本体部12、ボルト挿入孔13および環状開口部14がアルミニウム材によって一体的に形成されている。
【0021】
ボルト20は、ワーク10を構成するシリンダヘッドをシリンダブロック(図示せず)に連結するための部品であり、雄ネジ部21と頭部22とを備えて構成されている。雄ネジ部21は、棒体の外周部に雄ネジが形成されて構成されている。また、頭部22は、六角レンチが嵌合する六角形状部とこの六角形状部と前記雄ネジ部21との間でフランジ状に張り出すフランジ部とで構成されている。
【0022】
(ボルト挿入装置100の構成)
ボルト挿入装置100は、主として、ボルト搬送装置110、ボルト準備装置120、油槽130、宛がい体装置140、ワーク搬送装置150および制御装置160をそれぞれ備えて構成されている。
【0023】
ボルト搬送装置110は、複数のボルト20を把持してワーク10のボルト挿入孔13にそれぞれ挿入する機械装置であり、複数のアームが直列的かつ可動的に連結された垂直多関節ロボットで構成されている。このボルト搬送装置110は、アームの先端部に撮像装置111を備えるとともに、エンドエフェクタとしてボルト把持具112を備えている。
【0024】
撮像装置111は、後述する宛がい体141に設けられた傾き特定用被写体145およびボルト挿入孔13を撮像して宛がい体141およびボルト挿入孔13をそれぞれ表す画像データを出力する光学機械装置である。より具体的には、撮像装置111は、制御装置160に制御されて傾き特定用被写体145およびボルト挿入孔13をそれぞれ撮像するとともに、撮像した傾き特定用被写体145およびボルト挿入孔13の各撮像画像を表す撮像画像情報を制御装置160に出力する。
【0025】
この撮像装置111は、受光素子としてCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて構成することができる。すなわち、この撮像装置111が、本発明に係る撮像手段に相当する。
【0026】
ボルト把持具112は、ボルト準備装置120が用意したボルト20を把持するとともにボルト挿入孔13上で把持したボルト20を手放すことができる機械装置である。具体的には、ボルト把持具112は、ベース113およびハンド114をそれぞれ備えて構成されている。
【0027】
ベース113は、ボルト搬送装置110のアームの先端部に着脱自在に取り付けられてハンド114を支持する部品であり、金属製の板材によって構成されている。このベース113は、平面視で図示X軸方向に延びる長方形状の板状体で構成されている。
【0028】
ハンド114は、ボルト20の頭部22を把持するための部品であり、頭部22を両側から挟んで把持する2つの爪を備えて構成されている。この場合、ハンド114は、制御装置160によって作動が制御されるエアシリンダ(図示せず)によって駆動する。このハンド114は、図示X軸方向×図示Y軸法に4×2の配列で合計8つ設けられている。この場合、8つのハンド114は、ワーク10に形成された8つのボルト挿入孔13の配置と一致している。
【0029】
このボルト搬送装置110は、アームの基端部がメイン架台115上に固定されている。メイン架台115は、ボルト搬送装置110およびサブ架台116をそれぞれ支持する台であり、金属製の棒材および板材を棚状に組んで構成されている。このメイン架台115は、ワーク10の組み立てる組立ライン上に配置されている。
【0030】
サブ架台116は、ボルト準備装置120、油槽130および宛がい体装置140をそれぞれ支持するための台であり、金属製の棒材を平面視でコ字状(換言すればC字状)に組んで構成されている。この場合、サブ架台116は、先端部がワーク搬送装置150上まで延びて形成されている。
【0031】
ボルト準備装置120は、ボルト搬送装置110のハンド114が把持する8つのボルト20を用意するための機械装置であり、主として、ボルトホルダ121とボルト供給装置127とを備えて構成されている。
【0032】
ボルトホルダ121は、ボルト搬送装置110のハンド114が把持する8つのボルト20を保持するための部品であり、主として、ホルダ本体122および位置決め体124を備えて構成されている。
【0033】
