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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122416
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240902BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240902BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/44
A61K8/36
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029943
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 章子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB311
4C083AB322
4C083AB351
4C083AB362
4C083AB432
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD152
4C083AD242
4C083CC12
4C083DD17
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】しっとりした塗布感で、塗布中の肌への密着感に優れ、肌へのつきが均一で、乾燥感のない仕上がりが得られる粉末化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)アシルアミノ酸、
(B)脂肪酸金属塩
を含有し、成分(A)及び(B)の合計含有量が、46質量%以上である粉末化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)アシルアミノ酸、
(B)脂肪酸金属塩
を含有し、成分(A)及び(B)の合計含有量が、46質量%以上である粉末化粧料。
【請求項2】
成分(A)の含有量が45~98質量%であり、成分(B)の含有量が1~30質量%である、請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項3】
成分(A)及び(B)の質量割合((B)/(A))×100が、3~45である、請求項1又は2記載の粉末化粧料。
【請求項4】
さらに、(C)硫酸塩及び炭酸塩から選ばれる1種以上を含有する、請求項1~3のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項5】
成分(C)の含有量が、0.2~40質量%である、請求項4記載の粉末化粧料。
【請求項6】
成分(A)及び(C)の質量割合((C)/(A))×100が、0.2~60である、請求項4又は5記載の粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ルースパウダー等の粉末化粧料は、なめらかな使用感で、均一で自然な仕上がりを得るために使用されている。
例えば、特許文献1には、オクタノイルリジン、油成分、窒化ホウ素を含有する粉末化粧料が、塗布後にムラがなく、粉っぽくなく、自然な仕上がりで、潤って見えることが記載されている。
特許文献2には、特定の体積平均粒径の微粉末、特定長短径の有機粉体を含有する粉末化粧料が、肌上でのすべり等の感触が良好で、しっとり感も得られ、毛穴や小じわ等の凹凸を目立たなくすることができ、化粧下地を用いなくても自然な仕上がりが得られることが記載されている。
特許文献3には、脂肪酸マグネシウム塩粒子、アシルアミノ酸を含有する化粧料、特に粉末化粧料が、なめらかさ、しっとり感、自然な仕上がり、ツヤ感などの使用性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-197496号公報
【特許文献2】特開平10-175822号公報
【特許文献3】特開2022-56558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粉末化粧料は、塗布した際に、上滑りして、肌への密着感に劣るという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、アシルアミノ酸と脂肪酸金属塩を、合計で46質量%以上含有する粉末化粧料が、しっとりした塗布感で、塗布中の肌への密着感に優れ、肌へのつきが均一で、乾燥感のない仕上がりが得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)アシルアミノ酸、
(B)脂肪酸金属塩
を含有し、成分(A)及び(B)の合計含有量が、46質量%以上である粉末化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉末化粧料は、しっとりした塗布感で、塗布中の肌への密着感に優れ、肌へのつきが均一で、乾燥感のない仕上がりが得られるものである。また、塗布後の粉末化粧料と肌とが一体感があって馴染みが良く、塗布後の肌がなめらかな肌触りを感じる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
成分(A)のアシルアミノ酸において、アミノ酸としては、α-アミノ酸が好ましく、リジンがより好ましい。
また、アシルアミノ酸のアシル基を構成する脂肪酸残基は、炭素数8~14の脂肪酸残基が好ましく、炭素数8~12の脂肪酸残基がより好ましい。
成分(A)としては、塗布後の肌のなめらかな肌触りを得る観点から、ラウロイルリジン、オクタノイルリジンが好ましく、ラウロイルリジンがより好ましい。
また、成分(A)のアシルアミノ酸の体積平均粒子径は、肌への密着感に優れ、上滑りを抑制する観点から、1~50μmであるのが好ましく、3~30μmがより好ましく、5~25μmがさらに好ましい。ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定器(堀場製作所製、LA-920)により測定される。本発明において、体積平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
【0009】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布後の肌のなめらかな肌触りを得る観点から、全組成中に45質量%以上であるのが好ましく、48質量%以上がより好ましく、52質量%以上がさらに好ましく、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、95質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に45~98質量%であるのが好ましく、48~97質量%がより好ましく、52~95質量%がさらに好ましい。
【0010】
本発明で用いる成分(B)は、脂肪酸金属塩であり、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、水不溶性のものが好ましい。
成分(B)の脂肪酸金属塩において、脂肪酸は、炭素数12~22の脂肪酸が好ましく、炭素数14~18の脂肪酸がより好ましい。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストオレイン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、ミリスチン酸、ステアリン酸が好ましく、ミリスチン酸がより好ましい。
また、肌への密着感に優れ、上滑りを抑制する観点から、多価金属の脂肪酸金属塩が好ましく、2価金属の脂肪酸塩がより好ましく、マグネシウムの脂肪酸塩、亜鉛の脂肪酸塩がさらに好ましい。
