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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122424
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】台車搬送機
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20240902BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20240902BHJP
   B62B 5/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B62B3/00 B
B62B5/00 C
B62B5/00 F
B62B5/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029952
(22)【出願日】2023-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】菊谷 功
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB09
3D050CC02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050JJ09
3D050KK02
3D050KK14
(57)【要約】
【課題】周囲の物体等と干渉することなく台車を安定して搬送することができる台車搬送機を提供する。
【解決手段】台車搬送機は、フレーム枠10と、開閉部材と、複数の車輪12と、制御部13と、を備える。フレーム枠10は、台車18を内側の収容部16に配置可能で、収容部16への台車18の出し入れを許容する入出口19が周域の一部に設けられる。開閉部材は、入出口19を開閉可能とされている。複数の車輪12は、フレーム枠10に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む。制御部13は、進行方向と交差する方向に離間して配置された各駆動輪の回転を独立して制御する。制御部13は、ことにより、フレーム枠10の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、
前記入出口を開閉可能な開閉部材と、
前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、
進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、
を備えている台車搬送機。
【請求項2】
前記開閉部材は、前記入出口の近傍部に上下方向に回動可能に支持されている請求項1に記載の台車搬送機。
【請求項3】
台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、
前記フレーム枠に回動可能に支持され、前記収容部に収容された前記台車の前記入出口方向への変位を規制可能な変位規制部材と、
前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、
進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、
を備えている台車搬送機。
【請求項4】
前記変位規制部材は、
前記フレーム枠に回動可能に支持されるヒンジ部と、
前記ヒンジ部から一方向に延出する操作アーム部と、
前記操作アーム部から略直角方向に屈曲して延びる係止爪部と、
前記ヒンジ部から前記操作アーム部と異なる方向に延びる制御アーム部と、
を備え、
前記制御アーム部は、前記入出口から前記収容部に前記台車が進入したときに、前記台車と当接して前記操作アーム部及び前記係止爪部を変位規制方向に回動させるように形成されている請求項3に記載の台車搬送機。
【請求項5】
二つの前記駆動輪は、前記フレーム枠の進行方向の略中央位置に配置されている請求項1または3に記載の台車搬送機。
【請求項6】
前記フレーム枠に支持された障害物センサと、
前記障害物センサが障害物を検知したときに前記駆動輪の回転を停止させる制動制御部と、
をさらに備えている請求項1または3に記載の台車搬送機。
【請求項7】
前記フレーム枠には、走行情報を表示と走行指示操作を行う表示パネルが取り付けられている請求項1または3に記載の台車搬送機。
【請求項8】
前記フレーム枠は、一端部間が前記入出口とされる一対の側部フレーム部と、一対の前記側部フレーム部の他端部同士を連結するベースフレーム部と、を備え、
一対の前記側部フレーム部の前記他端部は、前記ベースフレーム部に水平方向に回動可能に連結されている請求項1または3に記載の台車搬送機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置する台車を搬送する台車搬送機に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫や工場等においては、資材や製品を無人搬送車(AGV)や自律走行搬送ロボット(AMR)等によって搬送することがある。また、複数の物品を内部に収納することができるカゴ台車を無人搬送車(AGV)や自律走行搬送ロボット(AMR)等によって牽引する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、複数のカゴ台車を纏めて内部に収容配置できるフレーム枠に複数の車輪を取り付けた台車用運搬具を提案している。
この台車用運搬具は、略コ字状のフレーム枠の内側スペースがカゴ台車の収容部とされ、フレーム枠の開口部がカゴ台車の入出口とされている。フレーム枠の開口部には、収容部内にカゴ台車を収容した後に開口部を閉じるためのエンドストッパが設けられている。フレーム枠には、床面上を転動する複数の車輪が設置されている。また、フレーム枠の前部には、フレーム枠をAGVやAMR等の搬送装置に連結するための連結手段が設けられている。
【0004】