ホルダ本体122は、8つのボルト20を保持するための部品であり、金属材料を平面視で図示X軸方向に延びる長方形状に形成して構成されている。このホルダ本体122には、引掛け部123が形成されている。引掛け部123は、ボルト20の雄ネジ部21が貫通するとともに頭部22が引っ掛けられる部分であり、ホルダ本体122において図示X軸方向に延びる長辺部分に開口して図示Y軸方向に延びる切欠きで構成されている。この場合、引掛け部123は、ハンド114を構成する爪が入るように図示Y軸方向に延びて形成されている。
【0034】
この引掛け部123は、8つのうちの4つの引掛け部123が図示X軸方向にハンド114の図示X軸方向のピッチと同じピッチで形成されるとともに、これら4つの引掛け部123に図示X軸方向に隣接して残余の4つの引掛け部123が図示X軸方向にハンド114の図示X軸方向のピッチと同じピッチで形成されている。
【0035】
位置決め体124は、引掛け部123内に配置されたボルト20の図示Y軸方向での位置を規定するための部品であり、ホルダ本体122と同様に、金属材料を平面視で図示X軸方向に延びる長方形状に形成して構成されている。この位置決め体124は、ホルダ本体122の真下の位置にホルダ本体122に対して平行に配置されている。この場合、位置決め体124は、引掛け部123に引っ掛けられたボルト20の雄ネジ部21の下端部より上方に配置されており、同雄ネジ部21の下端部が下方に突出させている。この位置決め体124には、位置決め切欠き部125が形成されている。
【0036】
位置決め切欠き部125は、引掛け部123内に配置されたボルト20の図示Y軸方向での位置を規定するための部分であり、ホルダ本体122において図示X軸方向に延びる長辺部分に開口して図示Y軸方向に延びる切欠きで構成されている。この場合、位置決め切欠き部125は、ボルト20の雄ネジ部21が貫通するとともに頭部22が貫通しない幅で構成されている。
【0037】
また、位置決め切欠き部125の図示Y軸方向の長さは、ボルト20を引掛け部123内における所定の位置に位置決めできる長さに形成されている。ここで、所定の位置とは、引掛け部123内にハンド114を進入してボルト20の頭部22を把持できるスペースを確保できるボルト20の位置である。したがって、位置決め切欠き部125は、ボルト20が図示Y軸方向に開口する開口部から挿入されて雄ネジ部21が同Y軸方向の最奥部に突き当てられることで前記所定の位置に位置決めされる。
【0038】
このボルトホルダ121は、ホルダ搬送装置126を介してサブ架台116上に支持されている。ホルダ搬送装置126は、制御装置160に制御されてボルトホルダ121を図示X軸方向に往復変位させるリニアスライド機構によって構成されている。この場合、ボルトホルダ121が図示X軸方向に往復変位される一方の端部がボルト挿入装置100に対向する位置であり、他方の端部がボルト供給装置127に対向する位置である。
【0039】
ボルト供給装置127は、ボルトホルダ121のホルダ本体122の8つの引掛け部123にそれぞれボルト20を供給して保持させる機械装置であり、制御装置160によって作動が制御される。本実施形態においては、ボルト供給装置127は、箱状に形成されており、この内部にホルダ搬送装置126によって搬送されるボルトホルダ121に対してボルト20の供給を行う。このボルト供給装置127はメイン架台115上において、ボルト搬送装置110に隣接する位置に支持されている。
【0040】
油槽130は、ボルトホルダ121に保持されたボルト20の雄ネジ部21に付着させる潤滑油131を貯留する槽であり、金属板を上方が開口する箱状に形成して構成されている。この油槽130は、ボルト準備装置120とワーク搬送装置150との間のメイン架台115上に支持されている。
【0041】
宛がい体装置140は、ワーク搬送装置150によって位置決めされるワーク10の環状開口部14の一部に宛がい体141を宛がうための機械装置であり、主として、宛がい体141と宛がい体駆動装置146とを備えて構成されている。
【0042】
宛がい体141は、ワーク10の環状開口部14上に宛がわれる部品であり、金属材を平板状に形成して構成されている。より具体的には、宛がい体141は、本体部142と延長部143a,143bとが一体的に形成されている。本体部142は、ワーク10の長手方向(図示X軸方向)に延びる平板状に形成されている。また、延長部143a,143bは、本体部142の両端部に図示Y軸方向(ボルト搬送装置110側)にそれぞれ延びる平板状に形成されている。この宛がい体141には、当接部144a,144bおよび傾き特定用被写体145がそれぞれ取り付けられている。
