(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122385
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】照明装置、及び、それを備えた壁掛式の水洗大便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20240902BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20240902BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240902BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240902BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240902BHJP
F21W 131/30 20060101ALN20240902BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240902BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
A47K17/00
E03D9/00 Z
F21V33/00
F21S2/00 340
F21S2/00 370
F21W131:30
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029901
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
(72)【発明者】
【氏名】三宅 優哉
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
3K014
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037EA03
2D037EA04
2D038ZA00
2D039AA02
2D039CA01
2D039CC01
2D039CD03
3K014AA01
3K014PF00
(57)【要約】
【課題】便器下方の床面を照射することができ、清掃性がよい照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置14は、便器本体2の下方の床面Fを照射する照明装置であって、便器本体2又はその後方のキャビネットに固定される固定部30aと、この固定部に取り付けられて光Lを発光する光源34aを含む発光部34と、透光性材料で形成されて発光部を覆う透光性カバー40と、を有し、この透光性カバーは、固定部により便器又はキャビネットに固定されている状態において、その露出された表面部分が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器下方の床面を照射する照明装置であって、
便器又はその後方のキャビネットに固定される固定部と、
この固定部に取り付けられて光を発光する光源を含む発光部と、
透光性材料で形成されて上記発光部を覆う透光性カバーと、を有し、
上記透光性カバーは、上記固定部により上記便器又は上記キャビネットに固定されている状態において、その露出された表面部分が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
さらに、上記光源を上記透光性カバー内に固定する固定部材を有し、この固定部材は、上記光源から発光される光が上方に拡散しないように上記光源の上方を遮蔽するように設けられている請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
さらに、上記光源の下方に配置される遮光部を有し、この遮光部には、上記光源から発光される光が透光可能に貫く開口部が形成されている請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
さらに、上記固定部材と上記透光性カバーとの間に設けられた遮光補助部材を有する請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
上記透光性カバーは、その照射側の面がほぼ平坦に形成されている請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の照明装置を備えた壁掛式の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、及び、それを備えた壁掛式の水洗大便器に係り、特に、便器下方の床面を照射する照明装置、及び、それを備えた壁掛式の水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器下方の床面を照射する照明装置として、壁掛式の水洗大便器の便器本体の一部に取り付けられているもの(例えば、特許文献1、2参照)や、壁掛式の水洗大便器の便器本体の後方のキャビネットに取り付けられているもの(例えば、特許文献3参照)が知られている。
これらの特許文献1-3に記載されている従来の照明装置においては、使用者がアクセスし難い便器本体の下方や、便器本体の後方のキャビネットの下方に設けられており、複数の部品から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-147889号公報
【特許文献2】特開2021-141961号公報
【特許文献3】特開2018-79056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1-3に記載されている従来の照明装置においては、その複数の部品間に隙間があるため、このような隙間に汚れが入り込むと、汚れを取り除くことが難しく、清掃性の低下を招いているという問題がある。
