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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122430
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】太陽熱温水器
(51)【国際特許分類】
   F24S 10/10 20180101AFI20240902BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20240902BHJP
   F24S 40/70 20180101ALI20240902BHJP
【FI】
F24S10/10
F24D17/00 Q
F24S40/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029963
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福井 秀和
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA06
3L073AB02
3L073AE06
(57)【要約】
【課題】出湯通路のエアパージを容易に行うことができる太陽熱温水器を提供すること。
【解決手段】建物の屋根に設置される集熱器(2)と貯湯タンク(3)と、貯湯タンク(3)に上水を供給するための給水通路(5)と、貯湯タンク(3)から重力により出湯するための出湯通路(9)を備えた太陽熱温水器(1)において、貯湯タンク(3)をバイパスして給水通路(5)と出湯通路(9)とを接続するバイパス通路(10)と、このバイパス通路(10)を開閉するための開閉機構(12)と、バイパス通路(10)を介して出湯通路(9)から給水通路(5)への逆流を防ぐための逆流防止機構(11)を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根に設置される集熱器と貯湯タンクと、前記貯湯タンクに上水を供給するための給水通路と、前記貯湯タンクから重力により出湯するための出湯通路を備えた太陽熱温水器において、
前記貯湯タンクをバイパスして前記給水通路と前記出湯通路とを接続するバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するための開閉機構と、
前記バイパス通路を介して前記出湯通路から前記給水通路への逆流を防ぐための逆流防止機構を有することを特徴とする太陽熱温水器。
【請求項2】
前記給水通路は、前記バイパス通路との接続部よりも下流側にこの給水通路を開閉するための給水通路開閉弁を有し、
前記給水通路開閉弁により前記給水通路を閉じると共に、前記開閉機構により前記バイパス通路を開くことによって、前記出湯通路に上水を供給してエアパージを行うことを特徴とする請求項1に記載の太陽熱温水器。
【請求項3】
前記開閉機構は、前記給水通路と前記バイパス通路の接続部に配設された三方弁であって、上水の供給先を切替える切替機能と、前記給水通路及び前記バイパス通路を同時に閉止する閉止機能を備えた三方弁であることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱温水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根に設置される集熱器と貯湯タンクを有する太陽熱温水器に関し、特に集熱器で加熱されて貯湯タンクに貯湯された温水を出湯する出湯通路のエアパージを行う構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽から受ける熱によって加熱した温水を給湯する太陽熱温水器が広く利用されている。例えば図7に示すように、太陽熱温水器31は、集熱器32と貯湯タンク33を有し、日光が遮られない建物の屋根に設置される。給水元栓34が開けられると、給水通路35を介して上水がその供給圧によって貯湯タンク33に供給されると共に集熱器32に供給されて集熱器32に上水が満たされ、貯湯タンク33が満水になるとボールタップ36によって上水の供給が停止される。
【0003】