成分(B)としては、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛が好ましく、ミリスチン酸マグネシウムがより好ましい。
また、成分(B)の脂肪酸金属塩の体積平均粒子径は、肌への密着感に優れ、上滑りを抑制する観点から、1~30μmであるのが好ましく、3~20μmがより好ましく、4~15μmがよりさらに好ましい。ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定器(堀場製作所製、LA-920)により測定される。本発明において、体積平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
【0011】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、肌への密着感に優れ、上滑りを抑制する観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に1~30質量%であるのが好ましく、2~25質量%がより好ましく、3~20質量%がさらに好ましい。
【0012】
本発明において、成分(A)及び(B)の合計含有量は、塗布後の肌のなめらかな肌触りを維持しつつ、塗布中の上滑りを抑制し、肌への密着感に優れる観点から、全組成中に46質量%以上であり、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、100質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)及び(B)の合計含有量は、全組成中に46質量%以上であり、46~100質量%が好ましく、50~99質量%がより好ましく、55~98質量%がさらに好ましい。
【0013】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合((B)/(A))×100は、塗布後の肌のなめらかな肌触りを維持しつつ、しっとりした塗布感で、塗布中に上滑りすることなく、肌への密着感に優れ、乾燥感のない仕上がりが得られる観点から、3以上であるのが好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、45以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下がさらに好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合((B)/(A))×100は、3~45であるのが好ましく、4~40がより好ましく、5~35がさらに好ましい。
【0014】
本発明の粉末化粧料は、さらに、(C)硫酸塩及び炭酸塩から選ばれる1種以上を含有することができ、上滑り感を抑制し、塗布後の肌のへの密着感を高め、べたつき感を低減することができる。
成分(C)としては、水不溶性の硫酸塩、炭酸塩が好ましく、多価金属の硫酸塩、炭酸塩がより好ましく、2価金属の硫酸塩、炭酸塩がより好ましい。
成分(C)としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムが好ましく、硫酸カルシウムがより好ましい。
また、成分(C)の硫酸塩及び炭酸塩の体積平均粒子径は、塗布時に肌上での上滑り感を抑制し、塗布後の肌の密着感を高める観点から、1~45μmであるのが好ましく、1.5~40μmがより好ましい。ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定器(堀場製作所製、LA-920)により測定される。本発明において、体積平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
【0015】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、上滑り感を抑制し、塗布後の肌への密着感を高め、塗布後の粉末化粧料と肌とが一体感があって馴染みが良くなる観点から、全組成中に0.2質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.2~40質量%であるのが好ましく、1~35質量%がより好ましく、2~30質量%がさらに好ましい。
【0016】
本発明において、成分(A)及び(C)の質量割合((C)/(A))×100は、しっとりした塗布感で、塗布中の肌への密着感に優れ、肌へのつきが均一で、乾燥感のない仕上がりが得られ、塗布後の粉末化粧料と肌とが一体感があって馴染みが良く、塗布後の肌がなめらかな肌触りを得る観点から、0.2以上であるのが好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、60以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下がさらに好ましい。また、成分(A)及び(C)の質量割合((C)/(A))×100は、0.2~60であるのが好ましく、0.5~40がより好ましく、1~35がさらに好ましい。
【0017】
本発明の粉末化粧料は、さらに、成分(A)、(B)及び(C)以外の粉体を含有することができる。
粉体は、その粒子形状は制限されず、例えば、球状、針状、板状、不定形等のいずれでも良い。
粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、合成金雲母、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ等の無機顔料及びこれらの複合顔料などが挙げられる。複合顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化亜鉛被覆雲母、酸化チタン・酸化亜鉛被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、硫酸バリウム・酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆合成金雲母、酸化クロム被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン内包ガラス末、酸化鉄内包ガラス末等が挙げられる。
【0018】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;カーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素などが挙げられる。
【0019】
光輝性顔料としては、雲母、合成金雲母、ガラス、シリカ、アルミナ等の板状粉体等の表面を、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなどを用いることができる。
【0020】
これらの粉体は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌を綺麗に見せるメイクアップ効果を付与する観点から、20質量%以下であるのが好ましく、15質量%以下がより好ましく、0.1~8質量%がさらに好ましい。
【0021】
本発明の粉末化粧料は、さらに、25℃で液状の油成分を含有することができる。液状とは、流動性を有するもので、ペースト状も含まれる。
かかる油成分としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油、高級アルコール等が挙げられる。
【0022】
より具体的には、炭化水素油としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ワセリン等の直鎖又は分岐鎖の炭化水素油が挙げられる。
【0023】
エステル油としては、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油及びテトラエステル油が挙げられる。
