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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122361
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20240902BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240902BHJP
【FI】
G01N23/18
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029865
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】万木 太
(72)【発明者】
【氏名】坂上 能章
(72)【発明者】
【氏名】山川 敦史
(72)【発明者】
【氏名】冨永 浩太
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA08
2G001DA09
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA03
2G001KA05
2G001PA11
2G001SA16
(57)【要約】
【課題】X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できるX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置1は、物品Gを搬送する搬送部4と、搬送部4によって搬送される物品GにX線を照射するX線照射部5と、物品Gを透過したX線を検出するX線検出部6と、X線検出部6により検出されるX線からX線透過画像を生成し、X線透過画像に基づいて物品Gの検査を行う検査部と、X線照射部5及びX線検出部6を収容している筐体2と、筐体2内の空気を冷却し、X線検出部6に対して冷気をダクト17を介して導風する冷風機9と、冷風機9の状態を監視する監視部19と、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、X線検出部6に対する電力の供給を停止させる制御部8と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過した前記X線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部により検出される前記X線からX線透過画像を生成し、前記X線透過画像に基づいて前記物品の検査を行う検査部と、
前記X線照射部及び前記X線検出部を収容している筐体と、
前記筐体内の空気を冷却し、前記X線検出部に対して冷気をダクトを介して導風する冷風機と、
前記冷風機の状態を監視する監視部と、
前記監視部において前記冷風機の異常が検知された場合、前記X線検出部に対する電力の供給を停止させる制御部と、を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記冷風機は、前記筐体内の前記空気を内気循環により冷却して前記冷気を生成し、
前記筐体内において発生した水を前記筐体の外部に排出する排出部を備え、
前記排出部は、前記筐体内に外部の空気が流入することを抑止する封止部及び逆止弁の少なくとも一方を有する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記監視部において前記冷風機の異常が検知された場合、前記X線検出部に対する送風を停止させる、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検査装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過したX線を検出するX線検出部と、を備えている。特許文献1に記載のX線検査装置は、X線検出部の少なくとも一部に対して冷風機から供給される冷気をダクトを介して導風する導風部を備え、X線検出部を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-164088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のX線検査装置のように、X線検出部を冷却する構成において、冷風機の冷風機能等に何らかの異常(不具合)が発生すると、X線検出部が十分に冷却されなくなる。この状態において、X線検出部が動作(検出処理)を継続すると、X線検出部が高温になる。X線検出部は、高温になると、不具合が発生し得る。
【0005】
本発明の一側面は、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るX線検査装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部により検出されるX線からX線透過画像を生成し、X線透過画像に基づいて物品の検査を行う検査部と、X線照射部及びX線検出部を収容している筐体と、筐体内の空気を冷却し、X線検出部に対して冷気をダクトを介して導風する冷風機と、冷風機の状態を監視する監視部と、監視部において冷風機の異常が検知された場合、X線検出部に対する電力の供給を停止させる制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係るX線検査装置では、制御部は、監視部において冷風機の異常が検知された場合、X線検出部に対する電力の供給を停止させる。制御部は、例えば、X線検査装置の電源からX線検出部への電力の供給を停止(遮断)させたり、X線検出部が電源ユニットを有する場合には、電源ユニットの電源をオフにさせて、X線検出部に対する電力の供給を停止させたりする。これにより、X線検査装置では、冷風機に何らかの異常が発生し、冷風機から冷気を供給することができなくなった場合であっても、X線検出部の動作が停止するため、X線検出部が高温になることを抑制できる。したがって、X線検査装置では、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できる。