この台車用運搬具は、フレーム枠内に複数のカゴ台車を収容した状態で運搬装置に牽引される。このため、倉庫や工場等の施設内において、効率良く荷物を運搬することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-082824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の台車用運搬具は、カゴ台車を収容するフレーム枠をAGVやAMR等の搬送装置に牽引させるものである。このため、特許文献1に記載の台車用運搬具は、搬送装置が施設内を曲がりながら進行すると、台車用運搬具の後側の車輪が内輪差によって旋回方向内側にずれ込むことがある。また、特許文献1に記載の台車用運搬具は、施設内をある程度以上の速度で曲がりながら進行すると、遠心力によって台車用運搬具の後部の旋回軌道が外側に大きく膨らむことがある。
このため、限られた狭い搬送スペース内においては、周囲の物体等と干渉することなく台車を安定して搬送することが難しい。
【0007】
本発明は、周囲の物体等と干渉することなく台車を安定して搬送することができる台車搬送機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る台車搬送機は、台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、前記入出口を開閉可能な開閉部材と、前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、を備えている。
【0009】
上記の台車搬送機によって台車を搬送する場合には、開閉部材を変位させてフレーム枠の入出口を開き、その入出口を通して台車をフレーム枠内の収容部に配置する。この後に、開閉部材によって入出口を閉じ、制御部によって駆動輪を制御することによってフレーム枠を移動させる。このとき、台車はフレーム枠に周囲を取り囲まれた状態でフレーム枠とともに移動する。
台車搬送機を旋回させる場合には、進行方向と交差する方向に離間して配置された各駆動輪の回転速度を制御部による制御によって変更する。これにより、フレーム枠は低回転側の駆動輪のある側を旋回中心側として旋回するようになる。このとき、各駆動輪は、台車の周囲を取り囲むフレーム枠に取り付けられているため、後部側の車輪が内輪差によって旋回方向内側にずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象は生じにくくなる。
【0010】
前記開閉部材は、前記入出口の近傍部に上下方向に回動可能に支持されるようにしても良い。
【0011】
この場合、簡単な構成により、フレーム枠の入出口を開閉することが可能になる。また、この場合、開閉部材の作動部を入出口の近傍を大きく占有しないコンパクトな構造とすることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る台車搬送機は、台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、前記フレーム枠に回動可能に支持され、前記収容部に収容された前記台車の前記入出口方向への変位を規制可能な変位規制部材と、前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、を備えている。
【0013】
上記の台車搬送機によって台車を搬送する場合には、変位規制部材を変位させてフレーム枠の入出口からの台車の進入を可能な状態にし、入出口からフレーム枠内(収容部)に台車を収容する。この後に、変位規制部材を操作して台車の入出口方向への変位を規制し、制御部によって駆動輪を制御することによってフレーム枠を移動させる。このとき、台車はフレーム枠に周囲を取り囲まれた状態でフレーム枠とともに移動する。
台車搬送機を旋回させる場合には、進行方向と交差する方向に離間して配置された各駆動輪の回転速度を制御部による制御によって変更する。これにより、フレーム枠は低回転側の駆動輪のある側を旋回中心側として旋回するようになる。このとき、各駆動輪は、台車の周囲を取り囲むフレーム枠に取り付けられているため、後部側の車輪が内輪差によって旋回方向内側にずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象は生じにくくなる。
【0014】
前記変位規制部材は、前記フレーム枠に回動可能に支持されるヒンジ部と、前記ヒンジ部から一方向に延出する操作アーム部と、前記操作アーム部から略直角方向に屈曲して延びる係止爪部と、前記ヒンジ部から前記操作アーム部と異なる方向に延びる制御アーム部と、を備え、前記制御アーム部は、前記入出口から前記収容部に前記台車が進入したときに、前記台車と当接して前記操作アーム部及び前記係止爪部を変位規制方向に回動させるように形成されるようにしても良い。
【0015】
この場合、フレーム枠の入出口から収容部内に台車が進入すると、台車が変位規制部材の制御アーム部を押圧して、変位規制部材の操作アーム部と係止爪部を変位規制方向に回動させるようになる。この結果、台車の入出口方向への変位が係止爪部によって規制される。したがって、本構成を採用した場合には、入出口を通して台車をフレーム枠内の収容部に挿入すると、ほぼ自動で台車の変位規制を行うことが可能になり、使用時における利便性が高まる。
【0016】
二つの前記駆動輪は、前記フレーム枠の進行方向の略中央位置に配置されるようにしても良い。
【0017】
この場合、フレーム枠の旋回に寄与する二つの駆動輪がフレーム枠の進行方向の略中央位置に配置されているため、フレーム枠が進行方向の略中央位置を中心として旋回するようになる。このため、フレーム枠の振れ回り半径が小さくなり、旋回時に周囲の物体等により干渉しにくくなる。
【0018】
台車搬送機は、前記フレーム枠に支持された障害物センサと、前記障害物センサが障害物を検知したときに前記駆動輪の回転を停止させる制動制御部と、をさらに備えるようにしても良い。
【0019】
この場合、台車搬送機の走行時にフレーム枠が周囲の障害物に近接すると、障害物センサがその障害物を検知することにより、制動制御部が駆動輪の回転を停止させる。このため、走行時に万が一障害物に近接することがあっても、フレーム枠が障害物に接触するのを回避することができる。
【0020】
前記フレーム枠には、走行情報を表示と走行指示操作を行う表示パネルが取り付けられるようにしても良い。
【0021】
この場合、操作者はフレーム枠に取り付けられた表示パネルを目視確認しつつ、表示パネル上で走行指示操作を行うことができる。
【0022】
