(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122397
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】LED光源、および、LED光源の点灯方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20240902BHJP
【FI】
H01L33/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029919
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嶺
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA41
5F142BA32
5F142CB11
5F142CD02
5F142CF13
5F142CF34
5F142CF42
(57)【要約】
【課題】LED自体の温度変化を抑えることで、当該LEDから放射される光量や光の波長の変化を安定させることのできるLED光源を提供する。
【解決手段】
LED光源10を、LED12と、LED12が実装された基板14と、基板14が取り付けられるヒートシンク16と、LED12の点灯前および消灯時において直接的あるいは間接的にLED12を加熱し、LED12の点灯時にはLED12の加熱を停止あるいは低減する熱源18とで構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと、
前記LEDが実装された基板と、
前記LEDの点灯前および消灯時において直接的あるいは間接的に前記LEDを加熱し、前記LEDの点灯時には前記LEDの加熱を停止あるいは低減する熱源とを備える
LED光源。
【請求項2】
LEDと、
前記LEDが実装された基板と、
前記基板が取り付けられるヒートシンクと、
前記LEDの点灯前および消灯時に前記ヒートシンクを加熱し、前記LEDの点灯時には前記ヒートシンクの加熱を停止あるいは低減する熱源とを備える
LED光源。
【請求項3】
LEDと、
前記LEDが実装された基板と、
前記基板が取り付けられるヒートシンクと、
前記ヒートシンクを加熱する熱源とを備える
LED光源の点灯方法であって、
前記LEDの点灯前および消灯時において、前記熱源からの熱で前記ヒートシンクおよび前記基板を介して前記LEDを加熱するステップと、
前記LEDの点灯時において、前記熱源からの前記加熱を停止あるいは低減するステップとを有する
LED光源の点灯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを点灯した後の温度変化による光学特性の変動を低減させるLED光源、および、LED光源の点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、周囲温度や自身の温度変化によってLEDから放射される光の明るさや波長が変動することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、
図3のグラフに示すように、点灯前に約20℃であったLEDの点灯を開始(3分時点)させると当該LEDの温度は上昇し、例えば6分時点で当該LEDの温度は約30℃に達し、以降、この温度で定常状態となる。また、LEDを消灯すると(10分時点)、LEDの温度は低下して元の約20℃に戻る。
【0005】
このようにLEDの温度が変化すると、当該LEDから放射される光量や光の波長が変化してしまい、当該光を用いて露光を行う場合等において、露光量にムラが生じるという問題があった。また、当該LEDを一般照明として使用する際には、点灯から定常状態になるまで(あるいは、消灯の際)に明るさや光の色合いが変化して使い難いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、LED自体の温度変化を抑えることで、当該LEDから放射される光量や光の波長の変化を安定させることのできるLED光源、および、LED光源の点灯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
LEDと、
前記LEDが実装された基板と、
前記LEDの点灯前および消灯時において直接的あるいは間接的に前記LEDを加熱し、前記LEDの点灯時には前記LEDの加熱を停止あるいは低減する熱源とを備える
LED光源が提供される。
【0008】
本発明の別の局面によれば、
LEDと、
前記LEDが実装された基板と、
前記基板が取り付けられるヒートシンクと、
前記LEDの点灯前および消灯時に前記ヒートシンクを加熱し、前記LEDの点灯時には前記ヒートシンクの加熱を停止あるいは低減する熱源とを備える
LED光源が提供される。
【0009】
本発明の他の局面によれば、
LEDと、
前記LEDが実装された基板と、
前記基板が取り付けられるヒートシンクと、
前記ヒートシンクを加熱する熱源とを備える
LED光源の点灯方法であって、
前記LEDの点灯前および消灯時において、前記熱源からの熱で前記ヒートシンクおよび前記基板を介して前記LEDを加熱するステップと、
前記LEDの点灯時において、前記熱源からの前記加熱を停止あるいは低減するステップとを有する
