(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122313
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】義歯洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/00 20060101AFI20240902BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61C17/00 U
B08B3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029783
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】520342943
【氏名又は名称】株式会社サーランド・アイエヌイー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】石坂 欣也
(72)【発明者】
【氏名】山口 明範
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB40
3B201AB44
3B201BB02
3B201BB82
3B201BB87
3B201BB92
3B201BB94
3B201CD36
3B201CD42
3B201CD43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】義歯に付着した義歯固定用の粘着剤を迅速に除去し、さらに、洗浄時の義歯への損傷を極力抑制する義歯洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄液を収容する容器部と、容器部の開口部に装着され前記開口部を封止する蓋部20と、蓋部に配置されるモータ部40と、蓋部に配置され、モータ部のモータ軸部41の回転駆動を容器部に対して進退する進退軸部の上下運動に変換する変換部30と、進退軸部31に接続され義歯を保持する保持部33とを備え、義歯が洗浄液中で上下運動することにより義歯が洗浄される
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を収容する容器部と、
前記容器部の開口部に装着され前記開口部を封止する蓋部と、
前記蓋部に配置されるモータ部と、
前記蓋部に配置され、前記モータ部のモータ軸部の回転駆動を前記容器部に対して進退する進退軸部の上下運動に変換する変換部と、
前記進退軸部に接続され義歯を保持する保持部と、を備え、
前記義歯が洗浄液中で上下運動することにより前記義歯が洗浄される
ことを特徴とする義歯洗浄装置。
【請求項2】
前記変換部はスコッチヨーク機構からなり、
前記モータ軸部に、偏心位置に突起部を備えた回転盤部が接続され、
前記進退軸部に、前記突起部が摺動する枠部を有する連動盤部が備えられる請求項1に記載の義歯洗浄装置。
【請求項3】
前記保持部は、第1掴持部と第2掴持部を有するクランプ部を備え、前記第1掴持部と前記第2掴持部に樹脂部材が被着されている請求項1に記載の義歯洗浄装置。
【請求項4】
前記モータ部のモータ軸部の回転数を制御する制御部が備えられる請求項1に記載の義歯洗浄装置。
【請求項5】
前記蓋部に洗浄液を加温するヒータが備えられる請求項1に記載の義歯洗浄装置。
【請求項6】
前記容器部の底部を支持する受皿部が備えられ、前記容器部と前記受皿部の間に緩衝部材が介在される請求項1に記載の義歯洗浄装置。
【請求項7】
前記蓋部は前記容器部を押下する錘を備える請求項1に記載の義歯洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は義歯洗浄装置に関し、特に義歯と口腔とを粘着させる粘着剤の洗浄、除去に用いられる義歯洗浄装置である。
【背景技術】
【0002】
義歯(入れ歯)と口腔との固定に際し、義歯固定用の粘着剤が用いられる。そして、義歯は、飲食後、就寝前等に口腔内から取り外されて洗浄される。
【0003】
