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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122455
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/20 20060101AFI20240902BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240902BHJP
   H02P 31/00 20060101ALI20240902BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20240902BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G21/20
B41J29/38 104
H02P31/00
G05F1/56 310N
B41J29/377 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030006
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】島津 宝浩
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5H430
5H501
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HJ10
2C061HK10
2C061HN08
2C061HN15
2H270KA46
2H270LA24
2H270LA98
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA33
2H270MB25
2H270MB36
2H270MC78
2H270MD12
2H270MG01
2H270MG07
2H270MH09
2H270SA09
2H270SB16
2H270SB24
2H270SB30
2H270SC00
2H270ZC04
2H270ZC08
2H270ZD06
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430CC05
5H430EE04
5H430EE09
5H430EE12
5H430FF01
5H430FF13
5H430HH03
5H430LA04
5H430LA10
5H501AA18
5H501BB02
5H501DD00
5H501JJ03
5H501LL38
5H501MM05
(57)【要約】
【課題】電圧レギュレータがファンに流す電流を抑制することができ、電圧レギュレータで消費される電力を抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】プリンタ1は、定着ファン13に一定の第1出力電圧Vout1を印加する第1リニアレギュレータ131と、低圧ファン14に一定の第2出力電圧Vout2を印加する第2リニアレギュレータ132と、第1リニアレギュレータ131の出力側と第2リニアレギュレータ132の出力側との間に接続された補助電流供給回路140と、を備え、第1出力電圧Vout1の値が第2出力電圧Vout2の値より高い場合、第1リニアレギュレータ131から補助電流供給回路140を経由して低圧ファン14に向けて補助電流が流れ、第2出力電圧Vout2の値が第1出力電圧Vout1の値より高い場合、第2リニアレギュレータ132から補助電流供給回路140を経由して定着ファン13に向けて補助電流が流れる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ファンと、
前記第1ファンに一定の第1電圧を印加する第1電圧レギュレータと、
第2ファンと、
前記第2ファンに一定の第2電圧を印加する第2電圧レギュレータと、
前記第1電圧レギュレータの出力側と前記第2電圧レギュレータの出力側との間に接続された補助電流供給回路と、
を備え、
(1)前記第1電圧の値が前記第2電圧の値より高い場合、前記第1電圧レギュレータから前記補助電流供給回路を経由して前記第2ファンに向けて補助電流が流れ、
(2)前記第2電圧の値が前記第1電圧の値より高い場合、前記第2電圧レギュレータから前記補助電流供給回路を経由して前記第1ファンに向けて補助電流が流れる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
装置筐体と、
画像形成部と、
交流電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC基板と、
をさらに備え、
前記第1ファンは、前記装置筐体内を冷却するファンであり、
前記第2ファンは、前記AC/DC基板を冷却するファンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
制御部をさらに備え、
前記第1ファンは、印加される前記第1電圧の大きさによって回転量が変わり、
前記第2ファンは、印加される前記第2電圧の大きさによって回転量が変わり、
前記制御部は、
前記第1電圧レギュレータに設定されている前記第1電圧の値を変更し、
前記第2電圧レギュレータに設定されている前記第2電圧の値を変更する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置筐体内の温度に応じた第1信号を出力する第1温度検出素子と、
前記AC/DC基板に実装され、前記AC/DC基板周辺の温度に応じた第2信号を出力する第2温度検出素子と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1温度検出素子からの前記第1信号に基づいて検出した第1検出温度に応じて前記第1電圧の値を変更し、
前記第2温度検出素子からの前記第2信号に基づいて検出した第2検出温度に応じて前記第2電圧の値を変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1温度検出素子及び前記第2温度検出素子は、サーミスタであり、
前記制御部は、前記サーミスタからの出力信号に基づいて検出した温度に応じて、前記第1ファン及び前記第2ファンの回転量を全速、半速及び停止のいずれかに制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
第3ファンと、
前記第3ファンに一定の第3電圧を印加する第3電圧レギュレータと、
をさらに備え、
前記補助電流供給回路は、前記第1電圧レギュレータの出力側と前記第2電圧レギュレータの出力側と前記第3電圧レギュレータとの間に接続され、
