(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122441
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】歩行車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20240902BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20240902BHJP
B62B 5/06 20060101ALI20240902BHJP
B60T 7/08 20060101ALI20240902BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61H3/04
B62B5/04 A
B62B5/06 Z
B60T7/08 A
B60T1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029976
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久米 洋平
【テーマコード(参考)】
3D050
3D124
4C046
【Fターム(参考)】
3D050AA03
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG06
3D050JJ02
3D050JJ07
3D050KK15
3D124AA03
3D124AA12
3D124BB01
3D124BB02
3D124BB19
3D124CC31
3D124DD18
3D124DD33
4C046AA24
4C046BB01
4C046CC01
4C046DD08
4C046DD13
4C046DD27
4C046DD33
(57)【要約】
【課題】把持部に手掛状態で車輪の制動操作が可能でありながらも、把持部から手を離した際における移動を抑止し得る歩行車を提供する。
【解決手段】歩行車1は、接地面G上を走行可能な車輪4と、使用者に把持される把持部25と、該把持部に手掛状態で操作可能に設けられた制動操作部28と、該制動操作部に連動機構33を介して連結され前記車輪を制動する制動部34と、前記把持部に手掛状態で操作状態となるように前記把持部に設けられ、かつ該把持部に非手掛状態で非操作状態となるロック解除操作部26と、該ロック解除操作部に連動機構29を介して連結され前記車輪をロックするロック部30と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面上を走行可能な車輪と、使用者に把持される把持部と、該把持部に手掛状態で操作可能に設けられた制動操作部と、該制動操作部に連動機構を介して連結され前記車輪を制動する制動部と、前記把持部に手掛状態で操作状態となるように前記把持部に設けられ、かつ該把持部に非手掛状態で非操作状態となるロック解除操作部と、該ロック解除操作部に連動機構を介して連結され前記車輪をロックするロック部と、を備えていることを特徴とする歩行車。
【請求項2】
請求項1において、
前記ロック解除操作部は、前記把持部に沿うように設けられていることを特徴とする歩行車。
【請求項3】
請求項1において、
前記把持部、前記制動操作部及び前記ロック解除操作部は、左右のそれぞれに対状に設けられていることを特徴とする歩行車。
【請求項4】
請求項3において、
前記制動操作部は、前記把持部の下方側に位置するように配され、前記ロック解除操作部は、前記把持部の上面側または左右方向外側に向く面側に設けられていることを特徴とする歩行車。
【請求項5】
請求項1において、
前記把持部は、左右に架け渡されるように設けられており、
前記ロック解除操作部は、前記把持部の上面側または使用者側に向く面側に設けられていることを特徴とする歩行車。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記ロック解除操作部は、前記把持部の概ね全長に亘って長尺状に設けられていることを特徴とする歩行車。
【請求項7】
請求項1において、
前記ロック部は、前記車輪に固定的に設けられた被ロック部の被係合部に対して係脱される係合部を備えていることを特徴とする歩行車。
【請求項8】
請求項7において、
前記被ロック部は、前記車輪と同心状とされ、該被ロック部の外周側には、複数の前記被係合部が周方向に間隔を空けて設けられていることを特徴とする歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者等の使用者に手押し操作され、使用者の歩行を補助する歩行車が知られている。
例えば、下記特許文献1には、後輪を制動するブレーキに連結されたブレーキワイヤを操作するブレーキレバーがグリップの下方に配置された歩行車が開示されている。この歩行車においては、利用者がグリップと共にブレーキレバーを握ると、ブレーキが作動し、後輪が制動される。また、この歩行車においては、ブレーキレバーのレバー把持部を下げると、利用者がブレーキレバーを離したとしても、ブレーキは作動したままの状態にロックされ、駐車時にもブレーキをかけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された歩行車においては、駐車時等の手を離す際にブレーキを作動させるためにはブレーキレバーを操作する必要がある。特に歩行車の利用者として大半を占める高齢者等の利用者によっては、ブレーキレバーの操作が適切になされない場合も懸念される。