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特開2024-122354情報処理システム、情報処理方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122354
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240902BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240902BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G01N21/17 A
G06F11/34 147
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029857
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】尾島 隆信
(72)【発明者】
【氏名】梶田 大介
(72)【発明者】
【氏名】小坂 翔太
【テーマコード(参考)】
2G059
5B042
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB15
2G059EE02
2G059FF01
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM05
2G059PP04
5B042JJ06
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC08
5L096AA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA37
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【解決手段】
情報処理システム10は、電子部品が撮影された画像と、電子部品の特性を計測した計測値とを取得する取得部11と、取得部11が取得した画像から、電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出する算出部12と、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、取得部11が取得した計測値を用いて更新し、更新したモデル式に算出部12が算出した特徴量を入力することで電子部品の将来の特性の予測値を算出する予測部13と、予測部13による予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する表示部14とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が撮影された画像と、前記電子部品の特性を計測した計測値とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記画像から、前記電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出する算出部と、
学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、前記学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、前記取得部が取得した前記計測値を用いて更新し、更新した前記モデル式に前記算出部が算出した前記特徴量を入力することで前記電子部品の将来の特性の予測値を算出する予測部と、
前記予測部による前記予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する出力部とを備える
情報処理システム。
【請求項2】
前記予測情報は、前記予測部が算出した前記予測値の時系列データを含む
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記出力部は、前記電子部品の特性を計測した計測値と、前記予測情報に含まれる前記予測値の時系列データとを、共通の時間軸を用いてプロットしたグラフとして表示することで、出力する
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記モデル式は、初期状態における前記電子部品の特性を基準として、前記電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式である
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記取得部は、前記計測値として、制御された環境において前記電子部品の特性を計測した計測値を取得し、
前記予測部は、前記予測値を算出する際には、
前記モデル式として、前記環境における前記電子部品の特性の推移を算出するモデル式を用いて、前記環境における前記電子部品の将来の特性の予測値を算出する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記環境は、温度および湿度の少なくとも一方が所定値をとるように制御された環境である
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記予測情報は、前記算出部が算出した特徴量のうち、前記電子部品の特性の劣化に関連している特徴量を特定する情報を含む
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記予測部は、さらに、
前記モデル式が出力する電子部品の特性の推移と、前記取得部が取得した前記計測値との差異を示す予測誤差を算出し、
前記出力部は、さらに、
前記予測部が算出した前記予測誤差が基準値未満である状態が一定期間継続している場合には、前記電子部品の特性の計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージを出力し、
前記情報処理システムは、さらに、
前記メッセージに対するユーザの操作を受け付ける受付部を備え、
前記出力部は、さらに、
前記電子部品の特性の計測を継続することを示す操作を前記受付部が受け付けた場合には、前記電子部品の特性の計測を継続することを通知するメッセージを出力し、
前記電子部品の特性の計測を継続しないことを示す操作を前記受付部が受け付けた場合には、前記電子部品の特性の計測を中断することを通知するメッセージを出力する
請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
電子部品が撮影された画像と、前記電子部品の特性を計測した計測値とを取得し、
取得した前記画像から、前記電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出し、
学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、前記学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、取得した前記計測値を用いて更新し、更新した前記モデル式に、算出した前記特徴量を入力することで前記電子部品の将来の特性の予測値を算出し、
前記予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する