前記第1電圧から前記第3電圧のうち最も高い電圧値を出力している電圧レギュレータから前記補助電流供給回路を経由してその電圧レギュレータのファン以外のファンに補助電流が流れる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補助電流供給回路は、
3つの抵抗により構成され、
前記3つの抵抗の各一端が1点で接続され、各他端が前記第1~第3電圧レギュレータの各出力側と接続されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1~第3電圧レギュレータは、リニアレギュレータである、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1電圧レギュレータの入力電圧と前記第2電圧レギュレータの入力電圧のうち、高い方の電圧値以上の第4電圧を固定的に出力する電圧出力源をさらに備え、
前記補助電流供給回路は、
前記第1電圧レギュレータの出力側と前記第2電圧レギュレータの出力側と電圧出力源との間に接続され、
電圧出力源から、前記第1電圧レギュレータと前記第2電圧レギュレータのうち、前記第4電圧より低い電圧値を出力している電圧レギュレータのファンに補助電流を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記補助電流供給回路は、
3つの抵抗により構成され、
前記3つの抵抗の各一端が1点で接続され、各他端が前記第1及び第2電圧レギュレータ及び前記電圧出力源の各出力側と接続されている、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成装置内に設けられたファンを駆動するモータに供給する電源を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置筐体内に設けられたファンの駆動モータに供給する電源電圧の値を切り替えることにより、ファンの回転速度を低速から高速まで多段階に切り替えるようにした画像形成装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献1では、装置筐体内に設けられたファンは1台のみであるが、複数台のファンを設け、ファン毎に独立して設けられた電圧出力回路により、ファン毎に独立して各駆動モータの回転速度を多段階に切り替えることもよく行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-40052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電圧出力回路として、電圧レギュレータを用いた場合、電圧レギュレータからファンに流す電流が大きいと、電圧レギュレータで消費される電力が大きくなるという問題があった。
【0006】
本願は、電圧レギュレータがファンに流す電流を抑制することができ、電圧レギュレータで消費される電力を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、第1ファンと、第1ファンに一定の第1電圧を印加する第1電圧レギュレータと、第2ファンと、第2ファンに一定の第2電圧を印加する第2電圧レギュレータと、第1電圧レギュレータの出力側と第2電圧レギュレータの出力側との間に接続された補助電流供給回路と、を備え、(1)第1電圧の値が第2電圧の値より高い場合、第1電圧レギュレータから補助電流供給回路を経由して第2ファンに向けて補助電流が流れ、(2)第2電圧の値が第1電圧の値より高い場合、第2電圧レギュレータから補助電流供給回路を経由して第1ファンに向けて補助電流が流れる、ことを特徴とする。
【0008】
電圧レギュレータは、ファンなどの負荷に対して一定の電圧を印加する回路であって、リニアレギュレータとスイッチングレギュレータの2種類がある。例えば、リニアレギュレータは、出力電圧が一定となるようにFETなどの制御素子の抵抗を調整することで、制御素子及び負荷に流れる電流の大きさを調整する。
【0009】
第1電圧レギュレータと第2電圧レギュレータのうち、より高い出力電圧を印加している一方の電圧レギュレータから、補助電流供給回路を経由して、他方の電圧レギュレータが印加しているファンに補助電流が流れる。
【0010】
例えば、第2ファンに補助電流が流れる場合、第2ファンには、第2電圧レギュレータから流れる電流と補助電流とを合算した電流が流れることになる。第2ファンには、第2ファンの抵抗と合算した電流との積で表される出力電圧が印加されることになる。その出力電圧が第2電圧となるように制御素子の抵抗を調整するため、第2電圧レギュレータが第2ファンに流す電流は、補助電流分少なくすることができ、第2電圧レギュレータが流す電流が少なくなる分、第2電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0011】
また、本願の画像形成装置は、装置筐体と、画像形成部と、交流電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC基板と、をさらに備え、第1ファンは、装置筐体内を冷却するファンであり、第2ファンは、AC/DC基板を冷却するファンである、ことを特徴とする。
【0012】
また、本願の画像形成装置は、制御部をさらに備え、第1ファンは、印加される第1電圧の大きさによって回転量が変わり、第2ファンは、印加される第2電圧の大きさによって回転量が変わり、制御部は、第1電圧レギュレータに設定されている第1電圧の値を変更し、第2電圧レギュレータに設定されている第2電圧の値を変更する、ことを特徴とする。
【0013】
制御部は、第1電圧レギュレータが出力する第1電圧の値を変更することにより、第1ファンの回転数を変更し、第2電圧レギュレータが出力する第2電圧の値を変更することにより、第2ファンの回転数を変更する。このように、制御部が、第1ファン及び第2ファンの回転制御を行うことは、第1及び第2電圧レギュレータの出力電圧制御を行うことであるので、制御部が第1ファン及び第2ファンの回転制御を行っているときは、第1電圧の値と第2電圧の値とが異なる場合があり、この場合、低い方の電圧を出力している電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0014】
また、本願の画像形成装置は、装置筐体内の温度に応じた第1信号を出力する第1温度検出素子と、AC/DC基板に実装され、AC/DC基板周辺の温度に応じた第2信号を出力する第2温度検出素子と、をさらに備え、制御部は、第1温度検出素子からの第1信号に基づいて検出した第1検出温度に応じて第1電圧の値を変更し、第2温度検出素子からの第2信号に基づいて検出した第2検出温度に応じて第2電圧の値を変更する、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、装置筐体内の温度に応じた第1ファンの回転制御と、AC/DC基板周辺の温度に応じた第2ファンの回転制御を行う過程で、低い方の電圧を出力している電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0016】