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、把持部に手掛状態で車輪の制動操作が可能でありながらも、把持部から手を離した際における移動を抑止し得る歩行車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る歩行車は、接地面上を走行可能な車輪と、使用者に把持される把持部と、該把持部に手掛状態で操作可能に設けられた制動操作部と、該制動操作部に連動機構を介して連結され前記車輪を制動する制動部と、前記把持部に手掛状態で操作状態となるように前記把持部に設けられ、かつ該把持部に非手掛状態で非操作状態となるロック解除操作部と、該ロック解除操作部に連動機構を介して連結され前記車輪をロックするロック部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る歩行車は、上述のような構成としたことで、把持部に手掛状態で車輪の制動操作が可能でありながらも、把持部から手を離した際における移動を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)、(b)は、本開示の一実施形態に係る歩行車の一例を模式的に示し、(a)は、概略斜視図、(b)は、概略側面図である。
【
図2】(a)~(d)は、同歩行車の一部破断概略側面図である。
【
図3】(a)~(c)は、同歩行車に設けられる把持部の一変形例をそれぞれ模式的に示し、(a)、(b)は、一部破断概略側面図、(c)は、一部破断概略背面図である。
【
図4】同歩行車の変形例を模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の実施形態では、実施形態に係る歩行車の一例を起立状態にて手押ししながら歩行する使用者を基準として歩行方向先側を前方側、その反対側を後方側として説明する。また、前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向として説明する。
【0010】
図1~
図4は、本実施形態に係る歩行車の一例及び変形例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る歩行車1は、
図1(a)、(b)に示すように、床面や地面等の接地面G上を走行可能な車輪2,4と、使用者に把持される把持部25と、を備えている。このような構成とすれば、把持部25を把持して体重の一部を歩行車1に掛けることで脚への負荷を軽減することができる。
歩行車1は、把持部25に手掛状態で操作可能に設けられた制動操作部28と、この制動操作部28に連動機構33を介して連結され車輪を構成する後輪4を制動する制動部34(
図2(a)、(b)参照)と、を備えている。このような構成とすれば、使用者が歩行時に把持部25に手掛状態で制動操作部28を操作すれば、制動部34が作動し後輪4を制動することができる。
【0011】
歩行車1は、把持部25に手掛状態で操作状態となるように把持部25に設けられ、かつ把持部25に非手掛状態で非操作状態となるロック解除操作部26を備えている。歩行車1は、ロック解除操作部26に連動機構29を介して連結され後輪4をロックするロック部30(
図2(c)、(d)参照)を備えている。このような構成とすれば、把持部25に手掛状態では、ロック解除操作部26が操作状態とされてロック部30による後輪4のロックが解除状態となり、歩行が可能となる。一方、把持部25から手を離せば、ロック解除操作部26が非操作状態となるので、後輪4がロック部30によってロックされ、当該歩行車1の移動を抑止することができる。これにより、使用者が把持部25から手を離すだけで、つまり、操作を要することなく歩行車1の移動を抑止することができるので、使用者による操作間違い等が生じる懸念もない。この結果、座部に腰掛ける際や坂道等において手を離した際における駐車ブレーキ(ロック)等の失念による歩行車1の意図しない移動を抑止することができる。また、従来の歩行車と同様、制動操作部28によって後輪4を制動することができるので、高齢者等の使用者に操作方法の変更による不安や混乱等が生じ難く、安心して歩行車1を使用することができる。つまり、従来同様の制動操作部28の操作による後輪4の制動が可能でありながらも、把持部25から手を離した際の意図しない歩行車1の移動を抑止することができ、安全性を向上させることができる。
【0012】
本実施形態では、
図1(b)に示すように、ロック解除操作部26は、把持部25に沿うように設けられている。このような構成とすれば、把持部25に手掛けすることでロック解除操作部26を操作状態にすることができ、ロック解除操作部26の操作により生じる違和感を生じ難くすることができる。
本実施形態では、
図1(a)に示すように、把持部25、制動操作部28及びロック解除操作部26は、左右のそれぞれに対状に設けられている。つまり、歩行車1は、左右一対の把持部25,25、左右一対の制動操作部28,28及び左右一対のロック解除操作部26,26を備えている。このような構成とすれば、左右の把持部25,25を把持しながら歩行することができる。また、左右いずれかの制動操作部28,28を操作することで後輪4を制動することができる。また、左右いずれかの把持部25,25から手を離すことでロック解除操作部26,26が非操作状態となり、後輪4がロック部30によってロックされて当該歩行車1の移動を抑止することができる。これら把持部25、制動操作部28、ロック解除操作部26、ロック部30及び制動部34の具体的構成の一例については後述する。
【0013】
この歩行車1は、住居や各種商業施設、福祉施設等の屋内を歩行する際に利用されてもよく、歩道等の屋外を歩行する際に利用されてもよい。
