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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122305
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】酸素系漂白剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/395 20060101AFI20240902BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240902BHJP
   C11D 7/54 20060101ALI20240902BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20240902BHJP
   C11D 7/18 20060101ALI20240902BHJP
   D06L 4/12 20170101ALI20240902BHJP
【FI】
C11D3/395
C11D3/37
C11D7/54
C11D7/22
C11D7/18
D06L4/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029773
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】野口 博章
(72)【発明者】
【氏名】青山 丈
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB27
4H003AC08
4H003AD04
4H003AE05
4H003EA08
4H003EA12
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA20
4H003EB30
4H003EB32
4H003EE05
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】充分な漂白力を有し、スケール防止能に優れる酸素系漂白剤組成物を提供すること。
【解決手段】酸素系漂白成分(A)と、特定の繰り返し単位からなる構造を有する重合体(B)とを含むことを特徴とする酸素系漂白剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素系漂白成分(A)と、
下記式(1)で示される繰り返し単位及び下記式(2)で示される繰り返し単位からなる構造を有する重合体、並びに、ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体(B)とを含むことを特徴とする酸素系漂白剤組成物。
【化1】
[R~Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1~9のアルキル基であり、R~Rの炭素数の合計は3~9であり、Mは水素原子又はアルカリ金属である。]
【請求項2】
前記酸素系漂白成分(A)は、過炭酸塩、過ほう酸塩、及び、過硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の酸素系漂白剤組成物。
【請求項3】
前記重合体(B)は、その重量平均分子量が5000~30000である請求項1又は2に記載の酸素系漂白剤組成物。
【請求項4】
前記酸素系漂白成分(A)と前記重合体(B)との重量比は、400:1~1:1である請求項1又は2に記載の酸素系漂白剤組成物。
【請求項5】
前記酸素系漂白剤組成物は、更に、界面活性剤(C)を含む請求項1又は2に記載の酸素系漂白剤組成物。
【請求項6】
前記酸素系漂白剤組成物は、更に、アルカリ剤(D)を含む請求項1又は2に記載の酸素系漂白剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素系漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
漂白剤は通常の洗剤では落としきれない汚れを落とすのに非常に有効である。漂白剤は、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤とに大別することができる。塩素系漂白剤は、強い漂白力を有するが、安定性やにおいに問題があり、また、その強い漂白力のために使用には注意を払う必要がある。一方、酸素系漂白剤は、漂白力こそ塩素系漂白剤に劣るものの、比較的安定であるので扱いやすいという利点がある。
【0003】
酸素系漂白剤の漂白力を向上させるために、種々の成分を配合することが試みられている。例えば、酸素系漂白剤に界面活性剤を加えた漂白剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0004】
酸素系漂白剤は、その使用時に、酸素系漂白剤に含まれる酸素系漂白成分が水と反応する等して分解し、漂白力がある過酸化水素を生じる。例えば、代表的な酸素系漂白成分である過炭酸ナトリウムは、水と反応し、過酸化水素と、スケールの原因となる炭酸ナトリウムに分解する。スケールを防止するため、酸素系漂白剤にキレート剤が添加されている。
【0005】
なお、過酸化水素は自己分解を起こすことがあり、これにより漂白力が低下することがあるが、Mgイオン等の二価金属イオンが過酸化水素の自己分解反応を抑えることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-35986号公報
