(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122402
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】医療用電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240902BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H05K5/02 L
A61B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029924
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 遼平
【テーマコード(参考)】
4C117
4E360
【Fターム(参考)】
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE37
4C117XG01
4C117XG03
4C117XJ47
4E360AB05
4E360AB12
4E360BD02
4E360BD03
4E360EA14
4E360EA24
4E360EB03
4E360EC05
4E360ED03
4E360ED28
4E360GA23
4E360GA29
4E360GB87
(57)【要約】
【課題】低コストかつ簡単な構造で防水性能を確保することができる医療用電子機器を提供する。
【解決手段】本開示の医療用電子機器は、本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を溝部が設けられており、前記本体に前記パネル部材が取り付けられた状態で、前記凸部を前記溝部に嵌め入れる嵌め入れ方向において、前記凸部と前記溝部との間に前記外縁部の周方向に連続的な隙間が設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、
前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、
前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を嵌め入れる溝部が設けられており、
前記本体に前記パネル部材が取り付けられた状態で、前記凸部を前記溝部に嵌め入れる嵌め入れ方向において、前記凸部と前記溝部との間に前記外縁部の周方向に連続的な隙間が設けられている、
医療用電子機器。
【請求項2】
前記本体の前記外縁部の下方には、前記溝部が設けられていない箇所がある、
請求項1に記載の医療用電子機器。
【請求項3】
前記隙間に沿って流れる液体を前記医療用電子機器の外部に排出する穴が前記本体の下方に設けられている、
請求項2に記載の医療用電子機器。
【請求項4】
前記パネル部材は、前記医療用電子機器が略水平面に設置されるとき傾斜するように、前記本体に取り付けられている、
請求項1に記載の医療用電子機器。
【請求項5】
本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、
前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、
前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を嵌め入れる溝部が設けられており、
前記溝部は、前記溝部の底部を構成する底壁部を有し、
前記本体に前記パネル部材が取り付けられた状態で、前記凸部の頂部は、前記底壁部と接触していない、
医療用電子機器。
【請求項6】
本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、
前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、
前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を嵌め入れる溝部が設けられており、
前記パネル部材が前記本体に取り付けられたとき、前記凸部と前記溝部との間に液体の通り道となりうる隙間が設けられている、
医療用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防水機能を有する医療用の電子機器が種々考案されている。例えば特許文献1には、プリント基板、接点支持部材、および接点防水部材が互いに密着して固定された状態で、2つのケース部材に挟まれて収容されている電子機器が開示されている。特許文献1に開示された電子機器では、接点防水部材により、ケース内部への水の浸入が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、シール部材を設けることにより内部への水の浸入を防止することは、一般的に行われている。しかしながら、シール部材を用いた防水方法では、シール部材の製造と、シール部材を2つのケース部材の間に挟み込んで固定する工程が追加されることと、によるコストの増大が発生する。
