(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122371
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ラック、冷却ラック及び蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6566 20140101AFI20240902BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240902BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240902BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20240902BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20240902BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240902BHJP
【FI】
H01M10/6566
H05K7/20 G
H01M10/613
H01M10/627
H01M10/617
H01M10/6563
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029883
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】南 正明
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 政彦
【テーマコード(参考)】
5E322
5H031
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB08
5E322EA11
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】各蓄電池モジュールを均一に冷却することができるラック、冷却ラック及び蓄電システムを提供する。
【解決手段】気体が流入するモジュール吸入口11がモジュール正面に設けられるとともに熱交換後の気体が流出するモジュール排出口がモジュール背面に設けられた蓄電池モジュール10を収容するラック100であって、モジュール正面と向かい合うラック前面部110と、モジュール正面とラック前面部110との間に設けられた仕切り板150と、を備え、ラック前面部110には、気体が流入するラック吸入口111及び熱交換後の気体が流出するラック排出口112が形成され、仕切り板150は、蓄電池モジュール10が収容された状態でラック前面部110を正面視したとき、全てのモジュール吸入口11及びラック吸入口111を含む第1領域とラック排出口112を含む第2領域とを仕切っている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が流入するモジュール吸入口がモジュール正面に設けられるとともに熱交換後の気体が流出するモジュール排出口がモジュール背面に設けられた蓄電池モジュールを収容するラックであって、
前記モジュール正面と向かい合うラック前面部と、
前記モジュール正面と前記ラック前面部との間に設けられた仕切り板と、
を備え、
前記ラック前面部には、気体が流入するラック吸入口及び熱交換後の気体が流出するラック排出口が形成され、
前記仕切り板は、前記蓄電池モジュールが収容された状態で前記ラック前面部を正面視したとき、全ての前記モジュール吸入口及び前記ラック吸入口を含む第1領域と前記ラック排出口を含む第2領域とを仕切っている
ラック。
【請求項2】
前記モジュール排出口と連通するとともに前記モジュール排出口から排出された熱交換後の気体が前記第2領域に向かって流れる戻り流路が形成されている
請求項1に記載のラック。
【請求項3】
モジュール側面と向かい合うラック側面部と、
前記ラック側面部と前記モジュール側面との間に設けられた側面板と、
を備え、
前記戻り流路は、前記ラック側面部と前記側面板との間に形成されている
請求項2に記載のラック。
【請求項4】
前記蓄電池モジュールが収容された状態で正面視したときに前記蓄電池モジュールが前記ラック側面部の反対側に寄せられて配置されるように前記蓄電池モジュールを固定する固定部を備えている
請求項3に記載のラック。
【請求項5】
前記仕切り板は、前記ラック前面部に設けられ、前記モジュール正面との間に隙間が設けられている
請求項1に記載のラック。
【請求項6】
前記第2領域の容積よりも前記第1領域の容積が大きい
請求項1に記載のラック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のラックと、
前記ラック吸入口に気体を供給するとともに前記ラック排出口から排出された熱交換後の気体を取り込む空調装置と、
を備えている
冷却ラック。
【請求項8】
請求項7に記載の冷却ラックと、
複数の前記蓄電池モジュールと、
を備えている
蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラック、冷却ラック及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電池モジュールを備える蓄電システムが知られている(例えば特許文献1)。また、蓄電池システムは、蓄電池モジュールが収容される空間を画定するとともに蓄電池モジュールを保持するラックと、ラックの内部に冷却用の空気を供給するとともにラックの内部から熱交換後の空気を取り込む空調装置と、を更に備えていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような蓄電システムに採用されるラックにおいて、冷却用の空気が流入する吸入口及び熱交換後の空気が排出される排出口がラックの筐体の同一面に形成されることがある。
【0005】
吸入口及び排出口が同一面に形成された場合、熱交換前の空気(冷却用の空気)に熱交換後の空気が混合してしまう可能性がある。
熱交換前の空気に熱交換後の空気が混合すると、各蓄電池モジュールに取り込まれる空気の温度にばらつきが生じて、結果として、各蓄電池モジュールが均一に冷却されなくなる。そうすると、蓄電池モジュール毎に温度にばらつきが生じて、モジュール間で充放電できる容量に差が生じ、蓄電システムの性能が低下、またモジュール間の寿命にも差がでてしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、各蓄電池モジュールを均一に冷却することができるラック、冷却ラック及び蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のラック、冷却ラック及び蓄電システムは、以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るラックは、気体が流入するモジュール吸入口がモジュール正面に設けられるとともに熱交換後の気体が流出するモジュール排出口がモジュール背面に設けられた蓄電池モジュールを収容するラックであって、前記モジュール正面と向かい合うラック前面部と、前記モジュール正面と前記ラック前面部との間に設けられた仕切り板と、を備え、前記ラック前面部には、気体が流入するラック吸入口及び熱交換後の気体が流出するラック排出口が形成され、前記仕切り板は、前記蓄電池モジュールが収容された状態で前記ラック前面部を正面視したとき、全ての前記モジュール吸入口及び前記ラック吸入口を含む第1領域と前記ラック排出口を含む第2領域とを仕切っている。
【0008】
また、本開示の一態様に係る冷却ラックは、上記のラックと、前記ラック吸入口に気体を供給するとともに前記ラック排出口から排出された熱交換後の気体を取り込む空調装置と、を備えている。
【0009】
また、本開示の一態様に係る蓄電システムは、上記の冷却ラックと、複数の前記蓄電池モジュールと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、各蓄電池モジュールを均一に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る蓄電システムにおいて扉としての前面部が開状態とされたときの正面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る蓄電システムの正面図である(前面部省略)。
【
図3】本開示の一実施形態に係る蓄電システムの背面図である(背面部省略)。
【
図4】
図2に示す切断線IV-IVにおける冷却ラックの平面断面図である。
【
図5】
図2に示す切断線V-Vにおける冷却ラックの平面断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る蓄電システムの簡易化した正面図である(前面部省略)。
【
図7】本開示の一実施形態に係る蓄電システムの簡易化した左側面図である(左側面部省略)。
【
図8】本開示の一実施形態に係る蓄電システムの簡易化した背面図である(背面部省略)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態に係るラック、冷却ラック及び蓄電システムについて、図面を参照しつつ説明する。
なお、
図4から
図6においてハッチングで示した箇所は、断面ではなく、所定の領域を表したものである。
【0013】
図1から
図3に示すように、蓄電システム1は、1つ又は複数の蓄電池モジュール10と、蓄電池モジュール10を収容するとともに冷却可能な冷却ラック20と、を備えている。蓄電池モジュール10は、内部に複数の蓄電池を備えてもよい。
【0014】
図2から
図5に示すように、蓄電池モジュール10は、例えば、リチウムイオン蓄電池モジュールであり、箱型とされている。
蓄電池モジュール10は、モジュール吸入口11及びモジュール排出口12を有している。
【0015】
モジュール吸入口11は、蓄電池モジュール10の内部に冷却用の空気を取り込むための開口であり、蓄電池モジュール10の正面(モジュール正面)に設けられている。
モジュール排出口12は、蓄電池モジュール10の内部に取り込まれた冷却用の空気を排出するための開口であり、蓄電池モジュール10の背面(モジュール背面)に設けられている。
図4及び
