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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122393
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240902BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
F24F13/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029910
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】佐野 寛之
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L081FC01
3L081HA08
3L081HB04
3L211BA52
3L211DA14
3L211DA82
3L211DA95
(57)【要約】
【課題】ガイドフィン間の気密性を向上させてガイドフィン間からの空気の漏れを防止又は抑制可能な風向調整装置を提供する。
【解決手段】本発明の風向調整装置(1,2)は、ケース体と、ケース体内に回転可能に配される複数のガイドフィン(10)と、ガイド部(20,40)と、ガイド部(20,40)に往復移動可能に取り付けられる操作ノブ(30,50)とを有し、ガイドフィン(10)は、操作ノブ(30,50)の往復運動を回転運動に変える連結部(13)を有し、ガイドフィン(10)を全閉位置に回転させるときに、操作ノブ(30,50)と連結部(13) との干渉力を増大させて、ガイドフィン(10)を全閉位置側に回転させる回転力を生じさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気の流路が設けられたケース体と、前記ケース体内に回転可能に配されるとともに前記空気の流れを案内する複数のガイドフィンと、前記ガイドフィンに対して交差する方向に沿って配されるガイド部と、前記ガイド部に往復移動可能に取り付けられる操作ノブとを有し、複数の前記ガイドフィンは、前記操作ノブの移動により、互いに連動して回転する車両用風向調整装置において、
複数の前記ガイドフィンは、前記ケース体の前記流路を複数の前記ガイドフィンで閉鎖する全閉位置に回転可能に配され、
前記ガイドフィンは、前記操作ノブに連結するとともに前記操作ノブの往復運動を回転運動に変える連結部を有し、
前記操作ノブを移動させて前記ガイドフィンを前記全閉位置に回転させるときに、前記操作ノブと前記連結部との干渉力を増大させて、前記ガイドフィンを前記全閉位置側に回転させる回転力を生じさせる
ことを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
前記操作ノブを移動させて前記ガイドフィンを前記全閉位置に回転させるときに、前記干渉力として、前記操作ノブから前記連結部に負荷する荷重を増大させる荷重負荷部が設けられ、
前記連結部は、前記操作ノブから負荷される前記荷重が増大することにより、前記ガイドフィンを前記全閉位置側に回転させる回転力が生じるように設けられている
請求項1記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記操作ノブは、第1ギア部を有し、
前記連結部は、前記操作ノブの前記第1ギア部に噛み合う第2ギア部を有する
請求項1記載の風向調整装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記ガイドフィンの回転軸部と前記第2ギア部との間に設けられるスリットを有する
請求項3記載の風向調整装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、レール部を有し、
前記操作ノブは、前記レール部に摺動可能に係合するレール係合部を有し、
前記レール部は、前記操作ノブが前記ガイドフィンを前記全閉位置に回転させる方向に移動するときに、前記操作ノブを前記連結部に接近させるように案内する形状を有し、
前記荷重負荷部は、前記ガイド部の前記レール部と、前記操作ノブの前記レール係合部とにより形成されている
請求項2記載の風向調整装置。
【請求項6】
前記操作ノブは、前記操作ノブ内に配される弾性部材を有する
請求項1記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブによりガイドフィンの回転操作が行われる車両用の風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風向を調整する複数のガイドフィンを有する車両用風向調整装置として、ガイドフィン以外に設けた板状のシャットバルブを回転させることによって、空気の流路を開閉するものが従来から知られている。また、シャットバルブを有する風向調整装置では、一般的に、シャットバルブを回転操作するために、操作ダイヤルが、風向調整装置の空気吹き出し口の近傍に、乗員が操作を行うことが可能なように設けられている。
【0003】
一方、近年では、コストを削減することや、風向調整装置の周辺部をすっきりさせて車室内の意匠性(見栄え)を向上させること等の観点から、上述のようなシャットバルブ及び操作ダイヤルを排除し、風向を調整する複数のガイドフィン自体を利用して空気の流路を閉鎖する構造を備えた風向調整装置が、自動車に設置されるようになってきている。
【0004】
