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特開2024-122303配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラム
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  • 特開-配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラム 図1
  • 特開-配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラム 図2
  • 特開-配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122303
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029771
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】玉井 秀明
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】分割配送を含む配送計画の作成を支援するものであり、複数の車両間で、ある配送先での作業時間が重ならない配送計画の作成を支援できるようにする。
【解決手段】本発明は、配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であり、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援装置において、事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出する配送計画導出手段と、目的関数に対する制約条件として同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断する重複時間回避条件判断手段とを有する。
【選択図】 図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であって、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援装置において、
事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出する配送計画導出手段と、
前記目的関数に対する制約条件として、同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断する重複時間回避条件判断手段と
を有することを特徴とする配送計画支援装置。
【請求項2】
前記重複時間回避条件判断手段が、前記同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で作業する作業時間に相当する時間以上となることを判断することを特徴とする請求項1に記載の配送計画支援装置。
【請求項3】
配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であって、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援方法において、
配送計画導出手段が、事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出し、
重複時間回避条件手段が、前記目的関数に対する制約条件として、同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断する
ことを特徴とする配送計画支援方法。
【請求項4】
配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であって、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援プログラムにおいて、
コンピュータを、
事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出する配送計画導出手段と、
前記目的関数に対する制約条件として、同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断する重複時間回避条件判断手段と
して機能させることを特徴とする配送計画支援プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラムに関し、例えば、物流システムにおける配送拠点(デポ)を出発し、複数の配送先に荷物を配送する配送計画の作成を支援する配送計画支援装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
配送経路問題とは、配送拠点(デポ)から配送先のノードに、複数車両で荷物を配送するとき、総走行距離、総配送費用などのコストが最小となるものを求める問題である。このような配送経路問題を解くことは、車両費、燃料費、人件費などの物流コストの削減や、配送時間の短縮化、二酸化炭素排出量の削減にもつながるため、期待されている。
【0003】
ある配送先に届ける荷物を分割し、複数の車両でそれらを分担して配送することを許すものを、特に「分割配送計画問題」と呼ぶ。これらの問題は問題条件を数式に定式化して、計算機を用いて解くのが一般的である。
【0004】
