IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図1
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図2
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図3
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図4
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図5
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図6
  • 特開-燃料タンクの遮熱構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122345
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】燃料タンクの遮熱構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/067 20060101AFI20240902BHJP
   B60K 15/073 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B60K15/067
B60K15/073
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029838
(22)【出願日】2023-02-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 新型ミニバン事前取材会 令和4年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】出口 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】昌本 閏一
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA12
3D038CA17
3D038CB01
3D038CD01
3D038CD02
3D038CD07
(57)【要約】
【課題】燃料タンクの表面温度及び燃料タンク内の燃料温度が高温にならないようにする。
【解決手段】燃料タンク遮熱板5の前方壁部12は、傾斜面15aを有している。前方壁部12の傾斜面15aは、車両上下方向の下方側ほど車両前後方向の後方側に位置するように傾いて形成されている。燃料タンク3よりも車両前方側に位置するマフラー4は、車両幅方向で燃料タンク3と少なくとも一部が重なり合うように車両の下面に取り付けられている。燃料タンク3とマフラー4との間に位置する遮風板7は、車両上下方向の下端位置が前方壁部12の傾斜面15aの上端位置よりも下方側に位置するように形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の下面に取り付けられた燃料タンクと、
車両幅方向で上記燃料タンクと少なくとも一部が重なり合うように車両の下面に取り付けられ、上記燃料タンクよりも車両前方側に位置する熱源部品と、
上記燃料タンクを覆う第1遮熱板と、
上記燃料タンクと上記熱源部品との間に位置し、車両の下面に取り付けられた車両幅方向に沿って延びる遮風板と、を有し、
上記第1遮熱板は、上記遮風板と上記燃料タンクとの間に位置する第1壁部を有し、
上記第1壁部は、車両上下方向で車両の下面と間隙を空けて配置されるとともに、車両上下方向の下方側に下方側ほど車両前後方向の後方側に位置するように傾いた傾斜面を有し、
上記遮風板は、車両
上下方向の下端位置が上記第1壁部の上記傾斜面の車両上下方向の上端位置よりも下方側に位置するように形成されていることを特徴とする燃料タンクの遮熱構造。
【請求項2】
上記熱源部品と車両の下面との間に配置され、車両前後方向に沿って延び、上記熱源部品の上方側を覆う断面U字形状の第2遮熱板を有し、
上記第2遮熱板は、車両後方側の後方側端部の車両幅方向における一方の端が車両前後方向に沿って切り欠かれ、
上記遮風板は、車両幅方向で、上記第2遮熱板の後方側端部の切り欠きがある側の上記熱源部品からの突出量が、上記第2遮熱板の後方側端部の切り欠きがない側の上記熱源部品からの突出量よりも大きくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクの遮熱構造。
【請求項3】