集熱器32で太陽から受ける熱によって加熱された湯水は、自然対流によって貯湯タンク33の上部に貯湯される。給湯栓37が開けられると、貯湯タンク33に貯湯された温水は、フロートパイプ38によって水面近傍から出湯通路39を介して給湯先に給湯される。通常は、給水元栓34を閉じずに給湯された分だけ上水が供給される連続給水方式で使用され、貯湯タンク33が常に満水状態に維持される。
【0004】
気温が下がる冬季に凍結の虞がある場合には、太陽熱温水器31内の湯水の凍結による破損を防止するため、給水元栓34を閉じ且つ給湯栓37を開けて貯湯タンク33の湯水を排水し、集熱器32の排水栓40から集熱器32内の湯水を排水し、給水通路35の排水栓41から給水通路35内の上水を排水する。例えば特許文献1には、このような排水を容易に行うことができるように構成された太陽熱温水器の給排水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭47-40750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
連続給水方式では貯湯タンク33が常に満水状態に維持されるので、貯湯した湯水が給湯されると、翌日に加熱されるはずの上水が貯湯タンク33に供給される。そして凍結の虞がある場合には、凍結予防のために翌日分の湯水を排水するので、大量の湯水が使用されずに排水されてしまう。その後、翌日の日中に太陽熱温水器に上水を供給して、加熱された湯水を給湯に使用し、凍結の虞がある場合に排水する。
【0007】
このように上水の供給と凍結予防の排水を繰り返すと大量の上水が無駄になるので、ユーザによっては、貯湯タンク33を満水にした後に給水元栓34を閉じ、給湯されても貯湯タンク33に上水が供給されない汲み置き方式で太陽熱温水器31が使用される場合がある。この汲み置き方式では給湯と共に水位が下がってフロートパイプ38の先端が斜め下方に向いた姿勢になるが、サイフォンの原理によって貯湯タンク33の湯水は出湯通路39を流下して給湯され、貯湯タンク33の湯水を使い切ることができる。
【0008】
ここで、フロートパイプ38は水面近傍から湯水を取り出すので、水面上方の空気が湯水に混入する場合がある。混入した空気は通常、湯水と共に給湯栓37から排出され、給湯栓37が閉じられると、フロートパイプ38の先端が斜め上方に向いた姿勢であればその先端から排出され得る。しかし、出湯通路39の配設態様によっては混入した空気が自然に排出されることなくたまる場合があり、フロートパイプ38の先端が斜め下方に向いた姿勢になるとさらに排出され難くなる。
【0009】
給湯栓37を閉じたときに出湯通路39内にある程度空気がたまっていると、サイフォンの原理が機能しなくなり、給湯栓37が再び開けられても出湯通路39を介して貯湯タンク33の湯水を給湯することができなくなる。このような場合、出湯通路39には給湯栓37側から上水を供給して出湯通路39内の空気をフロートパイプ38の先端から貯湯タンク33に押し出すエアパージを行う必要がある。しかし、例えば上水を供給するためのホースを出湯通路39に接続するなど手間がかかるため、エアパージを容易に実行することができる太陽熱温水器が求められていた。
【0010】
そこで、本発明は、出湯通路のエアパージを容易に行うことができる太陽熱温水器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明の太陽熱温水器は、建物の屋根に設置される集熱器と貯湯タンクと、前記貯湯タンクに上水を供給するための給水通路と、前記貯湯タンクから重力により出湯するための出湯通路を備えた太陽熱温水器において、前記貯湯タンクをバイパスして前記給水通路と前記出湯通路とを接続するバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するための開閉機構と、前記バイパス通路を介して前記出湯通路から前記給水通路への逆流を防ぐための逆流防止機構を有することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、バイパス通路を介して給水通路から出湯通路に上水を供給することが可能である。従って、出湯通路に空気だまりが発生した場合に、この出湯通路にバイパス通路を介して給水通路から上水を供給して、出湯通路内の空気を貯湯タンクに排出するエアパージを行うことができるので、空気だまりによって給湯出来ない事態を解消することができる。
