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特開2024-122343半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122343
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240902BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029833
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】田上 政由
(72)【発明者】
【氏名】坂田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】遠島 未希
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA30
5F083JA04
5F083JA36
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR40
5F083ZA29
5F101BA45
5F101BB04
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】レーザ光の照射による配線層の損傷を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、第1の金属配線層の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に第1の方向に積層され、第1の金属配線と第1の方向で重なる積層体と、上端部に第1型の不純物を含んで積層体内を第1の方向に貫通する半導体層であって、第1の金属配線を介して複数のトランジスタと電気的に接続される半導体層を含むピラーと、第1の方向において、第1の金属配線層の位置よりも高い位置に配置されるとともに、第1の金属配線または第1の金属配線層に含まれる他の金属配線と第1の方向で重なり、複数のトランジスタ、複数の第1の導電層、および第1の金属配線層のいずれに対しても電気的に接続されない第2の導電層と、を備え、第2の導電層は、第1の金属配線より融点が高い金属層、及び、半導体層の少なくともいずれかである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタの上方に配置され、前記基板と直交する第1の方向で同じ高さ位置に設けられ、第1の金属配線を含む第1の金属配線層と、
前記第1の金属配線層の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に前記第1の方向に積層され、前記第1の金属配線と前記第1の方向で重なる積層体と、
上端部に第1型の不純物を含んで前記積層体内を前記第1の方向に貫通する半導体層であって、前記第1の金属配線を介して前記複数のトランジスタと電気的に接続される半導体層を含むピラーと、
前記第1の方向において、前記第1の金属配線層の位置よりも高い位置に配置されるとともに、前記第1の金属配線または前記第1の金属配線層に含まれる他の金属配線と前記第1の方向で重なり、前記複数のトランジスタ、前記複数の第1の導電層、および前記第1の金属配線層のいずれに対しても電気的に接続されない第2の導電層と、を備え、
前記第2の導電層は、
前記第1の金属配線より融点が高い金属層、及び、半導体層の少なくともいずれかである、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の導電層は、
前記第1の金属配線の少なくとも一部分と第2の絶縁層を介して前記第1の方向に対向しており、
前記第1の方向から見て、前記一部分よりも大きい面積を有する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2の導電層は、
前記第1の金属配線の少なくとも一部分と第2の絶縁層を介して前記第1の方向に対向しており、
前記第1の方向から見た面積が前記一部分よりも小さい複数のピースに分割されており、
前記複数のピースが配置される領域は、
前記第1の方向から見て、前記一部分よりも広い面積を有する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記ピラーと前記第1の金属配線との間の高さ位置に配置され、前記ピラーと前記第1の金属配線とを電気的に接続する第2の金属配線層を更に備え、
前記第2の金属配線層は、
前記第1の金属配線より融点が高く、
前記第2の導電層は、
前記第1の方向において、前記第2の金属配線層と同じ高さ位置に配置されている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の方向および前記第1の方向に交差する第2の方向に前記積層体内を延び、前記第1の方向と前記第2の方向とに交差する第3の方向に前記積層体を分割する板状部を更に備え、
前記第2の導電層は、
前記板状部の下端部に配置されている、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記ピラーと前記第1の金属配線との間の高さ位置に配置される第3の金属配線層を更に備え、
前記第2の金属配線層は、
前記ピラーと前記第1の金属配線との間の第1の高さ位置に配置され、
前記第3の金属配線層は、
前記第1の金属配線より融点が高く、
前記ピラーと前記第1の金属配線との間の前記第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置に配置され、
前記第2の導電層は、
前記第1の高さ位置に配置される第3の導電層と、
前記第2の高さ位置に配置される第4の導電層と、を含む、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記積層体から外れた位置で前記第1の方向に延び、前記複数の第1の導電層と前記複数のトランジスタとを電気的に接続するコンタクトと、
前記コンタクトの下方に配置され、前記コンタクトと前記第1の方向で重なる第2の金属配線と、
前記第1の方向において、前記積層体よりも高い位置に配置されるとともに、前記第2の金属配線と前記第1の方向で重なる第5の導電層と、
前記第1の方向において、前記積層体よりも高い位置に配置され、前記コンタクトと電気的に接続される第4の金属配線層と、を更に含み、
前記第5の導電層は、
前記第2の金属配線より融点が高い金属層、及び、半導体層の少なくともいずれかであり、
前記コンタクトの上端部に配置されて、前記コンタクトと前記第4の金属配線層とを接続している、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
基板上に複数のトランジスタを形成し、
前記複数のトランジスタの上方に配置され、前記基板と直交する第1の方向で同じ高さ位置に設けられ、第1の金属配線を含む第1の金属配線層を形成し、
前記第1の金属配線層の上方に、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に第1の方向に積層され、前記第1の金属配線と前記第1の方向で重なる積層体を形成し、
前記積層体内を前記第1の方向に貫通する半導体層を有するピラーを形成し、
前記第1の方向において、前記第1の金属配線層の位置よりも高い位置に配置されるとともに、前記第1の金属配線または前記第1の金属配線層に含まれる他の金属配線と前記第1の方向で重なり、前記複数のトランジスタ、前記複数の第1の導電層、及び前記第1の金属配線層のいずれに対しても電気的に接続されない第2の導電層を形成し、
前記第2の導電層は、
前記第1の金属配線より融点が高い金属層、及び、半導体層の少なくともいずれかであり、
前記半導体層の上端部に第1型の不純物を注入し、前記積層体の上方側からレーザ光を照射する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記レーザ光を照射するときは、
前記第1の金属配線への前記レーザ光の照射を前記複数の第1の導電層または前記第2の導電層により遮蔽する、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2の導電層を形成するときは、
前記第1の金属配線の少なくとも一部分と第2の絶縁層を介して前記第1の方向に対向させるとともに、前記第1の方向から見た面積が前記一部分よりも小さい複数のピースに分割して前記第2の導電層を形成し、
前記第1の方向から見て、前記一部分よりも広い面積を有する領域に亘って前記複数のピースを配置する、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記複数のピースを形成するときは、
前記レーザ光の波長以下のピッチで、前記複数のピースを配置する、
請求項10に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記ピラーと前記第1の金属配線との間の高さ位置に、前記ピラーと前記第1の金属配線とを電気的に接続する第2の金属配線層を更に形成し、
前記第2の金属配線層は、
前記第1の金属配線より融点が高く、
前記第2の導電層を形成するときは、
前記第1の方向において、前記第2の金属配線層の形成と並行して、前記第2の金属配線層と同じ高さ位置に前記第2の導電層を形成する、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置では、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体を貫通するピラーが形成される。その際、ピラーの上端部に活性層を形成するため、半導体記憶装置の上方からレーザ光等が照射されることがある。レーザ光の一部は半導体記憶装置内へと透過し、下層側の配線層を溶融させる等の損傷を与えてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-040975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、レーザ光の照射による配線層の損傷を抑制することができる半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、前記基板上に配置された複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタの上方に配置され、前記基板と直交する第1の方向で同じ高さ位置に設けられ、第1の金属配線を含む第1の金属配線層と、前記第1の金属配線層の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に前記第1の方向に積層され、前記第1の金属配線と前記第1の方向で重なる積層体と、上端部に第1型の不純物を含んで前記積層体内を前記第1の方向に貫通する半導体層であって、前記第1の金属配線を介して前記複数のトランジスタと電気的に接続される半導体層を含むピラーと、前記第1の方向において、前記第1の金属配線層の位置よりも高い位置に配置されるとともに、前記第1の金属配線または前記第1の金属配線層に含まれる他の金属配線と前記第1の方向で重なり、前記複数のトランジスタ、前記複数の第1の導電層、および前記第1の金属配線層のいずれに対しても電気的に接続されない第2の導電層と、を備え、前記第2の導電層は、前記第1の金属配線より融点が高い金属層、及び、半導体層の少なくともいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す断面図。