上記遮風板は、車両前後方向に波打った形状となる凹凸形状部を有し、車両前後方向で上記燃料タンクと上記熱源部品との間に位置するクロスメンバの下面に固定され、
上記凹凸形状部は、車両幅方向で上記熱源部品と重なり合う位置に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料タンクの遮熱構造。
【請求項4】
上記第2遮熱板は、上記遮風板よりも車両前方に位置する遮熱板固定部が車両の下面に固定され、
上記燃料タンクは、上記遮風板よりも車両後方に位置する燃料タンク固定部で車両の下面に固定され、
上記遮熱板固定部と上記燃料タンク固定部は、上記凹凸形状部を挟んで車両幅方向に沿って並んで隣接し、
上記凹凸形状部は、上記遮熱板固定部と上記燃料タンク固定部を避けるように波打った形状となっていることを特徴とする請求項3に記載の燃料タンクの遮熱構造。
【請求項5】
上記熱源部品と車両の下面との間に配置され、車両前後方向に沿って延び、上記熱源部品の上方側を覆う第2遮熱板を有し、
上記燃料タンクは、車室内の床面が平面状の車両に搭載され、
上記第2遮熱板の車両前後方向における後方側端部は、車両上下方向で上記第1遮熱板の上記第1壁部の上端よりも上方に位置し、
上記第1遮熱板の車両上下方向における下端は、車両上下方向で上記熱源部品の下端よりも上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクの遮熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの遮熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、燃料タンクの一方の側部付近を車両前後方向に延びたマフラーの熱から燃料タンクを保護するために、燃料タンクとマフラーとの間に遮熱板を配置した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-107875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、熱源となるマフラーから燃料タンクへの輻射を遮熱板で妨げるが、マフラーと燃料タンクの間を流れる空気の対流熱伝達により燃料タンクの表面温度及び燃料タンク内の燃料温度が高温になる虞がある。
【0005】
すなわち、熱源との間に遮熱板を配置する遮熱構造においては、燃料タンクの表面温度及び燃料タンク内の燃料温度が高温にならないようにするために、更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料タンクの遮熱構造は、燃料タンクを覆う第1遮熱板が上記燃料タンクと熱源部品との間に位置する遮風板と上記燃料タンクとの間に位置する第1壁部を有し、上記第1壁部は、車両上下方向で車両の下面と間隙を空けて配置されるとともに、車両上下方向の下方側に下方側ほど車両前後方向の後方側に位置するように傾いた傾斜面を有し、上記遮風板は、車両上下方向の下端位置が上記第1壁部の上記傾斜面の車両上下方向の上端位置よりも下方側に位置するように形成されていることを特徴としている。これによって、上記熱源部品の周囲で加熱された空気は、上記第1壁部の上記傾斜面へ向かって流れ、さらに上記傾斜面を利用して上記燃料タンクを回避するように当該燃料タンクの下方へと流れていくことになる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料タンクは、前方に位置する熱源部品によって加熱された空気の影響を受けにくくなり、表面温度及び内部の燃料温度の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の遮熱構造が適用された車両の下面図。
図2図1のA-A線に沿った断面図。
図3】本発明の要部を拡大して示した説明図。
図4図1のB-B線に沿った断面図。
図5図1のC-C線に沿った断面図。
図6】本発明の遮熱構造の要部の側面図。
図7】マフラー及び車両下面遮熱板の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の遮熱構造が適用された車両の下面図である。図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。図3は、図2の一部を拡大して示したものであり、本発明の要部を拡大して示した説明図である。図4は、図1のB-B線に沿った断面図である。図5は、図1のC-C線に沿った断面図である。図6は、本発明の遮熱構造が適用された車両の要部の側面図である。図7は、本発明の遮熱構造を構成するマフラー4及び車両下面遮熱板6の側面図である。