分割配送する複数の車両がデポを出発して複数の配送先に荷物を配送するとき、その総走行距離(移動コスト)が最小になる配送計画問題を解決する手法として、非特許文献1に記載されるものがある。
【0005】
非特許文献1には、定数と変数とを用いた分配配送計画問題の数理モデルをベースに、制約条件を定義し、全車両の移動コストを最小化することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】高橋 克之,玉井 秀明,“分割配送経路問題を応用した配送業務効率化”,日本オペレーションズ・リサーチ学会 2021年春季研究発表会,2-F-3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した非特許文献1の配送計画支援方法は、分割配送が多用されるときも効率的な配送計画を導出していることを確認している。他方、物流企業などの実際の要望に応えることが必要であり、その1つとして実際の配送先での作業などを考慮し、より効率的な配送計画を導出することが求められる。
【0008】
実際に配送先に荷物を搬入搬出などの作業を行なう場合、場所などの制限により、複数台同時に作業できない場合が想定される。非特許文献1の方法で導出した配送計画は、ある配送先における複数台の車両の作業時間が重複する計画を立ててしまうおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、上述したような課題に鑑み、分割配送を含む配送計画の作成を支援するものであり、複数の車両間で、ある配送先での作業時間が重ならない配送計画の作成を支援する配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であって、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援装置において、事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出する配送計画導出手段と、目的関数に対する制約条件として、同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断する重複時間回避条件判断手段とを有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明は、配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であって、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援方法において、配送計画導出手段が、事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出し、重複時間回避条件手段が、目的関数に対する制約条件として、同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明は、配送拠点から配送先に複数の車両で配送する配送計画であって、ある配送先への荷物を分割して複数の車両で配送する分割配送を含む配送計画の作成を支援する配送計画支援プログラムにおいて、コンピュータを、事前に設定した目的関数を用いて、総配送距離が最小となるような配送計画を導出する配送計画導出手段と、目的関数に対する制約条件として、同一配送先へ移動する複数の車両間の到着時刻の時間差が、当該配送先で滞在する所定時間以上となるように重複時間回避条件を判断する重複時間回避条件判断手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分割配送を含む配送計画の作成を支援するものであり、複数の車両間で、ある配送先での作業時間が重ならない配送計画の作成を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る配送計画支援装置の構成を示す構成図である。
図2】実施形態に係る分配配送を説明する説明図である。
図3】従来の複数の車両の作業時間が重複する配送計画例と、実施形態の重複時間回避条件を用いた配送計画例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)実施形態
以下、本発明に係る配送計画支援装置、配送計画支援方法及び配送計画支援プログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0016】
(A-1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係る配送計画支援装置の構成を示す構成図である。図1に示すように、配送計画支援装置1は、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14を有する。
【0017】
実施形態に係る配送計画支援装置1は、一般的なコンピュータやサーバ装置によって実現可能なものである。例えば、配送計画支援装置1は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ハードディスクドライブ等を備える。なお、配送計画支援装置1は専用マシンとして設計された装置であってもよい。また、これらの一般的なコンピュータやサーバ装置を配送計画支援装置1として機能させるために、プログラム(例えば、配送計画支援プログラム)よって各種処理が実行されるようにしてもよい。
【0018】
制御部11は、配送計画支援装置1の機能を司るものであり、配送計画支援処理部20を有する。
【0019】
