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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122420
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20240902BHJP
   E03D 11/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029947
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
(72)【発明者】
【氏名】四宮 彬
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AC02
2D039AC03
2D039AD01
2D039DB00
(57)【要約】
【課題】ボウル部の意匠性と排水性能の向上を両立させることができる水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明の水洗大便器1は、汚物を受ける汚物受け面18と、この汚物受け面の上方に形成され内周面20aを持つリム部20と、汚物受け面の下方に形成されその内部に溜水面24が形成される凹部26と、を備えたボウル部10と、リム部に設けられ、リム部の内周面に沿って洗浄水を吐水して旋回流を形成する第1リム吐水口28及び第2リム吐水口30と、ボウル部の底部に接続され汚物を排出する排水管路12と、を有し、ボウル部の汚物受け面の前方領域18aは凹形状で形成され、この前方領域の上側は第1曲率半径R1で形成され、下側は第2曲率半径R2で形成され、第1曲率半径は第2曲率半径より小さいことを特徴としている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器であって、
汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面の上方に形成され内周面を持つリム部と、上記汚物受け面の下方に形成されその内部に溜水面が形成される凹部と、を備えたボウル部と、
上記リム部に設けられ、上記リム部の内周面に沿って洗浄水を吐水して旋回流を形成する吐水部と、
上記ボウル部の底部に接続され汚物を排出する排水管路と、を有し、
上記ボウル部の汚物受け面の前方領域は凹形状で形成され、この前方領域の上側は第1曲率半径で形成され、下側は第2曲率半径で形成され、第1曲率半径は第2曲率半径より小さいことを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
上記汚物受け面の前方領域に接する上記リム部の内周面は、その上部が上記ボウル部の内側に向かって張り出している、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記汚物受け面の前方領域と上記リム部との間に棚部が形成されている、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項4】
平面視で、上記汚物受け面の前方領域に接する上記リム部の内周面の曲率半径が最小で形成されている位置において、上記棚部の幅が最大で形成されている、請求項3に記載の水洗大便器。
【請求項5】
上記汚物受け面の後方領域は凸形状で形成されている、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項6】
上記吐水部は、前方に向かった洗浄水を吐水する第1吐水部と、後方に向かって洗浄水を吐水する第2吐水部とを備え、
上記第1吐水部の下流側には凹形状の上記汚物受け面が配置され、上記第2吐水部の下流側には凸形状の上記汚物受け面が配置されている、請求項5に記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に係わり、特に、洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、汚物受け面、汚物受け面の上部に形成されたリム部、及び、汚物受け面の下部に形成されその内部に溜水面が形成される凹部を備えるボウル部と、リム部に形成され、洗浄水を吐水する第1リム吐水口及び第2リム吐水口と、ボウル部の底部に接続された排水管路と、を有する水洗段便器が、知られている。
【0003】
このような水洗大便器が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1には、リム部の一方の側に設けれられた第1吐水口と、この第1吐水口よりも後方の他方の側に設けられた第2吐水口とを有し、さらに、ボウル部の汚物受け面には、第1ガイド部(ガイド部)と第2ガイド部(旋回部)が稜線部を境目として設けられ、この第1ガイド部により、他方の側を旋回した洗浄水を溜水部の後方側に流入させるようにした、水洗大便器が記載されている。
【0004】
さらに、この特許文献1の水洗大便器は、特許文献1の図面から明らかなように、ボウル部の汚物受け面における凹凸を減らし、それにより、ボウル部の意匠性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-48336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、水洗大便器においては、洗浄水の主流を溜水面の前側から流入させることにより、排水性能を向上させることができる。