【特許文献2】特開2004-2734号公報
【特許文献3】特開2005-187743号公報
【特許文献4】特開2011-26456号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】細谷修二、「過酸化水素漂白反応機構の基礎理論」、紙パ技協誌、紙パルプ技術協会、1998年5月、第52巻、第5号、p.9-21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スケール防止のために酸素系漂白剤にキレート剤を配合すると、漂白力が低下する。例えば、酸素系漂白剤にアミノカルボン酸タイプのキレート剤やポリアクリル酸ソーダを配合すると、その使用時にスケールを充分に防止することができるが、過酸化水素の自己分解を抑える作用があるCaイオン、Mgイオン等の二価金属イオンをキレートしてしまい、結果的に、過酸化水素の自己分解が進んで漂白力が低下する。
このように漂白力とスケール防止能はトレード・オフの関係にあるところ、充分な漂白力を有し、スケール防止能に優れる酸素系漂白剤組成物が求められている。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、充分な漂白力を有し、スケール防止能に優れる酸素系漂白剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸素系漂白剤組成物が、酸素系漂白成分とともに特定の高分子を含むことにより、漂白力と、スケール防止能が際立って優れることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明(1)は、酸素系漂白成分(A)と、下記式(1)で示される繰り返し単位及び下記式(2)で示される繰り返し単位からなる構造を有する重合体、並びに、ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体(B)とを含むことを特徴とする酸素系漂白剤組成物である。
【化1】
[R~Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1~9のアルキル基であり、R~Rの炭素数の合計は3~9であり、Mは水素原子又はアルカリ金属である。]
【0012】
上記「ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体」は、不飽和基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有するものをいう。上記「ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位」は、ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体が重合して形成される繰り返し単位と同じ構造の繰り返し単位をいう。
【0013】
本発明の酸素系漂白剤組成物が漂白力とスケール防止能に際立って優れる理由は明らかではないが、上記重合体(B)が、酸素系漂白剤組成物中でキレート作用を適度に発揮できるためであると考えられる。
【0014】
本発明(2)は、上記酸素系漂白成分(A)が、過炭酸塩、過ほう酸塩、及び、過硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である本発明(1)の酸素系漂白剤組成物である。
上記酸素系漂白成分(A)が、過炭酸塩、過ほう酸塩、及び、過硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であると、本発明の効果がより顕著になる。
【0015】
本発明(3)は、上記重合体(B)が、その重量平均分子量が5000~30000である本発明(1)又は(2)の酸素系漂白剤組成物である。
上記重合体(B)が、その重量平均分子量が5000~30000であると、本発明の効果がより顕著になる。
【0016】
本発明(4)は、上記酸素系漂白成分(A)と上記重合体(B)との重量比が、400:1~1:1である本発明(1)~(3)のいずれかの酸素系漂白剤組成物である。
上記酸素系漂白成分(A)と上記重合体(B)との重量比が、400:1~1:1であると、本発明の効果をよりバランス良く発揮できる。
【0017】
本発明(5)は、上記酸素系漂白剤組成物が、更に、界面活性剤(C)を含む本発明(1)~(4)のいずれかの酸素系漂白剤組成物である。
上記酸素系漂白剤組成物が、更に、界面活性剤(C)を含むと、漂白力がより向上する。
【0018】
本発明(6)は、上記酸素系漂白剤組成物が、更に、アルカリ剤(D)を含む本発明(1)~(5)のいずれかの酸素系漂白剤組成物である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の酸素系漂白剤組成物は、充分な漂白力を有し、スケール防止能に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の酸素系漂白剤組成物について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0021】
本発明の酸素系漂白剤組成物は、酸素系漂白成分(A)と、上記式(1)で示される繰り返し単位及び上記式(2)で示される繰り返し単位からなる構造を有する重合体、並びに、ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体(B)とを含むことを特徴とする。
【0022】
<酸素系漂白成分(A)>
