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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012238
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】異常検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240123BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114431
(22)【出願日】2022-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中里 研一
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD08
2G024AD15
2G024AD17
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA17
2G024CA27
2G024FA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】監視対象装置の状態を、電池を内蔵したタイプのセンサで検出する異常検出装置において、電池やセンサ等の交換頻度を低く抑えることができる異常検出装置を提供する。
【解決手段】監視対象装置に設置されたセンサ10と、センサ10と通信可能に接続された制御装置20と、を備えた異常検出装置であって、制御装置20は、センサ10の出力を受信する受信部21と、センサ10の出力に基づいてセンサ10の出力頻度を決定する出力頻度決定部24と、を有し、センサ10は、監視対象装置の状態を検出する検出部と、検出部からの検出情報を出力頻度で制御装置20に送るセンサ制御部と、検出部およびセンサ制御部に給電する電池と、を有する、異常検出装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象装置(90)に設置されたセンサ(10)と、
前記センサ(10)と通信可能に接続された制御装置(20)と、
を備えた異常検出装置(1)であって、
前記制御装置(20)は、
前記センサ(10)の出力を受信する受信部(21)と、
前記センサ(10)の出力に基づいて前記センサ(10)の出力頻度(F)を決定する出力頻度決定部(24)と、
を有し、
前記センサ(10)は、
前記監視対象装置(90)の状態を検出する検出部(12)と、
前記検出部からの検出情報を前記出力頻度(F)で前記制御装置(20)に送るセンサ制御部(14)と、
前記検出部(12)および前記センサ制御部(14)に給電する電池(16)と、
を有する、
異常検出装置(1)。
【請求項2】
前記出力頻度決定部(24)は強化学習による学習済みモデルを含み、当該学習済みモデルで前記出力頻度(F)を決定する、
請求項1に記載の異常検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、監視対象装置の状態をセンサで検出する異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベルトコンベアの状態を当該ベルトコンベアに配置された温度センサ等で検出する異常検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―169097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ベルトコンベアのような監視対象装置の異常検出装置においては、センサへ電線を通じて給電することが難しい場合がある。その場合電池を内蔵したセンサを使用することもできるが、蓄電量の減少に応じて例えばセンサの交換が必要である。センサの交換には費用がかかるので交換頻度は低いほうがよい。交換頻度を低くするための方策として蓄電容量の大きい電池を使用することが考えられる。しかしながら、蓄電容量の大きい電池はそれ自体が高価であり、その使用はかえってコストアップとなってしまうおそれがある。
【0005】
本願発明は、監視対象装置の状態を電池を内蔵したタイプのセンサで検出する異常検出装置において、電池の大容量化を必要とせず、かつ、電池やセンサ等の交換頻度を低く抑えることができる異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のある観点によれば、監視対象装置(90)に設置されたセンサ(10)と、前記センサ(10)と通信可能に接続された制御装置(20)と、を備えた異常検出装置(1)であって、前記制御装置(20)は、前記センサ(10)の出力を受信する受信部(21)と、前記センサ(10)の出力に基づいて前記センサ(10)の出力頻度(F)を決定する出力頻度決定部(24)と、を有し、前記センサ(10)は、前記監視対象装置(90)の状態を検出する検出部(12)と、前記検出部からの検出情報を前記出力頻度(F)で前記制御装置(20)に送るセンサ制御部(14)と、前記検出部(12)および前記センサ制御部(14)に給電する電池(16)と、を有する、異常検出装置(1)が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、監視対象装置の状態を電池を内蔵したタイプのセンサで検出する異常検出装置において、電池の大容量化を必要とせず、かつ、電池やセンサ等の交換頻度を低く抑えることができる異常検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願発明の実施形態に係る異常検出装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】本願発明の実施形態に係る異常検出装置が有するセンサの機能を模式的に表したブロック図である。
