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特開2024-122386照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット
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  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図1
  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図2
  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図3
  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図4
  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図5
  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図6
  • 特開-照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122386
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20240902BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20240902BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/02 Z
E03D11/13
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029902
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
(72)【発明者】
【氏名】三宅 優哉
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
【Fターム(参考)】
2D037EA03
2D037EA04
2D039AA02
2D039AD00
2D039AD04
2D039CD03
2D039FA03
(57)【要約】
【課題】トイレ室内が暗がりでも、使用者をトイレ室内の水洗大便器下方の床面の適正な定位置に誘導することができる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置14は、水洗大便器1又はその後方のキャビネットに設けられた照明装置本体14aを有し、水洗大便器は、汚物を受けるボウル部8と、このボウル部の下方に入口部10aが接続されてボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部10と、を含む便器本体2を備えており、照明装置本体は、便器本体の前端2bよりも後方に配置されており、この照明装置本体から照射された光Lが便器本体の一部に遮られ、床面Fに対して使用者Mを誘導するための影Sを形成するように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室内の水洗大便器下方の床面を照射する照明装置であって、
水洗大便器又はその後方のキャビネット若しくは壁面内に設けられた照明装置本体を有し、
上記水洗大便器は、汚物を受けるボウル部と、このボウル部の下方に入口部が接続されて上記ボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部と、を含む便器本体を備えており、
上記照明装置本体は、上記便器本体の前端よりも後方に配置されており、この照明装置本体から照射された光が上記便器本体の一部に遮られ、上記床面に対して使用者を誘導するための影を形成するように構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記照明装置本体は、上記便器本体の下方且つ後方に配置され、上記便器本体の前方の床面に使用者を誘導するための影を形成するように構成されている請求項1記載の壁掛式の水洗大便器。
【請求項3】
上記照明装置本体は、上記便器本体の左右幅方向の中央部に配置され、上記便器本体から遠ざかるにしたがって左右方向の幅が拡大する影を形成するように構成されている請求項2記載の壁掛式の水洗大便器。
【請求項4】
上記排水トラップ部は、上記入口部の後方且つ下方の最下端部まで下降した後にその後方且つ上方の頂部まで上昇する屈曲管路を形成しており、
上記照明装置本体は、上記排水トラップ部の上記最下端部よりも後方に配置され、上記照明装置本体から照射された光が上記排水トラップ部に遮られて影が形成されるように構成されている請求項2記載の照明装置。
【請求項5】
さらに、使用者の位置を検知する人体検知センサと、上記照明装置本体を制御する制御部と、を有し、
上記制御部は、上記照明装置本体から照射される光を上記人体検知センサから得られた信号に基づいて変化させる請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の照明装置を有する壁掛式の水洗大便器。
【請求項7】
上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の照明装置を有し、上記水洗大便器の後方に設けられたキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネットに係り、特に、トイレ室内の水洗大便器下方の床面を照射する照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレ室内の水洗大便器下方の床面を照射する照明装置として、壁掛式の水洗大便器の便器本体の一部に取り付けられているもの(例えば、特許文献1、2参照)や、壁掛式の水洗大便器の便器本体の後方のキャビネット若しくは壁面内に取り付けられているもの(例えば、特許文献3参照)が知られている。