したがって、便器やその後方のキャビネットに設けられている照明装置の清掃性をいかに向上させるかが、近年要請されている課題ともなっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、便器下方の床面を照射することができ、清掃性がよい照明装置、及び、それを備えた壁掛式の水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、便器下方の床面を照射する照明装置であって、便器又はその後方のキャビネットに固定される固定部と、この固定部に取り付けられて光を発光する光源を含む発光部と、透光性材料で形成されて上記発光部を覆う透光性カバーと、を有し、上記透光性カバーは、上記固定部により上記便器又は上記キャビネットに固定されている状態において、その露出された表面部分が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、発光部の光源から発光された光は、発光部を覆う透光性カバーを透過し、便器下方の床面に照射されるため、便器下方の空間や床面を明るく照らすことができる。
また、固定部により便器又はキャビネットに固定されている状態の透光性カバーについて、その露出された表面部分が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなることにより、汚れが透光性カバーの表面部分の切れ目に入り込むリスクを排除することができる。
さらに、透光性カバーの表面部分に汚れが付着したとしても、透光性カバーが切れ目なく一体的に形成された単一部材からなるため、その表面部分の拭き取り作業等がしやすいため、清掃性を向上させることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、さらに、上記光源を上記透光性カバー内に固定する固定部材を有し、この固定部材は、上記光源から発光される光が上方に拡散しないように上記光源の上方を遮蔽するように設けられている。
このように構成された本発明においては、発光部の光源を透光性カバー内に固定する固定部材が、光源から発光される光が上方に拡散しないように光源の上方を遮蔽するように設けられていることにより、この固定部材が、発光部の光源から発光された光の上方への拡散を阻止して、不要な反射光や影の発生を低減することできる一方、便器下方の床面に対しては確実に光を拡散させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、さらに、上記光源の下方に配置される遮光部を有し、この遮光部には、上記光源から発光される光が透光可能に貫く開口部が形成されている。
このように構成された本発明においては、発光部の光源の下方に配置される遮光部について、光源から発光される光が透光可能に貫く開口部が形成されていることにより、発光部の光源から発光された光が遮光部の開口部を通過して便器下方の床面に照射される際に、開口部を通過する光の明るさを調節することができると共に、光を遮光部の開口部を通過することにより光の指向性を高めることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、上記固定部材と上記透光性カバーとの間に設けられた遮光補助部材を有する。
このように構成された本発明においては、固定部材と透光性カバーとの間に設けられた遮光補助部材により、固定部材と透光性カバーとの間の隙間をなくすことができる。
したがって、発光部の光源から発光された光が遮光部の開口部以外から便器下方の床面に照射されることを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記透光性カバーは、その照射側の面がほぼ平坦に形成されている。
このように構成された本発明においては、透光性カバーの照射側の面がほぼ平坦に形成されているため、発光部の光源から発光された光が透光性カバーの照射側の面を透過して便器下方の床面に照射された際に、床面の特定の領域に集光させた光のスポット感を高めることができる。
【0011】
また、本発明は、上記照明装置を備えた壁掛式の水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、便器下方の空間や床面を明るく照らすことができる共に清掃性を向上させることができる照明装置を備えた壁掛式の水洗大便器を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の照明装置、及び、それを備えた壁掛式の水洗大便器によれば、便器下方の床面を照射することができ、清掃性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器が壁に固定されている状態を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器が壁に固定されている状態を示す中央側面断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の底面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の背面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の照明装置を斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の照明装置の分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の便器本体に対して固定された状態の照明装置の中央側面断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の概略中央側面断面図であり、照明装置が光を床面に照射している状態を示す。
【
図10】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の概略斜視図であり、照明装置が光を床面に照射している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図10を参照して、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器について説明する。
まず、
図1及び
