(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122351
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】配信システムおよび配信方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029847
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 雅美
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】過去から未来まで何れかの時点における登録者に向けた情報の配信を可能とする。
【解決手段】配信システム10を構成する通達配信サーバ100は、情報システムの利用者識別情報と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者データベースを参照して、指定された過去、現在、または未来の時点である指定登録時点における情報システムの利用者である指定時点登録利用者の利用者識別情報である配信先を取得する配信先算出部112と、利用者識別情報とメールアドレスとが関連付けられて記憶されるアドレスデータベース(従業員データベース)を参照して、当該配信先に指定された配信情報の配信をメールサーバに依頼する配信依頼部113と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報システムの利用者識別情報と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者データベースを参照して、指定された過去、現在、または未来の時点である指定登録時点における前記情報システムの利用者である指定時点登録利用者の前記利用者識別情報である配信先を取得する配信先算出部と、
前記利用者識別情報とメールアドレスとが関連付けられて記憶されるアドレスデータベースを参照して、当該配信先に指定された配信情報の配信をメールサーバに依頼する配信依頼部と、を備える
配信システム。
【請求項2】
変更、追加および削除の何れかである区分と、前記利用者識別情報と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者改廃データベースを参照して、前記利用者データベースを更新する利用者更新部を、さらに備え、
前記配信先算出部は、
前記指定登録時点が未来である場合には、
前記利用者改廃データベースに、前記区分が追加であるとともに、前記有効開始日が当該指定登録時点より過去であるレコードがあれば、当該レコードの利用者識別情報を前記配信先にさらに含める
請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
前記利用者データベースには、利用者識別情報に対応する利用者が所属する会社を示す会社コードが、さらに関連付けられて記憶され、
前記配信先算出部は、
指定された配信先の会社コードに限定して前記利用者識別情報を取得して配信先とする
請求項1に記載の配信システム。
【請求項4】
変更、追加および削除の何れかである区分と、前記利用者識別情報と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者改廃データベースを参照して、前記利用者データベースを更新し、
前記利用者識別情報と、更新日と、値が前記有効開始日、前記有効期限または前記会社コードである項目と、当該項目の更新前値と、当該項目の更新後値とが関連付けられているレコードが記憶される更新履歴データベースに、前記利用者データベースを更新した内容を格納する利用者更新部を、さらに備え、
前記配信先算出部は、
前記指定登録時点が過去である場合には、
前記更新履歴データベースに前記項目が前記会社コードであり、かつ前記更新日が当該指定登録時点より過去であるレコードがあれば、前記利用者データベースに含まれる会社コードに替えて当該レコードの更新後値である会社コードを参照し、前記利用者識別情報を取得して配信先とする
請求項3に記載の配信システム。
【請求項5】
前記配信依頼部は、
前記利用者識別情報と、当該利用者識別情報で識別される利用者の勤務地のタイムゾーンとが関連付けられて記憶される従業員データベースを参照して、当該利用者の勤務時間内に配信情報を配信するように前記メールサーバに依頼する
請求項1に記載の配信システム。
【請求項6】
配信システムが、
情報システムの利用者識別情報と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者データベースを参照して、指定された過去、現在、または未来の時点である指定登録時点における前記情報システムの利用者である指定時点登録利用者の前記利用者識別情報である配信先を取得するステップと、
前記利用者識別情報とメールアドレスとが関連付けられて記憶されるアドレスデータベースを参照して、当該配信先に指定された配信情報の配信をメールサーバに依頼するステップと、を実行する