これらの特許文献1-3に記載されている従来の照明装置においては、トイレ室内全体を明るくする光を照射する照明装置とは異なり、光量等が比較的小さく、水洗大便器下方の床面の一部の領域のみに光を照射する程度のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-147889号公報
【特許文献2】特開2021-141961号公報
【特許文献3】特開2018-79056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1-3に記載されている従来の照明装置においては、例えば、使用者が暗いトイレ室内で立小便をする際に、照明装置が水洗大便器下方の床面の一部の領域のみに光を照射していても、使用者にとっては、便器本体の前方の使用空間が暗がりとなるため、この使用空間内の自身の立ち位置や便器本体に対する適正な距離感を把握することが難しく、便器使用毎に便器下方の床面における立ち位置を一定にすることが難しいという問題がある。
これにより、使用者が立小便をする際には、使用者と便器本体との間の距離を適正に保つことができず、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができないという問題がある。
また、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りにより、水洗大便器やその周辺のトイレ室内の清掃に手間がかかるという問題もある。
したがって、トイレ室内が暗がりでも、使用者が便器本体に向けて立小便をする際に、いかに使用者と便器本体との間の距離を適正に保つように使用者の立ち位置を誘導し、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制するかが、近年要請されている課題ともなっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、トイレ室内が暗がりでも、使用者をトイレ室内の水洗大便器下方の床面の適正な定位置に誘導することができる照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、トイレ室内の水洗大便器下方の床面を照射する照明装置であって、水洗大便器又はその後方のキャビネット若しくは壁面内に設けられた照明装置本体を有し、上記水洗大便器は、汚物を受けるボウル部と、このボウル部の下方に入口部が接続されて上記ボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部と、を含む便器本体を備えており、上記照明装置本体は、上記便器本体の前端よりも後方に配置されており、この照明装置本体から照射された光が上記便器本体の一部に遮られ、上記床面に対して使用者を誘導するための影を形成するように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、水洗大便器又はその後方のキャビネット若しくは壁面内に設けられた照明装置本体が便器本体の前端よりも後方に配置されていることにより、この照明装置本体から照射された光が便器本体の一部に遮られ、トイレ室内の水洗大便器下方の床面に使用者を誘導するための影を形成することができる。
これにより、トイレ室内が暗くても、使用者をトイレ室内の水洗大便器下方の床面の適正な定位置に確実に誘導することができる。
したがって、例えば、使用者(男性)が水洗大便器の便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、影の誘導により使用者と便器本体との間の距離を適正に保つことができ、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、さらに、上記照明装置本体は、上記便器本体の下方且つ後方に配置され、上記便器本体の前方の床面に使用者を誘導するための影を形成するように構成されている。
このように構成された本発明においては、水洗大便器又はその後方のキャビネット若しくは壁面内に設けられた照明装置本体が便器本体の下方且つ後方に配置されていることにより、この照明装置本体から照射された光が、水洗大便器の便器本体の前方の床面に使用者を誘導するための影を形成することができる。
したがって、トイレ室内が暗くても、使用者が便器本体の前方の床面の影を目視することにより、使用者の立ち位置や、この立ち位置と便器本体との相対距離を把握することができる。
よって、使用者が明るい光を直視することなく、トイレ室内の水洗大便器の便器本体の前方の床面の適正な定位置に使用者をより確実に誘導することができる。
したがって、例えば、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、影により便器本体の前方の床面の適正な定位置に誘導された使用者と便器本体との間の距離を適正に保つことができ、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記照明装置本体は、上記便器本体の左右幅方向の中央部に配置され、上記便器本体から遠ざかるにしたがって左右方向の幅が拡大する影を形成するように構成されている。
このように構成された本発明においては、照明装置本体が、水洗大便器の便器本体の左右幅方向の中央部に配置されており、便器本体から遠ざかるにしたがって左右方向の幅が拡大する影を形成することができる。
これにより、例えば、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、便器本体の左右幅方向の中央部を把握しやすくなるため、トイレ室内の水洗大便器の便器本体の前方の床面における便器本体の左右幅方向の中心付近の適正な定位置に使用者を誘導しやすくすることができる。