また、第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、サーミスタであり、制御部は、サーミスタからの出力信号に基づいて検出した温度に応じて、第1ファン及び第2ファンの回転量を全速、半速及び停止のいずれかに制御する、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、第1ファン及び第2ファンの回転量を全速及び半速のいずれかに制御する過程で、低い方の電圧を出力している電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0018】
また、本願の画像形成装置は、第3ファンと、第3ファンに一定の第3電圧を印加する第3電圧レギュレータと、をさらに備え、補助電流供給回路は、第1電圧レギュレータの出力側と第2電圧レギュレータの出力側と第3電圧レギュレータとの間に接続され、第1電圧から第3電圧のうち最も高い電圧値を出力している電圧レギュレータから補助電流供給回路を経由してその電圧レギュレータのファン以外のファンに補助電流が流れる、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、第3ファンが加わった場合でも、第1電圧から第3電圧のうち最も高い電圧値を出力している電圧レギュレータから補助電流供給回路を経由してその電圧レギュレータのファン以外のファンに補助電流が流れるので、最も高い電圧値を出力している電圧レギュレータ以外の電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0020】
また、補助電流供給回路は、3つの抵抗により構成され、3つの抵抗の各一端が1点で接続され、各他端が第1~第3電圧レギュレータの各出力側と接続されている、ことを特徴とする。
【0021】
このように、3つの抵抗により構成された、極めて簡単な補助電流供給回路を用いて、最も高い電圧値を出力している電圧レギュレータ以外の電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。また、補助電流供給回路は、制御部による制御を必要としないので、制御部の制御処理が複雑化しない。
【0022】
また、第1~第3電圧レギュレータは、リニアレギュレータである、ことを特徴とする。
【0023】
また、本願の画像形成装置は、第1電圧レギュレータの入力電圧と第2電圧レギュレータの入力電圧のうち、高い方の電圧値以上の第4電圧を固定的に出力する電圧出力源をさらに備え、補助電流供給回路は、第1電圧レギュレータの出力側と第2電圧レギュレータの出力側と電圧出力源との間に接続され、電圧出力源から、第1電圧レギュレータと第2電圧レギュレータのうち、第4電圧より低い電圧値を出力している電圧レギュレータのファンに補助電流を供給する、ことを特徴とする。
【0024】
これにより、第1及び第2電圧レギュレータの出力電圧は、電圧出力源の第4電圧以下であるので、第1及び第2電圧レギュレータの各消費電力を抑制することができる。
【0025】
また、補助電流供給回路は、3つの抵抗により構成され、3つの抵抗の各一端が1点で接続され、各他端が第1及び第2電圧レギュレータ及び電圧出力源の各出力側と接続されている、ことを特徴とする。
【0026】
このように、3つの抵抗により構成された、極めて簡単な補助電流供給回路を用いて、電圧出力源以外の電圧レギュレータの消費電力を抑制することができる。また、補助電流供給回路は、制御部による制御を必要としないので、制御部の制御処理が複雑化しない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願の一実施形態に係るカラーレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
図2図1のカラーレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
図3図1のカラーレーザプリンタに含まれるファンを制御する制御構成を示す回路図である。
図4】ファンの制御内容と閾値との関係を示す図である。
図5】ファンの印加電圧が異なる場合に補助電流の流れ方を示す回路図である。
図6図5とはファンの印加電圧が異なる場合に補助電流の流れ方を示す回路図である。
図7図3の制御構成とは異なる制御構成を示す回路図である。
図8図7の制御構成において、補助電流の流れ方を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本願の一実施形態に係るカラーレーザプリンタ1の概略構成を示す断面図である。カラーレーザプリンタ1は、画像形成装置の一例である。以下、カラーレーザプリンタ1をプリンタ1と略して言う。プリンタ1は、装置筐体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器9とを備えている。以下、説明の便宜上、図1の矢印で示されるように、プリンタ1の上下方向、及び前後方向を定義する。また、紙面のこちら側を右と、紙面の向こう側を左と定義する。
【0030】
装置筐体2は、フロントカバー21と、リアカバー12と、供給トレイ31と、排出トレイ22と、第1~第3搬送経路25~27とを有している。フロントカバー21は、装置筐体2の前部に設けられたフロント開口2Aを開閉するカバーであり、装置筐体2の前面に開閉可能な状態で取り付けられている。リアカバー12は、装置筐体2の後部に設けられたリア開口2Bを開閉するカバーであり、装置筐体2の後面に開閉可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31は、装置筐体2の下部に着脱可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31には、シートSが載置される。シートSは、A4サイズ等の定型シートである。シートSは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体であるが、これに限らず、OHPフィルムであってもよい。排出トレイ22は、装置筐体2の上部に設けられ、排出トレイ22には、画像が形成されたシートSが載置される。
【0031】
搬送部3は、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、第1搬送ローラ36、第2搬送ローラ37、第1スイッチバックローラ38、第2スイッチバックローラ39、複数の第3搬送ローラ40、フラッパ30、及びメインモータ106(図2参照)を有している。第2搬送経路26の一部は、閉じた状態のリアカバー12によって形成されている。