情報処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の高信頼性が求められている。従来、電子部品の寿命診断方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-165822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電子部品の寿命の診断に比較的長い時間を要するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する情報処理システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、電子部品が撮影された画像と、前記電子部品の特性を計測した計測値とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記画像から、前記電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出する算出部と、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、前記学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、前記取得部が取得した前記計測値を用いて更新し、更新した前記モデル式に前記算出部が算出した前記特徴量を入力することで前記電子部品の将来の特性の予測値を算出する予測部と、前記予測部による前記予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する出力部とを備える情報処理システムである。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態における情報処理システムの構成を示す模式図である。
図2】実施の形態における情報処理システムの処理を示すフロー図である。
図3】実施の形態における電子部品が撮影された画像の例を示す説明図である。
図4】実施の形態における画像の特徴量の例を示す説明図である。
図5】実施の形態における情報処理システムによる予測推移の更新の例を示す第一の説明図である。
図6】実施の形態における情報処理システムによる予測推移の更新の例を示す第二の説明図である。
図7】実施の形態における情報処理システムによる予測推移の更新の例を示す第三の説明図である。
図8】実施の形態における情報処理システムによる予測推移の更新の例を示す第四の説明図である。
図9】実施の形態における情報処理システムによる予測推移の更新の例を示す第五の説明図である。
図10】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第一例を示す説明図である。
図11】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第二例を示す説明図である。
図12】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第三例を示す説明図である。
図13】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第四例を示す説明図である。
図14】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第五例を示す説明図である。
図15】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第六例を示す説明図である。
図16】実施の形態における情報処理システムが表示する画像の第七例を示す説明図である。
図17】実施の形態におけるモデル式を生成する情報処理システムの構成を示す模式図である。
図18】実施の形態におけるモデル式を生成する情報処理システムの処理を示すフロー図である。
図19】実施の形態の変形例における情報処理システムの構成を示す模式図である。
図20】実施の形態の変形例における情報処理システムによる進捗の提示を示す第一の説明図である。
図21】実施の形態の変形例における情報処理システムによる進捗の提示を示す第二の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、電子部品の信頼性の算定に関する技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
電子部品の高信頼性が求められている。電子部品は、例えば、データセンター、または、携帯電話の基地局などの通信設備などに用いられている。
【0012】
従来、電子部品の寿命診断方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0013】
特許文献1に示される電子部品の寿命診断方法では、電子部品に対して加速劣化試験を施し、加速劣化試験の途中で所定時間毎に取り出した部品について、電子部品の余寿命推定を実現する。余寿命推定では、劣化を示す特徴量が測定され、その時系列変化が導出される。次に、所定時間毎に故障と判定された部品の特徴量が測定され、特徴量に対する故障確率密度分布が導出される。導出された故障確率密度分布が診断DB(データベース)に保存される。そして、診断時に計測された特徴量に基づいて加速係数が導出され、余寿命が推定される。
【0014】
しかしながら、上記寿命診断方法では、所定時間毎に部品が取り出されて特徴量が測定されるので、電子部品の寿命の診断に比較的長い時間を要するという問題がある。
【0015】
そこで、本発明は、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する情報処理システム等を提供する。
【0016】
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、その発明から得られる効果等を説明する。
【0017】
(1)電子部品が撮影された画像と、前記電子部品の特性を計測した計測値とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記画像から、前記電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出する算出部と、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、前記学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、前記取得部が取得した前記計測値を用いて更新し、更新した前記モデル式を用いて前記電子部品の将来の特性の予測値を算出する予測部と、前記予測部による前記予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する出力部とを備える、情報処理システム。
【0018】
上記態様によれば、情報処理システムは、電子部品が撮影された画像と計測値とを用いてモデル式を更新して、電子部品の将来の予測値を算出するので、より高い精度で電子部品の特性の予測値を算出し、予測情報を出力する。ユーザは、出力された予測情報に基づいて、より早い時点で電子部品の信頼性を算定することができる。よって、情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0019】
(2)前記予測情報は、前記予測部が算出した前記予測値の時系列データを含む、(1)に記載の情報処理システム。
【0020】
上記態様によれば、情報処理システムは、予測値の時系列データを出力する。ユーザは、出力された予測値の時系列データに基づいて、予測値の推移を知ることができるので、より早い時点で電子部品の信頼性を算定することができる。よって、情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に、より一層寄与する。
【0021】
(3)前記出力部は、前記電子部品の特性を計測した計測値と、前記予測情報に含まれる前記予測値の時系列データとを、共通の時間軸を用いてプロットしたグラフとして表示することで、出力する、(2)に記載の情報処理システム。
【0022】
上記態様によれば、情報処理システムは、計測値と予測値とが共通の時間軸に対してプロットされたグラフを表示する。ユーザは、表示されたグラフを視認することで、より直感的に、予測値の推移を知ることができる。よって、情報処理システムは、より容易に、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0023】
(4)前記モデル式は、初期状態における前記電子部品の特性を基準として、前記電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式である、(1)~(3)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0024】
上記態様によれば、情報処理システムは、初期状態における電子部品の特性を基準として、その基準からの特性の推移をモデル式を用いて算出する。ユーザは、初期状態における電子部品の特性からの相対値として予測値の推移を知ることができるので、予測値の推移をより直感的に知ることができる。よって、情報処理システムは、より容易に、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0025】