この歩行車1は、左右の把持部25,25をそれぞれに保持する保持支柱20,20間に位置するように設けられた座部9を備えている。このような構成とすれば、歩行の途中で座部9に着座して休憩することができる。
この歩行車1は、座部9の下方側に位置するように設けられた収納部8を備えている。このような構成とすれば、収納部8に種々の被収納物を収納させることができる。
具体的には、歩行車1には、
図1に示すように、車輪を構成する前輪2及び後輪4が設けられている。この歩行車1には、左右一対の前輪2,2及び左右一対の後輪4,4が設けられている。これら前輪2,2及び後輪4,4は、歩行車1のフレーム10に設けられている。
【0014】
左右の前輪2,2は、フレーム10を構成し、収納部8の左右両外側に位置するように対状に設けられた前輪フレーム11,11の下端部に設けられている。これら前輪フレーム11,11は、上端部から下端側に向かうに従い前方側となるように斜め状に延びるように設けられている。これら前輪フレーム11,11は、これらに架け渡されるように設けられた横フレーム12によって連結されている。
前輪2,2は、略水平方向に沿う軸回りに回転自在とされている。これら前輪2,2は、当該歩行車1の方向転換に追従可能な自在キャスター状とされている。前輪フレーム11,11の下端部には、前輪2,2を回転自在に支持する支持部3,3を略上下方向(鉛直方向)に沿う軸回りに回転自在に保持する保持部が設けられている。これら前輪2,2は、把持部25,25を保持する保持支柱20,20よりも前方側に位置するように設けられている。
【0015】
左右の後輪4,4は、フレーム10を構成し、収納部8の左右両外側に位置するように対状に設けられた後輪フレーム13,13の下端部に設けられている。これら後輪フレーム13,13は、上端部から下端側に向かうに従い後方側となるように斜め状に延びるように設けられている。
フレーム10には、これら後輪フレーム13,13と前輪フレーム11,11とを接続する連結フレーム14,14が設けられている。これら連結フレーム14,14は、前輪フレーム11,11に対して後輪フレーム13,13を折り畳んだ際に屈曲され、前輪フレーム11,11に対して後輪フレーム13,13を展開させた際に伸展される構成とされていてもよい。フレーム10は、このように前後方向に折畳展開自在とされた構成に限られず、左右方向に折畳展開自在とされていてもよく、更には、折畳不能とされていてもよい。
【0016】
後輪4,4は、左右方向に沿う軸回りに回転自在とされている。これら後輪4,4は、把持部25,25を保持する保持支柱20,20よりも後方側に位置するように設けられている。これら後輪4,4は、これらの間に使用者の歩行スペースが形成されるように左右に離間して設けられている。上記した前輪2,2は、左右方向で左右両側の後輪4,4よりも僅かに左右方向内側(当該歩行車1の左右方向中心側、以下、同様。)に位置するように設けられていてもよい。図例では、これら後輪4,4は、後輪フレーム13,13の下端部の左右方向外側(当該歩行車1の左右方向外側、以下、同様。)に位置するように設けられている。このような構成とすれば、後輪4,4が使用者の脚に干渉し難くなる。
これら前輪2,2及び後輪4,4の外径は、接地面Gに形成される所定程度の溝や段差、凹凸等を円滑に乗り越えられるように適宜の径としてもよい。図例では、前輪2,2の外径を後輪4,4の外径よりも大とした例を示しているが、このような例に限られない。
歩行車1に設けられる車輪2,4としては、上記のような4輪に限られず、例えば、前輪2を一つとした3輪でもよく、5輪以上でもよい。
【0017】
フレーム10には、前輪フレーム11,11の上端部及び後輪フレーム13,13の上端部並びに保持支柱20,20の下端部が固定された固定部15,15が設けられている。
これら固定部15,15の歩行方向前端側部位及び歩行方向後端側部位を連結するように架け渡された適宜のフレームが設けられていてもよい。座部9は、これら固定部15,15に架け渡されたフレームに対して、下方側の収納部8の上方開口を開閉自在に支持されていてもよい。着座可能状態の座部9の上方側等に位置するように配される荷物載置部が設けられていてもよい。収納部8及び座部9の両方または一方を設けていない構成としてもよい。
【0018】
左右の保持支柱20,20は、前後方向で前輪2,2と後輪4,4との略中央部に位置するように、かつ収納部8の左右両側から立ち上がるように設けられている。これら保持支柱20,20は、把持部25,25を高さ調整可能に保持する構成とされている。このような構成とすれば、左右の把持部25,25を使用者の操作し易い高さ位置に調整することができる。
これら保持支柱20,20は、接地面Gからの高さが650mm~950mmの範囲内となるように把持部25,25を高さ調整可能に保持する構成とされていてもよい。把持部25,25の高さ調整可能範囲は、700mm~900mm程度でもよい。把持部25,25の高さは、接地面Gから把持部25,25の上端までの高さでもよく、把持部25,25の上下中心までの高さとしてもよい。
【0019】
これら保持支柱20,20は、フレーム10に固定されたフレーム側支柱21,21と、フレーム側支柱21,21に対して伸縮自在に設けられ、上端部に把持部25,25を有したハンドル側支柱23,23と、を備えている。フレーム側支柱21,21の上端部には、これらから歩行方向前方側に向けて延出する左右の側枠部と、これら左右の側枠部の歩行方向前端部同士を接続するように設けられた前枠部と、を有した枠状体19が設けられている。この枠状体19は、平面視において座部9の前方側及び左右方向外側を囲むように設けられている。この枠状体19は、左右のフレーム側支柱21,21を連結する機能及び座部9に着座した使用者の背凭れとしても機能する。図例では、この枠状体19の前枠部から垂れ下がるようにシート状体を設けた例を示している。