上記酸素系漂白成分(A)は、通常、水溶液中で過酸化水素を発生する成分であり、例えば、過炭酸塩、過ほう酸塩、及び、過硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。中でも、漂白力をより優れたものとする観点から、上記酸素系漂白成分(A)は、過炭酸塩及び/又は過硫酸塩であることがより好ましい。
【0023】
上記過炭酸塩としては、例えば、過炭酸アンモニウム、過炭酸リチウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸カルシウム、過炭酸マグネシウム等が挙げられ、中でも過炭酸のアルカリ金属塩が好ましく、過炭酸ナトリウムがより好ましい。
上記過ほう酸塩としては、例えば、過ほう酸アンモニウム、過ほう酸リチウム、過ほう酸ナトリウム、過ほう酸カリウム、過ほう酸カルシウム、過ほう酸マグネシウム等が挙げられ、中でも過ほう酸のアルカリ金属塩が好ましく、過ほう酸ナトリウムがより好ましい。
上記過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸リチウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カルシウム、過硫酸マグネシウム等が挙げられ、中でも過硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、過硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0024】
本発明の酸素系漂白剤組成物において、上記酸素系漂白成分(A)の形状は、特に限定されないが、平均粒子径が0.1~2.0mmの顆粒状であることが好ましく、平均粒子径が0.2~1.0mmの顆粒状であることがより好ましい。
酸素系漂白成分(A)が顆粒状であると、粉末状ではないので流動性に優れる。
また酸素系漂白成分(A)の平均粒子径が上記範囲内であると、長期保存により適したものとしながら、使用時に水に溶けやすいものとなる。
【0025】
本明細書において、「平均粒子径」は、以下のように定める。まず、光学顕微鏡を用いて少なくとも10個以上の粒子が視野に完全に入るような倍率(例えば20~30倍)で画像を撮影する。次に、粒子の最長部分の長さを「粒子の粒子径」として、画像内の全ての粒子について、「粒子の粒子径」を計測する。得られた各粒子の粒子径の相加平均を「平均粒子径」とする。
【0026】
本発明の酸素系漂白剤組成物100質量%中、酸素系漂白成分(A)の質量割合は、15質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが一層好ましく、75質量%以上であることが特に好ましい。
上記酸素系漂白成分(A)の質量割合は、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましく、97質量%以下であることが更に好ましい。
上記酸素系漂白成分(A)の質量割合は、本発明の酸素系漂白剤組成物が複数の酸素系漂白成分(A)を含む場合は、その合計質量割合である。
【0027】
<重合体(B)>
上記重合体(B)は、上記式(1)で示される繰り返し単位及び上記式(2)で示される繰り返し単位からなる構造を有する重合体、並びに、ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0028】
上記式(1)におけるR~Rは、それぞれ水素原子又は炭素数1~9のアルキル基であるが、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。また、R~Rの炭素数の合計は3~9であるが、4~8であることが好ましく、5~7であることがより好ましく、6であることが更に好ましい。
上記式(1)で示される繰り返し単位は、通常、炭素数5~11のオレフィンに由来する構造であり、炭素数6~10のオレフィンに由来する構造であることが好ましく、炭素数7~9のオレフィンに由来する構造であることがより好ましく、炭素数8のオレフィンに由来する構造であることが更に好ましく、ジイソブチレンに由来する構造であることが特に好ましい。
【0029】
上記式(2)におけるMは、水素原子又はアルカリ金属であるが、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ナトリウム及び/又はカリウムであることがより好ましい。
上記重合体において、上記式(1)で示される繰り返し単位と上記式(2)で示される繰り返し単位の配置の順番は特に限定されず、交互に配置されていてもよく、ランダムに配置されていてもよく、上記式(1)で示される繰り返し単位が複数個配置された後、上記式(2)で示される繰り返し単位が複数個配置されていてもよい。
すなわち、上記重合体は上記式(1)で示される繰り返し単位となるモノマーと、上記式(2)で示される繰り返し単位となるモノマーとの交互共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
【0030】
上記式(1)で示される繰り返し単位及び上記式(2)で示される繰り返し単位からなる構造を有する重合体としては、例えば、オレフィン/マレイン酸共重合体及びこれらの塩から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0031】
上記式(1)で示される繰り返し単位及び上記式(2)で示される繰り返し単位は、それぞれ、全てが同じ構造であってもよく、全てが同じ構造でなくてもよく、例えば繰り返し単位毎に異なる構造であってもよい。