前記フレーム枠は、一端部間が前記入出口とされる一対の側部フレーム部と、一対の前記側部フレーム部の他端部同士を連結するベースフレーム部と、を備え、一対の前記側部フレーム部の前記他端部は、前記ベースフレーム部に水平方向に回動可能に連結されるようにしても良い。
【0023】
この場合、台車搬送機で台車を実際に搬送する場合には、一対の側部フレーム部が相互に略平行になる形態(使用時形態)で使用する。また、台車搬送機を使用しないときには、一対の側部フレーム部をベースフレーム部との連結部を中心として回動させ、一端側が外開きとなる形態(収容時形態)とする。この形態では、一対の側部フレーム部が外開き姿勢となるため、その側部フレーム部の間に、同姿勢の他の台車搬送機のフレーム枠を重ねて配置することが可能になる。
したがって、本構成を採用した場合には、収納スペースに複数の台車搬送機をコンパクトに収納することができる。
【発明の効果】
【0024】
上述の台車搬送機は、入出口を有するフレーム枠に駆動輪を含む複数の車輪が取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置された各駆動輪の回転が制御部によって独立して制御される。したがって、上述の台車搬送機を採用した場合には、周囲の物体等と干渉することなく台車を安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態の台車搬送機の斜視図。
図2】第1実施形態の台車搬送機の側面図。
図3】第1実施形態の台車搬送機の平面図。
図4】第1実施形態の台車搬送機の作動状態を示す斜視図。
図5】第1実施形態の台車搬送機の次の作動状態を示す斜視図。
図6】第1実施形態の台車搬送機のさらに次の作動状態を示す斜視図。
図7】第1実施形態の台車搬送機の収納状態を示す斜視図。
図8】第2実施形態の台車搬送機の側面図。
図9】第2実施形態の台車搬送機の平面図。
図10】第3実施形態の台車搬送機の作動状態を示す平面図。
図11】第3実施形態の台車搬送機の次の作動状態を示す平面図。
図12】第3実施形態の台車搬送機のさらに次の作動状態を示す平面図。
図13】第3実施形態の台車搬送機のさらに次の作動状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
また、台車搬送機が主に直進する方向を「前」と称し、その逆側を「後」と称する。さらに、台車搬送機が主に直進する方向と鉛直方向に対して直交する方向を「幅方向」と称する。図面の適所には、鉛直上方を指す矢印UPと、台車搬送機の前方を指す矢印FRと、台車搬送機の左側方を指す矢印LHが記されている。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の台車搬送機1の斜視図であり、図2は、台車搬送機1の側面図である。また、図3は、台車搬送機1の平面図である。
台車搬送機1は、平面視が略コ字状であるフレーム枠10と、開閉部材である一対の開閉バー11と、フレーム枠10に取り付けられる複数の車輪12と、後述する駆動輪12Dを含む装備部品の各部を制御する制御部13と、を備えている。
【0028】
フレーム枠10は、台車搬送機1の前側に配置されるベースフレーム部10Bと、幅方向の両側に配置される一対の側部フレーム部10Sと、を備えている。
ベースフレーム部10Bは、幅方向に長尺な金属製の箱状ブロックである。側部フレーム部10Sは、前後方向に長尺な金属製の各筒状部材である。左右の各側部フレーム部10Sは、前端部がベースフレーム部10Bの側端寄りの後端面に突き合わされている。各側部フレーム部10Sの前端部は、夫々ヒンジ部材14を介して水平方向に回動可能に連結されている。ヒンジ部材14は、ベースフレーム部10Bの幅方向外側の端部に配置されている。ヒンジ部材14のヒンジ軸は鉛直方向に沿うように配置されている。
【0029】
左右の側部フレーム部10Sは、ヒンジ部材14のヒンジ軸を中心として回動可能とされている。側部フレーム部10Sは、延出方向が前後方向を向く第1角度と、後端側が外開きとなるように前後方向に対して延出方向が所定角度に傾斜する第2角度の間の角度範囲で回動可能とされている。側部フレーム部10Sは、第1角度の状態において、ロック部材15によって角度固定される。フレーム枠10は、通常の使用時には、第1角度の状態でロック部材15によって角度固定されている。また、フレーム枠10は、後述する収容時には、第2角度の状態とされる。
【0030】
フレーム枠10は、ベースフレーム部10Bと左右の側部フレーム部10Sとに囲まれた内側領域が、平面視が略矩形状の収容部16とされている。収容部16には、転動車輪17を有する台車18(例えば、カゴ台車)が配置可能とされている。また、左右の側部フレーム部10Sの後端部の間は、収容部16内への台車18の出し入れを許容する入出口19とされている。本実施形態の場合、入出口19はフレーム枠10の後部に配置されている。ただし、入出口19の配置はこれに限定されない。例えば、ベースフレーム部10Bを後部側に配置する場合には、フレーム枠10の前部側に入出口19を配置することも可能である。
なお、実施形態の図面に示す台車18は、ベース台18bの周囲に柵18aが設置されたカゴ台車である。かご台車は、柵18aによって囲まれた内側スペースに資材や製品等の物品を収納することができる。ただし、台車搬送機1によって搬送する台車18は、カゴ台車に限定されない。転動車輪17によって床面上を移動できるものであれば、各種の台車を搬送することができる。
【0031】
ベースフレーム部10Bの下面側の幅方向に離間した2位置には、夫々駆動輪12Dが設置されている。左右の各駆動輪12Dは、夫々個別に電動モータ20によって駆動可能とされている。各駆動輪12Dを回転される電動モータ20は、ベースフレーム部10Bの上面側に設置された制御部13によって制御される。換言すれば、制御部13は、左右の各駆動輪12Dの回転を独立して制御する。
【0032】
また、左右の側部フレーム部10Sの後端寄りの各下面には、夫々従動輪12Fが設置されている。従動輪12Fは、固定軸に支持される固定輪であっても、鉛直軸回りに旋回可能な自在輪であっても良い。
【0033】
