(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122413
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】支持基板、支持基板の製造方法、及び半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/00 20230101AFI20240902BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240902BHJP
H10B 43/20 20230101ALI20240902BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240902BHJP
【FI】
H10B43/00
H01L29/78 371
H10B43/20
H10B43/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029939
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 政由
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP17
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083GA10
5F083JA37
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083PR03
5F101BA41
5F101BD16
5F101BD34
5F101BH14
5F101BH23
(57)【要約】
【課題】基板の損耗を抑制すること。
【解決手段】実施形態の支持基板は、導電性を有する基板と、基板上に配置される第1の絶縁層と、導電性を有し、第1の絶縁層上に配置される第1の層と、第1の層上に配置される第2の絶縁層と、導電性を有し、第2の絶縁層上に配置される第2の層と、第1の絶縁層を貫通し、基板と第1の層とを接続する複数の第1のプラグと、第2の絶縁層を貫通し、第1の層と第2の層とを接続する複数の第2のプラグと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する基板と、
前記基板上に配置される第1の絶縁層と、
導電性を有し、前記第1の絶縁層上に配置される第1の層と、
前記第1の層上に配置される第2の絶縁層と、
導電性を有し、前記第2の絶縁層上に配置される第2の層と、
前記第1の絶縁層を貫通し、前記基板と前記第1の層とを接続する複数の第1のプラグと、
前記第2の絶縁層を貫通し、前記第1の層と前記第2の層とを接続する複数の第2のプラグと、を備える、
支持基板。
【請求項2】
前記第2の層上に、前記第2の層に接続される複数のメモリピラーを更に備える、
請求項1に記載の支持基板。
【請求項3】
半導体基板上に配置され、第3の絶縁層で覆われた周辺回路を更に備え、
前記複数のメモリピラーは第4の絶縁層で覆われており、
前記半導体基板と前記基板とは前記第3及び第4の絶縁層で接合されている、
請求項2に記載の支持基板。
【請求項4】
導電性を有する基板と、
前記基板上に配置され、100nm以下の層厚を有する第1の絶縁層と、
導電性を有し、前記第1の絶縁層上に配置される第1の層と、
前記第1の絶縁層を貫通し、前記基板と前記第1の層とを接続する複数の第1のプラグと、を備える、
支持基板。
【請求項5】
前記第1の絶縁層と前記第1の層との積層方向から見たときに、前記複数の第1のプラグの面積は前記第1の絶縁層の配置領域の面積の50%以上である、
請求項4に記載の支持基板。
【請求項6】
前記複数の第1のプラグのそれぞれは、
柱状、ライン状、及び環状の少なくともいずれかの形状を有する、
請求項4に記載の支持基板。
【請求項7】
導電性を有する基板上に、100nm以下の層厚を有する第1の絶縁層を形成し、
前記第1の絶縁層を貫通して前記基板に接続される複数の第1のプラグを形成し、
前記第1の絶縁層上に、導電性を有する第1の層を形成して前記複数の第1のプラグと接続する、
支持基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1の層上に第2の絶縁層を形成し、
前記第2の絶縁層を貫通して前記第1の層に接続される複数の第2のプラグを形成し、
前記第2の絶縁層上に、前記第2のプラグと接続される導電性の第2の層を形成する、
請求項7に記載の支持基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2の層上に、前記第2の層に接続される複数のメモリピラーを形成し、
前記基板の裏面側からレーザ光を照射して前記第2の絶縁層を開裂させて、前記基板側から前記複数のメモリピラーが形成された前記第2の層を剥離し、
前記第2の層が剥離された前記基板の表面を研磨して、前記第1のプラグが形成された前記第1の絶縁層を露出させて、前記支持基板を再生する、
請求項8に記載の支持基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1の絶縁層の層厚を100nm以下とし、
前記第2の絶縁層の層厚を300nm以上とする、
請求項9に記載の支持基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1の絶縁層中における前記複数の第1のプラグの配置密度を、前記第2の絶縁層中における前記複数の第2のプラグの配置密度よりも高くし、
前記複数のメモリピラーを、
前記第2の層をストッパ層として、複数の第3の絶縁層と複数の第4の絶縁層が1層ずつ交互に積層された積層体をプラズマエッチングにより貫通させて形成する、
請求項10に記載の支持基板の製造方法。
【請求項12】
第1の絶縁層と、導電性を有する第1の層とがこの順に形成された基板であって、前記第1の絶縁層を貫通して前記基板と前記第1の層とを接続する複数の第1のプラグが設けられた導電性を有する基板を準備し、
前記第1の層上に第2の絶縁層を形成し、
前記第2の絶縁層を貫通して前記第1の層に接続される複数の第2のプラグを形成し、
前記第2の絶縁層上に、前記第2のプラグと接続される導電性の第2の層を形成し、
前記第2の層上に、前記第2の層に接続される複数のメモリピラーを形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、支持基板、支持基板の製造方法、及び半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置等は、複数のメモリピラーが形成された支持基板と、周辺回路が形成された半導体基板とを貼り合わせて構成されることがある。半導体基板との貼合後、支持基板は剥離されて再利用される。支持基板を繰り返し再利用することで、半導体記憶装置等の製造コストを削減することができる。
【0003】
