(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122369
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】竪樋支持具および排水システム
(51)【国際特許分類】
E04D 13/08 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
E04D13/08 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029880
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】平林 真介
(72)【発明者】
【氏名】遠山 征希
(57)【要約】
【課題】効果的に伸縮処理する。
【解決手段】竪樋支持具14Aは、竪樋13を壁の前方で支持する竪樋支持具14Aであって、壁に固定される第1部材46と、竪樋13を支持する第2部材45と、第1部材46と第2部材45との間に配置される第3部材80と、を備え、第2部材45は、竪樋13の後方において周端部同士が対向することで環状をなし、内部に竪樋13が嵌め込まれるバンド45aと、バンド45aの各周端部から後方に延び、第1部材46を挟む2つの板45bと、を備え、第3部材80は、2つの板45bと第1部材46との間に配置される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪樋を壁の前方で支持する竪樋支持具であって、
前記壁に固定される第1部材と、
前記竪樋を支持する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置される第3部材と、を備え、
前記第2部材は、
前記竪樋の後方において周端部同士が対向することで環状をなし、内部に前記竪樋が嵌め込まれるバンドと、
前記バンドの各周端部から後方に延び、前記第1部材を挟む2つの板と、を備え、
前記第3部材は、前記2つの板と前記第1部材との間に配置される、竪樋支持具。
【請求項2】
前記2つの板と、これらの両板の間に配置された前記第3部材および前記第1部材と、を固定するボルトを更に備える、請求項1に記載の竪樋支持具。
【請求項3】
前記第3部材と一体であり、前記竪樋に固着可能な第4部材を更に備えている、請求項1に記載の竪樋支持具。
【請求項4】
前記竪樋に固着可能であり、前記第3部材に対して上方または下方から隣接する第4部材を更に備えている、請求項1に記載の竪樋支持具。
【請求項5】
竪樋と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の竪樋支持具と、を備え、
前記竪樋支持具は、前記竪樋を壁の前方で支持する、排水システム。
【請求項6】
前記竪樋支持具は、上下方向に間隔をあけて複数設けられ、
複数の前記竪樋支持具は、第1支持具と、第2支持具と、を含み、
前記第1支持具は、前記竪樋を上下方向に移動可能にルーズ支持し、
前記第2支持具は、前記竪樋を上下方向に移動不能に固定支持する、請求項5に記載の排水システム。
【請求項7】
建物の屋根又は壁に、水平方向に間隔をあけて固定された複数の雨樋支持具と、
前記複数の雨樋支持具に支持された雨樋と、を更に備え、
前記竪樋は、前記雨樋から下方に延びる、請求項6に記載の排水システム。
【請求項8】
前記雨樋に設けられ、前記雨樋の雨水を前記竪樋に流す排水部材を備え、
前記排水部材は、サイフォン現象を誘発可能である、請求項7に記載の排水システム。
【請求項9】
前記竪樋は、パイプと、前記パイプの下端に設けられたエルボと、を含み、
前記第1支持具は、前記パイプのうち、前記エルボに対して300mm上方の位置よりも下方に配置されている、請求項8に記載の排水システム。
【請求項10】
前記竪樋は、パイプと、前記パイプの上端に設けられた伸縮継手と、を備え、
前記第2支持具は、前記パイプの上端に設けられている、請求項7に記載の排水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪樋支持具および排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されたような、排水システムに用いられる竪樋支持具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の雨樋支持具において、例えば、排水システムに関する雨樋支持具以外の部材(例えば、屋根や竪樋など)に対して、温度変化(昼夜の外気温変動や夏期冬期の変動)を起因として生じる熱伸縮の影響を吸収するための対策(すなわち、伸縮処理)をすることが求められている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、効果的に伸縮処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る竪樋支持具は、竪樋を壁の前方で支持する竪樋支持具であって、前記壁に固定される第1部材と、前記竪樋を支持する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置される第3部材と、を備え、前記第2部材は、前記竪樋の後方において周端部同士が対向することで環状をなし、内部に前記竪樋が嵌め込まれるバンドと、前記バンドの各周端部から後方に延び、前記第1部材を挟む2つの板と、を備え、前記第3部材は、前記2つの板と前記第1部材との間に配置される。
<2>上記<1>に係る竪樋支持具では、前記2つの板と、これらの両板の間に配置された前記第3部材および前記第1部材と、を固定するボルトを更に備える構成を採用してもよい。
【0007】