左右の側部フレーム部10Sの各後部上面には、回動機構21を介して開閉バー11が取り付けられている。各開閉バー11は、回動機構21が初期状態のときに、側部フレーム部10Sの上面側から幅方向の内側に向かって略水平に突出する。このときの開閉バー11の側部フレーム部10Sからの突出長さは、左右の側部フレーム部10S間の離間距離の2分の1の長さよりも短くなっている。
【0034】
左右の開閉バー11は、略水平姿勢のときにフレーム枠10の入出口19を閉じ、回動機構21を介して上方に回動してたときにフレーム枠10の入出口19を開く。こうして左右の開閉バー11が上方に回動すると、入出口19を通して収容部16内への台車18の出し入れが可能となる。一方、台車18を収容部16内に配置した状態で左右の開閉バー11が回動機構21を介して略水平姿勢に戻されると、収容部16内に配置された台車18の入出口19を通した抜け出しが規制される。一対の開閉バー11は、車両の前進時には台車18の後面に当接することにより、台車18を前方に押し動かすことができる。
【0035】
また、左右の側部フレーム部10Sの各後部に配置される回動機構21には、ライダー等の障害物を検知可能な障害物センサ23rが取り付けられている。なお、障害物センサ23rは、センサ本体部と、センサ本体部の周囲を覆うバンパ部とを備えている。図面では、バンパ部のみが示されている。障害物センサ23rは、回動機構21を介して、フレーム枠10の後部の隅部の近傍に支持されている。障害物センサ23rは、フレーム枠10の後部に障害物が近接したことを検知する。各障害物センサ23rで検知した検知情報は制御部13に出力される。
【0036】
また、ベースフレーム部10Bの下面の左右の駆動輪12Dの前方側領域には、上記の障害物センサ23rと同様の障害物センサ23fが取り付けられている。これらの障害物センサ23fは、フレーム枠10の前部に障害物が接近したことを検知する。各障害物センサ23fで検知した検知情報は制御部13に出力される。
【0037】
ベースフレーム部10B上に設置される制御部13は、台車搬送機1の走行中に障害物センサ23f,23rから検知信号が入力されると、駆動輪12Dの回転を停止させる。
本実施形態の場合、制御部13は、障害物センサ23f,23rが障害物を検知したときに駆動輪12Dの回転を停止させる制動制御部を兼ねている。ただし、制動制御部は、制御部13と別に設けることも可能である。
【0038】
ベースフレーム部10Bの上面には、ステー部材24を介して表示パネル25が設置されている。表示パネル25は、台車搬送機1の搬送目的地や走行速度等の走行情報の表示と、操作者による操作指示等を行うことができる。表示パネル25は、制御部13に接続され、制御部13との間で各種の信号が送受信される。制御部13は、表示パネル25による操作指示を受け付け、その操作指示に基づいて各部の制御を実行する。
【0039】
また、ベースフレーム部10Bの前面と、左右の側部フレーム部10Sの外側側面と、一方の開閉バー11の後面には、夫々非常停止ボタン26が取り付けられている。各非常停止ボタン26は、制御部13に電気的に接続されている。走行中の台車搬送機1の周囲にいる作業者によっていずれかの非常停止ボタン26が押されると、制御部13は駆動輪12Dの回転(電動モータ20の回転)を緊急停止させる。
【0040】
フレーム枠10(例えば、ベースフレーム部10B)には、倉庫等の利用する施設内の床面上に設けられた搬送誘導ライン(搬送経路に沿って描かれた線)を読み取る図示しない読み取り機が設置されている。読み取り機は、制御部13に電気的に接続されている。制御部13は、読み取り機から入力された検出信号に基づいて左右の駆動輪12Dを制御する。
【0041】
制御部13は、表示パネル25からの指示情報や読み取り機からの経路判別情報に基づいて左右の駆動輪12Dの回転(電動モータ20の出力)を制御する。具体的には、制御部13は、表示パネル25から入力された基本走行速度や、走行時に読み取り機から逐次入力される経路判別情報に基づいて左右の駆動輪12Dの各回転を個別に制御する。左右の駆動輪12Dは、夫々進行方向に対して異なる速度で回転すると、低速度で回転する駆動輪12D側に台車搬送機1(フレーム枠10)が旋回する。そして、このときの旋回半径は左右の駆動輪12Dの速度差によって決まる。したがって、制御部13は、左右の駆動輪12Dの各回転速度を制御することにより、フレーム枠10の進行方向への駆動と進行方向の変更を行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態では、床面上に設けられた搬送誘導ラインを読み取り機によって読み取り、その読み取り情報に基づいて制御部13が左右の駆動輪12Dの回転速度を制御している。しかし、床面上からの搬送経路情報の読み取りはこれに限定されない。例えば、床面上にバーコード等のライン以外の情報表示部を設置しておき、それを読み取り機によって読み込むようにしても良い。
また、施設内の走行マップ情報を記憶部に予め記憶させておき、台車搬送機1が目的の搬送先まで所定のルートで走行し得るように、制御部13が走行マップ情報に基づいて左右の駆動輪12Dを制御するようにしても良い。
【0043】
つづいて、台車搬送機1の作動の一例について、図4図6を参照して説明する。図4図6は、台車搬送機1の作動状態(台車収容時の作動状態)を順次示す斜視図である。
まず、倉庫等の施設等の待機位置において、図4に示すように、左右の開閉バー11を上方側に回動させ、フレーム枠10の後部の入出口19を開く。
次に、図5に示すように、台車搬送機1の後方側から入出口19を通して台車18をフレーム枠10の収容部16内に挿入する。台車18は、作業者が後方から押すことによって転動車輪17が床面上を転動し、容易に収容部16内に挿入配置される。
この後、図6に示すように、左右の開閉バー11を下方側に回動させ、フレーム枠10の後部の入出口19を閉じる。これにより、フレーム枠10の収容部16内に配置された台車18は、一対の開閉バー11によって後方側への相対移動を規制される。
【0044】
台車搬送機1は、この状態において左右の駆動輪12Dが制御部13によって制御され、収容部16に収容した台車18とともに目的の搬送先まで移動する。このとき、駆動輪12Dの駆動によってフレーム枠10が前方に移動すると、開閉バー11が台車18の後面に当たり、台車18が開閉バー11を通して台車搬送機1によって押し動かされる。