配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登録された宛先に情報を配信する配信システムおよび配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や官公庁などの組織では、財務システムや調達システムなど様々な業務システムが利用されている。またサービス休止やシステム変更などに係る、業務システムの利用者への連絡にメールが利用されている。特許文献1に記載の電子メール配信システムは、年齢、性別、地域、職種などの様々な属性に応じた配信を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子メール配信システムを含め従来のメールを含む情報配信では、配信時点において登録されている宛先(登録者)に情報を配信している。しかしながら、業務システムの利用者に向けた情報配信の宛先は、配信時点である現時点において登録されているとは限らない。例えば来月のサービス休止の連絡は、来月1日時点で登録されている利用者に向けて配信することが望ましい。また、業務システムの不具合が判明し、過去に業務システムに入力した内容を確認してもらう依頼は、過去の利用者に向けて配信することが望ましい。しかしながら、従来の情報配信システムでは、過去や未来の時点における利用者(登録者)に向けた情報配信ができず、過去、現在、未来の時点における利用者に向けた配信が望まれている。
【0005】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、過去から未来まで何れかの時点における登録者に向けた情報の配信を可能とする配信システムおよび配信方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明に係る配信システムは、情報システムの利用者識別情報と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者データベースを参照して、指定された過去、現在、または未来の時点である指定登録時点における前記情報システムの利用者である指定時点登録利用者の前記利用者識別情報である配信先を取得する配信先算出部と、前記利用者識別情報とメールアドレスとが関連付けられて記憶されるアドレスデータベースを参照して、当該配信先に指定された配信情報の配信をメールサーバに依頼する配信依頼部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、過去から未来まで何れかの時点における登録者に向けた情報の配信を可能とする配信システムおよび配信方法を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る配信システムの全体構成図である。
【
図2】本実施形態に係るデータベースサーバの機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る従業員データベースのデータ構成図である。
【
図4】本実施形態に係る利用者データベースのデータ構成図である。
【
図5】本実施形態に係る配信先データベースのデータ構成図である。
【
図6】本実施形態に係る利用者改廃データベースのデータ構成図である。
【
図7】本実施形態に係る更新履歴データベースのデータ構成図である。
【
図8】本実施形態に係る管理装置の機能ブロック図である。
【
図9】本実施形態に係る通達配信サーバの機能ブロック図である。
【
図10】本実施形態に係る利用者改廃データベース生成処理のフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係る利用者データベース更新処理のフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る配信先データベース更新処理のフローチャートである。
【
図13】本実施形態に係る配信処理のフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る配信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪配信システムの概要≫
以下に本発明を実施するための形態(実施形態)における配信システムについて説明する。配信システムは、業務システムの利用者に当該業務システムに係る通達を配信する。現時点での利用者は、利用者データベースに登録されている。未来の利用者データベースの更新内容は、利用者改廃データベースに登録されている。また利用者データベースの更新履歴(過去の更新内容)は、更新履歴データベースに格納されている。配信システムは、利用者データベース、利用者改廃データベース、および更新履歴データベースを参照することで、過去、現在、および未来の何れかの指定された時点(指定登録時点)において登録されている利用者(指定時点登録利用者)を取得し、通達を配信する。
【0010】
このような配信システムによれば、現在だけではなく過去や未来の時点(指定登録時点)での利用者にも通達を配信することができる。例えば過去のある時点での利用者に対する依頼や、未来に利用者となる予定の人への通知を送信することができるようになる。