例えば特開2016-199074号公報(特許文献1)には、シャットバルブ及び操作ダイヤルを設けずに、操作ノブによって操作される複数のガイドフィンとガイドフィンの外側に配される一対の閉塞体とによって、空気の流路を閉鎖する風向調整装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-199074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように複数のガイドフィンを利用して空気の流路を閉鎖する構造を備えた風向調整装置では、通常、ガイドフィンの回転操作を行う操作ノブを、流路を閉鎖する方向側の移動限界位置に移動させることによって、複数のガイドフィンを少なくとも一部で互いに重ね合わせて、風向調整装置の空気の流路を閉鎖している。
【0007】
しかし、操作ノブを移動限界位置に移動させて複数のガイドフィンで空気の流路を閉鎖したときに、例えばガイドフィンの材質や各部品の加工精度のバラツキ等に起因して、互いに重ね合わされるガイドフィン間に小さな隙間が形成され、その隙間から空気が漏れるという不具合が生じることがあった。
【0008】
このため、従来では、ガイドフィン間からの空気の漏れを防止するために、例えば二色成形等により、各ガイドフィンを例えばエラストマー等の軟質材で被覆して形成することによって、複数のガイドフィンを少なくとも一部で互いに重ね合わせたときに、ガイドフィン同士の密着性を向上させること等の対応が行われている。
【0009】
しかし、このような空気漏れへの従来の対応は、生産性及び生産効率の低下、製造コストの増大等を招く一因となっている。このため、複雑な構造を用いなくても、上述したような空気の漏れを防止でき、また、製造コストの削減が図れるような風向調整装置が求められている。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数のガイドフィンを用いて空気の流路を閉鎖するときに、ガイドフィンが軟質材で被覆されてなくても、ガイドフィン間の気密性を向上させてガイドフィン間からの空気の漏れを防止又は抑制可能な風向調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明により提供される風向調整装置は、内部に空気の流路が設けられたケース体と、前記ケース体内に回転可能に配されるとともに前記空気の流れを案内する複数のガイドフィンと、前記ガイドフィンに対して交差する方向に沿って配されるガイド部と、前記ガイド部に往復移動可能に取り付けられる操作ノブとを有し、複数の前記ガイドフィンは、前記操作ノブの移動により、互いに連動して回転する車両用風向調整装置において、複数の前記ガイドフィンは、前記ケース体の前記流路を複数の前記ガイドフィンで閉鎖する全閉位置に回転可能に配され、前記ガイドフィンは、前記操作ノブに連結するとともに前記操作ノブの往復運動を回転運動に変える連結部を有し、前記操作ノブを移動させて前記ガイドフィンを前記全閉位置に回転させるときに、前記操作ノブと前記連結部との干渉力を増大させて、前記ガイドフィンを前記全閉位置側に回転させる回転力を生じさせる風向調整装置である。
【0012】
本発明の風向調整装置には、前記操作ノブを移動させて前記ガイドフィンを前記全閉位置に回転させるときに、前記干渉力として、前記操作ノブから前記連結部に負荷する荷重を増大させる荷重負荷部が設けられ、前記連結部は、前記操作ノブから負荷される前記荷重が増大することにより、前記ガイドフィンを前記全閉位置側に回転させる回転力が生じるように設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明の風向調整装置において、前記操作ノブは、第1ギア部を有し、前記連結部は、前記操作ノブの前記第1ギア部に噛み合う第2ギア部を有することが好ましい。
この場合、前記連結部は、前記ガイドフィンの回転軸部と前記第2ギア部との間に設けられるスリットを有することが好ましい。
【0014】
本発明の風向調整装置において、前記ガイド部は、レール部を有し、前記操作ノブは、前記レール部に摺動可能に係合するレール係合部を有し、前記レール部は、前記操作ノブが前記ガイドフィンを前記全閉位置に回転させる方向に移動するときに、前記操作ノブを前記連結部に接近させるように案内する形状を有し、前記荷重負荷部は、前記ガイド部の前記レール部と、前記操作ノブの前記レール係合部とにより形成されていることが好ましい。
また、前記操作ノブは、前記操作ノブ内に配される弾性部材を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の風向調整装置によれば、複数のガイドフィンを用いて空気の流路を閉鎖するときに、ガイドフィン間の気密性を向上させてガイドフィン間からの空気の漏れを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る風向調整装置の要部を模式的に示す模式図である。
図2図1に示した風向調整装置において、ガイドフィンで空気の流路を閉鎖したときの状態を示す模式図である。
図3】本発明の変形例に係る風向調整装置の要部を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例に係る風向調整装置の要部を模式的に示す模式図である。図2は、本実施例に係る風向調整装置において、ガイドフィンで空気の流路を閉鎖したときの状態を示す模式図である。なお、図1及び図2では、風向調整装置の構造をより判り易く示すために、断面を表すハッチングが省略されている。
【0018】