しかしながら、支持基板は剥離時に損耗する。また、例えばプラズマエッチング等を用いたメモリピラー形成時のアーキングを抑制するため、支持基板上にメモリピラーと導通するプラグが形成される場合がある。プラグを形成することで、剥離時の支持基板の損耗はいっそう加速する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、基板の損耗を抑制することができる支持基板、支持基板の製造方法、及び半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の支持基板は、導電性を有する基板と、前記基板上に配置される第1の絶縁層と、導電性を有し、前記第1の絶縁層上に配置される第1の層と、前記第1の層上に配置される第2の絶縁層と、導電性を有し、前記第2の絶縁層上に配置される第2の層と、前記第1の絶縁層を貫通し、前記基板と前記第1の層とを接続する複数の第1のプラグと、前記第2の絶縁層を貫通し、前記第1の層と前記第2の層とを接続する複数の第2のプラグと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す断面図。
【
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造に用いる支持基板の構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態にかかる支持基板の製造方法の手順の一部を例示する拡大断面図。
【
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図6】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図7】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図8】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図9】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図10】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図11】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図12】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図13】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図14】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図15】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図16】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図17】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図18】実施形態にかかる支持基板の再生処理の手順の一部を例示する断面図。
【
図19】比較例にかかる支持基板が剥離される様子を示す一部拡大断面図。
【
図20】実施形態および実施形態の変形例にかかる支持基板のプラグの構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す断面図である。ただし、
図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0010】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、及び複数のワード線WLを備える。また、半導体記憶装置1は、複数のワード線WLの上方に、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAを備える。
【0011】
電極膜EL上には、絶縁層60を介してソース線SLが配置されている。絶縁層60中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。これにより、半導体記憶装置1の外部から、電極膜EL及びプラグPGを介してソース線SLにソース電位を印加することができる。
【0012】
ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。複数のワード線WLの中央部にはメモリ領域MRが配置され、複数のワード線WLの両端部にはコンタクト領域ERが配置されている。
【0013】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のメモリピラーとしてのピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0014】
コンタクト領域ERには、複数のワード線WLのそれぞれと接続する複数のコンタクトCCが配置されている。なお、本明細書では、コンタクトCCの延伸方向において、コンタクトCCのワード線WLとの接続端側を半導体記憶装置1の下方側とする。
【0015】
コンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。このように、これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。
【0016】
複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。
【0017】
絶縁層50上方の半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。このように、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0018】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、積層体LMを覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0019】
次に、
図2を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。
図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す図である。
【0020】
より詳細には、
図2(a)は、メモリ領域MRの構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。
図2(b)は、メモリ領域MRに配置されるピラーPLのワード線WLの高さ位置での拡大断面図である。ただし、
図2(a)においては、絶縁層60下方および絶縁層40上方の構造が省略されている。
【0021】
なお、本明細書において、X方向およびY方向は共に、ワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、ワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0022】