なお、左右両側の保持支柱20,20、把持部25,25、ロック解除操作部26,26、ロック部30,30、制動操作部28,28及び制動部34,34は、互いに同様の構成であるので、以下では、左右両側のうちの一方側を例にとって説明する。
【0020】
フレーム側支柱21は、ハンドル側支柱23が差し込まれる筒形状とされている。フレーム側支柱21には、フレーム側支柱21に対して伸縮されたハンドル側支柱23を固定する固定具22が設けられている。図例では、固定具22として、頭部が手動操作部とされたノブボルトを例示しているが、このような例に限られない。
ハンドル側支柱23には、固定具22の軸部(雄ねじ部)が差し込まれる差込孔24が長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられている。ハンドル側支柱23のいずれかの差込孔24に固定具22の軸部を差し込んで締め付けることでフレーム側支柱21に対してハンドル側支柱23を固定することができる。固定具22を締結する態様としては、差込孔24を雌ねじ孔としたり、左右方向に貫通された差込孔24からフレーム側支柱21の左右方向内側に突出した固定具22の雄ねじ部がねじ合わされる雌ねじ部材を設けたりしてもよい。ハンドル側支柱23に対してフレーム側支柱21を多段階的に伸縮自在とした態様に代えて、無段階的に伸縮自在とした態様としてもよい。左右の把持部25,25のそれぞれを高さ調整可能に保持する保持支柱20,20としては、その他、種々の変形が可能である。
【0021】
把持部25は、ハンドル側支柱23の上端部から後方側に向けて延出するように設けられている。把持部25は、握り易いように適宜の径や形状とされていてもよい。図例では、把持部25は、前後方向に長尺状の略円柱状とされている。左右両側の把持部25,25は、平面視において後方側に向かうに従い互いに僅かに左右方向に離間するように設けられいてもよい。
制動操作部28は、把持部25の下方側に位置するように配されている。このような構成とすれば、把持部25に手掛状態で、その下方側の制動操作部28を手指で引くようにして、つまり、言わば一般的な自転車のブレーキ操作と同様にして操作することができる。
【0022】
この制動操作部28は、その前端部が概ね左右方向に沿う軸回りに回転自在に保持されている。この制動操作部28の前端部は、把持部25の基端側となる前端側部位に設けられたレバー保持部27に回転自在に保持されている。
図1(b)に示すように、この制動操作部28の後端側を上方側に変位させるように操作すれば、後輪4の回転を制動する制動部34の作動がなされる構成とされていてもよい。図例では、制動操作部28には、手指が差し込まれる差込孔が形成された例を示しているが、制動操作部28の形状は、このような形状に限られず、その他の形状でもよい。
連動機構33は、制動操作部28の操作に連動させて制動部34を作動させる。連動機構33は、中空チューブ状のアウターケーシング内にインナーワイヤ33a(
図2(a)参照)が収容されたいわゆるブレーキワイヤとされている。この連動機構33のアウターケーシングの制動操作部28側となる第1端部がレバー保持部27に固定され、インナーワイヤ33aの制動操作部28側となる第1端部が制動操作部28に連結されている。
【0023】
連動機構33のアウターケーシングの制動部34側となる第2端部は、
図2(a)、(b)に示すように、後輪4の外周側となる上方側に位置するように後輪フレーム13の下端部に固定されたブレーキ保持部16に固定されている。インナーワイヤ33aの制動部34側となる第2端部は、制動部34を構成する作動体35に連結されている。この作動体35は、概ね前後方向に長尺状とされ、その前端部にインナーワイヤ33aが連結されている。作動体35は、その途中部位がブレーキ保持部16に対して後輪4の軸方向と同方向となる左右方向に沿う軸(支軸18)回りに回転自在に保持されている。この作動体35の後端部には、後輪4に圧接する制動本体となるブレーキシュー36が設けられている。図例では、ブレーキシュー36は、後輪4の外周面に圧接する構成とされた例を示しているが、後輪4の側面等に圧接する構成とされていてもよい。
制動操作部28が操作されれば、インナーワイヤ33aが引っ張られるように上方側に変位する。これにより、
図2(b)に示すように、作動体35が支軸18回りに制動側に回転し、その連結側となる前端部が上方側に変位する一方、自由端側となる後端部が下方側に変位し、ブレーキシュー36が後輪4に圧接する。上記したレバー保持部27内には、制動操作部28の操作に連動してインナーワイヤ33aを変位させる適宜の連結部や連動部等が設けられていてもよい。
【0024】
制動部34は、ブレーキシュー36を後輪4から離間させる方向に付勢する付勢部材37を備えている。つまり、制動操作部28は、この付勢部材37の付勢に抗して制動側に操作される。図例では、付勢部材37は、作動体35の自由端側となる後端側部位を上方側に引っ張るように付勢する引張コイルばねとされている。制動操作部28の操作を解除すれば、つまり、制動操作部28から手を離せば、
図2(a)に示すように、付勢部材37によって作動体35が支軸18回りに制動解除側に回転し、ブレーキシュー36が後輪4から離間する。この作動体35の回転に伴いインナーワイヤ33aが下方側に変位し、これにより、制動操作部28が非操作状態となる初期位置に変位する。