図5に示すように、モジュール吸入口11及びモジュール排出口12は、冷却効率の観点から、例えば、平面視したとき対角に位置するように設けられている。本実施形態の場合、モジュール吸入口11は左手前に配置され、モジュール排出口12は右奥に配置されている。
【0016】
モジュール吸入口11の近傍には、吸入ファン13が設けられている。
吸入ファン13は、蓄電池モジュール10の内部においてモジュール吸入口11からモジュール排出口12に向かう空気の流れを生成するためのファンである。
吸入ファン13によって生成された空気の流れによって、発熱体である蓄電池モジュール10が冷却されることになる。
【0017】
なお、モジュール吸入口11及びモジュール排出口12の配置は、仕様に応じて適宜変更できる。
また、蓄電池モジュール10の内部においてモジュール吸入口11からモジュール排出口12に向かう空気の流れが生成できるのであればファンの種類は特に限定されず、例えば、モジュール吸入口11の近傍に設けられた吸入ファン13に代えて、モジュール排出口12の近傍に排出ファンを設けてもよい。
【0018】
図1から
図5に示すように、冷却ラック20は、内部に複数の蓄電池モジュール10を収容するとともに、収容されたそれらの蓄電池モジュール10を冷却可能な機器である。
冷却ラック20は、ラック100及び空調装置21を備えている。
【0019】
ラック100は、蓄電池モジュール10及び他の電子部品15を収容するための空間を内部に画定している箱型の筐体である。
空調装置21は、ラック100の内部に冷却用の空気(例えば20℃程度の冷風)を供給するとともに、ラック100から排出された熱交換後の空気を取り込む空調機器である。空調装置21は、ラック100に着脱可能であってもよく、例えば、外気温度が低く、外気の取り込みだけで蓄電池モジュール10の冷却が可能であれば、空調装置21は備えていなくてもよい。
【0020】
箱型のラック100は、前面部110(ラック前面部)、背面部121、右側面部122、左側面部123、天面部124及び底面部125を有している。各面部は、例えば、板金加工によって製作されている。
前面部110は、蓄電池モジュール10の正面(モジュール吸入口11が設けられた面)と向かい合う面を含む部分である。空調装置21は、ラック100の内部に冷却用の空気を供給し、また、ラック100から排出された熱交換後の空気を取り込めるように、前面部110に取り付けられる。
背面部121は、蓄電池モジュール10の背面(モジュール排出口12が設けられた面)と向かい合う面を含む部分であり、また、前面部110と奥行方向に向かい合う部分でもある。
右側面部122は、蓄電池モジュール10の右側面と向かい合う面を含む部分である。
左側面部123は、蓄電池モジュール10の左側面と向かい合う面を含む部分であり、また、右側面部122と幅方向に向かい合う部分でもある。
天面部124は、蓄電池モジュール10の上面と向かい合う面を含む部分である。
底面部125は、蓄電池モジュール10の下面と向かい合う面を含む部分であり、また、天面部124と高さ方向に向かい合う部分でもある。
【0021】
ラック100が有している6つの面部のうち前面部110以外の5つの面部によって前面に開口101が設けられた箱型の部分が構成され、その開口101を閉塞/開放する扉としての前面部110がその箱型の部分に取り付けられている。
図1の場合、前面部110は、高さ方向に延びた一辺が右側面部122に対して回動自在に取り付けられている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、前面部110には、開口101を閉塞した状態においてラック100の内部と外部とを連通するラック吸入口111及びラック排出口112が形成されている。
ラック吸入口111は、前面部110に取り付けた空調装置21から供給される冷却用の空気をラック100の内部に取り込むための開口である。
ラック排出口112は、ラック100の内部から空調装置21に熱交換後の空気を排出するための開口である。ラック排出口112は、例えば、ラック吸入口111の上方に形成されている。
【0023】
ラック100の内部には、複数の蓄電池モジュール10が高さ方向に並べられる。また、最上段の蓄電池モジュール10の上方には、蓄電システム1の運転に必要な他の電子部品15が収容される。
このとき、複数の蓄電池モジュール10が収容される下部空間と他の電子部品15が収容される上部空間とは、水平仕切り板160によって区分けされている。水平仕切り板160は、板状の部材であり、面が高さ方向と略直交する姿勢でラック100の内部に設けられている。
【0024】
以上のように構成されたラック100は、
図1、
図2、
図4及び
図5並びに
図6及び
図7に示すように、仕切り板150を有している。
仕切り板150は、折れ曲がった帯状の板材であり、前面部110が開口101を閉塞した状態(閉じた状態)において蓄電池モジュール10の正面に向かって突出するように前面部110から立設している。
仕切り板150は、例えば、板金加工によって製作され、前面部110に溶接等によって固定されている。
【0025】