(5)前記取得部は、前記計測値として、制御された環境において前記電子部品の特性を計測した計測値を取得し、前記予測部は、前記予測値を算出する際には、前記モデル式として、前記環境における前記電子部品の特性の推移を算出するモデル式を用いて、前記環境における前記電子部品の将来の特性の予測値を算出する、(1)~(4)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0026】
上記態様によれば、情報処理システムは、制御された環境での電子部品の特性の計測値を用いてモデル式を更新して予測値を算出して予測情報を出力する。ユーザは、出力された予測情報に基づいて、より早い時点で、制御された環境での電子部品の信頼性を算定することができる。よって、情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0027】
(6)前記環境は、温度および湿度の少なくとも一方が所定値をとるように制御された環境である、(5)に記載の情報処理システム。
【0028】
上記態様によれば、情報処理システムは、制御された環境として、温度および湿度の少なくとも一方が制御された環境での電子部品の特性の計測値を用いてモデル式を更新して予測値を算出して予測情報を出力する。ユーザは、出力された予測情報に基づいて、より早い時点で、温度および湿度の少なくとも一方が制御された環境での電子部品の信頼性を算定することができる。よって、情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0029】
(7)前記予測情報は、前記算出部が算出した特徴量のうち、前記電子部品の特性の劣化に関連している特徴量を特定する情報を含む、(1)~(6)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0030】
上記態様によれば、情報処理システムは、電子部品の特性の劣化に関連している特徴量を特定する情報を出力するので、ユーザは、電子部品の特性の劣化の要因の少なくとも一部を知ることができる。ユーザは、その電子部品の特性の劣化の要因を考慮して、より早い時点で電子部品の信頼性を算定することができる。よって、情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0031】
(8)前記予測部は、さらに、前記モデル式が出力する電子部品の特性の推移と、前記取得部が取得した前記計測値との差異を示す予測誤差を算出し、前記出力部は、さらに、前記予測部が算出した前記予測誤差が基準値未満である状態が一定期間継続している場合には、前記電子部品の特性の計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージを出力し、前記情報処理システムは、さらに、前記メッセージに対するユーザの操作を受け付ける受付部を備え、前記出力部は、さらに、前記電子部品の特性の計測を継続することを示す操作を前記受付部が受け付けた場合には、前記電子部品の特性の計測を継続することを通知するメッセージを出力し、前記電子部品の特性の計測を継続しないことを示す操作を前記受付部が受け付けた場合には、前記電子部品の特性の計測を中断することを通知するメッセージを出力する、(1)~(7)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0032】
上記態様によれば、情報処理システムは、電子部品の特性の計測を継続することを示す操作、または、継続しないことを示す操作をユーザから受け付けるので、ユーザの判断に従って、電子部品の特性の計測を継続または中断することができ、また、その継続または中止をユーザに知らせることができる。これにより、ユーザは、計測の継続または中断を、明確に知ることができる。よって、情報処理システムは、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する。
【0033】
(9)電子部品が撮影された画像と、前記電子部品の特性を計測した計測値とを取得し、取得した前記画像から、前記電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出し、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、前記学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、取得した前記計測値を用いて更新することで、前記電子部品の将来の特性の予測値を算出し、前記予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する、情報処理方法。
【0034】
上記態様によれば、上記情報処理システムと同様の効果を奏する。
【0035】
(10)(9)に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【0036】
上記態様によれば、上記情報処理システムと同様の効果を奏する。
【0037】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0038】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0039】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0040】
(実施の形態)
本実施の形態において、電子部品の信頼性の算定に要する時間の短縮に寄与する情報処理システム等について説明する。
【0041】
図1は、本実施の形態における情報処理システム10の構成を示す模式図である。情報処理システム10は、電子部品の信頼性を評価するシステムである。電子部品は、例えば、コンデンサまたは抵抗素子などである。電子部品は、最終製品に限定されず、製造における途中工程品であってもよい。
【0042】
情報処理システム10の評価の対象である電子部品は、特性の変化と、外観の変化とに相関がある電子部品であり得る。電子部品の特性の変化には、電子部品の特性の劣化が含まれる。例えば、情報処理システム10の評価の対象である電子部品は、その外観の欠陥の度合い(色味または形状の変化の大きさ)に応じた度合いで、その特性が劣化しているという特徴を有する電子部品であり得る。電子部品の外観の欠陥は、例えば、厚みのムラ、凹凸、または、微小なクラック等を含む。
【0043】
図1に示されるように、情報処理システム10は、機能部として、取得部11と、算出部12と、予測部13と、表示部14と、受付部15とを備える。取得部11と、算出部12と、予測部13と、表示部14と、受付部15との一部または全部の機能は、情報処理システム10が備える1以上のプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))(不図示)が1以上のメモリ(不図示)を用いて所定のプログラムを実行することで実現される。
【0044】
なお、情報処理システム10は、1つの装置で実現されてもよいし、互いに通信可能に接続された複数の装置で実現されてもよい。
【0045】
取得部11は、情報処理システム10の評価の対象である電子部品が撮影された画像を取得してメモリに格納する。取得部11が取得する画像は、例えば、赤、緑および青の3波長それぞれの画素値を有する画像であるが、波長の個数は、3に限られず、3より少なくてもよいし、多くてもよい。波長は、可視光領域だけでなく、赤外線領域または紫外線領域であってもよい。また、取得部11が取得する画像は、より多くの波長で撮影できるマルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラによって撮影された画像であってもよい。
【0046】
取得部11は、例えば、カメラを有しており、カメラを用いて電子部品を撮影することで上記画像を取得してもよい。また、取得部11は、例えば、通信インタフェースを有し、通信インタフェースを介して他の装置から上記画像を取得してもよい。
【0047】