上記式(1)で示される繰り返し単位の数と、上記式(2)で示される繰り返し単位の数は、上記式(1)で示される繰り返し単位の数:上記式(2)で示される繰り返し単位の数=1:2~2:1であることが好ましく、2:3~3:2であることがより好ましく、実質的に1:1であることが更に好ましい。
【0032】
上記式(1)で示される繰り返し単位及び上記式(2)で示される繰り返し単位からなる構造を有する重合体の市販品としては、例えば、ローム・アンド・ハースジャパン(株)製アキュゾール460Nシリーズ及び花王(株)製デモールシリーズ、BASFジャパン(株)製ソカランCP9シリーズ等が挙げられる。
【0033】
ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体における、ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位は、例えば、式(3)で示される繰り返し単位であることが好ましい。
【化2】
[Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、同一又は異なって、炭素数2~4のアルキレン基であり、Rは、水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である。nは1~100の整数である。]
【0034】
上記式(3)におけるRは、メチル基であることが好ましい。Rは、エチレン基であることが好ましい。Rは、メチル基であることが好ましい。nは1~30の整数であることが好ましい。
【0035】
またポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体は、アクリル酸(塩)及び/又はメタクリル酸(塩)由来の繰り返し単位を更に有することが好ましい。
なお、アクリル酸(塩)は、アクリル酸及び/又はその塩をいい、アクリル酸のアルカリ金属塩であることが好ましく、アクリル酸のナトリウム塩であることがより好ましい。メタクリル酸(塩)は、メタクリル酸及び/又はその塩をいい、メタクリル酸のアルカリ金属塩であることが好ましく、メタクリル酸のナトリウム塩であることがより好ましい。
【0036】
言い換えれば、上記ポリアルキレングリコールエステル系不飽和単量体由来の繰り返し単位を有する重合体は、例えば、下記式(4)で示される繰り返し単位を更に有することが好ましい。
【化3】
[Rは、水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子又はアルカリ金属である。]
上記式(4)におけるMは、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ナトリウム及び/又はカリウムであることがより好ましい。
【0037】
本発明の酸素系漂白剤組成物では、上記重合体(B)の重量平均分子量は、5000~30000であることが好ましく、7000~25000であることがより好ましく、10000~20000であることが更に好ましい。
重合体(B)の重量平均分子量が上記範囲であると、本発明の効果がより顕著になる。
上記重量平均分子量は、リン酸緩衝溶液とアセトニトリルを展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリアクリル酸を標準物質として求められる。
【0038】
本発明の酸素系漂白剤組成物100質量%中、重合体(B)の質量割合は、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.7質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。
上記重合体(B)の質量割合は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましく、3.5質量%以下であることが特に好ましい。
【0039】
本発明の酸素系漂白剤組成物において、上記酸素系漂白成分(A)と上記重合体(B)との質量比は、特に限定されないが、400:1~1:1であることが好ましく、300:1~2:1であることがより好ましく、200:1~3:1であることが更に好ましい。
上記重合体(B)の質量割合は、本発明の酸素系漂白剤組成物が複数の重合体(B)を含む場合は、その合計質量割合である。
【0040】
<界面活性剤(C)>
本発明の酸素系漂白剤組成物は、更に、界面活性剤(C)を含むことが好ましい。
上記界面活性剤(C)は、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び、アニオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とすることができ、いずれの界面活性剤でも漂白力をより向上できる。
【0041】
(カチオン界面活性剤)
上記カチオン界面活性剤は、例えば、第四級アンモニウムカチオンを有する化合物(第四級アンモニウム化合物)であることが好ましく、下記一般式(5)で表されるカチオンを有することがより好ましい。
【化4】
[式(5)中、R~R12は、疎水性基を表し、R~R12の少なくとも1つは、炭素数が9以上の炭化水素基である。窒素原子がR~R11のいずれかと二重結合で結合していてもよく、その場合、R12は存在しなくてもよい。R~R12は、いずれか2つが互いに結合して環(例えば、芳香環)を形成していてもよい。]
【0042】