図1に示した風向調整装置1は、自動車の車室内に配されるインストルメントパネルやセンターコンソール等の内装部材に設置される。具体的に、本実施例の風向調整装置1は、インストルメントパネルに設置される。風向調整装置1は、自動車に備えられた図示しない空調装置に接続されることによって、その空調装置から供給される空気を、風向調整装置1の空気吹出口(開口部)を介して車室内に吹き出すことが可能である。風向調整装置1は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタ等と言われることもある。
【0019】
ここで、風向調整装置1に関して、前後方向とは、風向調整装置1のケース体内を空気が流れる方向に沿った方向を言う(図1を参照)。この場合、空気が流れる下流側の方向を前方とし、上流側の方向を後方とする。上下方向及び左右方向は、風向調整装置1を空気吹出口側(前方側)から見たときにおける垂直方向(高さ方向)及び水平方向(幅方向)である。この場合、上下方向及び左右方向は、前後方向に対してそれぞれ直交しており、また、上下方向と左右方向とは、互いに直交している。
【0020】
本実施例の風向調整装置1は、空気の流路が設けられたケース体(不図示)と、ケース体の内側に左右方向に回転可能に配される複数の縦ガイドフィン10と、ケース体の内側に左右方向に沿って延在するガイド部20と、左右方向に往復移動可能にガイド部20に取り付けられる操作ノブ30とを有する。この場合、ガイド部20は、縦ガイドフィン10よりも前方(下流側)の位置に配されている。なお、図1及び図2においては、複数の縦ガイドフィン10のうち、操作ノブ30に連結する1つの縦ガイドフィン10のみを図示しており、その他の縦ガイドフィン10の図示は省略されている。
【0021】
本実施例のケース体(不図示)は、自動車のインストルメントパネルに、インストルメントパネルから後方に延びるように取り付けられる。また、ケース体は、略角筒状の形状を有しており、ケース体の後端部が、空調装置で温度調節された空気を供給する図示しないダクトに接続されている。ケース体の内部には、空気を後方から前方に向けて流通させる流路が前後方向に沿って設けられており、ケース体の前端部には、空気を車室内に吹き出す吹出口が設けられている。
【0022】
本実施例のケース体には、ケース体内を流れる空気を案内する複数の縦ガイドフィン10が、それぞれ、左右方向に回転可能に保持されている。各縦ガイドフィン10は、板状のフィン本体部11と、フィン本体部11から上下に突出する上下一対の回転軸部12とを有する。
【0023】
複数の縦ガイドフィン10は、それぞれ上下方向に平行に配されている。また、ケース体の流路を閉鎖する全閉位置以外の向きに保持されているときは、左右に隣接する縦ガイドフィン10間に、空気が流通可能な間隙が設けられる。複数の縦ガイドフィン10は、図示しないリンク部材によって、互いに平行な位置関係が保持されるように、また、それぞれの回転動作が互いに連動するように連結されている。
【0024】
複数の縦ガイドフィン10は、操作ノブ30をガイド部20に対して左右方向に移動させることによって回転し、縦ガイドフィン10の向きを左右に変更できる。それによって、風向調整装置1から吹き出す空気の流れを左右に調整することができる。なお本発明において、縦ガイドフィンの設置数、向き、回転方向等は特に限定されず、風向調整装置が設置される車両の形態や風向調整装置の設置位置等に応じて変更できる。
【0025】
本実施例では、各縦ガイドフィン10のフィン本体部11が前後方向に平行(又は略平行)となる縦ガイドフィン10の回転位置を縦ガイドフィン10の全開位置と規定し、複数の縦ガイドフィン10がケース体の流路を閉鎖して空気の流通を停止させる縦ガイドフィン10の回転位置を縦ガイドフィン10の全閉位置と規定する。また、複数の縦ガイドフィン10は、少なくとも全開位置から全閉位置までの範囲で回転可能である。
【0026】
本実施例において、複数の縦ガイドフィン10のうちの1つには、操作ノブ30に連結する連結部13が一体的に設けられている。以下の説明において、この連結部13が設けられている縦ガイドフィン10を、第1縦ガイドフィン10aと称する。
【0027】
第1縦ガイドフィン10aに設けた連結部13は、上側から見た平面視(図1)において、略扇形状を有しており、また、適切な強度を確保可能な厚さ(上下方向の寸法)で形成されている。この場合、略扇形の連結部13に関し、縦ガイドフィン10の全閉位置(図2における縦ガイドフィン10の位置)において、連結部13の操作ノブ30に接する側の半径部分を閉鎖側半径部14aと規定し、その反対側の半径部分を開放側半径部14bと規定する。
【0028】
本実施例の連結部13は、操作ノブ30の後述するラックギア部(第1ギア部)32に噛み合う円弧状のフィンギア部(第2ギア部)15と、第1縦ガイドフィン10aの回転軸部12とフィンギア部15の間に設けられるスリット16とを有する。
【0029】
フィンギア部15は、扇形状の連結部13の円弧部分に配されている。フィンギア部15の各歯は、第1縦ガイドフィン10aの回転軸部12の方向(すなわち、上下方向)と平行に切られている。また、フィンギア部15には、1つ分の歯が抜けたように形成されたギア凹部15aが設けられている。本実施例において、連結部13のギア凹部15aは、開放側半径部14bに近い位置に配されている。
【0030】
スリット16は、扇形の連結部13における閉鎖側半径部14aから、連結部13の周方向に沿うように円弧状に形成されている。このスリット16が連結部13に設けられていることにより、後述するように操作ノブ30から連結部13に荷重が加えられたときに、連結部13の一部を弾性変形させることができる。これにより、連結部13の回転が操作ノブ30の押圧力によって阻害されることを防いで、連結部13を備えた第1縦ガイドフィン10aが回転不能になる不具合(所謂、デッドロック)の発生を防止できる。