また、取得部11は、情報処理システム10の評価の対象である電子部品の特性を計測した計測値を取得する。電子部品の特性は、電子部品がコンデンサの場合には静電容量、等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)、または等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)等である。以降では、電子部品の特性が、コンデンサの静電容量である場合を例として説明する。電子部品の特性の計測は、例えば、制御された環境において電子部品の特性を計測することであり得る。なお、電子部品の特性は、電子部品が抵抗素子の場合には抵抗値であり得る。
【0048】
制御された環境は、温度および湿度の少なくとも一方が所定値をとるように制御された環境であり得る。温度および湿度の少なくとも一方が所定値をとるように制御された環境の例は、温度および湿度の少なくとも一方が一定であるように制御された環境である。温度および湿度の少なくとも一方が所定値をとるように制御された環境の別の例は、温度および湿度の少なくとも一方が比較的高い値と比較的低い値とを繰り返すように制御された環境(いわゆる温度サイクル試験または湿度サイクル試験の環境)である。温度および湿度の少なくとも一方が所定値をとるように制御された環境は、例えば、恒温槽または恒温恒湿槽によって実現される。
【0049】
電子部品は、一般に、長期にわたって特性値を維持することを保証するため、市場で使用される環境を想定して、温度または湿度などのストレスを負荷した環境での信頼性試験が行われる。そのため、一般に、電子部品の品質(具体的には信頼性)の評価として、制御された環境での電子部品の特性の評価が用いられることがある。
【0050】
算出部12は、取得部11が取得した画像から、電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出する。特徴量は、例えば、取得部11が取得した画像に含まれている画素値のヒストグラムにおいて、度数の1以上のピークそれぞれに対応する画素値である。算出部12は、算出した特徴量をメモリに格納する。なお、電子部品の外観の表面の状態を表す特徴量は、ヒストグラムなど1次統計量に限定されず、例えば2次統計量(同時生起行列など)が用いられてもよい。
【0051】
予測部13は、電子部品の将来の特性の予測値をモデル式131を用いて算出する。予測部13は、電子部品の将来の特性の予測値を算出する際には、予めメモリ内に保有しているモデル式131を、取得部11が取得した計測値を用いて更新し、更新したモデル式131に算出部12が算出した特徴量を入力することで電子部品の将来の特性の予測値を算出する。予測部13は、算出した予測値をメモリに格納する。
【0052】
モデル式131は、電子部品の外観の特徴を示す特徴量が入力された場合に、その電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式である。より具体的には、モデル式131は、初期状態における電子部品の特性を基準として、電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式である。電子部品の特性の推移を予測推移ともいう。モデル式131は、例えば、時間を変数とする多項式により表現されるが、これに限られない。
【0053】
モデル式131は、更新されると、学習用電子部品の特性の推移として、更新後の特性の推移を出力する。電子部品の特性の推移は、言い換えれば、電子部品の特性の時間的変化であり、初期状態以降の時刻ごとの電子部品の特性である。
【0054】
モデル式131の更新は、予測誤差を小さくするようになされる。予測誤差は、モデル式131が出力する電子部品の特性の推移(つまり予測推移)と、取得部11が取得した計測値との差異を示す。
【0055】
予測部13は、予測推移に含まれる予測値と、取得部11が取得した計測値とを用いて、下記(式1)により予測誤差Eを算出する。(式1)において、yは計測値であり、zは予測値であり、Nは、計測値または予測値の個数である。
【0056】
【数1】
【0057】
モデル式131の生成には、制御された環境において計測された計測値(つまり、電子部品の特性の推移)が用いられ得る。その場合、予測部13は、モデル式131を用いて、制限された環境における電子部品の将来の特性の予測値を算出することができる。モデル式131の生成方法については、後で詳しく説明する。
【0058】
なお、モデル式131は、1以上のモデル式が含まれ得る。1以上のモデル式のそれぞれは、1以上の電子部品それぞれごとに生成されたモデル式を含み、また、制御されたさまざまな環境それぞれごとに生成されたモデル式である。制御されたさまざまな環境は、さまざまな温度を有する環境、または、さまざまな湿度を有する環境を含む。モデル式131が複数のモデル式を含む場合、予測部13は、複数のモデル式のうちから、情報処理システム10による評価の対象である電子部品についてのモデル式であって、取得部11が取得した計測値が計測された環境と同一または類似の環境に対応するモデル式を選択して用いる。類似の環境は、例えば、取得部11が取得した計測値が計測された環境の温度または湿度との差異が10%程度以内である環境であり得る。
【0059】
なお、モデル式131は、複数の、時間区間ごとのモデル式を含んでいてもよい。上記時間区間は、時間軸を複数の時間区間に分割した場合の、その時間区間である。時間区間ごとのモデル式は、例えば、各時間区間において時間を変数とする多項式を含む、区分的多項式であり得る。
【0060】
表示部14は、予測部13による予測値の算出に関連した情報である予測情報を表示することで出力する。表示部14は、具体的には、表示画面を有し、予測情報を含む画像を表示画面に表示することで出力する。予測情報は、予測部13が算出した、電子部品の将来の特性の予測値の時系列データを含み得る。
【0061】
また、表示部14は、予測情報を出力するときには、電子部品の特性を計測した計測値と、予測情報に含まれる予測値の時系列データとを、共通の時間軸を用いてプロットしたグラフとして表示することで、出力してもよい(後述する図10図14に示されるグラフに相当)。
【0062】
また、予測情報は、算出部12が算出した特徴量のうち、電子部品の特性の劣化に関連している特徴量を特定する情報を含んでいてもよい。予測部13による予測に影響をおよぼした特徴量は、例えば、電子部品の画像部分の画素値のヒストグラムにおける、度数の1以上のピークのうちの所定のピークに対応する画素値である(後述する図15に示される画素値V1に相当)。また、予測部13による予測に影響をおよぼした特徴量の別の例は、電子部品が撮影された画像において、上記画素値を有する領域を特定する画像である(後述する図16に示される画像62に相当)。
【0063】
なお、表示部14は、予測部13による予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する出力部の一例である。出力部は、表示部14と異なる例として、予測情報を通信回線を介して他の装置に送信してもよい。この場合、予測情報を受信した装置は、その予測情報を表示画面に表示してもよい。
【0064】
また、表示部14は、電子部品の特性の計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージを表示することで出力してもよい。上記メッセージの表示は、予測部13が算出した予測誤差が基準値未満である状態が一定期間継続している場合になされ得る。上記メッセージを表示した場合、表示したメッセージに対するユーザによる操作がなされることが想定される。ユーザによる操作は、計測を継続することを指示する操作、または、継続をしないことを指示する操作を含み得る。ユーザによる操作は、受付部15により受け付けられる。なお、計測を継続することは、計測を中断しないことと同じ意味であり、計測を継続しないことは、計測を中断することと同じ意味である。
【0065】
そして、電子部品の特性の計測を継続することを指示する操作を受付部15が受け付けた場合には、表示部14は、電子部品の特性の計測を継続することを通知するメッセージを出力する。一方、電子部品の特性の計測を継続しないことを指示する操作を受付部15が受け付けた場合には、表示部14は、電子部品の特性の計測を中断することを通知するメッセージを出力することができる。