上記疎水性基としては、炭化水素基、(ポリ)アルキレンオキシド基、又は、これらの基の2つ以上が結合してなる基が挙げられ、更に水酸基、ハロゲン原子を含んでいてもよいが、炭化水素基が好ましい。なお、上記(ポリ)アルキレンオキシド基は、アルキレンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基をいう。(ポリ)アルキレンオキシド基は、例えば、(ポリ)エチレンオキシド基であることが好ましい。上記疎水性基の価数は特に限定されないが、例えば1価又は2価であることが好ましい。
上記炭化水素基としては、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの2種以上が結合してなる基が挙げられる。
炭素数9以上の炭化水素基における炭素数は、10以上であることが好ましく、11以上であることがより好ましい。
上記疎水性基における炭素数は、その上限値は特に限定されないが、例えば36以下であり、24以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
【0043】
またRが、炭素数が11以上の炭化水素基である場合、R10は、疎水性基である限り特に限定されないが、例えば、炭素数1~7の炭化水素基(メチル基、ベンジル基等)、ヒドロキシエチル基、(ポリ)エチレンオキシド基であることが好ましい。
11、R12は、疎水性基である限り特に限定されないが、例えば炭素数1~5の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1又は2の炭化水素基であることがより好ましい。
【0044】
上記カチオン界面活性剤は、どのような塩であってもよいが、例えば、塩化物、臭化物、セチルリン酸塩、プロピオン酸塩、メチル硫酸塩、アジピン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩等が好適なものとして挙げられる。
【0045】
上記カチオン界面活性剤はまた、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、及び、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0046】
(両性界面活性剤)
上記両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド等であって、アルキル基の炭素数が9以上のものが挙げられる。これらの中では、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドが好ましい。
【0047】
(ノニオン界面活性剤)
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グルコシド、ポリオキシアルキレンメチルエーテル脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、キラヤサポニン等であって、炭素数9以上の炭化水素基を有するものが挙げられる。
これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グルコシドが好ましい。
アルキル(ポリ)グルコシドとは、アルキルグルコシド及び/又はアルキルポリグルコシドをいう。
【0048】
(アニオン界面活性剤)
上記アニオン界面活性剤としては、脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等であって、炭素数9以上の炭化水素基を有するものが挙げられる。これらの中では、例えば、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩が好ましい。
【0049】
上述した界面活性剤が有する炭素数9以上の炭化水素基(例えば、アルキル基)の炭素数は、10以上であることが好ましく、11以上であることがより好ましい。
上記炭化水素基(例えば、アルキル基)の炭素数は、その上限値は特に限定されないが、例えば36以下であり、24以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
また上述した界面活性剤がオキシアルキレン基を有する場合、オキシアルキレン基は、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基であることが好ましく、また、その繰り返し数は2~20であることが好ましく、5~10であることがより好ましい。
【0050】
本発明の酸素系漂白剤組成物100質量%中、上記界面活性剤(C)の質量割合が0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.7質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。
上記界面活性剤(C)の質量割合は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
【0051】
本発明の酸素系漂白剤組成物において、上記酸素系漂白成分(A)と上記界面活性剤(C)との質量比は、特に限定されないが、400:1~1:1であることが好ましく、300:1~2:1であることがより好ましく、200:1~3:1であることが更に好ましい。
上記界面活性剤(C)の質量割合は、本発明の酸素系漂白剤組成物が複数の界面活性剤(C)を含む場合は、その合計質量割合である。
【0052】
<アルカリ剤(D)>
本発明の酸素系漂白剤組成物は、更に、アルカリ剤(D)を含むことが好ましい。