【0031】
本実施例のガイド部20は、ケース体の内側に、左右方向に沿って配されている。ガイド部20の左右側端部は、ケース体の左右の内壁面に、ガイド部20が移動不能及び回転不能に固定されている。なお本発明において、ガイド部の設置方向は、ガイド部が縦ガイドフィンに対して交差する方向(言い換えると、縦ガイドフィンを横切る方向)に沿って配されていれば限定されるものではない。ガイド部は、本実施例のような左右方向ではなく、例えば左右方向に対して任意の角度で傾斜した傾斜方向に沿って配されていてもよい。また、本実施例のガイド部20は、ケース体の内側に固定されているが、本発明では、例えば1つ又は複数の横ガイドフィンが縦ガイドフィンの前方に回転可能にケース体に設けられている場合、1つの横ガイドフィンをガイド部として使用してもよい。
【0032】
本実施例のガイド部20は、薄板状のガイド本体部21と、ガイド本体部21の上面(又は下面)に設けられる凸条のレール部22と、ガイド本体部21の前端部に設けられた係合凹部23とを有する。ガイド本体部21は、ガイド部20を上方から見た平面視にて、長方形又は略長方形を有するとともに、上下方向の厚さが薄い薄板状に形成されている。ガイド本体部21は、互いに反対側に配される上面及び下面を有しており、ガイド本体部21の上面と下面とは、それぞれ、上下方向に対して直交する平坦面に形成されている。
【0033】
ガイド部20のレール部22は、ガイド本体部21の上面から薄板状に突出して形成されている。また、レール部22は、ガイド部20を上方から見た平面視において、左右方向に直線状に形成される第1レール部22aと、左右方向に対して傾斜した方向に直線状に形成される第2レール部22bとを有しており、第1レール部22aと第2レール部22bとは屈曲部22cを介して連続的に形成されている。例えば図1において、本実施例の第2レール部22bは、第1レール部22aとの境界部(屈曲部)22cから左斜め後方に向けて延びている。
【0034】
この場合、第1レール部22aは、縦ガイドフィン10を全開位置で保持するときの操作ノブ30(特に、操作ノブ30の後述するレール係合部34)を係合させる部分を含み、第2レール部22bは、縦ガイドフィン10を全閉位置で保持するときの操作ノブ30を係合させる部分を含む。
【0035】
レール部22が第1レール部22aを有することにより、操作ノブ30を、レール部22に係合させながら縦ガイドフィン10を全開位置から回転させるように摺動させるときに、操作ノブ30の前後方向における位置を変えずに、操作ノブ30を、ガイド部20に対して前後方向の一定の位置で、左右方向の左側に向けて移動させることができる。
【0036】
また、レール部22が第2レール部22bを有することにより、操作ノブ30を、レール部22に係合させながら縦ガイドフィン10を全閉位置まで回転させるように摺動させるときに、ガイド部20に対する操作ノブ30の位置を後方に移動させながら、左右方向の左側に向けて移動させることができる。それによって、縦ガイドフィン10が全閉位置で保持されるときに、操作ノブ30の前後方向における位置を、縦ガイドフィン10が全開位置で保持される場合よりも、第1縦ガイドフィン10aの連結部13に接近させることができる。具体的には、本実施例の場合、レール部22によって、縦ガイドフィン10が全閉位置で保持されるときの操作ノブ30の位置を、縦ガイドフィン10が全開位置で保持されるときの操作ノブ30の位置よりも1mm後方にすることができる。
【0037】
なお本実施例において、第2レール部22bは、上述したように、左右方向に対して傾斜する直線状に形成されている。しかし本発明において、第2レール部は、例えば、第1レール部との境界部から左側に延びるとともに、後方に向けて緩やかに湾曲する曲線状に形成されていてもよく、また、直線状の部分と曲線状の部分とを含むように形成されていてもよい。
【0038】
ガイド部20の係合凹部23は、ガイド部20を上方から見た平面視において、三角形又は略三角形の形状を有するように形成されており、また、操作ノブ30の後述する係合突起部35bを係合・離脱させることが可能である。この場合、係合凹部23は、縦ガイドフィン10を全閉位置で保持するときの操作ノブ30の係合突起部35bを係合させる位置に配されている。
【0039】
本実施例の操作ノブ30は、ガイド部20に対して左右方向に往復運動可能に取り付けられている。図1及び図2に示す本実施例の風向調整装置1の場合、操作ノブ30を左側に向けて移動させることにより、複数の縦ガイドフィン10を全閉位置に向けて回転させることができる。また、操作ノブ30を右側に向けて移動させることにより、複数の縦ガイドフィン10を全開位置に向けて回転させることができる。本実施例では、ガイド部20に対し、縦ガイドフィン10を全閉位置に保持する操作ノブ30の位置が、操作ノブ30の左側の移動限界位置として設定されている。
【0040】
なお、ガイド部20に対する操作ノブ30の右側の移動限界位置は、風向調整装置1が設置される車両の形態や風向調整装置1の設置位置等に応じて任意に設定できる。また以下の説明において、操作ノブ30を左側の移動限界位置(すなわち、縦ガイドフィン10を全閉位置に保持できる位置)に移動させることを、操作ノブ30を縦ガイドフィン10の全閉位置に移動させると表現することもある。
【0041】
本実施例の操作ノブ30は、ノブ本体部31と、ノブ本体部31の後端部に固定されるラックギア部(第1ギア部)32とを有する。また、操作ノブ30のノブ本体部31内には、弾性部材33と、ガイド部20のレール部22に係合するレール係合部34と、係合突起部35bが設けられた板バネ部材35とが配されている。