【0066】
受付部15は、ユーザによる操作を受け付ける。具体的には、受付部15は、表示部14が表示した、電子部品の特性の計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージに対するユーザの操作を受け付ける。受付部15は、タッチパネル、タッチパッド、キーボードまたはマウスなどの入力装置を少なくとも用いて実現され得る。
【0067】
以上のように構成された情報処理システム10の処理を説明する。
【0068】
図2は、本実施の形態における情報処理システム10の処理を示すフロー図である。
【0069】
ステップS101において、取得部11は、電子部品が撮影された画像を取得する。
【0070】
ステップS102において、算出部12は、ステップS101で取得した画像から特徴量を算出する。
【0071】
ステップS103において、取得部11は、電子部品の特性を計測した計測値を取得する。
【0072】
ステップS104において、予測部13は、ステップS103で取得した計測値を用いて、電子部品の将来の特性の予測値を算出する。このとき、予測部13は、メモリ内に保有しているモデル式を、ステップS103で取得部11が取得した計測値を用いて更新することで、電子部品の将来の特性の予測値を算出する。また、予測部13は、更新したモデル式が出力する電子部品の特性の推移と、ステップS103で取得した計測値とを用いて、モデル式の予測誤差を算出する。
【0073】
ステップS105において、表示部14は、計測値、予測値および予測誤差を表示する。表示部14が表示す計測値は、ステップS103で取得部11が取得した計測値である。また、表示部14が表示する予測値および予測誤差は、ステップS105で予測部13が算出した予測値および予測誤差である。
【0074】
ステップS106において、表示部14は、ステップS105で予測部13が算出した予測誤差が基準値未満である状態が一定期間継続しているか否かを判定する。予測誤差が基準値未満である状態が一定期間継続していると判定した場合(ステップS106でYes)には、ステップS107に進み、そうでない場合(ステップS106でNo)には、ステップS103を再び実行する。
【0075】
ステップS107において、表示部14は、計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージを表示する。
【0076】
ステップS108において、受付部15は、ステップS107で表示部14が表示したメッセージに対するユーザの操作を受け付ける。
【0077】
ステップS109において、表示部14は、ステップS108で受付部15が受け付けた操作が、計測を継続することを指示する操作であるか否かを判定する。計測を継続することを指示する操作であると判定した場合(ステップS109でYes)には、ステップS121に進み、そうでない場合(言い換えれば、計測を継続しないことを指示する操作、つまり、計測を中断することを指示する操作であると判定した場合)(ステップS109でNo)には、ステップS110に進む。
【0078】
ステップS110において、表示部14は、電子部品の特性の計測を中断することを通知するメッセージを表示する。ステップS110の処理を終えたら情報処理システム10は、図2に示される一連の処理を終了する。なお、ステップS110の処理は、実行されなくてもよい。
【0079】
ステップS121において、表示部14は、電子部品の特性の計測を継続することを通知するメッセージを表示する。ステップS121の処理を終えたら、ステップS103を再び実行する。なお、ステップS121の処理は、実行されなくてもよい。
【0080】
以降において、情報処理システム10の処理に用いられる情報、または、情報処理システム10の処理を詳細に説明する。
【0081】
図3は、本実施の形態における電子部品が撮影された画像の例を示す説明図である。
【0082】
図3に示される画像は、電子部品の外観がカメラによって撮影されることで生成された画像の例であり、取得部11が取得する画像の例である。
【0083】
図3において、電子部品の、紙面上の左上に位置する部分は濃い黒色を有していて、左上から右下に進むにつれて黒色の濃さが低減(言い換えれば、薄さが増加)している。
【0084】
図4は、本実施の形態における画像の特徴量の例を示す説明図である。
【0085】
図4には、特徴量の一例として、電子部品が撮影された画像に含まれる画素の画素値のヒストグラムにおける、ピークに対応する画素値が示されている。
【0086】
具体的には、算出部12は、電子部品が撮影された画像(例えば図3参照)に含まれる画素の画素値を計数することで、図4に示されるヒストグラムを生成する。そして、算出部12は、ヒストグラムにおける度数の2つのピークそれぞれに対応する画素値V1およびV2を、特徴量として特定する。このようにして、算出部12は、特徴量を算出する。
【0087】
図5図9は、本実施の形態における情報処理システム10による予測推移の更新の例を示す説明図である。図5図9を参照しながら、予測部13が実行する電子部品の特性の予測推移の更新、および、予測値の算出について説明する。
【0088】
図5は、本実施の形態における情報処理システム10による予測推移の更新の例を示す第一の説明図である。
【0089】
図5には、初期状態における電子部品の静電容量の予測推移P0と、特定値x0とが示されている。初期状態は、例えば、制限された環境において電子部品の特性の計測が開始される時点であり、計測値が得られる前の状態(言い換えれば、計測値がまだ得られていない状態)である。初期状態の時刻をt0とする。
【0090】
ここでは、モデル式131が、時間を変数とする1次式により静電容量を出力する場合を例として説明する。この場合、予測推移は、横軸を時刻、縦軸を静電容量とするグラフにおいて直線として示される。
【0091】
予測推移P0は、取得部11が取得した画像を用いて選択されたモデル式131により出力される予測推移である。
【0092】
特定値x0は、取得部11が取得した画像を用いて選択されたモデル式131により出力される、初期状態における静電容量である。特定値x0は、言い換えれば、予測推移P0上での時刻t0における予測値である。なお、特定値x0は、初期状態において計測された電子部品の計測値であってもよい。
【0093】
図6は、本実施の形態における情報処理システム10による予測推移の更新の例を示す第二の説明図である。
【0094】
図6には、予測推移P0と、特定値x0と、計測値y1と、予測値z1とが示されている。
【0095】
予測推移P0と特定値x0とは、図5におけるものと同じである。
【0096】
計測値y1は、取得部11が1回目に取得した電子部品の計測値である静電容量であり、時刻t1における電子部品の静電容量である。
【0097】
予測値z1は、予測推移P0上での時刻t1における予測値である。
【0098】
予測部13は、特定値x0と計測値y1とを用いてモデル式131を更新することができる。
【0099】
図7は、本実施の形態における情報処理システム10による予測推移の更新の例を示す第三の説明図である。
【0100】
図7には、予測推移P0およびP1と、特定値x0と、計測値y1と、予測値z1aとが示されている。
【0101】
予測推移P1と特定値x0と計測値y1とは、図6におけるものと同じである。
【0102】
予測推移P1は、予測部13が特定値x0と計測値y1とを用いてモデル式131を更新することより得た予測推移である。
【0103】
予測値z1aは、予測推移P1上での時刻t1における予測値である。
【0104】
図8は、本実施の形態における情報処理システム10による予測推移の更新の例を示す第四の説明図である。
【0105】
図8には、予測推移P1と、特定値x0と、計測値y1およびy2と、予測値z1aおよびz2とが示されている。
【0106】
予測推移P1と特定値x0と計測値y1と予測値z1aとは、図7におけるものと同じである。
【0107】
計測値y2は、取得部11が2回目に取得した電子部品の計測値である静電容量である。計測値y2は、時刻t2における電子部品の静電容量である。
【0108】
予測値z2は、予測推移P1上での時刻t2における予測値である。
【0109】