図3】本願発明の実施形態に係る異常検出装置が有する制御装置の機能を模式的に表したブロック図である。
図4】本願発明の実施形態に係る異常検出装置が有するデータであり、劣化度合Dと出力頻度Fの増減量dFとの関係の一例を示すグラフである。
図5】本願発明の実施形態に係る異常検出装置が有する制御装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本願発明の別の実施形態に係る異常検出装置が有する制御装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について具体例を示して説明する。ただし、本実施形態は本願発明の一態様を示すものであり、本願発明を限定するものではなく、本願発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0010】
<異常検出装置>
以下では、本実施形態の異常検出装置1について説明する。異常検出装置1は図1に示すように、監視対象装置90に設置されたセンサ10(S1、S2、S3、・・・Sn)と、センサ10と通信可能に設けられた制御装置20とを備える。さらに、制御装置20から出力可能な表示装置50や音響装置60が接続されていてもよい。
【0011】
<監視対象装置>
監視対象装置90は例えば搬送装置(ベルトコンベア)である。監視対象装置90はベルトコンベアに限られるものではない。クレーンや掘削機等の建設機械や、工場で使われる加工機械や組み立て機械などの作動する機械全般が、異常検出装置1を適用可能な監視対象装置である。
【0012】
<センサ>
センサ10は監視対象装置90の状態を検出する。監視対象装置90の状態は例えば振動の大きさであり、この場合センサ10は加速度センサである。加速度センサは監視対象装置90の振動を検出できるように設置される。また、別の例で、監視対象装置90の状態は例えば温度であり、この場合センサ10は温度センサである。温度センサは監視対象装置90の温度を検出できるように設置される。また、センサ10は加速度センサや温度センサ以外の検出装置であってもよい。
【0013】
監視対象装置90において劣化が進んだ場合に発生する振動が大きくなる場合には、加速度センサをセンサ10として選択してもよい。監視対象装置90において劣化が進んだ場合に発生する温度が高くなる場合には、温度センサをセンサ10として選択してもよい。このように、監視対象装置90における劣化の出現具合に応じて、センサ10を選択するのがよい。
【0014】
図2に示すように、各センサ10(S1、S2、S3、・・・Sn)は、監視対象装置90の状態を検出する検出部12と、センサ制御部14と、電池16とを有している。
【0015】
検出部12は監視対象装置90の状態を検出する。
【0016】
センサ制御部14は検出部12が検出した検出情報を取得し制御装置20に送る。センサ制御部14はCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子等を備えて構成されていてもよい。
【0017】
電池16は検出部12やセンサ制御部14に給電する。蓄電量が少なくなるとセンサ10の機能が低下し作動に問題が生じるので、その場合には、蓄電量を回復させる必要がある。蓄電量を回復させるために、例えば、電池16またはセンサ10自体を交換する。蓄電量に関する情報はセンサ10から制御装置20に伝えられ、表示装置50や音響装置60を介して作業者に伝えられるように構成されていてもよい。
【0018】
センサ制御部14は、後述する出力頻度Fで、検出部12が検出した検出情報を取得し制御装置10に送る。例えばセンサS1の出力頻度F1が30分であれば、センサS1は30分ごとに検出情報を制御装置10に送る。
【0019】
出力頻度Fが低ければ、電池16の蓄電量はゆっくり減少する。一方、出力頻度Fが高ければ、電池16の蓄電量は速く減少する。例えば、センサS1が有する出力頻度F1が30分であり、センサS2が有する出力頻度F2が3分であれば、センサS1の電池B1に比べて、センサS2の電池B2の蓄電量は早く減少する。
【0020】
後述するように、出力頻度Fはセンサ10ごとに制御装置20で決定され、各センサ10に送られる。各センサ10は、出力頻度Fを記憶素子に記憶する。
【0021】
<制御装置>