図2(a)に示すように、ソース線SLは、絶縁層60上に、例えば下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbがこの順に積層された多層構造を有する。
【0023】
下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。
【0024】
ソース線SL上には積層体LMが配置される。積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを備える。積層体LMaはソース線SLの上方に配置され、積層体LMbは積層体LMa上に配置されている。
【0025】
積層体LMaの最下層のワード線WLの更に下層に、1つ以上の選択ゲート線が配置されていてもよい。また、積層体LMbの最上層のワード線WLの更に上層に、1つ以上の選択ゲート線が配置されていてもよい。積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線等の積層数は任意であり、例えば数十層~数百層に及ぶ。
【0026】
複数のワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。複数の絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0027】
それぞれの積層体LMa,LMbの最上層の絶縁層OLは、例えば積層体LMa,LMb中の他の絶縁層OLよりも厚い。積層体LMaの最上層の絶縁層OLは、積層体LMbの最下層のワード線WLと接しており、積層体LMbの最上層の絶縁層OL上には、絶縁層52,53がこの順に配置されている。絶縁層52,53は、上述の絶縁層50の一部を構成しており、絶縁層53の上面は、周辺回路CBA側の絶縁層40の下面と接している。
【0028】
積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。
【0029】
すなわち、板状コンタクトLIのそれぞれは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。このように、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部からもう一端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。また、板状コンタクトLIは、積層体LM及び上部ソース線DSLbを貫通し、中間ソース線BSLに到達している。
【0030】
また、板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層55と導電層25とを含む。絶縁層55は例えば酸化シリコン層等である。導電層25は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0031】
絶縁層55は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層25は絶縁層55の内側に充填され、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続されている。また、導電層25は、
図2(a)とは異なる断面で上層配線と接続される。このような構成により、板状コンタクトLIはソース線コンタクトとして機能することとなる。
【0032】
ただし、板状コンタクトLIに代えて、絶縁層が充填された板状部材が積層体LMを貫通するとともにX方向に沿う方向に延びることにより、積層体LMをY方向に分割していてもよい。この場合、このような板状部材はソース線コンタクトとしての機能を有さない。
【0033】
積層体LMのメモリ領域MRには、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のピラーPLが分散して配置されている。
【0034】
複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0035】
ピラーPLは、積層体LMaの最上層の絶縁層OL中から積層体LMaを貫通してソース線SLに到達するピラーPLaと、積層体LMbの最上層の絶縁層OL中から積層体LMbを貫通して積層体LMaの最上層の絶縁層OL中に到達し、対応するピラーPLaの上端部に接続されるピラーPLbとを有する。
【0036】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LM内を積層方向に延びるメモリ層ME、積層体LM内を貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。
【0037】
メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置を除くピラーPLの側面に配置されている。また、メモリ層MEは、下部ソース線DSLa深さまで到達するピラーPLの底面にも配置されている。
【0038】
チャネル層CNは、メモリ層MEの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLa深さに到達している。すなわち、チャネル層CNは、メモリ層MEを介してピラーPLの側面および底面に配置されている。チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。
【0039】
ただし、チャネル層CNの一部は、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。また、チャネル層CNの上端部は、絶縁層52中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層53中をY方向に沿う方向に延びるビット線BLと接続される。
【0040】
図2(b)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。
【0041】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CNは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0042】
図2(b)に示すように、上記構成によって、ピラーPL側面の個々のワード線WLと対向する部分には、それぞれメモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0043】
また、積層体LMに選択ゲート線が含まれる場合、ピラーPL側面の選択ゲート線と対向する部分には選択ゲートが形成される。選択ゲート線から所定の電圧が印加されることにより選択ゲートがオンまたはオフし、これらの選択ゲートが属するピラーPLに形成されるメモリセルMCが選択状態または非選択状態となる。
【0044】
ワード線WL等からメモリセルMC等への電圧は、上述の周辺回路CBA(
図1参照)と電気的に接続され、積層体LMを貫通して個々のワード線WLに到達する上述のコンタクトCC(