【0043】
当接部144a,144bは、環状開口部14の表面に突き当てられる部分であり、金属材を直方体状の棒状に形成して構成されている。これらの当接部144a,144bのうち、当接部144aは延長部143aの下面(図示下方の面)に取り付けられている。また、当接部144bは、本体部142の下面(図示下方の面)に取り付けられている。この場合、当接部144bは、本体部142に対して図示Y軸方向(ボルト搬送装置110側)に張り出した状態で設けられている。
【0044】
傾き特定用被写体145は、ワーク10の水平面に対する傾きを測定するための部品であり、樹脂製の板状体の表面に傾きを測定するための二次元平面画像が形成されている。この傾き特定用被写体145は、本体部142の上面(図示上側の面)における長手方向中央部に取り付けられている。
【0045】
この宛がい体141は、宛がい体駆動装置146を介してサブ架台116によって支持されている。この場合、宛がい体141は、ワーク搬送装置150によって位置決めされるワーク10に対して本体部142および延長部143bが環状開口部14の外側に位置するとともに、延長部143aが環状開口部14上に位置するように支持されている。
【0046】
より具体的には、宛がい体141は、本体部142がワーク10の環状開口部14における2つの長辺のうちの一方(ボルト挿入装置100の外側側)の長辺に対してワーク10の外側(ボルト挿入装置100の外側側)に位置する位置で、かつ延長部143bが環状開口部14における2つの短辺のうちの一方(図示左側)の短辺に対してワーク10の外側(図示左側)に位置する位置で、かつ延長部143aが環状開口部14における2つの短辺のうちの一方(図示右側)の短辺上に位置する位置で配置されている。
【0047】
宛がい体駆動装置146は、宛がい体141を昇降させてワーク10の環状開口部14に対して接触または離隔させるためのアクチュエータである。本実施形態においては、宛がい体駆動装置146は、制御装置160によって作動が制御されるエアシリンダによって構成されている。この宛がい体駆動装置146は、サブ架台116の図示Y軸方向の先端部における図示X軸方向の両端部の上面にそれぞれ配置されて各ピストンロッドがサブ架台116を図示下方に貫通した状態で設けられている。そして、宛がい体駆動装置146は、各ピストンロッドが宛がい体141の延長部143a,143bにそれぞれユニバーサルジョイント147を介して連結されている。
【0048】
ユニバーサルジョイント147は、宛がい体駆動装置146のピストンロッドに対して宛がい体141の姿勢を水平面に対して所定の範囲内で自由に変化させることができる連結部品である。
【0049】
ワーク搬送装置150は、ボルト挿入装置100に対してワーク10を所定の位置に位置決めするとともに、ボルト20が挿入されたワーク10をボルト挿入装置100から退避させるための機械装置である。本実施形態においては、ワーク搬送装置150は、ワーク10を図示X軸方向に沿って搬送するコンベアによって構成されている。なお、このワーク搬送装置150は、制御装置160と連携する制御装置によって作動が制御される。
【0050】
制御装置160は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ボルト挿入装置100の全体の作動を総合的に制御するとともに、ROMなどの記憶装置に予め記憶されるボルト挿入プログラムを実行することによってボルト20をワーク10のボルト挿入孔13内に挿入する処理を実行する。具体的には、制御装置160は、ボルト搬送装置110、ボルト準備装置120および宛がい体装置140の各作動を制御することでボルト把持具112で把持した8つのボルト20をワーク10内に形成された8つのボルト挿入孔13に挿入する。
【0051】
この制御装置160には、作業者からの指示を入力するとともに制御装置160の作動状態を表示するための液晶のタッチディスプレイからなる操作パネル161を備えている。なお、制御装置160は、外部電源から電力を受けて電力を必要とする各設備に供給する電源部を備えているが本発明に直接関わらないため、その説明は省略する。
【0052】
(ボルト挿入装置100の作動)
次に、上記のように構成したボルト挿入装置100の作動について
図4ないし
図10を参照しながら説明する。なお、