図2のそれぞれは、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器が壁に固定されている状態を示す分解斜視図、及び、中央側面断面図をそれぞれ示す。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器1は、その便器本体2の後端部(後方壁部2a)が、トイレ室T内の背面側の壁Wに固定されていると共に、便器本体2の下端部が床面Fから上方に離間するように配置されたものである。
また、
図1に示すように、本実施形態の壁掛式の水洗大便器1は、より具体的には、壁Wの背面側(壁裏側)に設けられた固定ユニットUによって便器本体2が壁裏側から固定された構造となっている。
さらに、固定ユニットU側には、水洗大便器1の便器本体2に洗浄水を供給する給水源である洗浄水供給装置4や、この洗浄水供給装置4を操作する洗浄操作装置6等が設けられており、これらの装置4,6が壁Wの裏側に隠蔽されている構造となっている。
なお、本実施形態の水洗大便器1においては、その便器本体2に洗浄水を供給する給水源である洗浄水供給装置4として、貯水タンク4a内に貯水された洗浄水を重力作用により便器本体2に供給する、いわゆる、「重力給水式」の貯水タンク4aを採用した形態について説明しているが、他の形態の給水源として、水道から給水圧を利用して洗浄水を直接的に便器本体2に供給する、いわゆる、「水道直圧式」の給水装置を採用してもよい。
その他、「フラッシュバルブ式」の給水装置や、貯水タンク内に貯水された洗浄水をポンプの補圧を利用して洗浄水を供給する「ポンプ式」の給水装置等を採用してもよい。
【0015】
つぎに、
図1及び
図2に示すように、本実施形態の水洗大便器1の便器本体2は、陶器で形成された陶器製の便器本体2である。
また、この陶器製の便器本体2は、汚物を受けるボウル部8と、このボウル部8の下方に入口部10aが接続されてボウル部8内の汚物を排出する排水トラップ部10とを備えている。
さらに、陶器製の便器本体2は、ボウル部8及び排水トラップ部10のそれぞれの外郭を側方から覆うスカート部12と、このスカート部12の後方に形成されて壁Wに対して固定される後端部(後方壁部2a)とを備えている。
ここで、
図2に示すように、便器本体2の排水トラップ部10は、その入口部10aの後方且つ下方の最下端部10bまで下降した後にその後方且つ上方の頂部10cまで上昇する屈曲管路10dを形成すると共に、この屈曲管路10dの頂部10cから後方且つ下方に下降する下降管路10eを形成している。
【0016】
また、
図3は、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の底面図である。
図2及び
図3に示すように、排水トラップ部10の最下端部10bよりも後方かつスカート部12の下端12aよりも上方の便器本体2の内部空間S内には、詳細は後述する照明装置14が設けられている。
この照明装置14は、便器本体2の後方壁部2aに対して固定されており、便器本体2の下方の床面Fに対して光を照射することができるようになっている。
【0017】
つぎに、
図4は、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の背面図であり、
図5は、
図3のV-V線に沿った断面図である。
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、陶器製の便器本体2が固定ユニットUにより壁Wに固定された状態の便器本体2においては、そのボウル部8の上流側に形成される主導水路16の上流端(後端)である入口部16aが、洗浄水供給装置4の貯水タンク4aから下流側に延びる給水管18に接続されている。
一方、陶器製の便器本体2が固定ユニットUにより壁Wに固定された状態の便器本体2においては、その排水トラップ部10の下流端(後端)である出口部10fが、壁Wの裏側の床面Fから上方に延びた後に前方に屈曲して延びる排水管20に接続されている。
ここで、本実施形態の壁掛式の水洗大便器1については、その便器本体2内のボウル部8の高さ方向の落差によりボウル部8内の汚物を洗い落す、いわゆる、「洗い落とし式」の水洗大便器であってもよいし、サイホン作用を利用してボウル部8内の汚物を吸い込んで排水トラップ部10から外部に排出する、いわゆる、「サイホン式」の水洗大便器の形態等、他の水洗大便器の形態であってもよい。
【0018】
つぎに、
図2~
図9を参照して、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14の詳細について説明する。
図6は、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14を斜め下方から見た斜視図である。また、
図7は、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14の分解斜視図である。さらに、
図8は、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の便器本体2に対して固定された状態の照明装置14の中央側面断面図である。また、
図9は、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器1の概略中央側面断面図であり、照明装置14が光を床面Fに照射している状態を示す。
【0019】
まず、
図2、
図3、
図5、
図6、
図8及び
図9に示すように、照明装置14は、便器本体2の排水トラップ部10の下降管路10eよりも下方の便器本体2の内部空間S内に設けられている。
ここで、
図9においては、照明装置14から照射される光Lの全体が照射される所定の床面領域を「照射領域A」としている。この照射領域Aの平面視の外形は、ほぼ円形となって、床面Fに照射された光Lの拡散範囲Aとなっている。
また、この照射領域A(拡散範囲A)の中心O1に照射される光を「拡散範囲Aの中心O1の光L1」としている。
さらに、
図9に示す照明装置14から床面Fの照射領域A(拡散範囲A)に照射される光Lの全体のうち、最大照度となる光Lを「最大照度の光L2」とし、この最大照度の光L2が照射される照射領域A内の点O2を「光Lの中心O2」としている。
つぎに、