しかしながら、上述した特許文献1の水洗大便器においては、ボウル部の汚物受け面の第1ガイド部及び第2ガイド部における凹凸が減らされているので、洗浄水の主流を溜水面の前側から流入させることが難しい構造となっている。
【0007】
本発明者らは、鋭意研究した結果、洗浄水の主流を溜水面の前側から流入させるために、ボウル面の汚物受け面の凹凸形状が重要であることを見出した。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ボウル部の意匠性と排水性能の向上を両立させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器であって、汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面の上方に形成され内周面を持つリム部と、汚物受け面の下方に形成されその内部に溜水面が形成される凹部と、を備えたボウル部と、リム部に設けられ、リム部の内周面に沿って洗浄水を吐水して旋回流を形成する吐水部と、ボウル部の底部に接続され汚物を排出する排水管路と、を有し、ボウル部の汚物受け面の前方領域は凹形状で形成され、この前方領域の上側は第1曲率半径で形成され、下側は第2曲率半径で形成され、第1曲率半径は第2曲率半径より小さいことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、ボウル部の汚物受け面の前方領域が凹形状で形成されているので、ボウル部の意匠性を向上させることができ、さらに、この前方領域の上側は第1曲率半径で形成され、下側は第2曲率半径で形成され、第1曲率半径は第2曲率半径より小さいので、汚物受け面の前方領域において、排水管路の入口に向かう主流を形成して排水性能を向上させることができる。これにより、本発明によれば、ボウル部の意匠性と排水性能の向上を両立させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、汚物受け面の前方領域に接するリム部の内周面は、その上部がボウル部の内側に向かって張り出している。
このように構成された本発明において、汚物受け面の前方領域に接するリム部の内周面は、その上部がボウル部の内側に向かって張り出しているので、汚物受け面の前方領域に接するリム部の内周面に沿って旋回する洗浄水の一部を排水管路の入口に向かう主流へ変換することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、汚物受け面の前方領域とリム部との間に棚部が形成されている。
このように構成された本発明において、汚物受け面の前方領域とリム部との間に棚部が形成されているので、リム部の内周面に沿って旋回する洗浄水の一部を汚物受け面の後方領域へ導いて、後方領域を洗浄することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、平面視で、汚物受け面の前方領域に接するリム部の内周面の曲率半径が最小で形成されている位置において、棚部の幅が最大で形成されている。
このように形成された本発明において、平面視で、汚物受け面の前方領域に接するリム部の内周面の曲率半径が最小で形成されている位置において、棚部の幅が最大で形成されているので、リム部の内周面に沿って旋回する洗浄水の一部を汚物受け面の後方領域へ確実に導いて、汚物受け面の後方領域を洗浄することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、汚物受け面の後方領域は凸形状で形成されている。
このように形成された本発明において、汚物受け面の後方領域は凸形状で形成されているので、汚物受け面の後方領域に導かれた洗浄水が凹部に流下し易くなり、溜水面を攪拌することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、吐水部は、前方に向かった洗浄水を吐水する第1吐水部と、後方に向かって洗浄水を吐水する第2吐水部とを備え、第1吐水部の下流側には凹形状の汚物受け面が配置され、第2吐水部の下流側には凸形状の上記汚物受け面が配置されている。
このように形成された本発明において、第1吐水部の下流側には凹形状の汚物受け面が配置され、第2吐水部の下流側には凸形状の汚物受け面が配置されているので、排水管路の入口に向かう主流と溜水面を攪拌する流れの両方を確実に形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水洗大便器によれば、本発明は、ボウル部の意匠性と排水性能の向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態による水洗大便器を示す斜視図である。
図2図1の水洗大便器の幅方向の中心で切断した縦断面図である。
図3図2の水洗大便器の便器本体の縦断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿って見た便器本体の断面図である。