【0011】
≪配信システムの構成≫
図1は、本実施形態に係る配信システム10の全体構成図である。配信システム10は、通達配信サーバ100、および管理装置200を含んで構成される。配信システム10は、さらにデータベースサーバ300を含んでもよい。通達配信サーバ100、管理装置200、およびデータベースサーバ300は、ネットワーク480に接続されており、相互に通信可能である。
【0012】
ネットワーク480には、メールサーバ410や業務システム470(情報システム)、運用者端末420、利用者端末430が接続されている。業務システム470の運用者は運用者端末420を操作することで、通達種別と通達内容と指定登録時点とを指定して通達配信サーバ100に通達の配信を依頼する。運用者はさらに配信先の会社(会社コード)を指定して通達の配信を依頼してもよい。
【0013】
指定登録時点とは、過去、現在、および未来の何れかの時点である。通達配信サーバ100は、指定登録時点において登録されている業務システム470の利用者であり、通達種別の通達の配信を希望する利用者である業務システム470の利用者を取得して、メールサーバ410に当該利用者への通達内容の送信を依頼する。メールサーバ410は、指定登録時点において業務システム470の利用者として登録されている利用者の利用者端末430に通達内容を配信する。
【0014】
≪データベースサーバの構成≫
図2は、本実施形態に係るデータベースサーバ300の機能ブロック図である。データベースサーバ300はコンピュータであり、制御部310、記憶部320、および通信部380を備える。通信部380は通信デバイスを備え、通達配信サーバ100や管理装置200とのデータ送受信が可能である。制御部310はCPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、通達配信サーバ100や管理装置200からの要求に応じて、記憶部320に記憶されるデータベースの検索や更新を行う。
【0015】
記憶部320は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)などの記憶機器を含んで構成される。記憶部320には、従業員データベース330、利用者データベース340、配信先データベース350、利用者改廃データベース360、および更新履歴データベース370が記憶される。
【0016】
≪データベースサーバ:従業員データベース≫
図3は、本実施形態に係る従業員データベース330のデータ構成図である。従業員データベース330は表形式のデータであって、1つの行(レコード)は業務システム470を利用する会社のグループの従業員を示す。従業員データベース330のレコードは、従業員の識別情報(
図3ではID(identifier)と記載)、氏名、メールアドレス、所属する会社の会社コード、および従業員が所属する会社がある地域のタイムゾーン(
図3ではTZと記載)の列(属性)を含む。従業員データベース330は、上記した以外の属性を含んでもよく、例えば従業員の勤務時間を含んでもよい。
【0017】
≪データベースサーバ:利用者データベース≫
図4は、本実施形態に係る利用者データベース340のデータ構成図である。利用者データベース340は表形式のデータであって、1つの行(レコード)は業務システム470の利用者として登録されている従業員を示す。利用者データベース340のレコードは、従業員の識別情報(
図4ではIDと記載)、氏名、メールアドレス、所属する会社の会社コード、有効開始日、有効期限、およびタイムゾーン(
図4ではTZと記載)の列(属性)を含む。
【0018】
識別情報は、従業員データベース330の識別情報に対応する。利用者データベース340に登録される業務システム470の利用者は、従業員データベース330に登録されている。
有効開始日は、業務システム470の利用者として登録が有効になる日を示す。有効開始日が未来の日である場合、業務システム470の利用者として事前にレコードが利用者データベース340に格納されており、登録が有効になるのは有効開始日からである。
【0019】
有効期限は、登録が有効である期限を示す。退職などの理由により予め業務システム470の利用期限が定まっている場合には有効期限が設定されるが、不定の場合には9999年末日が設定される。有効期限が過去である場合には、レコードが示す利用者は過去に登録された利用者であり、現時点では登録が抹消(削除)された利用者と見なされる。
タイムゾーンは、レコードが示す利用者の勤務地のタイムゾーンである。
【0020】
≪データベースサーバ:配信先データベース≫
図5は、本実施形態に係る配信先データベース350のデータ構成図である。配信先データベース350は表形式のデータであって、1つの行(レコード)は通達の配信先を示す。配信先データベース350のレコードは、従業員の識別情報(
図5ではIDと記載)、種別、および同報者の列(属性)を含む。
【0021】
識別情報は、利用者データベース340の識別情報に対応し、配信先となる利用者の識別情報を示す。種別は、識別情報に示される利用者に配信される通達の種別であり「システム変更」「障害情報」「注意情報」の種別がある。同報者は、識別情報で示される利用者とともに通達が配信される従業員の識別情報である。この従業員は、利用者データベース340(