第3部材が、2つの板と第1部材との間に配置される。したがって、例えば、第3部材の厚さを調整することで、バンドによる竪樋の締め付けの程度を調節することができる。例えば、第3部材を薄くしたり、取り外したりすることで、締め付けの程度をきつくすることができる。例えば、第3部材を厚くすることで、締め付けの程度を緩めることができる。よって、例えば、締め付けの程度を調整することで、竪樋支持具によって、竪樋を上下方向に移動可能にルーズ支持することができる。更に、ルーズ支持する場合においても、ルーズ支持の程度を調整することができる。よって、例えば、竪樋やバンドの寸法公差、形状のばらつきがある場合や、竪樋支持具によって負担すべき竪樋の自重に設計上ばらつきがある場合などにおいても、適切なルーズ支持を実現することができる。竪樋をルーズ支持することで、竪樋自身の熱伸縮(上下方向への伸縮)を、竪樋支持具によって吸収することができる。さらに、このようなルーズ支持を、単に第3部材を配置することにより実現することで、前記締め付けの程度を、施工者の習熟によらず調整し易くすることができる。なお例えば、第3部材を取り外すことで、締め付けの程度をきつくして、竪樋支持具によって竪樋を、上下方向に移動不能に固定支持してもよい。
【0008】
<3>上記<1>または<2>に係る竪樋支持具では、前記第3部材と一体であり、前記竪樋に固着可能な第4部材を更に備えている構成を採用してもよい。
<4>上記<1>または<2>に係る竪樋支持具では、前記竪樋に固着可能であり、前記第3部材に対して上方または下方から隣接する第4部材を更に備えている構成を採用してもよい。
【0009】
第4部材によって、竪樋を強く固定支持し易くすることができる。
【0010】
<5>本発明の一態様に係る排水システムは、竪樋と、上記<1>から<4>のいずれか1態様に係る竪樋支持具と、を備え、前記竪樋支持具は、前記竪樋を壁の前方で支持する。
<6>上記<5>に係る排水システムでは、前記竪樋支持具は、上下方向に間隔をあけて複数設けられ、複数の前記竪樋支持具は、第1支持具と、第2支持具と、を含み、前記第1支持具は、前記竪樋を上下方向に移動可能にルーズ支持し、前記第2支持具は、前記竪樋を上下方向に移動不能に固定支持する構成を採用してもよい。
<7>上記<6>に係る排水システムでは、建物の屋根又は壁に、水平方向に間隔をあけて固定された複数の雨樋支持具と、前記複数の雨樋支持具に支持された雨樋と、を更に備え、前記竪樋は、前記雨樋から下方に延びる構成を採用してもよい。
<8>上記<7>に係る排水システムでは、前記雨樋に設けられ、前記雨樋の雨水を前記竪樋に流す排水部材を備え、前記排水部材は、サイフォン現象を誘発可能である構成を採用してもよい。
【0011】
<9>上記<8>に係る排水システムでは、前記竪樋は、パイプと、前記パイプの下端に設けられたエルボと、を含み、前記第1支持具は、前記パイプのうち、前記エルボに対して300mm上方の位置よりも下方に配置されている構成を採用してもよい。
【0012】
排水部材が、サイフォン現象を誘発可能である。竪樋内でサイフォン現象が発生すると多量の水が排水される。このとき、エルボが水の流れる向きを変更させると、竪樋が振動し易い。
ここで、この排水システムでは、第1支持具が、パイプの下端のうち、エルボに対して300mm上方の位置よりも下方に配置されている。よって、竪樋のうち、エルボの直上に位置して振動が発生し易い部分をルーズ支持することができる。その結果、竪樋における振動を抑制することができる。
【0013】
<10>上記<7>または<8>に係る排水システムでは、前記竪樋は、パイプと、前記パイプの上端に設けられた伸縮継手と、を備え、前記第2支持具は、前記パイプの上端に設けられている構成を採用してもよい。
【0014】
第2支持具が、パイプの上端に設けられている。よって、竪樋のうち、伸縮継手よりも下方に位置する部分における荷重を、第2支持具によって受け持つことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、効果的に伸縮処理することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る雨樋システムを建物に固定した状態を示す部分断面図。
【
図5】第1実施形態の第1変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図6】第1実施形態の第2変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図7】第1実施形態の第3変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図8】第1実施形態の第4変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図9】第1実施形態の第5変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図10】第1実施形態の第6変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図11】第1実施形態の第7変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図12】第1実施形態の第8変形例に係る竪樋支持具の側面図。
【
図13】第2実施形態に係る雨樋システムの側面図。
【
図15】第2実施形態に係るスペーサーおよびストッパーの斜視図。
【
図16】第2実施形態の第1変形例に係る雨樋システムの側面図。
【
図17】第2実施形態の第2変形例に係る雨樋システムの側面図。
【
図18】第2実施形態の第3変形例に係る雨樋システムの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1から
図12を参照しつつ本発明の一実施形態に係る雨樋システムについて説明する。実施形態では、建物の屋根に軒樋を固定し、建物の壁部に竪樋を固定する雨樋システム(排水システム)を例に説明するが、雨樋システムはこれに限らない。雨樋システムを軒樋に代えて谷樋等の他の樋に適用することも可能である。また、雨樋システムを適用する屋根として折板屋根を例に説明するが、屋根の仕様は任意に選択可能である。但し、屋根を折板屋根とした場合に、屋根の熱伸縮が顕著であり、雨樋システムの効果を高めることができる。