【0042】
ノブ本体部31は、略直方体状に形成されている。また、ノブ本体部31には、ノブ本体部31を左右方向に貫通する貫通孔部31aが設けられており、このノブ本体部31の貫通孔部31aに、ガイド部20のガイド本体部21が挿通されている。これにより、ノブ本体部31は、ガイド本体部21を取り囲むように、また、左右方向に往復移動可能にガイド部20に取り付けられている。
【0043】
操作ノブ30のラックギア部32は、複数の歯を後方に向けるようにしてノブ本体部31の後端部に取り付けられており、また、第1縦ガイドフィン10aの連結部13に設けた円弧状のフィンギア部15に噛み合わせられている。この操作ノブ30のラックギア部32と第1縦ガイドフィン10aのフィンギア部15とにより、操作ノブ30がガイド部20に沿って左右方向に移動する往復運動を、第1縦ガイドフィン10aと、第1縦ガイドフィン10aにリンク部材(不図示)を介して連結されている第1縦ガイドフィン10a以外の複数の縦ガイドフィン10とを回転させる回転運動に変えることができる。
【0044】
また、本実施例のラックギア部32は、ノブ本体部31に対して前後方向に僅かにずれることが可能なように、ノブ本体部31に取り付けられているとともに、ラックギア部32の裏面(前面)を弾性部材33に接触させている。なお、ラックギア部32の裏面(前面)は、ラックギア部32の歯が形成されている端部とは前後方向の反対側に配される面を言う。
【0045】
操作ノブ30のラックギア部32には、第1縦ガイドフィン10aのフィンギア部15に設けられたギア凹部15aに対応して、ギア凸部32aが設けられている。このようにラックギア部32のギア凸部32aとフィンギア部15のギア凹部15aとを互いに対応させて設けることにより、複数の縦ガイドフィン10の向きを変えるために操作ノブ30を操作して左右に移動させるときに、操作ノブ30の操作を軽快に行うことができる。
【0046】
弾性部材33は、エラストマー等の弾性を備える軟質の合成樹脂により形成されている。この弾性部材33は、ノブ本体部31によって弾性部材33の位置がずれないように固定されている。また、弾性部材33は、ノブ本体部31内に、ガイド部20の後端部とラックギア部32とに接触することが可能な位置で保持されている。
【0047】
本実施例において、弾性部材33は、操作ノブ30のレール係合部34が、左右方向に平行な第1レール部22aに係合する範囲と、第2レール部22bの第1レール部22a寄りの部分に係合する範囲とにおいて、ガイド部20に押し当てられるように配されており、それによって、操作ノブ30が停止しているときや操作されるときに摩擦力を発生させることができる。一方、弾性部材33は、縦ガイドフィン10を全閉位置で保持するときの操作ノブ30の位置及びその近傍では、ガイド部20から僅かに離間するように配されている。
【0048】
操作ノブ30のレール係合部34は、ガイド部20のレール部22を前後から挟持する前後一対の挟持ピン34aを有する。前後の挟持ピン34aは、ガイド部20のレール部22に摺動可能に形成されている。このようなレール係合部34がノブ本体部31内に設けられていることにより、操作ノブ30をガイド部20に対して左右方向に移動させるときに、操作ノブ30の前後方向における位置を、ガイド部20のレール部22の位置に従って変えることができる。
【0049】
特に本実施例では、レール部22の第2レール部22bが第1レール部22aに対して斜め後方に延びるように配されているため、操作ノブ30を、縦ガイドフィン10が全開位置から全閉位置に回転するように移動させることにより、前後方向における操作ノブ30の位置を後方に移動させることができる。
【0050】
操作ノブ30の板バネ部材35は、ノブ本体部31に保持されるバネ本体部35aと、板バネ部材35の左右方向の中央部に設けられる係合突起部35bとを有する。この板バネ部材35は、ノブ本体部31の前端部に、板バネ部材35の一部(係合突起部35b)をノブ本体部31に設けた貫通孔部31a内に突出させるようにして固定されている。また、板バネ部材35は、板バネ部材35の弾性変形により、係合突起部35bを前後に移動させることができ、それによって、板バネ部材35の係合突起部35bを、ノブ本体部31の貫通孔部31aに対して進入・退出させることが可能である。本実施例の板バネ部材35は、操作ノブ30が縦ガイドフィン10を全閉位置に移動したときに、板バネ部材35の係合突起部35bがガイド部20の係合凹部23に挿入されて係合するように設けられている。
【0051】
本実施例の風向調整装置1は、操作ノブ30を移動させて縦ガイドフィン10を全閉位置に回転させるときに、操作ノブ30と連結部13との干渉力を増大させて、縦ガイドフィン10を全閉位置側に回転させる回転力を生じさせる構造を有する。具体的に説明すると、本実施例の風向調整装置1においては、ガイド部20のレール部22(特に、第2レール部22b)と、操作ノブ30のレール係合部34とによって、縦ガイドフィン10を全閉位置に回転させるように操作ノブ30を移動させるときに、操作ノブ30と連結部13との干渉力を増大させる手段として、操作ノブ30から連結部13に負荷する荷重を増大させる荷重負荷部が形成されている。
【0052】
すなわち、本実施例の荷重負荷部(すなわち、レール部22及びレール係合部34)では、図1に示す操作ノブ30を左側に向けて操作する場合、操作ノブ30のレール係合部34をガイド部20のレール部22に係合させているため、例えばレール係合部34がレール部22の左右方向に沿った第1レール部22aに係合する範囲では、ガイド部20に対する操作ノブ30の前後方向における位置を変化させることなく、操作ノブ30を左側(縦ガイドフィン10の全閉位置側)に移動させることができる。