図4参照)に登録されているとは限らないが、従業員データベース330(
図3参照)には登録されている。「〇」となっている種別の通達が、識別情報に示される利用者、および同報者にある従業員に配信される。
【0022】
≪データベースサーバ:利用者改廃データベース≫
図6は、本実施形態に係る利用者改廃データベース360のデータ構成図である。利用者改廃データベース360は表形式のデータであって、1つの行(レコード)は利用者データベース340(
図4参照)の更新内容を示す。利用者改廃データベース360のレコードは、利用者データベース340の属性の他に、更新の種別を示す区分の属性を含む。以下の説明では、区分以外の属性(利用者データベース340の属性と同等)を更新内容と記す。
【0023】
区分が「追加」であるレコードは、更新内容のレコードを利用者データベース340に追加することを示す。区分が「削除」であるレコードは、識別情報(
図6ではIDと記載)で示される利用者の登録を利用者データベース340から削除(抹消)することを示す。本実施形態では、利用者データベース340の有効期限を変更することで登録を削除(抹消)する。区分が「変更」であるレコードは、識別情報で示される利用者データベース340のレコードを更新内容の属性に更新することを示す。なお利用者データベース340を更新する処理については後記する(
図11参照)。
【0024】
≪データベースサーバ:更新履歴データベース≫
図7は、本実施形態に係る更新履歴データベース370のデータ構成図である。更新履歴データベース370は表形式のデータであって、1つの行(レコード)は利用者データベース340(
図4参照)の更新履歴を示す。更新履歴データベース370のレコードは、識別情報、更新日、項目、更新前、および更新後の属性を含む。
【0025】
識別情報(
図7ではIDと記載)は、利用者データベース340の識別情報に対応し、更新対象となったレコードを示す。更新日は、利用者データベース340が更新された日である。
【0026】
項目、更新前、および更新後は、利用者データベース340のレコードの更新内容を示す。項目と更新前と更新後とには、それぞれ更新された属性名と更新前の値(属性値)と更新後の値(属性値)とが格納される。複数の属性が更新された場合には、複数のレコードが格納される。
【0027】
≪管理装置の構成≫
図8は、本実施形態に係る管理装置200の機能ブロック図である。管理装置200はコンピュータであり、制御部210、記憶部220、および通信部280を備える。通信部280は通信デバイスを備え、通達配信サーバ100やデータベースサーバ300とのデータ送受信が可能である。
【0028】
記憶部220は、ROMやRAM、SSDなどの記憶機器を含んで構成される。記憶部220には、プログラム228が記憶される。プログラム228には、後記する利用者改廃データベース生成処理(
図10参照)や利用者データベース更新処理(
図11参照)の手順の記述が含まれる。
【0029】
制御部210は、CPUを含んで構成され、利用者更新部211、および通達配信先更新部212が備わる。利用者更新部211は、業務システム470の利用者の新規登録(追加)、登録抹消(削除)、登録内容変更(変更)の申請に基づいて、利用者改廃データベース360を生成する(後記する
図10参照)。また利用者更新部211は、利用者改廃データベース360を基に利用者データベース340を更新し、更新内容を更新履歴データベース370に格納する(後記する
図11参照)。通達配信先更新部212は、利用者改廃データベース360を基に配信先データベース350を更新する(後記する
図12参照)。
【0030】
以上に説明したように配信システム10は、変更、追加および削除の何れかである区分と、利用者識別情報(識別情報)と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者改廃データベース360を参照して、利用者データベース340を更新する利用者更新部211を備える。
利用者更新部211は、利用者識別情報(識別情報)と、更新日と、値が有効開始日(利用者データベース340の有効開始日参照)、有効期限(利用者データベース340の有効期限参照)または会社コード(利用者データベース340の会社コード参照)である項目と、当該項目の更新前値と、当該項目の更新後値(更新履歴データベース370の更新前および更新後参照)とが関連付けられているレコードが記憶される更新履歴データベース370に、利用者データベース340を更新した内容を格納する。
【0031】
≪通達配信サーバの構成≫
図9は、本実施形態に係る通達配信サーバ100の機能ブロック図である。通達配信サーバ100はコンピュータであり、制御部110、記憶部120、および通信部180を備える。通信部180は通信デバイスを備え、管理装置200やデータベースサーバ300とのデータ送受信が可能である。
【0032】