図4ないし
図10においては、ボルト挿入装置100の作動説明に直接必要な構成のみ図示して作動説明に直接関らない構成については図示を適宜省略している。このボルト挿入装置100は、エンジンの組み立てライン上に配置されている。
【0053】
作業者は、ボルト挿入装置100における図示しない電源スイッチをONにすることにより制御装置160を起動させる。これにより、制御装置160は、ROMなどの記憶装置に予め記憶された制御プログラムを実行することによって作動を開始して作業者からの指示を待つ待機状態となる。次に、作業者は、操作パネル161を操作してボルト20の挿入作業の開始を制御装置160に指示する。この指示に応答して、制御装置160は、ボルト挿入プログラム(図示せず)を実行することにより、ワーク10のボルト挿入孔13にボルト20を挿入する一連の処理を開始する。
【0054】
まず、制御装置160は、ボルトホルダ121に8つのボルト20を保持させるボルト準備処理を実行する。具体的には、制御装置160は、ホルダ搬送装置126の作動を制御してボルトホルダ121をボルト供給装置127に位置決めする。ボルト供給装置127は、制御装置160に制御されてボルトホルダ121の8つの各引掛け部123および位置決め切欠き部125にそれぞれボルト20を挿入する。
【0055】
この場合、ボルト20は、位置決め切欠き部125の最奥部に突き当たることで引掛け部123内における図示Y軸方向での位置が規定される。そして、ホルダ搬送装置126は、ボルトホルダ121を元の位置、すなわち、ボルト搬送装置110の作業エリア内に位置決めする。
【0056】
次に、制御装置160は、ボルト搬送装置110にボルト20を把持させるボルト把持処理を実行する。具体的には、制御装置160は、
図4に示すように、ボルト搬送装置110の作動を制御してボルト把持具112をボルトホルダ121上に位置決めした後、ボルトホルダ121に保持されているボルト20をハンド114の作動を制御して把持する。この場合、制御装置160は、ボルト把持具112が把持している8つのボルト20のうちの4つのボルト20を図示Y軸方向に4つずつ2列で配置された一方(例えば、油槽130側)の列の4つのハンド114で把持させる。
【0057】
次いで、制御装置160は、ボルト把持具112を図示Y軸方向および図示X軸方向にそれぞれ変位させた後、ボルト把持具112が把持している残余の4つのボルト20を前記2列で配置された他方(例えば、ボルト搬送装置110側)の列の4つのハンド114で把持させる。これにより、ボルト把持具112は、
図5に示すように、8つのボルト20をそれぞれ鉛直方向に下垂した状態で把持する。
【0058】
次に、制御装置160は、
図6に示すように、ボルト把持具112が把持している8つのボルト20に潤滑油131を付着させる。具体的には、制御装置160は、ボルト搬送装置110の作動を制御することによりボルト把持具112を油槽130上に位置決めした後、このボルト把持具112を下降させてボルト20の雄ネジ部21の下部部分を油槽130内の潤滑油131内に浸ける。その後、制御装置160は、ボルト把持具112を上昇させる。
【0059】
次に、制御装置160は、ワーク10を固定するワーク固定処理を実行する。この場合、制御装置160は、ワーク搬送装置150によってワーク10がボルト搬送装置110の作業エリア内における所定の位置に位置決めされていることを確認した後、ワーク固定処理を実行する。この場合、所定の位置とは、ボルト20の挿入作業を実行する位置であって、宛がい体141の下方の位置である。
【0060】
具体的には、制御装置160は、
図7に示すように、宛がい体駆動装置146の作動を制御して宛がい体141をワーク10に向けて下降させて押し付ける。この場合、宛がい体141は、2つの当接部144a,144bがワーク10の環状開口部14に押し付けられる。これにより、宛がい体141の姿勢は、環状開口部14の傾きに応じた傾きに変化する。
【0061】
次に、制御装置160は、ワーク10の傾きを測定する傾き測定処理を実行する。この傾き測定処理は、ワーク10をワーク搬送装置150に取り付けた際におけるワーク10の取り付け時の傾きまたはワーク搬送装置150におけるワーク10を保持する部分自体の傾きを測定するものである。
【0062】
具体的には、制御装置160は、