【0010】
なお、各図中におけるX軸は車両の前後方向に沿った軸線、Y軸は車両の幅方向に沿った軸線、Z軸は車両の上下方向に沿った軸線、をそれぞれ示している。図1においては、X軸に沿った左方向が車両前方側、X軸に沿った右方向が車両後方側となる。図2図3においては、X軸に沿った左方向が車両前方側、X軸に沿った右方向が車両後方側、Z軸に沿った上方向が車両上方側となる。図4図5においては、Z軸に沿った上方向が車両上方側となる。図6においては、X軸に沿った右方向が車両前方側、X軸に沿った左方向が車両後方側、Z軸に沿った上方向が車両上方側となる。図7においては、X軸に沿った上方向が車両前方側、X軸に沿った下方向が車両後方側となる。
【0011】
図1及び図2に示すように、車両のフロアパネル1及び複数のクロスメンバ2等からなる車両の下面には、車両に搭載された図示せぬ内燃機関に供給される燃料を蓄える樹脂性の燃料タンク3と、排気系の熱源部品としてのマフラー4と、燃料タンク3への熱伝達を抑制する第1遮熱板としての燃料タンク遮熱板5と、マフラー4から車両の下面への熱伝達を抑制する第2遮熱板としての車両下面遮熱板6と、燃料タンク3とマフラー4との間に位置する遮風板7と、が配置されている。
【0012】
フロアパネル1は、金属材料からなり、車室内の床面が車両前後方向に沿って平面状となるように形成されている。つまり、フロアパネル1の上面1aは、平ら(フラット)になっている。フロアパネル1の下面1bは、車両の下面を構成する。
【0013】
クロスメンバ2は、金属材料からなり、断面ハット形(断面C字形)に形成されている。クロスメンバ2は、車両幅方向に沿って延び、フロアパネル1の下面1bに取り付けられている。クロスメンバ2の下面8は、車両の下面を構成する。
【0014】
クロスメンバ2aは、車両前後方向で燃料タンク3とマフラー4との間に位置している。クロスメンバ2bは、マフラー4の上方に位置し、車両前後方向でクロスメンバ2aよりも車両前方側に位置している。クロスメンバ2cは、車両前後方向でマフラー4及びクロスメンバ2bよりも車両前方側に位置している。クロスメンバ2aの下面8a、クロスメンバ2bの下面8b及びクロスメンバ2cの下面8cは、それぞれ車両の下面を構成する。
【0015】
図1図3に示すように、燃料タンク3は、車両幅方向に沿って細長い扁平な直方体形状を呈し、車両の下面となるフロアパネル1の下面1bと対向するように配置される。燃料タンク3は、車両前後方向における前方側の端部である車両前方側端部3aと、車両前後方向における後方側の端部である車両後方側端部3bと、車両幅方向における一方の端部である車両幅方向一端部3cと、車両幅方向における他方の端部である図示外の車両幅方向他端部と、を有している。
【0016】
燃料タンク3は、フロアパネル1の下面1bに取り付けられている。燃料タンク3は、遮風板7よりも車両後方に位置する燃料タンク固定部としての燃料タンクバンド固定部9でクロスメンバ2aの下面8aに固定されている。
【0017】
燃料タンクバンド固定部9は、帯状のバンド部材21の一端をクロスメンバ2aの下面8aに固定するものであり、バンド部材21を介して燃料タンク3をクロスメンバ2aの下面8aに固定している。燃料タンク3を固定する燃料タンクバンド固定部9は、遮風板7よりも車両後方に位置し、クロスメンバ2aの下面8aに固定されている。なお、バンド部材21の他端(図示せず)も車両に下面に対して固定されている。つまり、バンド部材21の他端を車両に下面に対して固定する部分は、燃料タンクバンド固定部9と同様に、バンド部材21を介して燃料タンク3を車両の下面に対して固定している。また、燃料タンク3は、図示したバンド部材21以外のバンド部材によっても、バンド部材21と同様に車両の下面に対して固定されている。
【0018】
図1に示すように、マフラー4は、車両幅方向で燃料タンク3と少なくとも一部が重なり合うように車両の下面に取り付けられている。図1図3に示すように、マフラー4は、燃料タンク3よりも車両前方側に位置している。マフラー4は、車両前後方向で燃料タンク3と所定距離離間して配置される。マフラー4は、遮風板7よりも車両前方側に位置するクロスメンバ2bの下に配置されている。なお、マフラー4から車両後方側に延びるパイプは、テールパイプ10である。マフラー4から車両前方側に延びるパイプは、エキゾーストパイプ11である。
【0019】