記憶部120は、ROMやRAM、SSDなどの記憶機器を含んで構成される。記憶部120には、プログラム128が記憶される。プログラム128には、後記する配信処理(
図13、
図14参照)の手順の記述が含まれる。
【0033】
制御部110は、CPUを含んで構成され、受付部111、配信先算出部112、および配信依頼部113が備わる。
受付部111は、業務システム470の運用者が操作する運用者端末420からの通達配信の依頼を受け付ける。この依頼には、通達種別と通達内容と指定登録時点とが含まれる。依頼には、さらに配信先の会社(会社コード)が含まれてもよい。
【0034】
配信先算出部112は、通達の宛先として、指定登録時点において登録されている業務システム470の利用者であって通達種別の通達の配信を希望する利用者である業務システム470の利用者や同報者(
図5記載の配信先データベース350の同報者参照)を取得する。配信先算出部112は、利用者データベース340他のデータベースを参照して、指定登録時点における業務システム470の利用者を取得する。配信先算出部112は、利用者データベース340を参照して、指定登録時点が有効開始日と有効期限の間にある利用者を取得することで、指定登録時点における業務システム470の利用者を取得する。
【0035】
配信依頼部113は、通達内容の宛先への送信をメールサーバ410に依頼する。配信依頼部113は、依頼する際に宛先(利用者や同報者)のタイムゾーンに合わせた時刻に、例えば始業時刻から所定時間経過後に、宛先に届くように依頼する。また配信依頼部113は、通達配信の依頼に確認期限の設定が含まれれば、当該確認期限の所定時間前に通達を再配信するように、メールサーバ410に依頼する。なお配信依頼部113は、従業員データベース330を参照して、宛先のメールアドレスを取得する。
【0036】
以上に説明したように配信システム10は、情報システム(業務システム470)の利用者識別情報(識別情報)と、有効開始日と、有効期限とが関連付けられているレコードが記憶される利用者データベース340を参照して、指定された過去、現在、または未来の時点である指定登録時点における情報システムの利用者である指定時点登録利用者の利用者識別情報である配信先を取得する配信先算出部112を備える。
また配信システム10は、利用者識別情報とメールアドレスとが関連付けられて記憶されるアドレスデータベース(従業員データベース330)を参照して、当該配信先に指定された配信情報の配信をメールサーバ410に依頼する配信依頼部113を備える。
【0037】
≪利用者改廃データベース生成処理≫
図10は、本実施形態に係る利用者改廃データベース生成処理のフローチャートである。
図10を参照しながら、業務システム470の利用者の新規登録(追加)、登録抹消(削除)、登録内容変更(変更)の申請に基づいて、利用者改廃データベース360を生成する処理を説明する。なお利用者改廃データベース生成処理は、日に1回実行されるものとする。また図面ではデータベースをDB(database)と記載する。例えば「利用者データベース」を「利用者DB」などと記載する。
【0038】
ステップS11において利用者更新部211は、申請ごとにステップS12~S16を繰り返す処理を開始する。
ステップS12において利用者更新部211は、申請の種別が新規登録であれば(ステップS12→新規登録)ステップS13に進み、登録内容変更または登録抹消であれば(ステップS12→変更/抹消)ステップS14に進む。
【0039】
ステップS13において利用者更新部211は、申請にある新規登録する従業員が従業員データベース330(
図3参照)にあり、利用者データベース340(
図4参照)になければ確認結果をOKとし、なければ確認結果をNGとする。
ステップS14において利用者更新部211は、申請にある登録内容を変更する利用者、または登録抹消する利用者が利用者データベース340(
図4参照)にあれば確認結果をOKとし、なければ確認結果をNGとする。
【0040】
ステップS15において利用者更新部211は、ステップS13,S14の確認結果がOKであれば(ステップS15→OK)ステップS16に進む。利用者更新部211は、確認結果がNGであれば(ステップS15→NG)ステップS12に戻って次の申請を処理する。
【0041】
ステップS16において利用者更新部211は、申請内容を利用者改廃データベース360(
図6参照)に追加する。詳しく説明すると利用者更新部211は、申請が新規登録であれば、区分が「追加」であり、識別情報が申請にある識別情報であって、他の属性については従業員データベース330にある属性値であるレコードを追加する。利用者更新部211は申請が変更であれば、区分が「変更」であり、識別情報が申請にある識別情報であって、他の属性については申請に含まれる内容のレコードを追加する。利用者更新部211は申請が登録抹消であれば、区分が「削除」であり、識別情報が申請にある識別情報であるレコードを追加する。
なお有効開始日ついては、申請に登録が有効となる日の指定があれば当該日を有効開始日とし、なければ利用者改廃データベース生成処理の実行日(処理の実行当日)を有効開始日とする。
【0042】
≪利用者データベース更新処理≫