【0018】
[第1実施形態]
図1に示すように、雨樋システムRG1は、折板屋根(屋根)1の軒先1Aに取り付けられている。雨樋システムRG1は、例えば、複数の軒樋支持具(第1支持具)6と、軒樋(第1樋)7と、ドレン部材8(排水部材)と、竪樋(第2樋)13と、竪樋支持具(第2支持具)14と、を備えている。
折板屋根1は、建物の壁部2の上端に形成されて金属板からなる山部3と谷部4とを交互に波形に連続形成した構成を有する。
図1は折板屋根1の軒先1Aと壁部2を断面視した図である。折板屋根1は、不図示の頂部から軒先1Aに向いて若干下向きの屋根勾配が付与されている。以下、折板屋根1の頂部側を「右側」、折板屋根1の軒先1A側を「左側」として説明する。
折板屋根1は、右側から左側に向いて若干下向きの屋根勾配が付与されており、折板屋根1の左端部が軒先1Aとなる。折板屋根1の軒先1Aは、紙面表裏方向に延在されている。
【0019】
折板屋根1の軒先1Aには複数のボルト穴(不図示)が形成される。複数のボルト穴は、軒先1Aに沿って紙面表裏方向に間隔をあけて配置されている。複数のボルト穴は、山部3を構成する金属板において上下方向に貫通されている。複数のボルト穴に取付ボルト5が挿通される。挿通された複数の取付ボルト5により複数の軒樋支持具6が折板屋根1の軒先1Aに沿って紙面表裏方向において水平方向に間隔をあけて固定されている。軒樋支持具6の材質としては、単一樹脂、複合材、又は金属等から任意に選択することが可能である。
【0020】
複数の軒樋支持具6により軒樋7が支持されている。
図1は軒先1Aの一部のみを示す部分断面図であるため1つの軒樋支持具6と1つの軒樋7のみが描かれている。軒樋7は、複数の軒樋支持具6を介して折板屋根1の軒先1Aに支持(固定)されることにより、軒先1Aの下方に水平方向に配置されている。軒樋7は、
図1の紙面表裏方向が長さ方向となり、
図1の紙面左右方向が幅方向となる。軒樋7は折板屋根1の軒先1A下方に支持されているため、軒先1Aから流下した雨水を受けることができる。
【0021】
軒樋7の材質としては、単一樹脂、複合(複層)樹脂、単一金属、又は金属に樹脂を被覆した複合材等から任意に選択することが可能である。第1実施形態において、軒樋7は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やABS、AES等の合成樹脂で形成された押出成形品とされている。
【0022】
また、軒樋7を合成樹脂で形成する場合には、熱による伸縮防止等のため線膨張係数が2.0×10-5/℃以下であることが好ましい。また、軒樋7の厚さ方向の中心に延伸したPET樹脂製シートや鉄製のシートなど低伸縮性シートを内挿したり、軒樋7を構成する合成樹脂自体にワラストナイトや炭素繊維などの低伸縮性の添加物を配合したりすることで線膨張係数を小さくすることが好適である。
【0023】
第1実施形態では、軒樋7を折板屋根1の軒先1Aに支持する例について説明するが、軒樋7を建物の壁部2に支持してもよい。なお、軒樋支持具6及び軒樋7の具体例については後で詳しく説明する。
【0024】
軒樋7の底板62(後述する)には、幅方向中央部に貫通孔62A(
図2参照)が形成されている。貫通孔62Aにドレン部材8が配置されている。ドレン部材8は、貫通孔62Aに配置された状態で軒樋7の底板62に取り付けられている。第1実施形態においては、ドレン部材8としてサイフォンドレン部材を例に説明するが、ドレン部材8はサイフォンドレン部材に限らない。
【0025】
図1、
図2に示すように、サイフォンドレン部材8は、例えば、下側ドレン部材15と、上側ドレン部材16と、上側ドレン部材16の上部に配置されるサイフォン部17と、を備え、軒樋7に取付けられている。具体的には、下側ドレン部材15が軒樋7の底板62の下面62B側に配置され、上側ドレン部材16が底板62の上面62C側に配置されている。
【0026】
サイフォンドレン部材8を形成する材料は任意に選択することが可能である。第1実施形態においてサイフォンドレン部材8は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された射出成形品とされている。なお、合成樹脂に限定されるのではなく、鋳鉄、ステンレス鋼やアルミニウムを鋳造することによってサイフォンドレン部材8を形成してもよい。
サイフォン部17は、例えば、蓋部材18と、上側ドレン部材16と蓋部材18とを連結する縦リブ19と、把持リブ20と、誘導ガイド21と、を備えている。また、サイフォン部17は、上側ドレン部材16の上部に一体化されている。
【0027】
蓋部材18は、例えば、上側ドレン部材16の上方に配置された平面視円形の円盤状に形成されている。また、蓋部材18は、上側ドレン部材16の管軸O1と同軸位置に形成されている。蓋部材18の外周縁18Aと、上側ドレン部材16に設けられている上側フランジ部31の外周縁31Cとの間に形成される部分が、流入開口23を構成する。流入開口23は、軒樋7に溜まった雨水が後述する上側ドレン部材16の落し口部22に流入するための開口を構成する。
【0028】
蓋部材18は、複数の縦リブ19に下方から支持された状態で上側ドレン部材16に支持されている。蓋部材18は、軒樋7の内側に配置され、落し口部22から上方に離間した位置に配置されるとともに、軒樋7の上面62Cから落し口部22へ雨水を流入させる流入開口23を形成している。蓋部材18には、上面18Bから上方に突出し、周方向に間隔をあけて配置される把持リブ20が設けられている。この把持リブ20を掴むことで、サイフォンドレン部材8を締め込む際の回転操作を容易に行うことができる。
【0029】
蓋部材18の下面中央に、誘導ガイド21が設けられている。誘導ガイド21は、蓋部材18の下面中央部においてドレン軸O(蓋中心)に向かうに従い漸次下方に延びる曲線を有する複数の誘導ガイド21がドレン軸Oから径方向に向けて放射状に延びるように設けられている。誘導ガイド21は、軒樋7内の雨水を流入開口23から落し口部(落し口部22の開口)へ誘導するためのものである。