付勢部材37としては、図例のような引張コイルばねに限られず、例えば、作動体35の連結側となる前端側部位を下方側に押下げるように付勢する圧縮コイルばねでもよい。この場合は、この圧縮コイルばねをインナーワイヤ33aの外周側に設けた構成としてもよい。付勢部材37としては、支軸18回りに設けられたねじりコイルばねでもよく、その他、板ばね等でもよい。付勢部材37を作動体35側に設けた構成に代えて、または加えて、制動操作部28側に設けた構成等としてもよい。また、連動機構33や、制動部34を構成する作動体35やブレーキシュー36等についても図例のような構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0025】
ロック解除操作部26は、
図1(a)、(b)に示すように、把持部25の上面側または左右方向外側に向く面側に設けられている。このような構成とすれば、上記のような制動操作部28の操作が可能でありながらも、把持部25に手掛状態においてロック解除操作部26が操作状態となり易い位置となる。つまり、特に高齢者等の使用者は、手指によって把持部25を全周に亘って把持せずに上面側や左右方向外側に向く面側に手掛け状態で歩行車1を利用する場合も想定されるが、このような場合にも、ロック解除操作部26が操作状態となり易い位置となる。
ロック解除操作部26は、把持部25の概ね全長に亘って長尺状に設けられている。このような構成とすれば、把持部25の長手方向の一部のみにロック解除操作部26が設けられた構成と比べて、把持部25に手掛状態においてロック解除操作部26を確実に操作状態にすることができる。
【0026】
このロック解除操作部26は、操作状態、つまり、把持部25に手掛状態で、ロック解除操作部26を含む部位の把持部25の外径とロック解除操作部26が設けられてない部位の把持部25の外径とが概ね同径となるように設けられている。このような構成とすれば、把持部25に手掛けした際に、握り感や操作感が一般的な把持部と概ね同様となり、違和感を生じ難くすることができる。これにより、高齢者等の使用者に握り感や操作感の変更による不安や混乱等が生じ難く、安心して歩行車1を使用することができる。ロック解除操作部26を含む部位の把持部25の外径が、ロック解除操作部26が設けられてない部位の把持部25の外径と概ね同径とは、ロック解除操作部26が設けられてない部位の把持部25の外径の0.8倍~1.2倍程度である場合を含んでもよい。
【0027】
ロック部30は、
図2(c)、(d)に示すように、後輪4に固定的に設けられた被ロック部5の被係合部7に対して係脱される係合部31を備えている。このような構成とすれば、ロック解除操作部26が非操作状態となれば、被ロック部5の被係合部7にロック部30の係合部31が係合し、後輪4をロックすることができる。これにより、後輪4の周面等に圧接されるブレーキシューやパッド等をロック部として設けた構成と比べて、ロック解除操作部26を非操作状態、つまり、ロック部30をロック状態に維持するばね等の付勢部材32の付勢力を小さくすることができる。この結果、ロック解除操作部26を軽い力で操作状態にすることができる。
被ロック部5は、後輪4と同心状とされ、被ロック部5の外周側には、複数の被係合部7が周方向に間隔を空けて設けられている。このような構成とすれば、把持部25から手を離してロック解除操作部26が非操作状態となった際に、例えば、ロック部30の係合部31が係合する一つの被係合部7を設けた構成と比べて、早期に後輪4をロック状態にすることができる。
【0028】
具体的には、ロック解除操作部26は、本実施形態では、把持部25の上面側に設けられている。このロック解除操作部26は、
図3(c)において二点鎖線にて示すように、把持部25を長手方向に見て、把持部25の外周面における上面及び左右方向外側に向く面を含む略半周部内に位置するように設けられていてもよい。つまり、ロック解除操作部26は、把持部25の外周面における左右方向外側となる斜め上方側の略半周部内に位置するように設けられていてもよい。
ロック解除操作部26は、本実施形態では、その長さ寸法が把持部25の長さ寸法と略同寸法とされている。このロック解除操作部26の長さ寸法は、把持部25に手掛状態でロック解除操作部26が操作状態となるように適宜の寸法としてもよい。把持部25の概ね全長に亘って設けられるロック解除操作部26の長さ寸法としては、把持部25の長さ寸法の0.7倍~1.2倍程度である場合を含んでもよい。
【0029】
このロック解除操作部26は、操作状態で把持部25の上面に沿うように配され、上下方向を厚さ方向とする薄板状とされている。このロック解除操作部26の厚さ寸法は、操作状態で違和感が生じ難くなるように適宜の寸法としてもよい。把持部25に、操作状態のロック解除操作部26を受け入れる溝部が設けられていてもよい。
このロック解除操作部26の左右方向に沿う幅寸法は、操作状態で違和感が生じ難くなるように適宜の寸法としてもよい。このロック解除操作部26は、長手方向に見て、把持部25の外周面に沿う円弧状に形成されていてもよい。
【0030】
このロック解除操作部26は、図例では、前端側が概ね左右方向に沿う軸回りに回転自在に保持されている。このロック解除操作部26の前端側は、把持部25の前端部に回転自在に保持されている。ロック解除操作部26は、
図1(b)に示すように、把持部25に手掛けされていない非手掛状態では、後端側が把持部25から上方側に離間して非操作状態とされる。ロック解除操作部26は、把持部25に手掛けされた手掛状態では、
図1(b)において二点鎖線にて示すように、把持部25の上面に沿うように配されて操作状態とされる。
連動機構29は、ロック解除操作部26の操作に連動させてロック部30を作動させる。この連動機構29は、上記した制動部34の連動機構33と略同様、中空チューブ状のアウターケーシング内にインナーワイヤ29a(