図11は、本実施形態に係る利用者データベース更新処理のフローチャートである。なお利用者データベース更新処理は、利用者改廃データベース生成処理に続いて実行されるものとする。
【0043】
ステップS21において利用者更新部211は、利用者改廃データベース360のレコードごとにステップS22~S25を繰り返す処理を開始する。以下では、この繰り返す処理の対象となる利用者改廃データベース360のレコードを対象レコードと記す。
ステップS22において利用者更新部211は、対象レコードの区分が「追加」ならば(ステップS22→追加)ステップS24に進み、「変更」または「削除」ならば(ステップS22→変更/削除)ステップS23に進む。
【0044】
ステップS23において利用者更新部211は、対象レコードの有効開始日が実行日ならば(ステップS23→YES)ステップS24に進み、実行日でなければ(ステップS23→NO)ステップS22に戻り、次の利用者改廃データベース360のレコードを対象レコードとして処理を行う。
【0045】
ステップS24において利用者更新部211は、対象レコードに基づいて利用者データベース340を更新する。詳しく説明すると対象レコードの区分が「追加」ならば利用者更新部211は、対象レコードにある内容のレコードを利用者データベース340に追加する。対象レコードの区分が「変更」ならば利用者更新部211は、対象レコードの識別情報と同じ識別情報である利用者データベース340のレコードの内容を、対象レコードにある内容に更新する。また対象レコードの区分が「削除」ならば利用者更新部211は、対象レコードの識別情報と同じ識別情報である利用者データベース340のレコードの有効期限を実行日またはその前日に変更する。
【0046】
ステップS25において利用者更新部211は、ステップS24で実行した更新の内容を対象レコードの識別情報や更新日(実行日)とともに更新履歴データベース370(
図7参照)に格納する。
【0047】
≪配信先データベース更新処理≫
図12は、本実施形態に係る配信先データベース更新処理のフローチャートである。なお配信先データベース更新処理は、利用者データベース更新処理に続いて実行されるものとする。
【0048】
ステップS31において通達配信先更新部212は、利用者改廃データベース360のレコードごとにステップS32~S35を繰り返す処理を開始する。以下では、この繰り返す処理の対象となる利用者改廃データベース360のレコードを対象レコードと記す。
ステップS32において通達配信先更新部212は、対象レコードの区分が「追加」ならば(ステップS32→追加)ステップS35に進み、「変更」または「削除」ならば(ステップS32→変更/削除)ステップS33に進む。
【0049】
ステップS33において通達配信先更新部212は、対象レコードの有効開始日が月末ならば(ステップS33→YES)ステップS34に進み、月末でなければ(ステップS33→NO)ステップS35に進む。
ステップS34において通達配信先更新部212は、実行日が所定日ならば(ステップS34→YES)ステップS35に進み、所定日でなければ(ステップS34→NO)ステップS32に戻り、次の利用者改廃データベース360のレコードを対象レコードとして処理を行う。所定日とは、例えば月初めの5営業日目となる日である。
【0050】
ステップS35において通達配信先更新部212は、対象レコードに基づいて配信先データベース350を更新する。詳しく説明すると対象レコードの区分が「追加」ならば通達配信先更新部212は、配信先データベース350(
図5参照)に新規レコードを追加する。新規レコードの識別情報は対象レコードの識別情報であって、全種別の通達を配信し、同報者はなしとする。対象レコードの区分が「変更」ならば通達配信先更新部212は、配信先データベース350を更新しない。
【0051】
図11記載の利用者データベース更新処理のステップS23において、有効開始日が実行日(実行当日)でないレコードについての利用者データベース340の更新は実行されず、後日実行されることになる。利用者更新部211は、利用者改廃データベース360のレコードそれぞれについて、1回ずつ利用者データベース340を更新するように(例えば同じレコードを2度追加はしない)利用者データベース更新処理を実行する。
【0052】
図12記載の配信先データベース更新処理についても同様である。ステップS34において実行日が所定日でないレコードについての配信先データベース350の更新は実行されず、後日実行されることになる。通達配信先更新部212は、利用者改廃データベース360のレコードそれぞれについて、1回ずつ配信先データベース350を更新するように配信先データベース更新処理を実行する。
【0053】
≪配信処理≫
図13および
図14は、本実施形態に係る配信処理のフローチャートである。
図13および
図14を参照しながら、受付部111が運用者端末420からの通達配信の依頼を受け付けた後の処理を説明する。この依頼には、通達種別と通達内容と指定登録時点と配信先の会社コードが含まれるものとする。
【0054】