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す断面図。
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置が備える複数の配線層と複数のダミー層との積層方向の位置関係を示す模式図。
図4】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図6】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図7】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図8】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図9】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図10】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図11】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図12】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図13】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図14】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図15】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図16】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図17】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法におけるレーザ光が照射される処理を示す模式図。
図18】実施形態および比較例にかかる半導体記憶装置において、コンタクトとソース側配線層とを接続する処理の一部を例示する断面図。
図19】実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置が備えるダミー層の構成の一例を示す模式図。
図20】実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置の他の構成の一例を示す断面図。
図21】実施形態および変形例ならびに比較例にかかる半導体記憶装置の光学的かつ伝熱工学的なシミュレーションによる解析結果を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す断面図である。ただし、図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0009】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、半導体基板SBの上方に、周辺回路CBA、複数のワード線WL、ソース側配線層SL、及び電極層ELをこの順に備える。なお、以下の説明においては、半導体基板SBが配置される側を半導体記憶装置1の下方側とする。
【0010】
半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SB上にはトランジスタTR等を含む周辺回路CBAが配置されている。周辺回路CBAは、後述するメモリセルの動作に寄与する。
【0011】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われている。周辺回路CBAの周囲の絶縁層40には、半導体基板SB側から絶縁層40の表面側へと絶縁層40中を延びるエッジシールEScが配置されている。絶縁層40の上方には複数のワード線WLが積層されている。複数のワード線WLは絶縁層50で覆われており、この絶縁層50を介して周辺回路CBAを覆う絶縁層40と接合されている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。周囲の絶縁層50には、複数のワード線WLの積層方向に絶縁層50中を延びるコンタクトC3及びエッジシールESm等が配置されている。
【0012】
複数のワード線WLにはメモリ領域MRが配置され、複数のワード線WLの端部には階段領域SRが配置されている。複数のワード線WLの外側には、周辺領域PRが配置されている。
【0013】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部にはメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0014】
階段領域SRでは、複数のワード線WLの端部が階段状に加工されている。これにより、複数のワード線WLの端部は、ソース側配線層SLへと向かうにつれて複数のワード線WLの外側領域へ向かって広がっていく。複数のワード線WLの階段状となった各層にはコンタクトCCがそれぞれ接続されている。
【0015】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。 コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。
【0016】
複数のワード線WLの上方にはソース側配線層SLが配置されている。ソース側配線層SLの上には、酸化シリコン層等の絶縁層60を介して電極層ELが配置されている。電極層ELは、一部領域で絶縁層60を貫通し、ソース側配線層SLと電気的な導通を保つパッド領域PDを有する。ソース側配線層SLは例えばタングステン層等であり、電極層ELは例えばアルミニウム層等である。
【0017】
これにより、半導体記憶装置1の外部から、電極層ELを介してソース側配線層SLに電力を供給することができる。ソース側配線層SLからの電力は、コンタクトC3等を介して周辺回路CBAへと供給される。
【0018】
パッド領域PDを除く電極層ELは、複数の絶縁層71~73によって覆われている。複数の絶縁層71~73は、電極層EL側からこの順に積層されている。絶縁層71は例えば酸化シリコン層等であり、絶縁層72は例えば窒化シリコン層等であり、絶縁層73は例えばポリイミド層等である。
【0019】
半導体記憶装置1は、この他、各種の配線層を備えている。これらの配線層は、異なる高さ位置に配置され、高さ位置の異なる配線層間は、例えばコンタクトまたはビア等により互いに接続されている。
【0020】
周辺回路CBAと複数のワード線WLとの間の絶縁層40,50中には、複数のワード線WL側の各種構成と周辺回路CBAとを電気的に接続する複数の配線層が配置されている。
【0021】
例えば絶縁層40中には、周辺回路CBAのトランジスタTR側から絶縁層40の表面側へと向けて順に、コンタクトCS、配線層D0、ビアC1、配線層D1、ビアC2、及び配線層D2等が配置され、トランジスタTR等を絶縁層40の表面に配置される電極パッドPDcに電気的に接続する。電極パッドPDcは、以下に述べる絶縁層50表面の電極パッドDPmと接続される。これにより、ワード線WL側の各種構成と周辺回路CBAとが電気的に接続される。
【0022】
絶縁層40中に配置される配線層のうち、周辺回路CBA寄りの高さ位置に配置される配線層は、例えばタングステン配線等である。これらのタングステン配線よりも上方の配線層は例えば銅配線等である。
【0023】
例えば絶縁層50中には、ワード線WL側から絶縁層50の表面側へと向けて順に、プラグV0、配線層M0、プラグV1、配線層M1、プラグV2、及び配線層M2等が配置され、ワード線WL側の各種構成を絶縁層50の表面に配置される電極パッドPDmに電気的に接続する。このほか、絶縁層50中には、プラグV0と同じレイヤに配置されるプラグCH、配線層M0と同じレイヤに配置される配線層MX及びビット線BL等が含まれる。
【0024】
絶縁層50中に配置される配線層のうち、複数のワード線WL寄りの高さ位置に配置される配線層は、例えばタングステン配線等である。これらのタングステン配線よりも下方の配線層は例えば銅配線等である。
【0025】
図1中、絶縁層40,50中に配置される配線層のうち、銅配線等である配線層にハッチングを付して示す。すなわち、図1の例では、絶縁層40中のコンタクトCS及び配線層D0はタングステン配線であり、ビアC1,C2、配線層D1,D2、及び電極パッドPDcは銅配線である。また、絶縁層50中のプラグCH,V0,V0,V1、ビット線BL、配線層M0,MX,M1はタングステン配線であり、プラグV2、配線層M2、及び電極パッドPDmは銅配線である。
【0026】
これらのハッチングが付された銅配線のうち、複数のワード線WLと積層方向に重なるビアC1,C2、配線層D1,D2、プラグV2、及び配線層M2は第1の金属配線の一例である。また、これらのハッチングが付された銅配線のうち、複数のワード線WLと積層方向に重ならないビアC1,C2、配線層D1,D2、電極パッドPDc,PDm、プラグV2、配線層M2、及び電極パッドPDmは第2の金属配線の一例である。これらの第1及び第2の金属配線を含む銅配線は第1の金属配線層の一例である。
【0027】
また、絶縁層50中に配置されるタングステン配線のうち、プラグCH,V0,V0、ビット線BL、配線層M0,MXは第2の金属配線層の一例であり、プラグV1及び配線層M1は第3の金属配線層の一例である。また、上述のソース側配線層SLは第4の金属配線層の一例である。
【0028】
絶縁層50中には、上述の配線層のほか、ダミー層も配置されている。ダミー層は、原則としてフローティング状態となっており、半導体記憶装置1の電気的な動作に寄与しないタングステン層等の金属層である。図1中、ダミー層を黒色で示す。
【0029】