【0008】
一実施形態においては、冷風機は、筐体内の空気を内気循環により冷却して冷気を生成し、筐体内において発生した水を筐体の外部に排出する排出部を備え、排出部は、筐体内に外部の空気が流入することを抑止する封止部及び逆止弁の少なくとも一方を有していてもよい。X線検出部を冷却する構成では、冷風機から供給される冷気は、空気を冷却する際に熱交換によって除湿されている。そのため、冷気が導風されるX線検出部及びその周囲の部材等(例えばセンサボックス等)が配置されている環境は、湿度が低い状態(乾燥した状態)となっている。この状態において、十分に冷却されていない空気(湿気を含む空気)が温度の低下しているX線検出部に対して導風されると、X線検出部やX線検出部の周囲の部材等に結露が生じ得る。
【0009】
X線検査装置において、封止部及び逆止弁の少なくとも一方を有する構成では、排出部を介して、筐体内に高温や湿度を含んだ空気が流入することを抑制できる。したがって、X線検査装置では、当該空気によってX線検出部やX線検出部の周囲の部材等に結露が生じることを抑制できる。したがって、X線検査装置では、結露により生じた水がX線検出部に浸入することを抑制できる。その結果、X線検査装置では、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できる。
【0010】
一実施形態においては、監視部において冷風機の異常が検知された場合、X線検出部に対する送風を停止させてもよい。この構成では、冷風機に何らかの異常が発生し、冷風機から冷気を供給することができなくなった場合には、X線検出部に対して、十分に冷却されていない空気が導風されない。そのため、X線検査装置では、X線検出部等に結露が生じることを抑制できる。したがって、X線検査装置では、結露により生じた水がX線検出部に浸入することを抑制できる。その結果、X線検査装置では、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、X線検出部を冷却する構成において、X線検出部に不具合が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係るX線検査装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すX線検査装置の背面ドアを開放した状態の斜視図である。
図3図3は、図1のX線検査装置の構成を側面側から示す図である。
図4図4は、図1のX線検査装置の筐体内部を示す斜視図である。
図5図5は、収容部及びダクトを示す斜視図である。
図6図6は、収容部及びダクトを示す斜視図である。
図7図7は、他の実施形態に係るX線検査装置の側面図である。
図8図8は、図7に示すX線検査装置の一部を拡大して示す断面図である。
図9図9は、他の実施形態に係るX線検査装置の筐体内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図1図2図3及び図5には、説明の便宜のため、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」方向を設定するが、実施形態はこれらの方向に限定されない。
【0014】
図1図4に示されるように、X線検査装置1は、筐体2と、支持脚3と、搬送部4と、X線照射部5と、X線検出部6と、表示操作部7と、制御部(検査部)8と、冷風機9と、電源ユニット10と、を備えている。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。
【0015】
筐体2は、搬送部4、X線照射部5、X線検出部6、制御部8及び電源ユニット10を収容している。筐体2の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。支持脚3は、筐体2を支持している。搬送部4は、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部4は、例えば、ベルトコンベアである。
【0016】
X線照射部5は、搬送部4によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部5は、X線照射部5の後方には、ファン11が設けられている。
【0017】
X線検出部6は、電磁波を検出するセンサ12である。X線検出部6は、特定のエネルギー帯のX線を検出可能でもよいし、フォトンカウンティング方式でX線を検出可能でもよい。X線検出部6は、直接変換型検出部でもよいし、間接変換型検出部でもよい。本実施形態では、X線検出部6は、X線をフォトンカウンティング方式で検出可能な直接変換型検出部であり、例えば、物品Gを透過する複数のエネルギー帯の各々のX線を検出するセンサ(マルチエナジーセンサ)を含む。当該センサは、例えば、少なくとも搬送部4の搬送方向及び上下方向に直交する方向(幅方向)に並べられる。当該素子は、上記幅方向だけでなく、上記搬送方向にも並べられてもよい。すなわち、X線検出部6は、ラインセンサを含んでもよいし、二次元的に配置されるセンサ群を含んでもよい。センサ12は、例えば、CdTe半導体検出器などの光子検出型センサである。