【0053】
一方、例えばレール係合部34がレール部22の傾斜した第2レール部22bに係合する範囲では、操作ノブ30は第2レール部22bに案内されながら左側に移動するため、操作ノブ30が左方向に移動するほど、ガイド部20に対する操作ノブ30の前後方向における位置を後方に移動させることができる。
【0054】
次に、上述した荷重負荷部が設けられた本実施例の風向調整装置1において、例えば複数の縦ガイドフィン10間に間隙が設けられて風向調整装置1から自動車の車室内に空気を吹き出している状態(例えば、図1に示す状態)から、操作ノブ30を操作して縦ガイドフィン10を図2に示すような全閉位置に回転させるときの操作ノブ30及び第1縦ガイドフィン10aの動きについて具体的に説明する。
【0055】
本実施例の風向調整装置1では、例えば図1に示すように、縦ガイドフィン10のフィン本体部11が、前後方向から僅かに左側に傾斜した向きで保持されることによって、風向調整装置1から車室内に空気を吹き出すとともに、その吹き出す空気の流れを複数の縦ガイドフィン10によって少し左側に向くように案内している。
【0056】
この図1に示した状態から、複数の縦ガイドフィン10を全閉位置に回転させてケース体内の空気の流路を複数の縦ガイドフィン10で閉鎖する場合、先ず、操作者の指等で操作ノブ30を図1の左側に向けて移動させる。このとき、操作ノブ30は、操作ノブ30のレール係合部34がレール部22の第1レール部22aに係合しているため、ガイド部20に沿って左側に向けてまっすぐに移動する。
【0057】
本実施例の風向調整装置1では、操作ノブ30が左側へ移動する運動は、操作ノブ30のラックギア部32と第1縦ガイドフィン10aのフィンギア部15とによって回転運動に変えられて、第1縦ガイドフィン10aに伝えられるため、操作ノブ30が左側に移動するほど、第1縦ガイドフィン10aを含む複数の縦ガイドフィン10を全閉位置に近付くように、図1の時計回りの方向に回転させることができる。
【0058】
更に本実施例の場合、操作ノブ30がレール係合部34を第1レール部22aに係合させながら左側に移動する範囲では、操作ノブ30の弾性部材33がガイド部20の後端部に押し当てられるとともに、操作ノブ30のラックギア部32に接触している状態が維持される。これにより、操作される操作ノブ30に適切な操作荷重を発生させることができるため、操作ノブ30を安定して操作することができる。またこのとき、板バネ部材35は、係合突起部35bをノブ本体部31の前端部から貫通孔部31a内に突出させ、また、ガイド本体部21の前端部に接触させている。
【0059】
続いて、操作ノブ30が更に左側に移動することによって、縦ガイドフィン10をより全閉位置に近付けることができるとともに、操作ノブ30のレール係合部34を、レール部22の第1レール部22aから第2レール部22bに移動させて、第2レール部22bと係合させることができる。
【0060】
本実施例の風向調整装置1では、ガイド部20の第2レール部22bと操作ノブ30のレール係合部34とによって、上述したように荷重負荷部が形成されている。このため、操作ノブ30が、レール係合部34を第2レール部22bに係合させながら、左側(縦ガイドフィン10の全閉位置側)に向けて移動するほど、操作ノブ30の位置をガイド部20に対して少しずつ後方にずらすことができる。この場合、操作ノブ30のラックギア部32に噛み合わせられている第1縦ガイドフィン10aは、第1縦ガイドフィン10aの上下の回転軸部12がケース体に軸支されているため、第1縦ガイドフィン10aの連結部13の上下方向における位置は移動しない。
【0061】
従って、本実施例の荷重負荷部によれば、操作ノブ30が上述のように移動して縦ガイドフィン10の全閉位置に近付くほど、操作ノブ30が後方に移動するため、操作ノブ30で第1縦ガイドフィン10aの連結部13が徐々に強く押圧されて、操作ノブ30から連結部13に負荷する荷重(操作ノブ30と連結部13との干渉力)を漸増させることができる。
【0062】
そして、操作ノブ30を左側の移動限界位置まで移動させることにより、複数の縦ガイドフィン10を全閉位置に回転させることができる。この縦ガイドフィン10の全閉位置では、複数の縦ガイドフィン10同士が少なくとも一部で互いに重ね合わせられた状態で、風向調整装置1の流路が閉鎖される。また、操作ノブ30が左側の移動限界位置に移動することにより、操作ノブ30に保持されている板バネ部材35の係合突起部35bを、ガイド部20の係合凹部23に挿入して係合させ、それによって、ガイド部20に対して操作ノブ30を移動限界位置で保持することができる。
【0063】
更に本実施例の風向調整装置1では、操作ノブ30が左側の移動限界位置(縦ガイドフィン10の全閉位置)に移動したときに、操作ノブ30から第1縦ガイドフィン10aの連結部13に大きな荷重が負荷される。これにより、以下に説明するように、複数の縦ガイドフィン10を全開位置よりも更に閉じる方向に押圧することができる。
【0064】
ここで、本実施例の風向調整装置1において、上述した荷重負荷部を設けなかった場合(例えば、本実施例の第2レール部22bが第1レール部22aから左右方向に沿って直線的に延びて形成される場合)、操作ノブ30が左側の移動限界位置に移動しても、ガイド部20に対する操作ノブ30の前後方向における位置は維持される。この場合、第1縦ガイドフィン10aのフィン本体部11は、図2に仮想線(二点鎖線)で示す位置に保持される。