【0032】
ピックアップローラ33は、シート押圧板32により上方に押し上げられた供給トレイ31内のシートSをピックアップして、第1搬送経路25に向けて搬送する。分離ローラ34は、ピックアップローラ33がピックアップしたシートSを1枚ずつ分離する。
【0033】
レジストレーションローラ35は、第1搬送経路25において画像形成部4よりも上流側に配置されている。レジストレーションローラ35は、シートSの前端の方向を揃えた後、シートSを画像形成部4へ向けて搬送する。このレジストレーションローラ35がシートを搬送する搬送方向は、前方から後方に向かう方向である。
【0034】
搬送部3は、シートSを装置筐体2外に搬送する場合において、リアカバー12が閉じられている場合、画像形成部4から搬送されるシートSを第1搬送ローラ36によって搬送し、フラッパ30(30A)によって第1搬送経路25に案内する。その後、搬送部3は、第1搬送経路25に案内されたシートSを第2搬送ローラ37及び第1スイッチバックローラ38によって搬送し、排出トレイ22上に排出する。
【0035】
また、搬送部3は、シートSを装置筐体2外に搬送する場合において、リアカバー12が開かれている場合、画像形成部4から搬送されるシートSを第1搬送ローラ36によって搬送し、仮想線で示す位置に揺動したフラッパ30(30B)によって後方に向けて案内し、リア開口2Bを通して開いた状態のリアカバー12上に排出する。プリンタ1は、リアカバー12が開いた状態でもシートSへの画像形成が可能であり、リアカバー12は、開いた状態で、画像が形成されたシートSをリア開口2Bから排出可能とするカバーである。
【0036】
また、搬送部3は、シートSを再び画像形成部4に搬送する場合、画像形成部4から搬送されるシートSを第1搬送ローラ36によって搬送し、フラッパ30によって第1搬送経路25又は第2搬送経路26に案内する。シートSを第1搬送経路25に案内した場合、搬送部3は、第1搬送経路25内のシートSを第2搬送ローラ37及び第1スイッチバックローラ38によって第3搬送経路27に搬送する。また、シートSを第2搬送経路26に案内した場合、搬送部3は、第2搬送経路26内のシートSを第2スイッチバックローラ39によって第3搬送経路27に搬送する。
【0037】
第3搬送経路27に搬送されたシートSは、第3搬送ローラ40及びレジストレーションローラ35等によって再び画像形成部4に供給される。その後、シートSは、画像形成部4で画像が形成された後、搬送部3によって排出トレイ22上に排出される。
【0038】
画像形成部4は、シートSに画像を形成する機能を有し、トナー像をシートSに転写する。画像形成部4は、露光ユニット5と、ドラムユニット6と、4つの現像カートリッジ7K,7Y,7M,7Cと、転写ユニット8とを備えている。
【0039】
露光ユニット5は、装置筐体2内の上部に配置され、図示しない光源、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光ユニット5は、一点鎖線で示す光ビームを感光体ドラム61の表面に出射することで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0040】
ドラムユニット6は、装置筐体2内において供給トレイ31と露光ユニット5との間に配置され、4つの感光体ドラム61と、4つの帯電器62と、ピンチローラ64と、感光体ドラム61などを支持する支持フレーム65とを備えている。ドラムユニット6は、フロントカバー11が開いた状態で、装置筐体2に対してフロント開口2Aを通して着脱可能である。ピンチローラ64は、レジストレーションローラ35と対向している。ピンチローラ64は、レジストレーションローラ35の回転に従動して回転し、レジストレーションローラ35とともにシートSを搬送する。
【0041】
現像カートリッジ7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応し、プリンタ1の前方から後方に向かってこの順序で、ドラムユニット6に着脱可能に装着されている。現像カートリッジ7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ、現像ローラ71と、供給ローラ72と、トナー収容部73とを備えている。なお、各現像カートリッジ7Y,7M,7C,7Kは、トナーの色は異なるものの、その他の構成は同じであるので、以下、いずれか1つを代表させて、現像カートリッジ7と表記して説明する。
【0042】
転写ユニット8は、装置筐体2内において供給トレイ31とドラムユニット6との間に配置され、駆動ローラ81と、従動ローラ82と、搬送ベルト83と、4つの転写ローラ84とを備えている。搬送ベルト83は、駆動ローラ81と従動ローラ82との間に架け渡されており、上側の面が感光体ドラム61と接触している。4つの転写ローラ84は、搬送ベルト83の内側において、対応する感光体ドラム61との間で搬送ベルト83を挟むように配置されている。
【0043】
定着器9は、装置筐体2内において画像形成部4の後方に配置されている。詳細には、定着器9は、閉じた状態のリアカバー12と画像形成部4との間に配置されている。定着器9は、シートSを加熱する加熱ローラ91と、加熱ローラ91との間でシートSを挟む加圧部92とを有している。本実施形態では、加熱ローラ91は、その内部に加熱ローラ91を加熱するヒータ93を有している。加圧部92は、符号を省略して示すエンドレスベルト、加熱ローラ91との間でエンドレスベルトを挟む押圧パッド、押圧パッドを支持するホルダ、ベルトガイドなどを有している。
【0044】
画像形成部4は、帯電器62によって感光体ドラム61の表面を一様に帯電し、露光ユニット5によって感光体ドラム61の表面を露光することで、感光体ドラム61の表面に静電潜像を形成する。また、画像形成部4は、トナー収容部73内のトナーを供給ローラ72に供給し、供給ローラ72から現像ローラ71に供給する。現像ローラ71に供給されたトナーは、現像ローラ71の回転に伴って現像ローラ71上に担持される。
【0045】
画像形成部4は、現像ローラ71上に担持されたトナーを感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給することで、感光体ドラム61の表面にトナー像を形成する。その後、画像形成部4は、搬送部3により供給トレイ31から供給されたシートSを感光体ドラム61と搬送ベルト83との間で搬送することで感光体ドラム61上のトナー像をシートSに転写する。その後、画像形成部4は、シートSを定着器9に搬送する。
【0046】
定着器9は、加熱ローラ91と加圧部92との間でシートSを搬送することでシートSに転写されたトナー像をシートSに定着してシートSに画像を形成する。
【0047】