制御装置20は、図3に示すように、受信部21と、判定部22と、通知部23と、出力頻度決定部24と、送信部25と、入力部26とを有する。尚、図3には学習部27が記載されているが、この実施形態においては必ずしも必要ではない。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子等を備えて構成されていてもよい。
【0022】
受信部21は各センサ10(S1、S2、S3、・・・Sn)から検出した情報を受信し、判定部22に送る。
【0023】
判定部22は、受信部21からの情報について正常範囲にあるか否かを判定する。正常範囲の閾値は、監視対象装置90が新品時の値に所定のマージンを考慮して設定してもよい。例えば、この閾値以下の値の場合正常と判定し、この閾値を上回る場合正常範囲にない(異常)と判定してもよい。
【0024】
判定部22は、センサ10からのデータを入力することによりその発生確率を出力可能な機械学習による学習済みモデルを有していてもよい。センサ10からのデータは多くの場合正常で、異常となる頻度は低い。そこで、判定部22は発生確率が所定値以上の場合に異常なしと判定し、逆に発生確率が所定値より低い場合に異常と判定してもよい。
【0025】
判定部22は判定結果を通知部23および出力頻度決定部24に送る。また、後述する別の実施形態において、学習部27が訓練中の場合には、判定部22は判定結果を学習部27にも送る。
【0026】
通知部23は、判定部22から取得した判定結果を、表示装置50または音響装置60を介して外部に通知する。例えば、表示装置50または音響装置60からセンサS3が異常である旨が通知された場合、作業者は監視対象装置90におけるセンサS3の周囲を点検することができる。
【0027】
作業者は通知に基づいて点検し、その点検結果を情報端末70に入力する。点検結果は情報端末70から入力部26に送られる。例えば、異常が通知された時刻、及び劣化度合Dを情報端末70に入力する。
【0028】
ここで、劣化度合Dは、例えば、小規模劣化SDと大規模劣化LDの二つにクラス分けされていてもよい。小規模劣化SDは、例えば、初期劣化であり早期に見つかったことにより簡単な修理で済む劣化である。大規模劣化LDはおおがかりな修理が必要な劣化である。小規模劣化と大規模劣化との間に、中規模劣化MDを定めても良い。小規模劣化SD、中規模劣化MD及び大規模劣化LDは修理費用の額によってクラス分けされてもよい。
【0029】
出力頻度決定部24は、判定部22および入力部26から情報を受け取る。判定部22および入力部26の情報に基づいて、出力頻度決定部24は出力頻度Fを決定する。
【0030】
例えば、センサSi(i=1~n)からの情報に関して判定部22の判定結果が“異常なし”である場合には、出力頻度決定部24はセンサSiの出力頻度Fiを低下させるように決定してもよい。また、“異常なし”が所定回数以上連続した場合に、出力頻度決定部24はセンサSiの出力頻度Fiを低下させるように決定してもよい。また、出力頻度Fiを低下させ次回の検出までのスパンを長くしても、いきなり大規模劣化LDに至らないと推測できる場合に、出力頻度決定部24はセンサSiの出力頻度Fiを低下させるように決定してもよい。出力頻度Fiを低下させることにより、電池の蓄電量の減少を抑えセンサ1の交換タイミングを遅らせることができる。
【0031】
出力頻度Fを低下させる場合、出力頻度Fの低下幅FDをセンサ10の設置個所の過去の劣化履歴に基づいて設定してもよい。センサ10が劣化の激しい場所に設置されているのであれば、低下幅FDを小さく、センサ10が劣化の少ない場所に設置されているのであれば、低下幅FDを大きく設定してもよい。
【0032】
例えば、センサSiからの情報に関して、判定部22の情報が“異常”であり、入力部26の情報である点検結果が“小規模劣化SD”であれば、センサSiの出力頻度Fiはちょうど良い頻度に調整されていると考えられる。すなわち、出力頻度Fiは電池の消耗が少なくなるように最小限の出力を行って、かつ、小規模劣化を発見し損ねることが無く、大規模劣化となる前にメンテナンスを施すことが可能な頻度に調整されていると考えられる。この場合、出力頻度決定部24はセンサSiの出力頻度Fiを維持すると決定してもよい。
【0033】
例えば、センサSiからの情報に関して、判定部22の情報が“異常”であり、入力部26の情報である点検結果が“大規模劣化LD”であれば、出力頻度決定部24は出力頻度Fiを高くするように決定してもよい。出力頻度Fiを高くすることにより、次回検出までのスパンを短くし、小規模劣化SDのうちに検出でき、劣化部分を修理することができる。
【0034】
出力頻度Fを高くする場合、出力頻度Fの上昇幅FIをセンサ10の設置個所の過去の劣化履歴に基づいて設定してもよい。センサ10が劣化の激しい場所に設置されているのであれば、上昇幅FIを大きく、センサ10が劣化の少ない場所に設置されているのであれば、上昇幅FIを小さく設定してもよい。
【0035】
例えば、センサSiからの情報に関して、判定部22の情報が“異常”である場合に、出力頻度決定部24は入力部26の情報である劣化度合Dに応じて、出力頻度Fiを増減するように決定してもよい。例えば、出力頻度決定部24は劣化度合Dが小規模劣化SDの場合には、出力頻度Fiを変更せず、劣化度合Dが大きくなるにつれて出力頻度Fiを現在よりも高くするように決定してもよい。