【0030】
サイフォン部17は、平面視した場合の落し口部22の開口を塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口23から流入した時、空気を吸い込むことがなく、竪樋13を満水状態として水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させて高排水機能を奏する。
このようなサイフォンドレン部材8は、例えば、工場やショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられている雨樋排水配管構造のうち軒樋7の内側に設けられ、高排水機能を発揮する。
【0031】
上側ドレン部材16は、軒樋7における底板62の上面62Cに配置され内周側に落し口部22が形成された上側フランジ部31と、上側フランジ部31の下方に形成された内筒部32と、上側フランジ部31と内筒部32を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部33と、内筒部32の外周面に形成された外周ネジ部35と、を備えている。
内筒部32は、後述する下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、外周ネジ部35と後述する内周ネジ部(不図示)が螺合される。この螺合により上側ドレン部材16と下側ドレン部材15は一体化され、サイフォンドレン部材8が構成される。
上側ドレン部材16において、内筒部32の内面と、上側フランジ部31が連設される部分の上面は、テーパー面、あるいは曲面に形成されたベルマウス形状をなしている。
【0032】
上側フランジ部31は、平面視リング状に形成されている。上側フランジ部31の下面31Bは、軒樋7の底板62の上面62Cに配置される。上側フランジ部31の下面31Bには、外周側に平坦面が形成され、平坦面の内周側に下方に突出する円筒形状部からなる位置決め段差部36が形成されている。位置決め段差部36が軒樋7の貫通孔62Aの内周部と接触することにより、上側ドレン部材16が貫通孔62Aに対し位置決めされている。
【0033】
下側ドレン部材15は、軒樋7の下面62B側に配置される下側フランジ部41と、下側フランジ部41の下方に一体形成されて下方に延在する外筒部42を備える。さらに下側ドレン部材15は、下側フランジ部41と外筒部42を接続する外筒縮径部43と、外筒部42の内面に形成された内周ネジ部(不図示)を備えている。
下側フランジ部41は、平面視リング状に形成され、内部側に平面視円形の受入口41Aが形成されている。下側フランジ部41において、外周側の上面41Bに平坦面が形成され、内周側が平坦面に対して下方にくぼんだ凹部形状とされている。下側フランジ部41の上面41Bは、軒樋7における底板62の下面62B側に配置されている。
【0034】
外筒部42は、例えば、管軸O2を中心とする円筒形に形成され、軒樋7に取付けられた状態で上下方向に延在する。外筒部42の内方は、上下方向に貫通されている。外筒部42の内面に内周ネジ部(不図示)が形成されている。この内周ネジ部に上側ドレン部材16の外周ネジ部35が螺合されることにより、上側ドレン部材16と下側ドレン部材15とが一体化される。この状態において、上側ドレン部材16の上側フランジ部31と下側ドレン部材15の下側フランジ部41とが軒樋7の底板62を挟持する。よって、軒樋7の底板62にサイフォンドレン部材8が固定される。
【0035】
下側ドレン部材15の外筒部42において、下端42Aの受け口に短管9の上端が接続されている。短管9の下端に第1エルボ管10Aの受け口10A1が接続されている。第1エルボ管10Aは、例えば曲り角度が45゜に形成されている。第1エルボ管10Aの受け口10A2には、第1継手11の上端が接続されている。第1継手11の下端は、第2エルボ管10Bの受け口10B1に接続されている。
第2エルボ管10Bは、例えば曲り角度が45゜に形成されている。第2エルボ管10Bの受け口10B2には、第2継手12の上端が接続されている。第2継手12は、上端に蛇腹状のゴム輪部12Aを有していてもよい。第2継手12の下端には、竪樋13の上端13Aが接続されている。
【0036】
ここで、下側ドレン部材15の外筒部42の下端42Aから竪樋13の上端13Aまでの長さL1は、1m未満に設定されている。すなわち、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12は、下側ドレン部材15の外筒部42の下端42Aから1m未満の長さL1の範囲に設置されている。
竪樋13は、ドレン部材8、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12を介して壁部2に沿って下方に延びている。竪樋13は、建物近傍の地盤に埋設されている図示略の排水路に接続されて雨水を排水できるようになっている。竪樋13の上端13Aは、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。竪樋支持具14は、外筒部42の下端42Aの下方において長さL1位置の近傍に配置されている。
【0037】
具体的には、竪樋支持具14は、第1部材46と、第2部材45と、を備えている。第2部材45は、竪樋13を支持する。第2部材45は、竪樋13において上端13Aの外周面に固定されている。第1部材46は、第2部材45に固定されている。第1部材46の基端46Aは、建物の壁部2に取付ボルト49により固定されている。これにより、竪樋13は、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。
【0038】
つぎに、軒樋支持具6及び軒樋7の具体例について詳しく説明する。
図1に示すように、軒樋支持具6は、帯状に延びる支持片により概ね矩形状に形成されている。具体的には、軒樋支持具6は、第1上片51と、第1縦片(一対の縦片の一方)52と、横片53と、第2縦片(一対の縦片の他方)54と、傾斜片55と、第2上片56と、を有する。