予測部13は、特定値x0と計測値y1およびy2とを用いてモデル式131を更新することができる。
【0110】
図9は、本実施の形態における情報処理システム10による予測推移の更新の例を示す第五の説明図である。
【0111】
図9には、予測推移P1およびP2と、特定値x0と、計測値y1およびy2と、予測値z1bおよびz2bとが示されている。
【0112】
予測推移P1と特定値x0と計測値y1およびy2とは、図8におけるものと同じである。
【0113】
予測推移P2は、予測部13が特定値x0と計測値y1およびy2とを用いてモデル式131を更新することより得た予測推移である。
【0114】
予測値z1bは、予測推移P2上での時刻t1における予測値である。
【0115】
予測値z2bは、予測推移P2上での時刻t2における予測値である。
【0116】
このようにして、予測部13は、取得部11が取得した計測値を取得するたびに、取得した計測値を用いてモデル式を更新する。そして、予測部13は、更新したモデル式を用いて電子部品の将来の特性の予測値(言い換えれば予測推移)を算出することができる。
【0117】
図10は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第一例を示す説明図である。図10に示される画像は、取得部11が時刻taにおける計測値を取得した後に、表示部14が表示する画像の一例である。
【0118】
図10には、静電容量の時間的変化を示すグラフ31と、予測誤差の時間的変化を示すグラフ32とを含む画像が示されている。
【0119】
グラフ31は、時刻を横軸とし、静電容量を縦軸として、時刻t0からtaまでの範囲での電子部品の静電容量の時間的変化を示している。時刻t0からtaまでの範囲には、静電容量の実測値が示されており、時刻ta以降にはモデル式131が出力する予測推移が示されている。グラフ31において、時刻t0から時刻taまでの範囲の静電容量の実測値と、時刻ta以降の予測推移とは、共通の時間軸を用いてプロットされている。取得部11が新たな計測値を取得するごとに、グラフ31に表示される計測値が増える。
【0120】
また、グラフ31には、静電容量の基準値が示されている。静電容量の基準値は、電子部品についての静電容量の適正値の目安を示す値であり得る。例えば、静電容量が基準値以上である電子部品は正常であると判定され、静電容量が基準値未満である電子部品は異常であると判定されることがある。
【0121】
グラフ32は、時刻を横軸とし、予測誤差を縦軸として、時刻t0からtaまでの範囲での予測部13が算出した予測誤差の時間的変化を示している。取得部11が新たな計測値を取得するごとに、新たな計測値に対応した予測誤差がグラフ32に表示される。
【0122】
また、グラフ32には、予測誤差の基準値が示されている。予測誤差の基準値は、予測推移と計測値との乖離の大小の判断基準を示す値であり得る。
【0123】
一般に、予測誤差は、電子部品の評価の当初には比較的大きな値をとり、時間が経過するにつれて小さくなる傾向を有する。例えば、予測誤差が基準値未満である状態は、予測推移と計測値との乖離が比較的小さいことから、電子部品の評価における計測値が予測推移に十分収束している状態に相当する。また、例えば、予測誤差が基準値以上である状態は、予測推移と計測値との乖離が比較的大きいことから、計測値が予測推移から逸脱しており、電子部品の評価における計測値の収束がまだなされていない状態に相当する。
【0124】
ユーザは、図10に示されるグラフ31および32、つまり、共通の時間軸に対してプロットされた計測値および予測推移を含む、一連の静電容量の推移を把握することができる。
【0125】
図11は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第二例を示す説明図である。図11に示される画像は、取得部11が時刻tbにおける計測値を取得した後に、表示部14が表示する画像の一例である。
【0126】
図11には、図10と同様に、静電容量の時間的変化を示すグラフ41と、予測誤差の時間的変化を示すグラフ42とを含む画像が示されている。
【0127】
グラフ41は、時刻t0からtbまでの範囲での電子部品の静電容量の時間的変化を示している。時刻t0からtbまでの範囲には、静電容量の実測値が示されており、時刻tb以降にはモデル式131が出力する予測推移が示されている。グラフ41に示されている予測推移は、時刻tbまでに計測された計測値を用いて更新されたモデル式に基づく予測推移であり、時刻taまでに計測された計測値を用いて更新されたモデル式に基づく予測推移(図10参照)よりも、静電容量が小さい方向(つまり、紙面上の下方法)へシフトしている。
【0128】
グラフ42は、時刻t0からtbまでの範囲での予測部13が算出した予測誤差の時間的変化を示している。時刻tbにおける予測誤差が基準値未満であることから、その後に取得される計測値が予測推移と大きく変わらないと推測され得る状態といえる。
【0129】
ユーザは、図11に示されるグラフ41および42、つまり、共通の時間軸に対してプロットされた計測値および予測推移を含む、一連の静電容量の推移を把握することができる。
【0130】
図12は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第三例を示す説明図である。図12に示される画像は、取得部11が時刻tbにおける計測値を取得した後に、表示部14が表示する画像の一例であり、計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージを含む。
【0131】
図12には、図11と同様に、静電容量の時間的変化を示すグラフ41と、予測誤差の時間的変化を示すグラフ42とを含む画像が示されている。
【0132】
図12に示される画像は、さらに、期間を示す画像43と、メッセージを含む画像44とを含む。
【0133】
画像43は、予測部13が算出する予測誤差が基準値未満である期間を示す画像である。予測部13は、算出した予測誤差が基準値未満である期間を特定し、特定した期間を示すように画像43を表示部14に表示させる。なお、画像43は、図12において双方向矢印として示されているが、その形状は限定されず、線分、矩形または円弧などであってもよい。
【0134】
画像44は、電子部品の特性の計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージである。画像44は、具体的には、電子部品の特性の計測を中断するか否かをユーザに問いかけるメッセージである。計測を中断することは、計測を継続しないことを意味し、計測を中断しないことは、計測を継続することを意味する。
【0135】
画像44は、ユーザの操作を受け付けるボタンを示す画像45および46を含む。
【0136】
画像45は、ユーザからの肯定的な応答を示す操作を受け付けるボタンの画像である。ユーザからの肯定的な応答は、ここでは、電子部品の特性の計測を中断することを指示する操作である。
【0137】
画像46は、ユーザからの否定的な応答を示す操作を受け付けるボタンの画像である。ユーザからの否定的な応答は、ここでは、電子部品の特性の計測を中断しない(つまり、継続する)ことを指示する操作である。
【0138】
画像45または46に対するユーザの操作は、受付部15によって受け付けられる(ステップS108)。その後、計測の中断または継続に関する処理がなされる(ステップS109、S110、S121)。
【0139】
ユーザは、図12に示される画像の表示を視認することで、静電容量の推移に基づく判断をしたうえで計測を継続するかまたは中断するかを指示する操作を行うことができる。
【0140】
図13は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第四例を示す説明図である。図13に示される画像は、取得部11が時刻tbにおける計測値を取得した後に、表示部14が表示する画像の一例であり、計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージを含む。
【0141】
図13には、図12と同様に、静電容量の時間的変化を示すグラフ51と、予測誤差の時間的変化を示すグラフ52とを含む画像が示されている。
【0142】
図13に示される画像は、さらに、期間を示す画像53と、メッセージを含む画像54とを含む。