ステップS41において配信先算出部112は、配信先となる従業員(利用者や同報者)の識別情報を含む変数である配信先を空にする。
ステップS42において配信先算出部112は、配信先データベース350(
図5参照)を参照して配信先の利用者の識別情報を取得する。詳しく説明すると配信先算出部112は、配信先データベース350の種別で、通達配信の依頼に含まれる通達種別が「〇」となっているレコードの識別情報を取得する。
【0055】
ステップS43において配信先算出部112は、ステップS42で取得した識別情報ごとにステップS44~S50を繰り返す処理を開始する。以下、この繰り返す処理の処理対象となる識別情報を対象識別情報と記す。
ステップS44において配信先算出部112は、指定登録時点が過去ならば(ステップS44→過去)ステップS45に進み、現在ならば(ステップS44→現在)ステップS46に進み、未来ならば(ステップS44→未来)ステップS47に進む。
【0056】
ステップS45において配信先算出部112は、先ず対象識別情報に係る変数である確認をNGとする。配信先算出部112は、利用者データベース340(
図4参照)のレコードのなかで識別情報が対象識別情報であるレコードを検索する。配信先算出部112は、当該レコードがあり、当該レコードの有効開始日が指定登録時点以前または同日であり、かつ有効期限が指定登録時点以降または同日であれば、確認変数をOKとする。配信先算出部112は、当該レコードがあり、当該レコードの有効開始日が指定登録時点以降であれば、確認変数をNGとする。
【0057】
続いて配信先算出部112は、更新履歴データベース370(
図7参照)のレコードのなかで識別情報が対象識別情報であるレコードを検索する。配信先算出部112は、項目が「有効期限」であり、更新日が指定登録時点以前または同日であるレコードがあれば、確認変数をOKとする。配信先算出部112は、項目が「会社コード」であり、更新日が指定登録時点以前または同日であるレコードがあれば、利用者データベース340にある対象識別情報で示される利用者の会社コードを更新履歴データベース370の検索結果のレコードにある更新後の値で更新した情報を、対象識別情報で示される利用者の会社コードとして保持する。
【0058】
ステップS46において配信先算出部112は、先ず対象識別情報に係る変数である確認をNGとする。配信先算出部112は、利用者データベース340のレコードのなかで識別情報が対象識別情報であるレコードを検索する。配信先算出部112は、当該レコードがあり、当該レコードの有効開始日が実行日以前または同日であり、かつ有効期限が指定登録時点以降または同日であれば、確認変数をOKとする。配信先算出部112は、当該レコードがあり、当該レコードの有効開始日が現在以降(未来の有効日)または有効期限が過去日であれば、確認変数をNGとする。配信先算出部112は、利用者データベース340にある対象識別情報の会社コードを、対象識別情報で示される利用者の会社コードとして保持する。
【0059】
ステップS47において配信先算出部112は、先ず対象識別情報に係る変数である確認をNGとする。配信先算出部112は、利用者データベース340のレコードのなかで識別情報が対象識別情報であるレコードを検索する。配信先算出部112は、当該レコードがあり、当該レコードの有効開始日が指定登録時点以前または同日であれば、確認変数をOKとする。配信先算出部112は、当該レコードがあり、当該レコードの有効開始日が指定登録時点以降であれば、確認変数をNGとする。次に配信先算出部112は利用者改廃データベース360(
図6参照)のレコードのなかで識別情報が対象識別情報であるレコードを検索する。区分が「削除」で有効開始日が指定登録時点以前または同日であるレコードがあれば、確認変数をNGとする。配信先算出部112は、区分が「追加」で有効開始日が指定登録時点以前または同日であるレコードがあれば、確認変数をOKとする。配信先算出部112は、区分が「変更」で、有効開始日が指定登録時点以前または同日であるレコードがあり、会社コードが利用者データベース340と異なる場合には、利用者データベース340にある対象識別情報で示される利用者の会社コードを利用者改廃データベース360の検索結果のレコードにある値で更新した情報を、対象識別情報で示される利用者の会社コードとして保持する。
【0060】
ステップS48において配信先算出部112は、確認変数がOKであれば(ステップS48→OK)ステップS49に進み、NGであれば(ステップS48→NG)ステップS44に戻って次の対象識別情報を処理する。
ステップS49において配信先算出部112は、保持している対象識別情報の会社コードが依頼の配信先に含まれれば(ステップS49→YES)ステップS50に進み、含まれなければ(ステップS49→NO)ステップS44に戻って次の対象識別情報を処理する。
ステップS50において配信先算出部112は、対象識別情報と、配信先データベース350のレコードで識別情報が対象識別情報であるレコードの同報者の識別情報とを配信先に追加する。
【0061】
図14に移ってステップS51において配信依頼部113は、配信先にある識別情報を識別情報が示す従業員の所属する会社ごとに分割する。なお識別情報が示す従業員の所属する会社は、ステップS45,S47で更新した会社コードを参照することにより取得することができる。