第1上片51は、軒先1Aの山部3を構成する金属板に沿って配置されている。第1上片51は、山部3の金属板に複数の取付ボルト5により固定されている。第1縦片52は、第1上片51の右端から下方に延びている。第1縦片52の内面には第1固定部52Aが設けられている。第1固定部52Aは、軒樋支持具6の内部に支持された軒樋7の第1側板63に係止可能に形成されている。
【0039】
横片53は、第1縦片52の下端から左方向へ水平に延びている。第2縦片54は、例えば横片53の左端から上方に延びている。第2縦片54の下端は、横片53の左端に取付ボルト58により固定されている。第2縦片54の内面には第2固定部54Aが設けられている。第2固定部54Aは、軒樋支持具6の内部に支持された軒樋7の第2側板64に係止可能に形成されている。
傾斜片55は、第2縦片54の上端から上方へ向かうに従って右方向に傾斜するように延びている。第2上片56は、傾斜片55の上端から右方向に延び、軒先1Aの山部3を構成する金属板に沿って配置されている。第2上片56は、軒先1Aにおいて山部3の金属板に取付ボルト5により固定されている。
【0040】
軒樋支持具6の内部には軒樋7が支持されている。軒樋7は、底板62と、第1側板(一対の側板の一方)63と、第2側板(一対の側板の他方)64と、第1凸部(凸部)66と、第2凸部(凸部)67と、を有する。底板62は、水平に形成されて横片53に載置された状態に配置されている。底板62にはサイフォンドレン部材8の下側ドレン部材15及び上側ドレン部材16が固定されている。下側ドレン部材15の外筒部42には、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12を介して竪樋13の上端13Aが接続されている。竪樋13は、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。よって、軒樋7の底板62は、所定位置に静止状態に保持されている。
【0041】
また、軒樋7が軒樋支持具6に支持された状態において、底板62の右端62Dは、第1縦片52に対して内側に第1間隔L2をあけて配置されている。第1側板63は、底板62の右端62Dから上方へ向かうに従って第1縦片52に向けて外側に傾斜するように延びている。第1側板63は、第1縦片52に対向して配置されている。第1側板63の上端63Aは、第1縦片52の第1固定部52Aに係止されることにより固定される。
【0042】
さらに、軒樋7が軒樋支持具6に支持された状態において、底板62の左端62Eは、第2縦片54に対して内側に第2間隔L3をあけて配置されている。第2側板64は、底板62の左端62Eから上方へ向かうに従って第2縦片54に向けて外側に傾斜するように延びている。第2側板64は、第2縦片54に対向して配置されている。第2側板64の上端64Aは、第2縦片54の第2固定部54Aに係止されることにより固定されている。第1側板63及び第2側板64は、底板62から上方に向けて左右方向の幅が徐々に大きく開くように配置されている。すなわち、軒樋7は、上方が開口されたU字状に形成されている。
【0043】
軒樋7の内部において、底板62と第1側板63の交差部に第1凸部66が形成されている。第1凸部66は、第1側板63の下端において軒樋7の長手方向に沿って延びている。第1凸部66は、軒樋7の長手方向に連続する中空部66Aを有する。
第1側板63は、例えば、通常の使用状態において対応可能な剛性が第1凸部66により確保されている。また、第1側板63は、通常の使用状態を超える左右方向の応力が上端63Aに入力された場合に、左右方向に好適に変形可能に形成されている。
【0044】
また、軒樋7の内部において、底板62と第2側板64の交差部に第2凸部67が形成されている。第2凸部67は、第2側板64の下端において軒樋7の長手方向に沿って延びている。第2凸部67は、軒樋7の長手方向に連続する中空部67Aを有する。
第2側板64は、例えば、通常の使用状態において対応可能な剛性が第2凸部67により確保されている。また、第2側板64は、通常の使用状態を超える左右方向の応力が上端64Aに入力された場合に、左右方向に好適に変形可能に形成されている。
【0045】
すなわち、軒樋7に第1凸部66及び第2凸部67を有することにより、軒樋7の長手方向の剛性が確保されている。さらに、第1凸部66は、軒樋7の長手方向に連続する中空部66Aを有する。第2凸部67は、軒樋7の長手方向に連続する中空部67Aを有する。よって、軒樋7の長手方向の剛性を一層高めることができる。これにより、例えば、軒樋7を多種の用途に適用させることが可能になり、軒樋7の用途の拡大を図ることができる。
【0046】
なお、第1実施形態では、第1側板63に第1凸部66を設け、さらに第2側板64に第2凸部67を設けた例について説明するが、第1側板63及び第2側板64のいずれか一方に凸部を設けてもよい。
【0047】
軒樋7は、軒樋支持具6の横片53に載置された状態において、軒樋支持具6の第1縦片52及び第2縦片54(すなわち、一対の縦片)の間に挟まれている。
この状態において、対向する第1縦片52と第1側板63との間に第1空間(空間)S1が設けられている。具体的には、横片53、第1縦片52及び第1側板63により概ね三角形の第1空間S1が設けられている。第1空間S1において、第1縦片52が左方向に移動しようとしたときに、第1側板63を左方向に変形させて逃がすことができる。これにより、第1側板63に大きな応力(負荷)を生じさせることなく、第1縦片52を左方向に移動させることができる。
【0048】
また、対向する第2縦片54と第2側板64との間に第2空間(空間)S2が設けられている。具体的には、横片53、第2縦片54及び第2側板64により概ね三角形の第2空間S2が設けられている。第2空間S2において、第2縦片54が右方向に移動しようとしたときに、第2側板64を右方向に変形させて逃がすことができる。これにより、第2側板64に大きな応力を生じさせることなく、第2縦片54を右方向に移動させることができる。
【0049】