図6に示すように、ラック100(前面部110)を正面視したとき、仕切り板150は、前面部110が開口101を閉塞した状態(閉じた状態)において、全ての蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11及びラック吸入口111を含む第1領域Sf1と、ラック排出口112を含む第2領域Sf2と、を仕切っている。
詳細には、仕切り板150は、ラック100の前面部110と各蓄電池モジュール10の正面との間で画定された領域(正面領域Sf)を、全ての蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11及びラック吸入口111と連通した第1領域Sf1と、ラック排出口112と連通した第2領域Sf2とに区分けしている。
ただし、ここでいう「仕切る」や「区分け」は、完全に遮断することだけを意味するのではなく、空気が領域間で行き来しにくい状態にすることも意味する。
【0026】
図6及び
図7に示すように、仕切り板150は、例えば、ラック100の高さ方向(鉛直方向)に延びた2つの部分(鉛直部151,152)、及び、ラック100の幅方向(水平方向)に延びた部分(接続部153)を有している。
上方の鉛直部151は、幅方向においてラック排出口112と各蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11との間に位置して、上端が水平仕切り板160と近接するとともに下端が高さ方向においてラック排出口112とラック吸入口111との間に位置している。
下方の鉛直部152は、幅方向においてラック吸入口111及び各蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11よりも右側面部122寄りに位置して、上端が高さ方向においてラック排出口112とラック吸入口111との間に位置するとともに下端が底面部125と近接している。
接続部153は、高さ方向においてラック排出口112とラック吸入口111との間に位置するとともに、鉛直部151の下端と鉛直部152の上端とを接続している。
そして、ラック100(前面部110)を正面視したとき、仕切り板150から左側面部123までの正面領域Sfが第1領域Sf1となり、仕切り板150から右側面部122までの正面領域Sfが第2領域Sf2となる。
ただし、上述した仕切り板150の形状は例示であって、正面領域Sfを第1領域Sf1と第2領域Sf2とに仕切ることができるのであればその形状は特に限定されない。
【0027】
図1、
図2、
図4及び
図5並びに
図6から
図8に示すように、ラック100は、側面板170を有していてもよい。
側面板170は、板状の部材であり、面が右側面部122と略平行となる姿勢で蓄電池モジュール10の右側面とラック100の右側面部122との間に設けられている。
側面板170を設けることで、側面板170と右側面部122と間で戻り流路Prが画定される。
ただし、蓄電池モジュール10の右側面とラック100の右側面部122とによって戻り流路Prを画定できる場合は、側面板170を設けなくてもよい。
【0028】
戻り流路Prは、背面領域Sbと正面領域Sfの第2領域Sf2とを接続している。ここで、背面領域Sbは、ラック100の背面部121と各蓄電池モジュール10の背面との間で画定されるとともに、全ての蓄電池モジュール10のモジュール排出口12と連通した領域である。
すなわち、戻り流路Prは、各蓄電池モジュール10のモジュール排出口12から排出された熱交換後の空気を第2領域Sf2に導くための流路である。
【0029】
なお、
図4及び
図5に示すように、幅方向において、蓄電池モジュール10の中心をラック100の中心に対して左側面部123側にオフセットする、すなわち、蓄電池モジュール10を左側面部123に寄せて配置することが好ましい。
オフセットすることで、蓄電池モジュール10の右側面とラック100の右側面部122との間で画定された空間の幅(戻り流路Prとなり得る空間の幅)を、蓄電池モジュール10の左側面とラック100の左側面部123との間で画定された空間の幅よりも大きくすることができる。これによって、戻り流路Prの流路幅を広く確保できるので、各蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11から排出された空気が戻り流路Prに流れ込みやすくなる。
蓄電池モジュール10の位置は、蓄電池モジュール10をラック100の内部で位置決め及び固定する固定部140の位置で決定される。
【0030】
また、
図3から
図5並びに
図7及び
図8に示すように、ラック100は、背面仕切り板180を有していてもよい。
背面仕切り板180は、真っ直ぐな帯状の板材であり、蓄電池モジュール10の背面に向かって突出するように背面部121から立設している。
背面仕切り板180は、例えば、板金加工によって製作され、背面部121に溶接等によって固定されている。
背面仕切り板180は、幅方向において左側面部123と各蓄電池モジュール10のモジュール排出口12との間に位置して、上端が水平仕切り板160と接触するとともに下端が底面部125と接触している。