プリンタ1は、装置筐体2内に、定着ファン13と、低圧ファン14と、帯電ファン15と、機内温度センサTH1と、定着温度センサTH2と、基板温度センサTH3とをさらに備えている。
【0048】
定着ファン13は、駆動したときに装置筐体2内の空気を装置筐体2外に排出するように設けられている。低圧ファン14は、低圧電源基板112を空冷するために設けられている。帯電ファン15は、帯電器62にトナーが付着しないように帯電器62周辺のトナーを吸入するために設けられている。
【0049】
機内温度センサTH1は、装置筐体2内の温度に応じた信号(「第1信号」に対応)を出力する温度センサである。機内温度センサTH1は、中継基板113(図2参照)上に設置され、中継基板113は、装置筐体2内における、ドラムユニット6と定着器9との間付近に配置されている。機内温度センサTH1としては、例えば、サーミスタなどを用いることができる。
【0050】
定着温度センサTH2は、定着器9、詳しくは、加熱ローラ91の温度に応じた信号を出力する温度センサである。定着温度センサTH2は、定着器9に設けられ、加熱ローラ91と非接触の状態で対向して配置されている。定着温度センサTH2としては、例えば、非接触式のサーミスタなどを用いることができる。
【0051】
基板温度センサTH3は、低圧電源基板112上に設置された素子(図示せず)及びその周辺の温度に応じた信号(「第2信号」に対応する)を出力する温度センサである。基板温度センサTH3は、低圧電源基板112上に設置されている。基板温度センサTH3としては、例えば、サーミスタなどを用いることができる。
【0052】
次に、プリンタ1の制御構成について、図2を参照して説明する。図2に示すように、プリンタ1は、ASIC105と、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、供給センサSE1と、レジ前センサSE2と、レジ後センサSE3とをさらに備えている。そして、メイン基板100に、ASIC105、ROM102、RAM103、NVRAM104、メインモータドライバMD1、及びプロセスモータドライバMD2が搭載されている。
【0053】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、プリンタ1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、ROM102、RAM103、NVRAM104、メインモータドライバMD1、プロセスモータドライバMD2、高圧電源基板110、低圧電源基板112、中継基板113、定着ファン13、低圧ファン14、及び帯電ファン15と電気的に接続されている。
【0054】
ROM102には、プリンタ1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。
【0055】
RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、プリンタ1の各部を制御する。
【0056】
メインモータドライバMD1には、メインモータ106が接続されている。ASIC105は、メインモータドライバMD1に制御信号を出力することにより、メインモータ106の駆動を制御する。メインモータ106は、定着器9の加熱ローラ91、及びローラ群120を駆動する。ローラ群120には、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、第1搬送ローラ36、第2搬送ローラ37、第1スイッチバックローラ38、第2スイッチバックローラ39、及び複数の第3搬送ローラ40等が含まれる。
【0057】
プロセスモータドライバMD2には、プロセスモータ107が接続されている。ASIC105は、プロセスモータドライバMD2に制御信号を出力することにより、プロセスモータ107の駆動を制御する。プロセスモータ107は、4つの現像ローラ71及び4つの感光体ドラム61を駆動する。
【0058】
高圧電源基板110は、高圧の帯電電圧を生成し、生成した帯電電圧を4つの帯電器62に印加する。低圧電源基板112は、AC/DCコンバータ(図示せず)を搭載し、交流電源から供給された交流電圧をAC/DCコンバータにより直流電圧に変換し、この直流電圧をメイン基板100に供給する。メイン基板100は、DC/DCコンバータ(図示せず)を搭載し、DC/DCコンバータにより、低圧電源基板112からの直流電圧をさらに低い直流電圧に変換して、例えば、3.3Vや5Vなどの低電圧を生成し、ASIC105、メインモータドライバMD1、プロセスモータドライバMD2、定着ファン13、低圧ファン14、帯電ファン15、及び中継基板113等へ印加する。
【0059】
中継基板113は、供給センサSE1、レジ前センサSE2及びレジ後センサSE3の出力を、必要に応じて増幅して、ASIC105に中継する。中継基板113上には、上述のように、機内温度センサTH1が設置され、中継基板113は、機内温度センサTH1が検出したプリンタ1内の機内温度に応じた信号をASIC105に伝達する。
【0060】
供給センサSE1は、第1搬送経路25においてピックアップローラ33よりも上流側に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。供給センサSE1としては、シートSが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。供給センサSE1は、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。供給センサSE1による検知信号は、中継基板113を介して、CPU101へ出力される。
【0061】
レジ前センサSE2は、第1搬送経路25においてレジストレーションローラ35よりも上流側に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ前センサSE2は、供給センサSE1と同様の構成である。レジ前センサSE2による検知信号は、中継基板113を介して、CPU101へ出力される。
【0062】
レジ後センサSE3は、第1搬送経路25において定着器9よりも上流側、具体的には、レジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ後センサSE3は、供給センサSE1と同様の構成である。レジ後センサSE3による検知信号は、中継基板113を介して、CPU101へ出力される。
【0063】
次に、定着ファン13、低圧ファン14及び帯電ファン15の制御構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、定着ファン13、低圧ファン14及び帯電ファン15はそれぞれ、第1~第3リニアレギュレータ131~133と接続されている。図3中、定着ファン13、低圧ファン14及び帯電ファン15はそれぞれ、等価抵抗R13,R14及びR15により示されている。そして、ASIC105が第1~第3リニアレギュレータ131~133の第1~第3出力電圧Vout1~Vout3の大きさを変動させることで、定着ファン13、低圧ファン14及び帯電ファン15をそれぞれ駆動する駆動モータ(図示せず)の印加電圧を変動させ、各駆動モータの回転量を変動させている。