したがって、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、使用者と便器本体との間の距離及び便器本体の左右幅方向の中心位置を適正に保つことができるため、便器本体に対する放尿のはみ出しを抑制することができると共に、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、上記排水トラップ部は、上記入口部の後方且つ下方の最下端部まで下降した後にその後方且つ上方の頂部まで上昇する屈曲管路を形成しており、上記照明装置本体は、上記排水トラップ部の上記最下端部よりも後方に配置され、上記照明装置本体から照射された光が上記排水トラップ部に遮られて影が形成されるように構成されている。
このように構成された本発明においては、照明装置本体が便器本体の排水トラップ部の最下端部よりも後方に配置されていることにより、照明装置本体から照射された光が便器本体の排水トラップ部に遮られるため、水洗大便器の便器本体の前方の床面に使用者を誘導するための影を確実に形成することができる。
これにより、例えば、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、影により便器本体の前方の床面の適正な定位置に誘導された使用者と便器本体との間の距離を適正に保つことができるため、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、さらに、使用者の位置を検知する人体検知センサと、上記照明装置本体を制御する制御部と、を有し、上記制御部は、上記照明装置本体から照射される光を上記人体検知センサから得られた信号に基づいて変化させる。
このように構成された本発明においては、照明装置本体を制御する制御部が、使用者の位置を検知する人体検知センサから得られた信号に基づいて、照明装置本体から照射される光(例えば、光の照度、光の点滅、光の色等)を変化させることができる。
したがって、制御部により変化された照明装置本体からの光により、トイレ室内の水洗大便器下方の床面に使用者を誘導するための影を形成することができるため、トイレ室内が暗くても、水洗大便器下方の床面に映し出された影の輪郭を見た使用者に対して、水洗大便器下方の床面の適正な定位置にいるかどうかを把握させることができ、トイレ室内の水洗大便器下方の床面の定位置に使用者を確実に誘導することができる。
よって、例えば、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、影の誘導により使用者と便器本体との間の距離を適正に保つことができ、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0011】
また、本発明は、上記照明装置を有する壁掛式の水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、トイレ室内の水洗大便器下方の床面の適正な定位置に使用者を確実に誘導することができ、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる照明装置を有する壁掛式の水洗大便器を提供することができる。
【0012】
また、本発明は、上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の照明装置を有し、上記水洗大便器の後方に設けられたキャビネットである。
このように構成された本発明においては、使用者が便器本体のボウル部内に向けて立小便をする際に、トイレ室内の水洗大便器下方の床面の適正な定位置に使用者を確実に誘導することができ、便器本体からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる照明装置を有する、水洗大便器の後方に設けられたキャビネットを提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の照明装置、それを有する壁掛式の水洗大便器、及び、この水洗大便器の後方に設けられたキャビネットによれば、トイレ室内が暗がりでも、使用者をトイレ室内の水洗大便器下方の床面の適正な定位置に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器が壁に固定されている状態を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器が壁に固定されている状態を示す中央側面断面図である。
図3】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の底面図である。
図4】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の平面図である。
図5図3のV-V線に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の概略中央側面断面図であり、照明装置が光を床面に照射して便器本体の前方の床面に使用者を誘導するための影を形成している状態を示す。
図7】本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の概略斜視図であり、照明装置が光を床面に照射して便器本体の前方の床面に使用者を誘導するための影を形成している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図7を参照して、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器について説明する。
まず、図1及び図2のそれぞれは、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器が壁に固定されている状態を示す分解斜視図、及び、中央側面断面図をそれぞれ示す。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器1は、その便器本体2の後端部(後方壁部2a)が、トイレ室T内の背面側の壁Wに固定されていると共に、便器本体2の下端部が床面Fから上方に離間するように配置されたものである。