【0018】
本実施形態では、X線検出部6は、センサ12に制御基板(図示せず)を加え、X線検出ユニット13として構成されている。X線検出ユニット13は、センサボックス14に収容されている。センサボックス14は、X線検出部6を収容する直方体形状の筐体である。センサボックス14の上面には、X線照射部5から照射されるX線が通過するスリット14Aが設けられている。センサボックス14の前面には、開口(図示省略)が設けられている。センサボックス14の後面には、開口(図示省略)が設けられている。
【0019】
本実施形態に係るX線検出ユニット13(X線検出部6)は、電源ユニット10からの電力の供給によって電源がオン・オフされる。X線検出ユニット13は、自機の電源をオン・オフする機能を有していない。X線検出ユニット13は、電源ユニット10から電力が供給されると電源がオンとなる(起動する)。これにより、X線検出部6が動作(検出処理)を開始する。X線検出ユニット13は、電源ユニット10からの電力の供給が停止されると電源がオフになる。これにより、X線検出部6が動作を停止(終了)する。
【0020】
図5及び図6に示されるように、センサボックス14は、収容部15に収容されている。収容部15は、搬送部4の下方に配置されている。収容部15内において、センサボックス14の周囲には、フード部材16が配置されている。フード部材16は、冷風機9から供給される冷気の流路16Aを形成している。収容部15には、ダクト17を介して、冷気が導風される。ダクト17は、収容部15の後部に接続されている。
【0021】
図3に示されるように、表示操作部7は、筐体2に設けられている。表示操作部7は、各種情報を表示すると共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部7は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。
【0022】
図3に示されるように、制御部8は、筐体2の内部に配置されている。制御部8は、X線検査装置1の各部の動作を制御する。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部8には、X線検出部6のセンサ12(図4参照)から低エネルギー帯及び高エネルギー帯のX線の検出結果が入力される。制御部8は、低エネルギー帯のX線の検出結果、及び高エネルギー帯のX線の検出結果に基づいてX線透過画像を生成し、X線透過画像に基づいて物品Gの検査を行う検査部として機能する。
【0023】
図1及び図2に示されるように、冷風機9は、X線検査装置1の後面に配置されている。本実施形態では、冷風機9は、筐体2を開閉可能にするドア2aに取り付けられている。冷風機9は、例えば、クーラである。冷風機9は、筐体2内部の空気を吸気し、吸気した空気を熱交換器(図示しない)において熱交換し、熱交換により冷却された空気(冷気)を生成する。冷風機9は、内気循環により冷気を生成する。冷風機9は、ダクト17を介して、冷気を収容部15に供給する。
【0024】
ダクト17は、筐体2内に取り付けられている。ダクト17の一端17aは、冷風機9の供給口9aに接続される。ダクト17の一端17aは、後方に向かって開口している。ダクト17の一端17aは、ドア2aが閉められた状態において、冷風機9の供給口9aに接続される。冷風機9の供給口9aとダクト17の一端17aとの間には、ファン18が設けられている。ファン18は、冷風機9から供給される冷気をダクト17に送風する。ダクト17の他端17bは、収容部15に接続されている。
【0025】
図3に示されるように、冷風機9は、監視部19を備える。監視部19は、冷風機9の状態を監視する。監視部19は、CPU、ROM、RAM等で構成されている。監視部19は、制御部8と通信可能に接続されている。監視部19は、冷風機9の動作に係る各種情報を入力して冷風機9の状態を監視し、冷風機9の異常を検知する。監視部19は、例えば、冷風機9の温度センサ(図示せず)の温度異常、冷風機9のコンプレッサの電流異常等を検知する。監視部19は、異常を検知すると、エラー信号を制御部8に出力する。
【0026】
電源ユニット10は、X線検査装置1の各部(X線検出部6等)に電力を供給する。電源ユニット10と各部とは、電源ケーブル(図示省略)によって接続されている。電源ユニット10から各部への電力の供給の有無は、制御部8によって制御される。電源ユニット10には、外部電源から電力が供給される。
【0027】
図1に示されるように、X線検査装置1は、排出部20を有している。排出部20は、筐体2内において発生した水を筐体2の外部に排出する。排出部20は、筐体2に設けられている。排出部20は、例えば、冷風機9の下方に配置されている。排出部20には、逆止弁21が設けられている。逆止弁21は、筐体2内に、排出部20を介して筐体2の外部の空気が流入することを抑止する。排出部20において、筐体2との接続部分には、封止部(図示せず)が設けられている。封止部は、ゴム等の材料で形成されている。封止部により、筐体2と排出部20との間から、外部の空気が筐体2内に流入することを抑止できる。