【0065】
これに対し、荷重負荷部を備える本実施例の風向調整装置1では、操作ノブ30が左側の移動限界位置に移動するときに、荷重負荷部によって、操作ノブ30の前後方向における位置を後方に移動させて、操作ノブ30のラックギア部32から第1縦ガイドフィン10aの連結部13に荷重を負荷でき、また、操作ノブ30が左側に移動するほど、連結部13に負荷する荷重を大きくできる。この場合、操作ノブ30が左側の移動限界位置に移動するときに、操作ノブ30のラックギア部32から、第1縦ガイドフィン10aの連結部13に対し、荷重を左斜め後方に向けて負荷できる。
【0066】
このような連結部13に対する荷重の負荷により、連結部13に対して縦ガイドフィン10の全閉位置よりも更に閉じる方向に回転する応力が加えられるため、例えば第1縦ガイドフィン10aのみの回転を想定した場合(他の縦ガイドフィン10が重なり合わないことを想定した場合)、第1縦ガイドフィン10aを、連結部13で図2に示す仮想線の位置(言い換えると、荷重負荷部を設けなかった場合の第1縦ガイドフィン10aの位置)よりも大きく回転させることが可能となる。
【0067】
すなわち、本実施例の風向調整装置1では、荷重負荷部で操作ノブ30の位置を後方に移動させることによって、操作ノブ30から連結部13に荷重を負荷し、更に、その荷重の負荷によって、スリット16が設けられた連結部13は、縦ガイドフィン10をより全閉位置側に回転させる回転力を生じさせることができる。
【0068】
具体的に説明すると、本実施例のスリット16が設けられた連結部13は、全閉位置に移動した縦ガイドフィン10に対し、全閉位置よりも更に閉じる方向へ回転する回転力(言い換えると、縦ガイドフィン10が全閉位置から開く方向とは反対向きの方向へ回転する回転力)を与えることができる。これにより、全閉位置に移動した複数の縦ガイドフィン10同士をより強く密着させることができるため、例えば風向調整装置1を形成する部品の加工精度にバラツキがある場合等でも、互いに重ね合わされる縦ガイドフィン10間に隙間が形成されることを効果的に防止又は抑制して、縦ガイドフィン10間の気密性を向上させることができる。
【0069】
従って、本実施例の風向調整装置1は、各縦ガイドフィン10が例えばエラストマー等の軟質材で被覆されていなくても、また、高価で複雑な密閉構造を用いなくても、ケース体の流路を複数の縦ガイドフィン10で閉鎖したときに、縦ガイドフィン10からの空気漏れを生じさせないようにする、又は生じさせ難くすることができる。特に、本実施例の風向調整装置1では、従来の風向調整装置の構造を大きく変えることなく、縦ガイドフィン10からの空気漏れを防止又は抑制できる。
【0070】
また本実施例の風向調整装置1では、第1縦ガイドフィン10aの連結部13に、円弧状のスリット16が設けられており、このスリット16によって、操作ノブ30から連結部13に荷重が負荷されたときに、連結部13を適度に撓ませることができる。これにより、操作ノブ30からの荷重の負荷に起因して操作ノブ30のラックギア部32と連結部13のフィンギア部15とが干渉し合って動かなくなること(すなわち、所謂デッドロックが発生すること)を防止できるため、操作ノブ30による縦ガイドフィン10の円滑な回転操作を安定して確保できる。
【0071】
更に本実施例の風向調整装置1では、操作ノブ30のノブ本体部31内に、弾性部材33がラックギア部32に接触した状態で保持されている。これにより、操作ノブ30から第1縦ガイドフィン10aの連結部13に荷重を負荷したときに、ラックギア部32で弾性部材33を押圧して圧縮させることができる。このように荷重を負荷するときに弾性部材33を圧縮させることにより、連結部13への急激な荷重の変化が生じることや、部品同士の接触音等の異音が発生することを防止できる。
【0072】
一方、本実施例の風向調整装置1において、複数の縦ガイドフィン10でケース体の流路を閉鎖している状態から、ケース体の流路を開いて空気の吹き出しを再開する場合には、操作ノブ30を左側の移動限界位置から右側に向けて移動させればよい。これにより、縦ガイドフィン10が全閉位置から開く方向に回転して、互いに隣接する縦ガイドフィン10間に間隙を形成できるため、空調装置(不図示)から供給された空気を複数の縦ガイドフィン10で案内して、風向調整装置1の吹き出し口から縦ガイドフィン10の向きに沿って吹き出すことができる。
【0073】
なお、本実施例の風向調整装置1において、操作ノブ30から第1縦ガイドフィン10aの連結部13に荷重を負荷して、その荷重を増大させる荷重負荷部は、上述したように、ガイド部20のレール部22(特に、第2レール部22b)と、操作ノブ30のレール係合部34とによって形成されている。しかし本発明において、荷重負荷部の具体的な形態(構造)は限定されるものではなく、操作ノブをガイドフィンの全閉位置に移動させるときに連結部に負荷する荷重を増大させることができれば、荷重負荷部は、上述した実施例以外の形態で形成されていてもよい。
【0074】
例えば図3に、変形例に係る荷重負荷部を備えた風向調整装置2を示す。この図3に示した変形例の風向調整装置2は、空気の流路が設けられたケース体(不図示)と、ケース体の内側に左右方向に回転可能に配される複数の縦ガイドフィン10と、ケース体の内側に左右方向に沿って延在するガイド部40と、ガイド部40に取り付けられる操作ノブ50とを有する。
【0075】
なお、変形例の風向調整装置2は、前述した実施例の風向調整装置1が備えるレール部22及びレール係合部34を排除して形成されている。また、この変形例の風向調整装置2において、前述した実施例の風向調整装置1と実質的に同じ構成を有する部分又は部材については同じ符号を用いて表すことによって、その詳細な説明を省略する。