ここで、第1間隔L2及び第2間隔L3は、10~40mm程度であることが好ましい。第1間隔L2及び第2間隔L3を10~40mm程度とすることにより、軒樋支持具6の左右方向への位置ズレ等を吸収し、軒樋支持具6に対する軒樋7の不必要なガタツキを抑制できる。なお、第1間隔L2及び第2間隔L3は10~40mm程度に限らないで、例えば、軒樋支持具6及び軒樋7の大きさや形状に合わせて任意に選択可能である。
【0050】
つぎに、軒樋7を軒樋支持具6に支持する手順について説明する。
すなわち、軒樋7を軒樋支持具6で支持する際には、例えば、軒樋支持具6の第2上片56を軒先1Aの山部3に取付ボルト5で固定する前に、第2縦片54、傾斜片55及び第2上片56を、取付ボルト58を軸にして下方に配置する。この状態において、軒樋支持具6の右上側が開口した状態に保たれる。軒樋支持具6の開口から内部に軒樋7を配置して横片53に設置する。軒樋7を設置した状態において、第2縦片54、傾斜片55及び第2上片56を、取付ボルト58を軸にして上向きに配置する。第2上片56を軒先1Aの山部3に取付ボルト5により固定する。よって、軒樋7は、軒樋支持具6の内部に支持される。これにより、軒樋7は、軒先1Aの山部3に軒樋支持具6に介して固定される。
【0051】
ここで、竪樋13は、
図1に示すように、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。このように、軒樋7が複数の軒樋支持具6により折板屋根1に固定され、竪樋13が竪樋支持具14により壁部2に固定されることにより、雨樋システムRG1が建物に固定されている。
【0052】
(竪樋支持具)
竪樋支持具14は、竪樋13を壁2の前方で支持する。以下、水平方向のうち、竪樋13と壁2とが対向する方向を前後方向Xという。前後方向Xは、壁2に直交する方向であるとも言える。前後方向Xに沿って壁2に対する竪樋13側を前方とし、前後方向Xに沿って竪樋13に対する壁2側を後方とする。上下方向および前後方向Xに直交する方向を左右方向Yという。
【0053】
図3に示すように、第2部材45は、バンド45aと、2つの板45bと、を備えている。バンド45aは、上下方向から見た平面視において環状をなす。バンド45aは帯状であり、バンド45aの周端部同士は、竪樋13の後方において左右方向Yに対向している。バンド45aの内部には、竪樋13が嵌め込まれている。図示の例では、バンド45aは、竪樋13に対して締まり嵌めされている。その結果、竪樋支持具14は、竪樋13を、上下方向に移動不能に固定支持している。2つの板45bは、バンド45aの各周端部から後方に延びている。2つの板45bは、第1部材46を挟む。
【0054】
そして本実施形態では、竪樋支持具14は、スライド機構70を更に備えている。スライド機構70は、第1部材46と第2部材45とを、前後方向Xにスライド移動可能に連結する。スライド機構70は、第1孔71と、第2孔72と、ボルト73と、ナット74と、を含む。第1孔71は、第1部材46に設けられている。第1孔71は、第1部材46を左右方向Yに貫通する。第1孔71は、2つの板45bそれぞれに設けられている。第2孔72は、第2部材45に設けられている。第2孔72は、第2部材45を左右方向Yに貫通する。
【0055】
ボルト73は、第1孔71および第2孔72に配置されている。ボルト73は、第1部材46と第2部材45とを連結する。ナット74は、ボルト73の頭部との間に、第1部材46と第2部材45とを挟み込む。本実施形態では、ボルト73の頭部とナット74とは、第1部材46が、第2部材45の2つの板45bに挟まれた状態で、これらの第1部材46および2つの板45bを左右方向Yに挟み込む。
【0056】
そして本実施形態では、第1孔71および第2孔72のうちの一方は、他方よりも前後方向Xに長い。図示の例では、第2孔72が第1孔71よりも前後方向Xに長い。第2孔72は、前後方向Xに長い長穴である。第1孔71は、左右方向Yから見た正面視において真円形状である。第1孔71は、前後方向Xに間隔をあけて複数(図示の例では2つ)配置されている。ボルト73およびナット74も、第1孔71に対応して複数(図示の例では2つ)設けられている。
【0057】
ただし、
図5に示す第1変形例に係るスライド機構70Aのように、第1孔71が第2孔72よりも前後方向Xに長くてもよい。第1孔71は、前後方向Xに長い長穴である。第2孔72は、左右方向Yから見た正面視において真円形状である。第2孔72は、前後方向Xに間隔をあけて複数(図示の例では2つ)配置されている。ボルト73およびナット74も、第2孔72に対応して複数(図示の例では2つ)設けられている。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る竪樋支持具14によれば、スライド機構70が、第1部材46と第2部材45とを、前後方向Xにスライド移動可能に連結する。したがって、例えば、屋根の熱伸縮などに伴って、竪樋13が前後方向Xに移動したとしても、その移動をスライド機構70によって吸収することができる。
【0059】
第1孔71および第2孔72のうちの一方(以下、単に一方という)が、他方(以下、単に他方という)よりも前後方向Xに長い。したがって、竪樋13の前後方向Xへの移動に伴って、他方に配置されたボルト73が一方に沿って前後方向Xに移動することができる。
【0060】
仮にボルト73が1つのみの場合、例えば、その1つのボルト73を回転軸の中心として、第2部材45がボルト73回りに回転するおそれがある。
そこで、この竪樋支持具14では、ボルト73が、他方に対応して複数設けられている。これにより、前述の回転を抑制することができる。
【0061】
なお、スライド機構として、
図6に示す第2変形例に係るスライド機構70Bを採用してもよい。
このスライド機構70Bは、スライドプレート75(第3部材)と、第3孔76および第4孔77と、を更に備えている。スライドプレート75は、第1部材46と第2部材45との間に配置される。第3孔76および第4孔77は、スライドプレート75に設けられている。第3孔76は、第4孔77に対して下方に位置している。