図1参照)を介して印加される。
【0045】
また、メモリセルMCからのデータは、ピラーPLに接続されるビット線BLへと読み出される。ビット線BLは、絶縁層53の表面に配置される電極パッドPDbと接続される。電極パッドPDbは、絶縁層40の表面に配置され、周辺回路CBAと電気的に接続される電極パッドPDcと接続されている。これにより、ビット線BLへと読み出されたメモリセルMCのデータは、周辺回路CBAで処理される。
【0046】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図3~
図18を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。なお、半導体記憶装置1の製造方法は、支持基板SSの製造方法を一部に含む。
【0047】
まずは、製造途中の半導体記憶装置1を支持する支持基板SS及び支持基板SSが製造される様子を
図3及び
図4に示す。
【0048】
図3は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造に用いる支持基板SSの構成の一例を示す図である。より詳細には、
図3(a)は支持基板SSの全体を示しており、
図3(b)は支持基板SSの一部拡大断面図である。
【0049】
図3に示すように、支持基板SSは、基板70、絶縁層61、犠牲層21、及び複数のプラグ22を備える。
【0050】
基板70は、シリコン基板等の半導体基板、または、金属基板もしくはサファイア基板等の導電性基板であり、少なくとも所定の導電性を有している。
【0051】
第1の絶縁層としての絶縁層61は、例えば酸化シリコン層等であり、基板70の上面に配置されている。絶縁層61の層厚は、例えば30nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上60nm以下である。
【0052】
第1の層としての犠牲層21は、絶縁層61上に配置され、ポリシリコン層もしくはアモルファスシリコン層等の半導体層、または、金属層等の導電層であり、少なくとも所定の導電性を有している。犠牲層21の層厚は、例えば300nm以上700nm以下である。
【0053】
複数の第1のプラグとしてのプラグ22は絶縁層61中に分散して配置されている。個々のプラグ22は、例えば柱状に構成され、絶縁層61を貫通して、絶縁層61の上下に配置される犠牲層21と基板70とを電気的に接続している。
【0054】
絶縁層61及び犠牲層21の積層方向から見たときに、複数のプラグ24の面積が、絶縁層61の配置領域の面積の50%以上となっていることが好ましい。つまり、複数のプラグ24が配置されない場合に、絶縁層61が占める面積を100%として、これに対する複数のプラグ24の面積を50%以上とすることができる。複数のプラグ24が配置されない場合の絶縁層61の上記面積は、例えば支持基板SSの上面の面積と略等しい。
【0055】
図4は、実施形態にかかる支持基板SSの製造方法の手順の一部を例示する拡大断面図である。
【0056】
図4(a)に示すように、半導体基板または導電性基板等の基板70を準備する。
【0057】
図4(b)に示すように、基板70の上面に絶縁層61を形成する。このとき、基板70の上面のみならず、基板70のベベルの少なくとも一部を覆うよう、絶縁層61を形成することが好ましい。これにより、後述する各種の処理において、基板70の上面が充分に保護される。
【0058】
図4(c)に示すように、絶縁層61を貫通する複数の凹部61rを形成する。
【0059】
図4(d)に示すように、絶縁層61の上面に、半導体層または導電層等の犠牲層21を形成する。これにより、絶縁層61に形成された複数の凹部61r内にも半導体層または導電層等が充填されて、複数のプラグ22が絶縁層61に形成される。
【0060】
以上により、実施形態の支持基板SSが製造される。
【0061】
図5~
図17は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0062】
まずは、支持基板SSに種々の処理を施す様子を
図5に示す。
図5は、上述の
図4と同様、支持基板SSの拡大断面図である。
【0063】
図5(a)に示すように、上述の支持基板SSの犠牲層21上に、第2の絶縁層としての絶縁層62を形成する。絶縁層62は、赤外線等の吸収率が高い酸化シリコン層等であり、例えば300nm以上700nm以下の層厚を有する。上記層厚を有し、赤外線等の吸収率が高い材料で構成することで、絶縁層62は、赤外線の波長を有するレーザ光等を照射することで加熱され、熱源となりうる。
【0064】
図5(b)に示すように、絶縁層62を貫通する複数の凹部62rを形成する。
【0065】
図5(c)に示すように、絶縁層62の上面に、半導体層または導電層等の少なくとも所定の導電性を有する第2の層としてのベース層23を形成する。これにより、絶縁層62に形成された複数の凹部62r内にも半導体層または導電層等が充填されて、複数の第2のプラグとしてのプラグ24が絶縁層62に形成される。ベース層23の層厚は、例えば300nm以上700nm以下であって、例えば犠牲層21の層厚より厚く形成されることが好ましい。
【0066】
なお、ベース層23は、以下に詳述するように、ピラーPL等を形成する際の基礎部分となる。個々のプラグ24は、例えば柱状に構成され、絶縁層62の上下に配置されるベース層23と犠牲層21とを電気的に接続している。
【0067】
絶縁層62中における複数のプラグ24の配置密度は、絶縁層61中における上記複数のプラグ22の配置密度よりも小さいことが好ましい。すなわち、絶縁層62及びベース層23の積層方向から見たときに、複数のプラグ24の面積は、例えば絶縁層62の配置領域の面積の50%未満となっている。
【0068】
なお、実施形態においては、支持基板SS上に形成された絶縁層62の少なくとも一部、絶縁層62中の複数のプラグ24の少なくとも一部、及びベース層23は、それぞれ上述の絶縁層60、プラグPG、及び下部ソース線DSLaとして流用される。
【0069】
次に、後にメモリ領域MRとなる領域に、ピラーPLが形成される様子を
図6~
図8に示す。
図6~
図8は、後にメモリ領域MRとなる領域を含む、製造途中の半導体記憶装置1のY方向に沿う断面を示している。
【0070】
これ以降の図面においては、上記の支持基板SSの構成のうち、絶縁層62より下方の構成を省略する。また、これ以降、上述の絶縁層62、プラグ24、及びベース層23をそれぞれ、半導体記憶装置1の一部を構成する絶縁層60、プラグPG、及び下部ソース線DSLaとして表記する。
【0071】
図6(a)に示すように、絶縁層62上に形成された下部ソース線DSLa上に、中間犠牲層SCN及び上部ソース線DSLbをこの順に形成する。
【0072】
下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。中間犠牲層SCNは、後にポリシリコン層等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる層である。