【0076】
変形例の風向調整装置2において、ガイド部40は、薄板状のガイド本体部41を有する。ガイド本体部41には、ガイド本体部41の前端部及び後端部が左右方向に対して傾斜した傾斜部42と、ガイド本体部41の前端部に設けられるとともに操作ノブ50の係合突起部35bを係合させる略三角形状の係合凹部43とが設けられている。
【0077】
操作ノブ50は、ノブ本体部51と、ノブ本体部51の後端部に固定されるラックギア部(第1ギア部)32とを有する。また、操作ノブ50のノブ本体部51内には、弾性部材53と、係合突起部35bが設けられた板バネ部材35とが配されている。ノブ本体部51には、ノブ本体部51の左側面から右側面までノブ本体部51を貫通する貫通孔部51aが設けられている。
【0078】
この変形例において、ノブ本体部51の貫通孔部51aは、ガイド本体部41に設けた傾斜部42と平行となるように、左右方向に対して傾斜して設けられている。操作ノブ50の弾性部材53の前端部は、ノブ本体部51の貫通孔部51aの傾斜に対応させて斜めに傾斜している。また、操作ノブ50の板バネ部材35は、ノブ本体部51の貫通孔部51aの傾斜に対応させて斜めの向きでノブ本体部51に保持されている。
【0079】
この変形例の風向調整装置2において、操作ノブ50が縦ガイドフィン10の全閉位置に移動するときに、操作ノブ50から連結部13に荷重を負荷するとともに、その荷重を増大させる荷重負荷部は、ガイド部40のガイド本体部41に設けた傾斜部42と、操作ノブ50の傾斜した貫通孔部51aとによって形成されている。
【0080】
このような荷重負荷部が設けられた変形例の風向調整装置2においては、操作ノブ50が、縦ガイドフィン10の全開位置から全閉位置に移動するときに、その移動範囲の全体において、操作ノブ50が全閉位置に向けて移動するほど、荷重負荷部によって、ガイド部40に対する操作ノブ50の前後方向における位置を後方に移動させることができる。それによって、操作ノブ50から連結部13に荷重を負荷できるとともに、操作ノブ50から付加する荷重を操作ノブ50が移動するにつれて大きくすることができる。
【0081】
従って、変形例の風向調整装置2においても、前述した実施例の風向調整装置1と同様に、操作ノブ50から連結部13への荷重の負荷によって、全閉位置に移動した縦ガイドフィン10に対し、全閉位置よりも更に閉じる方向へ回転する回転力を与えることができる。これにより、全閉位置に移動した複数の縦ガイドフィン10同士をより強く密着させることができるため、縦ガイドフィン10からの空気漏れを生じさせないようにする、又は生じさせ難くすることができる。
【0082】
更に本発明では、例えば操作ノブに設けるラックギア部の形状を変更することにより、操作ノブから連結部に負荷する荷重を増大させる荷重負荷部を形成することも可能である。例えば上述した実施例の場合、操作ノブ30のラックギア部32が、図1に示したように、後方に突出する歯を左右方向に沿ってまっすぐに並べて形成されている。
【0083】
これに対し、例えばラックギア部が、ラックギア部の右側端部を後方に飛び出すように湾曲させた形状を有することによって、この湾曲した右側端部を有するラックギア部によって荷重負荷部を形成することが可能である。このようなラックギア部(荷重負荷部)を有する操作ノブを、縦ガイドフィンの全閉位置に向けて移動させることによって、ラックギア部の湾曲した右側端部で連結部に荷重を負荷でき、その結果、前述した実施例の風向調整装置と同様に、全閉位置に移動した縦ガイドフィンに対し、全閉位置よりも更に閉じる方向へ回転する回転力を与えることが可能であるため、縦ガイドフィンからの空気漏れを生じさせないようにする、又は生じさせ難くすることができる。
【0084】
なお、本発明は、上述した実施例及び変形例に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、風向調整装置の全体形状、デザイン、大きさ等は特に限定されず、風向調整装置の設置位置、設置される車の種類やデザイン等に応じて変更することが可能である。
【0085】
例えば図1に示した実施例の風向調整装置1では、上述したように複数の縦ガイドフィン10が回転可能に設けられているとともに、ガイド部20が縦ガイドフィン10の前方に左右方向に沿って設けられている。しかし本発明において、風向調整装置は、上下方向に回転する複数の横ガイドフィンと、その横ガイドフィンの前方に上下方向等の横ガイドフィンに交差する方向に沿って配されるガイド部とを有して形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1,2 風向調整装置
10 縦ガイドフィン
10a 第1縦ガイドフィン
11 フィン本体部
12 回転軸部
13 連結部
14a 閉鎖側半径部
14b 開放側半径部
15 フィンギア部(第2ギア部)
15a ギア凹部
16 スリット
20 ガイド部
21 ガイド本体部
22 レール部
22a 第1レール部
22b 第2レール部
22c 境界部(屈曲部)
23 係合凹部
30 操作ノブ
31 ノブ本体部
31a 貫通孔部
32 ラックギア部(第1ギア部)
32a ギア凸部
33 弾性部材
34 レール係合部
34a 挟持ピン
35 板バネ部材
35a バネ本体部
35b 係合突起部
40 ガイド部
41 ガイド本体部
42 傾斜部
43 係合凹部
50 操作ノブ
51 ノブ本体部
51a 貫通孔部
53 弾性部材
図1
図2
図3