図2(c)参照)が収容されたいわゆるブレーキワイヤとされている。この連動機構29のアウターケーシングのロック解除操作部26側となる第1端部がレバー保持部27に固定され、インナーワイヤ29aのロック解除操作部26側となる第1端部がロック解除操作部26に連結されている。
【0031】
連動機構29のアウターケーシングのロック部30側となる第2端部は、
図2(c)、(d)に示すように、ブレーキ保持部16に固定されている。インナーワイヤ29aのロック部30側となる第2端部は、ロック部30を構成する係合部31に連結されている。
係合部31は、後輪4の径方向に長尺状とされている。図例では、係合部31は、概ね上下方向となる後輪フレーム13の長手方向に長尺状とされ、その基端側となる上端部にインナーワイヤ29aが連結されている。この係合部31の先端側となる下端部は、先端側に向かうに従い先細り状とされている。ブレーキ保持部16には、この係合部31を後輪4の径方向に移動自在にガイドするガイド部17が設けられている。このガイド部17は、係合部31を受け入れる中空筒状とされていてもよく、壁状とされていてもよい。このガイド部17は、後輪フレーム13に設けられていてもよい。
【0032】
ロック解除操作部26が操作状態では、
図2(d)に示すように、インナーワイヤ29aが引っ張られて上方側に変位した状態となり、係合部31が被係合部7から脱離したロック解除状態となる。つまり、この状態では、後輪4の回転が可能、つまりは、歩行車1を利用した歩行が可能となる。レバー保持部27内には、ロック解除操作部26の操作に連動してインナーワイヤ29aを変位させる適宜の連結部や連動部等が設けられていてもよい。
ロック部30は、係合部31を被係合部7に係合させる方向に付勢する付勢部材32を備えている。ロック解除操作部26の操作が解除されれば、つまり、把持部25から手を離せば、
図2(c)に示すように、付勢部材32によって係合部31が被係合部7に係合する方向に変位し、ロック状態となる。つまり、この状態では、後輪4の回転が不能、つまりは、歩行車1の移動が抑止される。この係合部31の変位とともにインナーワイヤ29aが下方側に変位し、これにより、ロック解除操作部26が非操作状態となる初期位置に変位する。一方、把持部25に手掛けされてロック解除操作部26が操作状態となれば、付勢部材32の付勢に抗して係合部31が被係合部7から脱離する。この付勢部材32は、使用者が把持部25に手掛けする程度の軽い力でロック解除操作部26が操作状態となるように適宜の付勢力とされていてもよい。
【0033】
図例では、付勢部材32は、係合部31と連動機構29のアウターケーシングの第2端部との間において露出するインナーワイヤ29aの外周側に設けられ、係合部31をアウターケーシングの第2端部から離間させるように付勢する圧縮コイルばねとされている。
付勢部材32としては、図例のような圧縮コイルばねに限られず、例えば、後輪フレーム13の適所等に一端部が固定され、係合部31を係合させる方向に引っ張るように付勢する引張コイルばねや、その他、ねじりコイルばね、板ばね等でもよい。付勢部材32を係合部31側に設けた構成に代えて、または加えて、ロック解除操作部26側に設けた構成等としてもよい。また、連動機構29や、ロック部30を構成する係合部31等についても図例のような構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0034】
被ロック部5は、後輪4の軸方向一方側となる左右方向内側に沿うように設けられている。この被ロック部5は、後輪4と同心状の円板状とされている。この被ロック部5の外周部には、係合部31を受け入れる被係合部7が径方向外側に向けて開口するように設けられている。図例では、被係合部7は、被ロック部5を軸方向(後輪4の軸方向)に貫通するように設けられている。
この被係合部7の径方向(後輪4の径方向)に沿う深さ寸法や周方向(後輪4の周方向)に沿う幅寸法は、受け入れた係合部31によるロック強度の観点等から、また、がたつきが生じ難くなるように適宜の寸法としてもよい。
本実施形態では、被ロック部5に、比較的に多数の被係合部7を周方向に等間隔を空けて設けた構成としている。被ロック部5に設ける被係合部7の数やピッチは、把持部25から手を離した際に後輪4が早期にロックされるように、つまり、ロックされるまでの後輪4の回転が小さくなるように適宜の数やピッチとしてもよい。図例では、被ロック部5に18個の被係合部7を設けた例を示しているが、このような数に限られない。また、図例では、被係合部7を、後輪4の径方向で外周部近傍に位置するように設けた例を示しているが、後輪4の径方向で略中央部や中心側に位置するように設けた構成としてもよい。
【0035】
被ロック部5には、各被係合部7の周方向両側を区画する突起6,6が設けられている。これら突起6,6は、径方向外側に向けて突出するように設けられている。これら突起6,6の突出方向先端部は、先端側に向かうに従い先細り状とされている。図例では、突起6,6の突出方向先端部を軸方向に見て略半円状とした例を示しているが、このような構成に限られない。
被ロック部5としては、径方向外側に向けて開口する被係合部7に代えて、径方向内側に向けて開口する複数の被係合部が周方向に間隔を空けて設けられた内歯車状とされた構成でもよい。例えば、このような被係合部は、後輪4のリム部に設けられていてもよく、後輪4の軸方向一方側に付設状に設けられていてもよい。このような被係合部を設けた場合には、上記したロック部30を適宜、変形するようにすればよい。例えば、ロック解除操作部26が非操作状態では、付勢部材によって径方向外側(上方側)に変位し被係合部に係合する一方、ロック解除操作部26が操作状態では、径方向内側(下方側)に変位し被係合部から脱離する係合部を設けた構成としてもよい。被ロック部5としては、このような多数の被係合部7を周方向に等間隔を空けて設けた歯車状に限られず、その他、種々の構成とされていてもよく、係合部31が係合する一つの被係合部7が設けられた構成でもよい。