【0053】
アルカリ剤(D)としては、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のケイ酸塩、アルカリ土類金属のケイ酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ土類金属のリン酸塩、アルカリ金属の水酸化物、及び、アルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0054】
炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び、炭酸カルシウム等が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、及び、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。リン酸塩としては、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、及び、リン酸カルシウム等が挙げられる。水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0055】
本発明の酸素系漂白剤組成物100質量%中、アルカリ剤(D)の質量割合は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。
上記アルカリ剤(D)の質量割合は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましい。
【0056】
本発明の酸素系漂白剤組成物において、上記酸素系漂白成分(A)と上記アルカリ剤(D)との質量比は、特に限定されないが、100:1~2:3であることが好ましく、100:2~1:1であることがより好ましく、100:3~3:2であることが更に好ましい。
上記アルカリ剤(D)の質量割合は、本発明の酸素系漂白剤組成物が複数のアルカリ剤(D)を含む場合は、その合計質量割合である。
【0057】
本発明の酸素系漂白剤組成物には、上記重合体(B)以外のキレート剤、増量剤、酵素、酸剤、香料、色素、ケーキング防止剤、消泡剤、又は、漂白活性化剤等(以下、「その他の成分」という)の通常の酸素系漂白剤組成物に含まれる成分が含まれていても良い。
【0058】
本発明の酸素系漂白剤組成物に含まれる、上記重合体(B)以外のキレート剤としては、特に限定されないが、アミノカルボン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤、ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・マレイン酸共重合体類、エーテルカルボン酸塩等のものから選択される1又は2以上のものを使用できる。
【0059】
アミノカルボン酸系キレート剤としては、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ジカルボキシメチルグルタミックアシッド(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)あるいはこれらの塩等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酒石酸あるいはこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
リン酸系キレート剤としては、トリポリリン酸(STPP)、ヒドリキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、ヘキサメタリン酸あるいはこれらの塩等が挙げられる。
【0060】
増量剤としては、無水硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム・10水和物(芒硝)、硫酸カリウム、粉末シリカ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0061】
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類が挙げられ、具体的には、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼ等が例示でき、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0062】
本発明の酸素系漂白剤組成物100質量%中、その他の成分の質量割合は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
また本発明の酸素系漂白剤組成物は、その他の成分を実質的に含まなくてもよい。
【0063】
本発明の酸素系漂白剤組成物は、その1質量%水溶液の25℃でのpHが8~13であることが好ましく、9~12.5であることがより好ましく、9.8~12.1であることが更に好ましい。
pHは、実施例に記載の方法で測定される。
【0064】
本発明の酸素系漂白剤組成物は、有効酸素濃度が3~12.5%であることが好ましく、4~12%であることがより好ましく、5~11.5%であることが更に好ましい。
有効酸素濃度は、実施例に記載の方法で測定される。
【0065】
本発明の酸素系漂白剤組成物は、従来の酸素系漂白剤を用いる方法と同様の方法で用いることができる。
【実施例0066】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