従前、義歯の洗浄に際しては、例えば、洗浄槽と、外周部に義歯を保持する保持手段を有する水車型回転体と、この水車型回転体を回転させるモータを備える洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。他に、耐水性袋に洗浄液を注入して同袋の上端縁部を閉じた後に袋全体を上下に振り動かす簡易洗浄具が提案されている(特許文献2参照)。さらには、回転ブラシを用いる洗浄装置等が提案されている。
【0004】
しかしながら、前出の洗浄装置等では、迅速かつ十分に義歯固定用の粘着剤を除去することは難しい。義歯は構造が複雑であることと粘着剤は強固に義歯にこびり付いている。このため、現状、義歯は人手により歯ブラシ、布が用いられて1個ずつ洗浄されている。加えて、義歯を構成する樹脂材の性質から歯ブラシを強く当てると傷つきやすいため、慎重な洗浄が求められる。病院、介護施設等では、飲食後に入院者、入居者の義歯を洗浄することから、義歯の洗浄に人手と時間を割く必要があり、施設内の介助者当の作業負担の増大が問題視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-125266号公報
【特許文献2】特開2009-195342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述の点に鑑みなされたものであり、義歯に付着した義歯固定用の粘着剤を迅速に除去し、さらに、洗浄時の義歯への損傷を極力抑制する義歯洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、実施形態の義歯洗浄装置は、洗浄液を収容する容器部と、容器部の開口部に装着され前記開口部を封止する蓋部と、蓋部に配置されるモータ部と、蓋部に配置され、モータ部のモータ軸部の回転駆動を容器部に対して進退する進退軸部の上下運動に変換する変換部と、進退軸部に接続され義歯を保持する保持部とを備え、義歯が洗浄液中で上下運動することにより義歯が洗浄されることを特徴とする。
【0008】
さらに、義歯洗浄装置において、変換部はスコッチヨーク機構からなり、モータ軸部に、偏心位置に突起部を備えた回転盤部が接続され、進退軸部に、突起部が摺動する枠部を有する連動盤部が備えられることとしてもよい。
【0009】
さらに、義歯洗浄装置において、保持部、第1掴持部と第2掴持部を有するクランプ部を備え、第1掴持部と第2掴持部に樹脂部材が被着されていることとしてもよい。
【0010】
さらに、義歯洗浄装置において、モータ部のモータ軸部の回転数を制御する制御部が備えられることとしてもよい。
【0011】
さらに、義歯洗浄装置において、蓋部に洗浄液を加温するヒータが備えられることとしてもよい。
【0012】
さらに、義歯洗浄装置において、容器部の底部を支持する受皿部が備えられ、容器部と受皿部の間に緩衝部材が介在されることとしてもよい。
【0013】
さらに、義歯洗浄装置において、蓋部は容器部を押下する錘を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の義歯洗浄装置によると、洗浄液を収容する容器部と、容器部の開口部に装着され前記開口部を封止する蓋部と、蓋部に配置されるモータ部と、蓋部に配置され、モータ部のモータ軸部の回転駆動を容器部に対して進退する進退軸部の上下運動に変換する変換部と、進退軸部に接続され義歯を保持する保持部とを備え、義歯が洗浄液中で上下運動することにより義歯が洗浄されるため、義歯に付着した義歯固定用の粘着剤を迅速に除去し、さらに、洗浄時の義歯への損傷を極力抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の義歯洗浄装置の全体斜視図である。
【
図2】蓋部上のモータ部及び変換部を示す側面図である。
【
図3】(A)変換部の回転盤部の第1位置の模式図、(B)変換部の回転盤部の第2位置の模式図である。
【
図5】(A)保持部の義歯の保持を示す第1側面図、(B)保持部の義歯の保持を示す第2側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態の義歯洗浄装置は、義歯を水等の洗浄液に沈め、義歯を激しく上下に振ることにより、義歯に付着した汚れを除去する洗浄装置である。特に、ブラシ等の物理的に義歯に接触する部材を用いずに水等の洗浄液との接触を通じて簡便かつ効率よく義歯の汚れを除去する装置である。義歯洗浄装置は、主に、義歯と口腔の粘膜との固定に使用される粘着剤の効率の良い除去を目的とする。