また、台車搬送機1は、搬送経路中に旋回部(曲がった部分)があると、制御部13による制御によって旋回方向の外側の駆動輪12Dの回転速度が内側の駆動輪12Dの回転速度よりも速められる。このとき、左右の駆動輪12Dは、台車18の周囲を取り囲むフレーム枠10に取り付けられているため、後部側の車輪(従動輪12F)が内輪差によって旋回方向内側にずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象は生じにくくなる。
【0045】
こうして台車搬送機1が目的の搬送先に到着した後には、左右の開閉バー11を上方側に回動させて入出口19を開き、その状態で入出口19を通して収容部16から台車18を取り出す。
【0046】
以上のように、本実施形態の台車搬送機1は、入出口19を有するフレーム枠10に駆動輪12Dを含む複数の車輪12が取り付けられ、幅方向に離間して配置された左右の駆動輪12Dの回転が制御部13によって独立して制御される。このため、台車搬送機1が走行経路に沿って旋回する際に、後部側の従動輪12Fが内輪差によって旋回方向内側に大きくずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象が生じにくくなる。
したがって、本実施形態の台車搬送機1を採用した場合には、周囲の物体等と干渉することなく台車18を安定して搬送することができる。
【0047】
また、本実施形態の台車搬送機1は、開閉部材である開閉バー11が、入出口19の近傍部に上下方向に回動可能に支持されている。このため、本構成を採用した場合には、簡単な構成によってフレーム枠10の入出口19を開閉することが可能になる。また、本構成を採用した場合には、開閉部材(開閉バー11)の作動部を入出口19の近傍を大きく占有しないコンパクトな構造とすることができる。
ただし、入出口19を開閉する開閉部材は上下に回動する開閉バー11に限定されない。開閉部材は、バー状ではないブロック状のものやプレート状のものであっても良い。また、上下に回動するものに限らず、幅方向や上下方向にスライド移動するもの等であっても良い。
【0048】
また、本実施形態の台車搬送機1は、障害物センサ23f,23rがフレーム枠10に支持され、障害物センサ23f,23rが障害物を検知したときに制御部13(制動制御部)が駆動輪12Dの回転を停止させる。このため、本実施形態の台車搬送機1を採用した場合には、走行時にフレーム枠10が万が一周囲の障害物に近接することがあっても、フレーム枠10が障害物に接触するのを確実に回避することができる。
【0049】
また、本実施形態の台車搬送機1は、走行情報の表示と走行指示操作を行う表示パネル25がフレーム枠10(ベースフレーム部10B)に取り付けられている。このため、操作者はフレーム枠10に取り付けられた表示パネル25を目視確認しつつ、表示パネル25上で走行指示操作を容易に行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態の台車搬送機1は、フレーム枠10が、一端部(後端部)間が入出口19とされる一対の側部フレーム部10Sと、一対の側部フレーム部10Sの他端部(前端部)同士を連結するベースフレーム部10Bと、を備えている。そして、一対の側部フレーム部10Sの他端部(前端部)は、ベースフレーム部10Bに水平方向に回動可能に連結されている。このため、台車搬送機1で台車18を実際に搬送する場合には、一対の側部フレーム部10Sが相互に略平行になる形態(使用時形態)で使用し、台車搬送機1を使用しないときには、一対の側部フレーム部10Sをベースフレーム部10Bとの連結部を中心として外開きに回動させた形態(収納時形態)とすることができる。
【0051】
図7は、収納時形態にした複数の台車搬送機1を重ねて床面状に載置した状態を示す斜視図である。
図7に示すように、収納時形態の台車搬送機1はベースフレーム部10Bを中心として左右の側部フレーム部10Sが同様に外開きに傾斜した形状となっている。このため、台車搬送機1の外開きに開いた一対の側部フレーム部10Sの間に、向きを揃えた他の台車搬送機1のベースフレーム部10Bを挿入配置することができる。このようにして台車搬送機1を順次前後方向に重ねることにより、複数の台車搬送機1がコンパクトに集約化される。
したがって、本構成を採用した場合には、収納スペースに複数の台車搬送機1をコンパクトに収納することができる。
【0052】
<第2実施形態>
図8は、本実施形態の台車搬送機101の側面図であり、図9は、台車搬送機101の平面図である。
本実施形態の台車搬送機101は、基本的な構成は上記の実施形態とほぼ同様とされているが、駆動輪12Dの配置が上記の実施形態と異なっている。
本実施形態の台車搬送機101の場合、左右の駆動輪12Dは、フレーム枠10の進行方向の略中央位置に配置されている。具体的には、駆動輪12Dは、左右の各側部フレーム部10Sのうちの、フレーム枠10の進行方向の略中央となる位置に取り付けられている。そして、従動輪12Fは、左右の各側部フレーム部10Sの後端部領域だけでなく、ベースフレーム部10Bの左右の側縁部にも設置されている。つまり、従動輪12Fは、左右の各駆動輪12Dの前後に配置されている。
【0053】
本実施形態の台車搬送機101は、基本的な構成は上記の実施形態と同様であるため、前述した上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
本実施形態の台車搬送機101は、さらに、左右の駆動輪12Dがフレーム枠10の進行方向の略中央位置に配置されているため、旋回走行時には、フレーム枠10が進行方向の略中央位置を中心として旋回するようになる。したがって、本実施形態の台車搬送機101を採用した場合には、旋回走行時におけるフレーム枠10の振れ回り半径が小さくなり、旋回時に周囲の物体等により干渉しにくくなる。
【0055】
<第3実施形態>
図10図13は、本実施形態の台車搬送機201の平面図である。図10図13では、台車搬送機201の作動状態(台車収容時の作動状態)を順次示している。
台車搬送機201は、平面視が略コ字状であるフレーム枠10と、収容部16に収容された台車18の入出口方向への変位を規制可能な一対の変位規制部材30と、フレーム枠10に取り付けられる複数の車輪12と、駆動輪12Dを含む装備部品の各部を制御する制御部13と、を備えている。車輪12は、フレーム枠10の前部領域に配置された左右一対の駆動輪12Dと、フレーム枠10の後部領域に配置された左右一対の従動輪12Fと、を含む。また、制御部13は、表示パネル25から入力された基本走行速度や、走行時に読み取り機から逐次入力される経路判別情報に基づいて左右の駆動輪12Dの各回転を個別に制御する。