背面仕切り板180を設けることによって、各蓄電池モジュール10のモジュール排出口12から排出された熱交換後の空気が、蓄電池モジュール10の左側面とラック100の左側面部123との間で画定された空間に流れ込むことを更に抑制することができる。
【0031】
また、
図5及び
図7に示すように、ラック100の仕切り板150の先端と蓄電池モジュール10の正面との間に隙間Gを設けてもよい。
隙間Gを設けることによって、第1領域Sf1に流入する空気(空調装置21からの冷風)の流量が、全ての蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11から取り込まれる空気の流量よりも多い場合に、隙間Gを介して第1領域Sf1に流入した空気の一部(余剰分の空気)を第2領域Sf2に導くことができる。これによって、蓄電池モジュール10に設けられた吸入ファン13が余剰分の空気によって過回転することを防止し、吸入ファン13を保護することができる。
【0032】
また、第1領域Sf1の容積を第2領域Sf2の容積よりも大きくすることが好ましい。
これによって、蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11から取り込まれる冷却用の空気を蓄えることでプレナムチャンバーとして機能し、各蓄電池モジュール10に供給される空気の量をより均一化することができる。
【0033】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
仕切り板150を設けることによって、正面領域Sfを、全てのモジュール吸入口11及びラック吸入口111と連通した第1領域Sf1と、ラック排出口112と連通した第2領域Sf2と、に仕切ることができる。
これによって、第1領域Sf1を流通する熱交換前の空気に、第2領域Sf2を流通する熱交換後の空気が混合することを抑制できる。そのため、第1領域Sf1にある空気の温度を上昇させることなく均一化することができ、結果として、第1領域Sf1からその空気を取り込む各蓄電池モジュール10が均一に冷却されることになる。これにより、蓄電池モジュール10毎の温度のばらつきが抑えられ、効率的に各蓄電池モジュール10を冷却することができ蓄電システム1の性能を向上させることができる。
【0034】
また、戻り流路Prを形成することによって、各蓄電池モジュール10のモジュール排出口12から排出された熱交換後の空気を第2領域Sf2に導くことができる。
【0035】
また、側面板170を設けることによって、簡便な構造で戻り流路Prを形成することができる。
【0036】
また、蓄電池モジュール10を左側面部123に寄せて配置可能な固定部140を設けることによって、蓄電池モジュール10の右側面とラック100の右側面部122との間で画定された空間の幅(戻り流路Prとなり得る空間の幅)を、蓄電池モジュール10の左側面とラック100の左側面部123との間で画定された空間の幅よりも大きくすることができる。これによって、戻り流路Prの流路幅を大きくとることができ、熱交換後の空気を効率的に第2領域Sf2に導くことができる。
【0037】
また、ラック100の仕切り板150の先端と蓄電池モジュール10の正面との間に隙間Gを設けることによって、第1領域Sf1に流入する空気(空調装置21から供給される冷風)の流量が、全ての蓄電池モジュール10のモジュール吸入口11から取り込まれる空気の流量よりも多い場合に、隙間Gを介して第1領域Sf1に流入した空気の一部(余剰分の空気)を第2領域Sf2に導くことができる。これによって、蓄電池モジュール10に設けられた吸入ファン13が余剰分の空気によって過回転することを防止することができる。
【0038】
また、第1領域Sf1の容積を第2領域Sf2の容積よりも大きくすることによって、蓄電池モジュール10に取り込まれる熱交換前の空気を蓄えることでプレナムチャンバーとして機能し、各蓄電池モジュール10に供給される空気の量をより均一化することができる。
【0039】
以上の通り説明した本実施形態は、例えば、以下のように把握される。
【0040】
本開示の第1態様に係るラック(100)は、気体が流入するモジュール吸入口(11)がモジュール正面に設けられるとともに熱交換後の気体が流出するモジュール排出口(12)がモジュール背面に設けられた蓄電池モジュール(10)を収容するラック(100)であって、前記モジュール正面と向かい合うラック前面部(110)と、前記モジュール正面と前記ラック前面部(110)との間に設けられた仕切り板(150)と、を備え、前記ラック前面部(110)には、気体が流入するラック吸入口(111)及び熱交換後の気体が流出するラック排出口(112)が形成され、前記仕切り板(150)は、前記蓄電池モジュール(10)が収容された状態で前記ラック前面部(110)を正面視したとき、全ての前記モジュール吸入口(11)及び前記ラック吸入口(111)を含む第1領域(Sf1)と前記ラック排出口(112)を含む第2領域(Sf2)とを仕切っている。
【0041】