<<実施例1~21、比較例1~13>>
酸素系漂白剤組成物をそれぞれ表1、表2に示す組成で調製し各評価を行った。なお、表に示した化合物の製造元等は以下の通りである。
【0068】
<酸素系漂白成分(A)>
過炭酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製 過炭酸ナトリウム
過ほう酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製 ペルオキソほう酸ナトリウム四水和物
過硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製 ペルオキソ二硫酸ナトリウム
【0069】
<重合体(キレート剤)(B)>
オレフィン/マレイン酸共重合体のナトリウム塩1:ローム・アンド・ハース社製 アキュゾール460ND(ジイソブチレン/マレイン酸=50/50(モル比)、重量平均分子量=10000)
オレフィン/マレイン酸共重合体のナトリウム塩2:花王(株)製 デモールEP(ジイソブチレン/マレイン酸=50/50(モル比)、重量平均分子量=20000)
オレフィン/マレイン酸共重合体のナトリウム塩3:BASFジャパン(株)製 ソカランCP9(ジイソブチレン/マレイン酸=50/50(モル比)、重量平均分子量=12000)
変性ポリカルボン酸ナトリウム塩:BASFジャパン(株)製 ソカランCP42
【0070】
<その他キレート剤(B′)>
メチルグリシン二酢酸三ナトリウム:BASF(株)製 トリロンM
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム:東京化成工業(株)製 エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム四水和物
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム:東京化成工業(株)製 N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N′,N′-三酢酸三ナトリウム二水和物
クエン酸ナトリウム:林純薬工業(株)製 クエン酸三ナトリウム・2水和物
エチドロン酸二ナトリウム塩:富士フイルム和光純薬(株)製 エチドロン酸二ナトリウム塩
トリポリリン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製 トリポリりん酸ナトリウム
アクリル酸重合体ナトリウム塩1:東亜合成(株)製 アロンA-120、重量平均分子量2000
アクリル酸重合体ナトリウム塩2:BASFジャパン(株)製 ソカランPA25CL、重量平均分子量4000
アクリル酸重合体ナトリウム塩3:BASFジャパン(株)製 ソカランPA40、重量平均分子量15000
アクリル酸/マレイン酸共重合体ナトリウム塩1:BASFジャパン(株)製 ソカランCP12S、重量平均分子量3000
アクリル酸/マレイン酸共重合体ナトリウム塩2:BASFジャパン(株)製 ソカランCP7、重量平均分子量50000
アクリル酸/マレイン酸共重合体ナトリウム塩3:BASFジャパン(株)製 ソカランCP45、重量平均分子量70000
アクリル酸/スチレン系共重合体ナトリウム塩:ローム・アンド・ハースジャパン(株)製 アキュゾール587、重量平均分子量11000
【0071】
<界面活性剤(C)>
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:テイカ(株)製 テイカパワーLN2450
アルキル硫酸エステルナトリウム:東京化成工業(株)製 ドデシル硫酸ナトリウム
アルキルアミンオキシド:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 カデナックスDM12D-W ラウリルジメチルアミンオキシド
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:第一工業製薬(株)製 DKS NL-100 ポリ(10)オキシエチレンラウリルエーテル
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル:第一工業製薬(株)製 ノイゲンLP-100 ポリオキシアルキレンラウリルエーテル
アルキルベタイン:東邦化学工業(株)製 オバゾリンLB ラウリルベタイン
ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロライド:東京化成工業(株)製 ベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド
【0072】
<アルカリ剤(D)>
炭酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
リン酸三カリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
メタケイ酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
【0073】
<その他成分>
硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬(株)製
なお、表中に示す成分は全て純分換算量(質量%)である。
【0074】
各評価は以下のようにおこなった。
【0075】
<pH>