本実施形態の台車搬送機201は、第1実施形態の台車搬送機1の開閉バー11(開閉部材)に代えて変位規制部材30が設けられている。詳細な図示と説明は省略するが、この点以外の構成は第1の実施形態と同様とされている。
【0056】
一対の変位規制部材30は、フレーム枠10の前部の左右両側に離間した2位置、例えば、ベースフレーム部10Bの左右の側部フレーム部10Sとの連結部の近傍位置に回動可能に支持さている。変位規制部材30は、ヒンジ部30aと、操作アーム部30bと、係止爪部30cと、制御アーム部30dと、を備えている。
【0057】
ヒンジ部30aは、フレーム枠10の前部に水平方向に回動可能に支持されている。ヒンジ部30aのヒンジ軸は鉛直方向を向いている。
操作アーム部30bは、ヒンジ部30aから後方側に向かって直線状に延出している。
係止爪部30cは、操作アーム部30bの延出端からフレーム枠10の幅方向内側に向かって略直角に延びている。左右の変位規制部材30の係止爪部30cは相互に向かい合う方向を向いている。本実施形態の場合、係止爪部30cの先端側は、前方側に向かって凸に突出する略三角形状に形成されている。ただし、係止爪部30cの形状はこれに限定されない。
制御アーム部30dは、ヒンジ部30aから操作アーム部30bの延出方向と略直交する方向に延びている。制御アーム部30dの延出方向は、フレーム枠10の幅方向の内側に向く方向とされている。
【0058】
制御アーム部30dは、入出口19から収容部16に台車18が進入したときに、台車18の前面18fと当接して操作アーム部30b及び係止爪部30cを変位規制方向(係止爪部30cが台車18の後面18r側に回り込む方向)に回動させるように形成されている。
【0059】
図10に示すように、左右の各係止爪部30cが入出口19よりも幅方向外側に位置されているときには、左右の制御アーム部30dはベースフレーム部10Bの後面よりも後方側に大きく突出するように傾斜している。
【0060】
この状態から台車18が入出口19を通して収容部16内に挿入されると、台車18の前面18fが左右の各制御アーム部30dの延出端に当接するようになる。この状態から台車18がさらに前方に押し入れられると、台車18の前面18fが左右の各制御アーム部30dを前方に押圧し、それによって左右の操作アーム部30b及び係止爪部30cを図11中の矢印で示すように回動させる。こうして、左右の操作アーム部30b及び係止爪部30cが所定角度以上回動すると、左右の係止爪部30cの前面(例えば、三角形状の頂部)が台車18の後面18rと対峙するようになる。この状態から、台車18が左右の変位規制部材30に対して後方側に相対変位すると、台車18の後面rが左右の係止爪部30cに当接し、左右の係止爪部30cによって台車18のそれ以上の相対的な後退変位が規制される。
【0061】
例えば、図11に示すように、台車18が収容部16内に収容された状態において、台車搬送機201が駆動輪12Dの駆動によって前進した場合には、図12に示すように、停止している台車18の後面18rに対して左右の係止爪部30cが当接する。このとき、台車18の後方側への相対変位が係止爪部30cによって規制されるとともに、左右の係止爪部30cが台車18を前方側に押圧するようになる。この結果、台車18は、台車搬送機201と一体になって移動するようになる。
【0062】
また、台車搬送機201が搬送目的地で停止した後に、フレーム枠10内から台車18を取り出す場合には、例えば、台車搬送機201を僅かに後退移動させることにより、左右の係止爪部30cの先端部を台車18の後面18rから離間させる。この後、作業者が図13中の矢印で示すように左右の操作アーム部30bの後端側を幅方向外側に押し開く。この結果、左右の変位規制部材30は、図10に示す初期状態に戻され、左右の係止爪部30cは入出口19より幅方向外側に退避することになる。これにより、台車18は、入出口19を通して外部に取り出すことが可能になる。
【0063】
また、本実施形態の場合も、第1実施形態と同様に、一対の側部フレーム部10Sの前端部(他端部)は、ベースフレーム部10Bに水平方向に回動可能に連結されている。このため、台車搬送機201の収納時には、一対の側部フレーム部10Sを外開きに回動させることにより、複数の台車搬送機201を重ねてコンパクに収納スペースに配置することができる。
【0064】
ここで、上記では、左右の駆動輪12Dがフレーム枠10の前部領域に設置されているものとして説明してきたが、左右の駆動輪12Dは、第2実施形態と同様にフレーム枠10の進行方向の略中央位置に配置するようにしても良い。この場合、上述した第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態の台車搬送機201は、第1実施形態と同様に、入出口19を有するフレーム枠10に駆動輪12Dを含む複数の車輪12が取り付けられ、幅方向に離間して配置された左右の駆動輪12Dの回転が制御部13によって独立して制御される。このため、本実施形態の台車搬送機201の場合も、台車搬送機201が走行経路に沿って旋回する際に、後部側の従動輪12Fが内輪差によって旋回方向内側に大きくずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象が生じにくくなる。
したがって、本実施形態の台車搬送機201を採用した場合には、周囲の物体等と干渉することなく台車18を安定して搬送することができる。
【0066】
また、本実施形態の台車搬送機201は、フレーム枠10に回動可能に支持され、収容部16に収容された台車18の入出口方向への変位を規制可能な変位規制部材30が設けられている。このため、フレーム枠10内の収容部16に収容された台車18が入出口19を通して抜け出るの確実に規制することができる。
【0067】