複数のダミー層もまた、絶縁層50中の異なる高さ位置に配置されている。複数のダミー層のうちの一部は、例えば絶縁層50中に配置されるタングステン配線等の配線層と同じ高さ位置に配置されている。また他のダミー層は、例えば周辺領域PRに位置する上述のコンタクトC3及びエッジシールESmの上端部に配置されている。絶縁層50中のタングステン配線と同じ高さ位置にあるダミー層は第2の導電層の一例であり、コンタクトC3及びエッジシールESmの上端部のダミー層は第5の導電層の一例である。
【0030】
ただし、高さ位置の異なるダミー層間は、例えばコンタクトまたはビア等により互いに接続されていなくともよい。
【0031】
次に、図2を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す断面図である。
【0032】
より詳細には、図2(a)はメモリ領域MRのY方向に沿う断面図である。図2(b)は、メモリ領域MRに配置されるピラーPLの断面を示す部分拡大図である。図2(c)は階段領域SR及び周辺領域PRのX方向に沿う断面図である。
【0033】
また、図2(a)(c)においては、半導体基板SB及び周辺回路CBA等の絶縁層50下方の構造、及び電極層EL等の絶縁層60上方の構造が省略されている。
【0034】
なお、本明細書において、X方向およびY方向は共に、ワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、ワード線WLの電気的な引き出し方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はX方向に沿う方向である。また、第2の方向と交差する方向を第3の方向と呼ぶことがあり、この第3の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第2の方向と第3の方向とは必ずしも直交しない。
【0035】
また、本明細書において、積層体LMのワード線WLが積層される積層方向を第1の方向と呼ぶことがある。第3の方向は、上述の第2及び第3の方向と交差する。
【0036】
図2(a)(c)に示すように、周辺回路CBAの上方には、絶縁層54~52を介して積層体LMが配置されている。積層体LMの階段領域SRにおいては、絶縁層52と積層体LMとの間に更に絶縁層51が配置されている。これらの絶縁層51~54は図1の絶縁層50の一部を構成する。また、絶縁層51~54は第2の絶縁層の一例である。
【0037】
絶縁層51~54上方の積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された構造を有している。積層体LMの最下層のワード線WLの更に下層、及び積層体LMの最上層のワード線WLの更に上層に、絶縁層OLを介して、それぞれ1つ以上の選択ゲート線が積層されていてもよい。積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線の積層数は任意である。
【0038】
複数のワード線WL及び選択ゲート線のそれぞれは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。これらのワード線WLは複数の第1の導電層の一例である。ワード線WLの上下に配置される選択ゲート線を複数の第1の導電層に含めてもよい。複数の絶縁層OLのそれぞれは、例えば酸化シリコン層等である。
【0039】
積層体LM上には、絶縁層51を介して、バリアメタル層BM及びソース側配線層SLが、絶縁層51側からこの順に配置される。バリアメタル層BMは、例えば窒化チタン層または窒化タンタル層等である。ソース側配線層SLは、上述のように例えばタングステン層等である。
【0040】
図2(a)に示すように、積層体LMは、複数の板状部PUによってY方向に分割されている。
【0041】
複数の板状部PUは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。つまり、板状部PUは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。これにより、積層体LMがY方向に分割される。
【0042】
より詳細には、板状部PUは、積層体LM上に配置される絶縁層51の上面から、積層体LM及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達する酸化シリコン層等の絶縁層55である。板状部PUの下端部には、絶縁層53中に配置されるダミー層DWpが接続されている。
【0043】
メモリ領域MRにおいて、Y方向に隣接する板状部PU同士の間には、積層体LMの積層方向に積層体LM内を延びる複数のピラーPLが分散して配置されている。より詳細には、ピラーPLは、積層体LM上に配置される絶縁層51の上面から、積層体LM及び絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。
【0044】
複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判形(Oval)等の形状を有する。
【0045】
複数のピラーPLのそれぞれは、ピラーPLの外周側から順に、メモリ層ME及びチャネル層CNを有する。チャネル層CNの更に内側の領域はコア層CRで充填されている。また、複数のピラーPLのそれぞれは、上端部に活性層EPを有する。
【0046】
図2(b)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。メモリ層ME最外周のブロック絶縁層BKは、エッチストッパ層RSにより覆われている。つまり、ピラーPLの側壁全体がエッチストッパ層RSで覆われる。
【0047】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CNは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。ピラーPL外側のエッチストッパ層RSは、例えば酸窒化シリコン層等である。
【0048】
活性層EPは、リン等のN型のドーパント(不純物)を含有するポリシリコン層等であり、上端部で上述のバリアメタル層BMを介してソース側配線層SLに接続され、下端部でチャネル層CNの上端部に接続されている。チャネル層CNの下端部は、絶縁層53を貫通するプラグCHを介して、絶縁層54中をY方向に沿う方向に延びるビット線BLと接続される。
【0049】
なお、図2(a)においてはY方向に並ぶ複数のピラーPLのうち、紙面中央のピラーPL上にのみプラグCHが接続されている。これ以外のピラーPLには、図2(a)に示す断面とは異なる位置で、それぞれプラグCHが接続されている。
【0050】
以上のような構成によって、ピラーPL側面のワード線WLと対向する部分には、メモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。後述するように、ビット線BLは電気的に周辺回路CBAに接続されており、メモリセルMCからのデータは、ビット線BLを介して、周辺回路CBAに含まれるセンスアンプに読み出される。
【0051】
なお、本明細書においては、ピラーPLの延伸方向において、活性層EPを有する側を半導体記憶装置1の上方とし、プラグCHを介してビット線BLと接続される側を半導体記憶装置1の下方とする。
【0052】
図2(c)に示すように、階段領域SRは、複数のワード線WL及び複数の絶縁層OLが階段状に加工された階段部SPを有する。階段形状を有する階段部SPの各テラス面は、各層のワード線WLの下面、つまり、積層体LM下方の絶縁層52側を向いた面である。
【0053】
より詳細には、紙面左側のメモリ領域MRから遠ざかるほど、ソース側配線層SL寄りのワード線WLが階段部SPのテラス面となる。階段部SPの各テラス面と、各テラス面に対向する絶縁層52との間には絶縁層51が介在されている。
【0054】
階段部SPの各層を構成するワード線WLには、絶縁層52,51を貫通するコンタクトCCが接続されている。コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層56と、絶縁層56の内側に充填されるタングステン層等の導電層26とを有する。導電層26は、上端部でいずれかのワード線WLと接続され、下端部で、絶縁層53を貫通するプラグV0を介して、絶縁層54中に配置される配線層MXと接続される。
【0055】
このような構成により、各層のワード線WLを電気的に引き出すことができる。すなわち、後述するように、配線層MXは電気的に周辺回路CBAに接続されており、周辺回路CBAに含まれるロウデコーダから配線層MXを介して、各ワード線WLに対応するメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0056】
積層体LMの階段領域SRの外側の絶縁層51中には、絶縁層51中を積層体LMの積層方向に延びるコンタクトC3及びエッジシールESmが配置されている。
【0057】
より詳細には、コンタクトC3は、積層体LMの上面の高さ位置よりも上方の絶縁層51中の高さ位置から積層方向下方へと延び、絶縁層52を貫通して絶縁層53に到達している。
【0058】
また、コンタクトC3は、コンタクトC3の外周を覆う絶縁層57と、絶縁層57の内側に充填されるタングステン層等の導電層27とを有する。導電層27は、上端部でダミー層DWcを介してソース側配線層SLと接続され、下端部で、絶縁層53を貫通するプラグV0を介して、絶縁層54中に配置される配線層M0と接続される。
【0059】
このような構成により、コンタクトC3は、電極層ELに印加される外部電極を周辺回路CBAへと供給する。
【0060】
エッジシールESmは、コンタクトC3の更に外側の絶縁層51に配置されている。エッジシールESmは、積層体LMの積層方向から見たときに、積層体LMを取り囲むように配置され、製造工程の最終段階において、半導体記憶装置1がダイシング等により個片化される際、半導体記憶装置1の割れ及び欠け、並びに半導体記憶装置1への不純物の混入を抑制する。
【0061】
エッジシールESmは、絶縁層51,52中のコンタクトC3の上下端の間の高さ位置、絶縁層53中の上述のプラグCH,V0の高さ位置、絶縁層54中の上述のビット線BL及び配線層MXの高さ位置、及び絶縁層54中の後述するプラグV1及び配線層M1の高さ位置に亘って配置される。
【0062】
コンタクトC3と同じ高さ位置では、エッジシールESmは、例えばコンタクトC3と同様の層構造を備える。すなわち、エッジシールESmは、側壁に配置された絶縁層58と、絶縁層58の内側に充填されるタングステン層等の導電層28とを有する。
【0063】
また、配線層MX,M1及びプラグV0,V1等と同じ高さ位置では、エッジシールESmは、後述するこれらの配線層MX,M1及びプラグV0,V1等と同様の層構造を備える。