図8に示すように、ボルト搬送装置110の作動を制御して撮像装置111を宛がい体141の上面に形成されている傾き特定用被写体145を撮像できる位置に位置決めする。次に、制御装置160は、撮像装置111の作動を制御して傾き特定用被写体145を撮像して撮像画像情報を取得する。次に、制御装置160は、取得した撮像画像情報に基づいて傾き特定用被写体145の水平面に対する傾きを環状開口部14の傾きとして算出する。この傾きを算出する処理は、公知の画像処理技術であるためその説明は省略する。なお、
図8においては、撮像装置111の撮像範囲を破線で示している。
【0063】
次に、制御装置160は、ボルト把持具112の傾きを補正する傾き補正処理を実行する。ここで、ボルト把持具112の傾きの補正とは、ボルト把持具112が把持する8つのボルト20の軸線がワーク10に形成されている8つのボルト挿入孔13に対して平行になるようにボルト把持具112の姿勢を変化させることである。また、制御装置160には、環状開口部14に対する8つのボルト挿入孔13の軸線の傾き(本実施形態においては直角)が予め設定されている。
【0064】
したがって、制御装置160は、前記した傾き測定処理にて算出したボルト把持具112の傾きに基づいてボルト把持具112の傾きの補正量を算出して、この補正量に基づいてボルト把持具112が把持する8つのボルト20の軸線がワーク10に形成されている8つのボルト挿入孔13に対して平行になるようにボルト把持具112の姿勢を変化させる。すなわち、これらの制御装置160およびボルト搬送装置110が、本発明に係る傾き補正手段に相当する。
【0065】
次に、制御装置160は、ワーク10におけるボルト挿入孔13の位置を特定する挿入孔位置特定処理を実行する。具体的には、制御装置160は、
図9に示すように、ボルト搬送装置110の作動を制御して撮像装置111が8つのボルト挿入孔13を撮像できる位置に位置決めする。この場合、撮像装置111が8つのボルト挿入孔13を撮像できる位置は、撮像装置111の撮像視野が広い場合には傾き特定用被写体145を撮像できる位置と一致する場合があるとともに、撮像装置111の撮像視野が狭い場合にはその撮像視野に応じて撮像位置が予め制御装置160に設定されている。
【0066】
次に、制御装置160は、撮像装置111の作動を制御して8つのボルト挿入孔13を撮像して撮像画像情報を取得する。次に、制御装置160は、取得した撮像画像情報に基づいて8つのボルト挿入孔13の軸線の位置を算出する。このボルト挿入孔13の位置の算出処理は、公知の画像処理技術であるためその説明は省略する。
【0067】
次に、制御装置160は、ボルト把持具112の位置決め処理を実行する。具体的には、制御装置160は、ボルト把持具112が把持する8つのボルト20の各軸線が前記挿入孔位置特定処理にて算出した8つのボルト挿入孔13の位置の真上に位置するようにボルト搬送装置110の作動を制御する。
【0068】
次に、制御装置160は、ボルト20の挿入処理を実行する。具体的には、制御装置160は、
図10に示すように、ボルト搬送装置110の作動を制御してボルト把持具112を下降させてワーク10に接近させるとともに、ハンド114の作動を制御して把持している8つのボルト20を手放す。これにより、8つのボルト20は、ボルト挿入孔13に向かって自由落下して挿入される。
【0069】
次に、制御装置160は、ボルト把持具112を元の待機位置に位置決めする。この場合、元の位置とは、ボルトホルダ121が8つのボルト20を保持するボルト準備処理を実行する際のボルト把持具112の待機位置である。したがって、制御装置160は、ボルト搬送装置110の作動を制御してボルト把持具112を待機位置に位置決めする。また、制御装置160は、前記傾き補正処理にて補正したボルト把持具112の傾きを補正前の傾き(ボルト20の軸線が鉛直した向き)に戻す。これらにより、ボルト挿入装置100は、ボルト20の挿入作業を終了することができるとともに、次の新たなボルト20の挿入処理を繰り返し行うことができる。
【0070】
なお、制御装置160は、ボルト把持具112がボルト20を把持した後ボルト準備処理を実行し終えるまでの間に、次の新たなボルト20の挿入作業に備えてこの新たなボルト20をボルトホルダ121に保持させるボルト準備処理を実行することで、ボルト挿入作業タクトタイムを短縮することができる。
【0071】