モノエステル油としては、炭素数2~24の脂肪族又は芳香族のモノカルボン酸又はジカルボン酸のモノエステルが挙げられ、具体例としては、2-エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-ヘキシルデシルステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、イソデシルベンゾエート、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、コハク酸2-エチルヘキシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、安息香酸アルキル(C12~C15)等が挙げられる。
【0024】
ジエステル油としては、炭素数3~18のジカルボン酸のジエステル、多価アルコールのジ脂肪酸エステル等が挙げられ、具体例としては、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0025】
トリエステル油としては、3価以上の多価アルコールのトリ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、トリミリスチン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、オリーブ油、ホホバ油等が挙げられる。
【0026】
テトラエステル油としては、4価以上の多価アルコールのテトラ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリットが挙げられる。
【0027】
エーテル油としては、ジアルキルエーテルが挙げられ、具体的には、ジヘキシルエーテル、ジカプリリルエーテル、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル等が挙げられる。
【0028】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルシクロポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等のメチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0029】
高級アルコールとしては、炭素数10~24の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を有するものが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0030】
油成分は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布中の粉感を抑制し、しっとりした塗布感を得る観点から、全組成中に10質量%以下であるのが好ましく、6質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、実質含まないのがよりさらに好ましい。
【0031】
本発明の粉末化粧料は、前記成分以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の粉体、前記以外の油性成分、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等を含有することができる。
【0032】
本発明の粉末化粧料は、環境に配慮し、使用感に優れる観点から、有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい。
また、球状の有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい。
有機樹脂粉体として、例えば、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体又は共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機樹脂粉体などが挙げられる。
【0033】
本発明の粉末化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。
例えば、成分(A)及び(B)を含むすべての粉体成分を均一に混合し、必要に応じて、その他成分を加えてさらに混合した後、粉砕し、ふるいを通すことにより、粉末状の化粧料を製造することができる。
【0034】
本発明の粉末化粧料は、粉末状の形態であり、固形のものは含まない。
具体的には、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、白粉、ほほ紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料;ボディパウダー、ベビーパウダー等のボディパウダーの形態が挙げられ、なかでも、フェイスパウダー、白粉が好ましく、粉末状のフェイスパウダー(ルースパウダー)として好適である。
【実施例0035】
実施例1~9及び比較例1~2
表1に示す組成の粉末化粧料(ルースパウダー)を製造し、しっとりした感触、肌への密着感、つきの均一感、乾燥感のなさ、肌との一体感(なじみの良さ)、塗布後の肌のなめらかさ(肌を触ったときの手触り)を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0036】
(製造方法)
成分(A)、(B)及び(C)を含むすべての粉体成分を、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、必要に応じて、その他成分を加えてさらに混合した後、アトマイザーを用いて粉砕し、ふるいを通した。これを容器に充填して、粉末化粧料(ルースパウダー)を得た。
【0037】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各粉末化粧料(ルースパウダー)を肌に塗布したとき、しっとりした感触、肌への密着感、つきの均一感、乾燥感のなさ、肌との一体感(なじみの良さ)、塗布後の肌のなめらかさ(肌を触ったときの手触り)を、以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示した。
【0038】
(1)しっとりした感触:
5;とてもしっとりしている。
4;しっとりしている。
3;ややしっとりしている。
2;あまりしっとりしていない。
1;しっとりしていない。
【0039】
(2)肌への密着感:
5;とても密着感がある。
4;密着感がある。
3:やや密着感がある。
2:あまり密着感がない。
1;密着感がない。
【0040】
(3)つきの均一感:
5;肌へのつきがとても均一である。
4;肌へのつきが均一である。
3:肌へのつきがやや均一である。
2:肌へのつきがあまり均一ではない。
1;肌へのつきが均一ではない。
【0041】
(4)乾燥感のなさ:
5;とても乾燥感がない。
4;乾燥感がない
3;あまり乾燥感がない
2;乾燥感がややある
1;乾燥感がある。
【0042】
(5)肌との一体感(なじみの良さ):
5;肌との一体感がとてもある。
4;肌との一体感がある。
3:肌との一体感がややある。
2:肌との一体感があまりない。
1;肌との一体感がない。
【0043】
(6)塗布後の肌のなめらかさ(肌を触ったときの手触り):
5;塗布後の肌がとてもなめらかである。
4;塗布後の肌がなめらかである。
3:塗布後の肌がややなめらかである。
2:塗布後の肌があまりなめらかではない。
1;塗布後の肌がなめらかではない。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例10~11
表2に示す組成の粉末化粧料(ルースパウダー)はいずれも、しっとりした塗布感で、塗布中の肌への密着感に優れ、肌へのつきが均一で、肌との一体感があり、塗布後の肌はなめらかで、乾燥感のない仕上がりが得られる。
【0046】
【表2】