また、図1に示すように、本実施形態の壁掛式の水洗大便器1は、より具体的には、壁Wの背面側(壁裏側)に設けられた固定ユニットUによって便器本体2が壁裏側から固定された構造となっている。
さらに、固定ユニットU側には、水洗大便器1の便器本体2に洗浄水を供給する給水源である洗浄水供給装置4や、この洗浄水供給装置4を操作する洗浄操作装置6等が設けられており、これらの装置4,6が壁Wの裏側に隠蔽されている構造となっている。
なお、本実施形態の水洗大便器1においては、その便器本体2に洗浄水を供給する給水源である洗浄水供給装置4として、貯水タンク4a内に貯水された洗浄水を重力作用により便器本体2に供給する、いわゆる、「重力給水式」の貯水タンク4aを採用した形態について説明しているが、他の形態の給水源として、水道から給水圧を利用して洗浄水を直接的に便器本体2に供給する、いわゆる、「水道直圧式」の給水装置を採用してもよい。
その他、「フラッシュバルブ式」の給水装置や、貯水タンク内に貯水された洗浄水をポンプの補圧を利用して洗浄水を供給する「ポンプ式」の給水装置等を採用してもよい。
【0016】
つぎに、図1及び図2に示すように、本実施形態の水洗大便器1の便器本体2は、陶器で形成された陶器製の便器本体2である。
また、この陶器製の便器本体2は、汚物を受けるボウル部8と、このボウル部8の下方に入口部10aが接続されてボウル部8内の汚物を排出する排水トラップ部10とを備えている。
さらに、陶器製の便器本体2は、ボウル部8及び排水トラップ部10のそれぞれの外郭を側方から覆うスカート部12と、このスカート部12の後方に形成されて壁Wに対して固定される後端部(後方壁部2a)とを備えている。
ここで、図2に示すように、便器本体2の排水トラップ部10は、その入口部10aの後方且つ下方の最下端部10bまで下降した後にその後方且つ上方の頂部10cまで上昇する屈曲管路10dを形成すると共に、この屈曲管路10dの頂部10cから後方且つ下方に下降する下降管路10eを形成している。
【0017】
つぎに、図3は、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の底面図である。また、図4は、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器の平面図である。さらに、図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
図2図3、及び、図5に示すように、排水トラップ部10の最下端部10bよりも後方かつスカート部12の下端12aよりも上方の便器本体2の内部空間V内には、詳細は後述する照明装置14が設けられている。
この照明装置14は、便器本体2の後方壁部2aに対して固定されており、便器本体2の下方の床面Fに対して光を照射することができるようになっている。
また、図2及び図4に示すように、照明装置14の照明装置本体14aから照射された光Lは、便器本体2の一部(例えば、排水トラップ部10の一部等)に遮られ、便器本体2の前方の床面Fに対して使用者Mの立ち位置を誘導するための影Sを形成することができるようになっている。
【0018】
つぎに、図1図2図4及び図5に示すように、陶器製の便器本体2が固定ユニットUにより壁Wに固定された状態の便器本体2においては、そのボウル部8の上流側に形成される主導水路16の上流端(後端)である入口部16aが、洗浄水供給装置4の貯水タンク4aから下流側に延びる給水管18に接続されている。
一方、陶器製の便器本体2が固定ユニットUにより壁Wに固定された状態の便器本体2においては、その排水トラップ部10の下流端(後端)である出口部10fが、壁Wの裏側の床面Fから上方に延びた後に前方に屈曲して延びる排水管20に接続されている。
ここで、本実施形態の壁掛式の水洗大便器1については、その便器本体2内のボウル部8の高さ方向の落差によりボウル部8内の汚物を洗い落す、いわゆる、「洗い落とし式」の水洗大便器であってもよいし、サイホン作用を利用してボウル部8内の汚物を吸い込んで排水トラップ部10から外部に排出する、いわゆる、「サイホン式」の水洗大便器の形態等、他の水洗大便器の形態であってもよい。
【0019】
また、図2及び図4に示すように、便器本体2の上面におけるボウル部8の後方かつ上方には、使用者Mの局部を洗浄する局部洗浄装置WL等を含む機能部Dが設けられている。
この機能部Dは、さらに、人体検知センサ22と、コントローラ24とを備えている。人体検知センサ22は、機能部Dの前方側の一部に設けられており、水洗大便器1の使用者Mの位置を検知するセンサである。
また、コントローラ24は、局部洗浄装置WLの作動等を制御することができると共に、照明装置本体14aを制御することができる制御部となっている。
さらに、コントローラ24は、人体検知センサ22から送信される信号26に基づいて、照明装置本体14aから照射される光Lを変化させる信号28を照明装置本体14aに対して送信するようになっている。
ちなみに、図4に示すように、人体検知センサ22の検知範囲A0については、平面視において、便器本体2の前端2bにおける左右幅方向の中心O1を中心に半径R1(例えば、R1=300mm)程度の半円弧状の検知範囲A0となっている。
また、照明装置14は、給電ケーブル(図示せず)を介して機能部Dの電源(図示せず)に対して電気的に接続されている。
【0020】
つぎに、図2図7を参照して、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14の詳細について説明する。
図6及び図7のそれぞれは、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器1の概略中央側面断面図及び概略斜視図であり、照明装置14が光を床面Fに照射して便器本体2の前方の床面Fに使用者Mを誘導するための影Sを形成している状態を示す。