また、ワーク搬送装置150は、制御装置160からのボルト挿入処理の実行完了を表す信号を受けて8つのボルト20が挿入されたワーク10を次の工程に搬送するとともに、次の新たなワーク10が存在する場合にはこの新たなワーク10をボルト挿入装置100に位置決めする。
【0072】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ボルト挿入装置100は、ワーク10におけるボルト挿入孔13以外の部分である環状開口部14を間接測定部としてこの間接測定部の傾きを測定することでボルト挿入孔13の軸方向の傾きを特定しているため、ボルト挿入孔13の形成位置に拘らずボルト挿入孔13の軸方向の傾きを特定してボルト20を挿入することができボルト挿入孔13に対してボルト20を精度良く挿入することができる。
【0073】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、上記実施形態においては、ボルト搬送装置110は、多関節ロボットで構成した。しかし、ボルト搬送装置110は、ボルト20を把持してワーク10のボルト挿入孔13に挿入することができるように構成されていればよい。したがって、ボルト搬送装置110は、例えば、互いに直交する3軸方向にボルト把持具112を変位させることができるガイドを有する直交3軸ロボットで構成することもできる。この場合、直交3軸ロボットのエンドエフェクタとして設けられるボルト把持具112はチルト機構を備えることで把持しているボルト20を軸線の向きを補正できるようにするとよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、ボルト挿入装置100は、ボルト搬送装置110を構成する多関節ロボットによってボルト20の軸線方向の向きを変更するように構成した。しかし、ボルト搬送装置110は、ワーク10の向きを変更することでボルト挿入孔13の軸線とボルト20の軸線とを一致させることができる。すなわち、ボルト挿入装置10は、ワーク10の向きを変更することができるチルト機構を備えたワーク搬送装置150を含めて構成することができる。
【0076】
また、上記実施形態においては、ボルト挿入装置100は、宛がい体141を環状開口部14に宛がうことでボルト挿入孔13の傾きを測定するように構成した。すなわち、上記実施形態における環状開口部14が、本発明に係る間接側的部に相当する。しかし、宛がい体141を宛がう位置である間接測定部は、ボルト挿入孔13以外であってボルト挿入孔13の傾きを測定できる部分であれば環状開口部14以外の部分であってもよい。
【0077】
この場合、間接測定部は、ワーク10における内部よりも環状開口部14のように外表面で構成すると宛がい体141の宛がいおよび傾き特定用被写体145の測定が容易である。しかし、間接測定部は、例えば、シリンダ部11の上面またはシリンダ部11の周辺部分(例えば、シリンダ部11に隣接して形成されたリブ部分)などワーク10の内部部分であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、ボルト挿入装置100は、傾き特定用被写体145の撮像画像情報に基づいてボルト挿入孔13の傾きを測定するように構成した。すなわち、撮像装置111、宛がい体141、傾き特定用被写体145および制御装置160が、本発明に係る傾き特定手段に相当する。この場合、制御装置160は、本発明に係る傾き特定計算部に相当する。
【0079】
しかしながら、ボルト挿入装置100は、傾き特定用被写体145の撮像画像情報以外の情報を用いてボルト挿入孔13の傾きを測定するように構成することもできる。例えば、ボルト挿入装置100は、撮像対象物の3次元形状を撮像できる撮像装置または測定対象物までの距離を測定することができるレーザ測定器などを用いて間接測定部の3次元形状または間接測定部までの距離に基づいてボルト挿入孔13の傾きを測定するように構成することができる。すなわち、ボルト挿入装置100は、傾き特定用被写体145を省略して構成することもできる。
【0080】