【0005】
本開示は、低コストかつ簡単な構造で防水性能を確保することができる医療用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る医療用電子機器は、本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を嵌め入れる溝部が設けられており、前記本体に前記パネル部材が取り付けられた状態で、前記凸部を前記溝部に嵌め入れる嵌め入れ方向において、前記凸部と前記溝部との間に前記外縁部の周方向に連続的な隙間が設けられている。
【0007】
本開示の一態様に係る医療用電子機器は、本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を嵌め入れる溝部が設けられており、前記溝部は、前記溝部の底部を構成する底壁部を有し、前記本体に前記パネル部材が取り付けられた状態で、前記凸部の頂部は、前記底壁部と接触していない。
【0008】
本開示の一態様に係る医療用電子機器は、本体にパネル部材が取り付けられている医療用電子機器であって、前記パネル部材の外縁部の少なくとも一部に凸部が設けられており、前記本体の外縁部の少なくとも一部に前記凸部を嵌め入れる溝部が設けられており、前記パネル部材が前記本体に取り付けられたとき、前記凸部と前記溝部との間に液体の通り道となりうる隙間が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低コストかつ簡単な構造で防水性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る生体情報モニタの構成を示すブロック図
【
図4】生体情報モニタから表示パネルを取り外した状態の本体を前側から見た図
【
図5】生体情報モニタから取り外した表示パネルを後側から見た図
【
図6】表示パネルが本体に取り付けられた状態における、凸部と溝部とを含む領域における、生体情報モニタの断面拡大図
【
図7】溝部の構造を説明するための本体の一部における断面図
【
図8】凸部の構造を説明するための表示パネルの一部における断面図
【
図9】本体の外縁部のうち、下方の辺を含む角部の拡大図
【
図10】生体情報モニタが略水平の設置面に設置された状態を示す側面図
【
図11】生体情報モニタの排水構造によって、生体情報モニタの内部に浸入しようとした液体が排出される様子を例示した模式図
【
図12】生体情報モニタの排水構造によって、生体情報モニタの内部に浸入しようとした液体が排出される様子を例示した模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
【0012】
<生体情報モニタ100の全体構成>
以下の実施の形態では、本開示の医療用電子機器の一例として、生体情報モニタについて詳細に説明する。ただし、本開示の医療用電子機器は生体情報モニタに限定されず、検査、診断、治療、監視等に用いられる種々の医療用電子機器に適用が可能である。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報モニタ100の構成を示すブロック図である。生体情報モニタ100は、コネクタ部101、制御部102、記憶部103、表示部104、アラーム発光部105、通信部106、スピーカ107、及び操作ボタン120を有する。
【0014】
コネクタ部101は、患者に装着された生体情報測定装置群200を生体情報モニタ100に接続するためのコネクタである。生体情報測定装置群200には、心電図を検出するための心電電極201、血圧を検出するための血圧測定用カフ202、及び、SpO2を検出するためのSpO2センサ203等の生体情報検出部が含まれる。コネクタ部101は、生体情報モニタ100と生体情報測定装置群200との間のインタフェースとして機能する。
【0015】
なお、生体情報測定装置群200の他の例として、体温を検出するための体温センサ、または心拍出量を検出するための心拍出量センサなどが挙げられる。また、コネクタ部101には、生体情報測定装置群200の他に、例えば人工呼吸器等、治療や処置に用いられる治療機器等が接続されても良い。
【0016】
制御部102は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置及びRAM(Random Access Memory)等のメモリ装置を備え、記憶部103(例えばROM(Read Only Memory)等)に記憶されたプログラムをメモリ装置に展開して演算処理装置により実行することで、生体情報モニタ100の全体の制御、及び、所定の計測処理を実行する。
【0017】