ステップS52において配信依頼部113は、ステップS51で分割された識別情報ごとにステップS53~S55を繰り返す処理を開始する。
【0062】
ステップS53において配信依頼部113は、所属会社のタイムゾーンに合わせて、識別情報に対応するメールアドレスへ通達内容を配信するように、メールサーバ410に依頼する。識別情報に対応するメールアドレスは、従業員データベース330を参照すれば取得することができる。所属会社のタイムゾーンに合わせるとは、例えば午前10時など就業時間内に配信するということである。
【0063】
ステップS54において配信依頼部113は、通達に確認期限があるならば(ステップS54→YES)ステップS55に進み、なければ(ステップS54→NO)ステップS53に戻って次の分割された識別情報について処理する。
ステップS55において配信依頼部113は、ステップS53で送信を依頼した通達について、確認期限の所定日前に通達内容を再配信するように、メールサーバ410に依頼する。
【0064】
以上に説明したように(ステップS47参照)配信先算出部112は、指定登録時点が未来である場合には、利用者改廃データベース360に、区分が追加であるとともに、有効開始日が当該指定登録時点より過去であるレコードがあれば、当該レコードの利用者識別情報を配信先にさらに含める。
【0065】
以上に説明したように(ステップS49参照)配信先算出部112は、指定された配信先の会社コードに限定して利用者識別情報を取得して配信先とする。
配信先算出部112は、指定登録時点が過去である場合には、更新履歴データベース370に項目が会社コードであり、かつ更新日が当該指定登録時点より過去であるレコードがあれば、利用者データベース340に含まれる会社コードに替えて当該レコードの更新後値である会社コードを参照し、利用者識別情報を取得して配信先とする。
【0066】
≪配信システムの特徴≫
配信システム10によれば、現在だけではなく過去や未来の時点(指定登録時点)での利用者にも通達を配信することができる。例えば過去のある時点での利用者に対する依頼や、未来に利用者となる予定の人への通知を送信することができるようになる。また配信システム10によれば、通達の配信先となる従業員が属する所属会社がある地域のタイムゾーンに合わせて通達が配信される。例えば午前10時など始業時間直後の忙しい時間帯を避けて通達が配信され、受信した従業員が通達を読む確率を高めることが可能となる。
【0067】
≪変形例:配信時刻≫
上記した実施形態において従業員のタイムゾーンは、所属する会社がある所在地のタイムゾーンであった。グローバル企業では従業員の勤務地が散らばっておりタイムゾーンが1つに限らない場合がある。このような場合を考慮して従業員データベース330は、従業員の勤務地または居住地のタイムゾーンであってもよい。このタイムゾーンを考慮して、勤務時間(例えば午前9時から午後5時まで)内、または、勤務開始から所定時間経過後に通達を配信するように、配信依頼部113はメールサーバ410に依頼してもよい。また従業員データベース330に勤務時間が含まれており、この勤務時間内、または、勤務開始から所定時間経過後に通達を配信するように、配信依頼部113はメールサーバ410に依頼してもよい。
【0068】
以上に説明したように配信依頼部113は、利用者識別情報(識別情報)と、当該利用者識別情報で識別される利用者の勤務地のタイムゾーンとが関連付けられて記憶される従業員データベース330を参照して、当該利用者の勤務時間内に配信情報を配信するようにメールサーバ410に依頼する。
【0069】
≪その他変形例≫
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。上記した実施形態において配信先は業務システム470の利用者や当該業務システム470が利用される会社の従業員であった。組織の業務システム470に限らず、例えば一般消費者向けの会員制Webサイトのような組織に属さない利用者向けのサービスを提供する情報システムにおいて、過去、現在または未来の会員向けの情報提供に配信システム10が用いられてもよい。また上記した実施形態における通達の配信手段はメールであったが、この一般消費者向けの情報システムでは、ショートメッセージやチャットなどのメールとは異なる連絡または通知手段を用いてもよい。
【0070】
本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10 配信システム
100 通達配信サーバ
111 受付部
112 配信先算出部
113 配信依頼部
200 管理装置
211 利用者更新部
212 通達配信先更新部
300 データベースサーバ
330 従業員データベース(アドレスデータベース)
340 利用者データベース
350 配信先データベース
360 利用者改廃データベース
370 更新履歴データベース
410 メールサーバ
420 運用者端末
430 利用者端末
470 業務システム(情報システム)
480 ネットワーク