また、上記実施形態においては、傾き特定用被写体145は、平面的な画像で構成した。この場合、平面的な画像には、立体像を平面的に記録したもの(例えば、ホログラフィ)も含む。しかし、傾き特定用被写体145は、撮像画像情報を取得できるように構成されていればよい。したがって、傾き特定用被写体145は、凹凸を有する立体物であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、傾き特定用被写体145は、ワーク10の環状開口部14の外側に位置するように配置した。これにより、ボルト挿入装置100は、ボルト挿入孔13の一部、全部またはその周囲が宛がい体141によって覆われることがなくボルト20の挿入作業の妨げとなることを防止することができる。しかし、傾き特定用被写体145は、ワーク10の環状開口部14の真上または同環状開口部14の内側に位置するように配置されていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態においては、宛がい体141は、2つの当接部144a,144bを備えて2か所で環状開口部14に接触するように構成した。しかし、宛がい体141は、3か所以上で環状開口部14に接触するように構成されていてもよいし、当接部144a,144bを省略して宛がい体141の下面が直接環状開口部14に接触(つまり、1か所)するように構成されていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、ボルト搬送装置110は、8つのボルト20を把持するように構成した。しかし、ボルト搬送装置110が把持するボルト20の数は、ワーク10において挿入が必要なボルト20の数に応じて適宜決定されるものである。したがって、ボルト搬送装置110は、少なくとも1つのボルト20を把持するように構成されていればよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、ボルト把持具112は、ボルト20を直接把持するハンド114を備えて構成した。しかし、ボルト把持具112は、ボルト20を保持するボルトホルダ121を把持する把持するなどボルト20を間接的に把持するように構成することもできる。
【0085】
また、上記実施形態においては、ボルト準備装置120は、ボルトホルダ121にボルト供給装置127を用いてボルト20を保持させるように構成した。しかし、ボルト準備装置120は、ボルトホルダ121に人手によってボルト20をセッティングするように構成することもできる。すなわち、ボルト準備装置120は、ボルト供給装置127を省略して構成することもできる。
【0086】
また、上記実施形態においては、ボルトホルダ121は、ホルダ本体122と位置決め体124とで構成した。しかし、ボルトホルダ121は、位置決め体124を省略してホルダ本体122のみで構成することもできる。
【0087】
また、上記実施形態においては、ボルト挿入装置100は、油槽130を備えて構成した。しかし、ボルト挿入装置100は、油槽130を省略して構成することができる。
【0088】
また、上記実施形態においては、ボルト挿入装置100は、挿入孔位置特定処理を実行してボルト把持具112が把持するボルト20をボルト挿入孔13に対して正確に位置決めした。しかし、ボルト挿入装置100は、ボルト挿入孔13の孔径がボルト20の軸径よりも十分に大きい場合にはボルト挿入孔13の位置をワーク10ごとに特定することなくすべてのワーク10で共通の位置に位置決めしてボルト20を挿入することもできる。
【0089】
また、上記実施形態においては、ワーク10としてエンジンにおけるシリンダヘッドを適用した。しかし、ワーク10は、ボルト20を挿入する必要がある対象物に広く採用することができる。例えば、ワーク10は、家電製品の外筐を適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10…ワーク、11…シリンダ部、12…本体部、13…ボルト挿入孔、14…環状開口部、
20…ボルト、21…雄ネジ部、22…頭部、
100…ボルト挿入装置、
110…ボルト搬送装置、111…撮像装置、112…ボルト把持具、113…ベース、114…ハンド、115…メイン架台、116…サブ架台、
120…ボルト準備装置、121…ボルトホルダ、122…ホルダ本体、123…引掛け部、124…位置決め体、125…位置決め切欠き部、126…ホルダ搬送装置、127…ボルト供給装置、
130…油槽、131…潤滑油、
140…宛がい体装置、141…宛がい体、142…本体部、143a,143b…延長部、144a,144b…当接部、145…傾き特定用被写体、146…宛がい体駆動装置、147…ユニバーサルジョイント、
150…ワーク搬送装置、
160…制御装置、161…操作パネル。