【0073】
上部ソース線DSLb上に、複数の第3の絶縁層としての絶縁層NLと、複数の第4の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsaを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後にワード線WL等に置き換えられる犠牲層として機能する。積層体LMsaは、このような置き換え処理によって後に積層体LMaとなる部分である。
【0074】
なお、この段階において、最上層の絶縁層OLを含む複数の絶縁層OLは、概ね同じ厚さを有していてよい。
【0075】
図6(b)に示すように、プラズマエッチング等を用いて、積層体LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通する複数のメモリホールMHaを形成する。
【0076】
このとき、下部ソース線DSLaをストッパ層として用いることで、中間犠牲層SCNを貫通して下部ソース線DSLaに到達したメモリホールMHは、下部ソース線DSLa中に下端部を有することとなる。
【0077】
図6(c)に示すように、例えばアモルファスシリコン層等の犠牲層27でメモリホールMHa内を充填し、複数のピラーPLcを形成する。
【0078】
図7(a)に示すように、積層体LMsaの上面に酸化シリコン層等を積み増しする。これにより、積層体LMsaの最上層の絶縁層OLが他の絶縁層OLより厚くなる。また、ピラーPLcの上端部が最上層の絶縁層OL中に埋没する。
【0079】
また、積層体LMsa上に、複数の絶縁層NLと、複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsbを形成する。積層体LMsbは、絶縁層NLが後にワード線WL等に置き換えられて積層体LMbとなる部分である。
【0080】
なお、この段階において、最上層の絶縁層OLを含む積層体LMsbの複数の絶縁層OLは、概ね同じ厚さを有していてよい。
【0081】
図7(b)に示すように、プラズマエッチング等を用いて、積層体LMsbを貫通し、積層体LMsa中に配置される複数のピラーPLcの上端部にそれぞれ到達する複数のメモリホールMHbを形成する。このとき、これらのピラーPLcが有する犠牲層27をストッパ層として用いることができる。
【0082】
図8(a)に示すように、複数のメモリホールMHbを介して、これらの下端部にそれぞれ接続される複数のピラーPLcから犠牲層27を除去する。これにより、積層体LMsa,LMsbを貫通し、ソース線SLに到達する複数のメモリホールMHが形成される。
【0083】
図8(b)に示すように、複数のメモリホールMHのそれぞれに、メモリホールMHの外周側から順に、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(
図2(b)参照)の積層構造を有するメモリ層MEを形成する。また、複数のメモリホールMHの側壁および底面に、メモリ層MEを介してチャネル層CNを形成する。また、チャネル層CN内側のメモリホールMH内の空隙を酸化シリコン層等で充填してコア層CRを形成する。
【0084】
このとき、メモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRは、積層体LMsbの上面にも形成される。これらのメモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRは、エッチバック等により積層体LMsbの上面から除去される。
【0085】
以上により、後にメモリ領域MRとなる領域に、複数のピラーPLが形成される。ただし、この時点で、メモリ層MEは複数のピラーPLの側壁全体を覆っており、チャネル層CNが露出した状態となっていない。
【0086】
また、積層体LMsbの上面に酸化シリコン層等を積み増しする。これにより、積層体LMsbの最上層の絶縁層OLが他の絶縁層OLより厚くなる。また、ピラーPLの上端部が、最上層の絶縁層OL中に埋没する。
【0087】
このように、例えば複数のピラーPLが形成された後、後にコンタクト領域ERとなる領域に、積層体LMsa,LMbの積層方向に延び、積層体LMsa,LMb中の複数の絶縁層NLにそれぞれ到達する複数のコンタクトホール(不図示)を形成する。あるいは、積層体LMsbを形成した後、複数のメモリホールMHbを形成する前に、これらのコンタクトホールを形成してもよい。
【0088】
コンタクトホールの形成後、コンタクトホール内にアモルファスシリコン層等の犠牲層を充填して、これ以降の処理の影響を受けないようコンタクトホールを保護しておく。
【0089】
次に、
図9~
図13を用いて、ソース線SL及びワード線WLが形成される様子を示す。
図9~
図13は、上述の
図6~
図8と同様、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図である。
【0090】
図9(a)に示すように、積層体LMsa,LMsb、及び上部ソース線DSLbを貫通し、中間犠牲層SCNに到達するスリットSTを形成する。スリットSTは、積層体LMsa,LMsb内をX方向に沿う方向、つまり、紙面に対して垂直な方向にも延びている。
【0091】
スリットSTは、以下に述べるリプレース処理に用いられるほか、後に板状コンタクトLIとなる構成である。
【0092】
図9(b)に示すように、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層55sを形成する。絶縁層55sは、例えば酸化シリコン層等であり、後に板状コンタクトLIが側壁に有することとなる上述の絶縁層55(
図2(a)参照)と異なり、この後の処理で積層体LMsa,LMsbを保護するために形成される仮の保護層である。
【0093】
図10(a)に示すように、絶縁層55sで側壁を保護されたスリットSTを介して、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLbに挟まれた中間犠牲層SCNを除去する。
【0094】
これにより、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にギャップ層GPnが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPn内に露出する。
【0095】
このとき、スリットSTの側壁は絶縁層55sで保護されているので、積層体LMsa,LMsb内の絶縁層NLまでもが除去されてしまうことが抑制される。
【0096】
図10(b)に示すように、スリットSTを介してギャップ層GPn内に適宜、薬液を流入させて、ギャップ層GPn内に露出したメモリ層MEのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(
図2(b)参照)を順次、除去する。これにより、ピラーPLの一部側壁からメモリ層MEが除去され、内側のチャネル層CNの一部がギャップ層GPn内に露出する。