【0017】
図1は実施形態の義歯洗浄装置1の外観を示す全体斜視図である。義歯洗浄装置1は、洗浄液を収容する容器部10、容器部10の開口部15に装着され開口部15を封止する蓋部20、そして、駆動制御のための制御部50が備えられる。制御部50は、蓋部20内に配置されるモータ部40(
図2参照)と配線接続される。
【0018】
容器部10はアクリル樹脂等の透明樹脂から形成される容器体であり洗浄液が注入される。容器部10はもっぱら義歯を1個洗浄可能な大きさ、内容量である。容器部10の注入される洗浄液は、水または50度前後の温水である。必要に応じて水または温水に洗剤、アルコール等が混入される。なお、熱湯は義歯を損傷させるおそれから避けられる。容器部10の底部11は、受皿部12内に収容される。
図6にて詳述するように、受皿部12を通じて容器部10に発生する振動、衝撃が吸収、低減される。
【0019】
容器部10に蓋部20が備えられる。蓋部20は容器部10の開口部15に装着され開口部15を封止する。容器部10の開口部15の封止に際し、蓋部20に接続された嵌着部材26が用いられ、蓋部20は強固に開口部15に固定され、洗浄時の洗浄液の漏洩が防止される。また、蓋部20にはモータ部40(
図2参照)が配置される。モータ部40は蓋部20のカバーにより覆われ、モータ部40を含む機構は保護される。
【0020】
図1の実施形態では制御部50は蓋部20(内部の基板)と連絡ケーブル51により接続される。義歯洗浄装置1への電源供給は電源ケーブル52を通じて行われる。電源ケーブル52は、例えば、単相の交流100V用であり、制御部50において交流から直流24Vに変圧される。そこで、制御部50には変圧用の適宜の回路、トランス等が備えられる。実施形態では、回転数の可変調節の便宜からモータ部40に直流モータが用いられる。制御部50にはモータ部40の制御と電源投入及び停止を兼用して制御するモータ制御スイッチ53、後述するヒータ22(
図2参照)の温度調節用のヒータ制御スイッチ54が備えられる。そこで、義歯の使用者は義歯洗浄装置1を動作、停止させる。
【0021】
図2は蓋部20からカバーを取り外して蓋部上のモータ部及び変換部の機構を示す側面図である。蓋部20にはモータ部40の回転振動に伴って発生する衝撃が加わる。そのため、振動、衝撃を緩和、吸収するため蓋部20自体の重量を増やす必要がある。そこで、蓋部20が十分に容器部10を押下する便宜から錘21が備えられる。図示の蓋部20はアルミニウム製またはステンレス鋼製である。そこで、蓋部20自体が錘21の役割を兼ね備える。
【0022】
図2から理解されるように、蓋部20の上部側にモータ部40(直流モータ)のモータ軸部41は横向き(蓋部20に対して平行)に配置される。モータ部40の回転軸となるモータ軸部41は蓋部20の中央に向く位置である。そして、蓋部20に配置されモータ部40のモータ軸部41の回転駆動を容器部10に対して進退する進退軸部31の上下運動に変換する変換部30が備えられる。
【0023】
変換部30は、モータ軸部41に接続された回転盤部42と、回転盤部42と当接して連動する連動盤部45を含む。変換部30を通じてモータ軸部41の回転運動は進退軸部31の上下運動に変換される。図示では、モータ部40及びモータ軸部41を蓋部20の上部側に支持するため、垂直支持部46,47が備えられ、垂直支持部46,47内にモータ軸部41が挿通される。
【0024】
さらに、
図2から理解されるように、蓋部20の下部側に義歯を保持する保持部33が備えられ、保持部33は進退軸部31に接続される。また、蓋部20の下部側に洗浄液を加温するヒータ22と洗浄液の液温を検出するセンサ23が備えられる。
【0025】
図3は変換部30の動作を説明する模式図であり、連動盤部45と回転盤部42を正面から見る状態であり、垂直支持部47を省略して途中が部分的に断面として示される。変換部30は、一般にスコッチヨーク機構と称される回転運動の往復運動に変換するための機構である。回転盤部42はモータ部40のモータ軸部41に接続されて回転する。回転盤部42の偏心位置、図示ではモータ軸部41から回転盤部42の円周近傍の位置に突起部43が備えられる。そして、回転盤部42の紙面手前位置側に連動盤部45が配置される。連動盤部45には枠部44がくり貫かれて形成される。回転盤部42の突起部43は枠部44内を摺動する。枠部44は