【0064】
このように、絶縁層51の上方から絶縁層54中にまで延びるエッジシールESmにより、ダイシングによる切断面から半導体記憶装置1の中心方向に向かってクラックが進入したり、半導体記憶装置1に割れもしくは欠けが生じたり、あるいは、半導体記憶装置1に不純物が混入したりすることが抑制される。
【0065】
また、エッジシールESmの上端部はダミー層DWeに接続されている。ダミー層DWeは、例えば上述のコンタクトC3上端部のダミー層DWcと同じ高さ位置に配置されるが、例えばソース側配線層SLとは接続されない。
【0066】
なお、絶縁層53中のコンタクトCC,C3にそれぞれ接続されるプラグV0の間の領域にはダミー層DWyが配置されている。
【0067】
また、周辺回路CBA側の絶縁層40中に配置されるエッジシールEScは、例えば上述のエッジシールESmと上下方向に重なる位置に配置されている。すなわち、エッジシールEScは、絶縁層40の上面側から見たときに、周辺回路CBAを取り囲むように配置され、また、絶縁層40中の複数の配線層D0,D1,D2並びにコンタクトCS及びビアC1,C2の高さ位置に亘って配置されている。
【0068】
ここで、積層体LM下方の絶縁層52~54中には、上述のビット線BL及び配線層MX等を含む複数の配線層MX,M0,M1,M2等が異なる高さ位置に配置されている。異なる高さ位置に配置されるこれらの配線層MX,M0,M1,M2等を介して、積層体LM及びその周辺に配置された各構成が、電気的に周辺回路CBAに接続される。
【0069】
例えば、ピラーPLに接続されるプラグCH、コンタクトCC,C3に接続されるプラグV0、及びエッジシールESmの一部構成は、いずれも絶縁層53中に配置され、同じ高さに位置している。
【0070】
ピラーPLのプラグCHに接続されるビット線BL、コンタクトCCのプラグV0に接続される配線層MX、コンタクトC3のプラグV0に接続される配線層M0、及びエッジシールESmの一部構成は、いずれも絶縁層54中の同じ高さ位置に配置されている。
【0071】
更に、ビット線BL及び配線層MX,M0には、これらの下方に位置するプラグV1が接続され、複数のプラグV1には、これらの更に下方に位置する配線層M1が接続される。複数のプラグV1及びエッジシールESmの一部構成は、いずれも絶縁層54中の同じ高さ位置に配置されている。複数の配線層M1及びエッジシールESmの下端部は、いずれも絶縁層54中の同じ高さ位置に配置されている。
【0072】
同様に、複数の配線層M1には、これらの下方に位置するプラグV2が接続され、複数のプラグV2には、これらの更に下方に位置する配線層M2が接続される。このように、ピラーPL及びコンタクトCC,C3等の各構成は、周辺回路CBA側の絶縁層40と接合される絶縁層54の下面へと向かって、幾層ものビット線BL及び配線層MX,M0,M1,M2・・・並びにプラグCH,V0,V1,V2・・・等に順次、接続されている。
【0073】
これらのビット線BL及び配線層MX,M0,M1,M2・・・並びにプラグCH,V0,V1,V2・・・等のうち、配線層M1とその上方に配置される配線層MX,M0及びプラグCH,V0,V1は例えばタングステン配線等である。配線層MX,M0,M1及びプラグCH,V0,V1と同じ高さ位置に配置されるエッジシールESmの一部構成も、これらの配線層MX,M0,M1及びプラグCH,V0,V1と同様に構成されるタングステン層等である。
【0074】
また、絶縁層51,53中には複数のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeが異なる高さ位置に配置されている。
【0075】
複数のダミー層DWp,DWyは、例えばピラーPLとビット線BLとを接続するプラグCH、及びコンタクトCC,C3と配線層MX,M0等を接続するプラグV0等と同じ高さ位置に配置されている。複数のダミー層DWp,DWyは第2の導電層の一例である。
【0076】
コンタクトC3及びエッジシールESmの下端部にそれぞれ接続されるダミー層DWc,DWeは、上述のように、積層体LMよりも上方の高さ位置であって、絶縁層51中の同じ高さ位置に配置されている。
【0077】
このように、複数のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeもまた、配線層M1より上方に配置されており、例えばタングステン層等である。なお、コンタクトC3とソース側配線層SLとを接続するダミー層DWcを除き、複数のダミー層DWp,DWy,DWeは、他の構成と電気的な導通を有しておらず、フローティング状態となっている。
【0078】
一方、配線層M1より下方に配置される配線層M2・・・及びプラグV2・・・等は例えば銅配線等である。これらの配線層M2・・・及びプラグV2・・・等、及び周辺回路CBA側の後述する配線層等の上方には、積層体LMの積層方向に重なる位置に、積層体LMのワード線WL、配線層MX,M0,M1,M2・・・、及びダミー層DWp,DWy,DWc,DWeのいずれかが配置されている。
【0079】
なお、ビット線BL、配線層MX,M1,M0、プラグCH,V0,V1、及びダミー層DWp,DWy,DWc,DWe等に含まれるタングステン(W)は、配線層M2・・・及びプラグV2・・・等に含まれる銅(Cu)に比べて、融点が高く、原子移動度が小さい。原子移動度は、金属成分の絶縁層等の非金属中の移動しやすさの度合いである。つまり、原子移動度が大きい金属ほど非金属中を移動しやすい。
【0080】
また、上述の周辺回路CBA側の配線層D1,D2・・・、ビアC1,C2・・・及び電極パッドPDc,PDm、並びに一部に銅層を含むエッジシールESc等の上方には、積層体LMの積層方向に重なる位置に、積層体LMのワード線WL、配線層MX,M0,M1,M2・・・、及びダミー層DWp,DWy,DWc,DWeのいずれかが配置されている。
【0081】
周辺回路CBA側の配線層D0,D1,D2・・・、コンタクトCS及びビアC1,C2・・・、並びに電極パッドPDc等と、積層体LM側のビット線BL及び配線層MX,M0,M1,M2・・・、プラグCH,V0,V1,V2・・・、並びに電極パッドPDm等と、複数のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeとの積層方向の位置関係を図3に示す。
【0082】
図3は、実施形態にかかる半導体記憶装置1が備える複数の銅配線CWと複数のダミー層DWとの積層方向の位置関係を示す模式図である。図3においては、半導体記憶装置1の所定のレイヤを上面から見た様子を示す。
【0083】
より具体的には、図3(a)は、周辺回路CBAと積層体LMとの間の複数レイヤに亘って配置される複数の配線層を上面から見た図である。すなわち、図3(a)には、同一のXY断面に配置されない複数の配線層が示されている。
【0084】
これらの配線層には、上述のビット線BL、配線層MX,M0,M1,M2・・・、プラグCH,V0,V1,V2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D0,D1,D2・・・、コンタクトCS、及びビアC1,C2・・・の少なくとも一部が含まれる。ただし、図3(a)に、これらのビット線BL、配線層MX,M0,M1,M2・・・、プラグCH,V0,V1,V2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D0,D1,D2・・・、コンタクトCS、及びビアC1,C2・・・の全てを示すものではない。
【0085】
また、図3(b)は、図3(a)に示す配線層に重ねて、積層体LMのワード線WLを上面から見た図である。図3(c)は、図3(b)に示す配線層およびワード線WLに重ねて、複数のダミー層DWを上面から見た図である。
【0086】
図3(a)に示すように、周辺回路CBAと積層体LMとの間の複数レイヤにおいて、積層体LMのメモリ領域MRには、Y方向に沿う方向に延びる複数のビット線BL等のタングステン配線、及び複数のビット線BL下方に位置する複数の銅配線CWが配置されている。積層体LMの階段領域SRには、コンタクトCCに接続される配線層MX等のタングステン配線、及び配線層MX下方に位置する複数の銅配線CWが配置されている。
【0087】
なお、複数の銅配線CWは、積層体LM側の配線層M2・・・及びプラグV2・・・、並びに周辺回路CBA側の配線層D1,D2・・・及びビアC1,C2・・・等のいずれかである。
【0088】
また、周辺回路CBAと積層体LMとの間の複数レイヤにおいて、積層体LMの外側の周辺領域PRには、積層体LMの各構成と周辺回路CBAとを電気的に接続する上述の電極パッドPDm,PDc等の銅配線、複数のコンタクトC3に電気的に接続される銅配線CW、その他の銅配線CW、及びエッジシールEScの一部である銅層CWeが配置されている。なお、エッジシールEScの一部である銅層CWeは、例えば周辺回路CBAを取り囲む枠状に配置されている。
【0089】
積層体LMのメモリ領域MR及び階段領域SR、並びに半導体記憶装置1の周辺領域PRにおいて、銅配線CW、電極パッドPDm,PDc、及び銅層CWeの一部分は、複数のビット線BL、配線層MX,M0,M1、及びプラグCH,V0,V1等のタングステン配線と、積層方向に重なり合っている。
【0090】
図3(b)に示すように、積層体LMのワード線WLは、上述のように板状部PUによってY方向に複数に分割され、互いにY方向に並んで配置されている。すなわち、図3(b)に示すY方向に並ぶワード線WLの間のスペースは、上述の板状部PUの配置位置に相当する。メモリ領域MR及び階段領域SRに配置される銅配線CWの更に一部分は、タングステン層等である積層体LMのワード線WLとも積層方向に重なり合っている。
【0091】
図3(c)に示すように、複数のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeは、銅配線CW、電極パッドPDm,PDc、及び銅層CWeの更に一部と積層方向に重なる位置に配置される。換言すれば、これらのダミー層DWp,DWy,DWc,DWeと積層方向に重なる銅配線CW等の部分は、複数のビット線BL及び配線層MX等のタングステン配線とも、積層体LMのワード線WLとも重ならない部分である。
【0092】
このとき、複数のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeは、これらに対応する銅配線CW、電極パッドPDm,PDc、及び銅層CWeの部分よりも、積層体LMの積層方向から見た面積が大きくなるよう設計されている。
【0093】
すなわち、複数のダミー層DWpは、上述の通り板状部PUの下端部に配置され、ビット線BL、配線層MX、及びワード線WL等とは重ならない銅配線CW部分と積層方向に重なり合う。これらのダミー層DWpの面積は、積層方向に重なり合う銅配線CW部分の面積よりも大きい。