【0097】
図11(a)に示すように、絶縁層55sで側壁を保護されたスリットSTから、例えばアモルファスシリコン等の原料ガスを注入し、ギャップ層GPnをアモルファスシリコン等で充填する。また、支持基板SSを加熱処理して、ギャップ層GPn内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0098】
これにより、上部ソース線DSLb、中間ソース線BSL、及び下部ソース線DSLaを有するソース線SLが形成される。また、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0099】
図11(b)に示すように、スリットSTの側壁から絶縁層55sを除去する。
【0100】
図12(a)に示すように、スリットSTから積層体LMsa,LMsb内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMga,LMgbが形成される。
【0101】
なお、複数のギャップ層GPを含む積層体LMga,LMgbは脆弱な構造となっている。複数のピラーPLは、このような脆弱な積層体LMga,LMgbを支持する。これにより、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMga,LMgb自体が歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0102】
図12(b)に示すように、スリットSTから積層体LMga,LMgb内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LMga,LMgbのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WLを形成する。
【0103】
これにより、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを含む積層体LMが形成される。
【0104】
以上のように、中間犠牲層SCNから中間ソース線BSLを形成する処理、及び絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0105】
図13(a)に示すように、スリットSTの側壁に絶縁層55を形成する。
【0106】
図13(b)に示すように、絶縁層55内に導電層25を充填して、ソース線コンタクトとなる板状コンタクトLIを形成する。ただし、スリットST内に導電層25を形成することなく絶縁層55等を充填し、ソース線コンタクトとしての機能を有さない板状部材を形成してもよい。
【0107】
次に、
図14~
図17を用いて、ピラーPL等が形成された支持基板SSと、周辺回路CBA等が形成された半導体基板SBとが貼合される様子を示す。
図14~
図17は、ピラーPL等が形成された支持基板SSと、周辺回路CBA等が形成された半導体基板SBとの一部を含むX方向に沿う断面図である。
【0108】
図14(b)に示すように、積層体LMには、複数のワード線WLのそれぞれに接続されるコンタクトCCが形成されている。このようなコンタクトCCは、
図13(b)の処理後、図示しないコンタクトホール内から犠牲層を除去し、酸化シリコン層等の絶縁層56が側壁に形成されたコンタクトホール内に導電層26を充填することで形成される。
【0109】
また、積層体LM上には絶縁層52,53が順次形成され、絶縁層52内にはピラーPLに接続されるプラグCHとコンタクトCCに接続されるプラグV0とが形成され、絶縁層53内にはプラグCH,V0にそれぞれ接続されるビット線BLと上層配線MXとが形成されている。また、絶縁層53の上面に、ビット線BL及び上層配線MXと接続される電極パッドPDbが形成されている。
【0110】
なお、複数のコンタクトCCが配置された積層体LMの外側には、積層体LMと略同じ厚さの絶縁層51が形成されている。絶縁層51もまた、絶縁層52,53とともに、上述の絶縁層50(
図1参照)の一部を構成している。
【0111】
図14(a)に示すように、ピラーPL等が形成された支持基板SSとは別体の半導体基板SBにはトランジスタTRを含む周辺回路CBAが形成される。周辺回路CBAは絶縁層40に覆われ、絶縁層40中にはコンタクト、ビア、及び配線等が形成され、絶縁層40の表面に設けられた電極パッドPDcと電気的に接続される。
【0112】
このように、周辺回路CBA等が形成された半導体基板SBの、周辺回路CBAが設けられた面を、支持基板SSのピラーPL等が設けられた面と対向させて配置する。
【0113】
図15に示すように、支持基板SS側の絶縁層53と、半導体基板SB側の絶縁層40とを接合する。これらの絶縁層53,40は、例えば予めプラズマ処理等により活性化させておくことで接合することができる。また、絶縁層53,40を接合する際には、絶縁層53に形成された電極パッドPDbと、絶縁層40に形成された電極パッドPDcとが重なるように、支持基板SSと半導体基板SBとの位置合わせをする。
【0114】
絶縁層53,40を接合した後、アニール処理を行って、電極パッドPDb,PDcを例えばCu-Cu接合により接合させる。これにより、支持基板SSと半導体基板SBとが貼り合わされる。
【0115】
図16に示すように、支持基板SSの裏面側からレーザ光IRを照射する。レーザ光IRには、赤外線であって、例えば10μm等の、半導体層および金属層等を透過しやすく酸化シリコン層等に吸収されやすい波長の光を用いることができる。これにより、支持基板SS上に形成された絶縁層62にレーザ光IRが吸収され、絶縁層62が熱源となって絶縁層62内に応力が発生する。
【0116】
ここで、絶縁層62より下層の絶縁層61もまた、絶縁層62と同様の材料から構成されている。しかし、絶縁層61の層厚を例えば100nm以下としているので、絶縁層61は、レーザ光IRによって応力が発生するほどには加熱されない。
【0117】
また、熱源となる絶縁層62を挟んで上下に形成されているベース層23及び犠牲層21には、元々、これらの形成時に結晶欠陥等が内在されている。このため、絶縁層62の加熱により、ベース層23及び犠牲層21にも応力が発生し、例えば絶縁層62に接する側の面の粗度が高まる場合がある。
【0118】
犠牲層21の応力は、犠牲層21の裏面側にも伝達されうる。しかし、このような犠牲層21の応力は、犠牲層21の裏面側に形成される絶縁層61で吸収されるので、基板70の表面にまで伝達されることが抑制される。また、ベース層23は、例えば犠牲層21よりも厚く形成されるので、ベース層23の表面側、つまり、上層の中間ソース線BSL等にまで伝達されることが抑制される。
【0119】
図17に示すように、レーザ光IRによって加熱された絶縁層62は、内部で発生した応力により開裂する。これにより、ピラーPL等が形成された積層体LM、ソース線SL、及びプラグPG等を含み、周辺回路CBAが形成された半導体基板SBから、支持基板SSが剥離される。
【0120】