図5】本発明の実施形態による水洗大便器の便器本体の平面図である。
図6図5のA-A線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
図7図5のB-B線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
図8図5のC-C線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
図9図5のD-D線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
図10図5のE-E線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
図11図5のF-F線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
図12】本発明の実施形態による水洗大便器における洗浄水の流れの様子を示す便器本体の平面図である。
図13図12に示された洗浄水の流れF1を示す便器本体の平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る水洗大便器について説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本実施形態による水洗大便器の全体構造について説明する。図1は本発明の実施形態による水洗大便器を示す斜視図であり、図2図1の水洗大便器の幅方向の中心で切断した縦断面図である。
なお、本明細書では、使用者から見て、水洗大便器の手前側を前側、奥側を後方、右側を右側、左側を左側、として説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、水洗大便器1は、壁掛け式の水洗大便器である。また、水洗大便器1は、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す洗い落し式便器である。なお、本実施形態は、床排水式の水洗大便器や、サイホン式の水洗大便器にも適用可能である。
【0019】
水洗大便器1は、陶器製の便器本体2と、洗浄水を貯水する貯水タンク4とを備え、貯水タンク4に貯水された洗浄水が給水管5を経由して便器本体2に洗浄水が供給されるようになっている。便器本体2の後端部は、壁Wに固定されると共に、便器本体2の下端部が床面Fから離間してするように配置されている。
【0020】
また、貯水タンク4は、壁Wの裏側に固定配置されている。貯水タンク4の上部には、洗浄水の供給のON・OFF等の操作をするための操作装置6が配置され、この操作装置6の前側は、壁Wの表面に露出し、使用者が操作することができるようになっている。
【0021】
本実施形態では、洗浄水の重力作用により便器本体に洗浄水を供給する貯水タンク4を使用しているが、洗浄水源として、他の形態である、水道水の給水圧を利用して洗浄水を便器本体2に供給する「水道直圧式」の給水装置や、「フラッシュバルブ式」の給水装置や、貯水タンク内に貯水された洗浄水をポンプにより供給する「ポンプ式」の給水装置を使用してもよい。
【0022】
便器本体2は、貯水タンク4の洗浄水が供給される共通導水路8と、ボウル部10と、このボウル部10の底部に接続され汚物を排出するための排水管路12と、ボウル部8と排水管路12のそれぞれを側方から覆うスカート部14を備えている。また、排水管路12の出口側には、汚物を外部に排出するための排水管16が接続されている。
【0023】
次に、図3及び図4により、本実施形態による水洗大便器1の便器本体2の基本構造を説明する。図3図2の水洗大便器の便器本体の縦断面図であり、図4図3のIV-IV線に沿って見た便器本体の断面図である。
【0024】
図3及び図4に示すように、便器本体2のボウル部10は、ボウル形状の汚物受け面18と、汚物受け面18の上方に形成され内周面20aを持つリム部20と、汚物受け面18とリム部20との間に形成された棚部22と、汚物受け面18の下方に形成されその内部に溜水面24が形成される凹部26と、を有する。この凹部26の下方には、排水管路12の入口部12aが位置している。
【0025】
ここで、リム部20の内周面20aは、その上部がボウル部10の内側に向かって張り出す構造となっている。また、溜水面24と凹部26は、前側が先細りの略三角形を形成している。
【0026】
ボウル部10のリム部20には、前方から見て左側の中央側に、洗浄水を吐水する第1リム吐水口28が形成され、前方から見て右側の後方側に、洗浄水を吐水する第2リム吐水口30が形成されている(図4参照)。
【0027】
上述した共通通水路8は、下流側に向けて、第1導水路32と第2導水路34とに分岐し、第1導水路32は第1リム吐水口28まで延び、第2導水路34は第2リム吐水口30まで延び、貯水タンク4に貯水された洗浄水を第1リム吐水口28と第2リム吐水口30に供給するようになっている。ここで、第1リム吐水口28と第2リム吐水口30は、同一の方向に旋回する旋回流を形成する向きに洗浄水を吐水するようになっている。本実施形態の場合は、反時計回りの旋回流を形成している。
【0028】