図3の連動盤部45の紙面横方向に形成される。なお、モータ軸部41の移動の便宜から枠部44には縦方向にもくり貫かれる。
【0026】
図3(A)の模式図の回転盤部42では突起部43は上方位置にある。図中の回転盤部42の矢印の動きのように、連動盤部45は突起部43と当接する枠部44に連動して一体に動く。そこで、連動盤部45は上方に持ち上げられ、連動盤部45に接続される進退軸部31は上昇する。
図3(B)の模式図の回転盤部42では突起部43は下方位置にある。図中の回転盤部42の矢印の動きのように、連動盤部45は下方に押し下げられ、連動盤部45に接続される進退軸部31は降下する。
【0027】
図3のように、モータ部40のモータ軸部41の回転に合わせて回転盤部42が回転し、連動盤部45を通じて進退軸部31の上昇と降下が繰り返される。実施形態のモータ部40のモータ軸部41の回転数は最高で約2500回転/分である。そこで、進退軸部31の上昇と降下は最高で約2500回繰り返される。結果、進退軸部31に接続される保持部33に保持された義歯は容器部10の洗浄液中で激しく上下運動する。結果、義歯が洗浄液と衝突する力から、義歯に付着した義歯固定用の粘着剤は義歯表面から引きはがされて洗浄可能となる。
【0028】
モータ部40のモータ軸部41の回転数を急に上昇すると義歯洗浄装置1の各部及び義歯自体への衝撃が大きくなる。そのため、制御部50はモータ部40へ供給する電流量を制御して緩やかにモータ軸部41の回転数を上昇させるように制御される。具体的には、電源投入から約20ないし30秒間かけて0回転から約2500回転に回転数が制御される。そこで、装置への負荷軽減と義歯への衝撃が緩和される。発明者の検証によると、義歯に付着した義歯固定用の粘着剤の除去はおおむね30秒ないし60秒程度であった。従って、極めて短時間における洗浄が可能となる。
【0029】
さらに、
図3において、垂直支持部46と垂直支持部47(
図2参照)は台座部48に一体化され、変換部30は台座部48を介して蓋部20の上部側に固定される。連動盤部45にはガイドピン29が備えられるとともに、ガイドピン29が挿通される摺動穴45aが形成される。また、台座部48にガイド穴49が穿設され、ガイドピン29はガイド穴49に挿入されて固定される。連動盤部45は回転盤部42の回転に連動して上下動する連動盤部45の位置のぶれは、連動盤部45に挿通されるガイドピン29により規制されて軽減される。図中、台座部48及び蓋部20に進退軸動穴27が形成され、進退軸部31は円滑に上下動する。
【0030】
図4は蓋部20の下方側の保持部33近傍を示す斜視図である。
図4に示されるとおり、蓋部20の裏面部24には適宜の弾性樹脂製のパッキン25が備えられる。蓋部20が容器部10の開口部15に装着される際の互いの気密性が確保され、洗浄液の漏洩が抑制される。実施形態の保持部33は、第1掴持部35と第2掴持部を有するクランプ部の構造である。第1掴持部35と第2掴持部36は弦巻ばね(図示省略)等の弾性により付勢される。第1掴持部35と第2掴持部は互いに爪状の部材であり、義歯の保持性能を高めるとともに、義歯への損傷を回避するため、第1掴持部35と第2掴持部36の両方に樹脂部材34が被着されている。樹脂部材34は塩化ビニル、シリコーンゴム等の材質である。このため、種々の形状、大きさの義歯の安定した保持が可能である。
【0031】
図5は保持部33(クランプ部)により義歯Tを保持している状態の斜視図である。
図5(A)の義歯Tの正面方向では、義歯Tの正面側に第2掴持部36が当接し、義歯Tの背面側(口腔と接する側)に第1掴持部35が当接して双方から安定して保持される。
図5(B)は義歯Tの側面方向であり、義歯が安定して保持されていることがわかる。加えて、保持部33(クランプ部)を構成する第1掴持部35と第2掴持部36は細身の針金の形態であるため、義歯に付着した義歯固定用の粘着剤を広く覆うことなく義歯自体を保持することができる。そのため、洗浄時の粘着剤の残留は低減される。