【0143】
画像53は、画像43と同様、予測誤差が基準値未満である期間を示す画像である。
【0144】
画像54は、電子部品の特性の計測を継続するか否かをユーザに問いかけるメッセージである。計測を継続することは、計測を中断しないことを意味し、計測を継続しないことは、計測を中断することを意味する。
【0145】
画像54は、ユーザの操作を受け付けるボタンを示す画像55および56を含む。
【0146】
画像55は、ユーザからの肯定的な応答を示す操作を受け付けるボタンの画像である。ユーザからの肯定的な応答は、ここでは、電子部品の特性の計測を継続することを指示する操作である。
【0147】
画像56は、ユーザからの否定的な応答を示す操作を受け付けるボタンの画像である。ユーザからの否定的な応答は、ここでは、電子部品の特性の計測を継続しない(つまり、中断する)ことを指示する操作である。
【0148】
画像55または56に対するユーザの操作は、受付部15によって受け付けられる(ステップS108)。その後、計測の中断または継続に関する処理がなされる(ステップS109、S110、S121)。
【0149】
ユーザは、図13に示される画像の表示を視認することで、静電容量の推移に基づく判断をしたうえで計測を継続するかまたは中断するかを指示する操作を行うことができる。
【0150】
図14は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第五例を示す説明図である。図14に示される画像は、初期状態における電子部品の特性を基準として電子部品の特性の推移を示すグラフを含む画像である。
【0151】
ここでは、電子部品の静電容量を、初期状態における電子部品の特性を100%として基準とし、その基準に対する初期状態以降の電子部品の特性を示している。なお、基準値を、一例として、初期状態における電子部品の静電容量の90%として示しているが、これに限られない。
【0152】
ユーザは、図14に示される、初期状態における電子部品の特性を基準として電子部品の特性の推移を視認することで、より直感的に特性の推移を把握することができる。
【0153】
図15は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第六例を示す説明図である。図15に示される画像は、算出部12が算出した特徴量のうち、電子部品の特性の劣化に関連している特徴量を特定する情報を含む画像である。
【0154】
図15には、電子部品が撮影された画像に含まれる画素値のヒストグラムにおけるピークに対応する画素値(具体的には、画素値V1およびV2)を特徴量とする場合が示されている。
【0155】
ここで、画素値V1およびV2のうち、画素値V1(または画素値V1に比較的近い画素値)が電子部品の特性の劣化に関連しているという知見が得られている場合、ユーザが画素値V1を特定する特定情報を情報処理システム10に入力して記憶させる。表示部14は、ユーザから得た特定情報を参照して、画素値V1を含む所定範囲の画素値を特定する画像61を表示する。画像61は、ヒストグラムのうち、画素値V1を含む一部分に重畳される図形である。画素値V1を含む所定範囲の画素値は、例えば、画素値V1を中心とする、画素値V1の10%程度の範囲である。
【0156】
なお、画像61は、図15において上記一部分と同一形状の図形として示されているが、その形状は限定されず、双方向矢印によって範囲を指定する図形などであってもよい。
【0157】
図16は、本実施の形態における情報処理システム10が表示する画像の第七例を示す説明図である。図16に示される画像は、算出部12が算出した特徴量のうち、電子部品の特性の劣化に関連している特徴量を特定する情報を含む画像である。
【0158】
図16には、図15と同様に、電子部品が撮影された画像に含まれる画素値のヒストグラムにおけるピークに対応する画素値を特徴量とする場合が示されている。
【0159】
表示部14は、ユーザから得た特定情報を参照して、電子部品が撮影された画像において、画素値V1を含む所定範囲の画素値を有する領域を特定する画像62を表示する。画像62は、電子部品が撮影された画像のうち、画素値V1を含む所定範囲の画素値を有する領域に重畳される図形である。なお、画像62は、図16において上記領域と同一形状の図形(具体的には三角形)として示されているが、その形状は限定されず、上記領域を囲む、円形または矩形の枠などの図形であってもよい。
【0160】
次に、モデル式を生成する情報処理システム20の例を説明する。
【0161】
図17は、本実施の形態におけるモデル式を生成する情報処理システム20の構成を示す模式図である。情報処理システム20は、情報処理システム10による電子部品の信頼性の評価に用いられるモデル式を機械学習によって生成するシステムである。電子部品については、情報処理システム10の場合と同様である。
【0162】
図17に示されるように、情報処理システム20は、取得部21と、算出部22と、生成部23とを備える。
【0163】
取得部21は、電子部品(学習用電子部品ともいう)が撮影された画像を取得してメモリに格納する。
【0164】
取得部21は、例えば、カメラを有しており、カメラを用いて学習用電子部品を撮影することで上記画像を取得してもよい。また、取得部21は、例えば、通信インタフェースを有しており、通信インタフェースを介して他の装置から上記画像を取得してもよい。
【0165】
また、取得部21は、学習用電子部品の特性の推移を計測した、時系列の計測値を取得する。学習用電子部品の特性は、情報処理システム10(取得部11)における電子部品の説明と同様に、学習用電子部品がコンデンサの場合には静電容量、等価直列インダクタンス(ESL)、または等価直列抵抗(ESR)等である。以降では、学習用電子部品の特性がコンデンサの静電容量である場合を例として説明する。なお、学習用電子部品の特性は、学習用電子部品が抵抗素子の場合には抵抗値であり得る。
【0166】
学習用電子部品の特性の計測は、例えば、制御された環境において学習用電子部品の特性を継続的に計測することであり得る。制御された環境は、情報処理システム10(取得部11)における説明と同様である。
【0167】
算出部22は、取得部21が取得した画像から、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量を算出する。学習用特徴量は、情報処理システム10(算出部12)における特徴量の説明と同様である。算出部22は、算出した学習用特徴量をメモリに格納する。
【0168】
生成部23は、学習用電子部品の将来の特性の予測値を算出するモデル式231を生成する。生成部23は、モデル式231を生成する際には、学習用電子部品の外観の特徴を示す特徴量と、学習用電子部品の特性の推移とを用いて、電子部品の外観の特徴を示す特徴量が入力された場合に、電子部品の特性の推移を出力するように、機械学習によりモデル式231を生成する。生成部23は、例えば、時間に対する静電容量の推移を近似(例えば多項式近似)することで、静電容量の推移を、時間を変数とする多項式により表現したモデル式231を生成する。
【0169】
生成部23によって生成されたモデル式231が、情報処理システム10に提供され、予測部13が予測値を算出する際のモデル式131として用いられる。
【0170】
なお、情報処理システム20の一部の機能は、情報処理システム10と兼用されてもよい。具体的には、取得部21は、取得部11と同じであってもよく、算出部22は、算出部12と同じであってもよい。
【0171】
なお、情報処理システム10が図1に示される機能部に加えて、さらに生成部23を備えていれば、情報処理システム10が情報処理システム20として機能することが可能である。
【0172】
図18は、本実施の形態におけるモデル式を生成する情報処理システム20の処理を示すフロー図である。
【0173】
ステップS201において、取得部21は、電子部品が撮影された画像を取得する。
【0174】
ステップS202において、算出部22は、ステップS201で取得した画像から学習用特徴量を算出する。
【0175】
ステップS203において、取得部21は、電子部品の特性を計測した、時系列の計測値を取得する。
【0176】
ステップS204において、生成部23は、ステップS203で取得した時系列の計測値を用いて、モデル式231を生成する。