その後、半導体基板SB下面に露出し、プラグPGを含む絶縁層62がCMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって平坦化され、電極膜ELが形成されてプラグPGと接続される。
【0121】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0122】
一方、半導体基板SBから剥離させた支持基板SS側には、複数のプラグ22が形成された絶縁層61及び犠牲層21が少なくとも含まれている。支持基板SS側に、開裂した絶縁層62の一部が含まれていてもよい。
【0123】
ただし、支持基板SSの犠牲層21は、レーザ光IRにより加熱された絶縁層62の応力により、表面の粗度が高まって表面に凹凸が生じた状態となっている。また、支持基板SS側から半導体記憶装置1側へとプラグ24(PG)が引き抜かれたため、犠牲層21表面の凹凸がいっそう顕著となる場合がある。
【0124】
このような使用済みの支持基板SSは、以下に述べる再生処理を受けて、新たな半導体記憶装置1の製造に用いる支持基板SSとして再利用される。
【0125】
図18は、実施形態にかかる支持基板SSの再生処理の手順の一部を例示する断面図である。上述の
図17(b)と同様、ピラーPL等を含む構成から剥離された後の支持基板SSの一部を含む断面図である。
【0126】
図18(a)に示すように、表面に凹凸の生じた犠牲層21を研磨パッドPPにより研削する。このとき、必要に応じて、犠牲層21の表面に残った絶縁層62を予め除去しておいてもよい。
【0127】
図18(b)に示すように、下層の絶縁層61をストッパ層として犠牲層21を研削することで、犠牲層21が除去されて、表面が平坦化した状態で絶縁層61が下層に露出する。絶縁層61中には複数のプラグ22が残ったままである。
【0128】
図18(c)に示すように、プラグ22を含む絶縁層61の上面に、新たに犠牲層21を形成する。
【0129】
以上により、使用済みの支持基板SSが再生される。なお、上記の
図18に示す支持基板SSの再生処理も、支持基板SSの製造方法に含めてもよい。
【0130】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置は、例えば複数のピラーを含む積層体を支持基板上に形成し、別途、周辺回路を形成した半導体基板と貼り合わせることで製造される場合がある。支持基板は、半導体基板と貼り合わされた後に剥離されて、繰り返し再利用される。支持基板の再利用の回数が多いほど、半導体記憶装置の製造コストを削減することができる。しかしながら、半導体基板から剥離する際、以下に示すように、支持基板が損耗してしまう。
【0131】
図19は、比較例にかかる支持基板SSxが剥離される様子を示す一部拡大断面図である。
【0132】
図19(a)に示すように、比較例の半導体記憶装置の製造方法においては、半導体基板等の基板70xがそのまま支持基板SSxとして使用される。支持基板SSx上には、複数のプラグPGxが形成された絶縁層60xと、ソース線SLxとが形成される。複数のプラグPGxは、絶縁層60x上下のソース線SLxと支持基板SSxとを電気的に接続している。ソース線SLxの更に上方には、複数のピラー及びコンタクト等を含む積層体が形成され、更に、周辺回路が形成された半導体基板が貼り合わされる。
【0133】
ここで、支持基板SSx上方のピラーは、異種の絶縁層が交互に積層された積層体を貫通する複数のメモリホールから形成される。複数のメモリホールは、プラズマエッチング等により形成される。積層体の厚さは数μm~数十μmにも及び、プラズマエッチングの処理には長時間を要する。このとき、積層体の複数の絶縁層に電荷が徐々に蓄積されていくことがあり、処理中のメモリホールの底面とソース線SLx等との間でアーキングが発生してしまう場合がある。
【0134】
上記のように、ソース線SLxと支持基板SSxとを電気的に接続する複数のプラグPGxを絶縁層61中に形成しておくことで、このような電荷を支持基板SSx側へと逃がすことができ、アーキングが抑制される。
【0135】
半導体基板と貼り合わせた後、支持基板SSxの裏面からレーザ光IRを照射して、絶縁層60xを加熱し、絶縁層60x内に応力を発生させる。絶縁層60x上下のソース線SLxと支持基板SSxとは、いずれも結晶欠陥等を内包している。このため、絶縁層60xの加熱により、これらのソース線SLxと支持基板SSxとにも応力が発生し、ソース線SLxと支持基板SSxとの絶縁層60x側の面に凹凸が生じる。
【0136】
図19(b)に示すように、内部に発生した応力により絶縁層60xが開裂して、支持基板SSxが剥離する。このとき、アーキングを抑制するプラグPGxが引き剥がされることで、支持基板SSx表面の凹凸が更に悪化する場合もある。
【0137】
使用済みの支持基板SSxを再生する際には、支持基板SSx表面の凹凸を研削除去する。しかしながら、支持基板SSxの表面にこのような凹凸が生じることで、除去すべき支持基板SSxの厚さが増し、1回の使用時における支持基板SSxの損耗量が増大してしまう。このため、支持基板SSxの再利用可能回数が減少してしまい、半導体記憶装置の製造コストが増大してしまう。
【0138】
実施形態の支持基板SSによれば、導電性を有する基板70と、基板70上に配置され、100nm以下の層厚を有する絶縁層61と、導電性を有し、絶縁層61上に配置される犠牲層21と、絶縁層61を貫通し、基板70と犠牲層21とを接続する複数のプラグ22と、を備える。
【0139】
このような支持基板SSを用いて、ピラーPL等を含む積層体LM、ソース線SL、及びプラグPG等を支持基板SS上に形成して半導体記憶装置1を製造することで、支持基板SSの損耗を抑制することができる。
【0140】
すなわち、レーザ光IRを用いて絶縁層62を開裂させる際に、犠牲層21に生じた応力は下層の絶縁層61によって吸収され、更に下方の基板70にまで及ぶことが抑制される。これにより、支持基板SSの損耗を抑制して、再利用の可能回数を増加させることができる。よって、半導体記憶装置1の製造コストを削減することができる。
【0141】
また、絶縁層61は、例えば100nm以下と充分に薄く構成されている。このため、レーザ光IRを照射した際、絶縁層61が加熱されて絶縁層61部分で開裂してしまうのを抑制することができる。
【0142】
実施形態の支持基板SSによれば、絶縁層62の層厚は300nm以上である。このように、絶縁層62を充分に厚く構成することで、レーザ光IRを効率よく吸収させ、絶縁層62を加熱による応力で開裂させることができる。
【0143】
実施形態の支持基板SSによれば、犠牲層21の層厚は300nm以上700nm以下である。このように、犠牲層21を薄く構成することで、材料コストを削減し、また、支持基板SSの製造および再生に要する時間を短縮することができる。
【0144】
ここで、例えば絶縁層61及びプラグ22を廃して、基板70上に直接、犠牲層21を充分に厚く形成することで、絶縁層62及び犠牲層21から基板70へと応力が伝達されるのを抑制することも可能であると考えられる。しかし、その場合には、犠牲層21を厚く形成しなければならず、材料コストが増大し、また、支持基板SSの製造および再生に要する時間が長期化してしまう恐れがある。