図9に示すように、照明装置14は、照射される最大照度の光L2の中心O2が便器本体2の後方壁部2aよりも前方に位置するように配置されている。
また、
図9に示すように、照明装置14は、最も前方側に照射された光L3が便器本体2の排水トラップ部10の最下端部10bと重なることなく、この最下端部10bよりも前方に照射されるように配置されている。
さらに、
図9に示すように、照明装置14は、照射される最大照度の光L2の中心O2が便器本体2の排水トラップ部10の最下端部10bよりも後方に位置するように配置されている。
また、
図3、
図5、
図6、
図8、及び、
図9に示すように、照明装置14が設けられる便器本体2の内部空間Sを形成する壁面S1を備えており、この壁面S1の少なくとも一部の表面には、釉薬Gが塗布されている。
【0020】
つぎに、
図3~
図9に示すように、照明装置14は、その各部の構成や内部構造等の詳細については後述するが、便器本体2の後方壁部2aの前方側に固定されている。
また、この便器本体2の後方壁部2aに対する照明装置14の固定については、後方壁部2aの後方側から一対の締結部材(タッピンねじ22,22、ワッシャ24,24)により固定されている。
【0021】
つぎに、
図5~
図8を参照して、照明装置14の各部の構成と内部構造等の詳細について説明する。
まず、
図6~
図8に示すように、照明装置14の各構成については、後方側から前方側に向かって、一対のタッピンねじ22,22、一対のワッシャ24,24、陶器側止水パッキン26、複数(4つ)の本体固定用ねじ28,28,28,28、筐体30、給電用ハーネス32、LED基板34、複数(2つ)の基板固定用ねじ36,36、本体側止水パッキン38、及び、透光性カバー40から構成されている。
筐体30は、全体が遮光性材料(光を通し難い材料)からなり、その後方側に設けられた固定部30aが一対の締結部材(タッピンねじ22,22、ワッシャ24,24)により後方側から固定されるようになっている。
これにより、筐体30の固定部30aは、その後方側が陶器側止水パッキン26を介して便器本体2の後方壁部2aの前方側に固定されるようになっている。
また、筐体30は、後端部から前方に突出する支持受部30bを備えている。この支持受部30bの側壁30cは、その内部の空間を取り囲むように平面視で概ね矩形状に形成されている。
さらに、筐体30の支持受部30bにおける側壁30cの上端部には、LED基板34が取り付けられている。このLED基板34は、複数(2つ)の基板固定用ねじ36,36によって支持受部30bに対して固定されている。
ここで、LED基板34は、その下面において左右方向に配列された複数(4つ)の光源(LED素子34a,34a,34a,34a)を含む発光部となっている。
また、給電用ハーネス32は、その一端側がLED基板34の一部に電気的に接続され、他端側が水洗大便器1の機能部(図示せず)に電力を供給する給電ケーブル(図示せず)にコネクタ(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0022】
つぎに、
図5~
図8に示すように、透光性カバー40は、透光性材料で形成され、筐体30の支持受部30b及びLED基板34に対して上下、左右側方、及び前方から覆うように取り付けられている。
また、透光性カバー40の後方側は、筐体30の固定部30aの後方側から取り付けられた複数(4つ)の本体固定用ねじ28,28,28,28によって、本体側止水パッキン38を介して筐体30の固定部30aの前面に対して固定されている。
また、透光性カバー40は、その露出された表面部分が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなる。
さらに、透光性カバー40は、その照射側の面40a(下面40a)がほぼ平坦に形成されている。
【0023】
さらに、
図6~
図8に示すように、LED基板34は、その下面に複数(4つ)の光源(LED素子34a,34a,34a,34a)が左右方向に配列された薄板状の基板部材34bを備えている。
この基板部材34bは、複数(4つ)の光源(LED素子34a,34a,34a,34a)を透光性カバー40内に固定する固定部材であると共に、各光源34a,34a,34a,34aから発光される光Lが上方に拡散しないように、各光源34a,34a,34a,34aの上方を遮蔽する遮蔽部材として機能するようになっている。
より具体的には、筐体30自体は上方に開口しているため、LED基板34の基板部材34b自体が上方への光を遮断するようになっており、LED基板34の周りを回って上方に漏れる光については、光を通し難い材料でできている筐体30自体が遮断するようになっている。
【0024】
つぎに、筐体30は、その支持受部30bの下端に設けられた遮光部30dを備えている。
また、この遮光部30dにおいて、各光源34a,34a,34a,34aの下方に設けられている開口部30eは、各光源34a,34a,34a,34aから発光される光Lが透光可能に遮光部30dを上下方向に貫くように形成されている。
【0025】
さらに、筐体30は、LED基板34(各光源34a,34a,34a,34a)を透光性カバー40の内部に固定する固定部材ともなっている。
また、本体側止水パッキン38は、このような固定部材である筐体30の固定部30aの前面と、この前面と前後方向に対向する透光性カバー40内の後方側の段部(後方側段部40b)との間(隙間)を水密可能にすると共に、各光源34a,34a,34a,34aから発光された光Lが、筐体30の固定部30aの前面と透光性カバー40内の後方側段部40bとの間(隙間)から照出しないように遮光を補助する遮光補助部材として機能するようにもなっている。
【0026】
つぎに、
図1~
図10を参照して、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14の作用について説明する。
図10は、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の概略斜視図であり、照明装置14が光を床面Fに照射している状態を示す。