本態様に係るラック(100)によれば、仕切り板(150)は、蓄電池モジュール(10)が収容された状態でラック前面部(110)を正面視したとき、全てのモジュール吸入口(11)及びラック吸入口(111)を含む第1領域(Sf1)とラック排出口(112)を含む第2領域(Sf2)とを仕切っているので、ラック前面部(110)側の空間において、熱交換前の気体(低温の気体)に熱交換後の気体(高温の気体)が混合することを抑制できる。そのため、低温の気体の温度を第1領域(Sf1)において均一化することができ、結果として、第1領域(Sf1)からその気体を取り込む各蓄電池モジュール(10)が均一に冷却されることになる。これによって、蓄電池モジュール(10)毎の温度のばらつきが抑えられ、蓄電システム(1)の性能を向上させることができる。
【0042】
本開示の第2態様に係るラック(100)は、第1態様において、前記モジュール排出口(12)と連通するとともに前記モジュール排出口(12)から排出された熱交換後の気体が前記第2領域(Sf2)に向かって流れる戻り流路(Pr)が形成されている。
【0043】
本態様に係るラック(100)によれば、戻り流路(Pr)が形成されているので、蓄電池モジュール(10)のモジュール排出口(12)から排出された熱交換後の気体を第2領域(Sf2)に導くことができる。
【0044】
本開示の第3態様に係るラック(100)は、第2態様において、モジュール側面と向かい合うラック側面部(122)と、前記ラック側面部(122)と前記モジュール側面との間に設けられた側面板(170)と、を備え、前記戻り流路(Pr)は、前記ラック側面部(122)と前記側面板(170)との間に形成されている。
【0045】
本態様に係るラック(100)によれば、戻り流路(Pr)は、ラック側面部(122)と側面板(170)との間に形成されているので、簡便な構造で戻り流路(Pr)を形成することができる。
【0046】
本開示の第4態様に係るラックは、第3態様において、前記蓄電池モジュール(10)が収容された状態で正面視したときに前記蓄電池モジュール(10)が前記ラック側面部(122)の反対側に寄せられて配置されるように前記蓄電池モジュール(10)を固定する固定部(140)を備えている。
【0047】
本態様に係るラック(100)によれば、蓄電池モジュール(10)が収容された状態で正面視したときに蓄電池モジュール(10)がラック側面部(122)の反対側に寄せられて配置されるように蓄電池モジュール(10)を固定する固定部(140)を備えているので、戻り流路(Pr)が位置するラック側面側の空間を反対側の空間よりも広くすることができる。そのため、戻り流路(Pr)の流路幅を大きくとることができ、熱交換後の気体を効率的に第2領域(Sf2)に導くことができる。
【0048】
本開示の第5態様に係るラック(100)は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記仕切り板(150)は、前記ラック前面部(110)に設けられ、前記モジュール正面との間に隙間(G)が設けられている。
【0049】
本態様に係るラック(100)によれば、仕切り板(150)は、ラック前面部(110)に設けられ、モジュール正面との間に隙間(G)が設けられているので、ラック吸入口(111)からラック(第1領域(Sf1))に流入する気体の流量がモジュール吸入口(11)から蓄電池モジュール(10)に取り込まれる気体の流量よりも多い場合に、当該隙間(G)を介して第1領域(Sf1)にある気体の一部(余剰分の気体)を第2領域(Sf2)に導くことができる。これによって、蓄電池モジュール(10)に設けられた気体の流れを生成するファンが余剰分の気体によって過回転することを防止することができる。
【0050】
本開示の第6態様に係るラック(100)は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第2領域(Sf2)の容積よりも前記第1領域(Sf1)の容積が大きい。
【0051】
本態様に係るラック(100)によれば、第2領域(Sf2)の容積よりも第1領域(Sf1)の容積が大きいので、蓄電池モジュール(10)に取り込まれる低温気体を多く蓄えることができる。
【0052】
本開示の第7態様に係る冷却ラック(20)は、第1態様から第6態様のいずれかに記載のラック(100)と、前記ラック吸入口(111)に気体を供給するとともに前記ラック排出口(112)から排出された熱交換後の気体を取り込む空調装置(21)と、を備えている。
【0053】
本開示の第8態様に係る蓄電システム(1)は、第7態様に記載の冷却ラック(20)と、複数の前記蓄電池モジュール(10)と、を備えている。
【符号の説明】
【0054】
1 蓄電システム
10 蓄電池モジュール
11 モジュール吸入口
12 モジュール排出口
13 吸入ファン
15 他の電子部品
20 冷却ラック
21 空調装置
100 ラック
101 開口
110 前面部
111 ラック吸入口
112 ラック排出口
121 背面部
122 右側面部
123 左側面部
124 天面部
125 底面部
140 固定部
150 仕切り板
151 鉛直部
152 鉛直部
153 接続部
160 水平仕切り板
170 側面板
180 背面仕切り板
G 隙間
Sf 正面領域
Sf1 第1領域
Sf2 第2領域
Sb 背面領域
Pr 戻り流路