【0028】
続いて、冷風機9から供給される冷気の流れについて説明する。冷風機9から供給される冷気は、冷風機9の供給口9aからダクト17に供給される。ダクト17に供給された冷気は、収容部15に流れ込む。図5に示されるように、収容部15に流れ込んだ冷気は、センサボックス14の後方の開口からセンサボックス14の下方に流れ込み、センサボックス14を前方に向かって流れて前方の開口から排気され、フード部材16によって形成されている流路16Aを後方に向かって流れる。流路16Aを流れる冷気は、センサボックス14に収納されたX線検出ユニット13から熱を奪う。温度が上昇した空気(暖気)は、流路16Aの後方から筐体2内に排気される。
【0029】
続いて、X線検査装置1の動作について説明する。X線検査装置1では、制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、すなわち冷風機9の異常が検知されると、電源ユニット10からX線検出ユニット13に対する電力の供給を停止させる。つまり、制御部8は、冷風機9の異常が検知されると、X線検出部6に対する電力の供給を停止させて、X線検出部6の電源をオフにする。これにより、X線検出部6は、X線の検出を停止する。
【0030】
制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、ファン18の作動を停止させる。つまり、制御部8は、冷風機9の異常が検知されると、X線検出部6に対する送風を停止させる。制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、X線照射部5におけるX線の照射を停止させる。本実施形態では、制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、X線照射部5の電源をオフにする。制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、搬送部4における物品Gの搬送を停止させる。本実施形態では、制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、搬送部4の電源をオフにする。
【0031】
X線検査装置1では、例えば、冷風機9のエラーが解消されると、表示操作部7におけるオペレータの操作により、各部(搬送部4、X線照射部5、X線検出部6)が動作を再開する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係るX線検査装置1では、制御部8は、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、X線検出部6に対する電力の供給を停止させる。制御部8は、X線検査装置1の電源ユニット10からX線検出部6への電力の供給を停止(遮断)させる。これにより、X線検査装置1では、冷風機9に何らかの異常が発生し、冷風機9から冷気を供給することができなくなった場合であっても、X線検出部6の動作が停止するため、X線検出部6が高温になることを抑制できる。したがって、X線検査装置1では、X線検出部6を冷却する構成において、X線検出部6に不具合が発生することを抑制できる。
【0033】
本実施形態に係るX線検査装置1では、冷風機9は、筐体2内の空気を内気循環により冷却して冷気を生成する。X線検査装置1は、筐体2内において発生した水を筐体2の外部に排出する排出部20を備える。排出部20は、筐体2内に外部の空気が流入することを抑止する封止部及び逆止弁21を有している。X線検出部6を冷却する構成では、冷風機9から供給される冷気は、空気を冷却する際に熱交換によって除湿されている。そのため、冷気が導風されるX線検出部6及びその周囲の部材等(収容部15、フード部材16等)が配置されている環境は、湿度が低い状態(乾燥した状態)となっている。この状態において、十分に冷却されていない空気(湿気を含む空気)が温度の低下しているX線検出部6に対して導風されると、X線検出部6やX線検出部6の周囲の部材等に結露が生じ得る。
【0034】
X線検査装置1において、封止部及び逆止弁21を有する構成では、排出部20を介して、筐体2内に高温や湿度を含んだ空気が流入することを抑制できる。したがって、X線検査装置1では、当該空気によってX線検出部6やX線検出部6の周囲の部材等に結露が生じることを抑制できる。したがって、X線検査装置1では、結露により生じた水がX線検出部6に浸入することを抑制できる。その結果、X線検査装置1では、X線検出部6を冷却する構成において、X線検出部6に不具合が発生することを抑制できる。
【0035】
本実施形態に係るX線検査装置1では、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、X線検出部6に対する送風を停止させる。この構成では、冷風機9に何らかの異常が発生し、冷風機9から冷気を供給することができなくなった場合には、X線検出部6に対して、十分に冷却されていない空気が導風されない。そのため、X線検査装置1では、X線検出部6等に結露が生じることを抑制できる。したがって、X線検査装置1では、結露により生じた水がX線検出部6に浸入することを抑制できる。その結果、X線検査装置1では、X線検出部6を冷却する構成において、X線検出部6に不具合が発生することを抑制できる。
【0036】