【0013】
請求項2の発明の太陽熱温水器は、請求項1の発明において、前記給水通路は、前記バイパス通路との接続部よりも下流側にこの給水通路を開閉するための給水通路開閉弁を有し、前記給水通路開閉弁により前記給水通路を閉じると共に、前記開閉機構により前記バイパス通路を開くことによって、前記出湯通路に上水を供給してエアパージを行うことを特徴としている。
上記構成によれば、給水通路から貯湯タンクに上水を供給させずに、バイパス通路を介して給水通路から出湯通路に上水が供給されるので、エアパージを効率的に行うことができる。
【0014】
請求項3の発明の太陽熱温水器は、請求項1の発明において、前記開閉機構は、前記給水通路と前記バイパス通路の接続部に配設された三方弁であって、上水の供給先を切替える切替機能と、前記給水通路及び前記バイパス通路を同時に閉止する閉止機能を備えた三方弁であることを特徴としている。
上記構成によれば、三方弁の操作のみで、給水通路から貯湯タンクに上水を供給させずに、バイパス通路を介して給水通路から出湯通路に上水が供給されるので、エアパージを効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の太陽熱温水器によれば、出湯通路のエアパージを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1にかかる太陽熱温水器の説明図である。
図2図1の出湯通路のエアパージの説明図である。
図3図1のバイパス通路の逆流防止機構の要部断面図である。
図4】本発明の実施例2にかかる太陽熱温水器の説明図である。
図5図4の出湯通路のエアパージを示す図である。
図6図4のバイパス通路の逆流防止機構の要部断面図である。
図7】従来の太陽熱温水器の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
図1に示すように、太陽熱温水器1は、太陽から受ける熱を利用して湯水を加熱する集熱器2と、この加熱された湯水を貯湯するための貯湯タンク3と、給水元栓4から貯湯タンク3に上水を供給する給水通路5と、貯湯タンク3から湯水を出湯する出湯通路9を有する。集熱器2と貯湯タンク3は、日光が遮られ難い建物の屋根に設置される。出湯通路9は給湯栓7に接続され、給湯栓7が開けられると重力によって貯湯タンク3の湯水が出湯通路9を流下して給湯先に給湯される。尚、図中の矢印は湯水の流動方向を示している。
【0019】
集熱器2は、湯水を加熱する複数の加熱部2aと、貯湯タンク3の下部から低温の湯水を導入して複数の加熱部2aの下部に分配する下部ヘッダ2bと、複数の加熱部2aの上部から加熱された湯水を導入して貯湯タンク3に戻す上部ヘッダ2cを有する。下部ヘッダ2bの下部には、集熱器2内の湯水を排水するための排水口2dが形成され、排水口2dに装着された排水栓2eによって排水口2dが閉止されている。
【0020】
貯湯タンク3は、給水通路5が接続される給水口3aと、給水口3aから導入された上水を貯湯タンク3の下部に導く給水導入通路3bを有する。給水口3aには、ボールタップ6が装備されている。また、貯湯タンク3は、その下部に下部ヘッダ2bが接続される下部ヘッダ接続口3cと、上部ヘッダ2cが接続される上部ヘッダ接続口3dが形成され、側壁部には出湯通路9が接続される出湯口3eを備えている。
【0021】
集熱器2が空の状態では、貯湯タンク3に上水が供給されると、この上水が下部ヘッダ接続口3cと上部ヘッダ接続口3dを介して下部ヘッダ2b、上部ヘッダ2c及び加熱部2aに供給され、集熱器2が上水で満たされる。そして、貯湯タンク3に上水がたまって水位が上昇し、貯湯タンク3が満水となる水位になるとボールタップ6によって給水口3aが閉じられ、上水の供給が停止される。
【0022】
出湯口3eには、先端部にフロートが装着されたフロートパイプ8が装備されている。このフロートパイプ8は、中間部分が屈曲自在に形成され、貯湯タンク3の水面下の先端が水面近傍の湯水を取り出して出湯通路9に導く。フロートパイプ8は、貯湯タンク3の満水時には先端が斜め上方に向く姿勢になるが、水位の低下と共に先端が下がって斜め下方に向く姿勢になる。
【0023】