【0036】
図4は劣化度合Dと出力頻度Fiの増減幅dFiとの関係の一例を示すグラフである。横軸に劣化度合Dを表す修理費用、縦軸に出力頻度Fiの増減幅dFiを示す。劣化度合Dがゼロ(判定部22の情報が“異常なし)の場合に、出力頻度Fiを低下させることにより電池の蓄電量の減少を抑え、センサSiの交換タイミングを遅らせることができる。劣化度合Dが小規模劣化SDの場合に、出力頻度Fiの増減幅dFiはゼロである。センサSiの出力頻度Fiはちょうど良い頻度に調整されていると考えられるからである。大規模劣化LDの場合に、出力頻度Fiを高くすることにより次回検出までのスパンを短くし、小規模劣化を見逃さず検出し、その後大規模劣化LDに至らないようにすることができる。これらに加えて、極小規模劣化XSDや、中規模劣化MDを図4のように規定することもできる。さらに、これらの間に詳細な劣化度合Dが規定されてもよい。また、増減幅dFiは増減率であってもよい。この場合、図4における増減幅dFがゼロの点は増減率が1であり、増減幅dFがプラス(+)の範囲では増減率が1よりも大きく、増減幅dFがマイナス(-)の範囲では増減率が1よりも小さくなる。
【0037】
図4において、センサ10が劣化の激しい場所に設置されているのであれば、出力頻度Fiの増減幅dFiを一点鎖線(a)のように設定してもよい。また、センサ10が劣化の少ない場所に設置されているのであれば、出力頻度Fiの増減幅dFiを破線(c)のように設定してもよい。尚、実線(b)は、センサ10が劣化において中間レベルの場所に設置された場合の出力頻度Fiの増減幅dFiの関係を示す。劣化の激しい場所、劣化の少ない場所および劣化において中間レベルの場所の区別はセンサ10の設置場所における過去の劣化履歴によって定めても良い。例えば、頻繁に劣化や故障が検出されている場所は劣化の激しい場所と、これに比べて劣化や故障が検出される頻度が低い場所は劣化において中間レベルの場所と、劣化や故障が検出される頻度がさらに低い場所は劣化の少ない場所として定めることができる。
【0038】
本願発明の実施形態に係る異常検出装置により実行される出力頻度決定処理の一例を図5に示すフローチャートで説明する。
【0039】
ステップS10で、出力頻度決定部24は判定部22から情報を入手しステップS20に進む。
【0040】
ステップS20で、出力頻度決定部24は判定部22からの情報が“異常あり”か否かを判定する。“異常あり”(YES)の場合ステップS30に進み、“異常なし” (NO)の場合ステップS70に進む。
【0041】
ステップS30で、出力頻度決定部24は判定部22からの情報に対応する入力部26からの情報を入手する。判定部22からの情報に対応する入力部26からの情報とは、例えば、判定部22からの情報に基づいて作業者が点検した際の点検結果で、情報端末70から入力部に送られた情報である。判定部22からの情報と入力部26からの情報の対応関係は、例えば、異常が通知された時刻で対応関係を判別することができる。
【0042】
ステップS40で、出力頻度決定部24は劣化度合Dが大規模劣化LDか否かを判定する。劣化度合Dが大規模劣化LDである(YES)場合ステップS50に進み、劣化度合Dが大規模劣化LDでない(NO)場合ステップS60に進む。
【0043】
ステップS50で、出力頻度決定部24は出力頻度Fを高くするよう決定するとともに出力頻度Fの上昇幅FIを決めステップS90に進む。例えば、図4のdFに基づいて上昇幅FIを決定してもよい。
【0044】
ステップS60で、出力頻度決定部24は出力頻度Fを維持するよう決定しステップS10に戻る。
【0045】
ステップS70で、出力頻度決定部24は“異常なし”が所定回数以上連続したか否かを判定する。“異常なし”が所定回数以上連続した(YES)場合ステップS80に進み、“異常なし”が所定回数以上連続していない(NO)場合ステップS10に戻る。
【0046】
ステップS80で、出力頻度決定部24は出力頻度Fを低下するよう決定するとともに現在の出力頻度Fと低下幅FDから新たな出力頻度Fを決定し、ステップS90に進む。例えば、図4のdFに基づいて低下幅FDを決定してもよい。
【0047】
ステップS90で、出力頻度決定部24は新たな出力頻度Fを送信部25に送る。その後、新たな出力頻度Fは送信部25から対応するセンサSiに送信される。
【0048】
このように、本願発明の実施形態によれば、制御装置20は、電池の消耗が少なくなるように最小限の出力を行って、かつ、小規模劣化を発見し損ねることが無く、大規模劣化となる前にメンテナンスを施すことが可能な出力頻度Fをセンサ10ごとに決定することができる。各センサ10は制御装置20が決定した出力頻度Fに基づいて制御装置20に監視対象装置の情報を送ることができる。したがって、電池の大容量化を必要とせず、かつ、電池やセンサ等の交換頻度を低く抑えることができる異常検出装置を提供することができる。
【0049】
本願発明を実施するための別の実施形態について説明する。この別の実施形態においては、先に説明した実施形態に対して制御装置20のみが異なる。