【0094】
また、複数のダミー層DWyは、上述の通りコンタクトCC,C3にそれぞれ接続されるプラグV0の間の領域に配置され、半導体記憶装置1の周辺領域PRに配置される銅配線CW及び電極パッドPDm,PDcの、配線層M0,M1及びプラグV0,V1等とは重ならない部分と積層方向に重なり合う。これらのダミー層DWyの面積は、積層方向に重なり合う銅配線CW及び電極パッドPDm,PDcの部分の面積よりも大きい。
【0095】
また、ダミー層DWcは、上述の通りコンタクトC3の上端部に配置され、コンタクトC3下方の銅配線CWの、コンタクトC3に接続される配線層M0,M1及びプラグV0,V1等とは重ならない部分と積層方向に重なり合う。ダミー層DWcの面積は、積層方向に重なり合う銅配線CW部分の面積よりも大きい。
【0096】
また、ダミー層DWeは、上述の通りエッジシールESmの上端部に配置され、エッジシールEScの一部である銅層CWeの、エッジシールESmのタングステン層部分等とは重ならない部分と積層方向に重なり合う。すなわち、ダミー層DWeは、エッジシールEScの一部である銅層CWeと同様、例えば枠状に配置されており、ダミー層DWeの面積は、積層方向に重なり合う銅層CWe部分の面積よりも大きい。
【0097】
以上のように、上述の配線層M2・・・、プラグV2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D1,D2・・・、及びビアC1,C2・・・等の銅配線は、ワード線WL、ビット線BL、配線層MX,M0,M1、プラグCH,V0,V1、配線層D0、及びコンタクトCS等のタングステン配線、並びにダミー層DWp,DWy,DWc,DWe等のタングステン層のいずれかによって覆われている。
【0098】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図4図17を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
【0099】
図4図16は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。図4図16の各図においては、各工程における半導体記憶装置1の処理面を紙面上方に向けて示す。また、以下の半導体記憶装置1の製造方法の説明においては、説明の便宜上、各工程における処理面が向いた方向を上方側とする。
【0100】
まずは、後に階段部SPとなる部分SPaが形成される様子を図4及び図5に示す。図4及び図5は、製造途中の階段領域SR及び周辺領域PRのX方向に沿う断面を示している。
【0101】
図4(a)に示すように、シリコン基板等の支持基板SS上に絶縁層51を形成する。また、周辺領域PRに相当する領域において、絶縁層51の上面に図示しない凹部を形成し、タングステン層等を充填して、後にコンタクトC3及びエッジシールESmと接続されることとなるダミー層DWc,DWeを形成する。
【0102】
ダミー層DWc,DWeが形成された絶縁層51上に、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後にワード線WLに置き換えられる犠牲層として機能する。
【0103】
積層体LMs上に、積層体LMsの一部を覆うマスクパターン81を形成する。マスクパターン81は、例えばフォトレジスト層等を露光、現像して形成される。
【0104】
図4(b)~図5(a)に示すように、マスクパターン81のスリミングと、積層体LMsの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返す。
【0105】
すなわち、階段部SPの最下段が形成される予定位置に、マスクパターン81の端部を配置する。また、マスクパターン81から露出する積層体LMsから、最上層の絶縁層NLと絶縁層OLとを例えば1層ずつエッチング除去する。また、酸素プラズマ等による処理で、マスクパターン81の端部を後退させて積層体LMsを新たに露出させ、絶縁層NLと絶縁層OLとを更に1層ずつエッチング除去する。
【0106】
このような処理を複数回繰り返すことで、マスクパターン81の端部位置において、絶縁層NLと絶縁層OLとが階段状に加工されていき、後に階段部SPとなる階段部SPsが形成される。階段部SPsが形成された後、酸素プラズマ等を用いたアッシングによりマスクパターン81を除去する。
【0107】
図5(b)に示すように、階段部SPsを覆い、未加工の積層体LMsの上面の高さ位置に到達するよう絶縁層51を積み増す。また、未加工の積層体LMsの上面と、階段部SPsの絶縁層51とを覆う絶縁層52を形成する。
【0108】
次に、ピラーPLが形成される様子を図6に示す。図6は、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0109】
図6(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域の支持基板SS上にも、上述の図4及び図5に示す処理により、絶縁層51、積層体LMs、及び絶縁層52がこの順に形成されている。次に、絶縁層52、積層体LMs、及び絶縁層51を貫通し、支持基板SSに到達する複数のメモリホールMHを形成する。
【0110】
図6(b)に示すように、メモリホールMHの側壁および底面に、図示しないエッチストッパ層RSを介して、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(図2(b)参照)をこの順に積層し、メモリ層MEを形成する。上述のように、ブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TNは例えば酸化シリコン層等であり、電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。また、エッチストッパ層RSは、例えば酸窒化シリコン層等である。
【0111】
また、メモリホールMHの側壁および底面に、メモリ層MEを介して、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等のチャネル層CNを形成する。また、チャネル層CN内側に残ったメモリホールMHの空隙に、酸化シリコン層等のコア層CRを充填する。
【0112】
以上により、複数のピラーPLが形成される。ただし、この段階では、メモリ層MEは下端部で閉塞しており、ピラーPLは下端部に活性層EPを有していない。
【0113】
次に、ワード線WLが形成される様子を図7及び図8に示す。図7及び図8もまた、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0114】
図7(a)に示すように、絶縁層52、積層体LMs、及び絶縁層51を貫通して、支持基板SSに到達する複数のスリットSTを形成する。複数のスリットSTは、積層体LMs内をX方向に沿う方向にも延びている。
【0115】
図7(b)に示すように、積層体LMsを貫通するスリットSTから積層体LMsの内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMgが形成される。
【0116】
このとき、絶縁層NLの除去液によって、絶縁層OL等の酸化シリコン層も僅かながら溶解しうる。このため、除去液による処理後に所望の層厚が維持されるよう、積層体LMsの形成時の絶縁層OLの厚さを決定しておく。
【0117】
また、複数の絶縁層NLが除去された後、ピラーPLの外縁部も絶縁層NLの除去液に晒されることとなる。上述のように、ピラーPLの最外周にエッチストッパ層ESを設けておくことで、絶縁層NLの除去液によってメモリ層MEが除去されてしまうことが抑制される。
【0118】
なお、複数のギャップ層GPを含む積層体LMgは脆弱な構造となっている。メモリ領域MRにおいては、このような脆弱な積層体LMgは、例えば複数のピラーPLによって支持される。また、階段領域SRに積層体LMsを貫通する複数のダミーピラー等(不図示)を形成しておき、積層体LMsの階段領域SRをこれらのダミーピラーによって支持することができる。
【0119】
これらの支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMgが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0120】
図8(a)に示すように、スリットSTから積層体LMgの内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LMgのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WLを形成する。これにより、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMが形成される。
【0121】
以上のように、絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0122】
図8(b)に示すように、スリットST内に絶縁層55を充填して板状部PUを形成する。
【0123】
次に、階段部SPにコンタクトCCが形成される様子を図9に示す。図9は、上述の図4及び図5と同様、製造途中の階段領域SR及び周辺領域PRのX方向に沿う断面を示している。
【0124】
図9(a)に示すように、上述の図7及び図8に示す処理により、製造途中の階段領域SRにおいても絶縁層NLがワード線WLに置き換えられて、複数のワード線WLが階段状に加工された階段部SPが形成されている。
【0125】
次に、絶縁層52,51を貫通し、階段状に加工された個々のワード線WLの上面に到達する複数のコンタクトホールHLcを形成する。コンタクトホールHLcは、後にワード線WLと接続されるコンタクトCCとなる構成である。
【0126】
また、コンタクトホールHLcの形成と並行して、周辺領域PRに相当する領域において絶縁層52,51を貫通してダミー層DWcに到達するコンタクトホールHLtを形成してもよい。コンタクトホールHLtは、後にダミー層DWcを介してソース側配線層SL(図2(b)参照)と接続されるコンタクトC3となる構成である。
【0127】
更に、これらのコンタクトホールHLc,HLtの形成と並行して、絶縁層52,51を貫通してダミー層DWeに到達する枠状の溝GReを形成してもよい。溝GReは、後に積層体LMを囲むエッジシールESmの一部となる構成である。
【0128】
図9(b)に示すように、コンタクトホールHLc,HLt及び溝GReの側壁をそれぞれ覆う絶縁層56,57,58を形成する。なお、説明の便宜上、絶縁層56,57,58にはそれぞれ異なる符号を付しているが、これらの絶縁層56~58はコンタクトホールHLc,HLt及び溝GRe内に一括して形成されてよい。