給水通路5と出湯通路9は、貯湯タンク3をバイパスするバイパス通路10によって接続されている。バイパス通路10は、出湯通路9側から給水通路5側に湯水が逆流することを防止する逆流防止機構11と、逆流防止機構11に対して給水通路5側にバイパス通路10を開閉する開閉機構であるバイパス通路開閉弁12を備えている。バイパス通路開閉弁12は、通常、閉止されている。
【0024】
給水通路5のバイパス通路10との接続部よりも下流側には、この給水通路5を開閉する給水通路開閉弁13が配設されている。また、給水通路5のバイパス通路10との接続部と給水元栓4の間から、給水通路5の上水を排水するための排水栓14aを備えた排水通路14が分岐されている。
【0025】
連続給水方式では、給水元栓4と給水通路開閉弁13が常時開けられて、矢印Wで示す上水が、給水元栓4から給水通路5を介して貯湯タンク3が満水となるまで供給される。汲み置き方式では、給水元栓4と給水通路開閉弁13が開けられて、貯湯タンク3が満水になるまで上水が貯湯タンク3に供給され、その後は給水通路開閉弁13又は給水元栓4が閉じられる。
【0026】
集熱器2の加熱部2aで上水が加熱されると、自然対流により加熱された湯水が上部ヘッダ2cを介して貯湯タンク3に戻されて水面近傍にたまり、貯湯タンク3の下部の湯水が下部ヘッダ2bを介して加熱部2aに導入される。この貯湯タンク3と集熱器2の間の湯水の循環によって貯湯タンク3に加熱された温水が貯湯される。給湯栓7が開けられると、貯湯タンク3に貯湯された温水は、フロートパイプ8によって取り出されて出湯通路9を流下し、矢印HWで示すように給湯先に給湯される。
【0027】
太陽熱温水器1は、通常、連続給水方式で使用される。このとき、水面近傍の湯水の温度が下がらないように、上水が給水導入通路3bにより貯湯タンク3の下部に導かれる。連続給水方式では、日中に貯湯した湯水がその日の夜に給湯されると、翌日加熱されるはずの上水が貯湯タンク3に供給される。
【0028】
冬季は夜間に気温が低下して、太陽熱温水器1内の湯水が凍結し、太陽熱温水器1が破損する虞がある。そこで、凍結の虞がある場合には、給水元栓4を閉じ、排水栓14aを開けて給水通路5に残っている上水を排水すると共に、給湯栓7を開けて貯湯タンク3の湯水を排水する。このとき、貯湯タンク3の水位が下がってフロートパイプ8の先端が斜め下方に向くが、サイフォンの原理によって貯湯タンク3の湯水は出湯通路9を流下して排水される。また、排水栓2eを開けて集熱器2内の湯水を排水する。排水が完了したら、排水栓2e、14a及び給湯栓7を閉じる。
【0029】
凍結予防のために翌日分の湯水を排水するので、大量の湯水が使用されずに排水されてしまう。そして例えば翌日の日中に太陽熱温水器1に上水を供給して加熱された湯水を使用し、凍結の虞がある場合には排水する。このように排水を繰り返すと大量の上水が無駄になるので、ユーザによっては貯湯タンク3が満水になった後に給水元栓4又は給水通路開閉弁13を閉じ、太陽熱温水器1が汲み置き方式で使用される場合がある。また、凍結予防とは関係なく、太陽熱温水器1が汲み置き方式で使用される場合もある。
【0030】
この汲み置き方式では給湯によって貯湯タンク3の水位が下がり、フロートパイプ8の先端が斜め下方に向いた姿勢になるが、サイフォンの原理によって貯湯タンク3の湯水を出湯することができ、貯湯タンク3の湯水を使い切ることができる。ここで、フロートパイプ8は水面近傍から湯水を取り出すので、水面上方の空気が湯水に混入する場合がある。混入した空気は通常、湯水と共に給湯栓7から排出され、給湯栓7が閉じられると、フロートパイプ8の先端が斜め上方に向いた姿勢であればその先端から排出され得る。
【0031】
しかし、出湯通路9の配設態様によっては混入した空気が自然に排出されずにたまる場合があり、汲み置き方式での使用によってフロートパイプ8の先端が斜め下方に向いた姿勢になると、フロートパイプ8の先端からの排出が困難になる。そして、給湯栓7を閉じたときに出湯通路9内にある程度空気がたまっていると、給湯栓7が再び開けられてもサイフォンの原理が機能しなくなって、出湯通路9を介して貯湯タンク3の湯水を給湯することができない事態が発生する場合がある。このような場合、出湯通路9内の空気をフロートパイプ8の先端から押し出すエアパージを行う必要がある。