【0064】
第1リニアレギュレータ131の入力側は、低圧電源基板112の電圧供給端子T1と接続され、第1リニアレギュレータ131には、第1入力電圧Vin1として、例えば24Vが入力される。第1リニアレギュレータ131の基準電圧Vrefは、ASIC105により制御される。なお、第1リニアレギュレータ131としては、公知の一般的な構成のものを用いているので、その構成と電圧制御の詳細な説明は適宜省略するが、第1リニアレギュレータ131は、ASIC105により基準電圧Vrefの値を変動させることで、第1入力電圧Vin1の値を降下させて(降下させない場合も含む)一定の値の第1出力電圧Vout1を生成し出力する。
【0065】
定着ファン13は、印加電圧、つまり第1リニアレギュレータ131からの第1出力電圧Vout1が高いほど、高速に回転する。本実施形態では図4に示すように、定着ファン13は、機内温度センサTH1による検出温度に応じて、半速と全速とが切り替えられる。第1リニアレギュレータ131が第1出力電圧Vout1として、例えば12Vを出力したとき、定着ファン13は半速となり、例えば24Vを出力したとき、定着ファン13は全速となる。また、図4には記載されていないが、第1リニアレギュレータ131が出力電圧Voutとして、0Vを出力したとき、定着ファン13は停止となる。もちろん、定着ファン13の回転制御は、2段階に限らず、3段階以上であってもよい。なお、低圧ファン14は、図4に示すように、基板温度センサTH3による検出温度に応じて、半速と全速と(停止と)が切り替えられる。また、帯電ファン15も、図4に記載されていないが、半速と全速と(停止と)が切り替えられる。帯電ファン15を半速と全速と停止とに切り替える基準となる情報としては、印刷指令に応じてプリンタ1が印刷を開始してから終了するまでの間の所定のタイミング等が考えられる。
【0066】
他の第2及び第3リニアレギュレータ132,133がそれぞれ、低圧ファン14及び帯電ファン15を制御する構成及び方法は、第1リニアレギュレータ131が定着ファン13を制御する上述の構成及び方法と同様であるので、その説明は省略する。
【0067】
第1~第3リニアレギュレータ131~133の各出力側は、補助電流供給回路140と接続される。補助電流供給回路140は、3つの抵抗R1~R3により構成される。そして、抵抗R1の一端は、第1リニアレギュレータ131の出力側と接続され、抵抗R1の他端は、接続点J1と接続される。同様に、抵抗R2の一端は、第2リニアレギュレータ132の出力側と接続され、抵抗R2の他端は、接続点J1と接続される。さらに、抵抗R3の一端は、第3リニアレギュレータ133の出力側と接続され、抵抗R3の他端は、接続点J1と接続される。つまり、3つの抵抗R1~R3の各他端は、1つの接続点J1で接続される。
【0068】
以下、第1リニアレギュレータ131を例に挙げて、第1リニアレギュレータ131で消費される電力について説明するが、その説明内容は、他の第2及び第3リニアレギュレータ132,133についても同様に当てはまる。
【0069】
FET131Aのソース-ドレイン間に流れる電流Isがほぼ一定であるとすると、
第1リニアレギュレータ131の消費電力=(Vin1-Vout1)×Is
となり、第1リニアレギュレータ131の消費電力は、第1入力電圧Vin1と第1出力電圧Vout1との差分に比例する。つまり、第1リニアレギュレータ131が第1出力電圧Vout1として、24Vを出力しているときは、第1リニアレギュレータ131の消費電力は、ほぼ0Wである。これに対して、第1リニアレギュレータ131が第1出力電圧Vout1として、12Vを出力しているときには、第1リニアレギュレータ131の消費電力は、12V×60mA=720mWとなる。ただし、Is=60mAとしている。
【0070】
第1リニアレギュレータ131の消費電力は、その大半がFET131Aの発熱として消費されるので、消費電力をできるだけ抑制することが好ましい。しかし、第1リニアレギュレータ131は、定着ファン13を半速で回転させるためには、第1出力電圧Vout1として12Vを出力する必要があるので、第1入力電圧Vin1と第1出力電圧Vout1との差分を変えることはできない。そこで、補助電流供給回路140を設け、FET131Aのソース-ドレイン間に流れる電流Isを抑制することで、第1リニアレギュレータ131の消費電力を抑制するようにしている。
【0071】
図5は、第1リニアレギュレータ131の第1出力電圧Vout1を12Vとし、第2及び第3リニアレギュレータ132,133の第2及び第3出力電圧Vout2,Vout3を24Vとした場合に、補助電流供給回路140が供給する補助電流Ia1,Ia2を示している。図5に示すように、第1出力電圧Vout1の値(=12V)は、第2及び第3出力電圧Vout2,Vout3の各値(=24V)より低いので、補助電流供給回路140は、第2リニアレギュレータ132の出力側から補助電流Ia1を第1リニアレギュレータ131の出力側に供給するとともに、第3リニアレギュレータ133の出力側から補助電流Ia2を第1リニアレギュレータ131の出力側に供給する。これにより、定着ファン13の等価抵抗R13には、合算電流Isum=Is+Ia1+Ia2が流れる。この合算電流Isumにより等価抵抗R13に印加される電圧が12Vとなるので、
Is=Vout1(=12V)/R13-(Ia1+Ia2)
となる。つまり、FET131Aのソース-ドレイン間に流れる電流Isは、Ia1+Ia2だけ減少する。したがって、第1リニアレギュレータ131の消費電力も、電流Isの減少分だけ減少する。例えば、補助電流Ia1,Ia2の供給前のIs=60mAが、供給後、Is=50mAになった場合、第1リニアレギュレータ131の消費電力は、12V×50mA=600mWとなって、供給前より120mWだけ抑制することができる。
【0072】
なお、第2及び第3リニアレギュレータ132,133の各出力側から流出する電流はそれぞれ、電流Ia1,Ia2だけ増加するが、第2及び第3リニアレギュレータ132,133では、第2及び第3入力電圧Vin2,Vin3と第2及び第3出力電圧Vout2,Vout3との各差分は、0Vであるため、電量消費は無い状態となる。
【0073】