配送計画支援処理部20は、総走行距離を最短にするため、配送拠点(デポ)から配送先のノードに、複数の車両で荷物を配送する配送計画の作成支援を行なうものである。配送計画にもよるので、配送先の数は特に限定されず、配送先は、例えば1箇所の場合もあれば、複数箇所の場合もある。
【0020】
特に、配送計画支援処理部20は、総配送距離(移動コスト)を最小にするため、ある配送先に届ける荷物の配送担当を複数に分割し、複数の車両のそれぞれに、配送担当分の荷物を積荷して配送する分割配送に係る配送計画を導出する(図2参照)。なお、配送計画支援処理部20の処理の詳細な説明については動作の項で後述する。
【0021】
図1に示すように、配送計画支援処理部20は、定数設定部21、変数設定部22、制約条件判断部23、配送計画導出部24、配送計画出力部25を有する。
【0022】
配送計画導出部24は、全車両の移動コスト(配送距離)を最小化するため、事前定義した定数及び変数を用いて数理モデルに基づいて配送計画を導出する。
【0023】
定数設定部21は、数理モデルに関連する定数を設定するものである。定数は事前に定義されている。定数設定部21は、数理モデルに必要な定数の値として、記憶部12に事前に記憶されている値を用いるようにしてもよいし、入力部13から入力された値を用いるようにしてもよい。定数については動作の項で詳細に説明する。
【0024】
変数設定部22は、数理モデルに関連する変数を設定するものである。変数は事前に定義されている。定数設定部21は、数理モデルに必要な変数の値として、記憶部12に記憶されている値を用いるようにしてもよいし、入力部13から入力された値を用いるようにしてもよい。変数については動作の項で詳細に説明する。
【0025】
制約条件判断部23は、数理モデルの目的関数に関連する各種制約条件を満たしているか否かを判断する。制約条件は、事前に定義されており、複数の制約条件のうち、1つの制約条件として、ある配送先に訪れている複数の車両の互いの作業時間が重複していることを回避するための「重複時間回避条件」がある。重複時間回避条件判断部231は、上述の重複時間回避条件を判断する。
【0026】
配送計画出力部25は、配送計画導出部24により導出された配送計画を表示部14に出力する。
【0027】
記憶部12は、各種プログラム、プログラム実行に必要なデータ、制御部11によって得られたデータなどを記憶するものであり、配送計画支援プログラムを記憶している。なお、図1に図示していないが、配送計画の作成に必要となる情報も記憶部12が記憶する。
【0028】
入力部13は、例えばキーボード、マウスなどの入力手段であり、配送計画の作成に必要な情報を入力する際に用いられるものである。表示部14は、例えば液晶ディスプレイ等を用いることができ、作成した配送計画を表示する。
【0029】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る配送計画支援方法の処理を説明する。
【0030】
ここでは、分割配送計画問題を、定式化した数理モデルを用いて解決する解決手法を説明する。
【0031】
以下に示すように、定数と変数とを定義し、それぞれ定義した定数と変数とを用いて数理モデルで示すと、数理モデルは式(1)~式(12)の通りとなる。式(1)の目的関数は、全車両の移動コストを最小することを表している。式(2)~式(12)は、制約条件を表している。
【0032】
[定数]
数理モデルに関連する定数は、以下のように定義されている。定数設定部21は、定義された定数の値を取得して設定する。
m:車両台数
n:配送先数
i,j:配送先を表す添え字(0、n+1はデポ、その他は配送先)
k:車両を表す添え字
:配送先iの需要量(複数の配送先宛それぞれの複数の荷物)
ij:配送先iから配送先jへの距離
ij:配送先iから配送先jへ移動するときの所要時間
:車両kの最大積載量(容量)
wt:配送先での作業時間
M:十分大きい値。
【0033】
[変数]
数理モデルに関連する変数は、以下のように定義されている。変数設定部22は、定義された変数の値を取得して設定する。
ijk:配送先iから配送先jへ車両kが直接訪問しないか又は訪問したかを表す変数とする。ここでは、「0」又は「1」を用いたバイナリ変数とし、直接訪問しないときの値を「0」とし、訪問したときの値を「1」とする
ik:配送先iへ車両kによって配送が行われないか又は配送が行われたかを表す変数とする。ここでは、「0」又は「1」を用いたバイナリ変数とし、配送が行われないときの値を「0」とし、配送が行われたときの値を「1」とする
ik:配送先iへの車両kによる配送量を示す実数変数
ik:車両kが配送先iに到着する時刻を示す実数変数。
【0034】
[数理モデル及び制約条件]
以下に示す式(1)~式(12)は、分割配送計画問題を解決するための数理モデルである。配送計画導出部24は、式(1)の目的関数に従って、配送計画を導出する。
【0035】
【数1】
式(1)は、デポからn個の配送先に対してm台の車両で荷物を配送するとき、総配送距離の最小値を求める式である。
【0036】
以下に示す式(2)~式(12)は制約条件であり、制約条件判断部23が、定数及び変数の値を用いて、式(2)~式(12)の制約条件を満たしているか否かを判断する。
【0037】
【数2】
式(2)は、車両の台数はm台であることを示す制約条件である。
式(3)は、各配送先iは、1台以上の車両により分割配送するという制約条件である。ここで、車両台数mは車両によらず容量が一定つまりq=q(k=1,...,m)のときは車両の最低台数はΣd/qで与えられ、その車両台数で配送が可能である。