次に、図4に示すように、ボウル部10の汚物受け面18は、前方側に位置する前方領域18aと、後方側に位置する後方領域18bを備えている。図4において、O1は、便器本体2の幅方向の中心を前後方向に延びる中心線であり、Wmax は、溜水面24の最大幅である。
本実施形態においては、汚物受け面18の前方領域18aは、溜水面24の最大幅Wmax の位置よりも前方側に位置する領域であり、後方領域18bは、最大幅Wmax の位置よりも後方側に位置する領域である。
【0029】
次に、図4に示すように、棚部22は、汚物受け面18の前方領域18aに形成され、後方領域18bには形成されていない。さらに、リム部20の前方から見て右前方側の内周面20aの曲率半径が最小で形成されている位置に接する棚部22の領域Xにおいて、棚部22の幅が最大値(Smax )に形成されている。
【0030】
次に、図5乃至図11により、汚物受け面18の形状について説明する。図5は本発明の実施形態による水洗大便器の便器本体の平面図であり、図6図5のA-A線に沿って見た便器本体の部分断面図であり、図7図5のB-B線に沿って見た便器本体の部分断面図であり、図8図5のC-C線に沿って見た便器本体の部分断面図であり、図9図5のD-D線に沿って見た便器本体の部分断面図であり、図10図5のE-E線に沿って見た便器本体の部分断面図であり、図11図5のF-F線に沿って見た便器本体の部分断面図である。
【0031】
図5に示すように、それぞれの断面は、凹部26の前後方向及び幅方向の中心O2から放射状に延ばした線に沿っている。A―A線に沿った断面は、横方向(左右方向)に延び、他の断面であるB―B線に沿った断面、C―C線に沿った断面、D―D線に沿った断面、E―E線に沿った断面、F―F線に沿った断面は、それぞれ、A―A線に沿った断面から30度ずつ時計回りに移動させた位置の断面となっている。
【0032】
最初に、図9により、D―D線に沿って見た汚物受け面18の断面形状、即ち、便器本体2の前後方向の中心線O1に沿って見た断面形状について説明する。汚物受け面18の前方領域18aは凹形状で形成され、次に、この前方領域18aの上側は、単一の曲率半径R1D(R1D=60mm)で形成され、前方領域18aの下側は、単一の曲率半径R2D(R2D=400mm)で形成されている。このように、本実施形態においては、前方領域18aの上側の曲率半径R1Dが前方領域18aの下側の曲率半径R2Dよりも小さな値となっている。これらの曲率半径R1DとR2Dは、それぞれ複数の曲率半径を含むものであってもよい。
次に、汚物受け面18の後方領域18bは凸形状で形成されている。この凸形状の後方領域18bの下部が凹部26の後壁26aと連続するように形成されている。
【0033】
図6に示されたA-A線断面においても、同様に、汚物受け面18の前方領域18aは凹形状で形成され、次に、この前方領域18aの上側は曲率半径R1Aで形成され、前方領域18aの下側は曲率半径R2Aで形成されている。前方領域18aの上側の曲率半径R1Aが前方領域18aの下側の曲率半径R2Aよりも小さな値となっている。これらの曲率半径R1Aと曲率半径R2Aは、単一の曲率半径であっても良いし、複数の曲率半径を含むものであってもよい。
【0034】
図7に示されたB―B線断面においても、同様に、汚物受け面18の前方領域18aは凹形状で形成され、次に、この前方領域18aの上側は曲率半径R1Bで形成され、前方領域18aの下側は曲率半径R2Bで形成されている。前方領域18aの上側の曲率半径R1Bが前方領域18aの下側の曲率半径R2Bよりも小さな値となっている。これらの曲率半径R1Bと曲率半径R2Bは、単一の曲率半径であっても良いし、複数の曲率半径を含むものであってもよい。
次に、汚物受け面18の後方領域18bも、同様に、凸形状で形成されている。この凸形状の後方領域18bの下部が凹部26の後壁26aと連続するように形成されている。
【0035】
図8に示されたC―C線断面においても、同様に、汚物受け面18の前方領域18aは凹形状で形成され、次に、この前方領域18aの上側は曲率半径R1Cで形成され、前方領域18aの下側は曲率半径R2Cで形成されている。前方領域18aの上側の曲率半径R1Cが前方領域18aの下側の曲率半径R2Cよりも小さな値となっている。これらの曲率半径R1Cと曲率半径R2Cは、単一の曲率半径であっても良いし、複数の曲率半径を含むものであってもよい。
次に、汚物受け面18の後方領域18bも、同様に、凸形状で形成されている。この凸形状の後方領域18bの下部が凹部26の後壁26aと連続するように形成されている。
【0036】
図10に示されたE―E線断面においても、同様に、汚物受け面18の前方領域18aは凹形状で形成され、次に、この前方領域18aの上側は曲率半径R1Eで形成され、前方領域18aの下側は曲率半径R2Eで形成されている。前方領域18aの上側の曲率半径R1Eが前方領域18aの下側の曲率半径R2Eよりも小さな値となっている。これらの曲率半径R1Eと曲率半径R2Eは、単一の曲率半径であっても良いし、複数の曲率半径を含むものであってもよい。
次に、汚物受け面18の後方領域18bも、同様に、凸形状で形成されている。この凸形状の後方領域18bの下部が凹部26の後壁26aと連続するように形成されている。
【0037】