このスライド機構70Bでは、ボルト73に代えて、第1ボルト78および第2ボルト79がそれぞれ設けられている。第1ボルト78は、第1孔71および第3孔76に配置されている。第1ボルト78は、第1部材46とスライドプレート73とを連結する。第1ボルト78の頭部は、ナット74との間に、第1部材46およびスライドプレート73を挟む。第2ボルト79は、第2孔72および第4孔77に配置されている。第2ボルト79は、第2部材45とスライドプレート73とを連結する。第2ボルト79の頭部は、ナット74との間に、第2部材45およびスライドプレート73を挟む。
そして本変形例では、第1孔71、第2孔72、第3孔76、第4孔77のうちの1つの孔は、残りの孔よりも前後方向Xに長い。前記1つの孔は、第3孔76または第4孔77であり、図示の例では、前記1つの孔は、第3孔76である。第3孔76以外の残りの孔、すなわち、第1孔71、第2孔72、第4孔77はそれぞれ、左右方向Yから見た正面視において真円形状である。第1孔71、第2孔72、第4孔77はそれぞれ、前後方向Xに間隔をあけて複数配置されている。第1ボルト78および第2ボルト79は、前記残りの孔に対応して複数(図示の例では2つずつ)設けられている。
【0062】
さらに、スライド機構として、
図7から
図10に示す第3変形例から第6変形例に係るスライド機構70C~70Fを採用してもよい。これらのスライド機構70C~70Fでは、スライドプレート75が設けられておらず、第1孔71および第2孔72の一方が、他方よりも上下方向に長い。
図7に示す第3変形例に係るスライド機構70Cでは、本実施形態に係るスライド機構70と異なり、第1孔71が、上下方向に長い長穴である。
図8に示す第4変形例に係るスライド機構70Dでは、第1変形例に係るスライド機構70Aと異なり、第2孔72が、上下方向に長い長穴である。
図9に示す第5変形例に係るスライド機構70Eでは、第3変形例に係るスライド機構70Cと異なり、第2孔72が、前後方向Xに長い長穴ではない。第2孔72は、左右方向Yから見た正面視において、真円形状である。第2孔72は、前後方向Xに複数設けられている。
図10に示す第6変形例に係るスライド機構70Fでは、第4変形例に係るスライド機構70Dと異なり、第1孔71が、前後方向Xに長い長穴ではない。第1孔71は、左右方向Yから見た正面視において、真円形状である。第1孔71は、前後方向Xに複数設けられている。
以上のようなスライド機構70C~70Fによれば、第1孔71および第2孔72のうちの一方(以下、単に一方という)が、他方(以下、単に他方という)よりも上下方向に長い。したがって、竪樋13の上下方向への移動に伴って、他方に配置されたボルト73が一方に沿って上下方向に移動することができる。
【0063】
さらに、スライド機構として、
図11、
図12に示す第7変形例、第8変形例に係るスライド機構70G、70Hを採用してもよい。これらのスライド機構70G、70Hでは、スライドプレート75が設けられており、第1孔71、第2孔72、第3孔76、第4孔77のうちの1つの孔は、残りの孔よりも上下方向に長い。
図11に示す第7変形例に係るスライド機構70Gでは、第2変形例に係るスライド機構70Bと異なり、第3孔76が、上下方向に長い長穴であり、第4孔77が、前後方向Xに長い長穴である。なお図示の例では、第3孔76および第4孔77が、上下方向ではなく前後方向Xに並んでいる。
図12に示す第8変形例に係るスライド機構70Hでは、第7変形例に係るスライド機構70Gと異なり、第4孔77が、前後方向Xに長い長穴ではない。第4孔77は、左右方向Yから見た正面視において、真円形状である。第4孔77は、前後方向Xに複数設けられている。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る雨樋システムを、
図13から
図15を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0065】
図13に示すように、本実施形態に係る雨樋システムRG2では、竪樋13が、パイプ13aと、継手13bと、を備えている。パイプ13aは、上下方向に複数配置されている。継手13bは、上下方向に隣り合うパイプ13aを接続する。
図示の例では、パイプとして、第1パイプ13a1と、第2パイプ13a2と、が設けられている。第1パイプ13a1は、第2パイプ13a2に比べて上方に位置している。第1パイプ13a1の上端は、第2エルボ10Bに接続されている。
図示の例では、継手13bとして、伸縮継手13b1が設けられている。伸縮継手13b1は、伸縮継手13b1に対して上方に位置するパイプ13aの伸縮を許容する。伸縮継手13b1の上端には、第1パイプ13a1の下端が接続されている。伸縮継手13b1の下端には、第2パイプ13a2の上端が接続されている。
【0066】
竪樋支持具14Aは、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の竪樋支持具14Aは、第1支持具14A1と、第2支持具14A2と、を含んでいる。第1支持具14A1は、竪樋13を上下方向に移動可能にルーズ支持する。第2支持具14A2は、竪樋13を上下方向に移動不能に固定支持する。
【0067】
なお、第2支持具14A2は、第1パイプ13a1および第2パイプ13a2それぞれの上端に設けられている。第1支持具14A1は、各パイプ13aにおいて、第2支持具14A2よりも下方に位置する部分に設けられている。
このように、本実施形態では、第2支持具14A2が、各パイプ13aの上端に設けられている。よって、例えば、竪樋13のうち、伸縮継手13b1よりも下方に位置する部分における荷重を、第2支持具14A2によって受け持つことができる。
【0068】
ここで本実施形態では、竪樋支持具14は、
図14および