【0021】
まず、図2図6に示すように、照明装置14の本体14aは、便器本体2の前端2bよりも後方に配置され、便器本体2の下方且つ後方に配置されており、より具体的には、便器本体2の排水トラップ部10の下降管路10eよりも下方の便器本体2の内部空間V内に設けられている。
つぎに、図6に示すように、照明装置14の本体14aは、便器本体2の後方壁部2aの前方側に固定されており、照射される光Lの中心L0が便器本体2の後方壁部2aよりも前方に位置するように配置されている。
また、図6に示すように、照明装置14の本体14aは、最も前方側に照射された光L1が便器本体2の排水トラップ部10の屈曲管路10dの一部(屈曲管路10dの最下端部10b等)と重なりながら、この最下端部10bよりも前方に照射されるように配置されている。
さらに、図6に示すように、照明装置14の本体14aは、照射される光Lの中心L0が便器本体2の排水トラップ部10の最下端部10bよりも前方に位置するように配置されている。
【0022】
これらにより、照明装置14の本体14aから照射された光Lが便器本体2の一部に遮られるため、便器本体2の前方の床面Fに対して使用者Mを誘導するための影Sが形成されるようになっている。
一方、照明装置本体14aから照射された光Lは、床面Fの影Sよりも後方の便器本体2の真下や排水トラップ部10の最下端部10bよりも前方及び後方の所定の床面領域A1に対して照射され、光Lの照射領域の中心O2が便器本体2の真下の所定の床面領域A1内に配置されるようになっている。
【0023】
また、図3図5に示すように、照明装置14の本体14aは、便器本体2の左右幅方向の中央部2cに配置されている。
これにより、図4及び図7に示すように、照明装置14の本体14aから照射された光により便器本体2の前方の床面Fに影Sが形成された際に、この影Sの形状が、便器本体2から遠ざかるにしたがって左右方向の幅w1が拡大するようになっている。
【0024】
つぎに、図1図7を参照して、本発明の一実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14の作用について説明する。
上述した本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、水洗大便器1に設けられた照明装置14の本体14aが便器本体2の前端2bよりも後方に配置されている。
これにより、この照明装置14の本体14aから照射された光Lが便器本体2の一部に遮られ、トイレ室T内の水洗大便器1の下方の床面Fに使用者Mを誘導するための影Sを形成することができる。
これにより、トイレ室T内が暗くても、使用者Mをトイレ室T内の水洗大便器1の下方の床面Fの適正な定位置P0に確実に誘導することができる。
したがって、例えば、使用者(男性)Mが水洗大便器1の便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、影Sの誘導により図4の平面視における便器本体2の前端2bの左右幅方向の中心O1と影Sの先端(後端)P0との前後方向の距離d1、及び、使用者Mと便器本体2の前端2bとの間の前後方向の距離d2を適正に保つことができるため、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0025】
また、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、水洗大便器1に設けられた照明装置14の本体14aが便器本体2の下方且つ後方に配置されている。
これにより、この照明装置14の本体14aから照射された光Lが、水洗大便器1の便器本体2の前方の床面Fに使用者Mを誘導するための影Sを形成することができる。
したがって、トイレ室T内が暗くても、使用者Mが便器本体2の前方の床面Fの影Sを目視することにより、使用者Mの立ち位置P0や、この立ち位置P0と便器本体2との相対距離d2を把握することができる。
よって、使用者Mが明るい光を直視することなく、トイレ室T内の水洗大便器1の便器本体2の前方の床面Fの適正な定位置P0に使用者Mをより確実に誘導することができる。
したがって、例えば、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、影Sにより便器本体2の前方の床面Fの適正な定位置P0に誘導された使用者Mと便器本体2との間の距離d2を適正に保つことができ、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0026】
さらに、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その本体14aが、水洗大便器1の便器本体2の左右幅方向の中央部2cに配置されており、便器本体2から遠ざかるにしたがって左右方向の幅w1が拡大する影Sを形成することができる。
これにより、例えば、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、便器本体2の左右幅方向の中央部2cを把握しやすくなるため、トイレ室T内の水洗大便器1の便器本体2の前方の床面Fにおける便器本体2の左右幅方向の中心付近の適正な定位置P0に使用者Mを誘導しやすくすることができる。
したがって、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、使用者Mと便器本体2との間の距離d2及び便器本体2の前端2bの左右幅方向の中心O1の位置を適正に保つことができるため、便器本体2に対する放尿のはみ出しを抑制することができると共に、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その本体14aが便器本体2の排水トラップ部10の最下端部10bよりも後方に配置されている。