図6は、第1及び第2リニアレギュレータ131、132の各第1出力電圧Vout1,Vout2を12Vとし、第3リニアレギュレータ133の出力電圧Vout3を24Vとした場合に、補助電流供給回路140が供給する補助電流Ia11,Ia12を示している。図6に示すように、第1出力電圧Vout1,Vout2の各値(=12V)は、出力電圧Vout3の値(=24V)より低いので、補助電流供給回路140は、第3リニアレギュレータ133の出力側から補助電流Ia11を第1リニアレギュレータ131の出力側に供給するとともに、第3リニアレギュレータ133の出力側から補助電流Ia12を第2リニアレギュレータ132の出力側に供給する。これにより、第1及び第2リニアレギュレータ131,132の各消費電力は、補助電流Ia11,Ia12が供給される前より減少する。
【0074】
なお、図5及び図6を用いた上記説明に基づいて類推すれば分かるように、補助電流供給回路140は、第1~第3リニアレギュレータ131~133の第1出力電圧Vout1~Vout3の各値に差があれば、電圧値の高い電圧レギュレータから電圧値の低い電圧レギュレータへ向けて、補助電流を供給する。
【0075】
図7は、図3の変形例であり、図3の制御構成とは異なる制御構成を示している。図7の制御構成は、図3の制御構成のうち、帯電ファン15及び第3リニアレギュレータ133を省略し、低圧電源基板112の電圧供給端子T3(「電圧出力源」に対応する)を直接、補助電流供給回路140に接続したものである。このように、図7の制御構成は、図3の制御構成から一部構成を省略したものであるので、図7中、図3と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明は適宜省略する。なお、帯電ファン15の回転制御は、しない訳ではなく、図7の制御構成に含まれないだけであり、別の場所でするようにすればよい。
【0076】
図8は、図7の制御構成において、第1及び第2リニアレギュレータ131、132の第1及び第2出力電圧Vout1,Vout2を12Vとし、低圧電源基板112の電圧供給端子T3から固定電圧24Vを補助電流供給回路140に供給した場合に、補助電流供給回路140が供給する補助電流Ia21,Ia22を示している。図8に示すように、第1及び第2出力電圧Vout1,Vout2の各値(=12V)は、低圧電源基板112から補助電流供給回路140に供給される固定電圧24Vより低いので、補助電流供給回路140は、低圧電源基板112から補助電流Ia21を第1リニアレギュレータ131の出力側に供給するとともに、補助電流Ia22を第2リニアレギュレータ132の出力側に供給する。これにより、第1及び第2リニアレギュレータ131,132の各消費電力は、補助電流Ia21,Ia22が供給される前より減少する。
【0077】
なお、低圧電源基板112の電圧供給端子T3から補助電流供給回路140に供給する固定電圧の値は、第1及び第2リニアレギュレータ131、132の第1及び第2入力電圧Vin1,Vin2の各値以上に設定する。このように設定すると、第1及び第2リニアレギュレータ131、132の第1及び第2出力電圧Vout1,Vout2の値が、第1及び第2入力電圧Vin1,Vin2の値より低いときには常に、補助電流Ia21,Ia22が、低圧電源基板112(の電圧供給端子T3)から補助電流供給回路140を経由して第1及び第2リニアレギュレータ131、132の出力側に供給されるからである。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、定着ファン13と、定着ファン13に一定の第1出力電圧Vout1を印加する第1リニアレギュレータ131と、低圧ファン14と、低圧ファン14に一定の第2出力電圧Vout2を印加する第2リニアレギュレータ132と、第1リニアレギュレータ131の出力側と第2リニアレギュレータ132の出力側との間に接続された補助電流供給回路140と、を備え、(1)第1出力電圧Vout1の値が第2出力電圧Vout2の値より高い場合、第1リニアレギュレータ131から補助電流供給回路140を経由して低圧ファン14に向けて補助電流が流れ、(2)第2出力電圧Vout2の値が第1出力電圧Vout1の値より高い場合、第2リニアレギュレータ132から補助電流供給回路140を経由して定着ファン13に向けて補助電流が流れる、ことを特徴とする。
【0079】
このように、本実施形態のプリンタ1では、第1リニアレギュレータ131と第2リニアレギュレータ132のうち、より高い出力電圧を印加している一方のリニアレギュレータから、補助電流供給回路140を経由して、他方のリニアレギュレータが印加しているファンに補助電流が流れる。
【0080】
例えば、低圧ファン14に補助電流が流れる場合、低圧ファン14には、第2リニアレギュレータ132から流れる電流と補助電流とを合算した電流が流れることになる。低圧ファン14には、低圧ファン14の抵抗と合算した電流との積で表される出力電圧が印加されることになる。その出力電圧が第2出力電圧Vout2となるようにFET131Aの抵抗を調整するため、第2リニアレギュレータ132が低圧ファン14に流す電流は、補助電流分少なくすることができ、第2リニアレギュレータ132が流す電流が少なくなる分、第2リニアレギュレータ132の消費電力を抑制することができる。
【0081】
また、プリンタ1は、装置筐体2と、画像形成部4と、交流電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換する低圧電源基板112と、をさらに備え、定着ファン13は、装置筐体2体内を冷却するファンであり、低圧ファン14は、低圧電源基板112を冷却するファンである、ことを特徴とする。
【0082】
また、プリンタ1は、ASIC105をさらに備え、定着ファン13は、印加される第1出力電圧Vout1の大きさによって回転量が変わり、低圧ファン14は、印加される第2出力電圧Vout2の大きさによって回転量が変わり、ASIC105は、第1リニアレギュレータ131に設定されている第1出力電圧Vout1の値を変更し、第2リニアレギュレータ132に設定されている第2出力電圧Vout2の値を変更する、ことを特徴とする。
【0083】
ASIC105は、第1リニアレギュレータ131が出力する第1出力電圧Vout1の値を変更することにより、定着ファン13の回転数を変更し、第2リニアレギュレータ132が出力する第2出力電圧Vout2の値を変更することにより、低圧ファン14の回転数を変更する。このように、ASIC105が、定着ファン13及び低圧ファン14の回転制御を行うことは、第1及び第2リニアレギュレータ131,132の出力電圧制御を行うことであるので、ASIC105が定着ファン13及び低圧ファン14の回転制御を行っているときは、第1出力電圧Vout1の値と第2出力電圧Vout2の値とが異なる場合があり、この場合、低い方の電圧を出力しているリニアレギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0084】