【0050】
<別の実施形態における制御装置>
制御装置20は、図3に示すように、受信部21と、判定部22と、通知部23と、出力頻度決定部24と、送信部25と、入力部26とに加えて、学習部27を有する。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子等を備えて構成されていてもよい。
【0051】
出力頻度決定部24は、学習部27で出力頻度Fについて強化学習により学習された学習済みモデルを含み、当該学習済みモデルで出力頻度Fを決定するように構成されていてもよい。
【0052】
学習部27は、判定部22および入力部26からの情報を用いて、出力頻度Fを決定するモデルを強化学習で訓練する。この訓練において目標とするところは、電池の消耗が少なくなるように最小限の出力を行って、かつ、小規模劣化を発見し損ねることが無く、大規模劣化となる前にメンテナンスを施すことが可能な出力頻度Fを決定することである。学習部27で実行される訓練において、目標とする状態である、判定部22の情報が“異常”であり、入力部の情報が“小規模劣化SD”である場合に、正の報酬を与える。このように報酬を与え、強化学習で訓練を繰り返すことにより、判定部22および入力部26の情報を用いて、目標とする出力頻度Fを決定する学習済みモデルを取得することができる。すなわち、電池の消耗が少なくなるように最小限の出力を行って、かつ、小規模劣化を発見し損ねることが無く、大規模劣化となる前にメンテナンスを施すことが可能な出力頻度Fを決定する学習済みモデルを取得することができる。強化学習が例えばQ学習であれば、学習済みモデルはQテーブルである。
【0053】
さらに、報酬として、判定部22の情報が“異常”であり、入力部の情報が“大規模劣化LD”である場合に、負の報酬を与えることを追加しても良い。大規模劣化LDを引き起こす出力頻度Fに誘導する可能性のある学習モデルに収束することがないようにするためである。
【0054】
学習部27はニューラルネットワークを使って学習する。このニューラルネットワークを使った強化学習は公知のものであり、詳細の説明は割愛する。
【0055】
本願発明の別の実施形態に係る異常検出装置により実行される出力頻度決定処理の一例を図6に示すフローチャートで説明する。
【0056】
ステップS110で、出力頻度決定部24は判定部22から情報を入手しステップS120に進む。
【0057】
ステップS120で、出力頻度決定部24は判定部22からの情報が“異常あり”か否かを判定する。“異常あり”(YES)の場合ステップS130に進み、“異常なし” (NO)の場合ステップS140に進む。
【0058】
ステップS130で、出力頻度決定部24は判定部22からの情報に対応する入力部26からの情報を取得し、ステップS150に進む。
【0059】
ステップS140で、出力頻度決定部24は劣化度合がゼロである旨を決定し、ステップS150に進む。判定部22からの情報が“異常なし”なので、劣化度合はゼロであると考えても差し支えないからである。
【0060】
ステップS150で、出力頻度決定部24は判定部22からの情報と、入力部26からの情報とを強化学習で学習された学習済みモデルに入力し、ステップS160に進む。
【0061】
ステップS160で、出力頻度決定部24は学習済みモデルの出力から新たな出力頻度Fを決定し、ステップS170に進む。
【0062】
ステップS170で、出力頻度決定部24は新たな出力頻度Fを送信部25に送る。その後、新たな出力頻度Fは送信部25から対応するセンサSiに送信される。
【0063】
尚、図6に示すフローチャートにおいては、学習部27で訓練された学習済みモデルが出力頻度決定部24に既に含まれている。また、図6に示すフローチャートで実行される出力頻度決定処理に平行して、学習部27は、判定部22および入力部26からの情報を用いて、出力頻度Fを決定するモデルを強化学習で訓練し、適時、出力頻度決定部24に含まれる学習済みモデルが更新されるようにしてもよい。
【0064】
このように、本願発明の別の実施形態によれば、制御装置20は、電池の消耗が少なくなるように最小限の出力を行って、かつ、小規模劣化を発見し損ねることが無く、大規模劣化となる前にメンテナンスを施すことが可能な出力頻度Fをセンサ10ごとに、強化学習による学習済みモデルを用いて決定することができる。各センサ10は制御装置20が決定した出力頻度Fに基づいて制御装置20に監視対象装置の情報を送ることができる。したがって、電池の大容量化を必要とせず、かつ、電池やセンサ等の交換頻度を低く抑えることができる異常検出装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 異常検出装置、10 センサ、12 検出部、14 センサ制御部、16 電池、20 制御装置 21 受信部、22 判定部、23 通知部、24 出力頻度決定部、25 送信部、26 入力部、27 学習部、50 表示装置、60 音響装置、70 情報端末、90 監視対象装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6