【0032】
ここで、
図4、
図5に示されるように、蓋部20の下方側には、洗浄液を加温するヒータ22と洗浄液の液温を検出するセンサ23が備えられる。一般に、義歯固定用の粘着剤を義歯から剥離する際の好ましい液温(水温)は50℃前後である。前述のとおり、モータ部40のモータ軸部41の回転を通じて進退軸部31は激しく上下運動を繰り返す。このことから、保持部33(クランプ部)に義歯Tを保持した状態で義歯洗浄装置1を起動させると室温、常温(15ないし25℃)の洗浄液(水)であっても水の摩擦により次第に温度上昇して洗浄液(水)は50℃付近に到達し、さらに温度上昇する場合がある。
【0033】
そのため、センサ23は、最も洗浄効率の高い洗浄液の液温に到達しているか否か、また、必要以上に高温(熱湯)が洗浄液とされているか等の監視に用いられる。加えて、冬季等の洗浄液の液温が低温の場合、洗浄液の液温を迅速に50℃前後に昇温するためヒータ22の加温を通じて液温上昇が補助される。例えば、容器部10に熱湯が注がれた場合、あるいは、液温が60℃を超過している場合、義歯を傷めるおそれがあるため、「温度が上昇しているので水を入れ替えてください」、「はじめから水を入れてください」等の警告が制御部50から報知される。むろん、センサ23により洗浄液の液温の検出、ヒータ22による温度上昇の補助等は制御部50により適切に制御される。なお、ヒータ22に加温の他に冷却の機能を付加してもよい。あるいは、別途の冷却装置を加えることとしてもよい。
【0034】
図6の平面図は容器部10の底部11を支持する受皿部12を表す。前述のとおり、容器部10には、モータ部40のモータ軸部41の回転と、連動盤部45、進退軸部31、及び保持部33の上下動が加わるため、激しく振動、衝撃が生じる。そのため、直接容器部10をテーブル等の上に置くと、振動、衝撃の騒音が大きくなる。また、容器部10の振動、衝撃により、容器部10とテーブル等に亀裂、損傷が生じかねない。そこで、義歯洗浄装置1では、容器部10の振動、衝撃と緩和する目的から受皿部12が容器部10の底部11に備えられる。さらに、容器部10と受皿部12の間に緩衝部材13が介在される。緩衝部材13はウレタンゴム、シリコーンゴム等の粘弾性に富む衝撃吸収材料である限り適宜である。
【0035】
一連の説明のとおり、実施形態の義歯洗浄装置を用いることにより、義歯が洗浄液中で上下運動することにより義歯に付着した義歯固定用の粘着剤を迅速に洗浄可能となる。そこで、従前のブラシ等による手洗いに終始していた洗浄効率の悪さからの脱却が可能である。加えて、洗浄液を水のみとしても義歯の水中での上下運動により水との摩擦を利用して粘着剤を除去できるため、義歯への損傷は極めて少なく、安全性が高い。
【0036】
スコッチヨーク機構を採用することにより、少ない部品数の機構としながら効率よくモータ部の回転が上下運動に変換される。
【0037】
保持部の第1掴持部と第2掴持部を有するクランプ部を備え、さらに第1掴持部と第2掴持部に樹脂部材が被着されているため、義歯の保持性能が高まる。また、義歯を保持の圧迫により義歯が損傷させるおそれは低い。
【0038】
制御部はモータ部のモータ軸部の回転数を制御するため、モータ部の負荷、義歯への衝撃が低減される。
【0039】
蓋部に洗浄液を加温するヒータが備えられるため、洗浄液に冷水が使用される場合にも洗浄時の適温に調整可能である。
【0040】
容器部の底部を支持する受皿部と緩衝部材が介在されるため、義歯洗浄装置の動作時の振動、衝撃に伴う騒音の低減が可能である。
【0041】
蓋部は容器部を押下する錘を備えるため、容器部の上側の安定性が高められる。
【符号の説明】
【0042】
1 義歯洗浄装置
10 容器部
12 受皿部
13 緩衝部材
20 蓋部
21 錘
22 ヒータ
23 センサ
30 変換部
31 進退軸部
33 保持部(クランプ部)
34 樹脂部材
35 第1掴持部
36 第2掴持部
40 モータ部
41 モータ軸部
42 回転盤部
43 突起部
44 枠部
45 連動盤部
46,47 垂直支持部
50 制御部
53 モータ制御スイッチ
54 ヒータ制御スイッチ
T 義歯