【0129】
また、絶縁層56,57,58のそれぞれの内側に残ったコンタクトホールHLc,HLt及び溝GReの空隙に、タングステン層等の導電層26,27,28をそれぞれ充填する。なお、説明の便宜上、導電層26,27,28にはそれぞれ異なる符号を付しているが、これらの導電層26~28はコンタクトホールHLc,HLt及び溝GRe内に一括して形成されてよい。
【0130】
以上により、コンタクトCC,C3及びエッジシールESmの一部分ESsが形成される。ただし、例えばエッジシールESmの一部分ESsとなる溝GReは、コンタクトホールHLc,HLtとのアスペクト比の差が大きいため、これらを全て一括形成した場合、個々の構成において充分な加工精度が得られない場合がある。したがって、コンタクトCC,C3及びエッジシールESmの一部分ESsは、それぞれが個別に形成されてもよい。
【0131】
次に、ダミー層DWp,DWyが、これらと同一のレイヤに配置されるプラグCH,V0と共に形成される様子を図10及び図11に示す。
【0132】
図10及び図11の(a)は、上述の図6図8と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。図10及び図11の(b)は、上述の図9等と同様、製造途中の階段領域SR及び周辺領域PRのX方向に沿う断面を示している。
【0133】
図10(a)(b)に示すように、絶縁層52上に絶縁層53を形成する。
【0134】
また、図10(a)に示すメモリ領域MRにおいて、絶縁層53を貫通して複数のピラーPLのそれぞれの上端部に到達する複数の貫通孔THcと、絶縁層53を貫通して板状部PUの所定位置に到達する複数の凹部RCpとを形成する。ここで、板状部PUの所定位置とは、後にダミー層DWpが配置されることとなる位置(図2(c)参照)である。
【0135】
また、図10(b)に示す階段領域SRにおいて、図10(a)に示す処理と並行して、絶縁層53を貫通して複数のコンタクトCC,C3のそれぞれの上端部に到達する複数の貫通孔THvと、絶縁層53を貫通してエッジシールESmの一部分ESsの上端部に到達する凹部RCeを形成する。
【0136】
また、これらの貫通孔THv及び凹部RCeの形成と並行して、複数のコンタクトCC,C3に到達する貫通孔THv間の領域であって、絶縁層53中の所定位置に、複数の凹部RCyを形成する。ここで、絶縁層53中の所定位置とは、後にダミー層DWpが配置されることとなる位置(図2(c)参照)である。
【0137】
図11(a)に示すように、貫通孔THc及び凹部RCp内にタングステン層等を充填し、複数のピラーPLのチャネル層CNにそれぞれ接続される複数のプラグCHと、板状部PUの上端部に配置されるダミー層DWpとをそれぞれ形成する。
【0138】
図11(b)に示すように、図11(a)に示す処理と並行して、貫通孔THv内にタングステン層等を充填し、複数のコンタクトCC,C3の導電層26,27にそれぞれ接続される複数のプラグV0を形成する。このとき、凹部RCe内にもタングステン層等が充填されて、エッジシールESmの一部分ESsの上端部が絶縁層53の上面にまで延伸する。
【0139】
また、これらのプラグV0等の形成と並行して、凹部RCy内にタングステン層等を充填し、複数のダミー層DWyを形成する。
【0140】
このように、ダミー層DWp、DWyは、例えばこれらと同一レイヤに属するプラグCH,V0等と並行して、一括して形成される。換言すれば、ダミー層DWp,DWy,DWc,DWeはタングステン層等であることが好ましく、ダミー層DWp,DWy,DWc,DWeの少なくとも一部を、プラグCH,V0等のタングステン配線と同一レイヤに配置することで、これらを一括して形成することができる。
【0141】
この後、絶縁層53上に更に絶縁層54を形成しつつ、順次、ビット線BL及び配線層MX,M0,M1,M2・・・、プラグCH,V0,V1,V2・・・、並びに電極パッドPDm等を形成する。
【0142】
次に、積層体LM等が形成された支持基板SSと、周辺回路CBA等が形成された半導体基板SBとを接合する様子を図12に示す。図12は、積層体LM等が形成された支持基板SSと、周辺回路CBA等が形成された半導体基板SBとのX方向に沿う断面を示している。
【0143】
図12(b)に示すように、支持基板SSとは別体の半導体基板SB上に、トランジスタTRを含む周辺回路CBAを形成する。また、半導体基板SB上に、周辺回路CBAを覆う絶縁層40を形成しつつ、順次、配線層D0,D1,D2・・・、コンタクトCS及びビアC1,C2・・・、並びに電極パッドPDc等を形成する。
【0144】
図12(a)に示すように、積層体LMに各種構成が形成され、また、ビット線BL及び配線層MX,M0,M1,M2・・・、プラグCH,V0,V1,V2・・・、並びに電極パッドPDm等が形成された支持基板SSの電極パッドPDmが形成された面と、半導体基板SBの電極パッドPDcが形成された面とを対向させる。
【0145】
また、支持基板SS側の絶縁層54と、半導体基板SB側の絶縁層40とを接合する。これらの絶縁層54,40は、例えば予めプラズマ処理等により活性化させておくことで接合することができる。また、絶縁層54,40を接合する際には、絶縁層54に形成された電極パッドPDmと、絶縁層40に形成された電極パッドPDcとが重なるように、支持基板SSと半導体基板SBとの位置合わせをする。
【0146】
絶縁層54,40を接合した後、アニール処理を行って、電極パッドPDm,PDcを例えばCu-Cu接合により接合させる。これにより、支持基板SSと半導体基板SBとが貼り合わされる。
【0147】
次に、ピラーPLに活性層EPが形成される様子を図13図17に示す。
【0148】
図13及び図14は、上述の図10及び図11の(a)と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0149】
図13(a)に示すように、これ以降の工程においては、支持基板SS側が上方を向いた状態で、支持基板SS側の面を処理面として各種処理が行われる。
【0150】
図13(b)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって、積層体LMの上方の支持基板SSの全体および絶縁層51の一部を除去する。これにより、絶縁層51の研削された上面に、ピラーPL及び板状部PUの上端部が露出する。また、ピラーPLの上面を覆っていたメモリ層ME全体、及びチャネル層CNの一部上端部が除去されて、ピラーPLの上端部からはチャネル層CNが露出する。
【0151】
図14(a)に示すように、ピラーPLの側壁を覆うメモリ層MEとの選択比を取りながら、露出したチャネル層CNに対してリセスエッチングを行い、チャネル層CNの上端部をピラーPLの深さ方向に後退させる。これにより、ピラーPLの上端部に凹部DNが形成される。
【0152】
なお、リセスエッチング中、メモリ層MEとの選択比を取ることで、メモリ層MEと同種の材料を含む絶縁層51がエッチング削除されてしまうことも抑制される。また、メモリ層MEとの選択比を取ることで、メモリ層MEと同種の材料を含むコア層CRが、凹部DN内に突出することとなってもよい。
【0153】
図14(b)に示すように、ピラーPL上端部の凹部DN内にアモルファスシリコン層またはポリシリコン層等の半導体層EPaを充填する。また、半導体層EPaにリン等のドーパントをイオン注入等によりドーピングする。また、以下の図15及び図16に示すように、活性化アニールによって半導体層EPa中のドーパントを活性化する。
【0154】
図15(a)及び図16は、上述の図10及び図11の(a)と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。図15(b)は、上述の図10及び図11の(b)と同様、製造途中の階段領域SR及び周辺領域PRのX方向に沿う断面を示している。
【0155】
図15(a)に示すように、積層体LMの上方からレーザ光LL等を照射して、半導体層EPaを加熱する。半導体層EPaに照射するレーザ光LLとしては、例えばエキシマレーザ等の紫外領域の波長帯の光を用いることができる。
【0156】
なお、例えば紫外領域の波長帯のレーザ光LLは、金属層によって反射または吸収されやすく、殆ど金属層を透過することはない。一方、酸化シリコン層等の絶縁層は、レーザ光LLを透過させる性質を有する。このため、直接、あるいは、酸化シリコン層等の絶縁層を透過して、レーザ光LLが金属層に照射されると、金属層はレーザ光LLを反射または吸収するとともに、レーザ光LLにより加熱される。
【0157】
半導体記憶装置1が備えるビット線BL、配線層MX,M0,M1,M2・・・、プラグCH,V0,V1,V2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D0,D1,D2・・・、コンタクトCS、及びビアC1,C2・・・等に含まれる金属のうち、上述のように、タングステンは融点が高く原子移動度が小さい金属であり、銅は融点が低く原子移動度が大きい金属である。
【0158】
したがって、半導体記憶装置1が備えるタングステン配線は、レーザ光LLが照射され加熱した場合であっても溶融したり、絶縁層40,50中に拡散したりすることが抑制される。一方、半導体記憶装置1が備える銅配線は、レーザ光LLが照射され加熱した場合には溶融したり、絶縁層40,50中に拡散したりするなどして損傷する恐れがある。
【0159】
図15(a)(b)に示すように、積層体LMの上方からレーザ光LLを照射した場合、メモリ領域MR及び階段領域SRに照射されたレーザ光LLの大半は、積層体LMのワード線WLによって反射または吸収される。一方で、ワード線WLをY方向に分割する板状部PUは絶縁層55を含む構成を有するため、レーザ光LLを透過させる。
【0160】
しかし、板状部PUの絶縁層55を透過して、積層体LMの下方に進行したレーザ光LLは、レーザ光LLによるダメージを受けやすい配線層M2・・・、プラグV2・・・、配線層D1,D2・・・、及びビアC1,C2・・・等の銅配線に到達する前に、積層体LMの下層の配線層MX,M0,M1、またはプラグCH,V0,V1により反射または吸収される。また、上記の銅配線のうち、これらのタングステン配線と積層方向に重ならない部分へと進行するレーザ光LLは、板状部PUの下端部に配置されるダミー層DWp等により反射または吸収される。
【0161】