図1に示すように、燃料タンク遮熱板5は、燃料タンク3の外形状に沿った形状に形成されている。燃料タンク遮熱板5は、車両幅方向に沿った第1壁部としての前方壁部12と、前方壁部12の車両幅方向における一方の端部と連続する車両前後方向に沿った第2壁部としての側方壁部13と、側方壁部13の車両前後方向に後方側の端部と連続する車両幅方向に沿った第3壁部としての後方壁部14と、を有している。燃料タンク遮熱板5は、バンド部材21に固定されている。つまり、燃料タンク遮熱板5は、バンド部材21を介して燃料タンク3に固定されている。
【0020】
前方壁部12は、燃料タンク3の車両前方側端部3aと対向している。側方壁部13は、燃料タンク3の車両幅方向一端部3cと対向している。後方壁部14は、燃料タンク3の車両後方側端部3bと対向している。つまり、燃料タンク遮熱板5は、底面視(車両の下面側から見て)で全体が略U字形状を呈し、燃料タンク3の外周縁を周方向に沿って連続して部分的に覆うものである。前方壁部12は、その上端が車両上下方向で車両の下面と間隙を空けて配置されている。
【0021】
また、燃料タンク遮熱板5は、図1図3に示すように、車両上下方向の下方側に、傾斜面15を有している。つまり、前方壁部12は、傾斜面15aを有している。側方壁部13は、傾斜面15bを有している。後方壁部14は、傾斜面15cを有している。傾斜面15aは、傾斜面15bを介して傾斜面15cと連続している。なお、燃料タンク3は、傾斜面15と対向する部分が傾斜面15に沿うように傾斜した壁面となるよう形成されている。つまり、燃料タンク3は、燃料タンク遮熱板5の外形状に沿うように形成されている。そのため、燃料タンク3は、傾斜面15を有する燃料タンク遮熱板5と組み合わせた際に、燃料タンク遮熱板5との間のデッドスペースを小さくしつつ、タンク容量を増加させることが可能となる。
【0022】
前方壁部12の傾斜面15aは、車両上下方向の下方側ほど車両前後方向の後方側に位置するように傾いて形成されている。側方壁部13の傾斜面15bは、車両上下方向の下方側ほど上記車両幅方向他端部(図1においてY軸に沿った上方側)に位置するように傾いて形成されている。後方壁部14の傾斜面15cは、車両上下方向の下方側ほど車両前後方向の前方側に位置するように傾いて形成されている。燃料タンク遮熱板5は、金属材料からなっている。
【0023】
図1図6に示すように、車両下面遮熱板6は、断面U字形状を呈し、マフラー4とフロアパネル1の下面1bとの間に配置されている。車両下面遮熱板6は、マフラー4の上方側を覆うとともに、車両前後方向に沿って延びている。
【0024】
車両下面遮熱板6は、車両後方側の後方側端部6aの車両幅方向における一方側(図1においてY軸に沿った下方側)の端が車両前後方向に沿って切り欠かれている。つまり、後方側端部6aの一方側の端は、切り欠かれて切り欠き部6bとなっている。
【0025】
車両下面遮熱板6は、フロアパネル1の下面1bに取り付けられている。車両下面遮熱板6は、図1及び図7に示すように、遮風板7よりも車両前方に位置する遮熱板固定部16がクロスメンバ2aの下面8aに固定されている。つまり、車両下面遮熱板6の遮熱板固定部16は、遮風板7よりも車両前方に位置し、クロスメンバ2aの下面8aに固定されている。さらに言えば、車両下面遮熱板6の後方側端部6aは、車両前後方向で、燃料タンク遮熱板5と所定の間隔をあけて離間している。
【0026】
車両下面遮熱板6の車両前後方向における後方側端部6aは、車両上下方向で燃料タンク遮熱板5の前方壁部12の上端よりも上方に位置するよう配置されている。
【0027】
図1図5に示すように、遮風板7は、例えば金属材料から薄い平板状の部材であり、燃料タンク3とマフラー4との間に位置している。遮風板7は、車両幅方向に沿って配置され、クロスメンバ2aの下面8aに固定されている。
【0028】
遮風板7は、図1、4,5、7に示すように、車両幅方向に沿った所定区間が車両前後方向に波打った形状となる凹凸形状部17となっている。つまり、遮風板7は、凹凸形状部17を有している。
【0029】
凹凸形状部17は、車両幅方向でマフラー4と重なり合う位置に形成されている。凹凸形状部17は、遮熱板固定部16と燃料タンクバンド固定部9を避けるように波打った(湾曲した)形状となっている。
【0030】
遮風板7は、車両上下方向の下端位置が前方壁部12の傾斜面15aの車両上下方向の上端位置よりも車両上下方向で下方側に位置するように形成されている。換言すると、遮風板7は、車両上下方向の下端位置が少なくとも前方壁部12の傾斜面15aと車両上下方向で重なり合うように形成されている。
【0031】