また、プリンタ1は、装置筐体2内の温度に応じた第1信号を出力する機内温度センサTH1と、低圧電源基板112に実装され、低圧電源基板112周辺の温度に応じた第2信号を出力する基板温度センサTH3と、をさらに備え、ASIC105は、機内温度センサTH1からの第1信号に基づいて検出した第1検出温度に応じて第1出力電圧Vout1の値を変更し、基板温度センサTH3からの第2信号に基づいて検出した第2検出温度に応じて第2出力電圧Vout2の値を変更する、ことを特徴とする。
【0085】
これにより、装置筐体2内の温度に応じた定着ファン13の回転制御と、低圧電源基板112周辺の温度に応じた低圧ファン14の回転制御を行う過程で、低い方の電圧を出力しているリニアレギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0086】
また、機内温度センサTH1及び基板温度センサTH3は、サーミスタであり、ASIC105は、サーミスタからの出力信号に基づいて検出した温度に応じて、定着ファン13及び低圧ファン14の回転量を全速、半速及び停止のいずれかに制御する、ことを特徴とする。
【0087】
これにより、定着ファン13及び低圧ファン14の回転量を全速及び半速のいずれかに制御する過程で、低い方の電圧を出力しているリニアレギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0088】
また、プリンタ1は、帯電ファン15と、帯電ファン15に一定の第3出力電圧Vout3を印加する第3電圧出力回路と、をさらに備え、補助電流供給回路140は、第1リニアレギュレータ131の出力側と第2リニアレギュレータ132の出力側と第3出力電圧Vout3出力回路との間に接続され、第1出力電圧Vout1から第3出力電圧Vout3のうち最も高い電圧値を出力している電圧レギュレータから補助電流供給回路140を経由してその電圧レギュレータのファン以外のファンに補助電流が流れる、ことを特徴とする。
【0089】
これにより、帯電ファン15が加わった場合でも、第1出力電圧Vout1から第3出力電圧Vout3のうち最も高い電圧値を出力しているリニアレギュレータから補助電流供給回路140を経由してそのリニアレギュレータのファン以外のファンに補助電流が流れるので、最も高い電圧値を出力しているリニアレギュレータ以外のリニアレギュレータの消費電力を抑制することができる。
【0090】
また、補助電流供給回路は、3つの抵抗により構成され、3つの抵抗R1~R3の各一端が1点J1で接続され、各他端が第1~第3リニアレギュレータ131~133の各出力側と接続されている、ことを特徴とする。
【0091】
このように、3つの抵抗R1~R3により構成された、極めて簡単な補助電流供給回路140を用いて、最も高い電圧値を出力しているリニアレギュレータ以外のリニアレギュレータの消費電力を抑制することができる。また、補助電流供給回路140は、ASIC105による制御を必要としないので、ASIC105の制御処理が複雑化しない。
【0092】
また、プリンタ1は、第1リニアレギュレータ131の第1入力電圧Vin1と第2リニアレギュレータ132の第2入力電圧Vin2のうち、高い方の電圧値以上の第4電圧を固定的に出力する低圧電源基板112の電圧供給端子T3をさらに備え、補助電流供給回路140は、第1リニアレギュレータ131の出力側と第2リニアレギュレータ132の出力側と電圧出力源との間に接続され、低圧電源基板112の電圧供給端子T3から、第1リニアレギュレータ131と第2リニアレギュレータ132のうち、第4電圧より低い電圧値を出力しているリニアレギュレータのファンに補助電流を供給する、ことを特徴とする。
【0093】
これにより、第1及び第2リニアレギュレータ131,132の第1及び第2出力電圧Vout1,Vout2は、低圧電源基板112の電圧供給端子T3の第4電圧以下であるので、第1及び第2リニアレギュレータ131,132の各消費電力を抑制することができる。
【0094】
また、補助電流供給回路140は、3つの抵抗R1~R3により構成され、3つの抵抗R1~R3の各一端が1点J1で接続され、各他端が第1及び第2リニアレギュレータ131,132の各出力側、及び低圧電源基板112の電源供給端子と接続されている、ことを特徴とする。
【0095】
このように、3つの抵抗R1~R3により構成された、極めて簡単な補助電流供給回路140を用いて、電圧出力源以外の第1及び第2リニアレギュレータ131,132の消費電力を抑制することができる。また、補助電流供給回路140は、ASIC105による制御を必要としないので、ASIC105の制御処理が複雑化しない。
【0096】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0097】
(1)上記実施形態では、消費電力の抑制制御を行う対象として、図3の制御構成では、第1~第3リニアレギュレータ131~133の3つを例に挙げたが、この個数は、2つでも、4つ以上でもよい。また、図7の制御構成では、第1及び第2リニアレギュレータ131,132の2つを例に挙げたが、この個数は、1つでも、3つ以上でもよい。
【0098】
(2)上記実施形態では、定着ファン13、低圧ファン14及び帯電ファン15の各回転量を制御する基準となる情報として、機内温度センサTH1等の温度センサによる検出温度や印刷指令を例示したが、これは、あくまでも例示に過ぎず、他の種類の情報を用いてもよいし、複数の情報を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0099】
(3)上記実施形態では、画像形成装置として、シートにモノクロの画像を形成するプリンタを例示したが、これに限定されず、例えば、シートにカラーの画像を形成可能に構成されたプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…カラーレーザプリンタ(画像形成装置)、2…装置筐体、4…画像形成部、13…定着ファン(第1ファン)、14…低圧ファン(第2ファン)、15…帯電ファン(第3ファン)、105…ASIC(制御部)、112…低圧電源基板(AC/DC基板)、131…第1リニアレギュレータ(第1電圧レギュレータ)、132…第2リニアレギュレータ(第2電圧レギュレータ)、133…第3リニアレギュレータ(第3電圧レギュレータ)、131A…FET(制御素子)、140…補助電流供給回路、R1~R3…抵抗、TH1…機内温度センサ(第1温度検出素子)、TH2…定着温度センサ、TH3…基板温度センサ(第2温度検出素子)、Vout1…第1出力電圧(第1電圧)、Vout2…第2出力電圧(第2電圧)、Vout3…第3出力電圧(第3電圧)、Vin1…第1入力電圧(入力電圧)、Vin2…第2入力電圧(入力電圧)、Vin3…第3入力電圧。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8