この計測処理によって、制御部102は、コネクタ部101に接続された生体情報測定装置群200を用いて患者の生体情報を計測する。そして、制御部102は、計測処理の結果に基づき、患者の生体情報の異常を検知する。また、制御部102は、生体情報測定装置群200及び治療機器との接続状態の異常や、機器類及び環境の異常を検知する。なお、制御部102が、これらの異常検知の通知を生体情報モニタ100の外部から受けても良い。また、生体情報測定装置群200を用いた各種生体情報の計測方法、および、各種の異常の検知方法については、従来周知のものを適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0018】
表示部104は、制御部102の計測処理によって得られた生体情報を、計測値又は波形の形式で表示する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。表示部104には、例えばタッチパネル等の入力部が重ねて配置されてもよい。この場合、表示パネル10を介して、表示パネル10に表示される表示内容の表示形式や、生体情報モニタ100のモード変更、アラーム設定等のための、操作者によるタッチ操作が受け付けられる。
【0019】
アラーム発光部105は、アラーム発光部105は、例えばLED(Light Emitting Diode)等を用いた照明器具であり、生体情報、機器類又は環境に異常が検知されたときに例えば赤色に点滅するように、制御部102によって制御される。アラーム発光部105による視覚アラームの出力態様は、予め制御部102において設定されており、この設定に従った出力態様で視覚アラームが出力される。
【0020】
生体情報モニタ100は、通信部106を介して他の生体情報モニタ装置と通信することができる。具体的には、生体情報モニタ100は、取得した生体情報や自装置の状態等を、通信部106を介して外部のセントラルモニタ装置(図示せず)等に送信可能である。また、セントラルモニタ装置からの制御信号を、通信部106を介して入力可能である。通信部106による通信のための生体情報モニタ100と外部との接続は、有線でも無線でも良い。
【0021】
スピーカ107は、音声出力装置である。スピーカ107は、生体情報、機器類又は環境に異常が検知されたときに例えばアラーム音を出力するように制御部102によって制御される。スピーカ107による聴覚アラームの出力態様は、予め制御部102において設定されており、この設定に従った出力態様で聴覚アラームが出力される。
【0022】
操作ボタン120は、例えば電源スイッチ、測定開始/停止ボタン、データ記録ボタン、アラーム音停止ボタン等(図示せず)である。
【0023】
<生体情報モニタ100の外観構成>
以上、本実施の形態の生体情報モニタ100の全体構成について説明した。次に、生体情報モニタ100の外観構成について説明する。
【0024】
図2および
図3は、生体情報モニタ100の外観を例示した斜視図である。
図2は、生体情報モニタ100を前側から見た様子を示している。
図3は、生体情報モニタ100を後ろ側から見た様子を示している。なお、以下において生体情報モニタ100が有する各構成の説明を行う際に、
図2および
図3に示す生体情報モニタ100を基準とした前後方向、左右方向、および上下方向を用いる。
【0025】
図2に示すように、生体情報モニタ100の前側には、板状の表示パネル10が設けられている。表示パネル10の周面の少なくとも一部にアラーム発光部105が設けられている。
図2に示す例では、アラーム発光部105は、正面視において長方形状に形成されている表示パネル10の左右の周面にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0026】
表示パネル10は、表示部104を含むパネル形状の部材である。表示パネル10は、本開示のパネル部材の一例である。
【0027】
表示パネル10の後ろ側には、
図1に示す生体情報モニタ100の表示部104以外の構成を内蔵する本体20が配置されている。
【0028】
図3に示すように、本体20は、表示パネル10の後ろ側に突出するように設けられている。
【0029】
図3に示す例では、本体20の側面にコネクタ部101が設けられている。なお、本開示は
図3に示す例に限られず、本開示では、コネクタ部が本体の他の側面に設けられていてもよい。
【0030】
<表示パネル10の排水構造30について>
以下では、生体情報モニタ100の表示パネル10と本体20との間に設けられた排水構造30について説明する。
【0031】
図4は、生体情報モニタ100から表示パネル10を取り外した状態の本体20を前側から見た図である。
図5は、生体情報モニタ100から取り外した表示パネル10を後側から見た図である。また、
図6は、表示パネル10が本体20に取り付けられた状態における、凸部12と溝部21とを含む領域における、生体情報モニタ100の断面拡大図である。
図6では、凸部12と溝部21とを含む領域を上側から見た様子が示されている。
【0032】
図4に示すように、本体20の外縁部には、前向きに開口した溝部21が設けられている。一方、