特に、本実施形態の台車搬送機201では、変位規制部材30がヒンジ部30a、操作アーム部30b、係止爪部30c、及び、制御アーム部30dを備え、収容部16に台車18が進入したときに、台車18と当接して係止爪部30cを変位規制方向に回動させるように制御アーム部30dが形成されている。このため、フレーム枠10の入出口19から収容部16内に台車18が進入すると、台車18が変位規制部材30の制御アーム部30dを押圧して、変位規制部材30の操作アーム部30bと係止爪部30cを変位規制方向に回動させるようになる。この結果、台車18の入出口19方向への変位が係止爪部30cによって規制される。
したがって、本実施形態の台車搬送機201を採用した場合には、入出口19を通して台車18をフレーム枠10内の収容部16に挿入すると、ほぼ自動で台車18の変位規制を行うことが可能になり、使用時における利便性が高まる。
【0068】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、フレーム枠のベースフレーム部に対して側部フレーム部が水平方向に回動可能に連結されているが、フレーム部はベースフレーム部に一体に連結された構造であっても良い。また、上記の実施形態では、フレーム枠が平面視で略コ字状に形成されているが、フレーム枠は、周域の一部に入出口が設けられた形状であれば略コ字状以外の形状であっても良い。
【0069】
また、上記の実施形態では、フレーム枠に二つの駆動輪が設置されているが、駆動輪の数はこれに限定されるものではなく、例えば、駆動輪は複数対(四つ以上)設けるようにしても良い。
【0070】
さらに、上記の各実施形態では、フレーム枠内の収容部に台車が一つのみ収容される構造とされているが、フレーム枠内の収容部に複数の台車を同時に収容することも可能である。
【0071】
また、本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていれば良い。
【符号の説明】
【0072】
1,101,201…台車搬送機、10…フレーム枠、10B…ベースフレーム部、10S…側部フレーム部、11…開閉バー(開閉部材)、12…車輪、12D…駆動輪、13…制御部、16…収容部、18…台車、19…入出口、23f,23r…障害物センサ、25…表示パネル、30…変位規制部材、30a…ヒンジ部、30b…操作アーム部、30c…係止爪部、30d…制御アーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、
前記入出口を開閉可能な開閉部材と、
前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、
進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、
を備え
前記開閉部材は、前記フレーム枠の前記入出口の近傍部に上下方向に回動可能に支持された開閉バーであり、
前記開閉バーは、略水平姿勢にすることで前記台車の前記入出口を通した抜け出しを規制する台車搬送機。
【請求項2】
台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、
前記フレーム枠に回動可能に支持され、前記収容部に収容された前記台車の前記入出口方向への変位を規制可能な変位規制部材と、
前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、
進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、
を備え
前記変位規制部材は、
前記フレーム枠に回動可能に支持されるヒンジ部と、
前記ヒンジ部から一方向に延出する操作アーム部と、
前記操作アーム部から略直角方向に屈曲して延びる係止爪部と、
前記ヒンジ部から前記操作アーム部と異なる方向に延びる制御アーム部と、
を備え、
前記制御アーム部は、前記入出口から前記収容部に前記台車が進入したときに、前記台車と当接して前記操作アーム部及び前記係止爪部を変位規制方向に回動させるように形成されている台車搬送機。
【請求項3】
台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、
前記入出口を開閉可能な開閉部材と、
前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、
進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、
を備え
前記フレーム枠は、一端部間が前記入出口とされる一対の側部フレーム部と、一対の前記側部フレーム部の他端部同士を連結するベースフレーム部と、を備え、
一対の前記側部フレーム部の前記他端部は、前記ベースフレーム部に水平方向に回動可能に連結され、
一対の前記側部フレーム部の回動により、一対の前記側部フレーム部が相互に平行になる使用時形態と、一対の前記側部フレーム部が前記ベースフレーム部との連結部を中心として外開きに回動した収納時形態と、に切り替え可能とされている台車搬送機。
【請求項4】
二つの前記駆動輪は、前記フレーム枠の進行方向の略中央位置に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の台車搬送機。
【請求項5】
前記フレーム枠に支持された障害物センサと、
前記障害物センサが障害物を検知したときに前記駆動輪の回転を停止させる制動制御部と、
をさらに備えている請求項1~3のいずれか1項に記載の台車搬送機。
【請求項6】
前記フレーム枠には、走行情報表示と走行指示操作を行う表示パネルが取り付けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の台車搬送機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様に係る台車搬送機は、台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、前記入出口を開閉可能な開閉部材と、前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、を備え、前記開閉部材は、前記フレーム枠の前記入出口の近傍部に上下方向に回動可能に支持された開閉バーであり、前記開閉バーは、略水平姿勢にすることで前記台車の前記入出口を通した抜け出しを規制する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の台車搬送機によって台車を搬送する場合には、開閉バーを変位させてフレーム枠の入出口を開き、その入出口を通して台車をフレーム枠内の収容部に配置する。この後に、開閉バーによって入出口を閉じ、制御部によって駆動輪を制御することによってフレーム枠を移動させる。このとき、台車はフレーム枠に周囲を取り囲まれた状態でフレーム枠とともに移動する。