【0036】
次に、歩行車1に設けられる把持部の変形例及び歩行車の変形例について
図3及び
図4を参照して説明する。
以下の各変形例では、先に説明した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、その説明を省略または簡略に説明する。各変形例では、先に説明した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0037】
図3(a)は、第1変形例に係る把持部25Aを示す。
本変形例では、ロック解除操作部26Aは、後端側が把持部25Aの後端部に概ね左右方向に沿う軸回りに回転自在に保持されている。このような構成とすれば、把持部25Aに対して、その後方側から手掛けする際にロック解除操作部26Aに手指が引っ掛かり難くなる。
このロック解除操作部26Aは、把持部25Aに手掛けされていない非手掛状態では、前端側が把持部25Aから上方側に離間して非操作状態とされる一方、手掛状態では、上記同様、把持部25Aの上面に沿うように配されて操作状態とされる。
【0038】
図3(b)は、第2変形例に係る把持部25Bを示す。
本変形例では、ロック解除操作部26Bは、上記した各例のような一端部が把持部に対して回転自在とされて傾動変位する操作片状(レバー状)の構成ではなく、押釦状とされている。このロック解除操作部26Bは、把持部25Bの径方向に変位自在に設けられている。このロック解除操作部26Bは、把持部25Bの外周面に対して出没自在とされていてもよい。つまり、ロック解除操作部26Bは、押圧されていない非操作状態では、把持部25Bの外周面から径方向に突出する一方、押圧操作された操作状態では、その表面が把持部25Bの外周面と概ね同一面状となる構成でもよい。図例では、ロック解除操作部26Bの把持部25Bの長手方向に沿う寸法を、把持部25Bの長さ寸法の1/2程度とした例を示している。このように、ロック解除操作部26Bの把持部25Bの長手方向に沿う寸法を、把持部25Bの長さ寸法の1/2以上としてもよく、上記した各例と同様、把持部25Bの長さ寸法と概ね同寸法としてもよい。
【0039】
図3(c)は、第3変形例に係る把持部25Cを示す。
本変形例では、ロック解除操作部26Cは、上記した各例のような把持部の上面側に設けられた構成ではなく、把持部25Cの左右方向外側に向く面側に設けられている。本変形例では、ロック解除操作部26Cは、第2変形例と同様の押釦状とされているが、操作片状とされていてもよい。ロック解除操作部26,26A~26Cは、上記した例のように把持部25,25A,25Bの真上側や本例のように把持部25Cの左右方向真外側に設けられた構成に限られず、把持部の斜め上方側等に設けられた構成でもよい。
上記した各例に係る把持部25,25A~25Cに設けられたロック解除操作部26,26A~26Cの互いに異なる構成を組み替えて適用したり、組み合わせて適用したりしてもよい。
【0040】
上記した各例では、ロック解除操作部26,26A~26Cを把持部25,25A~25Cの上面側または左右方向外側に向く面側に設けた例を示しているが、下面側や左右方向内側に向く面側に設けた構成としてもよい。
把持部25,25A~25Cに設けられるロック解除操作部26,26A~26Cとしては、上記したような構成に限られない。例えば、把持部に対して周方向(幅方向)一側部が回転自在とされたフラップ状のロック解除操作部を設けた構成としてもよい。更には、ロック解除操作部が把持部の外周面の略半部または略全部を構成するように、円弧状に形成されていてもよい。例えば、上面側となる一側部同士が回転自在に連結され、非操作状態で互いの下方側が離間する一方、操作状態で互いの下方側部が当接して略円筒状となる一対の円弧状部材から構成されたロック解除操作部等でもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0041】
上記した各例では、左右のそれぞれにロック解除操作部を設け、これらのそれぞれに連動して左右の後輪4,4をロックするロック部30,30を左右のそれぞれに設けた例を示しているが、このような構成に限られない。例えば、左右のロック解除操作部の両方が非操作状態となった際のみにロック部30がロック状態となる構成でもよい。このような構成とすれば、片麻痺等で片手操作する使用者にも対応可能な歩行車1となる。この場合は、左右のロック解除操作部の連動機構を適宜、変形するようにすればよい。このような態様に代えて、左右の把持部から手を離した状態においても左右のロック解除操作部を操作状態に選択的に維持可能な適宜の維持機構を設けた構成等としてもよい。
【0042】
図4は、第1変形例に係る歩行車1Aを示す。
上記した各例では、それぞれに前後方向に延びる左右一対の把持部25,25A~25Cを設けた歩行車1を例示している。本変形例に係る歩行車1Aは、このような左右の把持部25,25A~25Cに加えて、左右に架け渡されるように設けられた把持部25Dを備えている。このような把持部25Dを設けた構成とすれば、片麻痺等で片手操作する使用者が把持部25Dの左右方向中央部に手掛けすることができる。
この把持部25Dは、左右の保持支柱20,20の上端部から前方側に延出する部位と、これらの間に架け渡されるように設けられ概ね左右方向に延びるバー状とされた部位と、を備えている。図例では、把持部25Dは、前方側に向けて突となる突湾曲状とされているが、このような例に限られない。