図5に示すように、表示パネル10の外縁部には、後ろ向きに突出する凸部12が設けられている。表示パネル10が本体20に取り付けられるとき、本体20の溝部21には、表示パネル10の凸部12が嵌め入れられるようになっている。なお、本明細書において、凸部12を溝部21に嵌め入れる方向を、嵌め入れ方向と記載する。本実施の形態では、嵌め入れ方向は、
図2等における生体情報モニタ100の後ろ方向に対応する方向である。
【0033】
生体情報モニタ100の排水構造30は、溝部21および凸部12によって構成される。
【0034】
図7は、溝部21の構造を説明するための本体20の一部における断面図である。
図8は、凸部12の構造を説明するための表示パネル10の一部における断面図である。
【0035】
図6及び
図7に示すように、溝部21は、外側の側壁部211と、内側の側壁部212と、溝部21の底部を構成する底壁部213と、を有する。また、
図6及び
図8に示すように、凸部12は、表示パネル10の基部13から嵌め入れ方向に沿って突出している。
【0036】
溝部21の深さ、すなわち側壁部211および側壁部212の高さは、凸部12の高さ、すなわち基部13から凸部12の頂部12Tまでの高さよりも高くなるように形成されている。
【0037】
これにより、
図6に示すように、表示パネル10が本体20に取り付けられた状態では、嵌め入れ方向において、凸部12と溝部21との間に外縁部の周方向に連続的な隙間Gが設けられている。言い換えると、表示パネル10が本体20に取り付けられた状態では、凸部12の頂部12Tと、溝部21の底壁部213とは互いに接触していない。一方で、側壁部211および側壁部212の頂部は、基部13と接触している。
【0038】
なお、本実施の形態において、少なくとも、生体情報モニタ100の左右の外縁部において、上端部から下端部まで、隙間Gが連続的に設けられている。言い換えると、生体情報モニタ100の左右の外縁部において、上端部から下端部まで、隙間Gが設けられていない箇所は存在しない。
【0039】
このような構造により、生体情報モニタ100の外部から内部へ水等の液体が浸入しようとした場合、外側の側壁部211と基部13とが接触していることにより、浸入が防止される。仮に、液体が側壁部211と基部13との接触箇所を超えて生体情報モニタ100の内部に浸入してきたとしても、凸部12の頂部12Tと溝部21の底壁部213との間に設けられた隙間Gにより、液体は下方(
図6に示す例では、紙面奥側方向)へと流れ落ちるようになっている。言い換えると、隙間Gは、生体情報モニタ100の内部に浸入しようとした液体の通り道となり得る、液体の通路である。したがって、このような排水構造30により、液体が生体情報モニタ100の側壁部212より内部へさらに浸入することを好適に防止できる。
【0040】
なお、
図4に示すように、本体20の外縁部の下方には、溝部21が設けられていない箇所が存在する。
図4に示す例では、略長方形に形成されている本体20の四方の辺のうち、下方の辺において、溝部21が設けられていない箇所が存在する。
図9は、本体20の外縁部のうち、下方の辺を含む角部の拡大図である。
【0041】
図4および
図9に示すように、溝部21を構成する内側の側壁部212には、本体20の下方の角部付近に端部212Eが形成されている。これにより、本体20の下方の辺においては、側壁部212が形成されておらず、側壁部211のみが形成されている。このため、
図4および
図9に示す例では、本体20の下方の辺においては、溝部21が構成されていない。なお、本体20の下方の辺において、側壁部211が表示パネル10の基部13と接触しているため、この接触箇所により、生体情報モニタ100の密閉が確保されている。
【0042】
また、
図9に示すように、本体20の底面22には、隙間Gに沿って流れてきた液体を排出できる1または複数の穴23が設けられている。このような構造により、生体情報モニタ100の外部から内部へ浸入しようとした液体が、生体情報モニタ100の上方から凸部12と溝部21との間の隙間Gを通って下方に流れたのち、本体20の底面22に設けられた穴23から排出される。
【0043】
図10は、生体情報モニタ100が略水平の設置面Sに設置された状態を示す側面図である。生体情報モニタ100は、本体20の下面に設けられた複数の脚部24が設置面Sと接触した状態で設置される。
図10に示すように、生体情報モニタ100は、略水平の設置面Sに設置されたとき、表示パネル10が上向きに傾斜した状態となる。
【0044】
図11および
図12は、生体情報モニタ100の排水構造30によって、生体情報モニタ100の内部に浸入しようとした液体が排出される様子を例示した模式図である。
図11は、生体情報モニタ100の前面から見た図であり、
図12は、略水平の設置面Sに設置された状態の生体情報モニタ100の左右方向に垂直な平面における側視図である。
【0045】
図11に示すように、例えば生体情報モニタ100の上側から液体が内部に浸入しようとした場合、仮に液体が側壁部211と基部13との接触箇所を超えて生体情報モニタ100の内部に浸入してきた(