これにより、照明装置14の本体14aから照射された光Lの一部が便器本体2の排水トラップ部10に遮られるため、水洗大便器1の便器本体2の前方の床面Fに使用者Mを誘導するための影Sを確実に形成することができる。
これにより、例えば、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、影Sにより便器本体2の前方の床面Fの適正な定位置P0に誘導された使用者Mと便器本体2との間の距離d2を適正に保つことができるため、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0028】
さらに、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、その本体14aを制御するコントローラ24が、使用者Mの位置を検知する人体検知センサ22から得られた信号26に基づいて、照明装置14の本体14aから照射される光L(例えば、光の照度、光の点滅、光の色等)を変化させることができる。
したがって、コントローラ24により変化された照明装置14の本体14aからの光Lにより、トイレ室T内の水洗大便器1の下方の床面Fに使用者Mを誘導するための影Sを形成することができる。
例えば、トイレ室T内に入った使用者Mが、人体検知センサ22の検知範囲A0内に入ると、人体検知センサ22が使用者Mの存在を検知した後、照明装置14の電源(図示せず)がオンとなる。これにより、照明装置14の本体14aから水洗大便器1の下方の所定の床面領域A1に対して光Lが照射される。
このとき、検知範囲A0内の使用者Mからは照明装置14の本体14aから照射される光Lを直接見ることはできないが、検知範囲A0内の使用者Mが便器本体2に対して近づく程、照明装置14の本体14aから照射される光Lの照度が大きくなり、影Sの輪郭S1が床面Fにはっきりと映し出される。
そして、検知範囲A0内の使用者Mが適正な立ち位置(定位置)P0に立つと、これを検知した人体検知センサ22からの信号26を受信したコントローラ24が、使用者Mと便器本体2との間の距離d2が適正な距離であると判断し、照明装置14の本体14aに対して光Lを点滅させる信号28を送信し、使用者Mに適正な立ち位置P0であることを報知する。
これにより、トイレ室T内が暗くても、水洗大便器1の下方かつ前方の床面Fに映し出された影Sの輪郭S1を見た使用者Mに対して、水洗大便器1の下方かつ前方の床面Fの適正な定位置P0にいるかどうかを把握させることができるため、トイレ室T内の水洗大便器1の下方の床面Fの定位置P0に使用者Mを確実に誘導することができる。
よって、例えば、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、影Sの誘導により使用者Mと便器本体2との間の距離d2を適正に保つことができ、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態による壁掛式の水洗大便器1の照明装置14によれば、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、トイレ室T内の水洗大便器1の下方の床面Fの適正な定位置P0に使用者Mを確実に誘導することができ、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる照明装置14を有する壁掛式の水洗大便器1を提供することができる。
【0030】
なお、上述した本実施形態の壁掛式の水洗大便器1の照明装置14においては、照明装置14が便器本体2における排水トラップ部10の最下端部10bよりも後方かつスカート部12の下端12aよりも上方の便器本体2の内部空間V内に設けられた形態について説明したが、このような形態に限られず、他の実施形態として、照明装置14を便器本体2の使用者側から見えないように便器本体2の後方の壁W側又はキャビネット側若しくは壁面内側で便器本体2よりも下方の箇所等に設けてもよい。
このような他の実施形態による照明装置14によれば、使用者Mが便器本体2のボウル部8内に向けて立小便をする際に、トイレ室T内の水洗大便器1の下方の床面Fの適正な定位置P0に使用者Mを確実に誘導することができ、便器本体2からの尿の跳ね返りや飛び散りを抑制することができる照明装置14を有する、水洗大便器1の後方に設けられたキャビネットを提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 壁掛式の水洗大便器
2 便器本体
2a 便器本体の後端部、後方壁部
2b 便器本体の前端
2c 便器本体の左右幅方向の中央部
4 洗浄水供給装置
4a 貯水タンク
6 洗浄操作装置
8 ボウル部
10 排水トラップ部
10a 排水トラップ部の入口部
10b 排水トラップ部の最下端部
10c 排水トラップ部の頂部
10d 排水トラップ部の屈曲管路
10e 排水トラップ部の下降管路
10f 排水トラップ部の出口部
12 スカート部
12a スカート部の下端
14 照明装置
14a 照明装置の本体(照明装置本体)
16 主導水路
16a 主導水路の入口
18 給水管
20 排水管
22 人体検知センサ
24 コントローラ(制御部)
26 信号
28 信号
A0 検知範囲
A1 光が照射される所定の床面領域
D 機能部
d1 便器本体の前端の左右幅方向の中心と影の先端(後端)との前後方向の距離
d2 使用者と便器本体の前端との間の前後方向の距離
F トイレ室内及び壁裏側の床面
L 照射される光
L0 照射される光の中心
L1 最も前方側に照射された光
M 使用者
O1 便器本体の前端の左右幅方向の中心
O2 床面の照射領域の中心
P0 使用者の立ち位置、定位置
P1 影の先端、影の後端
S 影
S1 影の輪郭
T トイレ室
U 固定ユニット
V 便器本体の内部空間
W 壁
WL 局部洗浄装置
w1 影の左右方向の幅
図1
図2
図3
図4
図5
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図7