上述した本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)から発光された光Lは、発光部(LED基板34)を覆う透光性カバー40を透過し、便器本体2の下方の床面Fに照射されるため、便器本体2の下方の空間や床面Fを明るく照らすことができる。
また、照明装置14の固定部(筐体30の固定部30a)により便器本体2の後方壁部2aに固定されている状態の透光性カバー40について、その露出された表面部分が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなることにより、汚れが透光性カバー40の表面部分の切れ目に入り込むリスクを排除することができる。
さらに、透光性カバー40の表面部分に汚れが付着したとしても、透光性カバー40が切れ目なく一体的に形成された単一部材からなるため、その表面部分の拭き取り作業等がしやすいため、清掃性を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)を透光性カバー40内に固定する固定部材(基板部材34b)自体が、光源(LED素子34a)から発光される光Lが上方に拡散しないように光源(LED素子34a)の上方を遮蔽するように設けられている。
これにより、この基板部材34b自体が、発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)から発光された光Lの上方への拡散を阻止し、LED基板34の周りを回って上方に漏れる光については、遮光性材料からなる筐体30自体が遮断し、不要な反射光や影の発生を低減することできる一方、便器本体2の下方の床面Fに対しては確実に光を拡散させることができる。
【0028】
さらに、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)の下方に配置される筐体30の遮光部30dについて、光源(LED素子34a)から発光される光Lを透光可能に貫く開口部30eが形成されている。
これにより、発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)から発光された光Lが筐体30の遮光部30dの開口部30eを通過して便器本体2の下方の床面Fに照射される際に、開口部30eを通過する光Lの明るさを調節することができると共に、光Lを遮光部30dの開口部30eを通過することにより光Lの指向性を高めることができる。
【0029】
また、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その固定部材(筐体30)と透光性カバー40との間に設けられた遮光補助部材(本体側止水パッキン38)により、筐体30と透光性カバー40との間の前後方向の隙間をなくすことができる。
したがって、発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)から発光された光Lが遮光部30dの開口部30e以外から便器本体2の下方の床面Fに照射されることを抑制することができる。
【0030】
さらに、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その透光性カバー40の照射側の面(下面40a)がほぼ平坦に形成されている。
これにより、発光部(LED基板34)の光源(LED素子34a)から発光された光Lが透光性カバー40の照射側の面(下面40a)を透過して便器本体2の下方の床面Fに照射された際に、床面Fの特定の領域Aに集光させた光Lのスポット感を高めることができる。
【0031】
また、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、便器本体2の下方の空間や床面Fを明るく照らすことができる共に清掃性を向上させることができる照明装置14を備えた壁掛式の水洗大便器1を提供することができる。
【0032】
なお、上述した本実施形態の壁掛式の水洗大便器1の照明装置14においては、照明装置14が便器本体2における排水トラップ部10の最下端部10bよりも後方かつスカート部12の下端12aよりも上方の便器本体2の内部空間S内に設けられた形態について説明したが、このような形態に限られず、照明装置14を便器本体2の使用者側から見えないように便器本体2の後方の壁W側又はキャビネット側で便器本体2よりも下方の箇所等に設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 壁掛式の水洗大便器
2 便器本体
2a 便器本体の後端部、後方壁部
4 洗浄水供給装置
4a 貯水タンク
6 洗浄操作装置
8 ボウル部
10 排水トラップ部
10a 排水トラップ部の入口部
10b 排水トラップ部の最下端部
10c 排水トラップ部の頂部
10d 排水トラップ部の屈曲管路
10e 排水トラップ部の下降管路
10f 排水トラップ部の出口部
12 スカート部
12a スカート部の下端
14 照明装置
16 主導水路
16a 主導水路の入口
18 給水管
20 排水管
22 タッピンねじ
24 ワッシャ
26 陶器側止水パッキン
28 本体固定用ねじ
30 筐体(照明装置の固定部、固定部材)
30a 筐体の固定部(照明装置の固定部)
30b 筐体の支持受部
30c 筐体の支持受部の側壁
30d 筐体の遮光部
30e 筐体の遮光部の開口部
32 給電用ハーネス
34 LED基板(発光部)
34a LED素子(光源)
34b 基板部材(固定部材)
36 基板固定用ねじ
38 本体側止水パッキン(遮光補助部材)
40 透光性カバー
40a 透光性カバーの下面(照射側の面)
40b 透光性カバー内の後方側段部
A 光が照射される所定の床面領域、床面における光の照射領域、光の拡散範囲
F トイレ室内及び壁裏側の床面
G 釉薬
L 照射される光
L1 照射領域(拡散範囲)の中心に照射される光
L2 最大照度の光
L3 最も前方側に照射された光
LG 光のグラデーション
O1 床面の照射領域の中心、光の拡散範囲の中心
O2 光の照射領域内における最大照度の光が照射される点(光の中心)
S 便器本体の内部空間
S1 便器本体の内部空間を形成する壁面
T トイレ室
U 固定ユニット
W 壁