図6参照)としても、排水構造30の凸部12と溝部21との間に隙間Gが設けられていることにより、液体は排水構造30に沿って下方に流れ落ちる。
【0046】
この際、
図12に示すように、生体情報モニタ100は略水平の設置面Sに設置されるとき、表示パネル10が傾斜するように構成されている。これにより、排水構造30も傾斜する。このため、生体情報モニタ100の左右側面部における排水構造30では、液体は隙間Gにおいて、凸部12または溝部21の少なくともいずれかに接触した状態で流れ落ちるようになる。言い換えると、液体は、凸部12または溝部21により下方に向かって導かれる。このため、例えば液体が生体情報モニタ100の上側で滞留してしまうような事態を防止することができる。
【0047】
また、
図4に示すように、本体20の四方の外縁部のうち、下方の辺には溝部21が設けられておらず、かつ本体20の底面22は上方に傾斜しているため、排水構造30に沿って生体情報モニタ100の下方まで流れてきた液体は、本体20の底面22に沿って後ろ側へ流れるようになっている。これにより、底面22に沿って流れる液体は、底面22に設けられた1または複数の穴23から生体情報モニタ100の外部へと排出される。従って、生体情報モニタ100の内部に浸入しようとした液体は、排水構造30を構成する内側の側壁部212より内側に浸入する前に排水されるので、生体情報モニタ100の防水性能を確保することができる。
【0048】
<作用、効果>
以上説明したように、本開示の実施の形態に係る生体情報モニタ100によれば、表示パネル10に設けられた凸部12と本体20に設けられた溝部21とにより排水構造30が構成されている。これにより、パッキン等のシール部材を表示パネル10と本体20との間に配置しない構造となっている。これにより、シール部材を製造する必要がなく、かつ生体情報モニタ100の組み立て時にシール部材を表示パネルと本体との間に配置する工程が不要となるので、生体情報モニタ100の製造コストを抑えつつ、排水構造30を構成することができる。排水構造30により、液体は、溝部21を構成する内側の側壁部212よりも内側に浸入する前に排出されるので、内側の側壁部212よりも内側における生体情報モニタ100の防水性能を確保することができる。
【0049】
また、本体20に設けられた溝部21を構成する外側の側壁部211と、表示パネル10に設けられた基部13とが接触していることにより、排水構造30は、生体情報モニタ100の内部への液体の浸入を防止できる。さらに、液体が仮に側壁部211と基部13との接触箇所を超えて内部に浸入したとしても、側壁部211の内側には、凸部12と溝部21の底壁部213との間に隙間Gが設けられているため、この隙間Gを通って下方へ流れ落ちることになる。ここで、本開示の実施の形態に係る生体情報モニタ100によれば、生体情報モニタ100の左右の外縁部において、上端部から下端部まで、隙間Gが設けられていない箇所は存在しない。このため、例えば生体情報モニタ100の上部から浸入しようとした液体は、連続的に設けられた隙間Gにより必ず下端部まで運ばれる。これにより、液体を好適に排出することができる。
【0050】
また、生体情報モニタ100は、略水平の設置面に設置されるとき、表示パネル10が傾斜した状態となるように、本体20に取り付けられている。このため、表示パネル10と本体20との間に配置される排水構造30も傾斜した状態となる。この傾斜により、生体情報モニタ100の内部に浸入しようとする液体は、凸部12または溝部21の少なくともいずれかに接触した状態で、下方に流れ落ちやすくなっている。このため、液体が生体情報モニタ100のさらに内側へ浸入することが、排水構造30により好適に防止される。
【0051】
なお、上述した実施の形態では、生体情報モニタ100の凸部12と溝部21との間にパッキン等のシール部材を設けない場合について説明したが、本開示に係る医療用電子機器はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態において、溝部21を構成する内側の側壁部212と表示パネル10の基部13との間には、隙間Gを超えた液体の浸入を防止するためのシール部材が配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示は、防水性能を備えた医療用電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0053】
100 生体情報モニタ
101 コネクタ部
102 制御部
103 記憶部
104 表示部
105 アラーム発光部
106 通信部
107 スピーカ
120 操作ボタン
10 表示パネル
12 凸部
12T 頂部
13 基部
20 本体
21 溝部
211 側壁部
212 側壁部
212E 端部
213 底壁部
22 底面
23 穴
24 脚部
30 排水構造
G 隙間