遮風板7は、図1図4及び図5に示すように、車両幅方向で、車両下面遮熱板6の後方側端部6aの切り欠き部6bがある側のマフラー4からの突出量が、車両下面遮熱板6の後方側端部6aの切り欠き部6bがない側のマフラー4からの突出量よりも大きくなるよう設定されている。
【0032】
また、遮熱板固定部16と燃料タンクバンド固定部9は、図1及び図7に示すように、凹凸形状部17を挟んで車両幅方向に沿って並んで隣接している。
【0033】
以上説明してきたように、上述した実施例の遮熱構造においては、マフラー4と車両下面遮熱板6との間を通過することで加熱された空気が、図3中に破線矢印で示すように、遮風板7により燃料タンク遮熱板5の前方壁部12の傾斜面15aへと導かれる。そのため、マフラー4と車両下面遮熱板6との間を通過することで加熱された空気は、前方壁部12の傾斜面15aを利用して燃料タンク3の下方へ円滑に(淀みなく)流れていくことが可能となる。つまり、マフラー4の周囲で加熱された空気は、前方壁部12の傾斜面15aへ向かって流れ、さらに傾斜面15aを利用して燃料タンク3を回避するように燃料タンク3の下方へと流れていくことになる。また、燃料タンク遮熱板5の前方壁部12と車両の下面との間に隙間があっても、この隙間にマフラー4と車両下面遮熱板6との間を通過することで加熱された空気が流れ込みにくくなる。
【0034】
従って、上述した実施例の遮熱構造は、内燃機関の作動中(運転中)に燃料タンク3が前方に位置するマフラー4によって加熱された空気の影響を受けにくくなり、内燃機関作動中に燃料タンク3の表面温度及び燃料タンク3内の燃料温度の上昇を抑制することができる。
【0035】
車両幅方向で車両下面遮熱板6の後方側端部6aの切り欠き部6bがある側は、マフラー4と車両下面遮熱板6との間を通過することで加熱された空気が偏流する側である。
【0036】
上述した実施例の遮熱構造は、マフラー4と車両下面遮熱板6との間を通過することで加熱された空気が偏流する側において、遮風板7の車両幅方向でのマフラー4からの突出量を大きくすることで、燃料タンク3に対する遮熱性を確保することができる。
【0037】
また、上述した実施例の遮熱構造は、車両下面遮熱板6の後方側端部6aの切り欠き部6bにより、冠水路走行での圧力(抵抗)を低減できる。
【0038】
上述した実施例の遮熱構造は、遮風板7がクロスメンバ2aの下面8aに固定されるので、車両上下方向に沿った長さを短く設定することが可能となり、冠水路走行での圧力(抵抗)を低減できる。
【0039】
上述した実施例の遮熱構造は、遮風板7が凹凸形状部17を有することで、遮風板7の強度を向上させることができる。
【0040】
上述した実施例の遮熱構造は、車両下面遮熱板6が遮熱板固定部16と燃料タンクバンド固定部9を避けるように波打った(湾曲した)形状の凹凸形状部17を有しているので、車両下面遮熱板6の車両の下面への組付け性を向上させることができる。
【0041】
また、上述した実施例の遮熱構造は、遮熱板固定部16と燃料タンクバンド固定部9とを凹凸形状部17を挟んで車両幅方向に沿って並んで配置されているので、車両下面遮熱板6と燃料タンク3の車両前後方向に沿った間隔を小さく(縮小)することが可能となる。
【0042】
上述した実施例の遮熱構造は、車両下面遮熱板6の車両前後方向における後方側端部6aが車両上下方向で燃料タンク遮熱板5の前方壁部12の上端よりも上方に位置している。そのため、上述した実施例の遮熱構造は、車室内の床面が平面となる車両であっても、マフラー4の下端における地上高の要件を満足しつつ容量の大きなマフラー4が搭載可能となる。さらにマフラー4の下端よりも燃料タンク遮熱板5の下端、及び燃料タンク3の下端の方が車両上下方向で高さが高くなっている。すなわち、上述した実施例の遮熱構造は、燃料タンク遮熱板5の車両上下方向における下端(下端位置)及び燃料タンク3の車両上下方向における下端(下端位置)が、車両上下方向でマフラー4の下端(下端位置)よりも上方に位置している。そのため、上述した実施例の遮熱構造は、車両の空力特性を向上させることができる。
【0043】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…フロアパネル
1b…下面
2a…クロスメンバ
3…燃料タンク
3a…車両前方側端部
4…マフラー
5…燃料タンク遮熱板
6…車両下面遮熱板
6a…後方側端部
7…遮風板
9…燃料タンクバンド固定部
12…前方壁部
15a…傾斜面
16…遮熱板固定部
17…凹凸形状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7