【0038】
【数3】
式(4)は、車両kが配送先iに配送する量は、yikの値が「0」であるならば「0」であり、配送が行なわれる場合、zikはd以下であることを示す制約条件である。
式(5)は、配送先iに対する、全車両の総配送量が需要量に一致することを示す制約条件である。
式(6)は、車両kによる総配送量は車両容量qを超えないことを示す制約条件である。
【0039】
【数4】
式(7)は、もし配送先jが車両kによって配送されている場合には、配送先jに関してどこかの配送先から車両kが来ることを意味している。
式(8)も同様で、配送先iが車両kによって配送されている場合には、車両kが配送先iからどこかの配送先へ行くことを意味している。
【0040】
【数5】
式(9)は配送先iの次に配送先jへ行く場合、配送先jの到着時刻は配送先iの到着時刻に作業時間と移動時間を加えた時刻より後になることを意味している。
【0041】
【数6】
式(10)は一部配送先の集合Pが上限g台で分割配送可能であることを意味している。式(11)はP以外の配送先の集合Qが分割配送不可能であることを意味している。
【0042】
この実施形態では、上述した分割配送計画問題の数理モデルに、次の式(12)の制約条件を加える。なお、ここでは、上述した従来の数理モデルを念頭に説明するが、これに限るものではない。
【0043】
【数7】
式(12)は、配送先iを訪れる車両k1およびk2(k1<k2)の到着時刻をそれぞれuik1およびuik2としたとき、uik2はuik1に作業時間wtを加えた時刻より後になることを意味している。また、Mは、配送先iに滞在している複数の車両の作業時間が重複しないだけの十分大きな値とする。
【0044】
図3(A)は、従来の複数の車両の作業時間が重複する配送計画例を示す説明図であり、図3(B)は、実施形態の重複時間回避条件を用いた配送計画例を示す説明図である。
【0045】
重複時間回避条件判断部231は、式(12)に従い、車両k1、k2が同一配送先に訪れるか否かについて、変数yik1およびyik2を用いて判定する。
【0046】
ここで、yik1およびyik2はそれぞれ「0」又は「1」を用いたバイナリ変数である。車両が配送先iへの配送が行われないとき、変数の値は「0」であり、配送が行われたとき、変数の値は「1」である。
【0047】
そうすると、両車両k1、k2が配送先iを訪れる場合、これらの変数yik1およびyik2は両方とも「1」となり、式(12)の右辺第2項はゼロになる。すなわち、M(2-yik1-yik2)=0となるので、図3(B)に例示するように、車両k2の配送先iへの到着時刻uik2は、車両k1の配送先iへの到着時刻uik1から作業時間wtを加算した時刻後となる。つまり、車両k1の作業時間と車両k2の作業時間との重複を回避できる。
【0048】
それ以外の場合、すなわち車両k1またはk2が配送先iを訪れない場合、(2-yik1-yik2)>0となるので、右辺第2項は非常に大きな値となる。つまり、図3(B)に例示するように、車両K1の配送先iへの到着時刻uik1の値、車両K2の配送先iへの到着時刻uik2の値にかかわらず、常に式(12)の条件が成立する。すなわち、制約条件を無効化する。
【0049】
式(12)の制約条件を含む数理モデルを解くことで得られる配送計画は、同一店舗を訪れる車両は番号の若い順に到着し、かつ各車両の到着時刻はwt以上離れているものになる。すなわち、同時刻に複数の車両が同一配送先に滞在している計画は生じ得ない。
【0050】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、数理モデルの制約条件として、重複時間回避条件を新たに設けることにより、配送先で、複数の車両の作業時間が重複してしまうことを回避できる。
【0051】
また、図3(A)及び図3(B)に示すように、従来の数理モデルによる配送計画の場合、一部の配送先(図中では「配送先A」と表記する。)での車両k1と車両k2の作業時間が重複しているのに対し、この実施形態で説明した数理モデルによる配送計画の場合、作業時間の重複が生じていないことがわかる。
【0052】
(B)他の実施形態
(B-1)上述した実施形態では、配送先iを訪れる車両k1およびk2の関係をk1<k2と説明したが、k1>k2としても同様の効果が得られる。
【0053】
(B-2)上述した実施形態では、式(12)の左辺で作業時間wtとしたが、時間wtは、配送先iに滞在する複数の車両k1とk2の滞在時間が重複しない時間を意味するものである。したがって、この実施形態では作業時間wtとしたが、配送先iで両車両の滞在を重複させない時間(例えばT)としてもよい。
【0054】
また、この実施形態では、作業時間wtを定数とする場合を例示したが、作業時間が車両によって異なることもあるので、変数の値としてもよい。
【0055】
(B-3)上述した実施形態では、1台の装置が配送計画支援装置としての機能を行なう場合を例示した場合を例示したが、上述した実施形態の手法が可能であれば、複数台の装置のそれぞれに、配送計画支援装置の各機能を分散配置させてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…配送計画支援装置、11…制御部、12…記憶部、13…入力部、14…表示部、20…配送計画支援処理部、21…定数設定部、22…変数設定部、23…制約条件判断部、24…配送計画導出部、25…配送計画出力部、231…重複時間回避条件判断部。

図1
図2
図3