【0177】
なお、予測部13は、電子部品の将来の特性の予測値を機械学習モデルにより算出してもよい。機械学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデルである。その場合、モデル式131に代えて、予めメモリ内に保有している機械学習モデルが用いられる。機械学習モデルは、電子部品の外観の特徴を示す特徴量が入力された場合に、その電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成された機械学習モデルである。その場合、情報処理システム20の生成部23は、モデル式231に代えて、電子部品の将来の特性の予測値を算出する機械学習モデルを生成する。生成部23は、機械学習モデルを生成する際には、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量と、学習用電子部品の特性の推移とを用いて、電子部品の外観の特徴を示す特徴量が入力された場合に、電子部品の特性の推移を出力するように、機械学習により機械学習を生成する。
【0178】
なお、表示部14がグラフ(例えばグラフ31(図10参照)等)を表示画面に表示する際には、予測誤差の値に応じて表示画面のうちの所定領域の色、または、背景色を設定してもよい。表示部14は、例えば、予測誤差が比較的大きいときには、所定領域の色または背景色を赤色に設定し、予測誤差が比較的小さいときには、所定領域の色または背景色を緑色または青色に設定し、予測誤差が中程度であるときには、所定領域の色または背景色を黄色に設定してもよい。
【0179】
(実施の形態の変形例)
図19は、本実施の形態の変形例における情報処理システム10Aの構成を示す模式図である。
【0180】
図19に示されるように、情報処理システム10Aは、取得部11と、算出部12と、予測部13と、表示部14と、受付部15と、通知部17とを備える。取得部11と、算出部12と、予測部13と、表示部14と、受付部15と、通知部17との一部または全部の機能は、プロセッサ(例えばCPU)(不図示)がメモリ(不図示)を用いて所定のプログラムを実行することで実現される。
【0181】
なお、上記実施の形態の情報処理システム10と同様に、情報処理システム10Aは、1つの装置で実現されてもよいし、互いに通信可能に接続された複数の装置で実現されてもよい。また、情報処理システム10Aがさらに生成部23(図17参照)を備えていれば情報処理システム20として機能することが可能である。
【0182】
情報処理システム10Aは、通知部17を備える点で、上記実施の形態における情報処理システム10と異なる。通知部17について以降において詳しく説明する。
【0183】
通知部17は、ユーザへの通知を行う。通知部17は、一例として電子メールを用いてユーザへの通知を行う。
【0184】
通知部17は、例えば、予測部13が算出した予測誤差が基準値未満である状態が一定期間継続しているか否かを判定し、上記状態が一定期間継続していると判定した場合に、電子メールをユーザに送信することで、通知をすることができる。電子メールをユーザに送信する際には、通知部17は、所定の電子メールサーバに、電子メール送信用の通信プロトコルを用いてメールデータを送信する。
【0185】
また、例えば、通知部17は、電子部品の信頼性の評価に関するスケジュールを管理している管理システムに、信頼性の評価の試験(信頼性試験ともいう)の進捗として、予測誤差の通知をすることができる。
【0186】
上記の通り、一般に、電子部品の信頼性の評価において評価の当初には予測誤差が比較的大きく、時間が経過するにつれて予測誤差が小さくなる傾向があることがある。そのため、評価の進捗の指標として、予測誤差が用いられることがある。
【0187】
その場合、管理システムが提供する、信頼性試験の進捗を示すスケジュール画像における信頼性試験の進捗の欄に、予測誤差が反映された画像が表示される。予測誤差が反映された画像の表示について図20および図21を参照しながら説明する。
【0188】
図20および図21は、本変形例における情報処理システム10Aによる進捗の提示を示す説明図である。
【0189】
図20は、信頼性試験の進捗を示すスケジュール画像の例である。図20は、いわゆるガントチャートの一部であり得る。
【0190】
図20に示されるスケジュール画像において、設計工程が10月の前半に設定され、試作工程が10月の後半に設定され、信頼性試験工程が11月に設定されている。
【0191】
信頼性試験工程における進捗が画像71および72により示されている。
【0192】
画像71は、信頼性試験工程の全体を示す、矩形のオブジェクトの画像である。画像71は、11月の枠内の全体に延びて配置されていることによって、信頼性試験工程の全体を示している。
【0193】
画像72は、信頼性試験工程のうちの現時点における進捗を示す、矩形のオブジェクトの画像である。画像72は、画像71に重畳され、11月の枠内のうち左側の概ね半分程度の領域を占めて配置されている。これにより、画像72は、信頼性試験工程の進捗が、概ね半分程度であることを示している。
【0194】
なお、画像71および72の図形の形状は、矩形に限られず、任意の図形であってよい。
【0195】
このように、画像71および72は、横幅(すなわち横方向の長さ)によって信頼性試験工程における進捗を示している。画像71および72の横幅の算定方法の例を図21を参照しながら説明する。
【0196】
図21には、時刻を横軸とし、予測誤差を縦軸として、時刻t0からtbまでの範囲での予測部13が算出した予測誤差の時間的変化が示されている。
【0197】
ここで、予測部13は、信頼性試験の工程全体の作業量を(E1-ES)と算定することができ、時刻tbにおける進捗を(E1-E2)と算定することができる。ここで、時刻t0における予測誤差をE1とし、時刻tbにおける予測誤差をE2とし、予測誤差の基準値をESとしている。
【0198】
表示部14は、図20の画像を生成する際には、予測部13が算定した(E1-ES)を画像71の横幅とし、(E1-E2)を画像72の横幅とするように、画像71および72を配置する。
【0199】
図20に示されるスケジュール画像を視認することで、ユーザは、管理システムが管理している進捗に関するスケジュールから、予測誤差に基づいて算出される信頼性試験の進捗を把握することができる。
【0200】
なお、上記実施の形態および変形例において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態および変形例の情報処理方法などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0201】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、電子部品が撮影された画像と、前記電子部品の特性を計測した計測値とを取得し、取得した前記画像から、前記電子部品の外観の特徴を示す特徴量を算出し、学習用電子部品の外観の特徴を示す学習用特徴量が入力された場合に、前記学習用電子部品の特性の推移を出力するように機械学習により生成されたモデル式を、取得した前記計測値を用いて更新し、更新した前記モデル式に、算出した前記特徴量を入力することで前記電子部品の将来の特性の予測値を算出し、前記予測値の算出に関連した情報である予測情報を出力する情報処理方法を実行させるプログラムである。
【0202】
以上、一つまたは複数の態様に係る情報処理システムなどについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明は、電子部品の信頼性を評価するシステムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0204】
10、10A、20 情報処理システム
11、21 取得部
12、22 算出部
13 予測部
14 表示部
15 受付部
17 通知部
23 生成部
31、32、41、42、51、52 グラフ
43、44、45、46、53、54、55、56、61、62、71、72 画像
131、231 モデル式
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21