【0032】
出湯通路9のエアパージは、図2に示すように、給水通路開閉弁13と給湯栓7を閉じ、給水元栓4とバイパス通路開閉弁12を開けて行う。上水はバイパス通路10を介して出湯通路9に導入され、出湯通路9内の空気が上水と共にフロートパイプ8の先端から貯湯タンク3内に排出される。このように、給水通路5と出湯通路9を接続するバイパス通路10を介して上水を出湯通路9に供給することができるので、容易にエアパージを行うことができる。尚、給水通路開閉弁13を閉じなくてもエアパージは可能であるが、給水通路開閉弁13を閉じることによって供給される上水が全て出湯通路9に導入されるので、エアパージを効率的に行うことができる。
【0033】
出湯通路9内の空気の排出後、バイパス通路開閉弁12を閉じ、給湯栓7を開ける。フロートパイプ8の先端が斜め下方に向いた姿勢であっても、サイフォンの原理によって出湯通路9を介して貯湯タンク3の湯水を給湯することができる。
【0034】
図3に示すように、バイパス通路開閉弁12は、逆流防止機構11と一体的に形成することができる。逆流防止機構11は、バイパス通路10を介して出湯通路9から給水通路5に向かって逆流する湯水を遮断するために、給水通路5側の逆止弁11a及び出湯通路9側の逆止弁11bを有する。そして、これら逆止弁11a,11bの間に、上水の供給圧によって閉止されるオーバーフロー口11cが装備されている。バイパス通路開閉弁12は、逆止弁11aの上流側に形成され、ハンドル12aの回動操作により回動される弁体12bによって、バイパス通路10を開閉する。例えば図3のバイパス通路10が開いた状態でハンドル12aを反時計回りに90度回動させると、バイパス通路10が開じられる。
【実施例0035】
上記実施例1の太陽熱温水器1を部分的に変更した例について説明する。実施例1と共通する部分には実施例1と同じ符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、バイパス通路10には逆流防止機構11が装備されている。バイパス通路10と給水通路5の接続部には、バイパス通路10の開閉機構として三方弁16が配設されている。三方弁16は、貯湯タンク3の給水口3aへの上水の供給とバイパス通路10から出湯通路9への上水の供給とを切替える、即ち上水の供給先を切替える切替機能を有する。また、この三方弁16は、上水の供給を停止させるために給水通路5及びバイパス通路10を同時に閉止する閉止機能を有する。
【0036】
連続給水方式では、バイパス通路10を閉止し且つ上水の供給先を貯湯タンク3の給水口3aにするように三方弁16を操作し、給水元栓4を開ける。汲み置き方式では、バイパス通路10を閉止し且つ上水の供給先を貯湯タンク3の給水口3aにするように三方弁16を操作し、給水元栓4を開けて貯湯タンク3を満水にする。そして、給水通路5とバイパス通路10を同時に閉止するように三方弁16を操作する、又は給水元栓4を閉じる。
【0037】
出湯通路9のエアパージは、図5に示すように、給湯栓7を閉じて給水元栓4を開けると共に、貯湯タンク3の給水口3aには上水を供給せずにバイパス通路10を介して上水を出湯通路9に供給するように三方弁16を操作して行う。このとき供給される上水は、全て出湯通路9に導入され、出湯通路9内の空気が上水と共にフロートパイプ8の先端から貯湯タンク3内に排出される。三方弁16が実施例1のバイパス通路開閉弁12と給水通路開閉弁13の機能を備えているので、操作する弁が少なくなって効率的にエアパージを行うことができる。
【0038】
出湯通路9内の空気の排出後、給水通路5とバイパス通路10を同時に閉止して上水の供給を停止させるように三方弁16を操作し、給湯栓7を開ける。フロートパイプ8の先端が斜め下方に向いた姿勢であっても、サイフォンの原理によって出湯通路9を介して貯湯タンク3の湯水を給湯することができる。
【0039】
図6に示すように、三方弁16は、逆流防止機構11と一体的に形成することができる。三方弁16は、逆流防止機構11の給水通路5側の逆止弁11aの上流側に形成され、ハンドル16aの回動操作により回動される弁体16bによって、供給先を切替える切替機能と給水通路5及びバイパス通路10を同時に閉止する閉止機能が実現される。
【0040】