図15に示すように、スペーサー80(第3部材)と、ストッパー81(第4部材)と、を備えている。スペーサー80は、第1部材46と第2部材45との間に配置される。スペーサー80は、2つの板45bと第1部材46との間に配置される。スペーサー80は、例えば、板材やワッシャーである。スペーサー80には、孔80aが設けられている。孔80aには、ボルト73が配置される。
【0069】
ストッパー81は、スペーサー80と一体である。ストッパー81は、竪樋13に固着可能である。本実施形態では、ストッパー81は、スペーサー80を上下方向に挟んで2つ設けられている。ストッパー81は、パイプ13aの外面に沿う形状となっている。ストッパー81は、上下方向から見て円弧状である。ストッパー81は、湾曲した板状である。
【0070】
スペーサー80が2つの板45bと第1部材46との間に配置される分、バンド45aによる竪樋13の締め付けは弱くなる。結果として、竪樋支持具14によるルーズ支持を実現することができる。
このように、本実施形態に係る竪樋支持具14Aによれば、スペーサー80が、2つの板45bと第1部材46との間に配置される。したがって、例えば、スペーサー80の厚さを調整することで、バンド45aによる竪樋13の締め付けの程度を調節することができる。例えば、スペーサー80を薄くしたり、取り外したりすることで、締め付けの程度をきつくすることができる。例えば、スペーサー80を厚くすることで、締め付けの程度を緩めることができる。よって、例えば、締め付けの程度を調整することで、竪樋支持具14Aによって、竪樋13を上下方向に移動可能にルーズ支持することができる。更に、ルーズ支持する場合においても、ルーズ支持の程度を調整することができる。よって、例えば、竪樋13やバンド45aの寸法公差、形状のばらつきがある場合や、竪樋支持具14Aによって負担すべき竪樋13の自重に設計上ばらつきがある場合などにおいても、適切なルーズ支持を実現することができる。竪樋13をルーズ支持することで、竪樋13自身の熱伸縮(上下方向への伸縮)を、竪樋支持具14Aによって吸収することができる。さらに、このようなルーズ支持を、単にスペーサー80を配置することにより実現することで、前記締め付けの程度を、施工者の習熟によらず調整し易くすることができる。
【0071】
一方、ストッパー81をパイプ13aの外面に固着すると、パイプ13aの上下動がストッパー81およびスペーサー80により規制される。結果として、竪樋支持具14Aによる固定支持を実現することができる。
なおストッパー81は、スペーサー80と一体でなくてもよい。この場合、ストッパー81が、竪樋13に固着可能であり、かつ、ストッパー81が、スペーサー80に対して上方または下方から隣接する構成を好適に採用できる。
いずれの形態においても、ストッパー81によって、竪樋13を強く固定支持し易くすることができる。
【0072】
また、
図16に示す第1変形例に係る雨樋システムRG3のように、竪樋支持具14Bがストッパー81を備えていなくてもよい。この場合、スペーサー80の厚さ(左右方向Yの大きさ)や、スペーサー80の有無を調節することで、バンド45aによる竪樋13の締め付けの調整をし、第1支持具14B1、第2支持具14B2を実現し、ルーズ支持、固定支持を適宜調整することができる。すなわち、例えば、スペーサー80を取り外すことで、締め付けの程度をきつくして、竪樋支持具14Bによって竪樋13を、上下方向に移動不能に固定支持してもよい。
【0073】
さらに
図17に示す第2変形例に係る雨樋システムRG4や、
図18に示す第3変形例に係る雨樋システムRG5のように、竪樋13が、継手13bとして、エルボ13b2を備えていてもよい。
図17に示すように、第2変形例に係る雨樋システムRG4では、竪樋13が、上下方向の途中位置でオフセットされている。竪樋13は、オフセット位置においてエルボ13b2を備えている。
図18に示すように、第3変形例に係る雨樋システムRG5では、竪樋13の下端にエルボ13b2が設けられている。図示の例では、エルボ13b2には、横引き管82が接続されており、竪樋13を流れ落ちた雨水は、横引き管82を通して排出される。これらのいずれの雨樋システムRG5においても、下端にエルボ13b2が設けられたパイプ13aのうち、エルボ13b2に対して300mm上方の位置Pよりも下方に、第1支持具14A1が設けられている。
ドレン部材8が、サイフォン現象を誘発可能である。竪樋13内でサイフォン現象が発生すると多量の水が排水される。このとき、エルボ13b2が水の流れる向きを変更させると、竪樋13が振動し易い。
ここで、この雨樋システムRG4、5では、第1支持具14A1が、パイプ13aの下端のうち、エルボ13b2に対して300mm上方の位置よりも下方に配置されている。よって、竪樋13のうち、エルボ13b2の直上に位置して振動が発生し易い部分をルーズ支持することができる。その結果、竪樋13における振動を抑制することができる。
【0074】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0075】
スライド機構70がなくてもよい。
【0076】
スペーサー80がなくてもよい。この場合、スペーサー80を用いずに、ルーズ支持と固定支持とが調整されていてもよい。
【0077】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、本実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0078】
2 壁
6 軒樋支持具
7 軒樋
13 竪樋
13a パイプ
13b 継手
13b1 伸縮継手
13b2 エルボ
14 竪樋支持具
14a 竪樋支持具
14a1 第1支持具
14a2 第2支持具
45 第2部材
45a バンド
45b 板
46 第1部材
70 スライド機構
70A スライド機構
70B スライド機構
71 第1孔
72 第2孔
73 ボルト
75 スライドプレート(第3部材)
76 第3孔
77 第4孔
78 第1ボルト
79 第2ボルト
80 スペーサー(第3部材)
81 ストッパー(第4部材)
P 位置
RG1~RG5 雨樋システム(排水システム)
X 前後方向