図15(b)に示すように、周辺領域PRに照射されたレーザ光LLは、レーザ光LLによるダメージを受けやすい配線層M2・・・、プラグV2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D1,D2・・・、及びビアC1,C2・・・等の銅配線に到達する前に、積層体LMの下層の配線層MX,M0,M1、またはプラグCH,V0,V1により反射または吸収される。また、上記の銅配線のうち、これらのタングステン配線と積層方向に重ならない部分へと進行するレーザ光LLは、コンタクトC3及びエッジシールESmの下端部に配置されるダミー層DWc,DWe、または、プラグCH,V0と同一レイヤに配置されるダミー層DWy等により反射または吸収される。
【0162】
以上のように、いずれかのタングステン配線、またはいずれかのダミー層DWp,DWy,DWc,DWeによって、積層体LMの上方から照射されたレーザ光LLが、配線層M2・・・、プラグV2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D1,D2・・・、及びビアC1,C2・・・等の銅配線に入射することが抑制される。
【0163】
図16に示すように、レーザ光LLを用いた活性化アニールによって、半導体層EPa中のドーパントが活性化され、複数のピラーPLのそれぞれの下端部に活性層EPが形成される。
【0164】
ここで、レーザ光LLが照射されたときの詳細の様子を図17に示す。
【0165】
図17は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法におけるレーザ光LLが照射される処理を示す模式図である。図17においては、レーザ光LLが照射される様子を、ダミー層DWと、このダミー層DWに積層方向に重なる銅配線CWとを例に挙げて示す。
【0166】
図17に示すダミー層DWは、上述のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeのいずれかであり、銅配線CWは、上述の図3に示す銅配線CWと同様、配線層M1よりも下方のレイヤに配置されるいずれかの銅配線である。
【0167】
図17に示すように、ダミー層DWに照射されたレーザ光LLは、上述の通り、ダミー層DWによって概ね遮蔽される。このとき、ダミー層DWの幅方向の両端部近傍を通過したレーザ光LLの一部は、回折効果によってダミー層DWの下面側へ回り込む。これにより、ダミー層DWの下方位置では、ダミー層DWの実際の幅よりも狭い領域しかレーザ光LLの遮蔽効果が得られない。
【0168】
しかし、ダミー層DWは、上述したように、これと対応する銅配線CWの遮蔽対象となる部分の面積よりも、大きな面積を有するよう構成されている。これにより、ダミー層DWの下面側に回り込んだレーザ光LLが、銅配線CWに入射してしまうことが抑制される。
【0169】
また、例えばダミー層DWと銅配線CWとが上下方向に近接しているほど、レーザ光LLにより加熱されたダミー層DWの熱が銅配線CWへと伝達されやすくなる。このため、ダミー層DWと、遮蔽対象の銅配線CWとの上下方向における距離は、少なくとも100nm以上、好ましくは300nm以上とすることができる。
【0170】
上述のように、レーザ光LLの照射によりピラーPL下端部に活性層EPを形成した後、絶縁層51上にソース側配線層SLを所定のパターンに形成する。このとき、コンタクトC3の上端部に形成したダミー層DWcとソース側配線層SLとを接続する。また、ソース側配線層SL上に、絶縁層60を介して電極層ELを所定のパターンに形成する。このとき、絶縁層60を貫通させて、電極層ELの一部をソース側配線層SLと接続し、電極層ELにパッド領域PDを形成する。
【0171】
また、電極層EL上に絶縁層71~73をこの順に形成し、電極層ELのパッド領域PD上の絶縁層71~73を除去して、パッド領域PDを露出させる。
【0172】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0173】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程では、例えば上方からレーザ光を照射して、メモリセルが形成されるピラーの上端部に活性層を形成する処理が行われる場合がある。このとき、一部のレーザ光が絶縁層を透過し、下層に設けられた低融点の銅配線等が損傷してしまう恐れがある。
【0174】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、配線層M2・・・、プラグV2・・・、電極パッドPDc,PDm、配線層D1,D2・・・、及びビアC1,C2・・・等の複数の銅配線CWの高さ位置よりも高い位置であって、複数の銅配線CWの積層体LMとは重ならない部分と積層方向に重なる位置に配置される複数のダミー層DWy,DWc,DWeを備える。
【0175】
これにより、レーザ光LLの照射による銅配線CWの損傷を抑制することができる。また、レーザ光LLの照射強度等の設定可能な範囲が広がり、活性化アニール処理が容易となる。
【0176】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、複数のダミー層DWp,DWy,DWc,DWeはそれぞれ、複数の銅配線CWのうち、積層方向に重なる銅配線CWの絶縁層50,40等を介して積層方向に対向する部分よりも、積層方向から見た面積が大きい。
【0177】
これにより、積層方向に重なる位置に、ビット線BL、配線層MX,M0,M1またはプラグCH,V0,V1のいずれも配置されていない銅配線CWの部分を遮蔽することができる。また、回折効果によって、ダミー層DWp,DWy,DWc,DWeの下面側にレーザ光LLが回り込んだ場合でも、充分な遮蔽効果を得ることができる。
【0178】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、複数のダミー層DWp,DWyは、ピラーPLと複数の銅配線CWのいずれかとを電気的に接続する複数のプラグCHと同じ高さ位置に配置されている。これにより、少なくとも一部のダミー層DWp,DWyを、高融点で原子移動度の小さいタングステン配線等である複数のプラグCH,V0等と、一括して形成することができる。
【0179】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、複数のダミー層DWpは、板状部PUの下端部に配置されている。これにより、積層体LMが配置される領域においても、絶縁層55等である板状部PUを透過したレーザ光LLが、下層の銅配線CWに入射してしまうことが抑制される。
【0180】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、ダミー層DWcは、コンタクトC3の上端部に配置され、コンタクトC3とソース側配線層SLとを接続している。これにより、パッド領域PDと積層方向に重なる領域においても、下層の銅配線CWへのレーザ光LLの入射を抑制することができる。また、コンタクトC3とソース側配線層SLとの電気的な接続をより強固にすることができる。
【0181】
以下に、図18を用いて、ダミー層DWcによって、コンタクトC3とソース側配線層SLとの接続が強化される点について、より詳細に説明する。
【0182】
図18は、実施形態および比較例にかかる半導体記憶装置において、コンタクトとソース側配線層とを接続する処理の一部を例示する断面図である。
【0183】
図18(Aa)に示すように、比較例の半導体記憶装置においては、コンタクトC3x及びエッジシールESxの上端部にダミー層は形成されない。コンタクトC3xをソース側配線層SLxに接続するためには、図18(Ab)に示すように、絶縁層51を貫通してコンタクトC3xの上端部に到達する貫通孔THxを形成し、図18(Ac)に示すように、絶縁層51の上面および貫通孔THx内にバリアメタル層BMxを形成し、図18(Ad)に示すように、絶縁層51の上面を覆い貫通孔THx内にタングステン層等を充填してソース側配線層SLxを形成する。
【0184】
これにより、コンタクトC3xとソース側配線層SLxとは、貫通孔THx底面のタングステン層部分でのみ電気的に接続され、ごく限られた接続面積でしか導通を得ることができない。さらには、貫通孔THxを形成する際、コンタクトC3xとの位置ずれが生じる恐れがあり、その場合、コンタクトC3xとソース側配線層SLxとの接続面積がいっそう小さくなってしまう。
【0185】
図18(Ba)に示すように、上述の実施形態の半導体記憶装置1においては、コンタクトC3及びエッジシールESの上端部に、それぞれダミー層DWc,DWeが形成されている。
【0186】
そこで、コンタクトC3とソース側配線層SLとの導通を取るためには、図18(Bb)に示すように、例えば絶縁層51を貫通してダミー層DWcに到達する貫通溝GRcを形成する。また、図18(Bc)に示すように、絶縁層51の上面および貫通溝GRc内にバリアメタル層BMを形成し、図18(Bd)に示すように、絶縁層51の上面を覆い貫通溝GRc内にタングステン層等を充填してソース側配線層SLを形成する。
【0187】
これにより、複数のコンタクトC3の上端部に跨って配置されるダミー層DWc上面の広範に亘る部分で、ソース側配線層SLxのタングステン層とダミー層DWcとが接続され、更に、そのダミー層DWcを介してコンタクトC3との電気的な接続を得ることができる。
【0188】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、ダミー層DWeは、エッジシールESmの上端部に配置されている。これにより、エッジシールESmと積層方向に重なる位置に設けられる周辺回路CBA側のエッジシールEScの銅層部分等に、レーザ光LLが入射してしまうことが抑制される。
【0189】
上述のように、エッジシールESc自体は半導体記憶装置1の機能に寄与しない。しかし、エッジシールESm上端部にダミー層DWeを設けることで、エッジシールEScの銅層部分が熱拡散等によって、半導体記憶装置1の他の構成に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0190】
(変形例)
次に、図19図21を用いて、実施形態の各種変形例の半導体記憶装置について説明する。なお、以下の図面において、上述の実施形態と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0191】
図19は、実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置が備えるダミー層DWsの構成の一例を示す模式図である。図19に示す変形例の半導体記憶装置は、複数のピースに分割されたダミー層DWsを備える点が、上述の実施形態の半導体記憶装置1とは異なる。
【0192】
図19には、レーザ光LLが照射される様子を、複数のダミー層DWsと、これらのダミー層DWsと積層方向に重なる銅配線CWとを例に挙げて示す。
【0193】