台車搬送機を旋回させる場合には、進行方向と交差する方向に離間して配置された各駆動輪の回転速度を制御部による制御によって変更する。これにより、フレーム枠は低回転側の駆動輪のある側を旋回中心側として旋回するようになる。このとき、各駆動輪は、台車の周囲を取り囲むフレーム枠に取り付けられているため、後部側の車輪が内輪差によって旋回方向内側にずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象は生じにくくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、この場合、簡単な構成により、フレーム枠の入出口を開閉バーによって開閉することが可能になる。また、この場合、開閉バーの作動部を入出口の近傍を大きく占有しないコンパクトな構造とすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の他の態様に係る台車搬送機は、台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、前記フレーム枠に回動可能に支持され、前記収容部に収容された前記台車の前記入出口方向への変位を規制可能な変位規制部材と、前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、を備え、前記変位規制部材は、前記フレーム枠に回動可能に支持されるヒンジ部と、前記ヒンジ部から一方向に延出する操作アーム部と、前記操作アーム部から略直角方向に屈曲して延びる係止爪部と、前記ヒンジ部から前記操作アーム部と異なる方向に延びる制御アーム部と、を備え、前記制御アーム部は、前記入出口から前記収容部に前記台車が進入したときに、前記台車と当接して前記操作アーム部及び前記係止爪部を変位規制方向に回動させるように形成されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記の台車搬送機によって台車を搬送する場合には、変位規制部材を変位させてフレーム枠の入出口からの台車の進入を可能な状態にし、入出口からフレーム枠内(収容部)に台車を収容する。この後に、変位規制部材を操作して台車の入出口方向への変位を規制し、制御部によって駆動輪を制御することによってフレーム枠を移動させる。このとき、台車はフレーム枠に周囲を取り囲まれた状態でフレーム枠とともに移動する。
台車搬送機を旋回させる場合には、進行方向と交差する方向に離間して配置された各駆動輪の回転速度を制御部による制御によって変更する。これにより、フレーム枠は低回転側の駆動輪のある側を旋回中心側として旋回するようになる。このとき、各駆動輪は、台車の周囲を取り囲むフレーム枠に取り付けられているため、後部側の車輪が内輪差によって旋回方向内側にずれたり、旋回方向外側に軌道が膨らむ事象は生じにくくなる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、この場合、フレーム枠の入出口から収容部内に台車が進入すると、台車が変位規制部材の制御アーム部を押圧して、変位規制部材の操作アーム部と係止爪部を変位規制方向に回動させるようになる。この結果、台車の入出口方向への変位が係止爪部によって規制される。したがって、本構成を採用した場合には、入出口を通して台車をフレーム枠内の収容部に挿入すると、ほぼ自動で台車の変位規制を行うことが可能になり、使用時における利便性が高まる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明のさらに他の態様に係る台車搬送機は、台車を内側の収容部に配置可能で、前記収容部への前記台車の出し入れを許容する入出口が周域の一部に設けられたフレーム枠と、前記入出口を開閉可能な開閉部材と、前記フレーム枠に取り付けられ、進行方向と交差する方向に離間して配置される少なくとも二つの駆動輪を含む複数の車輪と、進行方向と交差する方向に離間して配置された各前記駆動輪の回転を独立して制御することにより、前記フレーム枠の進行方向への駆動と進行方向の変更を行う制御部と、を備え、前記フレーム枠は、一端部間が前記入出口とされる一対の側部フレーム部と、一対の前記側部フレーム部の他端部同士を連結するベースフレーム部と、を備え、一対の前記側部フレーム部の前記他端部は、前記ベースフレーム部に水平方向に回動可能に連結され、一対の前記側部フレーム部の回動により、一対の前記側部フレーム部が相互に平行になる使用時形態と、一対の前記側部フレーム部が前記ベースフレーム部との連結部を中心として外開きに回動した収納時形態と、に切り替え可能とされている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
この場合、台車搬送機で台車を実際に搬送する場合には、一対の側部フレーム部が相互に略平行になる形態(使用時形態)で使用する。また、台車搬送機を使用しないときには、一対の側部フレーム部をベースフレーム部との連結部を中心として回動させ、一端側が外開きとなる形態(収容時形態)とする。この形態では、一対の側部フレーム部が外開き姿勢となるため、その側部フレーム部の間に、同姿勢の他の台車搬送機のフレーム枠を重ねて配置することが可能になる。
したがって、本構成を採用した場合には、収納スペースに複数の台車搬送機をコンパクトに収納することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
前記フレーム枠には、走行情報表示と走行指示操作を行う表示パネルが取り付けられるようにしても良い。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
ベースフレーム部10Bの下面側の幅方向に離間した2位置には、夫々駆動輪12Dが設置されている。左右の各駆動輪12Dは、夫々個別に電動モータ20によって駆動可能とされている。各駆動輪12Dを回転させる電動モータ20は、ベースフレーム部10Bの上面側に設置された制御部13によって制御される。換言すれば、制御部13は、左右の各駆動輪12Dの回転を独立して制御する。