【0145】
上述のように、犠牲層21と基板70との間に応力を吸収する絶縁層61を介在させ、絶縁層61中にプラグ22を設けて犠牲層21と基板70との導通を保つことで、犠牲層21を薄く構成することができ、より簡便に、アーキングを抑制しつつ応力による基板70の損耗を抑制することができる。
【0146】
つまり、ソース線SL等と基板70との間には、ソース線SLと犠牲層21とを電気的に接続するプラグ24、及び犠牲層21と基板70とを電気的に接続するプラグ22が設けられている。このように、プラグ24、犠牲層21、及びプラグ22がソース線SLから基板70への電流パスとなるため、プラズマエッチング中のアーキングを抑制することができる。
【0147】
実施形態の支持基板SSによれば、絶縁層61と犠牲層21との積層方向から見たときに、複数のプラグ22の面積は絶縁層61の配置領域の面積の50%以上である。このように、絶縁層61に占める複数のプラグ22の面積を大きくすることで、プラズマエッチング中の電荷を基板70側へ逃がしやすくなり、より確実にアーキングを抑制することができる。
【0148】
実施形態の支持基板SSによれば、絶縁層61中における複数のプラグ22の配置密度は、絶縁層62中における複数のプラグ24の配置密度よりも高い。
【0149】
複数のプラグ24は、ピラーPL等の半導体記憶装置1の構成に、より近い位置に配置される。上記のように、例えば複数のプラグ22に比して、複数のプラグ24の配置密度を充分に下げることで、半導体記憶装置1の各種構成との干渉を避けつつ、プラグ22を配置することが容易となる。
【0150】
(変形例)
上述の実施形態では、支持基板SSのプラグ22,24は、例えば柱状に構成されることとした。しかし、支持基板SSのプラグ22,24はこれ以外の形状であってもよい。例えばプラグ24については、その数、配置、及び形状等の自由度が高く、種々の配置および形状等を採ることができる。以下、
図20に幾つかの例を示す。
【0151】
図20は、実施形態および実施形態の変形例にかかる支持基板SS,SSa~SScのプラグ22,22a~22cの構成の一例を示す図である。
図20(a)は、上述の
図3(b)等と同様、支持基板SSの一部拡大断面図を示す。
図20(b)は、実施形態および変形例の支持基板SS,SSa~SScにおける
図20(a)A-A線断面図である。
【0152】
図20(b)に示す実施形態の支持基板SSは、上述のように、例えば柱状に構成された複数のプラグ22を有する。
図20(b)の例では、複数のプラグ22は、絶縁層61及び犠牲層21等の積層方向から見て、絶縁層61中にグリッド状に配置されている。しかし、複数のプラグ22の配置は、グリッド状に限らず、例えば千鳥状等であってもよい。
【0153】
図20(c)に示す変形例の支持基板SSaは、例えばライン状に構成された複数のプラグ22aを有する。
図20(c)の例では、複数のプラグ22aは、例えば支持基板SSaのノッチNTを下にして、支持基板SSaの上下方向に絶縁層61中を延びる。
【0154】
支持基板SSaの構成を採る場合、例えば複数のプラグ22aのライン幅と、複数のプラグ22a間のスペース幅とを等しくすることで、複数のプラグ22の面積を絶縁層61の配置領域の面積の50%とすることができる。更に、ライン幅>スペース幅とすることで、複数のプラグ22の面積を絶縁層61の配置領域の面積の50%超とすることができる。
【0155】
なお、ライン状のプラグ22aが延びる方向は、
図20(c)の例に限らず、ノッチNTを下にして支持基板SSaの水平方向、または上下左右方向に対して傾斜した方向などとすることができる。
【0156】
図20(d)に示す変形例の支持基板SSbは、例えば環状に構成された複数のプラグ22bを有する。
図20(d)の例では、絶縁層61及び犠牲層21等の積層方向から見た支持基板SSbの中心点から、同心円状に広がる複数の円環状のプラグ22bが配置されている。
【0157】
図20(e)に示す変形例の支持基板SSbは、例えば環状に構成された複数のプラグ22bに加えて、支持基板SSbの中心から放射状に延びる複数のプラグ22cが配置されている。
【0158】
なお、上述の
図20(b)~(e)のいずれの場合においても、複数のプラグ22,22a~22cは、それぞれの支持基板SS,SSa~SScの絶縁層61中に略均等に分散して配置されていることが好ましい。
【0159】
(その他の変形例)
上述の実施形態および変形例では、ピラーPL等を形成する際の基礎部分となるベース層23、及びベース層23と犠牲層21との導通を取るプラグ24等を半導体記憶装置1の構成の一部として流用することとした。しかし、これらのベース層23及びプラグ24等は、専ら本来の目的であるピラーPLの基礎部分、及び基板70へと至る電流パスの一部としてのみ用いられてもよい。
【0160】
この場合、支持基板SSの剥離によって、ピラーPL側へと残ったベース層23及びプラグ24は、例えば研削除去されてよい。また、ベース層23及びプラグ24の研削除去の際、ピラーPL下端部のチャネル層CNが露出するまで研削処理を継続し、ピラーPL下端部に露出したチャネル層CNに接続されるソース線等が新たに形成されてもよい。
【0161】
また、上述の実施形態および変形例では、絶縁層NL,OLを2回に分けて積層し、積層体LMa,LMbを含む2Tier構造の積層体LMを有することとした。しかし、積層体は1Tier構造を有していてもよく、あるいは、3Tier以上の構造を有していてもよい。Tier数を増やしていくことで、ワード線WLの積層数を更に増加させることができる。
【0162】
また、上述の実施形態および変形例では、コンタクト領域ERは、積層体LMのX方向両端部に配置されることとした。しかし、積層体LMにおけるコンタクト領域ERの配置位置はこれに限られない。コンタクト領域ERは、例えば積層体LMの中央部に配置されていてもよく、この場合、例えば積層体LMの両端部にメモリ領域MRを配置することができる。
【0163】
また、上述の実施形態および変形例では、基板の貼合技術を用いた半導体記憶装置1の製造に支持基板SS,SSa~SScを用いることとした。しかし、支持基板SS,SSa~SScが使用可能な製造工程等は、上述の半導体記憶装置1を製造する場合に限られず、種々の半導体装置の製造工程に適用することが可能である。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0165】
1…半導体記憶装置、21…犠牲層、22,22a~22c,24…プラグ、23…ベース層、61,62…絶縁層、70…基板、CBA…周辺回路、CC…コンタクト、ER…コンタクト領域、LI…板状コンタクト、LM,LMa,LMb,LMga,LMgb,LMsa,LMsb…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、PL,PLa,PLb…ピラー、SB…半導体基板、SS,SSa~SSc…支持基板、ST…スリット、WL…ワード線。