【0043】
ロック解除操作部26Dは、この把持部25Dの上面側または使用者側に向く面側に設けられている。このような構成とすれば、上記と概ね同様、把持部25Dに手掛状態においてロック解除操作部26Dが操作状態となり易い位置となる。このロック解除操作部26Dは、把持部25Dを長手方向に見て、把持部25Dの外周面における上面及び使用者側となる後方側に向く面を含む略半周部内に位置するように設けられていてもよい。つまり、ロック解除操作部26Dは、把持部25Dの外周面における後方側となる斜め上方側の略半周部内に位置するように設けられていてもよい。
図例では、ロック解除操作部26Dは、把持部25Dの上面側に沿うように設けられている。また、この把持部25Dの下方側に位置するように、かつ把持部25Dに沿うように制動操作部28Aが設けられている。このような構成とすれば、片麻痺等で把持部25Dの左右方向中央部に手掛けして片手操作する使用者がロック解除操作部26Dや制動操作部28Aを操作することができる。
【0044】
ロック解除操作部26Dは、図例では、把持部25Dと同様、左右の保持支柱20,20の上端側から前方側に延出する部位と、これらの間に架け渡されるように設けられた部位と、を備えている。このロック解除操作部26Dは、左右の保持支柱20,20側の端部が傾動自在に保持され、左右方向中央側部位が把持部25Dに対して接離される構成とされていてもよい。このような例に代えて、把持部25Dの左右方向中央部位等のみにロック解除操作部26Dが設けられていてもよい。このロック解除操作部26Dは、適宜の連結部や連動部等を介して連動機構29に連結されていてもよい。図例のように、このロック解除操作部26Dに加えて、左右の把持部25,25のそれぞれにロック解除操作部26,26を設けた場合には、いずれかのロック解除操作部が操作状態であればロック解除され、全てのロック解除操作部が非操作状態であれば、ロック状態となる構成とされていてもよい。ロック解除操作部26Dとしては、図例のような把持部25Dに対して接離される構成に限られず、上記したような押釦状でもよく、その他、種々の構成でもよい。
【0045】
制動操作部28Aは、図例では、把持部25Dと同様、左右の保持支柱20,20の上端側から前方側に延出する部位と、これらの間に架け渡されるように設けられた部位と、を備えている。この制動操作部28Aは、左右の保持支柱20,20側の端部が傾動自在に保持され、左右方向中央側部位が把持部25Dに対して接離される構成とされていてもよい。このような例に代えて、把持部25Dの左右方向中央部位等のみに制動操作部28Aが設けられていてもよい。この制動操作部28Aは、適宜の連結部や連動部等を介して連動機構33に連結されていてもよい。制動操作部28Aとしては、図例のような構成に限られず、把持部25Dの前方側に位置するように設けられていてもよく、その他、種々の構成でもよい。
本変形例では、左右の把持部25,25、ロック解除操作部26,26及び制動操作部28,28を設けた例を示しているが、これらを設けていない構成としてもよい。つまり、歩行車1Aは、左右に架け渡されるように設けられた把持部25Dと、この把持部25Dに手掛状態で操作可能な制動操作部28Aと、把持部25Dに手掛状態で操作状態となるロック解除操作部26Dと、を備えた構成でもよい。この場合は、前方側に突となる突湾曲状とされた把持部25Dの左右両側の後端側部位のそれぞれに手掛可能な構成とされていてもよい。
本実施形態に係る歩行車1,1Aの上記した各部材及び各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【0046】
<付記>
以上の実施の形態の記載により、以下の技術が開示される。
<技術1>
歩行車は、接地面上を走行可能な車輪と、使用者に把持される把持部と、該把持部に手掛状態で操作可能に設けられた制動操作部と、該制動操作部に連動機構を介して連結され前記車輪を制動する制動部と、前記把持部に手掛状態で操作状態となるように前記把持部に設けられ、かつ該把持部に非手掛状態で非操作状態となるロック解除操作部と、該ロック解除操作部に連動機構を介して連結され前記車輪をロックするロック部と、を備えている。
<技術2>
前記ロック解除操作部は、前記把持部に沿うように設けられている技術1に記載の歩行車。
<技術3>
前記把持部、前記制動操作部及び前記ロック解除操作部は、左右のそれぞれに対状に設けられている技術1または2に記載の歩行車。
<技術4>
前記制動操作部は、前記把持部の下方側に位置するように配され、前記ロック解除操作部は、前記把持部の上面側または左右方向外側に向く面側に設けられている技術3に記載の歩行車。
<技術5>
前記把持部は、左右に架け渡されるように設けられており、前記ロック解除操作部は、前記把持部の上面側または使用者側に向く面側に設けられている技術1または2に記載の歩行車。
<技術6>
前記ロック解除操作部は、前記把持部の概ね全長に亘って長尺状に設けられている技術1~技術5のいずれか1項に記載の歩行車。
<技術7>
前記ロック部は、前記車輪に固定的に設けられた被ロック部の被係合部に対して係脱される係合部を備えている技術1~技術6のいずれか1項に記載の歩行車。
<技術8>
前記被ロック部は、前記車輪と同心状とされ、該被ロック部の外周側には、複数の前記被係合部が周方向に間隔を空けて設けられている技術7に記載の歩行車。
【符号の説明】
【0047】
1,1A 歩行車
4 後輪(車輪)
5 被ロック部
7 被係合部
25,25A~25D 把持部
26,26A~26D ロック解除操作部
28,28A 制動操作部
29 連動機構
30 ロック部
31 係合部
33 連動機構
34 制動部
G 接地面