図11に示されたF線―F線断面においても、同様に、汚物受け面18の前方領域18aは凹形状で形成され、次に、この前方領域18aの上側は曲率半径R1Fで形成され、前方領域18aの下側は曲率半径R2Fで形成されている。前方領域18aの上側の曲率半径R1Fが前方領域18aの下側の曲率半径R2Fよりも小さな値となっている。これらの曲率半径R1Fと曲率半径R2Fは、単一の曲率半径であっても良いし、複数の曲率半径を含むものであってもよい。
次に、汚物受け面18の後方領域18bも、同様に、凸形状で形成されている。この凸形状の後方領域18bの下部が凹部26の後壁26aと連続するように形成されている。
【0038】
以上の説明から明らかなように、第1リム吐水口28の下流側には凹形状の汚物受け面18の前方領域18aが配置され、第2リム吐水口30の下流側には凸形状の汚物受け面18の後方領域18bが配置されるようになっている。
【0039】
次に、図12及び図13により、第1リム吐水口28及び第2リム吐水口30から吐水された洗浄水の流れの様子を説明する。
先ず、図12に示されたように、第1リム吐水口28から吐水された洗浄水の多くは流れF1となり、ボウル部10の汚物受け面18の前方領域18aに向かって流下する。第1リム吐水口28から吐水された洗浄水の残りは、ボウル部10の棚部22に沿って第2リム吐水口30近傍まで流れ、汚物受け面18の後方領域18bに落下する。
【0040】
第2リム吐水口30から吐水された洗浄水の一部は流れF3となり、ボウル部10の汚物受け面18の後方領域18bを経由して旋回し、前方領域18aに向かって流れる。第2リム吐水口30から吐水された洗浄水の残りは、ボウル部10の後方領域18bを経て溜水面24に直接的に流下する。
【0041】
次に、図13に示すように、第1リム吐水口28から吐水された洗浄水の流れF1は、汚物受け面18の前方領域18aに向かって流下した後、前方領域18aの上側の第1曲率半径(下側の第2曲率半径よりも小さい)の領域において、流れF11で示すように、上昇から下降に変換され、この流れF11及び他の洗浄水の流れが合流し、排水管路12の入口12aに向かって流れる主流F5となる。
【0042】
次に、上述した本実施形態による水洗大便器1の作用効果を説明する。
先ず、本実施形態による水洗大便器1においては、ボウル部10の汚物受け面18の前方領域18aが凹形状で形成されているので、ボウル部10の意匠性を向上させることができ、さらに、この前方領域18の上側は第1曲率半径R1(R1A、R1B、R1C、R1D、R1E、R1F)で形成され、下側は第2曲率半径R2(R2A、R2B、R2C、R2D、R2E、R2F)で形成され、第1曲率半径R1は第2曲率半径R2より小さいので、汚物受け面18の前方領域18aにおいて、排水管路12の入口12aに向かう主流F5を形成して排水性能を向上させることができる。これにより、本実施形態の水洗大便器1によれば、ボウル部10の意匠性と排水性能の向上を両立させることができる。
【0043】
本実施形態による水洗大便器1においては、汚物受け面18の前方領域18aに接するリム部20の内周面20aは、その上部がボウル部10の内側に向かって張り出しているので、汚物受け面18の前方領域18aに接するリム部20の内周面20aに沿って旋回する洗浄水の一部を排水管路12の入口12aに向かう主流F5へ変換することができる。
【0044】
本実施形態による水洗大便器1においては、汚物受け面18の前方領域18aとリム部20との間に棚部22が形成されているので、リム部20の内周面20aに沿って旋回する洗浄水の一部を汚物受け面18の後方領域18bへ導いて、後方領域18bを洗浄することができる。
【0045】
本実施形態による水洗大便器1においては、平面視で、汚物受け面18の前方領域18aに接するリム部20の内周面20aの曲率半径が最小で形成されている位置において、棚部22の幅が最大(Smax )で形成されているので、リム部20の内周面20aに沿って旋回する洗浄水の一部を汚物受け面18の後方領域18bへ確実に導いて、汚物受け面18の後方領域18bを洗浄することができる。
【0046】
本実施形態による水洗大便器1においては、汚物受け面18の後方領域18bは凸形状で形成されているので、汚物受け面18の後方領域18bに導かれた洗浄水が凹部26に流下し易くなり、溜水面を攪拌することができる。
【0047】
本実施形態による水洗大便器1においては、第1リム吐水口28の下流側には凹形状の汚物受け面18(前方領域18a)が配置され、第2リム吐水口30の下流側には凸形状の汚物受け面18(後方領域18b)が配置されているので、排水管路12の入口12aに向かう主流F5と溜水面24を攪拌する流れの両方を確実に形成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 貯水タンク
6 操作装置
8 共通導水路
10 ボウル部
12 排水管路
12a 入口
18 汚物受け面
18a 前方領域
18b 後方領域
20 リム部
20a 内周面
22 棚部
24 溜水面
26 凹部
28 第1リム吐水口(吐水部)
30 第2リム吐水口(吐水部)
32 第1導水路
34 第2導水路
W 壁
F 床面
F1~F4、F11 洗浄水の流れ
F5 主流
図1
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