本実施形態に係るX線検査装置1では、センサボックス14の周囲にフード部材16が配置されている。図5に示されるように、フード部材16は、冷風機9から供給される冷気の流路16Aを形成している。これにより、収容部15に流れ込んだ冷気は、フード部材16によって形成されている流路16Aを後方に向かって流れて排気される。そのため、センサボックス14をより冷却できると共に、冷風機9から供給される冷気が直接収容部15の内壁面に接することが無くなるため、比較的温度の高い収容部15外の空気との温度差を小さくし、収容部15においてより結露の発生を防ぐことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0038】
上記実施形態では、X線検出ユニット13(X線検出部6)は、電源ユニット10からの電力の供給によって電源がオン・オフされる形態を一例に説明した。すなわち、上記実施形態に係るX線検出ユニット13は、自機の電源をオン・オフする機能を有していない。しかし、X線検出ユニット13は、電源ユニットを有していてもよい。この構成では、制御部8は、監視部19からエラー信号が出力されると、すなわち冷風機9の異常が検知されると、X線検出ユニット13の電源ユニットに対して、電源のオフを指示するオフ信号を出力する。X線検出ユニット13の電源ユニットは、制御部8からオフ信号が出力されると、電源をオフにする。これにより、電源ユニット10からX線検出部6への電力の供給が停止され、X線検出部6がX線の検出を停止する。
【0039】
上記実施形態では、図1に示されるように、冷風機9の筐体の下部が平坦となっている形態を一例に説明した。しかし、図7及び図8に示されるように、冷風機9の筐体9Hの下部を構成している底部9Bは、傾斜していてもよい。図7及び図8に示す例では、底部9Bは、筐体2側に向かって下方傾斜している。底部9Bの最下部には、排出部(排出穴)9Dが設けられている。これにより、筐体9H内において発生した水が筐体9Hの下部に溜まることを抑制でき、当該水を筐体9Hの外部に排出することができる。
【0040】
上記実施形態では、X線検出部6として、いわゆるフォトンカウンティング方式のセンサである形態を一例に説明した。しかし、図9に示されるように、X線検出部6は、第一ラインセンサ22aと、第二ラインセンサ22bと、を有してもよい。第一ラインセンサ22a及び第二ラインセンサ22bは、それぞれ、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列されたX線検出素子(図示せず)によって構成されている。第一ラインセンサ22aは、物品G及び搬送部4の搬送ベルトを透過した低エネルギー帯のX線を検出する。第二ラインセンサ22bは、物品G、搬送部4の搬送ベルト及び第一ラインセンサ22aを透過した高エネルギー帯のX線を検出する。
【0041】
また、X線検出部6は、一つのラインセンサを有する構成であってもよいし、他のセンサを使用するものであってもよい。
【0042】
上記実施形態及び変形例では、X線検出部6が、X線検出ユニット13として構成されている形態を一例に説明した。しかし、センサ12と制御基板とはそれぞれ別の位置に配置されていてもよい。
【0043】
上記実施形態及び変形例では、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、X線照射部5におけるX線の照射を停止させるためにX線照射部5の電源をオフにする形態を一例に説明した。しかし、X線検査装置1では、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、X線照射部5におけるX線の照射を停止させればよい。
【0044】
上記実施形態及び変形例では、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、搬送部4による物品Gの搬送を停止させる形態を一例に説明した。しかし、監視部19において冷風機9の異常が検知された場合、搬送部4による物品Gの搬送を継続させてもよい。冷風機9の異常発生によって搬送部4の動作を停止させると、X線検査装置1に物品Gが取り残され、当該物品Gが検査済みか否かの判断ができなくなり得る。そのため、物品Gを廃棄しなければならなくなり得るため、廃棄ロスが生じ得る。監視部19において冷風機9の異常が検知された場合において搬送部4による物品Gの搬送を継続させる構成では、物品GがX線検査装置1に取り残されることを回避できるため、廃棄ロスが生じることを回避できる。また、X線検査装置1では、搬送部4による搬送を継続させることにより、例えば、X線検出部6が所定の温度になるまで検査を継続させ、その間に冷風機9の異常対応を行うことができる。したがって、X線検査装置1では、物品Gが処理されるラインの稼働を継続させることができる。
【0045】
上記実施形態及び変形例では、冷風機9が、筐体2の内部を開閉可能なドア2aに設けられる形態を一例に説明した。しかし、冷風機9は、筐体2の内部に配置されてもよい。また、筐体2の外部に配置された冷風機9からダクト等を介してダクト17に冷気を供給してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…X線検査装置、2…筐体、4…搬送部、5…X線照射部、6…X線検出部、8…制御部(検査部)、9…冷風機、13…X線検出ユニット、17…ダクト、19…監視部、20…排出部、21…逆止弁、G…物品。
図1
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図9