各組成物の1質量%水溶液のpHを、pHメータ F-53(株式会社堀場製作所製)を用い、25℃で、JIS Z-8802:2011「pH測定方法」に準じた方法で測定した。結果を、以下の表1、表2に示す。
【0076】
<有効酸素濃度>
有効酸素濃度は、過マンガンカリウム標準水溶液を用いて以下のように測定した。または、JIS L0889付属書Aに記載の方法でも有効酸素濃度は測定できる。
1Lガラスビーカーにイオン交換水1000mlを入れ、酸素系漂白剤組成物を10g添加し、10分間攪拌し、5分間静置した後、10gを電子天秤で秤量し、200mlの三角フラスコに入れた。そして2.8%硫酸水溶液を70ml加えた。その溶液を1/10N過マンガン酸カリウム水溶液で滴定し、薄紅色がついた時点を終点とした。この反応は以下のように表される。
2MnO +5H+6H→2Mn +5O+8H
過マンガン酸カリウム滴定量より、酸素系漂白剤組成物中の有効酸素濃度を求めた。
【0077】
<漂白力の評価>
(紅茶汚れに対する漂白力の評価)
以下の方法により、各実施例・比較例に係る酸素系漂白剤組成物の紅茶汚れに対する漂白力を評価した。
(1)色素汚れの沈着したメラミン食器の準備
水6Lに紅茶パック(日東紅茶 DAY&DAY TEA BAG)を40個入れ沸騰するまで加熱し、沸騰後は加熱をやめ紅茶溶液を調製した。
次に、長期間使用して表面が荒れているメラミン食器(三信化工社製:MS-543 LNA 角仕切皿)を紅茶溶液に入れ、24時間浸漬して紅茶色素汚れを沈着させた。
(2)色素汚れの漂白
500mLビーカーに水400gを入れ、ウォーターバスで70℃に加温し、濃度が0.4重量%となるように各実施例・比較例に係る酸素系漂白剤組成物を入れ溶解させ、酸素系漂白剤水溶液を調製した。
その後、上記酸素系漂白剤水溶液中に、上記の紅茶色素汚れの沈着したメラミン食器を20分間浸漬させ紅茶色素汚れを漂白した。
(3)漂白力の評価
漂白後のメラミン食器の色を目視し、下記の評価基準により評価した。結果を以下の表1、表2に示す。丸カッコ内に、紅茶色素が落ちたおおよその割合を数値で示している。
〇:紅茶色素が70%以上落ちている。
△:紅茶色素が50%以上、70%未満程度落ちている。
×:紅茶色素がほとんど落ちていない。
なお、△以上であれば、評価結果は良好である。
【0078】
(カレー汚れに対する漂白力の評価)
以下の方法により、各実施例・比較例に係る酸素系漂白剤組成物のカレー汚れに対する漂白力を評価した。
(1)カレー汚れの沈着したメラミン食器の準備
水4Lにカレールー(ハウス食品 バーモンドカレー中辛)を920g入れ沸騰させた。
次に、長期間使用して表面が荒れているメラミン食器(三信化工社製:MS-543 LNA 角仕切皿)を沸騰したカレー溶液に入れ、6時間煮込みカレー色素汚れを沈着させた。
(2)色素汚れの漂白
500mLビーカーに水400gを入れ、ウォーターバスで40℃に加温し、濃度が1重量%となるように各実施例・比較例に係る酸素系漂白剤組成物を入れ溶解させ、酸素系漂白剤水溶液を調製した。
その後、上記酸素系漂白剤水溶液中に、上記のカレー色素汚れの沈着したメラミン食器を40分間浸漬させカレー色素汚れを漂白した。
(3)漂白力の評価
漂白後のメラミン食器の色を目視し、下記の評価基準により評価した。結果を以下の表1、表2に示す。丸カッコ内に、カレー色素が落ちたおおよその割合を数値で示している。
〇:カレー色素が70%以上落ちている。
△:カレー色素が40%以上、70%未満程度落ちている。
×:カレー色素がほとんど落ちていない。
なお、△以上であれば、評価結果は良好である。
【0079】
<食器白化防止能の評価>
(ABS樹脂製食器の白化防止能の評価)
以下の方法により、各実施例・比較例に係る酸素系漂白剤組成物のABS樹脂製食器(若泉漆器社製:5寸やよい丼朱内黒)の白化防止能試験を行った。
精製水に塩化カルシウム・二水塩4.41gを溶解して2000mlの溶液としたものを人工硬水として準備した。
ABS樹脂製食器に人工硬水17g、酸素系漂白剤組成物2g、精製水181gを入れ、ラップで蓋をして70℃の恒温槽中で24時間加熱後、一晩放冷した。
その後、ABS樹脂製食器内の溶液を捨て、空になったABS樹脂製食器を乾燥させた。
乾燥後のABS樹脂製食器の内面を観察し、白い付着物(スケール)があるかどうかを目視確認し、下記基準にて評価した。
○:スケールの付着がない。
△:スケールの付着が少しある。
×:スケールの付着が大量にある。
【0080】
(ステンレス製食器の白化防止能の評価)
以下の方法により、各実施例・比較例に係る酸素系漂白剤組成物のステンレスビーカーの白化防止能試験を行った。
精製水に塩化カルシウム・二水塩4.41gを溶解して2000mlの溶液としたものを
人工硬水として準備した。
200mlステンレスビーカーに人工硬水17g、酸素系漂白剤組成物2g、精製水181gを入れ、ラップで蓋をして70℃の恒温槽中で24時間加熱後、一晩放冷した。
その後、ステンレスビーカー内の溶液を捨て、空になったステンレスビーカーを乾燥させた。
乾燥後のステンレスビーカーの内面を観察し、白い付着物(スケール)があるかどうかを目視確認し、下記基準にて評価した。
○:スケールの付着がない。
△:スケールの付着が少しある。
×:スケールの付着が大量にある。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
各実施例の結果が示すように、酸素系漂白成分(A)とともに特定の繰り返し単位からなる構造を有する重合体(B)を含む実施例1~21に係る酸素系漂白剤組成物は、優れた漂白力と、優れた食器白化防止能、すなわち、優れたスケール防止能とを両立できるものであった。