弁体16bには、その回転軸に対して垂直方向に延びる通路がT字状に連なるように形成されている。図6は、貯湯タンク3の給水口3aへの上水の供給を停止して給水通路5からバイパス通路10を介して出湯通路9に上水を供給してエアパージを行う状態である。この状態からハンドル16aを反時計回りに90度回動させて弁体16bを同様に90度回動させると、出湯通路9への上水の供給を停止して貯湯タンク3の給水口3aに上水を供給する状態になる。さらにハンドル16aを反時計回りに90度回動させて弁体16bを同様に90度回動させると、給水通路5と出湯通路9への上水の供給を停止するために、給水通路5とバイパス通路10を同時に閉止する状態になる。
【0041】
給水通路5側の逆止弁11aと出湯通路9側の逆止弁11bの間に排水栓11dを形成し、給水通路5及びバイパス通路10の両方を閉止する状態で排水栓11dを開けて給水通路5の排水を行うようにすることもできる。この場合排水栓14aを備えた排水通路14を省略することができる。
【0042】
上記太陽熱温水器1の作用、効果について説明する。
太陽熱温水器1は、建物の屋根に設置される集熱器2と貯湯タンク3と、貯湯タンク3に上水を供給するための給水通路5と、貯湯タンク3から重力により出湯するための出湯通路9を備えている。給水通路5と出湯通路9がバイパス通路10によって接続され、バイパス通路10を開閉するための開閉機構としてバイパス通路開閉弁12又は三方弁16が装備されている。また、バイパス通路10は、出湯通路9から給水通路5への逆流を防ぐための逆流防止機構11を備えている。
【0043】
開閉機構によってバイパス通路10を開けることにより、給水通路5からバイパス通路10を介して出湯通路9に上水を供給することが可能である。従って、出湯通路9に空気だまりが発生した場合に、バイパス通路10を介して出湯通路9に上水を供給して空気を貯湯タンク3に排出するエアパージを容易に行うことができ、空気だまりによって給湯出来ない事態を解消することができる。
【0044】
給水通路5が、バイパス通路10との接続部よりも下流側にこの給水通路5を開閉するための給水通路開閉弁13を有する場合には、給水通路開閉弁13により給水通路5を閉じ、開閉機構であるバイパス通路開閉弁12によりバイパス通路10を開けて出湯通路9に上水を供給してエアパージを行う。給水通路5から貯湯タンク3に上水を供給させずに、バイパス通路10を介して給水通路5から出湯通路9に上水が供給されるので、エアパージを効率的に行うことができる。
【0045】
開閉機構が、給水通路5とバイパス通路10の接続部に配設された三方弁16であって、上水の供給先を切替える切替機能と、給水通路5及びバイパス通路10を同時に閉止する閉止機能を備えた三方弁16である場合には、この三方弁16の操作によってエアパージを行う。給水通路5から貯湯タンク3に上水を供給させずに、バイパス通路10を介して給水通路5から出湯通路9に上水が供給されるので、エアパージを効率的に行うことができる。
【0046】
太陽熱温水器1は、1つの貯湯タンク3に対して2つの集熱器2が接続されているが、これに限定されるものではない。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0047】
1 :太陽熱温水器
2 :集熱器
2a :加熱部
2b :下部ヘッダ
2c :上部ヘッダ
2d :排水口
2e :排水栓
3 :貯湯タンク
3a :給水口
3b :給水導入通路
3c :下部ヘッダ接続口
3d :上部ヘッダ接続口
3e :出湯口
4 :給水元栓
5 :給水通路
6 :ボールタップ
7 :給湯栓
8 :フロートパイプ
9 :出湯通路
10 :バイパス通路
11 :逆流防止機構
11a,11b:逆止弁
11c:オーバーフロー口
12 :バイパス通路開閉弁(開閉機構)
12a:ハンドル
12b:弁体
13 :給水通路開閉弁
14 :排水通路
14a:排水栓
16 :三方弁(開閉機構)
16a:ハンドル
16b:弁体
31 :太陽熱温水器
32 :集熱器
33 :貯湯タンク
34 :給水元栓
35 :給水通路
36 :ボールタップ
37 :給湯栓
38 :フロートパイプ
39 :出湯通路
40,41:排水栓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7