図19に示すように、複数のダミー層DWsは、複数のピースに分割されて、所定のレイヤに、つまり、互いに同じ高さ位置に、所定間隔を空けて配置されている。個々のダミー層DWsの形状は、例えばパッド状、ドット状、ライン状などとすることができる。
【0194】
複数のダミー層DWsが配置される領域の面積は、銅配線CWの遮蔽対象となる部分の面積よりも大きい。また、複数のダミー層DWsピッチは、レーザ光LLの波長以下、より好ましくは、レーザ光LLの波長より充分に小さくすることができる。
【0195】
これにより、ダミー層DWsを複数のピースに分割して配置した場合であっても、レーザ光LLが複数のダミー層DWsを透過して、銅配線CWに入射してしまうことが抑制される。また、ダミー層DWsが銅配線CWの遮蔽対象部分の面積より広い範囲に配置されているので、複数のダミー層DWsの配列の最端部のダミー層DWsの下面側に回り込んだレーザ光LLが、銅配線CWに入射してしまうことが抑制される。
【0196】
このとき、複数のダミー層DWsのピッチが充分に小さい場合には、複数のダミー層DWsが配置される領域全体が、所定間隔を空けて配置される複数のダミー層DWsと、これらのダミー層DWs間に位置する酸化シリコン層等の絶縁層51との平均的な物性を有するものと考えられる。すなわち、複数のダミー層DWsの配置領域全体を、高屈折率のタングステン層と低屈折率の酸化シリコン層とを平均した屈折率を有する均質な層と見做すことができる。
【0197】
図20は、実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置の他の構成の一例を示す断面図である。図20に示す変形例の半導体記憶装置は、ダミー層DW0,DW1,DWvが複数レイヤに分散して配置されている点が、上述の実施形態の半導体記憶装置1とは異なる。
【0198】
図20に示すように、変形例の半導体記憶装置は、コンタクトCC,C3間の領域にダミー層DW0,DW1,DWvを備える。これらのダミー層DW0,DW1,DWvは、配線層MX,M0,M1及びプラグCH,V0,V1等が配置される複数レイヤに配置されている。
【0199】
より詳細には、ダミー層DW0は、例えば配線層MX,M0と同じレイヤに配置されている。ダミー層DW1は、例えば配線層M1と同じレイヤに配置されている。ダミー層DW0は第3の導電層の一例であり、ダミー層DW1は第4の導電層の一例である。また、配線層MX,M0は第2の金属配線層の一例であり、配線層M1は第3の金属配線層の一例である。
【0200】
また、ダミー層DW0,DW1のうち少なくとも幾つかが、配線層M0,M1を接続するプラグV1と同じレイヤに配置されるダミー層DWvによって接続されていてもよい。
【0201】
このように、異なるレイヤに属するダミー層DW0,DW1同士をダミー層DWvで接続することで、これらのダミー層DW0,DW1,DWv全体の表面積が増大する。これにより、これらのダミー層DW0,DW1,DWvのレーザ光LLによる加熱を抑えることができ、ダミー層DW0,DW1,DWvの熱が、近傍の銅配線に伝達されるのを抑制することができる。
【0202】
ここで、各種のダミー層DWy,DWs,DW0,DW1の銅配線CWに対する断熱効果について図21の模式図に示す。
【0203】
図21は、実施形態および変形例ならびに比較例にかかる半導体記憶装置の光学的かつ伝熱工学的なシミュレーションによる解析結果を示す模式図である。
【0204】
より詳細には、図21(Aa)(Ba)はダミー層を有さない比較例の半導体記憶装置の解析結果であり、図21(Ab)は実施形態または変形例のダミー層DWを有する半導体記憶装置の解析結果であり、図21(Bb)(Bc)は変形例のダミー層DWsを有する半導体記憶装置の解析結果である。
【0205】
図21の解析においては、波長が308nmのレーザ光LLを0.213/cmのエネルギ量で照射した場合のダミー層DW,DWs及び銅配線CW,CWxの温度をシミュレーションした。
【0206】
図21(Aa)(Ba)に示すように、ダミー層を有さず、絶縁層51を透過したレーザ光LLが、銅配線CWxにそのまま照射される比較例の半導体記憶装置においては、銅配線CWxは463℃に加熱されるという結果を得た。なお、銅配線CWxの温度が400℃以上となると、銅配線CWxに損傷の恐れが生じると考えられる。
【0207】
図21(Ab)に示すダミー層DWは、上述の実施形態のダミー層DWp,DWy、上述の変形例のダミー層DW0,DW1のいずれかを模したものであり、遮蔽対象の銅配線CWの上方300nmの高さ位置に配置されているものとした。
【0208】
図21(Ab)に示すように、上記条件下では、レーザ光LLの照射によって、ダミー層DWが358℃に加熱されるものの、銅配線CWの加熱は251℃に抑えられるという結果が得られた。
【0209】
図21(Bb)(Bc)に示す複数のダミー層DWsは、紙面左右方向の幅がそれぞれ75nmであり、ピッチが170nmであるものとした。
【0210】
図21(Bb)に示すように、ダミー層DWsを遮蔽対象の銅配線CWの上方100nmの高さ位置に配置した場合、レーザ光LLの照射によって、ダミー層DWsが355℃に加熱されるものの、銅配線CWの加熱は305℃に抑えられるという結果が得られた。
【0211】
図21(Bc)に示すように、ダミー層DWsを遮蔽対象の銅配線CWの上方300nmの高さ位置に配置した場合、レーザ光LLの照射によって、ダミー層DWsが289℃に加熱されるものの、銅配線CWの加熱は209℃に抑えられるという結果が得られた。
【0212】
以上の解析結果から、ダミー層DWp,DWy,DW0,DW1,DWsの配置位置は、遮蔽対象の銅配線CWの少なくとも100nm以上上方、より好ましくは300nm以上上方とすることができる。また、複数のダミー層DWsをレーザ光LLの波長以下のピッチで配置することによっても、銅配線CWに対する充分な遮蔽効果が得られることが判る。
【0213】
変形例の半導体記憶装置によれば、複数のダミー層DWsは、銅配線CWの絶縁層50,40等を介して積層方向に対向する部分よりも、積層方向から見た面積が小さい複数のピースに分割されている。
【0214】
これにより、ダミー層DWsの配置の自由度を高めることができる。また、個々のダミー層DWsの面積を小さくすることができ、ダミー層DWsを形成する際、CMP等により余剰のタングステン層を除去する場合、ディッシング等を抑制して加工精度を向上させることができる。
【0215】
変形例の半導体記憶装置によれば、複数のダミー層DWsが配置される領域は、銅配線CWの絶縁層50,40等を介して積層方向に対向する部分よりも広い面積を有する。これにより、回折効果によって、ダミー層DWsの下面側にレーザ光LLが回り込んだ場合でも、充分な遮蔽効果を得ることができる。
【0216】
変形例の半導体記憶装置によれば、レーザ光LLの波長以下のピッチで、複数のダミー層DWsを配置する。これにより、レーザ光LLが、複数のダミー層DWsを透過して、下層の銅配線CWに入射してしまうことが抑制される。
【0217】
変形例の半導体記憶装置によれば、複数のダミー層DW0,DW1は、複数の配線層MX,M0の高さ位置と、複数の配線層M1の高さ位置とにそれぞれ配置されている。これにより、例えば同一レイヤ中においてダミー層DW0,DW1が密集してしまうことを抑制することができ、ダミー層DW0,DW1の放熱が促進される。また、ダミー層DW0,DW1の配置の自由度を高めることができる。
【0218】
更に、ダミー層DW0,DW1をダミー層DWvにより接続すれば、ダミー層DW0,DW1間の熱量を分散させて均一化することができる。
【0219】
(その他の変形例)
上述の実施形態および変形例では、遮蔽対象の配線層が銅配線CWであり、ダミー層DWp,DWy,DW0,DW1,DWv,DWsをタングステン層とした。しかし、例えば融点が低く原子移動度が大きいアルミニウム(Al)配線等も遮蔽対象の配線層となりうる。
【0220】
また、ダミー層としては、上述のように、融点が高いこと、及び原子移動度が小さいこと、の少なくともいずれかの性質を有する金属を用いることができる。一例として、ダミー層は、ルテニウム(Ru)層またはモリブデン層(Mo)等の金属層であってもよい。さらには、ダミー層として半導体層を用いることも可能である。
【0221】
例えばモリブデン層は、タングステン層に替えてワード線としても用いられる場合があり、ダミー層をモリブデン層とする際には、積層体LMと同じレイヤにダミー層を配置するとよい。また、ルテニウム層、モリブデン層、または半導体層等が、ワード線または配線層等に用いられない場合等には、ダミー層をワード線および配線層と別作りすることも可能である。
【0222】
また、上述の実施形態および変形例では、リプレース処理に用いたスリットSTに絶縁層55を充填して、半導体記憶装置1の機能には寄与しない板状部PUとすることとした。しかし、スリットSTに導電層を充填し、ソース側配線層SL等と接続することで、ソース線コンタクトとして機能させてもよい。
【0223】
また、上述の実施形態および変形例では、半導体記憶装置1の電極パッドPDm,PDcを挟んで上層側のプラグV2まで、下層側のビアC1までが銅配線であることとした。しかし、積層体LM側のピラーPL及びコンタクトCCと、半導体基板SB側の周辺回路CBAとの間の各レイヤのうち、銅配線が用いられる範囲は適宜異なり得る。例えば電極パッドPDm,PDcを挟んで上層側のビット線BLまでが銅配線であってもよい。
【0224】
この場合、新たに遮蔽が必要となったビット線BL等と積層方向に重なる位置に、適宜、ダミー層を配置するものとする。
【0225】
また、上述の実施形態および変形例では、絶縁層NL,OLの積層構造を1回で形成し、1Tier構造の積層体LMを有する半導体記憶装置1とした。しかし、積層体が2Tier以上の構造を有していてもよい。積層体のTier数を増やしていくことで、ワード線WLの積層数を更に増加させることができる。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0227】
1…半導体記憶装置、40,50…絶縁層、BL…ビット線、C1,C2…ビア、C3,CC,CS…コンタクト、CBA…周辺回路、CH,V0,V1,V2…プラグ、D0,D1,D2,M0,M1,M2,MX…配線層、CW…銅配線、DW0,DW1,DWp,DWs,DWv,DWy…ダミー層、LM…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、OL…絶縁層、PL…ピラー、PU…板状部、SB…半導体基板、SP…階段部、SR…階段領域、SS…支持基板、ST…スリット、WL…ワード線。

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