LED光源の点灯方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るLED光源によれば、LEDの点灯前および消灯時において直接的あるいは間接的にLEDを加熱し、LEDの点灯時にはLEDの加熱を停止あるいは低減する熱源を備えているので、当該熱源を用いて、LEDが点灯を続けたときに到達する一定の定常温度まで当該LEDの温度を予め上げておくことにより、LEDの温度変化に伴う発光量の変化や光の波長の変化を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るLED光源10の一例を示す図である。
【
図2】LED12の温度制御の一例を示すグラフである。
【
図3】LEDの温度変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(LED光源10の構成)
本実施形態に係るLED光源10は、
図1に示すように、大略、LED12と、基板14と、ヒートシンク16と、熱源18と、制御装置20とを備えている。
【0013】
LED12は、外部から電力を受けて所定の波長の光を放射する素子である。本実施形態では、ひとつのLED光源10に対して複数のLED12が使用されているが、LED12の数は特に限定されるものではなく、ひとつのLED光源10に対してひとつのLED12を使用してもよい。
【0014】
基板14は、表面にLED12が実装された板状材であり、LED12に給電するための回路等も表面に形成されている。
【0015】
ヒートシンク16は、LED12の点灯時に発生する熱を受け取ることで当該LED12が熱によって破損するのを回避する役割を有する部材であり、通常、熱伝導率の高い金属等で形成されている。
【0016】
熱源18は、ヒートシンク16を加熱するためのものであり、本実施形態では、熱源18としてヒートシンク16に当接配置された電熱線が使用されている。
【0017】
なお、熱源18は、本実施形態のものに限定されず、ヒートシンク16の内部に設けてもよいし、ヒートシンク16から離間させて配置してもよい。さらに、熱源18からヒートシンク16の吸収波長を含む光を放射して当該ヒートシンク16を加熱してもよい。
【0018】
また、ヒートシンク16を挟んでLED12とは反対側に熱源18を配置してもよいし、LED12と同じ側や、LED12の側面に熱源18を配置してもよい。
【0019】
制御装置20は、熱源18からヒートシンク16に与えられる熱量を制御するためのものであり、LED光源10の近傍に配置してもよいし、LED光源10に給電する給電装置(図示せず)側にあってもよい。
【0020】
この制御装置20による熱量の制御(LED12の温度制御)の一例について
図2を用いて説明する。LED12の点灯を開始する前段階で、制御装置20は、熱源18によるヒートシンク16の加熱を開始する(3分時点)。この加熱により、LED12の温度は約20℃から上昇を開始する。
【0021】
LED12の温度が定常状態(約29℃)になったら、制御装置20は、熱源18からの加熱を停止するとともに、LED12の点灯を開始する(7分時点)。熱源18からの加熱量が低下するのに伴ってLED12自身の発熱量が増加していくので、LED12の温度がほとんど変化することなく、定常状態での発光が開始する(8分時点)。
【0022】
次に、LED12を消灯する際は、LED12の消灯開始(11分時点)とともに熱源18からの加熱を開始する。これにより、LED12の温度を定常状態に維持できるので、次のLED12の点灯時にも同様にしてLED12の温度をほとんど変化させることなくLED12の点灯および消灯を行うことができる。
【0023】
なお、上述した実施形態では、熱源18による加熱をオン・オフさせていたが、熱源18による加熱をオフにせず、加熱量を低減することで対応してもよい。
【0024】
また、熱源18による加熱を停止あるいは低減する際、上述した実施形態に変えて、熱源18をヒートシンク16やLED12から物理的に遠ざけるようにしてもよい。また、熱源18の加熱制御はPWM制御(Dutyによる調整)としてもよい。
【0025】
さらに、上述した実施形態では分単位での制御の例を示したが、これに変えて、秒単位あるいはミリ秒単位の細かい制御であってもよい。
【0026】
また、上述した実施形態では、ヒートシンク16を介して熱源18からLED12への加熱を行っていたが、このヒートシンク16を用いることなく、熱源18からの加熱をLED12に対して直接的に行ったり、基板14を介してLED12への加熱を行ったりしてもよい。
【0027】
また、上述した実施形態では熱源18を用いた加熱によってLED12の温度を維持していたが、熱源18に変えて冷却源を用いてもよい。
【0028】
冷却源として水を用いる場合、例えば、点灯中のLED12を20℃の水等で冷却することにより、LED12の点灯中温度は約30℃に維持されるとする。そうすると、LED12が点灯中は冷却源である水の温度を20℃に設定し、LED12が消灯中は冷却源である水の温度を30℃に設定する。このようにすることで、点灯あるいは消灯中のLED12を約30℃に維持することができる。
【0029】
なお、冷却源である水の温度を急に変化させることは難しいので、実際には、2種類の冷却装置(チラー等)を用いて2種類の温度(30℃と20℃)の水を用意しておき、LED12の点灯・消灯に伴ってこれら2種類の温度の水を切り換えて冷却源として用いることが考えられる。
【0030】
もちろん、熱源18を用いる場合のように、冷却源による冷却量を調整してもよいし、冷却源をヒートシンク16やLED12から物理的に遠ざけるようにしてもよい。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
10…LED光源、12…LED、14…基板、16…ヒートシンク、18…熱源、20…制御装置